【課題を解決するための手段】
【0020】
発明の概要
本発明は、独立クレームの特徴による、チューブ、当該チューブ向けに構成されたチューブラック、連続2段階遠心分離方法、自動サンプル処理の方法、およびチューブを製造する方法を提案することにより、現行技術水準の欠点を解決する。好ましい実施形態は、従属請求項に定義されている。
【0021】
本発明は、信頼性が高く高感度の血液スクリーニングを手頃な価格にするためのコヒーレントな設計および自動化のための手段を提供するという点において、以前から知られている解決策を改善する。コスト効率の高い自動スクリーニング手順に関する分離装置の構造及びコヒーレントな設計の利点に関するさらなる詳細について、以下で説明する。
【0022】
サンプル収集およびサンプル処理のための機能拡張されたチューブ
本発明の第1の態様では、サンプル収集およびサンプル処理のためのチューブが提供される。本発明によるチューブは、上側区画、中間区画、および下側区画を備え、上側区画および下側区画は、実質的に、例えば、製造公差を別にすれば、円筒形である。
【0023】
第1の実施形態では、上側区画は、下側区画の内径よりも大きい内径を有し、上側区画は、下側区画の外径よりも大きい外径を有する。中間区画は、チューブの上側区画と下側区画の間に位置し、中間区画の上部は上側区画の底部に接続し、中間区画の底部は下側区画の上部に接続する。中間区画の内径および外径は、チューブの中間区画の上部から底部に向かって減少する。チューブは、チューブをチューブラックに固定するための複数の締結手段を備えている。複数の締結手段は、中間区画および下側区画の外面に配置されている。したがって、締結手段は、その寿命にわたってチューブの形状の精度および機械的安定性を保証するとともに、その後の自動処理手順全体を通じてチューブを安定化する。
【0024】
第2の実施形態では、第1の実施形態によるチューブの中間区画はテーパ形状である。これにより、チューブの下側区画において所望のバフィーコート層が容易に採取され得ることが可能になる。特にチューブ内のセパレータゲルの粘度が低い場合、ピペットの先端で凝固するため、バフィーコート層内でのピペット操作は困難である場合がある。
【0025】
第3の実施形態では、前述の実施形態のいずれかによるチューブ内の複数の締結手段は、チューブをチューブラック内に固定するための、複数の長手方向に延伸するチューブリブを有する。これにより、自動処理手順中の安定性がさらに向上する。
【0026】
第4の実施形態では、チューブの中間区画の上部の外径は、上側区画の外径と実質的に等しい。中間区画の上部の内径は、上側区画の内径と実質的に等しい。
【0027】
第5の実施形態では、前述の実施形態のいずれかによるチューブにおいて、中間区画の底部の内径は、下側区画の内径と実質的に等しい。中間区画の底部の外径は、下側区画の外径と実質的に等しい。
【0028】
第6の実施形態では、前述の実施形態のいずれかによるチューブは、等距離で離間され得る複数のチューブリブを提供するという点でさらに改善される。
【0029】
第7の実施形態では、第6の実施形態によるチューブは、複数のチューブリブが互いから180°離れた2つのチューブリブからなることをさらに特徴とする。
【0030】
第8の実施形態では、前述の実施形態のいずれかによるチューブは、複数のチューブリブが中間区画および下側区画の全長に沿って延伸するという点でさらに改善される。
【0031】
第9の実施形態では、前述の実施形態のいずれかによるチューブは、上側区画の外径が、複数のチューブリブのうちの第1のチューブリブの外縁から複数のチューブリブのうちの第2のチューブリブの外縁までに及ぶ距離に実質的に等しいことをさらに特徴とする。
【0032】
第10の実施形態では、一例として、前述の実施形態のいずれかによるチューブは、チューブの中間区画の上部の内径が10.5mmであること、および/または、チューブの中間区画の底部の内径が6.5mmであること、および/またはチューブリブの厚さが2.0mmであることをさらに特徴とする。
【0033】
第11の実施形態では、前述の実施形態のいずれかによるチューブは、チューブがチューブキャップを備えることをさらに特徴とし、チューブキャップは、チューブキャップがチューブをシールするように上側区画に挿入可能であり、チューブキャップは、チューブの下側区画の下端に向かう軸方向の力に抗して保持されるように構成されており、結果、チューブが上記力によってチューブキャップから引き抜かれる。
【0034】
第12の実施形態では、第11の実施形態によるチューブは、チューブキャップがチューブキャップ本体とチューブキャッププラグとを備えるという点でさらに改善されている。チューブキャッププラグは、チューブキャッププラグがチューブをシールするように上側区画に挿入することができる。チューブキャップ本体は、上側区画の周りに配置され、チューブキャッププラグと係合するように構成することができる。チューブキャップ本体は、チューブの下側区画の下端に向かう軸方向の力に抗して保持されるように構成されており、結果、チューブを上記力によってチューブキャップから引き抜くことができる。
【0035】
第13の実施形態では、第11の実施形態または第12の実施形態によるチューブは、チューブキャップが上側区画に挿入されている真空チューブが、チューブキャップ内に穿刺された針を通してサンプルを受け取るように、チューブキャップが針によって穿刺可能であるという点においてさらに改善される。
【0036】
第14の実施形態において、第12の実施形態または第13の実施形態によるチューブは、チューブキャップ本体が実質的に円筒管の形状を有することをさらに特徴とする。このような場合、チューブキャップ本体の下側部分の内径は上側区画の外径と実質的に等しく、チューブキャップ本体の上側部分の内径はチューブキャッププラグの上側円筒バーの直径と実質的に等しい。
【0037】
第15の実施形態では、第12の実施形態から第14の実施形態のいずれかによるチューブにおいて、チューブキャップ本体は、チューブキャップおよびチューブキャッププラグと係合する少なくとも2つの円周方向突出部を備える。これにより、チューブキャップがチューブラックヘッドに固定されるとき、チューブキャップをその位置に固定されたままにすることができるため、相互汚染のリスクをさらに減らすことができる。
【0038】
第16の実施形態では、チューブキャップがチューブの上側区画に挿入された第11の実施形態から第15の実施形態のいずれかによるチューブ
において、チューブは内容物をさらに備える。内容物は、チューブの最下部にある密度勾配媒体のボリュームを含んでもよい。密度勾配媒体のボリュームは、密度勾配媒体とチューブの最下部の上方の部分との間にゲル障壁を形成する分離ゲルのボリュームによって、チューブの最下部の上方の部分に向かって分離され得る。ゲル障壁の上方のチューブの内面は、霧状の抗凝固剤でコーティングすることができる。ゲル障壁の上方かつチューブキャップの下方のチューブの最大容積が真空にされ得る。
【0039】
第17の実施形態では、第16の実施形態によるチューブは、チューブキャップおよびチューブの内容物が滅菌されるという点でさらに改善される。例として、ガンマ線照射による滅菌を挙げることができる。
【0040】
第18の実施形態では、第16の実施形態または第17の実施形態によるチューブは、密度勾配媒体が1.01〜1.119g/ml、より好ましくは1.077〜1.083g/mlの密度を有することをさらに特徴とする。
【0041】
第19の実施形態では、第16の実施形態から第18の実施形態のいずれかによるチューブは、密度勾配媒体の体積が100〜600μl、好ましくは200〜600μl、300〜600μl、400〜600μl、500〜600μl、最も好ましくは450μlであることをさらに特徴とする。分離ゲルの体積は、35〜60μl、最も好ましくは50μlであり得る。
【0042】
第20の実施形態では、前述の実施形態のいずれかによるチューブは、プラスチック射出成形によって製造される。ただし、他の製造方法も適用できる。
【0043】
第21の実施形態では、第1の実施形態から第19の実施形態のいずれかによるチューブは、例えばガラス製である。
【0044】
さらなる実施形態では、前述の実施形態のいずれかによるチューブは、一例として、チューブの下側区画の下端でチューブを閉じるための外向きに延伸する球形端部をさらに含む。
【0045】
チューブラック
第2の態様では、第1の実施形態から第21の実施形態のいずれかによる1つまたは複数のチューブを受け入れるように構成されたチューブラックが提供される。チューブラックの第1の実施形態では、チューブラックは、1つまたは複数のチューブホルダを含むチューブラック本体を含む。チューブホルダの各々は、上記チューブのうちの1つをシームレスに受け入れる形状であり、チューブの中間区画および下側区画の外面に位置する複数の締結手段を受け入れるための受け入れ手段を含む。
【0046】
チューブラックの第2の実施形態では、チューブホルダは、複数の締結手段を受け入れるための対称軌道を含む。
【0047】
チューブラックの第3の実施形態では、前述の実施形態のいずれかによるチューブラックは、構造的剛性、および、自動内容物識別を可能にする非ノイズ背景を提供するための壁をさらに備える。
【0048】
チューブラックの第4の実施形態では、チューブラックの第3の実施形態によるチューブラックの壁は、チューブの前面を露出させる開口を備える。
【0049】
チューブラックの第5の実施形態では、前述の実施形態のいずれかによるチューブラックは、分離可能なチューブラックヘッドをさらに備え、チューブラックヘッドは、1つまたは複数のチューブホルダに対応する1つまたは複数の開口を備える。チューブホルダの各々は、分離可能なチューブラックヘッドの1つまたは複数の開口の各々の下側の対応する溝に位置整合する突出リングを備えることができる。
【0050】
チューブラックの第6の実施形態では、第5の実施形態によるチューブラック内のチューブラックヘッドは、チューブラック本体上の凹部に係合するように構成された1つまたは複数のクリッパをさらに備える。
【0051】
チューブラックの第7の実施形態において、前述の第4の実施形態から第6の実施形態のいずれかによるチューブラックは、チューブラックヘッドの1つまたは複数の開口の各々が冠状上側部分を備え、各冠状上側部分は、1つまたは複数の内側に延伸するバンプを備えることをさらに特徴とする。
【0052】
チューブラックの第8の実施形態において、前述の第4の実施形態から第7の実施形態のいずれかによるチューブラックは、チューブが、チューブキャップ本体とチューブキャッププラグとを備えるチューブキャップを備え、チューブラックヘッドがチューブの最下部とチューブラック本体の底部との間に間隙があるように、チューブキャップを捕捉するように構成されていることをさらに特徴とする。
【0053】
チューブラックの第9の実施形態において、前述の第4の実施形態から第7の実施形態のいずれかによるチューブラックは、チューブラックヘッドが、チューブの最下部がチューブラック本体の底部と接触するように、チューブキャップを捕捉するように構成されていることをさらに特徴とする。
【0054】
チューブラックの第10の実施形態において、前述の実施形態のいずれかによるチューブラックは、チューブホルダが2列以上に配列されることを特徴とする。
【0055】
サンプル濃縮を増強するための遠心分離プロセス
第3の態様では、サンプル濃縮を増強するための増強された連続2段階遠心分離方法が提供される。チューブは、好ましくは、第16の実施形態から第21の実施形態のいずれかに記載されているような構成である。さらに、前述の実施形態のいずれかによるチューブラックが、サンプル濃縮を増強するための連続2段階遠心分離方法を実行するために使用されてもよい。
【0056】
遠心分離方法は、第1の期間にわたって第1の相対遠心力(RCF)で遠心分離するステップを含む。第1のRCFは、初期の細胞分離を達成するために、チューブ内の密度勾配媒体の相対位置を変更せずに適用される。いくつかの実施形態では、第1の期間は少なくとも10分であり、好ましくは少なくとも15分である。好ましい実施形態では、第1の期間は15から20分の範囲内であり、第1のRCFは50から200RCFの範囲内であり、最も好ましくは150から200RCFの範囲内である。
【0057】
遠心分離方法はまた、遠心分離を停止することなく、第2の期間にわたって第2のRCFでさらなる遠心分離を実行することを含む。第2のRCFは、チューブ内の密度勾配媒体の相対位置を変更し得る。第2のRCFは、例えば、遠心分離を停止することなく、400〜800RCFの範囲まで、好ましくは400〜650RCFの範囲内に加速することにより実行され得る。いくつかの実施形態では、第2の期間は、少なくとも5分、好ましくは少なくとも15分であり得る。好ましい実施形態では、第2の期間は15から30分の範囲内である。
【0058】
いくつかの実施形態では、第2の期間にわたる遠心分離は、600から650RCFまで加速することにより実行される。
【0059】
自動サンプル処理
第4の態様では、本発明は、自動サンプル処理のための方法を提供する。
【0060】
自動サンプル処理方法は、特に、
a)把持部を備えるロボットを使用して、トレイから遠心分離機内の支持体に1つまたは複数のチューブを含むチューブラックを移動させるステップと、
b)上記遠心分離機において連続2段階遠心分離方法を適用するステップと、
c)上記連続2段階遠心分離方法の後、ロボットによって、クリッパがチューブラック本体を外すように、チューブラックヘッドをつかむことによってチューブラック本体からチューブラックヘッドを抜き取るステップと、
d)チューブラックヘッドの上記抜き取りの後、ロボットによって、チューブラック本体をつかむことによって遠心分離機の支持体からチューブラック本体を抜き取るステップと、
を含むことができる。
【0061】
チューブは、第16の実施形態から第21の実施形態のいずれかに従って構成されてもよく、チューブラックヘッドは、チューブラックヘッドの前述の実施形態のいずれかに従っており、遠心分離方法は、遠心分離方法についての前述の実施形態のいずれかに対応してもよい。
【0062】
製造プロセス
第5の態様では、チューブを製造する方法が提供される。製造公差が満たされていることを保証するために、調整された製造プロセスが必要になる場合がある。チューブは、例えば、高度に同心でなければならない。偏心チューブは、チューブ内に収集されるサンプルの量を変化させる可能性があり、最終的に遠心分離後の液体処理が不正確になる可能性がある。
【0063】
高度に同心のチューブは、チューブに対応する成形形態において、少なくとも2つの注入入口チャネルを配置することによって製造することができる。少なくとも2つの注入入口チャネルは、上側区画の上部の外面からの注入を可能にするために、上側区画の上部に位置する周縁の周りに等間隔で配置されてもよい。
【0064】
この方法は、使用前に密度勾配媒体の蒸発を防ぐための、真空シールおよびアルミニウムパッケージングをさらに含んでもよい。真空シールおよびアルミニウムパッケージングは収縮を防ぎ、したがって使用前にチューブの不浸透性を維持するのに役立つ。
【0065】
好ましい実施形態の詳細な説明
以下において、本発明の好ましい実施形態が、図面を参照して説明される。