特許第6989609号(P6989609)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6989609診断目的の自動サンプル処理のための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989609
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】診断目的の自動サンプル処理のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/10 20060101AFI20211220BHJP
   B04B 5/02 20060101ALI20211220BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20211220BHJP
   G01N 35/00 20060101ALI20211220BHJP
   G01N 35/04 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   G01N1/10 H
   B04B5/02 A
   G01N1/00 101H
   G01N35/00 D
   G01N35/04 G
   G01N35/04 H
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-540082(P2019-540082)
(86)(22)【出願日】2017年1月25日
(65)【公表番号】特表2020-507751(P2020-507751A)
(43)【公表日】2020年3月12日
(86)【国際出願番号】CN2017072654
(87)【国際公開番号】WO2018137186
(87)【国際公開日】20180802
【審査請求日】2019年10月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516036456
【氏名又は名称】ヤンタイ・アウスビオ・ラボラトリーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ヂャオチアン
【審査官】 野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−507284(JP,A)
【文献】 特開平06−194280(JP,A)
【文献】 特開昭61−084557(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第3015169(EP,A1)
【文献】 特表平09−508971(JP,A)
【文献】 特開平03−293047(JP,A)
【文献】 特表2005−534893(JP,A)
【文献】 特開2015−006169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00−1/44
G01N 35/00−37/00
B04B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル収集およびサンプル処理のためのチューブ内のサンプル濃縮を向上させるための連続2段階遠心分離方法であって、前記チューブは、
上側区画、中間区画、および下側区画であり、
前記上側区画および前記下側区画は円筒形状であり、
前記上側区画は前記下側区画の内径よりも大きい内径を有し、
前記上側区画は前記下側区画の外径よりも大きい外径を有し、
前記中間区画は前記チューブの前記上側区画と前記下側区画の間に位置し、
前記中間区画の上部は前記上側区画の底部に接続し、前記中間区画の底部は、前記下側区画の上部に接続し、
前記中間区画の内径および外径は、前記チューブの前記中間区画の前記上部から前記底部に向かって減少し、
前記中間区画はテーパ形状である、上側区画、中間区画、および下側区画と、
前記チューブの内容物であり、前記内容物は、
前記チューブの最下部内の密度勾配媒体のボリュームを含む、前記チューブの内容物と
を備え、
前記密度勾配媒体の前記ボリュームは、前記密度勾配媒体と前記チューブの前記最下部の上方の部分との間にゲル障壁を形成する分離ゲルのボリュームによって、前記チューブの前記最下部の上方の部分に向かって分離され、
前記チューブはチューブキャップをさらに備え、
前記チューブキャップは、前記チューブキャップが前記チューブをシールするように、前記上側区画に挿入可能であり、
前記チューブキャップは、前記チューブの前記下側区画の下端に向かう軸方向の力に抗して保持されるように構成され、前記チューブが前記力によって前記チューブキャップから引き抜かれ、
初期の細胞分離を達成するために前記チューブ内の密度勾配媒体の相対位置を変えずに第1の相対遠心力(RCF)で第1の期間にわたって遠心分離するステップであり、
前記第1の期間は少なくとも10分であり、
前記第1のRCFは50〜200RCFの範囲内である、遠心分離するステップと、
400〜800RCFに加速することによって前記チューブ内の前記密度勾配媒体の前記相対位置を変更するために、第2のRCFで第2の期間にわたって遠心分離するステップであり、
前記第2の期間は少なくとも5分である、遠心分離するステップと、
を含む、連続2段階遠心分離方法。
【請求項2】
前記第1の期間が10から20分の範囲である、請求項1に記載の連続2段階遠心分離法。
【請求項3】
前記第2のRCFが600から650RCFの範囲にある、請求項1または2に記載の連続2段階遠心分離法。
【請求項4】
前記第2の期間が15から30分の範囲である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の連続2段階遠心分離法。
【請求項5】
前記第2の期間の遠心分離のステップの間に、前記分離ゲルによって形成された前記ゲル障壁が破壊する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の連続2段階遠心分離法。
【請求項6】
自動サンプル処理の方法であって、
把持部を備えるロボットを使用して、トレイから遠心分離機内に位置する支持体に、サンプル収集およびサンプル処理のための1つまたは複数のチューブと分離可能なチューブラックヘッドとを備えるチューブラックを移動させるステップであり、前記チューブラックは、1つまたは複数のチューブホルダを備えるチューブラック本体を備え、前記チューブホルダの各々は、前記チューブのうちの1つをシームレスに受け入れるように成形され、前記チューブラックヘッドは、前記1つまたは複数のチューブホルダに対応する1つまたは複数の開口部を含む、移動させるステップを含み、サンプル収集およびサンプル処理のための各チューブは、
上側区画、中間区画、および下側区画であり、
前記上側区画および前記下側区画は円筒形状であり、
前記上側区画は前記下側区画の内径よりも大きい内径を有し、
前記上側区画は前記下側区画の外径よりも大きい外径を有し、
前記中間区画は前記チューブの前記上側区画と前記下側区画の間に位置し、
前記中間区画の上部は前記上側区画の底部に接続し、前記中間区画の底部は、前記下側区画の上部に接続し、
前記中間区画の内径および外径は、前記チューブの前記中間区画の前記上部から前記底部に向かって減少し、
前記中間区画はテーパ形状である、上側区画、中間区画、および下側区画と、
前記チューブの内容物であり、前記内容物は、
前記チューブの最下部内の密度勾配媒体のボリュームを含む、前記チューブの内容物と
を備え、
前記密度勾配媒体の前記ボリュームは、前記密度勾配媒体と前記チューブの前記最下部の上方の部分との間にゲル障壁を形成する分離ゲルのボリュームによって、前記チューブの前記最下部の上方の部分に向かって分離され、
前記チューブはチューブキャップをさらに備え、
前記チューブキャップは、前記チューブキャップが前記チューブをシールするように、前記上側区画に挿入可能であり、
前記チューブキャップは、前記チューブの前記下側区画の下端に向かう軸方向の力に抗して保持されるように構成され、前記チューブが前記力によって前記チューブキャップから引き抜かれ、
前記遠心分離機において、サンプル濃縮を向上させるための連続2段階遠心分離方法を適用するステップであり、前記連続2段階遠心分離方法は、
初期の細胞分離を達成するために前記チューブ内の密度勾配媒体の相対位置を変えずに第1の相対遠心力(RCF)で第1の期間にわたって遠心分離するステップで、
前記第1の期間は少なくとも10分であり、
前記第1のRCFは50〜200RCFの範囲内である、遠心分離するステップと、
400〜800RCFの範囲に加速することによって前記チューブ内の前記密度勾配媒体の前記相対位置を変更するために、第2のRCFで第2の期間にわたって遠心分離するステップであり、
前記第2の期間は少なくとも5分である、遠心分離するステップと、
を含む、連続2段階遠心分離方法を適用するステップと、
前記連続2段階遠心分離方法の後、前記ロボットによって、クリッパが前記チューブラック本体を外すように、前記チューブラックヘッドをつかむことによって前記チューブラック本体から前記チューブラックヘッドを抜き取るステップと、
前記チューブラックヘッドの前記抜き取りの後、前記ロボットによって、前記チューブラック本体をつかむことによって前記遠心分離機の前記支持体から前記チューブラック本体を抜き取るステップと
を含む、自動サンプル処理の方法。
【請求項7】
前記第1の期間が10から20分の範囲である、請求項6に記載の自動サンプル処理の方法。
【請求項8】
前記第2のRCFが600から650RCFの範囲にある、請求項6または7に記載の自動サンプル処理の方法。
【請求項9】
前記第2の期間が15から30分の範囲である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の自動サンプル処理の方法。
【請求項10】
前記第2の期間の遠心分離のステップの間に、前記分離ゲルによって形成された前記ゲル障壁が破壊する、請求項6〜9のいずれか1項に記載の自動サンプル処理の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、診断目的のための自動サンプル処理の分野に関する。より詳細には、本発明は、診断目的のための自動サンプル処理が、サンプルスループットと診断精度の両方を向上させることを可能にするための、強化され、一貫して設計された装置および方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
試薬開発者および診断機器製造業者の重要な焦点の1つは、試験の信頼性、感度、および特異性である。早期検出は、感染に伴うさまざまなリスクを軽減する重要な対策である。感染したサンプルの識別における誤った結果は、サンプルのソースまたはソースのサンプルにさらされた文字通りすべての者にとって生命を脅かす可能性がある。例として、献血者、実験室職員、および受血者を挙げることができる。
【0003】
したがって、上記の信頼性および感度を改善するために、サンプルスクリーニング試薬は継続的に改善され、高度なスクリーニング技術がさらに開発され、診断機器に採用されている。一方では、自動診断機器は、手動介入に置き換えるために診断機器にさらに多くの機能を統合することによって信頼性および感度を向上させることができ、そのため、人的エラーが低減して精度が高められる。さらに、自動サンプル処理は通常、サンプルスループットを大幅に向上させるため、サンプルのターンアラウンド時間を短縮することができる。他方、試薬キット製造業者は、ますます特異的で信頼性が高く高感度な方法で、健康に関連するバイオマーカを検出および測定することができるように努力している。しかし、最近では、合理的なコストおよび性能で日常的な臨床分析に広く適用できる進歩はほとんどなく、依然として、毎日多くの病原体検出の失敗事例が存在する。
【0004】
このような検出の失敗は、多くの場合、サンプルが間違ったソースから採取される可能性がある病原体ライフサイクルの潜伏期または潜在期の特性によるものである。オカルトB型肝炎ウイルス(HBV)感染(OBI)は、たとえば「循環HBV表面抗原(HBsAg)の非存在下での肝臓組織におけるHBV[デオキシリボ核酸](DNA)の持続性を特徴とする」という定義による(J Hepatol.2008;49 652−7参照)。
【0005】
当該技術分野では、全血のサンプリングは、典型的には、真空採血管に取り付けられた針を通して静脈穿刺によって収集されることがよく知られている。遠心分離はサンプルをその成分に分離する。フィルタおよび/または密度勾配媒体が、これらの成分の少なくとも2つを分離するのに役立ち得る。分離された成分を別個に分析すると、処理ステップの数が大幅に増加するが、サンプル成分の純度のために、スクリーニングの信頼性および感度が大幅に向上する可能性がある。
【0006】
試験を実施するための従来のサンプルには、血漿または血清が含まれ、これらは、全血から分離した後、簡単にアクセスすることができる主要な血液成分である。血漿は病原体の主要な保有元であり、血液スクリーニングを実践するものとして現在標準的なものであるが、最近発表された論文は、血液中を循環する細胞内容物も診断に非常に有用であるという証拠を示した。通常、潜伏期または感染の初期段階では、検体が感染細胞からまだ放出されていないか、検体の痕跡が検出限界(LOD)を超えるため、血漿中の標的血清マーカを検出することができない場合がある。たとえば、ウイルスは過剰な表面受容体を介して血小板と直接相互作用するか、デング熱ウイルス(DENV)などの一部の病原体が血小板に入り、小胞内を侵害する可能性がある。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)を含むいくつかの病原体は、エキソソームおよび微小胞などの細胞外小胞(EV)内で結合または包絡する。さらに、HIVゲノムの痕跡は、ナチュラルキラー(NK)細胞、単核細胞、およびマスト細胞で発見されている。B型肝炎およびC型肝炎ウイルス(HCV)は、肝細胞に感染するだけでなく、末梢血単核細胞(PBMC)にも存在する。それらはB細胞に感染し、そこで複製することができる。したがって、白血球、特にPBMCは、病原体の重要な保有元であるとともに、病原体潜伏期間中の複製の潜在的な感染部位である。
【0007】
細胞内容物は、腫瘍関連の診断において洞察に富んだ情報を提供する場合もある。血液は、腫瘍関連バイオマーカに対して改良するために、さまざまな画分に分離することができる。循環腫瘍細胞(CTC)は、腫瘍に関するゲノム、トランスクリプトーム、およびプロテオーム情報を提供し得る。Tumor Educated Platelets(TEP)は、限局性および転移性の両方のがん患者における汎がん、マルチクラスがん、およびコンパニオン診断の貴重なプラットフォームを提供し得る。
【0008】
したがって、デバイス製造業者、実験室検査供給元、および臨床実験室職員は、これらの病原体と細胞との相互作用を分析実験室試験中の潜在的な改善のソースとして理解することが重要である。従来の標的サンプルとしての血漿または血清は、病原体のライフサイクル全体を網羅する包括的で完全な分析を確立するには明らかに不十分である。
【0009】
しかし、現在の日常的な臨床診療では、経済的および実用的な理由から細胞分析をまだ完全に組み込むことができない。重要な理由は、高スループットかつ自動化された様式で、通常の真空採血管から細胞内容物を抽出するという課題である。
【0010】
典型的には、フィルタを含む細胞分離チューブが使用され、および/または密度勾配媒体がサンプルに添加され、サンプルが遠心分離される。例えば、米国特許第4,021,340号および米国特許第4,333,564号は、チキソトロピー特性を有する疎水性ゲル様不活性組成物の使用を記載している。BDのVacutainer(商標)Cell Preparation tube(CPT)などの市販製品は高価であり、自動化された手順で処理することができない。チューブの形状に起因して、濃縮バフィーコート層は非常に薄く、カメラによる識別は困難であり、厚いゲルセパレータが適用されることに起因してピペットチャネルが詰まる場合がある。さらに、特にロボットによって取り扱う場合、ガラス材料から作成されたチューブは破損する可能性もある。
【0011】
対照的に、単発の注入可能プラスチック材料から作成される単層チューブは、多層チューブ、ガラスもしくは金属製のチューブ、または内面に化学コーティングが施されたチューブと比較して、費用対効果に優れている。しかし、例えば密度勾配媒体の蒸発が問題になる場合がある。実験では、スタンドアロンのPETG/PETチューブは24時間あたり0.4μlの液体を失う可能性があることが示された。ガラス製、金属製、または多層壁を備えた、または内面化学コーティングを施した採血管は、蒸発のリスクがないが、経済的な理由から日常の臨床使用には適していない。
【0012】
したがって、日常的な臨床業務における自動化された効果的な血液内容物の分画および抽出に使用することができる、手頃な価格の真空採血管および関連する処理システムが必要である。
【0013】
前述のタイプのチューブは、例えば以下の従来技術文献で議論されている。
米国特許第3,786,985号は、閉じた長手方向端部の間に配置された縮小部と、その中に配置され、遠心力の影響下で縮小部に確実に受け入れられるように採用されているストッパ手段とを有する血液収集容器を開示している。
【0014】
米国特許第7,971,730号は、収集チューブの製造方法を開示している。この方法は、短時間で迅速に所望の硬度に重合することができるセパレータ物質を提供すること、およびチューブの内腔内にセパレータ物質を配置することを含む。セパレータ物質は、全血の血清画分の平均密度と全血の細胞含有画分との間の密度を有し、全血と共に流動可能であるように処方される。血液が入っているチューブを遠心分離すると、セパレータ物質が全血画分の間に障壁を形成する。
【0015】
中国特許第100500825号は、チューブ本体を含むリンパ球分離チューブを開示している。チューブ本体の底部は多孔質材料を含む。多孔質材料は、リンパ球分離媒体を吸収して保持する。多孔質材料は、摩擦力によってチューブの底に固定される。遠心分離中、リンパ球分離媒体の代わりに、赤血球が多孔質材料に容易に侵入する可能性がある。
【0016】
さらに、従来技術では、チューブが遠心分離にアダプタを使用し得ることが知られている。
【0017】
中国実用新案第201410416号は、真空採血管の自動露出アダプタを開示している。このアダプタは、遠心回転ディスクに固定されており、採血管ジャックを設けられている適応パレットを含む。適応パレットには、露出スタンドが装備されている。採血管挿入チャネルが、露出スタンドのスタンド本体上に均一に分布している。採血管挿入チャネルの内径は、採血管の外径と一致している。遠心分離機が回転した後、採血管本体は、遠心力の作用下で採血管のキャップから自動的に外れる。
【0018】
中国特許第103657887号は、第1のアダプタ本体区画、第2のアダプタ本体区画、第3のアダプタ本体区画、第1の位置決めピン、第2の位置決めピン、第1のマークおよび第2のマークを備える遠心分離機アダプタを開示している。第1のアダプタ本体区画には止まり穴が形成されており、止まり穴の深さはチューブ本体の長さよりも小さい。
【0019】
従来技術は、短いターンアラウンド時間、高スループット、および使いやすさの点でスクリーニングプロセスを改善するための、自動診断プラットフォームに対応する、費用効率が高くコヒーレントな分離装置および方法のためのチューブおよびコヒーレントに設計された手段を提示していない。したがって、本発明は、従来の装置および方法の前述の欠点を克服することを目的とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0020】
発明の概要
本発明は、独立クレームの特徴による、チューブ、当該チューブ向けに構成されたチューブラック、連続2段階遠心分離方法、自動サンプル処理の方法、およびチューブを製造する方法を提案することにより、現行技術水準の欠点を解決する。好ましい実施形態は、従属請求項に定義されている。
【0021】
本発明は、信頼性が高く高感度の血液スクリーニングを手頃な価格にするためのコヒーレントな設計および自動化のための手段を提供するという点において、以前から知られている解決策を改善する。コスト効率の高い自動スクリーニング手順に関する分離装置の構造及びコヒーレントな設計の利点に関するさらなる詳細について、以下で説明する。
【0022】
サンプル収集およびサンプル処理のための機能拡張されたチューブ
本発明の第1の態様では、サンプル収集およびサンプル処理のためのチューブが提供される。本発明によるチューブは、上側区画、中間区画、および下側区画を備え、上側区画および下側区画は、実質的に、例えば、製造公差を別にすれば、円筒形である。
【0023】
第1の実施形態では、上側区画は、下側区画の内径よりも大きい内径を有し、上側区画は、下側区画の外径よりも大きい外径を有する。中間区画は、チューブの上側区画と下側区画の間に位置し、中間区画の上部は上側区画の底部に接続し、中間区画の底部は下側区画の上部に接続する。中間区画の内径および外径は、チューブの中間区画の上部から底部に向かって減少する。チューブは、チューブをチューブラックに固定するための複数の締結手段を備えている。複数の締結手段は、中間区画および下側区画の外面に配置されている。したがって、締結手段は、その寿命にわたってチューブの形状の精度および機械的安定性を保証するとともに、その後の自動処理手順全体を通じてチューブを安定化する。
【0024】
第2の実施形態では、第1の実施形態によるチューブの中間区画はテーパ形状である。これにより、チューブの下側区画において所望のバフィーコート層が容易に採取され得ることが可能になる。特にチューブ内のセパレータゲルの粘度が低い場合、ピペットの先端で凝固するため、バフィーコート層内でのピペット操作は困難である場合がある。
【0025】
第3の実施形態では、前述の実施形態のいずれかによるチューブ内の複数の締結手段は、チューブをチューブラック内に固定するための、複数の長手方向に延伸するチューブリブを有する。これにより、自動処理手順中の安定性がさらに向上する。
【0026】
第4の実施形態では、チューブの中間区画の上部の外径は、上側区画の外径と実質的に等しい。中間区画の上部の内径は、上側区画の内径と実質的に等しい。
【0027】
第5の実施形態では、前述の実施形態のいずれかによるチューブにおいて、中間区画の底部の内径は、下側区画の内径と実質的に等しい。中間区画の底部の外径は、下側区画の外径と実質的に等しい。
【0028】
第6の実施形態では、前述の実施形態のいずれかによるチューブは、等距離で離間され得る複数のチューブリブを提供するという点でさらに改善される。
【0029】
第7の実施形態では、第6の実施形態によるチューブは、複数のチューブリブが互いから180°離れた2つのチューブリブからなることをさらに特徴とする。
【0030】
第8の実施形態では、前述の実施形態のいずれかによるチューブは、複数のチューブリブが中間区画および下側区画の全長に沿って延伸するという点でさらに改善される。
【0031】
第9の実施形態では、前述の実施形態のいずれかによるチューブは、上側区画の外径が、複数のチューブリブのうちの第1のチューブリブの外縁から複数のチューブリブのうちの第2のチューブリブの外縁までに及ぶ距離に実質的に等しいことをさらに特徴とする。
【0032】
第10の実施形態では、一例として、前述の実施形態のいずれかによるチューブは、チューブの中間区画の上部の内径が10.5mmであること、および/または、チューブの中間区画の底部の内径が6.5mmであること、および/またはチューブリブの厚さが2.0mmであることをさらに特徴とする。
【0033】
第11の実施形態では、前述の実施形態のいずれかによるチューブは、チューブがチューブキャップを備えることをさらに特徴とし、チューブキャップは、チューブキャップがチューブをシールするように上側区画に挿入可能であり、チューブキャップは、チューブの下側区画の下端に向かう軸方向の力に抗して保持されるように構成されており、結果、チューブが上記力によってチューブキャップから引き抜かれる。
【0034】
第12の実施形態では、第11の実施形態によるチューブは、チューブキャップがチューブキャップ本体とチューブキャッププラグとを備えるという点でさらに改善されている。チューブキャッププラグは、チューブキャッププラグがチューブをシールするように上側区画に挿入することができる。チューブキャップ本体は、上側区画の周りに配置され、チューブキャッププラグと係合するように構成することができる。チューブキャップ本体は、チューブの下側区画の下端に向かう軸方向の力に抗して保持されるように構成されており、結果、チューブを上記力によってチューブキャップから引き抜くことができる。
【0035】
第13の実施形態では、第11の実施形態または第12の実施形態によるチューブは、チューブキャップが上側区画に挿入されている真空チューブが、チューブキャップ内に穿刺された針を通してサンプルを受け取るように、チューブキャップが針によって穿刺可能であるという点においてさらに改善される。
【0036】
第14の実施形態において、第12の実施形態または第13の実施形態によるチューブは、チューブキャップ本体が実質的に円筒管の形状を有することをさらに特徴とする。このような場合、チューブキャップ本体の下側部分の内径は上側区画の外径と実質的に等しく、チューブキャップ本体の上側部分の内径はチューブキャッププラグの上側円筒バーの直径と実質的に等しい。
【0037】
第15の実施形態では、第12の実施形態から第14の実施形態のいずれかによるチューブにおいて、チューブキャップ本体は、チューブキャップおよびチューブキャッププラグと係合する少なくとも2つの円周方向突出部を備える。これにより、チューブキャップがチューブラックヘッドに固定されるとき、チューブキャップをその位置に固定されたままにすることができるため、相互汚染のリスクをさらに減らすことができる。
【0038】
第16の実施形態では、チューブキャップがチューブの上側区画に挿入された第11の実施形態から第15の実施形態のいずれかによるチューブにおいて、チューブは内容物をさらに備える。内容物は、チューブの最下部にある密度勾配媒体のボリュームを含んでもよい。密度勾配媒体のボリュームは、密度勾配媒体とチューブの最下部の上方の部分との間にゲル障壁を形成する分離ゲルのボリュームによって、チューブの最下部の上方の部分に向かって分離され得る。ゲル障壁の上方のチューブの内面は、霧状の抗凝固剤でコーティングすることができる。ゲル障壁の上方かつチューブキャップの下方のチューブの最大容積が真空にされ得る。
【0039】
第17の実施形態では、第16の実施形態によるチューブは、チューブキャップおよびチューブの内容物が滅菌されるという点でさらに改善される。例として、ガンマ線照射による滅菌を挙げることができる。
【0040】
第18の実施形態では、第16の実施形態または第17の実施形態によるチューブは、密度勾配媒体が1.01〜1.119g/ml、より好ましくは1.077〜1.083g/mlの密度を有することをさらに特徴とする。
【0041】
第19の実施形態では、第16の実施形態から第18の実施形態のいずれかによるチューブは、密度勾配媒体の体積が100〜600μl、好ましくは200〜600μl、300〜600μl、400〜600μl、500〜600μl、最も好ましくは450μlであることをさらに特徴とする。分離ゲルの体積は、35〜60μl、最も好ましくは50μlであり得る。
【0042】
第20の実施形態では、前述の実施形態のいずれかによるチューブは、プラスチック射出成形によって製造される。ただし、他の製造方法も適用できる。
【0043】
第21の実施形態では、第1の実施形態から第19の実施形態のいずれかによるチューブは、例えばガラス製である。
【0044】
さらなる実施形態では、前述の実施形態のいずれかによるチューブは、一例として、チューブの下側区画の下端でチューブを閉じるための外向きに延伸する球形端部をさらに含む。
【0045】
チューブラック
第2の態様では、第1の実施形態から第21の実施形態のいずれかによる1つまたは複数のチューブを受け入れるように構成されたチューブラックが提供される。チューブラックの第1の実施形態では、チューブラックは、1つまたは複数のチューブホルダを含むチューブラック本体を含む。チューブホルダの各々は、上記チューブのうちの1つをシームレスに受け入れる形状であり、チューブの中間区画および下側区画の外面に位置する複数の締結手段を受け入れるための受け入れ手段を含む。
【0046】
チューブラックの第2の実施形態では、チューブホルダは、複数の締結手段を受け入れるための対称軌道を含む。
【0047】
チューブラックの第3の実施形態では、前述の実施形態のいずれかによるチューブラックは、構造的剛性、および、自動内容物識別を可能にする非ノイズ背景を提供するための壁をさらに備える。
【0048】
チューブラックの第4の実施形態では、チューブラックの第3の実施形態によるチューブラックの壁は、チューブの前面を露出させる開口を備える。
【0049】
チューブラックの第5の実施形態では、前述の実施形態のいずれかによるチューブラックは、分離可能なチューブラックヘッドをさらに備え、チューブラックヘッドは、1つまたは複数のチューブホルダに対応する1つまたは複数の開口を備える。チューブホルダの各々は、分離可能なチューブラックヘッドの1つまたは複数の開口の各々の下側の対応する溝に位置整合する突出リングを備えることができる。
【0050】
チューブラックの第6の実施形態では、第5の実施形態によるチューブラック内のチューブラックヘッドは、チューブラック本体上の凹部に係合するように構成された1つまたは複数のクリッパをさらに備える。
【0051】
チューブラックの第7の実施形態において、前述の第4の実施形態から第6の実施形態のいずれかによるチューブラックは、チューブラックヘッドの1つまたは複数の開口の各々が冠状上側部分を備え、各冠状上側部分は、1つまたは複数の内側に延伸するバンプを備えることをさらに特徴とする。
【0052】
チューブラックの第8の実施形態において、前述の第4の実施形態から第7の実施形態のいずれかによるチューブラックは、チューブが、チューブキャップ本体とチューブキャッププラグとを備えるチューブキャップを備え、チューブラックヘッドがチューブの最下部とチューブラック本体の底部との間に間隙があるように、チューブキャップを捕捉するように構成されていることをさらに特徴とする。
【0053】
チューブラックの第9の実施形態において、前述の第4の実施形態から第7の実施形態のいずれかによるチューブラックは、チューブラックヘッドが、チューブの最下部がチューブラック本体の底部と接触するように、チューブキャップを捕捉するように構成されていることをさらに特徴とする。
【0054】
チューブラックの第10の実施形態において、前述の実施形態のいずれかによるチューブラックは、チューブホルダが2列以上に配列されることを特徴とする。
【0055】
サンプル濃縮を増強するための遠心分離プロセス
第3の態様では、サンプル濃縮を増強するための増強された連続2段階遠心分離方法が提供される。チューブは、好ましくは、第16の実施形態から第21の実施形態のいずれかに記載されているような構成である。さらに、前述の実施形態のいずれかによるチューブラックが、サンプル濃縮を増強するための連続2段階遠心分離方法を実行するために使用されてもよい。
【0056】
遠心分離方法は、第1の期間にわたって第1の相対遠心力(RCF)で遠心分離するステップを含む。第1のRCFは、初期の細胞分離を達成するために、チューブ内の密度勾配媒体の相対位置を変更せずに適用される。いくつかの実施形態では、第1の期間は少なくとも10分であり、好ましくは少なくとも15分である。好ましい実施形態では、第1の期間は15から20分の範囲内であり、第1のRCFは50から200RCFの範囲内であり、最も好ましくは150から200RCFの範囲内である。
【0057】
遠心分離方法はまた、遠心分離を停止することなく、第2の期間にわたって第2のRCFでさらなる遠心分離を実行することを含む。第2のRCFは、チューブ内の密度勾配媒体の相対位置を変更し得る。第2のRCFは、例えば、遠心分離を停止することなく、400〜800RCFの範囲まで、好ましくは400〜650RCFの範囲内に加速することにより実行され得る。いくつかの実施形態では、第2の期間は、少なくとも5分、好ましくは少なくとも15分であり得る。好ましい実施形態では、第2の期間は15から30分の範囲内である。
【0058】
いくつかの実施形態では、第2の期間にわたる遠心分離は、600から650RCFまで加速することにより実行される。
【0059】
自動サンプル処理
第4の態様では、本発明は、自動サンプル処理のための方法を提供する。
【0060】
自動サンプル処理方法は、特に、
a)把持部を備えるロボットを使用して、トレイから遠心分離機内の支持体に1つまたは複数のチューブを含むチューブラックを移動させるステップと、
b)上記遠心分離機において連続2段階遠心分離方法を適用するステップと、
c)上記連続2段階遠心分離方法の後、ロボットによって、クリッパがチューブラック本体を外すように、チューブラックヘッドをつかむことによってチューブラック本体からチューブラックヘッドを抜き取るステップと、
d)チューブラックヘッドの上記抜き取りの後、ロボットによって、チューブラック本体をつかむことによって遠心分離機の支持体からチューブラック本体を抜き取るステップと、
を含むことができる。
【0061】
チューブは、第16の実施形態から第21の実施形態のいずれかに従って構成されてもよく、チューブラックヘッドは、チューブラックヘッドの前述の実施形態のいずれかに従っており、遠心分離方法は、遠心分離方法についての前述の実施形態のいずれかに対応してもよい。
【0062】
製造プロセス
第5の態様では、チューブを製造する方法が提供される。製造公差が満たされていることを保証するために、調整された製造プロセスが必要になる場合がある。チューブは、例えば、高度に同心でなければならない。偏心チューブは、チューブ内に収集されるサンプルの量を変化させる可能性があり、最終的に遠心分離後の液体処理が不正確になる可能性がある。
【0063】
高度に同心のチューブは、チューブに対応する成形形態において、少なくとも2つの注入入口チャネルを配置することによって製造することができる。少なくとも2つの注入入口チャネルは、上側区画の上部の外面からの注入を可能にするために、上側区画の上部に位置する周縁の周りに等間隔で配置されてもよい。
【0064】
この方法は、使用前に密度勾配媒体の蒸発を防ぐための、真空シールおよびアルミニウムパッケージングをさらに含んでもよい。真空シールおよびアルミニウムパッケージングは収縮を防ぎ、したがって使用前にチューブの不浸透性を維持するのに役立つ。
【0065】
好ましい実施形態の詳細な説明
以下において、本発明の好ましい実施形態が、図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1図1は、本発明の例示的な実施形態によるチューブの幾何学的特徴を示すチューブの様々な図を示す。
図2図2は、本発明の例示的な実施形態によるチューブキャップを含むチューブのさらなる図を示す。
図3図3は、本発明の例示的実施形態による、チューブおよびチューブキャップを含むチューブラックの様々な図を示す。
図4図4は、本発明の例示的実施形態による、チューブおよびチューブキャップを装備したチューブラックの一部の三次元ビューにおける長手方向断面の拡大断面を示す。
図5図5は、チューブおよびチューブキャップを含むチューブラックが、チューブラックで満たされたトレイ(図の左側)から遠心分離機内に配置された支持体(図の右側)へと移動される、自動サンプル処理のための方法の第1のステップの本発明による例示的な実施形態を示し、移動は把持部を備えたロボットによって実行される。
図6図6は、本発明の例示的な実施形態による、遠心分離前の遠心分離機の様々な図を示す。遠心分離機には、チューブラックが一杯に装備されている(図5に記載および図示)。図6のセクションAおよびBは、遠心分離機に配置されたときのチューブラックの長手方向の切断の拡大断面を示している。図6のセクションAおよびBは、遠心分離前にチューブがチューブラック内で閉じられていることも示している。
図7図7は、例示的な実施形態による、本発明による連続2段階遠心分離の第2のステップ中の遠心分離機の様々な図を示す。遠心分離機には、チューブラックが一杯に装備されている(図5に記載および図示)。セクションAおよびBは、遠心分離機内で遠心分離が行われるときの、チューブラックの長手方向の切断の拡大断面を示している。図7のセクションAおよびBは、連続2段階遠心分離の第2のステップ全体を通じてチューブラック内でチューブが開かれていることも示している。
図8図8は、クリッパがチューブラック本体を外すように、チューブラックヘッド(チューブキャップを含む)がチューブラック本体(チューブを含む)から抜き取られる、本発明による自動サンプル処理のための方法の第2のステップの例示的な実施形態を示す。抜き取りは、把持部を備えたロボットによって実行される。さまざまな図が示されており、遠心分離機にはチューブラック本体が装備されており、チューブは開かれている(図7のセクションAおよびBにおいて記載および図示されている)。
図9図9は、チューブラック本体(チューブを含む)が図)の遠心分離機からトレイに移動される、本発明による自動サンプル処理の方法の第3のステップの例示的な実施形態を示す。移動は、把持部を備えたロボットによって実行される。チューブラック本体内のチューブは開いており、チューブキャップは取り外されている(図8において記載および図示されているように)。
図10図10は、自動処理全体を通してサンプルで満たされているチューブのいくつかの重要な特徴の状態に焦点を合わせた、チューブのライフサイクルの4つの(A−D)特定の段階におけるチューブの例示的な実施形態を示す。
図11図11は、チューブパッケージングの例示的な実施形態を示している。図は、組み立てられた閉状態(A)、および、部品(B、C、D)の相対的な配置を示すためのチューブ(C)を含む開状態(B、D)を示している。
【発明を実施するための形態】
【0067】
自動サンプル処理のためのチューブの例示的な実施形態
図1は、本発明によるチューブ(100)の例示的な実施形態の第1の側面図および第2の側面図、上面図ならびに三次元投影を示す。チューブの特異な形状により、血小板および白血球(すなわち、免疫細胞保有元)が自動サンプル処理のための所望の厚さに達し得ることが保証される。サンプル採取は、たとえば、CCDカメラを介した誘導によるピペット操作により簡便に実行することができ、層の位置が高精度で判定され、したがって免疫細胞保有元の可能な回収速度が最大化される。本実施形態では、チューブは、上側区画(110)、中間区画(120)、および下側区画(130)を備え、球形端部(150)によって下端に向かって閉じられている。
【0068】
上側区画(110)および下側区画(130)は、実質的に円筒形状であるように示されている。上側区画(110)は、下側区画(130)の内径よりも大きい内径を有することができ、上側区画は、下側区画の外径よりも大きい外径を有することができる。チューブの上側区画(110)と下側区画(130)との間に位置する中間区画(120)は、テーパ形状であってもよい。中間区画(120)の上部は、上側区画の底部に接続することができ、中間区画の底部は、下側区画の上部に接続することができる。中間区画の内径および外径は、チューブの中間区画の上部から底部に向かって減少し得る。
【0069】
本例ではチューブリブ(140)として示されている締結手段は、チューブの本体を安定させるために、より重要なことには、例えばラック内に配置され、遠心分離されるときにチューブを誘導および安定させるために、外面に配置される。図1に見られるように、チューブリブは、中間区画(120)および下側区画(130)に沿って延伸することが好ましい。チューブリブの配置は、互いに180°離れて対称であることが好ましく(2つのチューブリブが使用される場合)、形状は、チューブの長手方向軸に実質的に平行に延伸するような形状であってもよい。さらに、形状は、第1のチューブリブの外縁から第2のチューブリブの外縁まで及ぶ距離が、上側区画(130)の外径と実質的に等しいようなものであり得る。
【0070】
チューブは、図1に例示されるように、前述の部品から構成されてもよく、または例えば追加の締結手段などのさらなる部品をも含んでもよい。
【0071】
チューブの全高は、例えば、約4800μlの容積で100mmであり得る。チューブの上側区画の高さは、例えば25mmであってもよい。中間区画(120)の高さは16mmであってもよく、一方、球形端部(150)と合わせた下側区画(130)の高さは59mmであってもよい。1つまたは複数の容積マークがチューブ上に表示され得る。チューブは、例えば、成形または任意の他の材料および適切な製造技法によって、プラスチックまたはガラスから作成されてもよい。
【0072】
図2は、チューブキャップ(210)を含むチューブ(200)の例示的な実施形態の長手方向の切断および三次元投影を示す。チューブキャップ(210)は、チューブキャップ本体(220)とチューブキャッププラグ(230)とを備える。チューブの真空を維持することができるように、チューブキャップをチューブに締結して(図のように)チューブをシールすることができる。チューブキャップは、上側区画に挿入されたチューブキャッププラグを備えた真空チューブが、チューブキャッププラグに穿刺された針を通してサンプルを受け取ることができるように、針によって穿刺することができる。チューブキャッププラグもチューブをシールすることができる。チューブは、1つまたは複数の内容物を含み得る(この図には示されておらず、図10に示されている)。内容物は、例えば、チューブの最下部にある密度勾配媒体のボリューム(図10の(131−10)参照)を含むことができる。適切な密度勾配媒体のタイプは、パーコール、フィコール、ナイコデンツ、ハイパグ、オプティプレップ、メトリザミドなどのようなヨウ素化化合物、およびフィコール−パック、ヒストパック、ヒストプレップ、リンフォプレップなどの組み合わせ、およびシリコーン溶液などの有機溶剤を含むが、これらに限定されない。密度勾配媒体のボリューム(図10の(131−10)参照)は、密度勾配媒体とチューブの最下部の上方の部分との間にゲル障壁を形成する分離ゲルのボリューム(図10の(132−10)参照)によって、チューブの最下部の上方の部分に向かって分離され得る。ゲル障壁は、遠心分離前のサンプルおよび密度勾配媒体の混合(希釈)を防ぐために、チューブの安定した保管および輸送を促進する。一例として、密度勾配媒体は、1.01〜1.11g/ml、または1.077〜1.083g/mlの密度を有してもよい。チューブ内の密度勾配媒体の体積は、100〜600μl、好ましくは200〜600μl、300〜600μl、400〜600μl、500〜600μlであり、例えば、450μlであり得る。チューブ内の分離ゲルの体積は、35〜60μl、例えば、好ましくは50μlであり得る。ゲル障壁の上方のチューブの内面は、霧状の抗凝固剤でコーティングすることができる。ゲル障壁の上方かつチューブキャッププラグの下方のチューブの最大容積が真空にされ得る。チューブ、チューブキャップ、およびチューブの内容物は滅菌することができる。例として、ガンマ線照射による滅菌を挙げることができる。
【0073】
一実施形態では、チューブの最下部の密度勾配媒体(図10の(131−10)参照)としてシリコーン溶液が使用される。この実施形態では、ゲル障壁を形成する一切の分離ゲルの使用を控えることが可能であり得る。この場合、アプリケーション全体のコストがさらに削減される可能性がある。また、使用前に密度勾配媒体が蒸発するのを防ぐために、真空シールまたはアルミニウムパッケージング(後述)は必要ない場合がある。
【0074】
図3は、本発明の例示的な実施形態によるチューブラックを示す。チューブラック(310)は、長手方向断面図、側面図、上面図、および三次元斜視図で示されている。チューブラックは、チューブおよびチューブキャップが挿入された状態で示されている(合わせて300として参照される)。チューブラック(310)は、1つまたは複数のチューブホルダ(330)を含むチューブラック本体(320)およびチューブラックヘッドを備えることができる。チューブラックヘッド(340)は、チューブラック本体の凹部などに係合するように構成されたクリッパ(341)によってチューブラック本体(310)に固定される。各チューブホルダには、チューブラックの環境に向かってチューブの内容物を示す開口(331)がある。各チューブの開口の反対側の壁は、(例えば、レベル検出CCDカメラの)自動内容物識別のための低ノイズ背景として機能することができる。壁は、チューブラック、特にチューブラック本体の構造的剛性も提供する。
【0075】
チューブラックを長手方向に切断して示した図の一部に見られ得るように、チューブキャップを差し込んでチューブの上側区画をシールし、チューブをチューブホルダの1つに配置すると、チューブキャップはチューブの最下部とチューブラック本体の底部との間に間隙ができるようにチューブを捕捉することができる。示されている例示的な実施形態では、チューブキャップがチューブラックヘッドに載っているので、これが可能である。したがって、チューブの下側区画の下端に向かって軸方向に遠心力がかかると、チューブがチューブキャップから引き離され得る(またはその逆になる)。
【0076】
チューブがチューブキャップから引き抜かれるとき、チューブはチューブホルダ内でチューブラックの底部に向かってスライドしている。チューブのスライド運動は、チューブラック本体の対称軌道(この特徴の説明については図4を参照)によってガイドされるチューブリブによって制御される。チューブの最下部がチューブラック本体の底部に接触すると、チューブが開く。
【0077】
図4は、本発明の例示的実施形態による、チューブおよびチューブキャップ(併せて400として参照される)を装備したチューブラックの一部の三次元ビューにおける長手方向断面の拡大断面を示す。チューブキャップ(210)は、チューブ(110)の上側区画に差し込むことができる。チューブキャップ本体(220)は、チューブキャッププラグ(230)と係合するための円周方向突出部(221−4)を備えることができる。別の円周方向突出部が、チューブラックヘッド(340)、すなわちチューブラック本体(320)に抗して、すなわちチューブの下側区画の下端に向かう軸方向の遠心力に抗して、チューブキャップ本体に係合することができ、それによって、チューブをチューブキャップから引き離すことができる。チューブキャッププラグはチューブをシールすることができる。一例では、真空チューブ内の真空によってサンプルがチューブ内に引き込まれるように、チューブキャッププラグを針によって穿刺することができる。
【0078】
図4に示されるように、チューブキャップは、チューブラックヘッドの冠状上側部分(343−4)内に円滑にフィットすることができ、その中で、内側に延伸するバンプ(344−4)によって固定され得る。これによって、チューブラックヘッドが、チューブラック本体に円滑にフィットすることができる。各チューブホルダ(330)の上方の突出リング(333−4)は、チューブラックヘッド(したがってチューブ)がそれらの位置に固定されるように、チューブラックヘッドの溝(342−4)に円滑にフィットする。クリッパ(341)は、チューブラックヘッドをチューブラック本体に固定することができ、これは、たとえば、遠心分離中の相互汚染のリスクを最小限に抑えるのに役立つ。相互汚染はまた、チューブの外面の部分上に配置された締結手段によっても軽減される。これは、たとえば図1および図2にチューブリブ140として示されている。これらのチューブリブは、遠心分離中にチューブを安定させ、開かれているとき、すなわち、下向きに(チューブの下側区画の方向に)スライドしているときに、対称軌道に沿ってチューブをガイドするのに役立つ。対称軌道の上側部分を図4に示す。
【0079】
図5は、本発明による自動サンプル処理のための方法の第1のステップを示している。このステップでは、同じく本発明の例示的な実施形態で上述したタイプのものであってもよい1つまたは複数のチューブを含む、本発明の例示的な実施形態で上述したタイプのものであってもよいチューブラックが、トレイから遠心分離機の支持位置に移動される。移動は、把持部を備えたロボットによって実行される。
【0080】
図5に示すように、チューブラック(310)はチューブおよびチューブキャップを含む。把持部(530)を備えたロボットによって、チューブラックはチューブラックで満たされたトレイ(520、左側の三次元図に示す)から遠心分離機(530、右側の三次元図に示す)内に位置する支持体(540)に容易に移動される。
【0081】
図6は、本発明の例示的な実施形態による、遠心分離前の遠心分離機の様々な図を示す。遠心分離機には、図5に図示され、上述されているように、チューブラックが一杯に装備されている。図6のセクションAおよびBは、遠心分離機に配置されたときのチューブラックの長手方向の切断の拡大断面を示している。図6のセクションAおよびBは、遠心分離前にチューブがチューブラック内で閉じられていることも示している。
【0082】
より詳細には、図6のセクションAは、図3および図4に詳細があるように、遠心分離前にチューブがチューブラック内で閉じられていることを示している。チューブキャップ本体(220)は、チューブラックヘッド上に載り、円周方向突出部(221−4)によってチューブキャッププラグ(230)を保持することができる。チューブラックヘッドは、各チューブホルダの上方にある突出リング(333−4)に載せることができる。クリッパが、チューブラックヘッドをチューブラック本体に固定することができる。セクションBは、チューブの最下部とチューブラック本体の底部との間に間隙があることを示している。対称軌道(334−4)は、チューブラック(すなわち、チューブホルダ)内のチューブを安定させるためにチューブリブを受け取り、遠心分離中の開放動作をガイドすることができる。
【0083】
図7は、例示的な実施形態による、本発明による連続2段階遠心分離の第2のステップ中の遠心分離機の様々な図を示す。遠心分離機には、図5に図示され、上述されているように、チューブラックが一杯に装備されている。セクションAおよびBは、遠心分離機内で遠心分離が行われるときの、チューブラックの長手方向の切断の拡大断面を示している。図7のセクションAおよびBは、連続2段階遠心分離の第2のステップ全体を通じてチューブラック内でチューブが開かれていることも示している。
【0084】
より詳細には、図7に示すように、チューブラックは支持体内に配置される。セクションAは、シール力が遠心力よりも小さい場合、連続2段階遠心分離の第2のステップ全体を通じてチューブがチューブラックで開かれていることを示している。チューブキャップ本体(220)は、チューブラックヘッド上に載り、円周方向突出部(221−4)によってチューブキャッププラグ(230)を保持することができる。チューブキャッププラグは、チューブ(110)の上側区画から外方に移動することができる。チューブラックヘッドは、各チューブホルダの上方にある突出リング(333−4)に載せることができる。チューブキャップは、その冠状上側部分内でチューブラックヘッド(340)に固定されたままにすることができ、バンプ(図4参照)がチューブキャップをチューブラックヘッドに固定する。チューブは、球形端部(150)がチューブラックの底部で止まるまで、チューブラックの底部に向かってスライドすることができる。スライド運動は、各チューブのチューブリブ(140)を受け取る対称軌道によってガイドすることができる。
【0085】
連続2段階遠心分離は、サンプルの濃縮を増強する役割を果たし、チューブ内の細胞損失を最小限に抑える。一般に、より大きくより密度の高い粒子はより低い遠心力で沈降し、より小さくより密度の低い粒子は非常に高い遠心力で分画する。全血中の赤血球が凝集すると、一部の細胞が凝集塊に閉じ込められ、それゆえ、赤血球とともに沈殿する。細胞を閉じ込めるこの傾向は、サンプルを事前に希釈する必要のない連続2段階遠心分離方法を採用することで低減することができる。上記方法は特に、
最初の細胞分離を達成するために、チューブ内の密度勾配媒体の相対位置を変更せずに、第1の相対遠心力(RCF)で第1の期間にわたって遠心分離するステップであって、第1の期間は少なくとも10分、好ましくは少なくとも15分、最も好ましくは15〜20分の範囲内であり、第1のRCFは50〜200RCFの範囲内、最も好ましくは150〜200RCFの範囲である、遠心分離するステップと、
遠心分離を停止せずに、400〜800RCFの範囲まで、好ましくは400〜650RCFの範囲内に加速することにより、チューブ内で、分離ゲル(図10の(132−10)参照)によって形成されたゲル障壁を破壊することにより、チューブ内の密度勾配媒体(図10の(131−10)参照)の相対位置を変更するために、第2のRCFで第2の期間にわたって遠心分離するステップであって、第2の期間は少なくとも5分、好ましくは少なくとも15分、最も好ましくは15〜30分の範囲内である、遠心分離するステップと、
を含む。
【0086】
図8は、本発明による自動サンプル処理のための方法の第3のステップの例示的な実施形態を示している。上記ステップでは、上記連続2段階遠心分離方法の後、クリッパがチューブラック本体を外すようにチューブラックヘッドをつかむことにより、チューブラックヘッドがチューブラック本体から抜き取られる。これはロボットによって実行される。
【0087】
より詳細には、図8に示されるように、チューブキャップを含むチューブラックヘッドは、クリッパがチューブラック本体を外すように、チューブを含むチューブラック本体から抜き取られ得る。抜き取りは、図示された把持部を備えたロボットによって実行することができる。このステップのさまざまな図が図8に示されており、遠心分離機にはチューブラック本体が装備されており、チューブは開かれている(図7のセクションAおよびBにおいて記載および図示されている)。
【0088】
図9は、本発明による自動サンプル処理のための方法の第4のステップの例示的な実施形態を示している。上記ステップにおいて、チューブラックヘッドの上記抜き取り後、チューブラック本体をつかむことにより、チューブラック本体が遠心分離機の支持体から抜き取られる。これもロボットによって実行される。
【0089】
より詳細には、図9に示されるように、チューブを含むチューブラック本体が、遠心分離機からトレイに移動され得る。移動は、把持部を備えたロボットによって実行することができる。チューブラック本体内のチューブは開いており、チューブキャップは取り外されている(図8において記載および図示されているように)。
【0090】
図10は、自動処理全体を通してサンプルで満たされているチューブのいくつかの重要な特徴の状態に焦点を合わせた、チューブのライフサイクルの4つの(A−D)特定の段階におけるチューブの例示的な実施形態を示す。図10A〜Dのチューブには、チューブの上側区画の外面にラベルが接着、印刷、または刻印されている。図10に示される実施形態では、QRコード(登録商標)(111−10)が外面の前側に付着される。バーコードおよびRFIDラベルなどの他の識別ラベルも使用することができ、チューブの前側または後ろ側に付着することができる。ラベルに加えて、中間区画の外面上で、マーカがチューブ内のサンプルの好ましい量を示すことができることも言及すべきである。マーカは、例えば、刻印または粗研磨されてもよい。このようなマーカは、施術者へのガイダンスとして役立ち得る。
【0091】
図10Aは、静脈穿刺前のすぐに使える状態のチューブを示している。この状態では、密度勾配媒体のボリューム(131−10)は、密度勾配媒体とチューブの最下部の上方の部分との間にゲル障壁を形成する分離ゲル(132−10)のボリュームによって、チューブの最下部の上方の部分に向かって分離される。ゲル障壁の上方のチューブの内面は、霧状の抗凝固剤でコーティングされる。ゲル障壁の上方かつチューブキャッププラグの下方のチューブの容積が真空にされ得る。その後、真空チューブ内の真空によってサンプルがチューブ内に引き込まれるように、チューブキャッププラグを針によって穿刺することができる。
【0092】
図10Bは、サンプル(本事例では全血)がチューブに引き込まれたときのチューブ(200、チューブキャップが挿入されたチューブ)を示している。密度勾配媒体(131−10)は、密度勾配媒体とチューブ内のサンプルとの間にゲル障壁を形成する分離ゲル(132−10)のボリュームによって、チューブの最下部の上方のサンプルに向かって分離されたままである。この状態では、チューブは遠心分離機によって処理する準備ができている。
【0093】
図10Cは、増強された連続2段階遠心分離方法(図6図7参照)内の第1の遠心分離段階を実行した後のサンプルを含むチューブ(200、チューブキャップが挿入されたチューブ)を示している。第1の遠心分離ステップは、第1のRCFでの第1の期間にわたる遠心分離を含む。第1のRCFは、初期の細胞分離を達成するために、チューブ内の密度勾配媒体の相対位置を変更せずに適用される。全血サンプルが最初に分離されていることがわかる。さらなる処理により、サンプル成分の純度の向上を達成することが可能であり得、結果、後続のスクリーニング方法の信頼性および感度を大幅に高めることができる。この状態で、チューブは、サンプル成分の純度の上記向上を達成するために、第2のRCFでの第2の期間にわたるさらなる遠心分離を含む第2の遠心分離ステップの準備ができている。通常、第1の遠心分離ステップから第2の遠心分離ステップに移行するとき、遠心分離は停止しない。
【0094】
図10Dは、増強された連続2段階遠心分離方法(図6図7参照)内の第2の遠心分離段階を実行した後のサンプルを含むチューブ(100、チューブキャップなし)を示している。第2の遠心分離ステップは、第2のRCFでの第2の期間にわたる遠心分離を含む。第2のRCFは、チューブ(100、チューブキャップなし)からチューブキャップ(210)を分離し、ゲル障壁(132−10)の下方で密度媒体(131−10)を放出する。第1の遠心分離ステップ(図10C参照)後の最初の分離と比較して、全血サンプルがさらに分離されていることがわかる。最も重要なことには、PBMC層が十分な厚さで中間区画の下方に明瞭に見える。この状態で、チューブはさらなる処理のために遠心分離機を離れることができる。定性分析および定量分析が、第2の遠心分離ステップの終了後に達成されるサンプル成分の純度の向上を利用することができる例として挙げられる。
【0095】
図11は、チューブ(C、200、チューブキャップが挿入されたチューブ)を含む、チューブパッケージング(240−11)の組み立てられた閉状態(A)および開状態(B、D)を示している。チューブパッケージングは、第1のパッケージングシェル(241−11)と第2のパッケージングシェル(242−11)とを備えている。パッケージングシェルは、チューブにシームレスにフィットすることができる。シームレスなフィットにより、チューブを中に配置するときに、チューブパッケージング内に本質的に空気の入る余地がないことが保証される。したがって、チューブの本体にわたる液体または気体の拡散による不都合(使用前のチューブ内の密度勾配媒体の蒸発など)が最小限に抑えられ、チューブの耐久性が向上する。パッケージングシェルの内面には、チューブを、例えばまたUV照射に対して保護するためのアルミナコーティング(243−11)があり得る。例えば、パッケージングシェル(241−11、242−11)の(内部)形状にシームレスにフィットすることができる、厚さ0.2mmのアルミナ箔などのアルミナ箔を、アルミナコーティング(243−11)として使用することができる。パッケージングシェル内にチューブを配置した後、パッケージングシェルの縁部(244−11)をヒートシールすることができる。パッケージングシェルの縁部にある刻み目(245−11)は、チューブパッケージの開放を容易にする手段を提供することができる。無い場合と比較して、このような刻み目の存在は通常、ユーザーの適用体験を大幅に向上させ、傷害を軽減する。図11に示される例示的な実施形態は、単一のチューブのパッケージングシェルを示しているが、例えば、図11に示すように、各チューブが独自の独立したポケットに配置されている、8つのチューブのパッケージングシェルなど、いくつかのチューブのパッケージングシェルも可能である。使用前にチューブ内の密度勾配媒体が蒸発するのを防ぐために、チューブを真空シールし、アルミニウムパッケージにパックすることもできる。ただし、ヒートシールのための製造手順は、真空シールの手順よりも容易に自動化される。したがって、たとえ真空とヒートシールの両方を使用することができたとしても、製造コストを低く抑えることを目的とする場合、ヒートシールのみが好ましい。
【0096】
最後に、チューブの製造プロセスの好ましい実施形態について説明する。
例示的な実施形態によれば、2つの注入入口点は、チューブの上側区画の外縁に位置する。この射出成形方法により、各チューブの上部から下部への同心性が保証される。当業者によって理解されるように、例えば製造公差を別にすれば、壁の厚さは各チューブで実質的に等しい。また、この方法は、通常、底部から注入が行われる従来の方法を使用する場合によく見られるような、排気時にチューブ内の圧力にランダムに影響し得、それによって収集されるサンプルの量に影響を与える可能性がある、偏心チューブの問題も防ぐことができる。
【0097】
参照符号
100 チューブ(チューブキャップなし)
110 上側区画
111−10 ラベル(例えばQRコード)
120 中間区画
130 下側区画
131−10 密度勾配媒体
132−10 分離ゲル
140 締結手段(チューブリブ)
150 球形端部
200 チューブ(チューブキャップが挿入されている)
210 チューブキャップ
220 チューブキャップ本体
221−4 円周方向突出部
230 チューブキャッププラグ
231−4 上側円筒バー
232−4 下側円筒バー
240−11 チューブパッケージング
241−11 第1のパッケージングシェル
242−11 第2のパッケージングシェル
243−11 アルミナコーティング
244−11 (パッケージングシェルの)縁部
245−11 (パッケージングシェルの)刻み目
300 チューブラック(チューブおよびチューブキャップが挿入されている)
310 チューブラック(チューブおよびチューブキャップが挿入されていない)
320 チューブラック本体
330 チューブホルダ
331 開口
332−4 壁
333−4 突出リング
334−4 対称軌道
340 チューブラックヘッド
341 クリッパ
342−4 溝
343−4 冠状上側部分
344−4 内側に延伸するバンプ
400 チューブラック(断面、チューブおよびチューブキャップが挿入されている)
520 トレイ
530 遠心分離機
540 支持体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11