(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、患者の回復時間および健康リスクを低減するとともに、元の三尖弁の形状を維持するために、最小侵襲性カテーテルに基づく手技を用いて三尖弁逆流修復を行うための装置および方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書には、心臓組織用アンカーデバイスの様々な実施形態およびそれに関連する方法が開示されている。本文書は、最小侵襲性カテーテルに基づく手技(例えば、心臓弁縮小手術を行うための手技)の間に組織アンカーを送達して取り付けるためのデバイスおよび方法を提供する。
【0007】
実施例1において、心臓弁アンカーは、遠位部、遠位端、近位部および近位端を含む本体を含む。遠位端および近位端は長手方向軸を画定する。本体は、同本体の遠位部に第1の半径方向に拡張可能な部分と、同本体の近位部に第2の半径方向に拡張可能な部分と、第1および第2の半径方向に拡張可能な部分の間に配置された根元部(root portion)とを含む、拡張可能な部分を含む。本体は、組織貫通デバイス内に少なくとも部分的に収容されるように適合された第1の構成と、第1および第2の半径方向に拡張可能な部分が部分的または完全に拡張されて、アンカーが、同第1および第2の半径方向に拡張可能な部分の間にある領域の組織に係合する第2の構成と、を有する。
【0008】
実施例2において、第1および第2の半径方向に拡張可能な部分は、同第1および第2の半径方向に拡張可能な部分の外径が根元部の外径よりも大きくなるように半径方向に拡張するように構成されている、実施例1に記載の心臓弁アンカー。
【0009】
実施例3において、第1および第2の半径方向に拡張可能な部分は、アンカーが長手方向軸に沿って圧縮されるときに半径方向に拡張するように構成されている、実施例1または実施例2の心臓弁アンカー。
【0010】
実施例4において、アンカーが形状記憶材料を含む、実施例1〜3のいずれかの心臓弁アンカー。
実施例5において、形状記憶材料がニチノールを含む、実施例4の心臓弁アンカー。
【0011】
実施例6において、アンカーの第1および第2の半径方向に拡張可能な部分が、第1の構成から第2の構成に自己拡張するように構成されている、実施例4または実施例5の心臓弁アンカー。
【0012】
実施例7において、第1および第2の半径方向に拡張可能な部分が1つ以上の螺旋状に巻かれたワイヤを含む、実施例1〜6のいずれかの心臓弁アンカー。
実施例8において、半径方向に拡張可能な部分が、第1の直径を有する第1のワイヤと、第2の直径を有する第2のワイヤとを含む1つ以上のワイヤを含み、第1の直径は第2の直径より大きい、実施例1〜7の心臓弁アンカー。
【0013】
実施例9において、実施例7または実施例8の心臓弁アンカーは第1および第2のカプラをさらに備え、第1のカプラは、第1の半径方向に拡張可能な部分の遠位端の周りに配置されるとともに連結され、第2のカプラは、第2の半径方向に拡張可能な部分の近位端の周りに配置されるとともに連結され、第1カプラおよび第2のカプラは、前記1つまたは複数のワイヤを前記遠位端および前記近位端にそれぞれ連結する、心臓弁アンカー。
【0014】
実施例10において、第1および第2の半径方向に拡張可能な部分の各々は、同第1および第2の半径方向に拡張可能な部分が軸方向の力によって圧縮されるときに、遠位方向または近位方向において長手方向に調整されるピークを形成する、実施例1〜9のいずれかの心臓弁アンカー。
【0015】
実施例11において、第1および第2の半径方向に拡張可能な部分は、組織貫通デバイスから解放されたときに半径方向に拡張するように構成されている、実施例1〜10のいずれかの心臓弁アンカー。
【0016】
実施例12において、第1および第2の半径方向に拡張可能な部分は、第1の構成にあるときにアンカーによって画定される長手方向軸に対して所定の角度に傾斜している、実施例1〜11のいずれかの心臓弁アンカー。
【0017】
実施例13において、第1および第2の半径方向に拡張可能な部分は、第1の構成にあるときにアンカーによって画定される長手方向軸に対して約90度の角度で傾斜している、実施例1〜12のいずれかの心臓弁アンカー。
【0018】
実施例14において、プッシュロッドに着脱可能に連結された実施例1〜13のいずれかのアンカーを含むアンカーアセンブリであって、アンカーは、拡張状態でアンカーをロックするための手段をさらに含む、アンカーアセンブリ。
【0019】
実施例15において、アンカーが、拡張可能なバーブ(barbs)、ハイポチューブクラスプ(clasp)、拡張可能なステント、折りたたみ可能なプルワイヤ、可撓性インサート、および一方向クラスプのうちの1つを含むロック機構(locking feature)を含む、実施例14のアンカーアセンブリ。
【0020】
実施例16において、展開器具(deployment fixture)をさらに含む実施例14または実施例15のアンカーアセンブリであって、針送達デバイスに連結するように適合されたカプラ、プッシュロッド、およびアンカーアセンブリを含み、アンカーアセンブリは、プルワイヤに連結された実施例1に記載の心臓弁アンカーを含み、展開器具は、針送達デバイス、プッシュロッド、およびアンカーアセンブリを近位方向または遠位方向に独立して並進させてアンカーを解放するように構成されている、アンカーアセンブリ。
【0021】
実施例17において、心臓弁アンカーは、遠位部、遠位端、近位部、および近位端を含む本体を含む。本体は、そこを通る内腔を画定し、螺旋状に巻かれたワイヤを含む半径方向に拡張可能な部分と、本体の遠位部に連結された組織固定手段とを含む。
【0022】
実施例18において、半径方向に拡張可能な部分が、凹状、逆凹状、二重凹状、浮遊状、または固定のアンカー形状のうちの1つを含む、実施例17の心臓弁アンカー。
実施例19において、組織固定手段が、本体の遠位端に連結され、本体の内腔および近位端を通って延びる縫合糸を含む、実施例17または実施例18の心臓弁アンカー。
【0023】
実施例20において、本体の遠位端が組織穿刺先端部を含む実施例17〜19のいずれかの心臓弁アンカー。
複数の実施形態が開示されているが、本発明のさらに他の実施形態は、本発明の例示的な実施形態を示して説明する、以下の詳細な説明から当業者には明らかになるであろう。したがって、図面および詳細な説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。
【発明の効果】
【0024】
以上本発明によれば、最小侵襲性カテーテルに基づく手技のための心臓弁アンカーが提供できた。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1A】本明細書で提供される例示的な移植された心臓弁アンカーの概略図である。
【
図1B】本明細書で提供される例示的な移植された心臓弁アンカーの概略図である。
【
図2A】
図2Aおよび2Bは、
図1の心臓弁アンカーの2つの異なる状態における側面図である。
図2Aは、折り畳まれた展開されていない状態のアンカーを示す。
【
図2B】
図2Aおよび2Bは、
図1の心臓弁アンカーの2つの異なる状態における側面図である。
図2Bは、拡張された、展開された状態のアンカーを示す。
【
図3A】
図3A乃至3Cは、それぞれ、
図2A乃至2Cの心臓弁アンカーの、側面図、正面図および拡大横断面図であり、簡略化のためにその全ての構成要素を含んでいない。
【
図3B】
図3A乃至3Cは、それぞれ、
図2A乃至2Cの心臓弁アンカーの、側面図、正面図および拡大横断面図であり、簡略化のためにその全ての構成要素を含んでいない。
【
図3C】
図3A乃至3Cは、それぞれ、
図2A乃至2Cの心臓弁アンカーの、側面図、正面図および拡大横断面図であり、簡略化のためにその全ての構成要素を含んでいない。
【
図4】本明細書で提供される別の例示的な心臓弁アンカーの側面図である。
【
図8A】
図8A乃至
図8Gはそれぞれ、本明細書で提供される例示的な心臓弁アンカーアセンブリの遠位部の斜視図および側面図である。
図8Aは、心臓弁アンカーアセンブリの斜視図である。
図8Bは、心臓弁アンカーアセンブリの内部構成要素の側面図である。また、
図8C乃至
図8Gは、アンカーアセンブリのロック機構の様々な実施形態の側面図である。
【
図8B】
図8A乃至
図8Gはそれぞれ、本明細書で提供される例示的な心臓弁アンカーアセンブリの遠位部の斜視図および側面図である。
図8Aは、心臓弁アンカーアセンブリの斜視図である。
図8Bは、心臓弁アンカーアセンブリの内部構成要素の側面図である。また、
図8C乃至
図8Gは、アンカーアセンブリのロック機構の様々な実施形態の側面図である。
【
図8C】
図8A乃至
図8Gはそれぞれ、本明細書で提供される例示的な心臓弁アンカーアセンブリの遠位部の斜視図および側面図である。
図8Aは、心臓弁アンカーアセンブリの斜視図である。
図8Bは、心臓弁アンカーアセンブリの内部構成要素の側面図である。また、
図8C乃至
図8Gは、アンカーアセンブリのロック機構の様々な実施形態の側面図である。
【
図8D】
図8A乃至
図8Gはそれぞれ、本明細書で提供される例示的な心臓弁アンカーアセンブリの遠位部の斜視図および側面図である。
図8Aは、心臓弁アンカーアセンブリの斜視図である。
図8Bは、心臓弁アンカーアセンブリの内部構成要素の側面図である。また、
図8C乃至
図8Gは、アンカーアセンブリのロック機構の様々な実施形態の側面図である。
【
図8E】
図8A乃至
図8Gはそれぞれ、本明細書で提供される例示的な心臓弁アンカーアセンブリの遠位部の斜視図および側面図である。
図8Aは、心臓弁アンカーアセンブリの斜視図である。
図8Bは、心臓弁アンカーアセンブリの内部構成要素の側面図である。また、
図8C乃至
図8Gは、アンカーアセンブリのロック機構の様々な実施形態の側面図である。
【
図8F】
図8A乃至
図8Gはそれぞれ、本明細書で提供される例示的な心臓弁アンカーアセンブリの遠位部の斜視図および側面図である。
図8Aは、心臓弁アンカーアセンブリの斜視図である。
図8Bは、心臓弁アンカーアセンブリの内部構成要素の側面図である。また、
図8C乃至
図8Gは、アンカーアセンブリのロック機構の様々な実施形態の側面図である。
【
図8G】
図8A乃至
図8Gはそれぞれ、本明細書で提供される例示的な心臓弁アンカーアセンブリの遠位部の斜視図および側面図である。
図8Aは、心臓弁アンカーアセンブリの斜視図である。
図8Bは、心臓弁アンカーアセンブリの内部構成要素の側面図である。また、
図8C乃至
図8Gは、アンカーアセンブリのロック機構の様々な実施形態の側面図である。
【
図9】本明細書で提供される別の例示的な心臓弁アンカーアセンブリの斜視図であり、針から部分的に展開されたものとして示されている。
【
図10】本明細書で提供される別の例示的な心臓弁アンカーの斜視図であり、完全に展開された状態で示されている。
【
図11】本明細書で提供される例示的な心臓弁アンカーの側面図である。
【
図12】本明細書で提供される例示的な心臓弁アンカーの側面図である。
【
図13】本明細書で提供される例示的な心臓弁アンカーの側面図である。
【
図14】本明細書で提供される例示的な心臓弁アンカーの側面図である。
【
図15】本明細書で提供される例示的な心臓弁アンカーの側面図である。
【
図16】本明細書で提供される心臓弁組織アンカーを使用する方法のステップを提供するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、様々な修正および代替形態に従うが、特定の実施形態が図面において例として示され、以下に詳細に説明される。しかしながら、本発明は記載された特定の実施形態に発明を限定するものではない。それどころか、本発明は、添付された特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に入るすべての修正、等価物、および代替物を包含することが意図されている。
【0027】
人体には、肺動脈弁、三尖弁、大動脈弁および僧帽弁の4つの心臓弁がある。心臓弁の目的は、血液が、心臓を通り、心臓から大動脈および肺動脈などの心臓につながる主要な血管に流れることを可能にすることである。
【0028】
図1Aおよび
図1Bは、本明細書にて提供される例示的な心臓弁アンカー100で固定された、右心房30と右心室40との間に位置する三尖弁20を示す心臓10の図である。本明細書で提供される心臓弁アンカー100の実施形態は、針送達デバイスの皮下注射針(例えば、
図9に示されるような)内で送達され得る。本明細書で提供される心臓弁アンカー100は、三尖弁縮小手術を行うための最小侵襲手技法の間に、経カテーテル三尖弁縮小システムを使用することによって、患者に埋め込むことができる。本明細書で提供されるアンカー100は、心臓弁、例えば三尖弁の外科的縮小を行うために、綿撒糸および/または縫合の代わりに、またはそれと併せて使用することができる。
【0029】
本明細書で提供されるアンカー100の様々な実施形態は、第1のアンカー部120、第2のアンカー部140、およびそれらの間の連結部(図示せず)を含む。第1のアンカー部120および第2のアンカー部140は、アンカー100が組織に固定されたときに環状弁組織を所定の長さに圧縮する(固定する)ように構成されたアンカー100の拡張可能な部分である(後のセクションで詳細に説明する)。連結部は、第1のアンカー部120および第2のアンカー部140に連結され、アンカー100が環状弁組織に固定された後、アンカー100の所定のアンカー長さを維持する。
【0030】
図2A乃至
図2Bを参照すると、
図1の心臓弁アンカー100は、遠位端104と近位端106とを備えた本体102を有する。アンカー100は、折り畳まれた状態(
図2A)から拡張された状態(
図2B)にそれぞれ移行することができる。アンカー100は、遠位端104に遠位カプラ110、近位端106に近位カプラ112、および選択的に遠位カプラに連結された内側コネクタ114を含む剛体部を有する。アンカー100はまた、内側コネクタ114を覆って配置され、アンカー100の遠位端104から近位端106まで延びる拡張可能な部分116を含む。拡張可能な部分116は、編組構成で配向された複数のワイヤ130によって形成された(金属性の)ステント構造118を含む。
【0031】
遠位カプラ110および近位カプラ112は、それぞれ、拡張可能な部分116の遠位部および近位部の周りに配置された管状構造体である。カプラは、金属性ステント構造118がほどけないように同金属性ステント構造118のワイヤ130を一緒に連結するように構成されている。カプラは、複数のワイヤ130をアンカー100の遠位端104および近位端106に一緒に(例えば、溶接して)連結させることを可能にする一方でワイヤ130を損傷させる可能性を最小限にするという利点を提供する。例えば、いくつかの場合において、カプラは、ワイヤ130と同様の材料(例えば、ニチノールのような形状記憶材料)で作ることができる。
【0032】
本明細書で提供されるアンカー100のいくつかの実施形態は、遠位カプラに連結され、近位カプラに連結可能な内側コネクタ114を含むことができる。折り畳まれた状態では、内側コネクタ114は遠位カプラにロックされ、アンカー100の拡張可能な部分116が、所望のように、内側コネクタ114の上を長手方向に伸長することを可能にする。直径方向に拡張された状態では、内側コネクタ114は、(後のセクションにおける張力付与方法で説明するように)手技中に遠位カプラおよび近位カプラの両方にロックされて、カプラ間の長手方向距離、並びにアンカーの全体の長さを設定することができる。直径方向に拡張された状態では、本明細書で提供されるアンカー100は、組織を圧縮状態に固定するための一定の長手方向の長さを維持することができる。
【0033】
拡張可能な部分116は、第1の(遠位の)アンカー部(第1の拡張可能な部分と称することができる)120および第2の(近位の)アンカー部140(第2の拡張可能な部分と称することができる)を含み得る。第1のアンカー部120および第2のアンカー部140は、両アンカー部の間の領域の組織を捕捉するべく拡張するように適合される。第1のアンカー部120および第2のアンカー部140は、アンカー100が直径方向に拡張された状態であるとき、異なるまたは同様の拡張形状を有することができる。特に、
図2Bに示すように、アンカー100の第1のアンカー部120は実質的に菱形形状の形に拡張することができ、第2のアンカー部140は実質的に球根形状の形に拡張することができる。いくつかの場合において、両方のアンカー部は、実質的に菱形形状の形、実質的に球状形状の形、またはより大きく拡張されたプロファイルを有する他の形状に拡張することができる。
【0034】
本明細書で提供されるアンカー100は、針の内腔内で送達され、針の先端部から展開されるように適合される(
図16に示されるように)。アンカー100はまた、脈動する心臓の組織に起こり得る組織の損傷を低減するために、ばね様の特徴を提供するように適合される。ステント構造118の可撓性は、そうでなければアンカー100によって一緒に固定された組織を引き裂くかまたは炎症を起こすかもしれない過度の剛性および張力を低減する。いくつかの場合において、ステント構造118の個々のワイヤ130は、組織の内方成長を促進する離間された領域を作出するべく互いに離間していてもよい。
【0035】
本明細書で提供されるアンカー100は、いくつかの場合において、ステント構造118を覆って、またはステント構造118の内部に配置された布地材料(図示せず)をさらに含むことができる。布地材料は、組織の成長を促進するように適合された、ポリマー材料または生体材料などの生体適合性材料から構成されていてもよい。いくつかの場合において、布地材料は、生体吸収性材料を含むことができる。適切な布地材料には、ポリエチレングリコール(PEG)、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはそれらのブレンドなどのポリオレフィン材料、ポリエステル、ポリウレタン、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
本明細書で提供されるアンカー100は、金属、ポリマー、セラミック、またはそれらの組み合わせから作製されてもよい。いくつかの場合において、アンカー100は、1つ以上の生体適合性合金材料を含むことができる。いくつかの場合において、アンカー100は形状記憶材料を含むことができる。アンカー構成要素の適切な材料は、ニチノール、ステンレス鋼、チタン合金、白金合金、およびそれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの場合において、アンカー100は、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシブチラート(PHB)、ポリ(ブチレンスクシネート)、ポリ−ε−カプロラクトン、およびそれらの組み合わせのような生分解性材料および/または吸収性生体材料から作製されてもよい。
【0037】
図3A乃至
図3Cはそれぞれ、
図2Aおよび
図2Bに示されているが、内側コネクタ(例えば、
図2Bの内側コネクタ114を参照)を示していない、心臓弁アンカー100の側面図、正面図、及び横断面図である。これらの図面に示されたアンカー100は、遠位カプラ110、近位カプラ112、およびそれらの間に延びる拡張可能な部分116を含む。図示されたアンカー100は、アンカー100がいかなる引っ張り力または圧縮力も受けていない状態である非ストレス状態で示されている。アンカー100の拡張可能な部分116の形状は、所望により、形状記憶材料(例えば、ニチノール)で作ることができるアンカー構成要素(例えば、ステント構造118)を熱硬化する(heat setting)ことによって硬化することができる。アンカー100の拡張可能な部分116を形成する複数のワイヤ130は、アンカー100の近位端106および遠位端104において、それぞれ、近位カプラおよび遠位カプラによって共に連結される。
【0038】
図3Aに示すように、アンカー100は、組織を固定するように構成された第1のアンカー部120および第2のアンカー部140を含む。アンカー100は、第1のアンカー部120と第2のアンカー部140との間に直径が低減された領域である根元部119を含む。非ストレス状態において、
図4Aのアンカー100の第1のアンカー部120は、ほぼ菱形形状の形を有し、第2のアンカー部140はほぼ涙滴形状を有する。第1のアンカー部120および第2のアンカー部140の間の領域にある組織を保持および圧縮する根元部119に隣接して(例えば、近位に隣接して、遠位に隣接して、または両方に隣接して)より大きなプロファイルを提供する第1のアンカー部120および第2のアンカー部140について、様々な他の形状が考慮され得る。いくつかの場合において、アンカーのアンカー部120,140は、アンカー部120,140の間に組織を固定するように適合された任意の形状を含むことができる。いくつかの場合において、アンカー部120,140の少なくとも一部は、組織を固定するための平坦な表面を含むことができる。
【0039】
いくつかの場合において、第1のアンカー部120の最大直径「D1」(即ち、ピーク)は、非ストレス状態および/または直径方向に拡張した状態において、第2のアンカー部140の最大直径「D2」よりも大きいか、あるいはほぼ同等であってもよい。いくつかの場合において、第1または第2のアンカー部120,140の最大直径(例えば、D1またはD2)は、アンカー100全体の長さ「L」が減少するにつれて増加し得る。第1または第2のアンカー部120,140の最大直径(D1またはD2)は、第1および第2のアンカー部120,140のピーク位置間の距離、より具体的には、第2のアンカー部140に適用される圧縮力に依存し得る。
【0040】
本明細書で提供されるアンカー100は、(例えば、直径および長さを)任意の適切なサイズにサイズ決定することができる。例えば、いくつかの場合において、アンカー100は、約6.4mm(0.25インチ)〜約25mm(1インチ)の範囲の最大直径を(例えば、第1および/または第2のアンカー部120,140にて)有していてもよい。いくつかの場合において、アンカー100の最大直径は、約5mm〜約7mm、約7mm〜約10mm、約10mm〜約12mm、約12mm〜約15mm、約15mm〜約20mm、または約20mm〜約30mmであってもよい。いくつかの場合において、アンカー100は、約2.5mm(0.1インチ)〜約13mm(0.5インチ)の範囲の最小直径を(例えば、根元部119、または遠位または近位カプラ110,112にて)、例えば、約2.5mm〜約4mm、約4mm〜約6mm、約6mm〜約8mm、約8mm〜約10mm、または約10mm〜約13mmの範囲の最小直径を有していてもよい。
【0041】
いくつかの場合において、アンカー100は、約25mm(1インチ)〜約76mm(3インチ)の範囲の非圧縮長さを有していてもよく、例えば、約25mm〜約30mm、約30mm〜約50mm、約50mm〜約76mmの範囲の非圧縮長さを有していてもよい。いくつかの場合において、アンカーの圧縮長さは、約12.7mm(約0.5インチ)〜約51mm(2インチ)、例えば、約12.7mm〜約15mm、約15mm〜約20mm、約20mm〜約30mm、約30mm〜約40mm、または約40mm〜約51mmの範囲であってもよい。いくつかの場合において、圧縮アンカーと非圧縮アンカーとの間の長さの差は、約6.4mm(0.25インチ)〜約64mm(2.5インチ)、例えば、約6.4mm〜約10mm、約10mm〜約20mm、約20mm〜約30mm、約30mm〜約40mm、約40mm〜約50mm、または約50mm〜約64mmの範囲であってもよい。
【0042】
図4を参照すると、
図3A乃至
図3Cのアンカー100と比較して異なるステント構造を含む別の例示的な心臓弁アンカー200が本明細書で提供される。本明細書で提供されるアンカー200は、遠位カプラ210と、近位カプラ212と、拡張可能な部分216とを含む。図示されたアンカー200の拡張可能な部分216は、複数のワイヤ230を含むステント構造218を含む。以前のアンカー100と比較すると、図示されたアンカー200は、
図3A乃至3Cのアンカー100のワイヤ130の数と比較してより少ない数のワイヤ230を含む。いくつかの場合において、アンカー200のステント構造218は、約10本のワイヤ〜約50本のワイヤ(例えば、約10本のワイヤ、約12本のワイヤ、約14本のワイヤ、約16本のワイヤ、約18本のワイヤ、約20本のワイヤ、約24本のワイヤ、約26本のワイヤ、約30本のワイヤ、約40本のワイヤ、約50本のワイヤ)を含み得る。ステント構造218のワイヤの数は、アンカー200における所望の可撓性および引張強度を得るように選択することができる。ワイヤの数を増やすと、拡張可能な部分216のワイヤ230とカプラとの間の適度な溶接結合を得る可能性が増大する。
【0043】
ステント構造218のワイヤ230は、組織成長に適した所望の可撓性、構造的完全性およびステント構成を、アンカー200に提供する任意の適切な寸法にサイズ決定され得る。適切なワイヤ直径の範囲は、約0.0127mm(0.0005インチ)〜約0.127mm(0.005インチ)(例えば、約0.0127mm(0.0005インチ)〜約0.0254mm(0.001インチ)、約0.0254mm(0.001インチ)〜約0.0508mm(0.002インチ)、約0.0508mm(0.002インチ)〜約0.0762mm(0.003インチ)、約0.0762mm(0.003インチ)〜約0.102mm(0.004インチ)、または約0.102mm(0.004インチ)〜約0.127mm(0.005インチ))にわたっていてもよい。いくつかの場合において、より小さいサイズのワイヤ直径(例えば、0.0127mm(0.005インチ)〜約0.0508mm(0.002インチ))は、より大きな可撓性を有することができ、アンカー200を構成するのに使用されるより多くの数のワイヤ230を可能とすることによってアンカー200の拡張可能な部分216内の組織成長を促進するのを助ける。いくつかの場合において、より大きなサイズのワイヤ直径(例えば、0.0762mm(0.003インチ)〜約0.127mm(0.005インチ))は、増加した引張強度を備えたアンカー200を提供する。
【0044】
図5Aおよび5Bを参照すると、本明細書で提供される別の例示的な心臓弁アンカー300は、遠位端304および近位端306を有する本体302を含む。
図5Aおよび
図5Bは、アンカー300の側面図および断面側面図を提供する。アンカー300は、遠位カプラ310、近位カプラ312および拡張可能な部分316を含む。遠位および近位カプラ310のような特定の構成要素は、
図3A乃至3Cのアンカー100で説明した対応する構成要素110,112,114に類似しており、したがって、本実施形態の議論は、アンカー300の拡張可能な部分316に焦点を合わせる。アンカー300は、遠位端304から近位端部306まで延びるとともに拡張可能な部分316によって形成される環状キャビティ内に配置される内側コネクタ(図示しない;
図2Bの符号114を参照)を含む。
【0045】
アンカー300の拡張可能な部分316は、第1のアンカー部320および第2のアンカー部340と、その間のV字形の根元部319とを含む。各アンカー部は、円錐台部分322,342と円筒部分324,344とを有する外側プロファイルを含む凹状の設計を有する。各アンカー部は、アンカー300が移植されたときに、組織から離れる方向に面する凹状特徴部を形成する凹部領域326,346を形成するべくそれ自体の上に折り畳まれる1つの端部を有する。第1のアンカー部320は、遠位カプラ310に面する遠位凹部領域326を含む。第2のアンカー部340は、近位カプラ312に面する近位凹部領域346を含む。アンカー300の凹部領域326,346は、心臓が脈動している間にアンカー300の第1のアンカー部320および第2のアンカー部340の間の組織の接触を維持し、その重なり合う折り畳み部分は、拡張可能な部分316上の潜在的な細胞成長のための領域を増加させることを助ける。
【0046】
図6A乃至
図6Bを参照すると、本明細書で提供される別の例示的な心臓弁アンカー400は、遠位端404および近位端406を有する本体402を含む。
図6A、
図6B及び
図6Cは、アンカー400の側面図および断面側面図を提供する。アンカー400は、遠位カプラ410と、近位カプラ412と、拡張可能な部分416とを含む。遠位および近位カプラのような特定の構成要素は、
図3A乃至3Cのアンカー100で説明した構成要素に類似しており、したがって、本実施形態の議論は、アンカー400の拡張可能な部分416に焦点を合わせる。いくつかの場合において、アンカー400は、拡張可能な部分416によって形成された環状キャビティ内に配置された内側部材を任意に含む。
【0047】
アンカー400の拡張可能な部分416は、第1のアンカー部420および第2のアンカー部440と、それらの間の根元部419とを含む。各アンカー部は、円錐台形部分422,442および円筒形部分424,444を有する外側プロファイルを含む。各アンカー部は、それ自体の上に折り畳まれる一端を有し、アンカー400が移植されたときに、組織に向かって対面する凹状特徴部を備える逆凹状領域(reverse−concave region)426,446を形成する。第1のアンカー部420は、第2のアンカー部440に対面する遠位逆凹状領域426を含む。第2のアンカー部440は、第1のアンカー部420に対面する近位逆凹状領域446を含む。根元部419は、内側コネクタ(図示しない;例えば
図2Bの符号114を参照)の周りに配置される拡張可能な部分416の一部を含む。このように、根元部419は、実質的に円筒形であり、約0.508mm(0.020インチ)〜約1.02mm(0.040インチ)の範囲の直径を有する。アンカー400の逆凹状領域426,446は、心臓が脈動する間にアンカー400の第1のアンカー部420および第2のアンカー部440の間の組織接触を維持させる一方でその重なり合う折り畳み部分は、拡張可能な部分416において起こり得る細胞成長のための領域を増大させることを助ける。アンカー400は、拡張可能な部分516によって形成される環状キャビティ内に配置された内側コネクタ(図示しない;
図2Bの内側コネクタ114を参照)を含むことができ、内側コネクタは、アンカーが患者の体内に埋め込まれるときに、拡張可能な部分516のロックを容易にする。
【0048】
図7Aおよび
図7Bを参照すると、本明細書で提供される別の例示的な心臓弁アンカー500は、遠位端504および近位端506を有する本体502を含む。
図5Aおよび5Bは、アンカー500の側面図および断面側面図を提供する。アンカー500は、遠位カプラ510、近位カプラ512、および拡張可能な部分516を含む。遠位および近位カプラのような特定の構成要素は、
図3A乃至3Cのアンカー100で説明した構成要素に類似しており、したがって、本実施形態の議論は、アンカー500の拡張可能な部分516に焦点を当てる。様々な実施形態では、アンカー500は、後のセクションで8C乃至8Gを参照して説明されるロック機構によってロックすることができる。いくつかの場合において、アンカー500は、拡張可能な部分516によって形成された環状キャビティ内に配置された内側コネクタ(例えば、
図2Bの内側コネクタ114)を含むことができ、内側コネクタは、患者の身体に固定された場合に、拡張可能な部分516のロックを容易にする。
【0049】
アンカー500の拡張可能な部分516は、第1のアンカー部520および第2のアンカー部540と、その間のV字形の根元部519とを含む。各アンカー部は、円錐台形部分522,542、円筒形部分524,544、および球状部分528,548を有する外側プロファイルを有する。各アンカー部は、それ自体の上に折り畳まれる一端を有し、円筒形かつ球状の部分528,548の間に凹状領域526,546を形成する。例えば、第1のアンカー部520は、遠位カプラに対面する遠位凹部領域を含むことができる。第2のアンカー部540は、近位カプラに対面する近位凹部領域を含むことができる。アンカー500の凹状領域526,546および球状部分528,548は、アンカー500の拡張可能な部分516上の起こり得る細胞成長のための領域を増加させる。
【0050】
図8Aは、心臓弁アンカー600、着脱可能なプルロッド662(またはハイポチューブ)、およびプッシュロッド664を含む、本明細書で提供される例示的な心臓弁アンカーアセンブリ660の遠位部分の斜視図である。プッシュロッド664は、遠位端および近位端を有する管状の本体を有し、同本体は、プルロッドを受け入れるように構成された内腔を画定する。プッシュロッドは、内側ロッド上に摺動可能に配置することができる。プッシュロッドは、同プッシュロッドの遠位端がアンカー600の近位端606、特に近位カプラ612と嵌合するようなサイズにすることができる。プッシュロッドは、内側コネクタと組み合わせて使用される場合、アンカー600の展開時に同アンカー600に圧縮力を加えるように適合させることができる。
【0051】
図8Bは、本明細書で提供されるアンカー600内に配置され、プルロッド662に連結され得る任意の内部構成要素、例えば内側コネクタ614を示す。内側コネクタ614は、遠位部668、近位部670、および係止部672であって、同係止部672が近位カプラの近位に配置されたときにアンカー600を直径方向に拡張した状態でロックするように構成された係止部672を含む。係止部672の円錐形は、係止部672が近位カプラの管腔内を摺動することを可能にするが、その鉤状端部は、係止部672が近位カプラの内腔から引っ張られると、同係止部672が近位カプラ(例えば、
図8Aの近位カプラ)に挿入されることを回避する。プルロッド662は、アンカーの展開時に、同アンカー600を長手方向に圧縮するために、プッシュロッド664と共に使用することができる。例えば、プルロッド662は近位方向に引っ張られる一方で、プッシュロッドの位置は、アンカー600を拡張するために遠位(反対)方向に維持されるか、または前進される。いくつかの場合において、アンカー600および着脱可能な内側ロッドは一体的な構成要素である。いくつかの場合において、アンカー600と内側ロッドは、はんだ付け、接着結合、またはレーザー溶接などの結合プロセスによってともに結合される。
【0052】
内側コネクタ614は、心臓弁アンカーアセンブリ660のプルロッド662に着脱可能に連結されてもよい。特に、本明細書で提供されるアンカー600の内側コネクタ614の近位部670は、アンカー600のネック領域666において、プルロッド662から切り離されてもよい。いくつかの場合において、閾値引張力がアンカーアセンブリ606に加えられると、アンカーアセンブリ606は、アンカー600の内側コネクタ614をプルロッド662から解放するように構成することができる。
図8Bに示されるように、アンカーアセンブリ606は、アンカー600の近位部670に近接したネック領域666を含むことができる。アンカーアセンブリ660が閾値引張力を受けると、アンカー600はネック領域666にてプルロッド662から切り離されてもよい。いくつかの場合において、閾値引張力は約8.9ニュートン(N)、2ポンド力(lbf)である。いくつかの場合において、閾値引張力は、約4.5N(1lbf)〜22N(5lbf)(例えば、約4.5N(1lbf)〜約8.9N(2lbf)、約8.9N(2lbf)〜約13N(3lbf)、約13N(3lbf)〜約18N(4lbf)、または約18N(4lbf)〜約22N(5lbf))の範囲内であってもよい。
【0053】
アンカーアセンブリ606の特定の実施形態は、アンカー600の内側コネクタ614をプルロッド662から切り離すための他の手段を含むことができる。例えば、いくつかの場合において、アンカーアセンブリ606は、内側コネクタ614の近位部670とプルロッド662の遠位端に嵌合するネジ込み部分を含み得る。ねじ込み部分は、プルロッド662が内側コネクタ614に対して(例えば、時計回りに)回転されるとき、内側コネクタ614をプルロッド662から切り離すように適合され得る。いくつかの場合において、アンカーアセンブリ606は、熱を加えることによって、アンカー600の内側コネクタ614をプルロッド662から切り離すように構成された加熱要素を含み、この加熱要素は、電気、熱、または高周波源によって生成された熱の適用によってアンカーアセンブリ606の少なくとも一部を溶解する。いくつかの場合において、内側コネクタ614およびプルロッド662は、閾値軸方向負荷にさらされたときに解放されるように構成された嵌合構成要素(例えば、ソケットおよび嵌合ボール)を有する。
【0054】
図8C乃至
図8Gは、アンカーの近位端をプッシュワイヤに連結するアンカーアセンブリの代替的なロック機構の様々な実施形態を提供する。
図8C乃至
図8Gに示されるロック機構は、
図8Bに示すように、アンカーの遠位端から近位端まで延びる内側コネクタに任意に適用することができる。あるいは、ロック機構は、内側部分(近位内側部分または遠位内側部分)に含まれ得る。
【0055】
いくつかの場合において、ロック機構は、拡張可能なバーブ(
図8C)、ハイポチューブクラスプ(
図8D)、拡張可能なステント(
図8E)、折り畳み式プルワイヤ(
図8F)、可撓性インサート、或いは一方向クラスプ(例えば、
図8Bの係止部672)を含むことができ、近位カプラにて拡張可能な部分をロックするように構成される。例えば、近位カプラの内腔内にあるときに折り畳まれた状態にある拡張可能なバーブは、内側部分または内側コネクタのロック機構が近位カプラの内腔から引き出されるときに半径方向外向きに拡張する。
【0056】
図9は、針から部分的に展開されたアンカー700と共に示される、本明細書で提供される別の例示的な心臓弁アンカーアセンブリ770の斜視図である。図示されたアンカー700は、第1の(遠位)アンカー要素720、近位アンカー要素740、およびその間のコネクタ要素714を含み得る。
【0057】
遠位アンカー要素および近位アンカー要素はそれぞれ、2個、3個、または4個以上の折り畳み可能な突起(prong)750(例えば、2個、3個、4個、5個、10個、20個、30個、50個、100個または100個以上の突起)を含むことができる。各突起は、コネクタ要素に連結された第1の端部および自由な第2の端部を有する。いくつかの場合において、各突起は、アンカー700が針内腔などの組織貫通デバイスに挿入されるように、コネクタ要素によって画定される長手方向軸と整列するように構成される。直径方向に拡張された構成では、各突起はコネクタ要素に対して所定の角度をなすことができる。形状記憶材料を所望の傾斜形状に形状設定する、またはバネ、またはバネ様構成要素(例えば、弾性ポリマーチューブ)を突起750に組み込むなどの様々な方法の適用によって、各突起750を角度をなして(toward angulation)付勢することができる。いくつかの場合において、各突起は、アンカー700が直径方向に拡張された形態にある場合に、コネクタ要素に対して約90度の角度をなすことができる。いくつかの場合において、各突起は、約10度〜145度(例えば、約10度〜約30度、約30度〜約60度、約60度〜約90度、約90度〜約145度)の角度をなすことができる。
【0058】
図10は、完全に展開された状態で示された、本明細書で提供される別の例示的な心臓弁アンカー800の斜視図である。図示されたアンカー800は、遠位アンカー要素、近位アンカー要素、およびそれらの間のコネクタ要素を含む本体を有することができる。いくつかの場合において、遠位アンカー要素および近位アンカー要素は、ニチノールロッドを含むことができる。いくつかの場合において、コネクタ要素はバネを含むことができる。
【0059】
遠位アンカー要素および近位アンカー要素の各々は、1つの折りたたみ可能なT字形突起を含む。
図9のアンカー700と同様に、各突起の中心点がコネクタ要素に連結されている。折り畳まれた構成では、各突起は、アンカー本体が針内腔のような組織貫通デバイス内に挿入されるように、コネクタ要素によって画定された長手方向軸と整列させることができる。直径方向に拡張された構成では、各突起は、コネクタ要素に対して所定の角度に関節接合させることができる。
【0060】
コネクタ要素は、遠位アンカー要素と近位アンカー要素との間の弾性的な連結を提供するように構成することができる。例えば、いくつかの場合において、コネクタ要素は、コイルばねまたは弾性ポリマーセグメントを含む。コネクタ要素は、コネクタ要素に加えられる軸方向の力に依存する様々な長さを有することができる。例えば、コネクタ要素に引張力または圧縮力が加えられると、コネクタ要素は、アンカー全体の長さを約1%から約100%まで(例えば、約1%〜約5%まで、約5%〜約10%、約10%〜約20%、約20%〜約30%、約30%〜約50%、または約50%〜約100%)拡大または低減することができる。いくつかの場合において、コネクタ要素は、アンカーを、同アンカーの元の(非ストレス状態の)長さに対して、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、または100%超、伸長することができる。
【0061】
図11乃至
図15は、本明細書で提供される様々な例示的な心臓弁アンカー900,1000,1100,1200,1300の側面図である。図示されるように、様々な心臓弁アンカーの各々は、標的組織表面に対して固定することができる単一の拡張可能な部分を含むことができる。いくつかの場合において、単一の拡張可能な部分は、凹状(
図11)、逆凹状(
図12)、二重凹状(
図13)、浮上状(
図14)または固定アンカー形状(
図15)のいずれかを含む半径方向に拡張可能な部分である。心臓弁アンカーは、いくつかの実施形態において、例えばアンカーを組織に縫合するか、またはアンカーを所定の位置に保持するためにカプラ(例えば、クリップ)を使用することによって、アンカーを所与の位置に固定することによって、組織表面に対して所与の位置に固定することができる。したがって、本明細書で提供されるアンカーの様々な実施形態は、開胸手術または最小侵襲心臓手術で使用され得る縫合可能な取り付けアンカーを含む。
【0062】
図11に示されるように、本明細書で提供される心臓弁アンカー900は、遠位部、遠位端、近位部、および近位端を有する本体を含む。本体は、遠位端から近位端まで延びる内腔を画定することができる。本体は、本体の遠位部に半径方向に拡張可能な部分を含むことができる。図示されているように、
図11のアンカーは、単一の凹状の拡張可能な部分916を含む。いくつかの場合において、本体は同本体を通る内腔を画定し、螺旋状に巻かれたワイヤを含む半径方向に拡張可能な部分と、本体の遠位部に連結された組織固定手段とを含む。
【0063】
縫合糸またはワイヤは、本体の遠位端に連結され、本体の内腔および近位端を通って伸長され得る。縫合糸またはワイヤは、アンカー本体の近位端から伸長され、組織アンカーを適所に保持するために組織に固定され得る。アンカーは組織に対してアンカーを引っ張り、アンカーを組織に対してしっかりと固定するために縫合糸の結び目を結ぶ。いくつかの場合において、縫合糸の結び目は、結び目押え要素(例えば、ロッド)を用いて適所に押し込まれ得る。
【0064】
本体の遠位端は、任意に、組織穿刺先端部を含むことができる。組織穿孔先端部は、本体から遠位に延びる本体の遠位端に連結された縫合糸またはワイヤの一部から作製されてもよい。組織穿孔先端部は、アンカーの展開中にアンカーが組織を部分的または完全に貫通することを可能にする。一例では、針カテーテルデバイスが既に組織を貫通している場合、アンカーは針カテーテルデバイスから前進し、組織表面から出現するまで組織をさらに貫通することができる。別の例では、組織穿刺先端部を有するアンカーを使用して、組織表面を突き刺して組織領域全体を貫通させることによって組織を完全に貫通させることができる。
【0065】
アンカーは、任意選択にて、本明細書に記載されたロック機構を本体の近位部に含むことができる。アンカーは、任意選択にて、拡張可能なバーブ、ハイポチューブクラスプ、拡張可能なステント、折り畳み式プルワイヤ、可撓性インサート、および一方向クラスプのうちの1つを含むロック機構を含むことができる。
【0066】
図12乃至15を参照すると、本明細書で提供される心臓弁アンカー1000,1100,1200,1300の拡張可能な部分は、様々な形状の1つを含むことができる。例えば、
図12のアンカーは、組織に向かって対面するように構成された凹状特徴部を含む逆凹型の拡張可能な部分1016を有する。
図13のアンカーは、組織から離れる向きに対面するように構成された凹状特徴部の内部に拡張された球状部分を含む二重凹型設計1116を有する。
図14のアンカーは、浮動拡張可能な部分1016を有する。浮動拡張可能な部分1016は、アンカーに軸方向の力が加えられていないときに、その中心にピーク(最大直径)を形成することができるが、浮動拡張可能な部分1016のピークは、軸方向の力が拡張可能な部分に及ぼされたとき中心まで遠位または近位を形成する(form)。
図15のアンカーは、単一固定拡張可能な部分1116を含む。単一固定拡張可能な部分1316は、第1組の内側ワイヤが第2組の外側ワイヤに固定されるディスク状の拡張可能な部分1316を含む。単一固定拡張可能な部分1316は、心臓弁外科手技中に綿撒糸表面を提供するために、様々な断面形状(例えば、円形、正方形、長方形)のうちの1つで成形することができる平坦な横断領域を有する。
【0067】
図16は、本明細書で提供される心臓弁組織アンカーを使用する方法を示す図と共に一連のステップを提供するフローチャートである。使用のステップは、例えば心臓弁縮小手術を行うための手技のような、最小侵襲性のカテーテルに基づく手技の間に組織アンカーを送達して取り付けることを含むことができる。
【0068】
図16の(a)乃至(c)で明記された図は、患者の心臓内の上大静脈から下大静脈まで延びる三尖弁逆流デバイスシステムの画像を示す。このシステムは、イントロデューサ、視覚化カテーテル、および組織貫通および固定(TPA)デバイスを含む。システムの特定の構成要素(例えば、イントロデューサ)は、JAGおよびスネアワイヤーを解剖学的構造に導入した後、オーバーワイヤー法を用いて頸静脈に挿入される。イントロデューサは、視覚化カテーテルのようなシステムの他の構成要素を導入し、頸静脈を通して心臓に供給することを可能にする。視覚化カテーテルは、上大静脈から右心房に前進させ、右心房に配置することができる。視覚化カテーテルは、視覚化カテーテルの近位端に取り付けられた外部ポートを通して生理食塩水がバルーンに流入される視覚化バルーンを含むことができる。視覚化カテーテルは、視覚化バルーンが心房内に配置されて冠状静脈洞(CS)の視覚化を確立できるように操縦可能であり得る。
【0069】
イントロデューサが心臓内に配置されると、本明細書で提供されアンカーが事前に装填され、展開器具(
図17A乃至
図17Fにより詳細に説明されている)に連結された皮下針デバイスは、大腿静脈の開口を介して供給される。針デバイスは、針デバイスが心臓の右心房の入口に達するまで、ガイドワイヤーを介して下大静脈を通って前進させることができる。視覚化カテーテルのバルーンが冠状静脈洞位置に展開されている間、針デバイスは、アクチュエータ(例えば、手動または自動マイクロメータまたはダイヤル)を使用して、イントロデューサから冠状静脈洞を通って70度の角度で前進させることができる。
【0070】
図(a)を参照すると、針デバイスは、三尖弁環状組織を通って三尖弁の後弁尖の周りに貫通する(tunnel)ことができる一方で、視覚バルーン内のカメラは針に追従して医師を案内するように操作される。針は、針の遠位端が後弁尖の端部を出るまで前進することができる。針デバイスは、針の先端部が後弁尖の端部を出るまでゆっくりと後退させることができる。アンカーの近位端部のスタイレットを前進させてアンカーに押し付け、第1のアンカーヘッドの遠位部を針先端部から展開させる。
【0071】
図(b)を参照すると、針は、貫通された組織を通って引き戻され続けて、針が組織から完全に後退させられ、アンカーの残りの(近位)部分が露出される。アンカーの近位部は、アンカーの遠位部と近位部との間に貫通された組織が配置されるように展開され、直径方向に拡張され得る。アンカーを圧縮し、アンカー間の組織を圧迫し、所定の位置に固定することができる。針デバイスは、カテーテル内に完全に引き戻されて、心臓弁組織内にアンカーを残す。
【0072】
図(c)を参照すると、ロックされたアンカーを適用して、後弁膜の環状組織をプラケートし(placate)、三尖弁を減少させることができる。アンカーが所定の位置にロックされると、送達デバイスシステムの構成要素を患者の身体から取り外すことができる。針デバイスは、大腿静脈を通って身体から取り外すことができ、カテーテルおよびイントロデューサは、頸静脈を通って身体から取り外すことができる。
【0073】
図17A乃至17Fは、
図1のアンカー100であって、針デバイス1403から展開され、最終状態にロックされるアンカー100の様々な段階を示すシステム1401の一連の図を提供する。具体的には、図は、システム1403の遠位部(針デバイスの遠位部およびアンカーを含む)およびシステム1403の対応する近位部(針デバイス1403の近位端に連結された展開器具1405を含む)を示す。
【0074】
図17Aを参照すると、図示されたシステム1401の遠位部は、その内腔内に折り畳まれたアンカー100を含む針デバイス1403を含む。システムの近位部は、マルチコンポーネントカプラを含む展開器具(ハンドル)1405と、1つまたは複数の駆動軸に沿って摺動可能に配置された3つのアクチュエータ(ブロック)を含む。マルチコンポーネントカプラは、針デバイスの針軸に連結するように構成された第1のカプラと、プッシュロッドに連結するように構成された第2のカプラと、プルワイヤに連結するように構成された第3のカプラとを含む。3つのアクチュエータは、針デバイスを遠位または近位に並進させる(translate)ように適合された第1のアクチュエータ1407、プッシュロッドを遠位または近位に並進させるための第2のアクチュエータ1409、およびプルワイヤを遠位または近位に並進させるための第3のアクチュエータ1411を含む。
図17Aに示されるように、一旦システムの構成要素が展開器具1405に取り付けられると、3つのアクチュエータ1407,1409,1411のすべてを遠位方向に平行移動させて(矢印で示すように)針デバイスおよびその中に収容された構成要素(例えば、アンカー、プルワイヤ、およびプッシュロッド)を標的組織に前進させる。針デバイス1403は、イントロデューサを介する送達中にシース内に任意選択的に配置されてもよく、組織内に前進する前にシースから抜かれてもよい(unsheathed)。
【0075】
針が標的組織を完全に貫通する(fully tunneled)と、アンカー100の遠位部は、針デバイス1403の遠位先端部から露出することができる。アンカー100の遠位部は、アンカー100の近位部が針の内腔内で折り畳まれたままであるように、露出されてもよい。アンカー100は、展開器具1405の第2および第3のアクチュエータ1409,1411をほぼ等しい速度および距離で遠位方向に並進させることによって露出することができる。
【0076】
プッシュロッドを静止させたまま、プルワイヤを近位に並進させることによって、アンカー100の遠位部を直径方向に拡張することができる。プルワイヤは、第3のアクチュエータ1411を近位方向に摺動させることによって近位方向に並進させることができる。
【0077】
図17Bに示されるように、システム1401は、近位方向に3つのアクチュエータ1407,1409,1411のすべてを近位方向に並進させることによって、アンカー100の遠位部の近位表面に当接する組織を圧縮するように、近位に並進させることができる。このステップでは、組織をアンカー100の遠位部によって圧縮して、後尖のサイズを縮小する。
【0078】
図17Cに示されるように、針1403を後退させてアンカー100の近位部を露出させることができる。このステップでは、第1のアクチュエータ1407を近位方向に並進させて針1403を後退させる一方で第2および第3のアクチュエータ1409,1411を所定位置に保持する。
【0079】
図17Dに示されるように、アンカー100の遠位部と近位部との間で組織を固定するために、アンカー100の近位部は直径方向に拡張される。アンカー100の近位部は、プッシュロッドを遠位方向に並進させることによって直径方向に拡張され、したがって、圧縮力がアンカー100に適用される。プッシュロッドは、第1および第3のアクチュエータ1407,1411を静止状態に保持しながら、第2のアクチュエータ1409を近位方向に摺動可能に移動させることによって、遠位方向に並進させることができる。
【0080】
図17Eに示されるように、アンカー100は、プルワイヤからアンカー100を解放することによって、その最終位置にロックされる。いくつかの場合において、アンカー100は、プルワイヤを所定の引張力で後退させて解放することができる。例えば、約8.9N(2lbf)以上の引張力がアンカーアセンブリ(プルワイヤとアンカーを含む)に加えられる場合には、プルワイヤをアンカー100から取り外すことができる。アンカーアセンブリに引張力を加えるために、第3のアクチュエータ1411は、第1および第2のアクチュエータ1407,1409を展開器具1405内に静止して保持しながら、近位に並進させることができる。
【0081】
図17Fに示されるように、システム1401を患者の体内から取り外すことができるように、アンカー100をシステム(例えば、針及びプッシュロッド)1401から解放することができる。いくつかの場合において、プッシュロッドは、デバイス送達手技中にプッシュロッドをアンカー100に連結するC字形クラスプコネクタを含む。クラスプコネクタは、針を後退させ、針先端部の遠位にあるクラスプコネクタを露出させることによって、取り外すことができる。針の後退は、第2および第3のアクチュエータ1409,1411を静止状態に保持しながら、第1のアクチュエータ1407を近位方向に並進させることによって達成できる。プルワイヤがアンカーから取り外されているので、クラスプコネクタは、一旦針の内腔から露出すると、自動的にアンカーからアンラッチされ、組織内にアンカー100を解放する。システム1401は、必要に応じて患者の身体から引き出すことができる。
【0082】
本明細書で提供されるデバイスの1つ以上の設計特徴は、本明細書で提供される他のデバイスの他の特徴と組み合わせることができることを理解されたい。実際には、本明細書で提供される2つ以上のデバイス設計からの様々な特徴を組み合わせるハイブリッド設計を作出することができ、それは本開示の範囲内である。
【0083】
この明細書は、多くの具体的な実施の詳細を含むが、これらは、発明の範囲または請求可能な範囲を限定するものではなく、むしろ特定の発明の特定の実施形態に特有である特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態の文脈において本明細書で説明される特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実施されてもよい。逆に、単一の実施形態の文脈で記載されている様々な特徴は、複数の実施形態で別々にまたは任意の適切なサブコンビネーションで実施することもできる。さらに、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして説明されており、当初はそのように主張されているものであっても、ある場合には、請求された組み合わせからの1つ以上の特徴を組み合わせから切り出すことができ、請求された組み合わせは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形例を対象にしてもよい。
【0084】
上述の教示に向けられ、以下に特許請求されることに加えて、上述の特徴の異なる組合せを有するデバイスおよび/または方法が企図される。このように、説明はまた、以下に請求される従属的特徴の任意の他の可能な組み合わせを有する他のデバイスおよび/または方法に関する。
【0085】
デバイスおよび/または方法の構造および機能の詳細と共に様々な代替例を含む、多くの特徴および利点が前述の説明に示されている。この開示は、例示に過ぎず、網羅的なものではない。構造、材料、要素、構成要素、形状、大きさ、および本発明の原理内の組合せを含む部品の配置の事項に関して、添付された特許請求の範囲が表現されている用語の広義の一般的な意味によって示された最大限まで、様々な変更がなされ得ることは、当業者には明らかであろう。これらの様々な変更が添付された特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱しない限り、それらは本明細書に包含されることが意図される。本明細書で言及される全ての参考文献、刊行物および特許は、そこに含まれる図および図面を含み、その全体が参照により組み込まれる。