(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る飛行装置飛行制御システムの全体の概略構成の一例を示す説明図である。飛行制御システムは、飛行装置としてのドローン10を操縦するための操縦装置(以下「プロポ」という。)20と、操縦装置20側の通信装置(以下「プロポコントローラ」という。)22と、飛行装置10側の通信装置(以下「ドローンコントローラ」という。)12と、ドローン10の本体11に設けられた飛行制御装置(以下「飛行制御装置(FC)」ともいう。)110とを含む。
【0013】
操縦対象の飛行装置であるドローン10は、操縦者が搭乗しないで外部からの遠隔制御又は自律制御により飛行が制御される航空機等の移動体である。ドローン10は、例えば、トライコプター(ローター3個)、クアッドコプター(ローター4個)、ヘキサコプター(ローター6個)、オクトコプター(ローター8個)等のマルチコプター(マルチローター)型ドローンのほか、一般的なヘリコプター、固定翼型ドローンでもよい。ドローン10は、上空(大気圏外の宇宙空間を含む)を飛行して移動するものほか、地上、地中、水上、水中等を移動するものであってもよい。また、ドローン10は一般的には無人であるが、有人であってもよい。
【0014】
ドローン10は、その本体11に、前記FC110のほか、測位用GNSS受信装置、ジャイロスコープ、加速度センサ、方位センサ、気圧センサなどの各種測定装置やセンサを有してもよい。また、ドローン10は、可視光の周辺画像、赤外線、紫外線などの特定波長領域の周辺画像などを撮影する撮像手段としてのカメラを有してもよい。
【0015】
図2は、実施形態に係る飛行制御システムにおける信号及びデータの流れの一例を示すブロック図である。ドローンコントローラ12は、ドローン10のFC110を有する本体11とは別体の装置(外付装置)として本体11に装着されている。ドローンコントローラ12は、保守時や交換時に簡単に取り外しできるように本体11に対して着脱可能になっている。
【0016】
ドローンコントローラ12とドローン本体11のFC110との間の信号及びデータの送受信を行うための接続部は、コネクタなどで互いに直結するように構成してもよいし、ケーブルを介して接続するように構成してもよい。
ドローンコントローラ12とドローン本体11(FC110)との接続は無線接続で構成してもよい。
【0017】
ドローンコントローラ12は、セルラー移動通信方式(「セルラー方式」という。)を含む複数種類の無線通信方式のいずれかを介して、プロポ20のプロポコントローラ22から送信された所定フォーマットのパケットからなる遠隔制御データの送信信号を受信することができる。
【0018】
また、ドローンコントローラ12は、プロポコントローラ22から受信した遠隔制御データを所定形式の遠隔制御信号に変換し、所定の時間間隔で(例えば15ms毎に)ドローン本体11のFC110に送信する。
【0019】
また、ドローンコントローラ12は、複数種類の無線通信方式のいずれかを介して、プロポ20のプロポコントローラ22から送信された自律飛行データ(例えば、飛行ルートの位置情報の時系列データ)の送信信号を受信することができる。
【0020】
ドローンコントローラ12は、プロポコントローラ22から受信した自律飛行データをドローン本体11の自律飛行制御モジュール112に送信する。自律飛行制御モジュール112は、自律飛行制御モードが実行されているときに、自律飛行データを所定形式の自律制御信号に変換し、所定の時間間隔で(例えば15ms毎に)FC110に送信する。
【0021】
プロポコントローラ22は、プロポ20の制御信号生成部210を有する本体21とは別体の装置(外付装置)としてプロポ20に取り付けられている。プロポコントローラ22は、保守時や交換時に簡単に取り外しできるようにプロポ20に対して着脱可能になっている。
【0022】
プロポコントローラ22とプロポ本体21の制御信号生成部210との間の信号及びデータの送受信を行うための接続部は、コネクタなどで互いに直結するように構成してもよいし、ケーブルを介して接続するように構成してもよい。
プロポコントローラ22とプロポ本体21との接続は無線接続で構成してもよい。
【0023】
プロポコントローラ22は、制御信号生成部210で生成された所定形式の遠隔制御信号を、所定の時間間隔で(例えば15ms毎に)受信する。プロポコントローラ22は、プロポ20の制御信号生成部210から受信した遠隔制御信号を、所定フォーマットのパケットからなる遠隔制御データに変換し、セルラー方式を含む複数種類の無線通信方式のいずれかを介してドローンコントローラ12に送信することができる。
【0024】
また、プロポコントローラ22は、プロポ本体21の自律飛行データ記憶部212から読み出されてプロポコントローラ22から送信された自律飛行データ(例えば、飛行ルートの位置情報の時系列データ)を受信する。プロポコントローラ22は、プロポ本体21から受信した自律飛行データを所定フォーマットのパケットにして、セルラー方式を含む複数種類の無線通信方式のいずれかを介してドローンコントローラ12に送信することができる。
【0025】
プロポコントローラ22からドローンコントローラ12に遠隔制御データ及び自律飛行データそれぞれパケットを送信したとき、ドローンコントローラ12は、そのデータのパケットの受信状態を示す情報(例えば、正常に受信したことを示す「ACK」、又は受信に失敗したことを示す「NACK」)をプロポコントローラ22に送信する。この受信状態を示す情報(例えば、ACK又はNACK)は、1つのパケット毎に送信してもよいし、複数のパケット毎に送信してもよい。受信失敗を検出するため、パケットのシーケンス番号を用いてもよい。
【0026】
なお、ドローンコントローラ12とプロポコントローラ22との間の遠隔制御データ及び自律飛行データの送受信は、複数種類の無線通信方式を同時に使用して行ってもよいし、いずれか一つの無線通信方式を選択して行ってもよい。
【0027】
上記構成の飛行制御システムにおいて、前述の遠隔制御信号及び自律制御信号は、例えば、各メーカーのドローン10とプロポ20との組み合わせごとに設定された所定の信号形式を有する。遠隔制御信号及び自律制御信号は、複数種類のドローンに共通の信号形式の制御信号でもよい。また、遠隔制御信号及び自律制御信号は、S−BUS、S−BUS2、X−BUS等のデジタルの制御信号でもよいし、PWM、PPM等のアナログの制御信号でもよい。
【0028】
遠隔制御信号及び自律制御信号は、例えば、ドローン10の駆動部を構成する複数のモータ(例えばサーボモータ)それぞれの速度指令の信号であり、プロポ20の操作スティック21a,21bの操作方向及び操作量に基づいて所定時間間隔で(例えば15ms毎に)生成されて送信される。このプロポ20の操作スティック21a,21bの操作方向及び操作量に応じた制御信号により、ドローン10の高度の上下(スロットル)、前後の移動(ピッチ)、左右への移動(ロール)、方向転換(ヨー)の操作を行うことができる。
【0029】
複数種類の無線通信方式の一部であるセルラー方式は、移動通信網30に接続された基地局(例えば、eNodeB、g−NodeB等)31との間の通信経路Aを介して、ユーザ装置(UE)である移動局間で通信する方式である。セルラー方式は、3GPPの標準規格である第3世代、第4世代(例えば、LTE、LTE−Advanced、LTE−Advanced−Pro)、又は、第5世代(5G)あるいはそれ以降の世代の無線通信方式であってもよい。セルラー方式は、WiMax(商標)又はWiMax2+の無線通信方式であってもよい。
【0030】
セルラー方式で用いる周波数帯は、例えば、450〜470MHz帯、698〜862MHz帯、790〜862MHz帯、900〜960MHz帯、1.4〜1.5GHz帯、1.7〜1.8GHz帯、1.9〜2.1GHz帯、2.3〜2.4GHz帯、3.4〜3.6GHz帯である。
【0031】
セルラー方式の無線通信は、各種の多元接続技術を用いることができる。多元接続技術は、複数の移動局(本実施形態では、ドローンコントローラ12及びプロポコントローラ22)に対し互いに異なる周波数または時間または拡散符号を割り当てる周波数分割多元接続方式(FDMA:Frequency Division Multiple Access)、時分割多元接続方式(TDMA:Time Division Multiple Access)、又は、符号分割多元接続方式(CDMA:Code Division Multiple Access)であってもよい。多元接続技術は、複数の移動局それぞれに異なる基地局アンテナ指向性を割り当てる空間分割多元接続方式(SDMA)であってもよい。多元接続技術は、FDMA技術の一つして分類される直交周波数分割多重伝送(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)に基づく多元接続技術、すなわち直交周波数分割多元接続方式(OFDMA:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)と呼ばれる方式でもよい。
【0032】
また、セルラー方式の無線通信は、単独の直交多元接続(OMA)技術を用いてもよいし、FDMA、TDMA、CDMA、SDMAといった各OMA技術のうち、2つまたは3つの方式が併用されるハイブリッド型の方式、例えば、FDMAとTDMAの組合せ、FDMAとTDMAとSDMAの組合せ、といった複数のOMA技術を併用してもよい。セルラー方式の無線通信は、直交多元接続(OMA技術)に分類されるSDMAの原理に基づき複数の移動局の通信を同一周波数および同一タイミングで多重化するMU−MIMO伝送方式を用いた超高密度多元接続型の無線通信システムであってもよい。超高密度多元接続型の無線通信システムには、各移動局に割り当てられた無線リソースの一部または全体での相互干渉を許容した非直交多元接続(NoMA)技術を適用してもよい。
【0033】
また、セルラー方式の無線通信は、下りの通信と上りの通信に互いに異なる多元接続方式を用いてもよい。例えば、下りの通信にOFDMAを用い、上りの通信にFDMA(Single Carrier-FDMA)を用いてもよい。
【0034】
また、前記複数種類の無線通信方式は、直接波による見通し通信経路Bを介した近距離の無線通信方式(「近距離見通し通信方式」ともいう。)を含む。近距離見通し通信方式で用いる周波数帯は、例えば、2.4GHz帯(2.400GHz〜2.497GHz)の免許不要のISM(Industry-Science-Medical)帯である。近距離見通し通信方式の周波数帯は、5.0GHz帯、920MHz帯、429MHz帯、150MHz帯等の免許不要のISM帯であってもよい。近距離見通し通信方式は、DSSS、FHSS、DMSS、FASST、ACCST等のスペクトラム拡散通信方式であってもよい。また、近距離見通し通信方式は、IEEE802.11規格のWi−Fi(登録商標)等の無線LANで用いられる無線通信方式(以下「無線LAN方式」ともいう。)や、Bluetooth(登録商標)等の近距離用の無線通信方式であってもよい。
【0035】
なお、
図2の例は、ドローンコントローラ12及びプロポコントローラ22はそれぞれ、2種類のセルラー方式(LTE及び5G)と1種類の近距離見通し通信方式(Wi−Fi)の無線通信が可能な例である。ドローンコントローラ12は、LTE及び5Gのセルラー方式それぞれに対応した通信モジュール1211,1213と、Wi−Fiの近距離見通し通信方式に対応した通信モジュール1212とを備えている。同様に、プロポコントローラ22は、LTE及び5Gのセルラー方式それぞれに対応した通信モジュール2211,2213と、Wi−Fiの近距離見通し通信方式に対応した通信モジュール2212とを備えている。
【0036】
セルラー方式の無線通信を行う通信モジュール1211,1213,2211,2213は、例えば、移動通信の加入者識別情報や端末識別情報が割り当てられた移動局としての機能を有する通信モジュールである。通信モジュール1211,1213,2211,2213は、前記移動局としての機能を有するスマホ等のユーザ装置であってもよい。
【0037】
図3は、実施形態に係る飛行装置側の通信装置であるドローンコントローラ12の一例を示す機能ブロック図である。ドローンコントローラ12は、複数種類の無線通信方式それぞれに対応する複数組の遠隔制御データ受信部121及び遠隔制御データ処理部122と、無線通信方式切替制御部123とを備える。
複数の遠隔制御データ受信部121はそれぞれ、対応する無線通信方式を介してプロポコントローラ22から送信されてきた遠隔制御データの送信信号を受信し、復調処理及び復号化処理を行って遠隔制御データのパケットを出力する。
【0038】
複数の遠隔制御データ処理部122はそれぞれ、対応する遠隔制御データ受信部121から受けた複数のパケットを所定の順番に組み替えて元の遠隔制御データを生成し、その遠隔制御データを所定形式の遠隔制御信号に変換する。
【0039】
無線通信方式切替制御部123は、外部入力又は通信品質測定情報等に基づいて、遠隔制御データ受信部121及び遠隔制御データ処理部122を切り替える制御を行う。
【0040】
また、ドローンコントローラ12は、自律飛行データ受信部124と自律飛行データ処理部125とを備える。
自律飛行データ受信部124は、所定の無線通信方式を介してプロポコントローラ22から送信されてきた自律飛行データの送信信号を受信し、復調処理及び復号化処理を行って自律飛行データのパケットを出力する。
【0041】
自律飛行データ処理部125は、自律飛行データ受信部124から受けた複数のパケットを所定の順番に組み替えて元の自律飛行データを生成するように処理する。また、自律飛行データ処理部125は、例えば、自律飛行データ受信部124から受けた複数のパケットを所定の順番に組み替えて元の自律飛行データを生成した後、その自律飛行データをいったん記憶し、自律飛行データから各飛行目標位置のデータセットを順次読み出して所定形式の自律制御信号に変換するように処理してもよい。
【0042】
なお、本実施形態において、ドローンコントローラ12において自律飛行データの無線通信方式としてセルラー方式を選択しているときは、プロポコントローラ22から自律飛行データを受信できるだけでなく、他の移動局(UE)やパソコンやサーバなどからインターネットを介して自律飛行データを受信できる。
【0043】
また、ドローンコントローラ12は、制御モード切替判定部126と制御モード切替(スイッチ)部127と送信部128とデータ記憶部129とを備える。
制御モード切替判定部126は、プロポ20による外部入力の有無又は通信品質測定情報等に基づいてマニュアル飛行制御モード(遠隔飛行制御モード)及び自律飛行制御モードの切替を判定し、その判定結果に基づいて遠隔制御データ処理部122及び自律飛行データ処理部125から送信部128への経路を切り替えるように制御モード切替部127を制御する。この制御により、例えば、マニュアル飛行制御モードの選択時には遠隔制御データ処理部122からの遠隔制御信号が送信部128に伝達され、自律飛行制御モードの選択時には自律飛行データ処理部125からの自律飛行データが送信部128に伝達される。
【0044】
送信部128は、制御モードに応じて制御モード切替部127を通過した遠隔制御信号、自律制御信号又は自律飛行データを、ドローン本体11のFC110又は自律飛行制御モジュール112に送信する。
【0045】
また、ドローンコントローラ12は、受信状態判定部130と受信状態送信部131とを備える。
受信状態判定部130は、飛行制御情報としての遠隔制御データのパケットの受信状態を判定し、受信状態送信部131は、その判定結果である遠隔制御データのパケットの受信状態の情報(例えば、ACK又はNACK)を、当該パケットに対する応答信号として、無線通信を介してプロポコントローラ22に送信する。
また、受信状態判定部130は、飛行制御情報としての自律飛行データのパケットの受信状態を判定し、受信状態送信部131は、その判定結果である自律飛行データのパケットの受信状態の情報(例えば、ACK又はNACK)を、当該パケットに対する応答信号として、無線通信を介してプロポコントローラ22に送信する。
【0046】
遠隔制御データ処理部122、自律飛行データ処理部125、送信部128及び受信状態判定部130のログデータは、データ記憶部129に記録される。
【0047】
図4は、実施形態に係る操縦装置側の通信装置であるプロポコントローラ22の一例を示す機能ブロック図である。プロポコントローラ22は、複数種類の無線通信方式それぞれに対応する複数組の遠隔制御データ送信部221及び遠隔制御データ処理部222と、無線通信方式切替制御部223とを備える。
複数の遠隔制御データ送信部221はそれぞれ、遠隔制御データのパケットに対して所定の符号化処理及び変調処理を行って送信信号を生成し、対応する無線通信方式を介してドローンコントローラ12に送信する。
【0048】
複数の遠隔制御信号処理部222はそれぞれ、プロポ20から受信した所定形式の遠隔制御信号を遠隔制御データに変換し、その遠隔制御データを所定フォーマットのパケットにして遠隔制御データ送信部221に渡す。
【0049】
無線通信方式切替制御部223は、外部入力又は通信品質測定情報等に基づいて、遠隔制御データ送信部221及び遠隔制御信号処理部222を切り替える制御を行う。
【0050】
また、プロポコントローラ22は、自律飛行データ送信部224と自律飛行データ処理部225とを備える。自律飛行データ送信部224は、自律飛行データのパケットに対して所定の符号化処理及び変調処理を行って送信信号を生成し、対応する無線通信方式を介してドローンコントローラ12に送信する。
【0051】
自律飛行データ処理部225は、プロポ20から受信した自律飛行データを所定フォーマットのパケットにして自律飛行データ送信部224に渡す。
【0052】
また、プロポコントローラ22は、制御モード切替判定部126と制御モード切替(スイッチ)部227と受信部228とデータ記憶部229とを備える。
制御モード切替判定部226は、プロポ20による外部入力の有無又は通信品質測定情報等に基づいてマニュアル飛行制御モード(遠隔飛行制御モード)及び自律飛行制御モードの切替を判定し、その判定結果に基づいて受信部228から遠隔制御信号処理部222及び自律飛行データ処理部225への経路を切り替えるように制御モード切替部227を制御する。この制御により、例えば、マニュアル飛行制御モードの選択時には受信部228からの遠隔制御信号が遠隔制御信号処理部222に伝達され、自律飛行制御モードの選択時には受信部228からの自律飛行データが自律飛行データ処理部125に伝達される。
【0053】
受信部228は、遠隔制御信号又は自律飛行データをプロポ20から受信して制御モード切替部127に渡す。
【0054】
遠隔制御信号処理部222、自律飛行データ処理部225、受信部228及び情報出力部230のログデータは、データ記憶部229に記録される。
【0055】
更に、プロポコントローラ22は、受信状態受信部231と情報出力部230とを備える。受信状態受信部231は、遠隔制御データのパケットの受信状態の情報(例えば、ACK又はNACK)を応答信号としてドローンコントローラ12から受信する。また、受信状態受信部231は、自律飛行データのパケットの受信状態の情報(例えば、ACK又はNACK)を応答信号としてドローンコントローラ12から受信する。
【0056】
情報出力部230は、受信状態受信部231で受信した遠隔制御データ及び自律飛行データそれぞれのパケットの受信状態の情報(例えば、ACK又はNACK)を出力することにより、受信状態の情報を操縦者に通知することができる。出力する情報は、ドローンコントローラ12から受信した受信状態の情報に基づいて生成したメッセージ情報(例えば、ドローン10へのデータ送信に連続して失敗した旨のメッセージ、通信異常が発生している旨のメッセージ)であってもよい。また、この情報の出力は、例えば、ディスプレイへの画像表示、音声出力、又は、所定の通知先(例えば、操縦者が所有する移動局としてのスマホ等のユーザ装置)への送信であってもよい。情報出力部230は、プロポ本体21側に設けてもよい。
【0057】
図5は、実施形態に係る飛行制御システムにおけるマニュアル飛行制御の一例を示すフローチャートである。
図5のマニュアル飛行制御は、操縦者がプロポ20を操作してドローンの飛行を制御するものであり、プロポコントローラ22の制御ブロックS100とドローンコントローラ12の制御ブロックS110とを含む。
【0058】
図5の制御ブロックS100において、操縦者によるプロポ20の操作スティック21a,21bの操作方向及び操作量に基づいて独自形式の遠隔制御信号が所定の時間間隔で(例えば15ms毎に)プロポ本体21の制御信号生成部210で生成されると、プロポコントローラ22は、その遠隔制御信号の生成タイミングごとに、制御信号生成部210から出力された遠隔制御信号を受信し(S101)、その遠隔制御信号を所定フォーマットの遠隔制御データの一つ又は複数のパケットに変換する(S102)。プロポコントローラ22は、複数種類の無線通信方式から予め選択されて設定されている所定の無線通信方式により、変換後の遠隔制御データのパケットをドローンコントローラ12に送信する(S103)。
【0059】
図5の制御ブロックS110において、ドローンコントローラ12は、複数種類の無線通信方式から予め選択されて設定されているプロポ側と同じ所定の無線通信方式により、遠隔制御データの一つ又は複数のパケットをプロポコントローラ22から受信する(S111)。この受信の際に、ドローンコントローラ12は、遠隔制御データのパケットそれぞれについて、遠隔制御データのパケットの受信状態の情報を応答信号としてプロポコントローラ22にフィードバック送信する。例えば、遠隔制御データのパケットの受信に成功したときは肯定応答である「ACK」がフィードバック送信され、遠隔制御データのパケットの受信に失敗したときは否定応答である「NACK」がフィードバック送信される。また、シーケンス番号に欠番があったとき、「NACK」がフィードバック送信される。
【0060】
ドローンコントローラ12は、遠隔制御データの複数のパケットの受信に成功したとき、プロポコントローラ22から受信した複数のパケットを所定の順番に組み替えて元の遠隔制御データを生成するパケット順序制御を行い(S112)、その遠隔制御データを、当該プロポ20及びドローン10の組み合わせに対応する独自形式の遠隔制御信号に変換する(S113)。ドローンコントローラ12は、変換後の遠隔制御信号を所定の時間間隔で(例えば15ms毎に)ドローン本体11のFC110に送信する(S114)。FC110は、受信した遠隔制御信号に基づいて駆動部のモータの回転を制御する。
【0061】
図6は、実施形態に係る飛行制御システムにおける自律飛行制御の一例を示すフローチャートである。
図6の自律飛行制御は、操縦者によるプロポ20の操作によらずに、予め記憶されている自律飛行データに基づいてドローン10が自律的に飛行を制御するものであり、プロポコントローラ22の制御ブロックS200とドローンコントローラ12の制御ブロックS210とドローン本体11の制御ブロック220とを含む。
【0062】
図6の制御ブロックS200において、操縦者によるプロポ20の操作に基づいて、任意のタイミングに自律飛行データ記憶部212から自律飛行データが読み出されると、プロポコントローラ22は、その自律飛行データをプロポ本体21から受信し(S101)、データ記憶部229にいったん格納する(S202)。プロポコントローラ22は、複数種類の無線通信方式から予め選択されて設定されている所定の無線通信方式により、データ記憶部229の自律飛行データのパケットをドローンコントローラ12に送信する(S203)。
【0063】
図6の制御ブロックS210において、ドローンコントローラ12は、複数種類の無線通信方式から予め選択されて設定されているプロポ側と同じ所定の無線通信方式により、自律飛行データの一つ又は複数のパケットをプロポコントローラ22から受信する(S211)。この受信の際に、ドローンコントローラ12は、自律飛行データのパケットそれぞれについて、自律飛行データのパケットの受信状態の情報を応答信号としてプロポコントローラ22にフィードバック送信する。例えば、自律飛行データのパケットの受信に成功したときは肯定応答である「ACK」がフィードバック送信され、自律飛行データのパケットの受信に失敗したときは否定応答である「NACK」がフィードバック送信される。また、受信パケットのシーケンス番号に欠番があったとき、「NACK」がフィードバック送信される。
【0064】
ドローンコントローラ12は、自律飛行データの複数のパケットの受信に成功したとき、プロポコントローラ22から受信した複数のパケットを所定の順番に組み替えて元の自律飛行データを生成するパケット順序制御を行い(S212)、その自律飛行制御データをデータ記憶部に格納するとともに、ドローン本体11に送信する(S213)。ドローン本体11は、ドローンコントローラ12から受信した自律飛行データを、自律飛行制御モジュール112内のメモリ等のデータ記憶部に格納する。
【0065】
次に、
図6の制御ブロックS220において、ドローン本体11の自律飛行制御モジュール112は、飛行制御モードが自律飛行制御モードに切り替えられると、自律飛行データのデータセットを順次読み出し(S221)、そのデータセットから、当該プロポ20及びドローン10の組み合わせに対応する独自形式の自律制御信号を生成する(S222)。例えば、前記データセットは、経時的に設定されたドローン10の目標位置情報(例えば、緯度、経度及び高度の情報)である。自律飛行制御モジュール112は、前記目標位置情報と前述のGNSS受信装置の出力などによって取得された現在位置情報との比較結果に基づいて独自形式の自律制御信号を生成する。自律飛行制御モジュール112は、生成した自律制御信号を所定の時間間隔で(例えば15ms毎に)FC110に送信する(S223)。FC110は、受信した自律制御信号に基づいて駆動部のモータの回転を制御する。
【0066】
図7は、実施形態に係る飛行制御システムにおける自律飛行制御の他の例を示すフローチャートである。
図7の例は、ドローンコントローラ12内で自律制御信号を生成してドローン本体11のFC110に送信する例である。なお、
図7において、
図6と共通する部分(S200、S231,S232)については、説明を省略する。
【0067】
図7の制御ブロックS230において、ドローンコントローラ12は、自律飛行データを生成するパケット順序制御を行った後、その自律飛行制御データをデータ記憶部に格納する(S233)。次に、ドローンコントローラ12は、自律飛行データのデータセットを順次読み出し(S234)、そのデータセットから、当該プロポ20及びドローン10の組み合わせに対応する独自形式の自律制御信号を生成する(S235)。ドローンコントローラ12は、生成した自律制御信号を所定の時間間隔で(例えば15ms毎に)ドローン本体11のFC110に送信する(S226)。FC110は、受信した自律制御信号に基づいて駆動部のモータの回転を制御する。
【0068】
図8は、実施形態に係る飛行制御システムにおける飛行制御モードの切替制御の一例を示すフローチャートである。
図8は、飛行制御システムの飛行制御モードがマニュアル飛行制御モード(遠隔飛行制御モード)に初期設定されている例である(S301)。
【0069】
図8において、プロポコントローラ22とドローンコントローラ12との間で通信が行われ、プロポコントローラ22からドローンコントローラ12にデータが送信される(S302)。この送信データは、例えば、前述の遠隔制御データ又は自律飛行データである。送信データは、プロポ20を操作して外部入力された、飛行制御モード切替指示のデータを含んでもよい。
【0070】
飛行制御モード切替指示のデータは、例えば、プロポ20又はプロポコントローラ22の操作による外部入力に基づいて生成することができる。プロポ20からドローン10を遠隔的に制御するマニュアル飛行制御モード(遠隔飛行制御モード)と自律飛行データを用いた自律飛行制御モードとの間で飛行制御モードを切り替える操作を行うための制御モード切替操作部は、プロポ20及びプロポコントローラ22の少なくとも一方に設けてもよい。
【0071】
ドローンコントローラ12は、プロポコントローラ22から受信したデータに、飛行制御モード切替指示の外部入力のデータを含むか否かを判断し(S303)、飛行制御モード切替指示の外部入力があった場合(S303でYES)、飛行制御モードを自律飛行制御モードに切り替え(S305)、前述の
図6又は
図7の自律飛行制御を実行する。
【0072】
また、ドローンコントローラ12は、飛行制御モード切替指示の外部入力がない場合(S303でNO)、プロポコントローラ22との通信に通信異常があるか否かを更に判断し(S304)、通信異常を検知した場合(S304でYES)、飛行制御モードを自律飛行制御モードに切り替え(S305)、前述の
図6又は
図7の自律飛行制御を実行する。
【0073】
図9は、実施形態に係る飛行制御システムにおける無線通信方式の切替制御の一例を示すフローチャートである。
図9は、飛行制御システムの無線通信方式が近距離見通し通信方式に初期設定されている例である(S401)。
【0074】
図9において、プロポコントローラ22とドローンコントローラ12との間で通信が行われ、プロポコントローラ22からドローンコントローラ12にデータが送信される(S402)。この送信データは、例えば、前述の遠隔制御データ又は自律飛行データである。送信データは、無線通信方式切替指示のデータを含んでもよい。
【0075】
無線通信方式切替指示のデータは、例えば、プロポ20又はプロポコントローラ22の操作による外部入力に基づいて生成することができる。遠隔制御データ又は自律飛行データの送受信に用いる無線通信方式を切り替える操作を行うための無線通信方式切替操作部は、プロポ20及びプロポコントローラ22の少なくとも一方に設けてもよい。
【0076】
ドローンコントローラ12は、プロポコントローラ22から受信したデータに、無線通信方式切替指示の外部入力のデータを含むか否かを判断し(S403)、無線通信方式切替指示の外部入力があった場合(S403でYES)、プロポコントローラ22との無線通信方式をセルラー方式(LTE又は5G)に切り替える(S405)。
【0077】
また、ドローンコントローラ12は、無線通信方式切替指示の外部入力がない場合(S403でNO)、プロポコントローラ22との通信に通信異常があるか否かを更に判断し(S404)、通信異常を検知した場合(S404でYES)、無線通信方式をセルラー方式(LTE又は5G)に切り替える(405)。
【0078】
図10は、実施形態に係る飛行制御システムにおける飛行制御情報の受信状態のフィードバック制御の一例を示すフローチャートである。
図10において、まず、プロポコントローラ22は本制御に用いるカウンタをリセットする(S501)。その後、プロポコントローラ22からドローンコントローラ12にデータが送信され(S502)、その受信状態を示す情報(「ACK」又は「NACK」)がドローンコントローラ12からプロポコントローラ22にフィードバックされる(S503)。このプロポコントローラ22にフィードバックされた受信状態情報が受信に失敗したことを示す否定応答(NACK)である場合(S504でYES)、プロポコントローラ22はカウンタの値を1つ増加させるカウントアップを行う(S505)。一方、プロポコントローラ22にフィードバックされた受信状態情報が受信に失敗したことを示す否定応答(NACK)ではない場合、すなわち受信状態情報が受信に成功したことを示す肯定応答(ACK)である場合(S504でNO)は、カウンタをリセットし(S506)、ステップ502に戻る。
【0079】
プロポコントローラ22は、上記否定応答(NACK)を連続して受信した回数を示すカウンタ(以下「NACK受信カウンタ」ともいう。)の値が所定の閾値よりも大きくなったとき(S507)、画像表示又は音声などの情報出力により、ドローン10へのデータ送信に連続して失敗した旨を操縦者に通知する(S508)。ドローン10へのデータ送信に連続して失敗した旨を画像表示又は音声などで出力するディスプレイやスピーカなどの情報出力部230は、プロポ本体21及びプロポコントローラ22の少なくとも一方に設けることができる。なお、ドローン10へのデータ送信に連続して失敗した旨は、プロポ操縦者が所有する移動局としてのスマホ等のユーザ装置で起動しているアプリに通知してもよい。
【0080】
通知を受けた操縦者は、ドローン10との間の無線通信方式の切替(例えばマニュアル飛行制御からセルラー方式への切替)又はドローン10の飛行制御モードの切替(例えばマニュアル飛行制御から自律飛行制御への切替)を指示するようにプロポ20を操作することができる。
【0081】
また、NACK受信カウンタの値が閾値を超えた場合、操縦者への通知のほか、所定時間が経過した後、自動的に通信異常処理プロセスに遷移する(S509)。
【0082】
以上、本実施形態によれば、セルラー方式を含む複数種類の無線通信方式によりプロポ20と無線通信可能なドローンコントローラ12を外付けの別装置として備えることにより、ドローン本体11に通信モジュールを追加する構成変更を行うことなく、セルラー方式を含む複数種類の無線通信方式を切り替えてプロポ20から遠隔制御データや自律飛行データを受信することができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、セルラー方式を含む複数種類の無線通信方式によりドローン10と無線通信可能なプロポコントローラ22を外付けの別装置として備えることにより、プロポ本体21に通信モジュールを追加する構成変更を行うことなく、セルラー方式を含む複数種類の無線通信方式を切り替えてドローン10に遠隔制御データや自律飛行データを送信することができる。
【0084】
また、本実施形態によれば、プロポコントローラ22からドローンコントローラ12に遠隔制御データや自律飛行データなどの飛行制御情報を送信したとき、プロポコントローラ22は、その飛行制御情報の受信状態を示す受信状態情報をドローンコントローラ12から受信して出力することができる。よって、プロポ20から送信した遠隔制御データや自律飛行データ等の飛行制御情報がドローン10に正常に届いているか否かをプロポ20側で確認することができる。また、飛行制御情報がドローン10に正常に届いていない場合は、操縦者がプロポ20を操作することにより制御モード切替又は通信方式切替の処理を行うことができる。操縦者が対応しない場合、通信異常処理プロセスを自動実行するようにしてもよい。
【0085】
なお、本実施形態の飛行制御システムでは、ドローンコントローラ12及びプロポコントローラ22の両方を備えているが、ドローンコントローラ12及びプロポコントローラ22のいずれか一方のみを備えてもよい。例えば、本実施形態の飛行制御システムにおいて、ドローン10側にドローンコントローラ12を設け、プロポ20側にプロポコントローラ22を設けない構成とし、プロポコントローラ22のないプロポ20を操作し、ドローンコントローラ12を介してドローン10を制御するようにしてもよい。
【0086】
また、本実施形態のドローンコントローラ12は、複数種類のドローン10及びプロポ20の組み合わせに対応するように構成し、ドローンコントローラ12を介して複数種類のドローン10の飛行制御を行うことができるようにしてもよい。
【0087】
なお、本明細書で説明された処理工程並びに飛行装置の飛行制御システム及び通信装置の構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0088】
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、eNode B、端末、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0089】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、FLASHメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0090】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2つ以上が混在したものであってもよい。
【0091】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。