特許第6989672号(P6989672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989672
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】車輪付き搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20211220BHJP
   B62B 9/12 20060101ALI20211220BHJP
   B62B 9/20 20060101ALI20211220BHJP
   B60B 33/00 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   B62B5/00 J
   B62B9/12 Z
   B62B9/20
   B60B33/00 F
   B60B33/00 V
   B60B33/00 U
【請求項の数】23
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-151702(P2020-151702)
(22)【出願日】2020年9月10日
(65)【公開番号】特開2021-41921(P2021-41921A)
(43)【公開日】2021年3月18日
【審査請求日】2020年11月6日
(31)【優先権主張番号】201910858955.3
(32)【優先日】2019年9月11日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】202010370191.6
(32)【優先日】2020年4月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517042092
【氏名又は名称】ワンダーランド スイツァーランド アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】郭 征文
(72)【発明者】
【氏名】汪 爾學
(72)【発明者】
【氏名】胡 守鋒
(72)【発明者】
【氏名】孫 明星
(72)【発明者】
【氏名】陰 洪濤
【審査官】 金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2018/0065655(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0043730(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02946985(EP,A1)
【文献】 特開2002−284015(JP,A)
【文献】 特開2019−131025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 5/00
B62B 9/12
B62B 9/20
B60B 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枢軸的に互いに結合されているスタンドフレーム及びハンドルフレームであり、ハンドルフレームは、傾斜の異なる第1位置と第2位置との間でスタンドフレームに対して回転可能である、スタンドフレーム及びハンドルフレームと、
第1車輪を支持し、前記スタンドフレームに枢軸的に接続されている第1車輪マウントであり、前記第1車輪は、第1車輪軸線の周りに第1車輪マウントに対して回転可能である、第1車輪マウントと、
前記スタンドフレームに可動に接続された第1車輪マウントラッチを含むロック組立体であり、前記第1車輪マウントラッチは、前記第1車輪マウントと係合して、これにより前記スタンドフレームに対して前記第1車輪マウントを回転ロックすることに適合し、また、前記第1車輪マウントから係合解除して、これにより前記第1車輪マウントをロック解除することに適合していて、前記第1車輪軸線の姿勢を変更するために前記スタンドフレームに対して前記第1車輪マウントを回転可能にする、ロック組立体と、
前記ハンドルフレームに支持された操作部を含む解除機構を備え
前記解除機構は、
前記ハンドルフレームが前記第1位置にあるときに、前記操作部を前記第1車輪マウントラッチに結合させ、したがって、前記操作部が、前記第1車輪マウントラッチを前記第1車輪マウントから係合解除させように成されておりかつ、
前記ハンドルフレームが前記第2位置にあるときに、記操作部前記第1車輪マウントラッチから結合解除さるように構成されている
輪付き搬送装置。
【請求項2】
前記解除機構は、
前記スタンドフレームに可動に接続されているリンク作動部と、
前記第1車輪マウントラッチを前記リンク作動部に結合する第1リンク部と、
前記ハンドルフレームに可動に接続されている駆動部と、
前記駆動部を前記操作部に結合する第2リンク部とを備え、
前記ハンドルフレームが前記第1位置にあるときに、前記駆動部は前記リンク作動部と隣接して位置し、前記ハンドルフレームが前記第2位置にあるときに、前記駆動部は前記リンク作動部から離れて変位し、
前記ハンドルフレームが前記第1位置にあるときに、前記駆動部と前記リンク作動部との接触を介して、前記操作部は、前記第1車輪マウントラッチが前記第1車輪マウントから係合解除するように作動可能である請求項1記載の車輪付き搬送装置。
【請求項3】
前記第1リンク部及び前記第2リンク部のうち任意の一つがケーブルを有する請求項2記載の車輪付き搬送装置。
【請求項4】
前記第1リンク部はプーリーに架け渡されループになっている請求項2又は3記載の車輪付き搬送装置。
【請求項5】
前記リンク作動部はバネによって接続され、前記バネは、前記駆動部と接触する前記リンク作動部を付勢する方向に前記リンク作動部をバイアスする請求項2,3又は4記載の車輪付き搬送装置。
【請求項6】
前記駆動部は、前記ハンドルフレームにスライド可能に接続されている請求項2ないし5のいずれか1項に記載の車輪付き搬送装置。
【請求項7】
前記スタンドフレームは、前記ハンドルフレームに枢軸的に接続されているキャリアバーを含み、前記リンク作動部は、前記キャリアバーに可動に接続され、前記キャリアバーに支持されている請求項2ないし6のいずれか1項に記載の車輪付き搬送装置。
【請求項8】
第2車輪を支持し、前記スタンドフレームに枢軸的に接続されている第2車輪マウントであり、前記第2車輪は、第2車輪マウントに対して第2車輪軸線の周りに回転可能であり、第1及び第2車輪マウントは、後から前へ伸びる車輪付き搬送装置の長手方向軸に沿って、互いに離間されている、第2車輪マウントと、
前記スタンドフレームに可動に接続された第2車輪マウントラッチを含む第2ロック組立体であり、前記第2車輪マウントラッチは、前記第2車輪マウントと係合して、これにより前記スタンドフレームに対して前記第2車輪マウントを回転ロックすることに適合し、また、前記第2車輪マウントから係合解除して、これにより前記第2車輪マウントをロック解除することに適合していて、前記第2車輪軸線の姿勢を変更するために前記スタンドフレームに対して前記第2車輪マウントを回転可能にする、第2ロック組立体とをさらに備え、
前記解除機構は、
前記ハンドルフレームが前記第1位置にあるときに、前記操作部を前記第2車輪マウントラッチから結合解除させ、一方では、前記第1車輪マウントラッチに結合させ、したがって、前記操作部が前記第1車輪マウントラッチ前記第1車輪マウントから係合解除されるように動可能である、ように成されており、かつ、
前記ハンドルフレームが前記第2位置にあるときに、前記操作部を前記第1車輪マウントラッチから結合解除させ、一方では、前記第2車輪マウントラッチに結合させ、したがって、前記操作部が前記第2車輪マウントラッチ前記第2車輪マウントから係合解除さるように動可能である、ように成されている
請求項1記載の車輪付き搬送装置。
【請求項9】
前記解除機構は、
前記スタンドフレームにそれぞれ可動に接続されている第1及び第2リンク作動部であり、第1リンク作動部は第2リンク作動部とは独立に作動可能である第1及び第2リンク作動部と、
前記ハンドルフレームに支持されている駆動部と、
前記第1車輪マウントラッチを前記第1リンク作動部に結合する第1リンク部と、
前記駆動部を前記操作部に結合する第2リンク部と、
前記第2車輪マウントラッチを前記第2リンク作動部に結合する第3リンク部とを備え、
前記ハンドルフレームが前記第1位置にあるときに、前記駆動部は前記第1リンク作動部と隣接して位置し、前記第2リンク作動部から離れて変位し、前記ハンドルフレームが前記第2位置にあるときに、前記駆動部は前記第2リンク作動部と隣接して位置し、前記第1リンク作動部から離れて変位し、
前記ハンドルフレームが前記第1位置にあるときに、前記駆動部と前記第1リンク作動部との接触を介して、前記操作部は、前記第1車輪マウントラッチを前記第1車輪マウントから係合解除するように作動可能であり、前記ハンドルフレームが前記第2位置にあるときに、前記駆動部と前記第2リンク作動部との接触を介して、前記操作部は、前記第2車輪マウントラッチを前記第2車輪マウントから係合解除するように作動可能である請求項8記載の車輪付き搬送装置。
【請求項10】
前記第1リンク部,前記第2リンク部及び前記第3リンク部のうち任意の一つがケーブルを有する請求項9記載の車輪付き搬送装置。
【請求項11】
前記第1リンク作動部は前記スタンドフレームに、スライド可能に接続されている請求項9又は10記載の車輪付き搬送装置。
【請求項12】
前記第2リンク作動部は前記スタンドフレームに、枢軸的に又はスライド可能に接続されている請求項9,10又は11記載の車輪付き搬送装置。
【請求項13】
前記駆動部は、前記ハンドルフレームにスライド可能に接続されている請求項9ないし12のいずれか1項に記載の車輪付き搬送装置。
【請求項14】
前記スタンドフレームは、第1側部セグメントを有する第1脚フレームと、第2側部セグメントを有する第2脚フレームとを備え、
前記第1リンク部は、前記第1側部セグメントの一部に沿って伸び、前記第3リンク部は、前記第2側部セグメントの一部に沿って伸びている請求項9ないし13のいずれか1項に記載の車輪付き搬送装置。
【請求項15】
前記第2リンク作動部は前記第2脚フレームに可動に接続され、前記第2脚フレームに支持されている請求項14記載の車輪付き搬送装置。
【請求項16】
前記スタンドフレームはさらに、前記ハンドルフレームに枢軸的に接続されているキャリアバーを含み、前記第1リンク作動部は前記キャリアバーに可動に接続され、前記キャリアバーに支持されている請求項15記載の車輪付き搬送装置。
【請求項17】
前記ハンドルフレームは、バーリンク材を介して前記スタンドフレームに枢軸的に結合され、前記スタンドフレームはさらに、側部リンクバーを備え、
前記バーリンク材は、前記第1脚フレームの前記第1側部セグメントと前記ハンドルフレームとにそれぞれ枢軸的に接続され、前記キャリアバーは、前記側部リンクバーと、前記バーリンク材と、前記ハンドルフレームとにそれぞれ枢軸的に接続されている請求項16記載の車輪付き搬送装置。
【請求項18】
前記第1リンク部はさらに、前記側部リンクバーの一部と前記キャリアバーの一部とに沿って伸びている請求項17記載の車輪付き搬送装置。
【請求項19】
前記第1リンク部はさらに、前記バーリンク材の一部と前記キャリアバーの一部とに沿って伸びている請求項17記載の車輪付き搬送装置。
【請求項20】
前記第1車輪マウントラッチと前記第2車輪マウントラッチとにそれぞれ結合され、前記解除機構とは独立に作動可能である作動組立体をさらに備え、
前記作動組立体は、
回転に関して前記ハンドルフレームに結合されている第3リンク作動部と、
前記第3リンク作動部の周りにループになって伸び、前記第1車輪マウントラッチと前記第2車輪マウントラッチとにそれぞれ取り付けられている第1端部及び第2端部を有する第4リンク部とをさらに備え、
前記第3リンク作動部は、前記第4リンク部の前記第2端部を引くように第1方向に前記ハンドルフレームと一緒に回転可能であり、これにより、前記第2車輪マウントから係合解除するように前記第2車輪マウントラッチを付勢し、同時に、前記第4リンク部の前記第1端部を緩め、前記第1車輪マウントラッチを前記第1車輪マウントに係合させ、
また前記第3リンク作動部は、前記第4リンク部の前記第1端部を引くように、前記第1方向と逆の第2方向に前記ハンドルフレームと一緒に回転可能であり、これにより、前記第1車輪マウントから係合解除するように前記第1車輪マウントラッチを付勢し、同時に、前記第4リンク部の前記第2端部を緩め、前記第2車輪マウントラッチを前記第2車輪マウントに係合させる請求項8ないし15のいずれか1項に記載の車輪付き搬送装置。
【請求項21】
前記第4リンク部がケーブルを有する請求項20記載の車輪付き搬送装置。
【請求項22】
前記スタンドフレームはさらに、回転軸の周りに枢軸的に前記ハンドルフレームに接続されたキャリアバーを備え、前記ハンドルフレームは、前記第1位置と前記第2位置との間で前記スタンドフレームに対して前記回転軸の周りに回転可能であり、
前記第3リンク作動部は、同じ前記回転軸の周りに枢軸的に前記スタンドフレームに接続され、前記第4リンク部は前記キャリアバーに沿って伸びている請求項20又は21記載の車輪付き搬送装置。
【請求項23】
前記車輪付き搬送装置は乳母車装置である請求項1ないし22のいずれか1項に記載の車輪付き搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪付き搬送装置に関する。
【0002】
本出願は、2019年9月11日に出願を行った中華人民共和国特許出願第201910858955.3号、及び2020年4月30日に出願を行った中華人民共和国特許出願第202010370191.6号のそれぞれの優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
世話をする人(caregiver)はふだん、幼児や子供を搬送するのに乳母車装置(stroller apparatus ベビーカー装置)に依存している。典型的には、多くの乳母車装置は、車輪軸線の姿勢を変更するために乳母車フレームに対して左右に(horizontally)自由に回転可能な前の車輪と、左右には回転不能であり、横断して伸びる姿勢の固定した車輪軸線を有する後の車輪とを備えている。結果として、限られたスペースの環境の中では、乳母車装置が反対方向に折り返すことは容易でないことがある。
【0004】
従って、よりよい操作性を与えることができ、少なくとも前述の問題に対処する、改良した構成への必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本願は、左右の姿勢について制御可能にロックとロック解除とが可能であり、よりよい操作性を与えることができる車輪組立体を備えた車輪付き搬送装置を記載するものである。
【0006】
一つの実施形態によれば、車輪付き搬送装置は、枢軸的に互いに結合されているスタンドフレーム及びハンドルフレームと、第1車輪マウントと、ロック組立体と、解除機構とを備える。ハンドルフレームは、傾斜の異なる第1位置と第2位置との間でスタンドフレームに対して回転可能である。第1車輪マウントは、第1車輪を支持し、スタンドフレームに枢軸的に接続されている。第1車輪は、第1車輪軸線の周りに第1車輪マウントに対して回転可能である。ロック組立体は、スタンドフレームに可動に接続された第1車輪マウントラッチを含む。第1車輪マウントラッチは、第1車輪マウントと係合して、これによりスタンドフレームに対して第1車輪マウントを回転ロックすることに適合し、また、第1車輪マウントから係合解除して、これにより第1車輪マウントをロック解除することに適合していて、第1車輪軸線の姿勢を変更するためにスタンドフレームに対して第1車輪マウントを回転可能にする。解除機構は、ハンドルフレームに支持された操作部を含む。解除機構は、ハンドルフレームが第1位置にあるときに第1車輪マウントラッチを第1車輪マウントから係合解除するように、操作部を操作可能にするように構成され、ハンドルフレームが第2位置にあるときに、操作により操作部が第1車輪マウントラッチから結合解除されるように構成されている。
【0007】
一つの実施形態によれば、解除機構は、スタンドフレームに可動に接続されているリンク作動部と、第1車輪マウントラッチをリンク作動部に結合する第1リンク部と、ハンドルフレームに可動に接続されている駆動部と、駆動部を操作部に結合する第2リンク部とを備え、ハンドルフレームが第1位置にあるときに、駆動部はリンク作動部と隣接して位置し、ハンドルフレームが第2位置にあるときに、駆動部はリンク作動部から離れて変位し、ハンドルフレームが第1位置にあるときに、駆動部とリンク作動部との接触を介して、操作部は、第1車輪マウントラッチが第1車輪マウントから係合解除するように作動可能である。
【0008】
一つの実施形態によれば、第1リンク部及び第2リンク部のうち任意の一つがケーブルを有する。
【0009】
一つの実施形態によれば、第1リンク部はプーリーに架け渡されループになっている。
【0010】
一つの実施形態によれば、リンク作動部はバネによって接続され、バネは、駆動部と接触するリンク作動部を付勢する方向にリンク作動部をバイアスする。
【0011】
一つの実施形態によれば、駆動部は、ハンドルフレームにスライド可能に接続されている。
【0012】
一つの実施形態によれば、スタンドフレームは、ハンドルフレームに枢軸的に接続されているキャリアバーを含み、リンク作動部は、キャリアバーに可動に接続され、キャリアバーに支持されている。
【0013】
一つの実施形態によれば、車輪付き搬送装置は、第2車輪を支持し、スタンドフレームに枢軸的に接続されている第2車輪マウントであり、第2車輪は、第2車輪マウントに対して第2車輪軸線の周りに回転可能であり、第1及び第2車輪マウントは、後から前へ伸びる車輪付き搬送装置の長手方向軸に沿って、互いに離間されている、第2車輪マウントと、スタンドフレームに可動に接続された第2車輪マウントラッチを含む第2ロック組立体であり、第2車輪マウントラッチは、第2車輪マウントと係合して、これによりスタンドフレームに対して第2車輪マウントを回転ロックすることに適合し、また、第2車輪マウントから係合解除して、これにより第2車輪マウントをロック解除することに適合していて、第2車輪軸線の姿勢を変更するためにスタンドフレームに対して第2車輪マウントを回転可能にする、第2ロック組立体とをさらに備え、ハンドルフレームが第1位置にあるときに、第1車輪マウントラッチが第1車輪マウントから係合解除されるように操作部が作動可能であり、一方では、操作により操作部が第2車輪マウントラッチから結合解除されるように、解除機構が構成され、ハンドルフレームが第2位置にあるときに、第2車輪マウントラッチが第2車輪マウントから係合解除されるように操作部が作動可能であり、一方では、操作により操作部が第1車輪マウントラッチから結合解除されるように、解除機構が構成されている。
【0014】
一つの実施形態によれば、解除機構は、スタンドフレームにそれぞれ可動に接続されている第1及び第2リンク作動部であり、第1リンク作動部は第2リンク作動部とは独立に作動可能である第1及び第2リンク作動部と、ハンドルフレームに支持されている駆動部と、第1車輪マウントラッチを第1リンク作動部に結合する第1リンク部と、駆動部を操作部に結合する第2リンク部と、第2車輪マウントラッチを第2リンク作動部に結合する第3リンク部とを備え、ハンドルフレームが第1位置にあるときに、駆動部は第1リンク作動部と隣接して位置し、第2リンク作動部から離れて変位し、ハンドルフレームが第2位置にあるときに、駆動部は第2リンク作動部と隣接して位置し、第1リンク作動部から離れて変位し、ハンドルフレームが第1位置にあるときに、駆動部と第1リンク作動部との接触を介して、操作部は、第1車輪マウントラッチを第1車輪マウントから係合解除するように作動可能であり、ハンドルフレームが第2位置にあるときに、駆動部と第2リンク作動部との接触を介して、操作部は、第2車輪マウントラッチを第2車輪マウントから係合解除するように作動可能である。
【0015】
一つの実施形態によれば、第1リンク部,第2リンク部及び第3リンク部のうち任意の一つがケーブルを有する。
【0016】
一つの実施形態によれば、第1リンク作動部はスタンドフレームに、スライド可能に接続されている。
【0017】
一つの実施形態によれば、第2リンク作動部はスタンドフレームに、枢軸的に又はスライド可能に接続されている。
【0018】
一つの実施形態によれば、駆動部は、ハンドルフレームにスライド可能に接続されている。
【0019】
一つの実施形態によれば、スタンドフレームは、第1側部セグメントを有する第1脚フレームと、第2側部セグメントを有する第2脚フレームとを備え、第1リンク部は、第1側部セグメントの一部に沿って伸び、第3リンク部は、第2側部セグメントの一部に沿って伸びている。
【0020】
一つの実施形態によれば、第2リンク作動部は第2脚フレームに可動に接続され、第2脚フレームに支持されている。
【0021】
一つの実施形態によれば、スタンドフレームはさらに、ハンドルフレームに枢軸的に接続されているキャリアバーを含み、第1リンク作動部はキャリアバーに可動に接続され、キャリアバーに支持されている。
【0022】
一つの実施形態によれば、ハンドルフレームは、バーリンク材を介してスタンドフレームに枢軸的に結合され、スタンドフレームはさらに、側部リンクバーを備え、バーリンク材は、第1脚フレームの第1側部セグメントとハンドルフレームとにそれぞれ枢軸的に接続され、キャリアバーは、側部リンクバーと、バーリンク材と、ハンドルフレームとにそれぞれ枢軸的に接続されている。
【0023】
一つの実施形態によれば、第1リンク部はさらに、側部リンクバーの一部とキャリアバーの一部とに沿って伸びている。
【0024】
一つの実施形態によれば、第1リンク部はさらに、バーリンク材の一部とキャリアバーの一部とに沿って伸びている。
【0025】
一つの実施形態によれば、車輪付き搬送装置は、第1車輪マウントラッチと第2車輪マウントラッチとにそれぞれ結合され、解除機構とは独立に作動可能である作動組立体をさらに備え、作動組立体は、回転に関してハンドルフレームに結合されている第3リンク作動部と、第3リンク作動部の周りにループになって伸び、第1車輪マウントラッチと第2車輪マウントラッチとにそれぞれ取り付けられている第1端部及び第2端部を有する第4リンク部とをさらに備え、第3リンク作動部は、第4リンク部の第2端部を引くように第1方向にハンドルフレームと一緒に回転可能であり、これにより、第2車輪マウントから係合解除するように第2車輪マウントラッチを付勢し、同時に、第4リンク部の第1端部を緩め、第1車輪マウントラッチを第1車輪マウントに係合させ、また第3リンク作動部は、第4リンク部の第1端部を引くように、第1方向と逆の第2方向にハンドルフレームと一緒に回転可能であり、これにより、第1車輪マウントから係合解除するように第1車輪マウントラッチを付勢し、同時に、第4リンク部の第2端部を緩め、第2車輪マウントラッチを第2車輪マウントに係合させる。
【0026】
一つの実施形態によれば、第4リンク部がケーブルを有する。
【0027】
一つの実施形態によれば、スタンドフレームはさらに、回転軸の周りに枢軸的にハンドルフレームに接続されたキャリアバーを備え、ハンドルフレームは、第1位置と第2位置との間でスタンドフレームに対して回転軸の周りに回転可能であり、第3リンク作動部は、同じ回転軸の周りに枢軸的にスタンドフレームに接続され、第4リンク部はキャリアバーに沿って伸びている。
【0028】
一つの実施形態によれば、車輪付き搬送装置は、乳母車装置として実施されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】車輪付き搬送装置の実施形態を例示する斜視図である。
図2】車輪付き搬送装置に設けられた一つの車輪組立体を例示する断面図である。
図3】車輪付き搬送装置に設けられたもう一つの車輪組立体を例示する拡大斜視図である。
図4】車輪付き搬送装置に設けられた作動組立体の構造の詳細を例示する側面図である。
図5】車輪付き搬送装置に設けられた作動組立体及び解除機構の構造の詳細を例示する斜視図である。
図6】車輪付き搬送装置に設けられた解除機構の構造の詳細を例示する側面図である。
図7】車輪付き搬送装置のフレーム構造でキャリアバーと接続された、作動組立体及び解除機構の一部を例示している斜視図である。
図8】車輪付き搬送装置の脚フレームに設けられた解除機構のもう一つの部分を例示している拡大図である。
図9】車輪付き搬送装置のハンドルフレームに設けられた操作部の構造の詳細を例示する拡大図である。
図10】解除機構の変形例の構造を例示する側面図である。
図11図10の解除機構の構造の詳細を例示する斜視図である。
図12図1に示す位置と異なる第2位置でハンドルフレームが傾斜している車輪付き搬送装置を例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、車輪付き搬送装置100、即ち例示的には乳母車装置の実施形態を示す斜視図である。図1を参照すると、車輪付き搬送装置100は、互いに結合されたスタンドフレーム104及びハンドルフレーム106からなるフレーム構造102と、スタンドフレーム104の底部に設けられた複数の車輪組立体108,110とを含んでよい。
【0031】
構造の一例では、スタンドフレーム104は、二つの脚フレーム112,114と、二つの側部リンクバー116と、二つの側部支持バー118と、二つのキャリアバー120とを含んでよい。例示的に脚フレーム112は、後脚フレームであってよく、脚フレーム114は、前脚フレームであってよい。各脚フレーム112,114は、スタンドフレーム104の右側及び左側に対称に配置された二つの側部セグメント、即ち、脚フレーム112の二つの側部セグメント112A、及び脚フレーム114の二つの側部セグメント114Aと、二つの側部セグメントに固着して接続された横断セグメント、即ち、脚フレーム112の二つの側部セグメント112Aに固着して接続された横断セグメント112B、及び脚フレーム114の二つの側部セグメント114Aに固着して接続された横断セグメント114Bとをそれぞれ含んでよい。右側と左側とのそれぞれで、脚フレーム112の側部セグメント112Aと脚フレーム114の側部セグメント114Aとは、一つの側部リンクバー116に枢軸的に結合されてよい。一つの側部支持バー118は側部セグメント112Aと側部セグメント114Aとの間で伸びてよく、側部セグメント114Aに枢軸的に結合されてよい。これにより、脚フレーム112及び114,側部リンクバー116,また側部支持バー118は、車輪付き搬送装置100が折り畳み及び展開を行う間に、相互の間で回転できる。
【0032】
ハンドルフレーム106は、二つのバーリンク材122を介してそれぞれ右側及び左側で、スタンドフレーム104に枢軸的に結合されてよい。各バーリンク材122は、バー122Aを含んでよい。より具体的には、ハンドルフレーム106は、右側と左側とで対称に配置された二つの側部分106Aと、二つの側部分106Aに接続されたグリップ部106Bとを含んでよい。右側と左側とのそれぞれで、キャリアバー120は、側部リンクバー116に枢軸的に接続された上部と、側部支持バー118,バーリンク材122のバー122A,及びハンドルフレーム106の側部分106Aに共通回転軸Rの周りに枢軸的にそれぞれ接続された下部とを含んでよい。バーリンク材122のバー122Aは、脚フレーム112の側部セグメント112A、またハンドルフレーム106の側部分106Aに、それぞれ共通回転軸Rの周りに枢軸的に接続されてよい。この構造では、傾斜の異なる二つの位置の間での調整のためにスタンドフレーム104とバーリンク材122とに対して、ハンドルフレーム106は回転軸Rの周りに回転でき、これにより、車輪付き搬送装置100は子供を載せて前又は後に向かう異なる方向に押すことができる。例えば、ハンドルフレーム106は図1に示した第1位置の脚フレーム112の側に向けて傾斜し、図12に示した第2位置の脚フレーム114の側に向けて傾斜することができる。
【0033】
図1を参照すると、各車輪組立体108,110は車輪マウントを含んでよい。これは、スタンドフレーム104に枢軸的に接続され、全体的に水平に伸びる車輪軸線の周りに車輪マウントに対して回転可能な車輪を少なくとも支持する。これにより車輪マウントは、スタンドフレーム104に対して車輪軸線の姿勢を変えるように回転可能である。例えば、二つの車輪組立体108が脚フレーム112の側部セグメント112Aの下端に設けられてよく、二つの車輪組立体110が脚フレーム114の側部セグメント114Aの下端にそれぞれ設けられてよい。各車輪組立体108は車輪マウント124を含んでよく、これは脚フレーム112に枢軸的に接続されている。全体的に水平に伸びる車輪軸線126Aの周りに車輪マウント124に対して回転可能な車輪126を少なくとも支持する。これにより車輪マウント124は、車輪軸線126Aの水平姿勢を変えるように回転可能である。同様に、各車輪組立体110は車輪マウント128を含んでよく、これは脚フレーム114に枢軸的に接続されている。全体的に水平に伸びる車輪軸線130Aの周りに車輪マウント128に対して回転可能な車輪130を少なくとも支持する。これにより車輪マウント128は、車輪軸線130Aの水平姿勢を変えるように回転可能である。車輪マウント124は、後から前へ伸びる車輪付き搬送装置100の長手方向軸に沿って、車輪マウント128から離間している。
【0034】
図1に関連して、図2は、一つの車輪組立体108を示す断面図である。図1,2を参照すると、車輪組立体108は同一の構造を有してよい。各車輪組立体108では、車輪マウント124は旋回軸132の周りに枢軸的に脚フレーム112に接続されてよく、車輪マウント124とこれに支持された車輪126とは旋回軸132の周りに一緒に回転できる。構造の一例では、車輪マウント124は、旋回軸132を介して枢軸的に脚フレーム112に接続されたハウジング134を含んでよい。車輪軸線126Aを規定する車軸の軸棒136は、ハウジング134を貫通して配置され、車輪126を車輪マウント124に枢軸的に接続してよい。構造の一例では、車軸の軸棒136は、縦にスライド移動するためにハウジング134内に組み付けられたスライド部138を貫通して、配置されてよい。バネ140が、スライド部138とハウジング134とにそれぞれ接続されてよい。バネ140は、使用中の望まれない衝撃エネルギーを分散するために、車輪マウント124に対する車輪126の縦の変位への緩衝作用を行う。
【0035】
図2を参照すると、スタンドフレーム104に対して、車輪マウント124に回転ロックとロック解除とを行うために、ロック組立体142が提供される。ロック組立体142は、スタンドフレーム104に可動に接続された車輪マウントラッチ144と、車輪マウントラッチ144に接続されたロックバネ146とを含んでよい。構造の一例では、車輪マウントラッチ144は脚フレーム112の側部セグメント112Aとスライド可能に接続されてよい。具体的には、側部セグメント112Aは空洞部を有してよく、車輪マウントラッチ144は側部セグメント112Aの空洞部にスライド可能に受け入れられる長い形状を有してよい。これにより、車輪マウントラッチ144は空洞部の外に突出したり中に退避したりするように、スライドできる。ロックバネ146は、側部セグメント112Aの空洞部の中に配置されてよく、側部セグメント112Aと車輪マウントラッチ144とにそれぞれ接続された二つの端部を有してよい。ロックバネ146は、車輪マウントラッチ144をバイアスし、車輪マウント124と係合するように外向きに突出させてよい。
【0036】
ロック組立体142では、車輪マウントラッチ144は下へスライドして車輪マウント124と係合してよく、これによりスタンドフレーム104に関して車輪マウント124を回転ロックする。また車輪マウントラッチ144は上へスライドして車輪マウント124から係合解除してよく、これにより車輪マウント124をロック解除してスタンドフレーム104に対して回転できるようにする。ロックバネ146は、車輪マウントラッチ144を車輪マウント124と係合させるために付勢するバイアス力を作用させてよい。上述した同じロック組立体142が、二つの車輪組立体108のそれぞれに設けられてよい。
【0037】
図1と関連して、図3は、一つの車輪組立体110を示す拡大斜視図である。図1,3を参照すると、車輪組立体110は上述した同じ構造を有してよく、これは脚フレーム114に枢軸的に接続された車輪マウント128を含んでよい。これにより、車輪マウント128及びこれに支持された車輪130は、脚フレーム114に対して一緒に回転できる。さらに、ロック組立体148が、スタンドフレーム104に対して、車輪マウント128を回転ロックしたりロック解除したりするように設けられてよい。ロック組立体148は、車輪組立体108のロック組立体142と同様な構造を有してよい。構造の一例では、ロック組立体148は、スタンドフレーム104に可動に接続された車輪マウントラッチ150と、車輪マウントラッチ150に接続されたロックバネ152とを含んでよい。例えば、車輪マウントラッチ150は脚フレーム114の側部セグメント114Aにスライド可能に接続されてよい。ロックバネ152は二つの端部を含んでよく、これはそれぞれ側部セグメント114Aと車輪マウントラッチ150とに接続されている。これにより車輪マウントラッチ150は、下へスライドして車輪マウント128と係合してよく、スタンドフレーム104に対して車輪マウント128を回転ロックする。また上へスライドして車輪マウント128に係合解除とロック解除とを行い、スタンドフレーム104に対して車輪マウント128は自由に回転できるようになり、車輪軸線130Aの水平姿勢を変更する。ロックバネ152は車輪マウントラッチ150をバイアスし、車輪マウント128と係合する。
【0038】
図1〜3に関連して、図4〜11は、車輪付き搬送装置100に与えられてよい構造の一層の詳細を示す概略図である。図1〜9を参照すると、車輪付き搬送装置100は、作動組立体160と解除機構162とをさらに含んでよい。
【0039】
図1〜5を参照すると、作動組立体160はハンドルフレーム106及び車輪マウントラッチ144,150に結合され、解除機構162とは独立に作動可能であり、ハンドルフレーム106の位置に従ってロック状態とロック解除状態との間で車輪マウントラッチ144,150を切り換える。構造の一例では、作動組立体160は、スタンドフレーム104に結合されたリンク作動部164と、車輪マウントラッチ144をリンク作動部164に結合するリンク部166と、車輪マウントラッチ150をリンク作動部164に結合するリンク部168とを含んでよい。車輪マウントラッチ144,150はそれぞれ、車輪付き搬送装置100の同じ側(即ち右側又は左側)に位置する車輪組立体108,110に対応付けられる。リンク部166,168は1本以上のケーブルを含んでよく、これは図4に仮想線で示してある。
【0040】
リンク作動部164は、リンク部168を引く第1方向に移動し、車輪マウント128から係合解除するように車輪マウントラッチ150を付勢してよい。同時にリンク部166を緩め、これにより、車輪マウントラッチ144は、ロックバネ146のバイアス力の下で車輪マウント124と係合できる。またリンク作動部164は、第1方向と反対にリンク部166を引く第2方向に移動し、車輪マウント124から係合解除するように車輪マウントラッチ144を付勢してよい。同時にリンク部168を緩め、これにより、車輪マウントラッチ150は、ロックバネ152のバイアス力の下で車輪マウント128と係合できる。リンク作動部164は、ハンドルフレーム106に可動に連結され、リンク作動部164は、傾斜の異なる第1及び第2位置の間でスタンドフレーム104に対するハンドルフレーム106の回転に応答して第1又は第2方向に可動である。この実施形態では、リンク作動部164は、回転軸Rの周りに枢軸的にスタンドフレーム104に接続され、スタンドフレーム104に対して第1及び第2方向に単一の部品として回転できる。構造の一例では、ハンドルフレーム106の側部分106Aは、回転軸Rに沿って伸びる軸部分170に固着して結合されてよい。リンク作動部164はキャリアバー120に隣接して配置されてよく、リンク作動部164に設けられた孔164Aを貫通して軸部分170と係合することで、ハンドルフレーム106に回転に関して結合されてよい。これにより、リンク作動部164とハンドルフレーム106とは、スタンドフレーム104に対して回転軸Rの周りに一緒に回転できる。リンク作動部164の好ましい構造の例は、限定はされないが、回転板、リングなどを含んでよい。
【0041】
図1〜5を参照すると、二つのリンク部166,168はケーブル部分を含んでよい。これは、別々のケーブルとして与えられるか、単一のケーブルとして規定され、スタンドフレーム104に沿ってわたっていてよい。好適なケーブルは、引っ張り力を伝えるために張られることが可能な任意の長く可撓的な構造を含んでよく、これは、限定はされないが、金属ケーブル、コード、ロープ、ワイヤ、ひも、バンド、条材などを含んでよい。構造の一例では、二つのリンク部166,168が、車輪マウントラッチ144,150をリンク作動部164にそれぞれ結合する二つのケーブル部分を含んでよい。例えば、車輪マウントラッチ144に取り付けられた端部を有し、取り付け部品172を介してリンク作動部164に取り付けられたケーブル部分を、リンク部166は含んでよい。また、車輪マウントラッチ150に取り付けられた端部を有し、取り付け部品172を介してリンク作動部164に取り付けられたケーブル部分を、リンク部168は含んでよい。例示的にはリンク部166は、車輪マウントラッチ144から、脚フレーム112の側部セグメント112A,側部リンクバー116,キャリアバー120に沿って、リンク作動部164まで延びてよい。例示的にはリンク部168は、車輪マウントラッチ150から、脚フレーム114の側部セグメント114A,側部リンクバー116,キャリアバー120に沿って、リンク作動部164まで延びてよい。リンク部166,168は、キャリアバー120に沿って互いにほぼ平行に伸びていてよい。
【0042】
構造の一例では、二つのリンク部166,168は、単一の一体のリンク部を構成することができる単一のケーブルで規定されていてよい。単一の一体のリンク部は、既に上述したようにフレーム構造に沿ってわたってよく、車輪マウントラッチ144と、車輪マウントラッチ150と、中間部品とにそれぞれ取り付けられた第1及び第2端部を有してよい。中間部分は、リンク作動部164の周りにループになって伸び、取り付け部品172を介してリンク作動部164に取り付けられる。
【0043】
作動組立体160では、従って、リンク作動部164は、リンク部168を引くように(特に、車輪マウントラッチ150に取り付けられた端部)第1方向にハンドルフレーム106と一緒に回転できる。これにより、車輪マウント128を係合解除しロック解除するように車輪マウントラッチ150を付勢し、同時にリンク部166を緩める(特に、車輪マウントラッチ144に取り付けられた端部)。従って、車輪マウントラッチ144は車輪マウント124に係合してロックすることが可能になる。さらに、リンク作動部164は、リンク部166を引くように、第1方向と逆の第2方向にハンドルフレーム106と一緒に回転でき(特に、車輪マウントラッチ144に取り付けられた端部)、これにより車輪マウント124に係合解除とロック解除とを行うように車輪マウントラッチ144を付勢し、同時にリンク部168を緩める(特に、車輪マウントラッチ150に取り付けられた端部)。従って、車輪マウントラッチ150は、車輪マウント128と係合してこれをロックすることが可能になる。
【0044】
二つの車輪組立体108,110は、車輪付き搬送装置100の右側及び左側にそれぞれ設けられるので、作動組立体160は右側及び左側に対称に配置されてよい。
【0045】
図1〜3,5〜8を参照すると、解除機構162は、ハンドルフレーム106に支持された操作部174を備えている。ハンドルフレーム106が脚フレーム112の側に傾斜した第1位置にあるか、脚フレーム114の側に傾斜した第2位置にあるかに依存して、操作部174が操作により、車輪マウントラッチ144,150の一方に結合され、車輪マウントラッチ144,150の他方から結合解除されることができるように、解除機構162は構成されている。例えば、操作部174は、車輪マウントラッチ144が車輪マウント124から係合解除されるように作動可能であり、この一方では、ハンドルフレーム106が第1位置にあるときに操作により車輪マウントラッチ150から結合解除される。ハンドルフレーム106が第2位置にあるときに、操作部174は、車輪マウントラッチ150が車輪マウント128から係合解除されるように作動可能であり、この一方では、操作により車輪マウントラッチ144から結合解除される。このようにするために、解除機構162の実施形態は、操作部174,互いに独立に作動可能な二つのリンク作動部176,178,車輪マウントラッチ144をリンク作動部176に結合するリンク部180,車輪マウントラッチ150をリンク作動部178に結合するリンク部182,ハンドルフレーム106に支持された駆動部184,また駆動部184を操作部174に結合するリンク部186を含んでよい。リンク部180,182,186はケーブルを含んでよく、図6に仮想線で示してある。好適なケーブルは、引っ張り力を伝えるために張られることが可能な任意の長く可撓的な構造を含んでよく、これは、限定はされないが、金属ケーブル、コード、ロープ、ワイヤ、ひも、バンド、条材などを含んでよい。
【0046】
図1〜3,5〜7を参照すると、リンク作動部176は、スタンドフレーム104に可動に接続され、リンク部180を引く一方向に移動でき、これにより、車輪マウント124から係合解除するように車輪マウントラッチ144を付勢し、またリンク部180を緩める反対方向に移動でき、車輪マウントラッチ144は車輪マウント124と係合できる。リンク作動部176は、ハンドルフレーム106が第1位置にあるときに、ハンドルフレーム106の側部分106Aに隣接する位置に配置されてよい。構造の一例では、リンク作動部176はスタンドフレーム104のキャリアバー120に可動に接続され、これに支持されてよく、横向きに突出する突起176Aを含んでよい。例えば、リンク作動部176は、キャリアバー120にスライド可能に接続され、リンク部180を引くように上向きにスライドでき、これにより、車輪マウント124から係合解除するように車輪マウントラッチ144を付勢し、またリンク部180を緩めるように下へスライドでき、車輪マウントラッチ144は車輪マウント124と係合できる。
【0047】
リンク部180はケーブルを含んでよく、これはリンク作動部176に取り付けられた一端と、車輪マウントラッチ144に取り付けられた他端とを有してよい。リンク部180は、キャリアバー120の一部に沿って、作動組立体160の二つのリンク部166,168にほぼ平行に伸びてよい。
【0048】
図5〜7を参照すると、リンク部180は、脚フレーム112の側部セグメント112Aの部分、側部リンクバー116の部分、またキャリアバー120の部分に沿って伸びてよく、キャリアバー120に枢軸的に接続されたプーリー188の周りに架け渡されループになってよい。作動組立体160のリンク作動部164とリンク作動部176との間に位置するキャリアバー120の領域に、プーリー188は配置されてよい。
【0049】
図10,11は変形例の構造を示し、リンク部180は上述したように作動できるが、異なる経路を通っている。図10,11を参照すると、リンク部180は、脚フレーム112の側部セグメント112Aの部分、バー122A、またリンク作動部176と接続するためのキャリアバー120の部分に沿って伸びてよい。この変形例の構造では、プーリー188が省略できる。リンク作動部176は、キャリアバー120に設けられた結合ロッド196と接続されてよい。結合ロッド196は、リンク作動部176と一緒にスライドでき、リンク部180を引き、車輪マウントラッチ144が車輪マウント124から係合解除されるように車輪マウントラッチ144を付勢する。
【0050】
図5,7を参照すると、解除機構162はさらに、リンク作動部176に接続されたバネ190を含んでよい。例えば、バネ190は、リンク作動部176に取り付けられた一端と、キャリアバー120に固着して接続されるアンカー構造に接続された他端とを有してよい。バネ190は、駆動部184と接触するリンク作動部176を付勢する方向に、リンク作動部176をバイアスしてよい。
【0051】
図11に示した変形例の構成では、バネ190は同様に作用してよく、リンク作動部176と結合ロッド196に設けられたアンカー構造との間に接続されてよい。
【0052】
図6,8を参照すると、リンク作動部178はスタンドフレーム104に可動に接続され、リンク部182を引く一方向に移動でき、これにより、車輪マウント128から係合解除するように車輪マウントラッチ150を付勢し、またリンク部182を緩める反対方向に移動でき、車輪マウントラッチ150は車輪マウント128と係合できる。リンク作動部178は、ハンドルフレーム106が第2位置にあるときに、ハンドルフレーム106の側部分106Aに隣接する位置に配置されてよい。構造の一例では、リンク作動部178は脚フレーム114の側部セグメント114Aに可動に接続され、これに支持されてよく、横向きに突出した突起178Aを含んでよい。例えば、脚フレーム114の側部セグメント114Aに固着して取り付けられたブラケット191に、リンク作動部178は可動に接続されてよく、リンク部182を引く一方向に回転でき、これにより、車輪マウント128から係合解除するように車輪マウントラッチ150を付勢し、またリンク部182を緩める反対方向に回転でき、車輪マウントラッチ150は車輪マウント128と係合できる。上述の枢軸的な接続部は、リンク作動部178を脚フレーム114の側部セグメント114Aに可動に接続する、単なる一例であることが理解されるものとする。リンク作動部178の他の可動な接続部が、リンク部182を引き、また緩めるのに適合したものであってよい。例えば、変形例の構造は、リンク作動部178を脚フレーム114の側部セグメント114Aにスライド可能に接続させてよく、リンク作動部178はリンク部182を引くか、緩めるようにスライドすることができる。従って、構造の一例では、リンク部182はケーブルを含んでよく、これはリンク作動部178に取り付けられた一端と、車輪マウントラッチ150に取り付けられた他端とを有してよい。構造の一例では、車輪マウントラッチ150からリンク作動部178までの脚フレーム114の側部セグメント114Aの一部に沿って、リンク部182は伸びてよい。
【0053】
図5〜8を参照すると、駆動部184は、ハンドルフレーム106に可動に接続され、これに支持され、またリンク部186を介して操作部174に結合されている。構造の一例では、駆動部184は、側部リンクバー116の下方の領域でハンドルフレーム106の側部分106Aにスライド可能に接続されてよく、横向きに突出した突起184Aを有してよい。従って、傾斜の異なる第1及び第2位置の間でスタンドフレーム104に対してハンドルフレーム106が回転したときに、駆動部184はハンドルフレーム106と一緒に可動である。脚フレーム112の側に向けて傾斜した第1位置にハンドルフレーム106があるときに、駆動部184はリンク作動部176と隣接して位置し、リンク作動部178から離れて変位してよい。脚フレーム114の側に向けて傾斜した第2位置にハンドルフレーム106があるときに、駆動部184はリンク作動部178と隣接して位置し、リンク作動部176から離れて変位してよい。
【0054】
構造の一例では、リンク部186はケーブルを含んでよく、これは駆動部184に取り付けられた一端と、操作部174に取り付けられた他端とを有してよい。例えば、操作部174はハンドルフレーム106のグリップ部106Bに設けられてよく、リンク部186はハンドルフレーム106の側部分106Aに沿って伸びていて、それぞれ操作部174と駆動部184とに取り付けられた二つの反対側の端部を有してよい。従って、操作部174は、ハンドルフレーム106の側部分106Aに対して駆動部184を移動させるように作動可能であってよく、車輪マウントラッチ144,150のいずれかをロック解除するために、リンク作動部176,178の一方を選択的に移動するように付勢する。例えば、ハンドルフレーム106が第1位置にあるときに、駆動部184とリンク作動部176との接触を介して、操作部174は、車輪マウントラッチ144が車輪マウント124から係合解除するように作動可能である。ハンドルフレーム106が第2位置にあるときに、駆動部184とリンク作動部178との接触を介して、操作部174は、車輪マウントラッチ150が車輪マウント128から係合解除するように作動可能である。
【0055】
図9は、操作部174の構造の詳細を示す拡大図である。図9を参照すると、操作部174はバレル192とボタン194とを含んでよい。バレル192はハンドルフレーム106のグリップ部106Bに枢軸的に接続されてよく、リンク部186はバレル192に取り付けられた端部を有してよい。ボタン194は、グリップ部106Bにスライド可能に接続されてよく、バレル192に枢軸的に接続されてよい。この構造で、ボタン194は、バレル192を回転させるように付勢するために押圧可能であり、リンク部186を引くので、駆動部184はハンドルフレーム106に対して移動するように付勢される。
【0056】
二つの車輪組立体108,110は、車輪付き搬送装置100の右側及び左側にそれぞれ設けられるので、解除機構162は右側及び左側に対称に配置され、操作部174に同様に結合されてよい。
【0057】
車輪付き搬送装置100では、ハンドルフレーム106は、第1位置では脚フレーム112の側に向けて傾斜し、第2位置では脚フレーム114の側に向けて傾斜できる。作動組立体160のリンク作動部164は、第1方向にハンドルフレーム106と一緒に回転でき、ハンドルフレーム106が第2位置から第1位置へ回転したときに、リンク部168を引いてリンク部166を緩める。これにより、車輪マウントラッチ150が車輪マウント128に係合解除とロック解除とを行い、車輪マウントラッチ144が車輪マウント124に係合してロックする。これと逆に、リンク作動部164は、第2方向にハンドルフレーム106と一緒に回転でき、ハンドルフレーム106が第1位置から第2位置へ回転したときに、リンク部166を引いてリンク部168を緩める。これにより、車輪マウントラッチ144が車輪マウント124に係合解除とロック解除とを行い、車輪マウントラッチ150が車輪マウント128に係合してロックする。
【0058】
ハンドルフレーム106が第1位置にあって操作部174が解除されている間に、車輪マウントラッチ144は車輪マウント124と係合して車輪マウント124をスタンドフレーム104にロックし、車輪マウントラッチ150は車輪マウント128から、ある距離だけ係合解除された状態に保持されるので、車輪マウント128はスタンドフレーム104に対して自由な回転をするようにロック解除される。ハンドルフレーム106が第1位置にある間に車輪マウント124,128をロック解除するには、世話をする人は操作部174を作動させてリンク部186を引くことができる。これは駆動部184を上へスライドさせ、駆動部184の突起184Aとリンク作動部176の突起176Aとの接触を介してバネ190のバイアス力に抗してリンク作動部176を移動するように付勢する。結果として、リンク作動部176はリンク部180を引くことができ、これにより、車輪マウントラッチ144を付勢して車輪マウント124から係合解除する。この一方では、車輪マウントラッチ150は操作部174の作動から影響されず、同じ距離だけ車輪マウント128から係合解除した位置にとどまることができる。従って、全ての車輪マウント124,128が同時にハンドルフレーム106の第1位置でロック解除できる。
【0059】
ハンドルフレーム106が第2位置にあって操作部174が解除されている間に、車輪マウントラッチ150は車輪マウント128に係合されて車輪マウント128をスタンドフレーム104にロックし、車輪マウントラッチ144は、車輪マウント124からある距離だけ係合解除された状態に保持され、これにより車輪マウント124はスタンドフレーム104に対して自由に回転するようにロック解除される。ハンドルフレーム106が第2位置にある間に車輪マウント124,128をロック解除するために、世話をする人は、操作部174を作動させてリンク部186を引くことができる。リンク部186は、駆動部184を上向きにスライドさせ、リンク作動部178を、駆動部184の突起184Aとリンク作動部178の突起178Aとの間で接触して移動するように付勢する。その結果、リンク作動部178はリンク部182を引くことができ、これにより車輪マウントラッチ150を付勢して車輪マウント128から係合解除する。この一方では、車輪マウントラッチ144は、操作部174の作動からは影響されず、同じ距離だけ、車輪マウント124から係合解除された位置にとどまることができる。従って、全ての車輪マウント124,128が、同時にハンドルフレーム106の第2位置でロック解除できる。
【0060】
操作部174が、右側及び左側のそれぞれで一回に車輪マウントラッチ144,150の一方のみに、操作によって結合するので、同時に全ての車輪マウント124,128をロック解除させるための操作は、比較的小さな駆動力を必要とする。従って、操作部174を作動させるには小さな力を働かせるだけでよく、解除機構162の構成部品は、一層小さな機械的応力を受けるだけで済む。
【0061】
本明細書で説明する車輪付き搬送装置の利点は、スタンドフレームに対して柔軟な形で、車輪組立体をロックし、ロック解除するための能力を含んでいる。必要性によれば、他の車輪組立体がロック解除される間に、いくつかの車輪組立体はロックされる。又は、所望に応じて、すべての車輪組立体は同時にロック解除される。従って、車輪付き搬送装置は使用の際に一層柔軟であることが可能であり、より良い操作性を提供することができる。
【0062】
車輪付き搬送装置の具体化は、特定の実施形態の文脈で説明してきた。これらの実施形態は例示的であって、限定的ではないことを意図している。多くの変形、修正、追加と改良が、可能である。これらと他の変形、修正、追加、改良は、次に続く請求項で定義する発明の範囲内にあってよい。
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