(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1〜第3実施形態に係る紙葉類取扱装置及び搬送部材について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、紙葉類取扱装置1を示す左側面図である。
【0015】
図2A及び
図2Bは、紙葉類取扱装置1のトップモジュールM1及び取り込み兼リサイクルモジュールM2の内部構造を示す右側面側斜視図である。
【0016】
なお、
図1〜
図2B、並びに、後述する
図3A〜
図6Bには、説明の便宜上、前後方向、左右方向、及び上下方向を図示する。一例ではあるが、前後左右の方向は水平方向であり、上下の方向は鉛直方向である。
【0017】
図1に示すように、紙葉類取扱装置1は、上から順に、トップモジュールM1、取り込み兼リサイクルモジュールM2、リサイクルモジュールM3,M4、補充モジュールM5、及び回収モジュールM6を備える。
【0018】
トップモジュールM1には、
図2Aに示すように入金位置における紙幣Bを入金するための入金部M1bと、
図2Bに示すように出金位置における紙幣Bを出金するための出金部M1aとが、前方に突出するように設けられている。なお、紙幣Bは、紙葉類の一例である。この紙葉類としては、紙幣Bに限られず、帳票、伝票、枚葉紙などであってもよい。その場合、出金部M1bは、排出部として機能し、入金部M1aは、投入部として機能することになる。
【0019】
また、トップモジュールM1の内部には、紙幣Bを搬送する搬送部、紙幣Bを鑑別する鑑別部などが配置されている。
【0020】
取り込み兼リサイクルモジュールM2は、顧客が出金部M1aに出金された紙幣Bを取り忘れて、この紙幣Bの残留が検知された場合に、この残留する紙幣Bを前部に取り込むように搬送する。
【0021】
取り込み兼リサイクルモジュールM2の後部、並びに、リサイクルモジュールM3,M4の前部及び後部のそれぞれには、例えば紙幣Bをフィルムで挟んで巻き付けて収容する図示しないリサイクル紙幣収容部が配置されている。
【0022】
補充モジュールM5は、出金に利用される紙幣Bを収容する。
回収モジュールM6は、入金された紙幣Bのうちリサイクルされない紙幣Bを収容する。
【0023】
なお、上述の紙葉類取扱装置1の構成は、あくまで一例であり、紙葉類取扱装置1としては、紙幣Bを搬送する搬送部、或いは、紙幣Bに鑑別、検査などの何らかの処理を行う処理部などを有するものであればよい。
【0024】
図3A及び
図3Bは、搬送部材11、回転軸部材12、及び搬送ローラ13を示す右側面側斜視図及び平面図である。
【0025】
図4A〜
図4Dは、搬送部材11を示す右側面図、右側面側斜視図、左側面側斜視図、及び背面図である。
【0026】
図3A及び
図3Bに示す搬送部材11、回転軸部材12、及び搬送ローラ13は、例えばトップモジュールM1内に配置されている。
【0027】
図4A〜
図4Cに示すように、搬送部材11は、弾性の複数(例えば8つ)のループ部11aを有し、
図4Aに示す紙幣Bを搬送する。搬送部材11は、例えばゴムなどの弾性部材からなる。
【0028】
複数のループ部11aは、回転軸部材12と平行な中心軸を有し、紙幣Bに接触する。すなわち、複数のループ部11aは、
図4A〜
図4Cにおける左右方向に貫通する中空部を有する。
【0029】
図4Aに示すように、複数のループ部11aのそれぞれは、2点鎖線で示す磁気ラインセンサ100との間に挟み込んだ紙幣Bに接触しながら弾性変形する際に(二点鎖線で示すループ部11a−1参照)、隣接するループ部11aによって支持されるように搬送部材11の回転方向に配列されている。なお、ループ部11aが紙幣Bを介して又は紙幣Bを介さずに磁気ラインセンサ100に接触すると、変形及びすべりが発生するが、隣接する(後続の)弾性のループ部11aに接触し、支持されるため、搬送能力が向上する。
【0030】
磁気ラインセンサ100は、搬送部材11に対向するように配置されている対向部材の一例である。この対向部材は、従動ローラ等の搬送部材ではなく、搬送ガイドプレートなどの搬送力を有さない部材である。
【0031】
紙幣Bの先端は、互いに隣接する2つのループ部11a,11aの間に挟み込まれながら磁気ラインセンサ100に向けて搬送されることが望ましい。これにより、紙幣Bの先端が磁気ラインセンサ100から遠ざかって搬送されてしまっても、互いに隣接する2つのループ部11a,11aが紙幣Bを磁気ラインセンサ100に向けてすくい上げることができる。そのため、紙幣Bのジャムを抑制することもできる。なお、本第1実施形態のループ部11aを有する搬送部材11が配置されずに搬送ローラ13のみによって紙幣Bが搬送される場合には、紙幣Bの先端が磁気ラインセンサ100から遠ざかって搬送されると、搬送ローラ13に接触し、ジャム要因となる。
【0032】
互いに隣接する2つのループ部11a,11aの間には、回転方向の間隔があるが、間隔を隔てずに連続的に設けられていてもよい。
【0033】
図4B及び
図4Dに示すように、搬送部材11には、結束用溝11bが設けられている。この結束用溝11bには、図示しない結束バンドなどの結束部材が挿入される。この結束部材は、結束用溝11bに巻きつけられることで、搬送部材11を回転軸部材12に固定する。
【0034】
図4A及び
図4Bに示すように、搬送部材11の右側面には、搬送部材11の径方向(
図4A及び
図4Bにおける上下方向)の全体に亘って延びる位置決め用溝11cが設けられている。この位置決め用溝11cには、
図3A及び
図3Bに示す回転軸部材12から互いに反対側に突出する2つの位置決めピン12aが挿入される。これにより、搬送部材11は、回転軸部材12に対して回転方向の位置決めがされた状態で、回転軸部材12と一体に回転する。
【0035】
図4A及び
図4Cに示すように、搬送部材11には、この搬送部材11を回転軸部材12に着脱可能に取り付けられるための切り欠き11dが設けられている。搬送部材11は、切り欠き11dを挟んだ両側が回転方向に分離している。
【0036】
搬送部材11は、弾性を有するため、例えば人の手によって切り欠き11dが大きく拡げられた状態で、回転軸部材12から取り外される。また、搬送部材11は、例えば人の手によって切り欠き11dが大きく拡げられた状態で、回転軸部材12に取り付けられる。
【0037】
図3A及び
図3Bに示す搬送ローラ13は、搬送部材11とともに回転軸部材12を回転中心として回転する。一例ではあるが、2つの搬送ローラ13が搬送部材11を挟み込むように配置されている。2つの搬送ローラ13及び単一の搬送部材11は、
図4Aに示す磁気ラインセンサ100に対向するように配置されている。
【0038】
搬送部材11は、単一の回転軸部材12に複数配置されていてもよい。ループ部11aは、
図4Aに二点鎖線で示す搬送ローラ13の外周面よりも径方向に突出する。なお、搬送ローラ13は、弾性のローラであることが望ましく、例えばブラシローラである。
【0039】
以上説明した第1実施形態では、紙葉類取扱装置1は、紙葉類の一例である紙幣Bを搬送する搬送部材11と、この搬送部材11の回転中心となる回転軸部材12とを備え、搬送部材11は、回転軸部材12と平行な中心軸を有する弾性の複数のループ部11aを有し、この複数のループ部11aのそれぞれは、紙幣Bに接触しながら弾性変形する際に、隣接するループ部11aによって支持されるように搬送部材11の回転方向に配列されている。これにより、隣接するループ部11aによって支持されたループ部11aが弾性変形しながら紙幣Bを搬送することができるため、強い搬送力で紙幣Bを搬送することができる。
【0040】
また、本第1実施形態では、紙葉類取扱装置1は、搬送部材11とともに回転軸部材12を回転中心として回転する搬送ローラ13を更に備え、複数のループ部11aは、搬送ローラ13の外周面よりも径方向に突出する。これにより、ループ部11aを有する搬送部材11と搬送ローラ13とによって紙幣Bを搬送することができるため、より強い搬送力で紙幣Bを搬送することができる。
【0041】
また、本第1実施形態では、搬送部材11は、この搬送部材11を回転軸部材12に着脱可能に取り付けられるための切り欠き11dが設けられ、この切り欠き11dを挟んだ両側が回転方向に分離している。これにより、搬送部材11を回転軸部材12に簡単に着脱することができる。
【0042】
<第2実施形態>
図5A〜
図5Dは、搬送部材21を示す左側面図、右側面側斜視図、左側面側斜視図、及び背面図である。
【0043】
本第2実施形態では、
図1〜
図2Bに示す紙葉類取扱装置1、並びに
図3A及び
図3Bに示す回転軸部材12及び搬送ローラ13については上述の第1実施形態と同様にすることができるため、上述の第1実施形態に係る搬送部材11と、本第2実施形態に係る搬送部材21との相違点を中心に説明する。
【0044】
図5A〜
図5Cに示すように、搬送部材21は、弾性の複数(例えば8つ)のループ部21aを有し、
図5Aに示す紙幣Bを搬送する。
【0045】
複数のループ部21aのそれぞれの内部には、ループ支持部21eが設けられている。このループ支持部21eは、ループ部21aの中央(中心軸)近傍まで搬送部材21の径方向外側に突出する。
【0046】
図5Aに示すように、複数のループ部21aのそれぞれは、2点鎖線で示す磁気ラインセンサ100との間に挟み込んだ紙幣Bに接触しながら弾性変形する際に(二点鎖線で示すループ部21a−1参照)、ループ支持部21e及び隣接するループ部21aによって支持されるように搬送部材21の回転方向に配列されている。
【0047】
図5B及び
図5Dに示すように、搬送部材21には、結束用溝21bが設けられている。この結束用溝21bには、図示しない結束バンドなどの結束部材が挿入される。この結束部材は、結束用溝21bに巻きつけられることで、搬送部材21を
図3A及び
図3Bに示す回転軸部材12に固定する。
【0048】
図5Bに示すように、搬送部材21の右側面には、搬送部材21の径方向(
図5Bにおける上下方向)の全体に亘って延びる位置決め用溝21cが設けられている。この位置決め用溝21cには、
図3Bに示す回転軸部材12から互いに反対側に突出する2つの位置決めピン12aが挿入される。これにより、搬送部材21は、回転軸部材12に対して回転方向の位置決めがされた状態で、回転軸部材12と一体に回転する。
【0049】
図5A及び
図5Cに示すように、搬送部材21には、この搬送部材21を回転軸部材12に着脱可能に取り付けられるための切り欠き21dが設けられている。搬送部材21は、切り欠き21dを挟んだ両側が回転方向に分離している。
【0050】
以上説明した第2実施形態では、上述の第1実施形態と同様の事項については同様の効果、すなわち、隣接するループ部21aによって支持されたループ部21aが弾性変形しながら紙幣Bを搬送することができるため、搬送部材21は、強い搬送力で紙幣Bを搬送することができるなどの効果を得ることができる。
【0051】
また、本第2実施形態では、搬送部材21は、ループ部21a内に設けられたループ支持部21eを更に有し、このループ支持部21eは、ループ部21aが紙幣Bに接触しながら弾性変形する際に、ループ部21aを支持する。これにより、ループ部21aを、隣接するループ部21aのみならず、ループ支持部21eによっても支持することができるため、より強い搬送力で紙幣Bを搬送することができる。
【0052】
<第3実施形態>
図6A及び
図6Bは、搬送部材31を示す右側面図及び背面図である。
【0053】
本第3実施形態においても、紙葉類取扱装置1、回転軸部材12、及び搬送ローラ13については上述の第1実施形態と同様にすることができるため、上述の第1実施形態に係る搬送部材11と、本第3実施形態に係る搬送部材31との相違点を中心に説明する。
【0054】
図6A及び
図6Bに示すように、搬送部材31は、回転方向に配列された複数(例えば8つ)の第1のループ部31aと、この複数の第1のループ部31aとは
図3A及び
図3Bに示す回転軸部材12と平行に、すなわち左右方向に間隔を隔てて設けられ、回転方向に配列された複数(例えば8つ)の第2のループ部31eとを有する。
【0055】
複数の第1のループ部31aのそれぞれは、搬送部材31の回転方向において、2つの第2のループ部31eの中央に設けられている。このように、複数の第1のループ部31aのそれぞれは、複数の第2のループ部31eとは回転方向にシフトした位置に設けられているとよい。
【0056】
なお、第1のループ部31a及び第2のループ部31eのうち少なくとも一方の内部に、第2実施形態において述べたループ支持部21eが設けられていてもよい。
【0057】
図6Aに示すように、複数の第1のループ部31aのそれぞれは、上述の
図4A等に二点鎖線で示す磁気ラインセンサ100との間に挟み込んだ紙幣Bに接触しながら弾性変形する際に、隣接する第1のループ部31aによって支持されるように搬送部材31の回転方向に配列されている。
【0058】
同様に、複数の第2のループ部31eのそれぞれは、磁気ラインセンサ100との間に挟み込んだ紙幣Bに接触しながら弾性変形する際に、隣接する第2のループ部31eによって支持されるように搬送部材31の回転方向に配列されている。
【0059】
図6Bに示すように、搬送部材31には、結束用溝31bが設けられている。この結束用溝31bには、図示しない結束バンドなどの結束部材が挿入される。この結束部材は、結束用溝31bに巻きつけられることで、搬送部材31を
図3A及び
図3Bに示す回転軸部材12に固定する。
【0060】
図6Aに示すように、搬送部材31の右側面には、搬送部材31の径方向(
図6Aにおける上下方向)の全体に亘って延びる位置決め用溝31cが設けられている。この位置決め用溝31cには、
図3Bに示す回転軸部材12から互いに反対側に突出する2つの位置決めピン12aが挿入される。これにより、搬送部材31は、回転軸部材12に対して回転方向の位置決めがされた状態で、回転軸部材12と一体に回転する。
【0061】
図6Aに示すように、搬送部材31には、この搬送部材31を回転軸部材12に着脱可能に取り付けられるための切り欠き31dが設けられている。搬送部材31は、切り欠き31dを挟んだ両側が回転方向に分離している。
【0062】
以上説明した第3実施形態では、上述の第1実施形態と同様の事項については同様の効果、すなわち、隣接するループ部(第1のループ部31a又は第2のループ部31e)によって支持されたループ部が弾性変形しながら紙幣Bを搬送することができるため、搬送部材31は、強い搬送力で紙幣Bを搬送することができるなどの効果を得ることができる。
【0063】
また、本第3実施形態では、搬送部材31が有する複数のループ部は、回転方向に配列された複数の第1のループ部31aと、この複数の第1のループ部31aとは回転軸部材12と平行に間隔を隔てて設けられ、回転方向に配列された複数の第2のループ部31eとを含み、複数の第1のループ部31aのそれぞれは、複数の第2のループ部31eとは回転方向にシフトした位置に設けられている。これにより、隣接する第1のループ部31aによって支持される第1のループ部31aのみならず、隣接する第2のループ部31eによって支持される第2のループ部31eによっても紙幣Bを搬送することができるため、より強い搬送力で紙幣Bを搬送することができる。
【0064】
なお、以上説明した第1〜第3実施形態のループ部11a,21a、第1のループ部31a、及び第2のループ部31eは、搬送部材11,21,31の径方向に1つのみ設けられているが、例えばハニカム形状のように搬送部材11,21,31の径方向及び回転方向に複数連なって設けられていてもよい。
【0065】
また、本発明は、上述した第1〜第3実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、第1〜第3実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、第1〜第3実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせてもよい。このように、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において発明の種々の変形や応用が可能である。