(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示されたシリンジアセンブリの構成では、プランジャをロック状態あるいはロック解除状態に持っていくのにプランジャの回転操作が必要となり、余分な操作を強いられるという課題がある。また、固定機構の構成が複雑であり、製造コストがかかるという課題もある。
【0007】
そこで、本発明は、バルーンに過剰な圧をかけてしまう虞がなく、かつ、プランジャをロック状態あるいはロック解除状態に持っていくのにプランジャの回転操作を必要としないバルーンカテーテルシステムを低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明に係るバルーンカテーテルシステムの構成は、
(1)先端領域にバルーンが設けられたバルーンカテーテルと、
前記バルーンカテーテルの後端に着脱可能に接続される活栓と、
前記活栓に着脱可能に取り付けられ、前記バルーンカテーテルの前記バルーンを拡張及び収縮させるシリンジと、を
有し、かつ、
前記バルーンカテーテルをガイディングカテーテル内に挿入した状態で前記バルーンを拡張することにより、前記ガイディングカテーテルの内周面にガイドワイヤを付勢して固定し、OTW (Over The Wire)型カテーテルの挿入及び/又は抜去を補助するために用いられるバルーンカテーテルシステムであって、
前記シリンジは、
内周面の長手方向途中に突起を備えた筒状のバレルと、
前記バレル内を長手方向にスライド可能に設けられ、前記突起と嵌合する環状凹部
を形成する後端側の円板を備えたプランジャと、を有し、
かつ、
前記プランジャを前記バレルの後端側にスライドさせて前記円板が前記突起に当接する第一の位置に移動させることで、前記バルーンを拡張して前記ガイドワイヤを固定するために必要な量のバルーン拡張媒体を前記バレル内に吸引可能であり、
前記突起と前記環状凹部は、前記プランジャを
前記第一の位置よりもさらに前記バレルの後端側にスライドさせることで嵌合するように配置されており、
前記バルーン拡張媒体を吸引した前記シリンジと前記バルーンカテーテルを接続した状態で、前記プランジャを前記バレルの先端側にスライドさせることで、前記バルーン拡張媒体を注入して前記バルーンを拡張し、前記ガイドワイヤを前記ガイディングカテーテルの内周面に付勢して固定した後、前記バルーンを収縮させる際に
、前記第一の位置よりも後端側の、前記環状凹部を前記突起に嵌合させ
る第二の位置まで前記プランジャを引いて陰圧をかけた状態で、前記バルーン拡張媒体が抜けるまで前記プランジャをロックされた状態で維持可能であることを特徴とする。
【0009】
本発明のバルーンカテーテルシステムの上記(1)の構成は、次のような作用効果を奏する。
すなわち、上記(1)の構成によれば、バルーン拡張用デバイスとして、プランジャを長手方向にスライドさせて圧をかける構造であり、非特許文献1のようにプランジャハンドルを回転させて高圧をかけられる構造ではないため、バルーンに過剰な圧をかけてしまう虞がない。その結果、バルーンの拡張を安全に行うことが可能となる。また、プランジャをバレル内でスライドさせるだけで、環状凹部を突起に嵌合させて、プランジャをロック状態とし、あるいは、突起と環状凹部との嵌合状態を解除して、プランジャをロック解除状態にすることができる。その結果、回転操作することなく、プランジャをロック状態あるいはロック解除状態に持っていくことが可能となる。また、この場合のプランジャのロック機構は、バレル内周面の長手方向途中に備えられた突起と、プランジャに備えられた、突起と嵌合する環状凹部と、だけからなるシンプルなものであるため、製造コストを抑えることが可能となる。
従って、上記(1)の構成によれば、バルーンに過剰な圧をかけてしまう虞がなく、かつ、プランジャをロック状態あるいはロック解除状態に持っていくのにプランジャの回転操作を必要としないバルーンカテーテルシステムを低コストで提供することができる。
【0010】
また、上記(1)の構成によれば、プランジャが備える(嵌合)凹部が環状凹部であるため、プランジャを回転させても(どの位相でも)、プランジャの凹部をバレルの突起に嵌合させることができる。
また、上記(1)の構成によれば、突起と環状凹部が、プランジャをバレルの後端側にスライドさせることで嵌合するように配置されているため、バルーンを収縮させる際に、突起の位置までプランジャを引き、ロックした状態で放置して、バルーン拡張媒体が抜けるまで待つことができる。
【0011】
本発明のバルーンカテーテルシステムの上記(1)の構成においては、以下の(2)
,(3)のような構成にすることが好ましい。
【0013】
(2)上記
(1)の構成において、前記突起と前記環状凹部との嵌合状態は、前記プランジャを前又は後ろに移動させることで解除される。上記
(2)の好ましい構成によれば、プランジャのロック状態を簡単に解除することができる。
【0014】
(3)上記
(1)又は(2)の構成において、前記バルーンカテーテルは、トラッピングバルーンカテーテルである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、バルーンに過剰な圧をかけてしまう虞がなく、かつ、プランジャをロック状態あるいはロック解除状態に持っていくのにプランジャの回転操作を必要としないバルーンカテーテルシステムを低コストで提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、好適な実施形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、下記の実施形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
[バルーンカテーテルシステムの構成]
まず、本発明の一実施形態におけるバルーンカテーテルシステムの構成について、
図1〜
図4を参照しながら説明する。なお、以下に記載する各構成要素の寸法(内径、長さなど)の値及び材料は、一例であり、本発明はこれらの値又は材料に限定されるものではない。
【0019】
図1に示すバルーンカテーテルシステムは、先端領域にバルーン11が設けられたバルーンカテーテル10と、バルーンカテーテル10の後端に着脱可能に接続される一方活栓(活栓)20と、一方活栓20に着脱可能に取り付けられ、バルーンカテーテル10のバルーン11を拡張及び収縮させる、バルーン拡張用デバイスとしてのシリンジ30と、を有するものである。
【0020】
図1〜
図4に示すように、シリンジ30は、内周面の長手方向途中に径方向内方に突出した略半球状の突起31aを1個備えた筒状のバレル31と、バレル31内を長手方向にスライド可能に設けられ、突起31aと嵌合する環状凹部32aを備えたプランジャ32と、を有している。
本実施形態においては、バルーン拡張用デバイスとして、非特許文献1の場合(バレル内径:略28mm)と比べてバレル内径の小さいシリンジ30が用いられている。
突起31aの高さは1.4〜1.6mm、環状凹部32aの深さは3〜5mmの数値範囲にあることが好ましい。突起31aの高さ及び環状凹部32aの深さがかかる好ましい数値範囲にあれば、環状凹部32aを突起31aに楽に嵌合させることができ、また、嵌合状態の解除も容易となる。すなわち、過剰な力を入れることなく、適度な力で嵌合、嵌合解除ができ、ロック状態も不用意に解除されることのない適切なロック状態とすることができる。
【0021】
本実施形態のバルーンカテーテルシステムの構成によれば、バルーン拡張用デバイスとして、プランジャ32を長手方向にスライドさせて圧をかける構造であり、非特許文献1のようにプランジャハンドルを回転させて高圧をかけられる構造ではないため、バルーンに過剰な圧をかけてしまう虞がない。その結果、バルーン11の拡張を安全に行うことが可能となる。また、プランジャ32をバレル31内でスライドさせるだけで、環状凹部32aを突起31aに嵌合させて、プランジャ32をロック状態とし、あるいは、突起31aと環状凹部32aとの嵌合状態を解除して、プランジャ32をロック解除状態にすることができる。その結果、回転操作することなく、プランジャ32をロック状態あるいはロック解除状態に持っていくことが可能となる。また、この場合のプランジャ32のロック機構は、バレル内周面の長手方向途中に備えられた突起31aと、プランジャ32に備えられた、突起31aと嵌合する環状凹部32aと、だけからなるシンプルなものであるため、製造コストを抑えることが可能となる。
従って、本実施形態のバルーンカテーテルシステムの構成によれば、バルーン11に過剰な圧をかけてしまう虞がなく、かつ、プランジャ32をロック状態あるいはロック解除状態に持っていくのにプランジャ32の回転操作を必要としないバルーンカテーテルシステムを低コストで提供することができる。
【0022】
また、かかる構成によれば、プランジャ32が備える(嵌合)凹部が環状凹部32aであるため、プランジャ32を回転させても(どの位相でも)、プランジャ32の凹部をバレル31の突起31aに嵌合させることができる。
【0023】
以下、さらに詳細に説明する。
図1〜
図4に示すバレル31は、長手方向の長さが略60mm、内径が略9.70mmの円筒状の外形を有している。バレル31の先端には、注液口31bと、注液口31bの外周部を囲むように形成された円筒状の接続部31cと、が設けられており、接続部31cの内周面には雌ネジが螺刻されている。また、一方活栓20の一端には、フランジ状雄ネジ(図示せず)が形成されている。そして、これにより、バレル31を一方活栓20の一端部に着脱可能に螺着できるようにされている。バレル31の後端には、第1フランジ31dが設けられている。
【0024】
プランジャ32の先端部には、2枚の小円板32b,32cが軸方向に所定の間隔を空けて配置されており、これにより、環状凹部32aが形成されている。プランジャ32の先端の小円板32b上には、バレル31の内周面と液密状態で摺接するガスケット32dが固着されている。プランジャ32の後端には、第2フランジ32eが設けられている。
【0025】
図2〜
図4に示すように、バレル31の内周面の突起31aとプランジャ32の環状凹部32aは、プランジャ32をバレル31の後端側にスライドさせることで(
図3の矢印Aを参照)嵌合するように配置されている。かかる構成によれば、バルーン11を収縮させる際に、突起31aの位置までプランジャ32を引き、ロックした状態で放置して、後述するバルーン拡張媒体が抜けるまで待つことができる(
図6の状態)。
また、バレル31の内周面の突起31aは、プランジャ32の環状凹部32aを形成する後端側の小円板32cが当接したときに(
図3の状態)、ガスケット32dの先端がバレル31の公称容量(2ml)目盛りの位置に略来るように配置されている。
突起31aと環状凹部32aとの嵌合状態は、プランジャ32を前又は後ろに移動させることで解除される(
図4の矢印B,Cを参照)。かかる構成によれば、プランジャ32のロック状態を簡単に解除することができる。
【0026】
バレル31は、少なくとも内部を視認できる程度の透明又は半透明の樹脂材料によって形成されることが好ましい。バレル31の材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、環状オレフィン樹脂等が挙げられる。
ガスケット32dは、例えば、加硫ゴム又は熱可塑性エラストマー等の弾性体によって形成される。また、プランジャ32におけるガスケット32d以外の部分は、例えば、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン等の硬質又は半硬質樹脂によって形成されることが好ましい。
【0027】
図1に示すバルーンカテーテル10は、ガイディングカテーテル101のルーメン101a内に挿入した状態で、ガイディングカテーテル101の内周面101bにガイドワイヤ102を付勢して固定し、例えば、貫通用カテーテル、マイクロカテーテル、通常の治療用又は診断用のバルーンカテーテル等の種々のカテーテル103の挿入及び/又は抜去を補助するために用いられるトラッピングバルーンカテーテルである(
図7,
図8,
図8(b)の矢印H,Iを参照)。以下、この「バルーンカテーテル10」を「トラッピングバルーンカテーテル10」とも表記する。
図8中、参照符号105は血管を示している(
図9,
図10においても同じ)。
【0028】
トラッピングバルーンカテーテル10は、カテーテルシャフト2と、カテーテルシャフト2の先端領域に設けられる上記バルーン11と、カテーテルシャフト2の外周面2cに設けられるストッパ6と、を有している。カテーテルシャフト2には、軸方向に沿ってバルーン拡張用ルーメン(図示せず)が形成されている。カテーテルシャフト2は、ハブ3にストレインリリーフ(耐キンクプロテクタ)7を介して接続されている。バルーン11は、ハブ3の基端開口部からバルーン拡張媒体が注入されることによって拡張可能となっている。そして、バルーン11は、ガイディングカテーテル101のルーメン101a内で拡張することで、ガイディングカテーテル101の内周面101bにガイドワイヤ102を付勢して固定する(
図8(b)を参照)。
なお、バルーン11の両端外側(近位側及び遠位側)には、バルーン11の位置をX線透視下で確認することを可能とするために、X線不透過マーカ11a,11bが配置されている。
【0029】
ストッパ6は、ロックした状態でカテーテルシャフト2の長手方向の所定の位置に固定でき、ロックを解除した状態でカテーテルシャフト2の外周面2cを長手方向にスライドして移動可能とするロック機構と、トラッピングバルーンカテーテル10の前後移動操作及び回転操作の際に把持される把持部6aと、ガイディングカテーテル101の基端部に設けられるY型コネクタ(接続デバイス)104(
図7を参照)の後端に当接する当接部6bと、を備えている。そして、ロックする位置を変えることで、トラッピングバルーンカテーテル10の、ガイディングカテーテル101のルーメン101a内への挿入長さを調整可能となっている。
カテーテルシャフト2には、先端2bから長さ90cmの位置に目印M1が設けられ、先端2bから長さ100cmの位置に目印M2が設けられている。そして、使用するガイディングカテーテル101(
図7を参照)の有効長に応じて、目印M1又は目印M2のいずれかにストッパ6の先端を合わせて固定される(ロックされる)。
【0030】
カテーテルシャフト2は、可撓性を有する材料によって形成される。カテーテルシャフト2の材料としては、例えば、ステンレス鋼、ポリアミド等であることが好ましい。
カテーテルシャフト2の外径は1.7Fr(0.55mm)であり、全長(後端2aから先端2bまでの長さ(有効長))は1170mmである。また、トラッピングバルーンカテーテル10の全長(ハブ3の後端からカテーテルシャフト2の先端2bまでの長さ)は1264mmである。
本実施形態のカテーテルシャフト2は、具体的には、先端領域を除く部分がステンレス鋼によって形成されており、先端領域がポリアミドによって形成されている。この場合、ステンレス鋼(銀色)には、先端領域付近と目印M1,M2部分を除いて、PTFEコーティング(黒色)が施されており、これにより、先端領域部分と目印M1,M2部分が他の部分よりも目立つようにされている。
【0031】
バルーン11も、可撓性を有する材料によって形成される。バルーン11の材料としては、例えば、ポリアミド等であることが好ましい。
バルーン11の推奨拡張圧は8atm(0.8MPa)、最大拡張圧は14atm(1.4MPa)である。また、推奨拡張圧でのバルーン外径は2.75mm、バルーン有効長は20mmである。
バルーン拡張媒体としては、例えば、希釈造影剤(造影剤と生理食塩水の混合液)が用いられる。
【0032】
[バルーンカテーテルシステムの使用方法]
次に、本発明の一実施形態におけるバルーンカテーテルシステムの使用方法について、
図5〜
図10をも参照しながら説明する。
本実施形態のバルーンカテーテルシステムは、例えば、カテーテルを用いた低侵襲性の術式である経皮的冠動脈形成術(PTCA)においてカテーテルの交換を補助する目的で使用される。PTCAでは、ガイディングカテーテル内において、血管等の治療中に、診断用のカテーテルと治療用のカテーテルとを交換して治療が行われる。
【0033】
(術前準備)
以下の手順で、トラッピングバルーンカテーテル10のバルーン11及びバルーン拡張用ルーメン内のエアを除去する。
(イ)
図5に示すように、バルーン拡張媒体である希釈造影剤を注入したシリンジ30を、ハブ3と接続した一方活栓20に取り付け、トラッピングバルーンカテーテル10の先端2bが下方を向くようにする。
(ロ)シリンジ30によって十分に陰圧をかけた後、ゆっくりと陰圧を解除して、トラッピングバルーンカテーテル10のバルーン11及びバルーン拡張用ルーメン内を希釈造影剤で満たし、エアを除去する。
(ハ)上記(ロ)の操作を繰り返し、トラッピングバルーンカテーテル10のバルーン11及びバルーン拡張用ルーメン内のエアを完全に除去する。
(ニ)シリンジ30を、ハブ3と接続した一方活栓20から取り外し、シリンジ30内のエアを除去する。
(ホ)シリンジ30を、ハブ3と接続した一方活栓20に再度取り付けて陰圧をかける。そして、シリンジ30内にエアが戻らなくなったことを確認した後、ゆっくりと陰圧を解除する。
【0034】
(トラッピングバルーンカテーテルの挿入、カテーテルの交換及びトラッピングバルーンカテーテルの抜去)
まず、
図1に示すように、使用するガイディングカテーテル101(
図7を参照)の有効長(90cm又は100cm)に応じて、目印M1又は目印M2のいずれかにストッパ6の先端を合わせて固定する(ロックする)。
次いで、
図2に示すように、シリンジ30に一方活栓20を取り付け、滅菌された容器に満たされた希釈造影剤の中に一方活栓20を入れる。そして、プランジャ32を手前に引いて(
図2の矢印Dを参照)、
図3に示すように、環状凹部32aを形成する後端側の円板32cを突起31aに当接させる。これにより、公称容量(2ml)の希釈造影剤がシリンジ30内に吸引される。吸引した希釈造影剤がエアに置換されることを防止するため、一方活栓20のコック20aは閉めておく。
【0035】
次いで、
図9(a),(b)に示すように、ガイドワイヤ102を固定した状態で、抜去するカテーテル(例えば、OTW (Over The Wire)型カテーテル)103のハブがガイドワイヤ102の後端付近に来るまで、ガイディングカテーテル101内へ十分に引き戻す(
図9(a)の矢印Jを参照)。
【0036】
次いで、
図7,
図8(a)、
図9(c)に示すように、OTW型カテーテル103を固定した状態で、トラッピングバルーンカテーテル10を、X線透視下でガイディングカテーテル101内へ挿入し、ストッパ6の当接部6bを、ガイディングカテーテル101の基端部に設けられたY型コネクタ(接続デバイス)104の後端に当接させる。その際、トラッピングバルーンカテーテル10のバルーン11の近位側のX線不透過マーカ11aがOTW型カテーテル103の先端よりも遠位にあることを確認する。
【0037】
次いで、
図5に示すように、希釈造影剤を吸引したシリンジ30に取り付けた一方活栓20を、トラッピングバルーンカテーテル10のハブ3の基端開口部に接続する。
次いで、
図5,
図8(b),
図9(d)に示すように、一方活栓20のコック20aを開き、シリンジ30で希釈造影剤を注入して(
図5の矢印Eを参照)、トラッピングバルーンカテーテル10のバルーン11を拡張する。これにより、ガイディングカテーテル101の内周面101bにガイドワイヤ102を付勢して固定する。その際、ガイドワイヤ102の手元部を軽く引っ張り、ガイドワイヤ102が固定状態にあることを確認する。ガイドワイヤ102の固定が十分でない場合には、バルーン11の最大拡張圧14atm(1.4MPa)を超えない範囲で、ガイドワイヤ102が十分に固定されるまで加圧する。ガイドワイヤ102が十分に固定されたら、希釈造影剤の注入を止め、一方活栓20のコック20aを閉める。
本実施形態においては、バルーン拡張用デバイスとして、非特許文献1の場合(バレル内径:略28mm)と比べてバレル内径の小さいシリンジ30(バレル内径:略9.70mm)が用いられているため、バルーン11に過剰な圧をかけてしまう虞がない。その結果、バルーン11の拡張を安全に行うことが可能となる。
【0038】
次いで、
図9(d),(e)に示すように、ガイドワイヤ102の位置が保たれていることをX線透視下で観察しながら、OTW型カテーテル103をゆっくり抜去する(
図9(d)の矢印Kを参照)。
【0039】
次いで、
図1,
図3,
図5,
図6,
図9(f)に示すように、一方活栓20のコック20aを開き、シリンジ30で陰圧を付与して(
図1の矢印F、
図3の矢印Aを参照)、トラッピングバルーンカテーテル10のバルーン11を収縮させる。その際、X線透視下でバルーン11が完全に収縮したことを確認する。
このようにバルーン11を収縮させる際には、突起31aの位置までプランジャ32を引き(
図1の矢印F、
図3の矢印Aを参照)、さらにプランジャ32を引いて(
図5の矢印Gを参照)環状凹部32aを突起31aに嵌合させ、ロックした状態で放置して、希釈造影剤が抜けるまで待つことができる(
図6の状態)。
【0040】
次いで、
図9(f),(g)に示すように、ガイドワイヤ102の位置を保持し、トラッピングバルーンカテーテル10のバルーン11を完全に収縮させた状態で、トラッピングバルーンカテーテル10をガイディングカテーテル101から過度な力が加わらないようゆっくり慎重に抜去する(
図9(f)の矢印Lを参照)。
【0041】
図7に示すY型コネクタ(接続デバイス)104からの逆血を確認し、ガイディングカテーテル101内に入り込んだエアを除去してから次の作業に移る。
【0042】
OTW型カテーテル103の抜去に引き続き、他のOTW型やモノレール式のカテーテルの挿入(カテーテルの交換)が必要な場合には、
図9(e)に示すように、トラッピングバルーンカテーテル10のバルーン11を拡張し、ガイディングカテーテル101の内周面101b(
図8を参照)にガイドワイヤ102を付勢して固定した状態にしておく。
【0043】
そして、
図10(h)に示すように、当該他のOTW型カテーテル106を、トラッピングバルーンカテーテル10のバルーン11の近位側のX線不透過マーカ11a付近までガイドワイヤ102に沿ってゆっくり挿入する(
図10(h)の矢印Nを参照)。
【0044】
次いで、
図1,
図3,
図5,
図6,
図10(i)に示すように、一方活栓20のコック20aを開き、シリンジ30で陰圧を付与して(
図1の矢印F、
図3の矢印Aを参照)、トラッピングバルーンカテーテル10のバルーン11を収縮させる。その際、X線透視下でバルーン5が完全に収縮したことを確認する。
【0045】
次いで、
図10(i),(j)に示すように、ガイドワイヤ102の位置を保持し、トラッピングバルーンカテーテル10のバルーン11を完全に収縮させた状態で、トラッピングバルーンカテーテル10をガイディングカテーテル101から過度な力が加わらないようゆっくり慎重に抜去する(
図10(i)の矢印Pを参照)。
【0046】
次いで、
図10(j),(k)に示すように、ガイドワイヤ102を固定した状態で、OTW型カテーテル106を押し込んで(
図10(j)の矢印Qを参照)、当該OTW型カテーテル106をガイディングカテーテル101の先端から飛び出させる。
【0047】
次いで、
図10(k),(l)に示すように、OTW型カテーテル106を固定した状態で、ガイドワイヤ102をゆっくり抜去する
。
以上により、カテーテルの交換が完了する。
【0048】
なお、本実施形態においては、内径が略9.70mmのバレル31を有するシリンジ30を例に挙げて説明した。しかし、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。バレルの内径は、9.0〜11.0mmの数値範囲にあればよい。バルーンカテーテル10のバルーン11を破壊するために必要となる過剰な圧力は20atm(2.0MPa)程度であるが、バレルの内径がかかる数値範囲にあれば、その圧力をかけることが一般的な人間であれば不可能であるため、バルーン11に過剰な圧をかけてしまう虞はない。その結果、バルーン11の拡張を安全に行うことが可能となる。
【0049】
また、本実施形態においては、バレル31の内周面の長手方向途中に略半球状の突起31aを1個備える場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。突起は、バレル内周面の円周方向に沿って複数個(例えば、2個乃至3個)設けられていてもよい。また、突起は、環状凹部が嵌合する形状のものであればよく、例えば、環状突起であってもよい。
【0050】
また、本実施形態においては、バルーンカテーテル10が、種々のカテーテルの挿入及び/又は抜去を補助するために用いられるトラッピングバルーンカテーテルである場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。バルーンカテーテル10は、例えば、治療用又は診断用のバルーンカテーテルであってもよい。
【課題】バルーンに過剰な圧をかけてしまう虞がなく、かつ、プランジャをロック状態あるいはロック解除状態に持っていくのにプランジャの回転操作を必要としないバルーンカテーテルシステムを低コストで提供する。
【解決手段】バルーンカテーテルシステムは、先端領域にバルーン11が設けられたバルーンカテーテル10と、バルーンカテーテル10の後端に着脱可能に接続される一方活栓20と、一方活栓20に着脱可能に取り付けられ、バルーンカテーテル10のバルーン11を拡張及び収縮させるシリンジ30と、を有する。ここで、シリンジ30は、内周面の長手方向途中に突起31aを備えた筒状のバレル31と、バレル31内を