(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100051
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】木材用下塗剤、木材の塗装方法及び塗装木材
(51)【国際特許分類】
C09D 183/06 20060101AFI20220628BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20220628BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20220628BHJP
B27K 5/00 20060101ALI20220628BHJP
B05D 7/06 20060101ALI20220628BHJP
B05D 1/36 20060101ALI20220628BHJP
B32B 21/08 20060101ALI20220628BHJP
C09D 183/07 20060101ALI20220628BHJP
C09D 183/08 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
C09D183/06
C09D5/00 D
C09D7/61
B27K5/00 D
B05D7/06 Z
B05D1/36 Z
B32B21/08
C09D183/07
C09D183/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214187
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】391029635
【氏名又は名称】玄々化学工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】506209422
【氏名又は名称】地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188765
【弁理士】
【氏名又は名称】赤座 泰輔
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】大木 博成
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 拓美
(72)【発明者】
【氏名】村井 まどか
(72)【発明者】
【氏名】石田 祐也
(72)【発明者】
【氏名】佐熊 範和
【テーマコード(参考)】
2B230
4D075
4F100
4J038
【Fターム(参考)】
2B230AA08
2B230AA11
2B230AA12
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2B230CA07
2B230CA15
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2B230EB03
4D075AE03
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4J038DL031
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4J038HA446
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4J038NA03
4J038PA07
4J038PB03
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4J038PC06
(57)【要約】
【課題】木材用下塗剤から形成された塗膜が、塗布された木材への水の浸入を防ぎ、木材の変色を抑制し、耐候性の向上を図ることができる木材用下塗剤を提供すること。
【解決手段】本発明の木材用下塗剤は、コロイダルシリカ分散液と、アルコキシ基又はヒドロキシ基の少なくとも何れか1種と有機官能基とを有する有機ケイ素化合物と、を含有するものである。コロイダルシリカ分散液と有機ケイ素化合物は、シリカ-シラン複合体を形成し、木材用下塗剤が木材に塗布された際に、シリカ-シラン複合体がその大きさから木材の木繊維の凹凸に入り込み、木材の表面を覆う。木材の表面を覆うシリカ-シラン複合体は、コロイダルシリカ含有ポリシロキサン層を形成し、コロイダルシリカの末端基、有機ケイ素化合物のアルコキシ基及びヒドロキシ基が木繊維(セルロースあるいはリグニン)と結合し、木材繊維に強固に密着する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロイダルシリカ分散液と、アルコキシ基又はヒドロキシ基の少なくとも何れか1種と有機官能基とを有する有機ケイ素化合物と、を含有することを特徴とする木材用下塗剤。
【請求項2】
前記有機官能基が炭化水素基、(メタ)アクリロキシ基、エポキシ基、アミノ基又はメルカプト基の少なくとも何れか1種であることを特徴とする請求項1に記載の木材用下塗剤。
【請求項3】
前記コロイダルシリカ分散液が揮発性有機溶媒又は水の少なくとも何れか1種を有する溶媒に分散されたシリカゾルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の木材用下塗剤。
【請求項4】
前記有機ケイ素化合物がアルコキシ基と有機官能基を有する有機ケイ素化合物であり、該アルコキシ基が、メトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の木材用下塗剤。
【請求項5】
木材に、請求項1~4のいずれかに記載の木材用下塗剤を塗布する下塗工程と、該木材用下塗剤が塗布された木材に、可とう型アクリル樹脂を含有する木材用塗料を塗布する仕上工程と、を有することを特徴とする木材の塗装方法。
【請求項6】
木材と、
該木材の表層に密着した、請求項1~4のいずれかに記載の木材用下塗剤が成膜した下塗塗膜と、
該下塗塗膜の表層に密着した、可とう型アクリル樹脂を含有する木材用塗料が成膜した上塗塗膜と、
を備えることを特徴とする塗装木材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐候性に優れる木材用下塗剤及び木材の塗装方法並びに塗装木材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、木材は、しなやかさを有し軽量であり見栄えも良いため、建築用材料や家具等工業用材料として使用されている。木材には、変色防止、腐朽防止又は害虫予防の観点から木材用塗料が塗装され、木材の耐久性の向上が図られている。
【0003】
木材に塗装される木材用塗料として、特許文献1には、木材用塗料から形成される塗膜の伸び率が25~100%である木材用塗料が記載されている。この木材用塗料は、伸び率が25~100%であることによって、木材の伸縮に対して追従することができ、経時的な塗膜の剥がれや欠損を抑制し、耐候性の向上を図ることができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
木材は、水が侵入することによって濡れ色に変色する特性を有している。また、木材は、吸放湿性を有し、木材自体が膨張と収縮とを繰り返す伸縮性を有している。木材の伸縮性は、その伸縮の長さ割合からすると大きいものではないが、常に伸縮を繰り返すものである。従来の木材用塗料から形成された塗膜は、木材の伸縮に追従することができるものの、長期的な伸縮の繰り返しにより、塗膜に微細な亀裂が生じるおそれがある。亀裂が生じた際には、この亀裂から水が侵入することによって、従来の木材用塗料が塗布された木材は、濡れ色に変色するおそれがあるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、木材用下塗剤から形成された塗膜が、塗布された木材への水の浸入を防ぎ、木材の変色を抑制することができる木材用下塗剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の木材用下塗剤は、コロイダルシリカ分散液と、アルコキシ基又はヒドロキシ基の少なくとも何れか1種と有機官能基とを有する有機ケイ素化合物と、を含有することを特徴とする。
【0008】
本発明の木材用下塗剤によれば、木材用下塗剤は、コロイダルシリカの末端基に、有機ケイ素化合物のアルコキシ基又はヒドロキシ基(アルコキシ基が加水分解したヒドロキシ基を含む。)が結合して、シラン-シリカ複合体が形成される。被塗装物となる木材は、水を通す仮道管の存在によって、その表面が凹凸状になっている。凹凸状の仮道管の太さ(短手方向の長さ)は、例えば杉(cryptomeria)であれば、10~50μmである。シラン-シリカ複合体の粒子径は、5~150nmであり、本発明の木材用下塗剤によれば、木材の凹凸の表面にシラン-シリカ複合体を被覆させることができる。また、木材用下塗剤のシラン-シリカ複合体は、コロイダルシリカの末端基と、有機ケイ素化合物のヒドロキシ基(シラノール基)と、アルコキシ基とが、木繊維(セルロースあるいはリグニン成分)のヒドロキシ基と結合し、木材繊維に強固に密着することができる。木材用下塗剤が木材に塗布されることによって、木材繊維を覆うようにシラン-シリカ複合体の粒子が層となり積層され、木材は、水の浸入が防がれ、木材の変色が抑制されるものとなる。また、木材用下塗剤は、有機ケイ素化合物が有機官能基を有しているため、木材用下塗剤に塗布する上塗剤との密着性に優れるものとすることができる。
【0009】
ここで、上記木材用下塗剤において、前記有機官能基が炭化水素基、(メタ)アクリロキシ基、エポキシ基、アミノ基又はメルカプト基の少なくとも何れか1種であるものとすることができる。
【0010】
これによれば、木材用下塗剤に塗布する上塗剤との密着性により優れるものとすることができる。
【0011】
また、上記木材用下塗剤において、前記コロイダルシリカ分散液が揮発性有機溶媒又は水の少なくとも何れか1種を有する溶媒に分散されたシリカゾルであるものとすることができる。
【0012】
これによれば、木材用下塗剤は、コロイダルシリカ分散液の分散媒が揮発性有機溶媒又は水の少なくとも何れか1種を有する溶媒であるため、乾燥性に優れるものとすることができる。
【0013】
また、上記木材用下塗剤において、前記有機ケイ素化合物がアルコキシ基と有機官能基を有する有機ケイ素化合物であり、該アルコキシ基が、メトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基であるものとすることができる。
【0014】
これによれば、有機ケイ素化合物のメトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基は、容易に加水分解し、ヒドロキシ基に変化する。この加水分解の反応副生成物はメタノール、エタノール又はプロパノールであり、揮発するため、木材用下塗剤への影響を少ないものとすることができる。
【0015】
本発明の木材の塗装方法は、木材に、上記木材用下塗剤を塗布する下塗工程と、該木材用下塗剤が塗布された木材に、可とう型アクリル樹脂を含有する木材用塗料を塗布する仕上工程と、を有するものとすることができる。
【0016】
本発明の塗装方法によれば、仕上工程で形成される仕上塗膜が、可とう型アクリル樹脂を含有する木材用塗料から形成され、木材の伸縮に追従することができるため、塗布された木材の耐候性を向上させることができる。また、下塗工程で形成される木材用下塗剤から成膜した下塗塗膜が、仕上塗膜に被覆されて、仕上塗膜と下塗塗膜の2つの塗膜によって、木材は、水の浸入が防がれる。このため、本発明の塗装方法から形成される塗装塗膜(仕上塗膜及び下塗塗膜)は、より耐候性に優れるものとすることができる。
【0017】
本発明の塗装木材は、木材と、
該木材の表層に密着した、上記の木材用下塗剤が成膜した下塗塗膜と、
該下塗塗膜の表層に密着した、可とう型アクリル樹脂を含有する木材用塗料が成膜した上塗塗膜と、
を備えるものとすることができる。
【0018】
本発明の塗装木材によれば、水の浸入が防がれ、木材の変色が抑制されるものとなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の木材用下塗剤によれば、木材は、水の浸入が防がれ、木材の変色を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る木材用下塗剤の実施形態について説明する。実施形態の木材用下塗剤は、コロイダルシリカ分散液と、アルコキシ基又はヒドロキシ基の少なくとも何れか1種と、有機官能基を有する有機ケイ素化合物(以下、単に有機ケイ素化合物と称することがある。)と、を、含有するものである。
【0021】
実施形態の木材用下塗剤は、コロイダルシリカの末端の水酸基に、有機ケイ素化合物のアルコキシ基、ヒドロキシ基(アルコキシ基が加水分解したヒドロキシ基を含む。以下同じ。)が結合して、粒子径が10nmオーダーのシラン-シリカ複合体が形成される。
【0022】
木材用下塗剤が木材に塗布された際に、10nmオーダーのシラン-シリカ複合体は、その大きさから木材の木繊維の凹凸を形成する仮道管(10~50μm)に入り込み、木材の表面を覆う。木材の表面を覆うシラン―シリカ複合体粒子は、コロイダルシリカの末端の水酸基と有機ケイ素化合物のアルコキシ基とヒドロキシ基とが木材繊維(セルロースあるいはリグニン成分)のヒドロキシ基と結合(脱水縮合)し、木材繊維に強固に密着する。木材に塗布された木材用下塗剤は、シラン-シリカ複合体が成膜したコロイダルシリカ含有ポリシロキサン層を形成し、塗布が重ねられることによって、コロイダルシリカ含有ポリシロキサン層が積層される。これにより、木材への水の浸入が防がれ、木材の変色が抑制される。また、木材用下塗剤は、有機ケイ素化合物が有機官能基を有しているため、木材用下塗剤が成膜した塗膜(コロイダルシリカ含有ポリシロキサン層)に塗布される合成樹脂系上塗剤との密着性(又は親和性)に優れるものである。
【0023】
コロイダルシリカ分散液とは、コロイダルシリカが分散媒に分散された分散液であり、分散媒として揮発性有機溶媒又は水の少なくとも何れか1種を有する溶媒が使用される。なお、分散媒に有機溶媒が使用されたコロイダルシリカ分散液は、オルガノシリカゾルとも称されるものである。分散媒は、木材用下塗剤の成膜過程において揮発して、木材用下塗剤(下塗塗膜)から消滅する。コロイダルシリカ又はオルガノシリカゾルに使用される溶媒としては、コロイダルシリカ(シリカゾル)を分散可能なものであれば使用することができ、例えば、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、n-プロピルセロソルブ、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロプレングリコールモノメチルエーテルアセテート又はこれらの混合物などを使用することができる。これら分散媒の中でも、揮発することによって、人体への負荷が少ない、水、メタノール、エタノール又はプロピルアルコール(n-プロピルアルコール、iso-プロピルアルコール)が好ましく、揮発性(木材用下塗剤の乾燥性)に優れる、メタノール、エタノール、プロピルアルコールをより好んで使用することができる。なお、分散媒に有機溶媒を使用することによって、被塗装物の木材に含まれる木材の油脂になじむことができ、木材用下塗剤の木材へのはじきを防止することができる。
【0024】
コロイダルシリカ(シリカゾル)とは、二酸化ケイ素(SiO2)又はその水和物(SiO2・nH2O)の無定形(アモルファス)のコロイド粒子で、分散媒中で安定に分散されたゾル状体である。コロイダルシリカは、その形状として、略球形状、楕円形状、鎖状形状であるものを使用することができる。これらの中でも、略球形状であるものを好んで使用することができる。略球形状であることによって、コロイダルシリカから形成されるシラン―シリカ複合体の粒子が木材の木繊維の凹凸(仮道管)に容易に入り込むことができ、木材の防水性を高めることができるためである。
【0025】
コロイダルシリカの粒子径(レーザー回析法、モード径)(≒シラン―シリカ複合体の粒子径)は、5~150nmであることが好ましい。コロイダルシリカが安定であり、コロイダルシリカから形成されるシラン―シリカ複合体の粒子が木材の木繊維の凹凸に入り込むことができるためである。コロイダルシリカの粒子径が5nm未満である場合には、コロイダルシリカを安定に製造するのが困難になるおそれがある。一方、150nmを超えると、コロイダルシリカが不安定になり、コロイダルシリカの凝集や沈殿などが生じ、木材用下塗剤の安定性が劣るおそれがある。より好ましくは、コロイダルシリカの粒子径は、10~100nmであり、さらに好ましくは、20~60nmである。
【0026】
このようなコロイダルシリカ分散液には、市販品を使用することができ、市販品として、オルガノシリカゾル(日産化学工業株式会社製オルガノシリカゾル)、スノーテックス(日産化学工業株式会社製コロイダルシリカ)、クォートロン(扶桑化学工業株式会社製オルガノシリカゾル、扶桑化学工業株式会社製コロイダルシリカ)などを使用することができる。
【0027】
実施形態の木材用下塗剤に使用する有機ケイ素化合物は、アルコキシ基又はヒドロキシ基の少なくとも何れか1種と、有機官能基を有する有機ケイ素化合物であり、下記一般式(1)で表されるものである。
【0028】
(化1)
R1
X(R2O)YSi (1)
式中、Xは1~3の整数であり、Yは1~3の整数であり、X+Y=4を満たす。
【0029】
アルコキシ基とは、アルキル基Rが酸素に結合したRO-の構造を有するものであり、加水分解による脱アルコール反応を経てヒドロキシ基(シラノール基)に変化するものである。
【0030】
有機ケイ素化合物のアルコキシ基とヒドロキシ基(アルコキシ基が加水分解したヒドロキシ基を含む。)とがコロイダルシリカの水酸基と結合(脱水縮合)することによって、シラン―シリカ複合体が形成される。
【0031】
有機ケイ素化合物は、アルコキシ基とヒドロキシ基が被塗装物となる木材の木繊維(セルロースあるいはリグニン成分)のヒドロキシ基と結合し、木材への密着性を高め、有機官能基が木材用下塗剤の成膜した塗膜に塗布する上塗剤との密着性に優れるものとすることができる。
【0032】
アルコキシ基又はヒドロキシ基の少なくとも何れか1種と、有機官能基を有する有機ケイ素化合物として、メトキシ基を有するものである、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有シラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリロキシ基含有シラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有シラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基含有シラン、エトキシ基を有するものである、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、トリブチルエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシ基含有シラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリロキシ基含有シラン、3-アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ基含有シラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有シラン、プロポキシ基を有するものである、メチルトリプロポキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、トリエチルプロポキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ジブチルジプロポキシシラン、トリブチルプロポキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン、トリフェニルプロポキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリプロポキシシランなどのエポキシ基含有シラン、3-メタクリロキシプロピルトリプロポキシシランなどの(メタ)アクリロキシ基含有シラン、3-アミノプロピルトリプロポキシシランなどのアミノ基含有シラン、3-メルカプトプロピルトリプロポキシシランなどのメルカプト基含有シラン、ブトキシ基を有するものである、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、トリメチルブトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、トリエチルブトキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、ジブチルジブトキシシラン、トリブチルブトキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン、トリフェニルブトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリブトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリブトキシシランなどのエポキシ基含有シラン、3-メタクリロキシプロピルトリブトキシシランなどの(メタ)アクリロキシ基含有シラン、3-アミノプロピルトリブトキシシランなどのアミノ基含有シラン、3-メルカプトプロピルトリブトキシシランなどのメルカプト基含有シラン、及び、これらのアルコキシ基が加水分解によってヒドロキシ基(シラノール基)に変化した化合物などを使用することができる。また、有機ケイ素化合物は、有機酸などの酸触媒を用いてアルコキシ基の一部を加水分解させて、有機ケイ素化合物同士を重合させたものであっても使用することができる。なお、プロポキシ基は、n-プロポキシ基及びiso-プロポキシ基を含み、ブトキシ基は、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、iso-ブトキシ基及びtert-ブトキシ基を含むものである。これらの有機ケイ素化合物の中でも、加水分解によって生じるアルコールが揮発しやすい、アルコキシ基(R2O)がメトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基であるものが好ましく、特にメトキシ基であるものが好ましい。また、これらの有機ケイ素化合物の中でも、廉価であることより、有機官能基(R1)がメチル基又はエチル基であるものが好ましく、特にメチル基であるものが好ましい。即ち、特に好ましいのは、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、である。
【0033】
コロイダルシリカ分散液と有機ケイ素化合物は、木材用下塗剤の原材料として混合(配合)されることによって、結合し、シラン―シリカ複合体を形成する。シラン―シリカ複合体は、不揮発分が5~30%になるように希釈され、木材用下塗剤となる。不揮発分が5~30%であることによって、好適な作業性を確保することができるためである。不揮発分が5%未満である場合には、塗装作業に対して適切な塗布量が得られないおそれがある。一方、30%を超えると、木材用下塗剤の塗料粘度が高くなり、作業性、被塗装物の木材への浸透性が劣るおそれがある。より好ましくは、不揮発分は、10~20%である。
【0034】
不揮発分の調整は、コロイダルシリカ分散液に分散可能な希釈剤(水又は有機溶媒)を添加することによって行う。希釈剤は、好ましくは、コロイダルシリカ分散液に使用されている溶媒と同じ種類の溶媒を用いる。
【0035】
木材用下塗剤には、その他添加剤として、粘性調整剤、消泡剤、紫外線吸収剤、防藻防カビ剤、顔料、フィラー、艶消し剤など、一般的な塗料に添加される添加剤を添加することができる。
【0036】
木材用下塗剤は、コロイダルシリカ分散液、有機ケイ素化合物、希釈剤及びその他添加剤を汎用のミキサーやディゾルバーなどの撹拌機を用いて、均一に撹拌することによって、製造することができる。
【0037】
木材用下塗剤が塗布された木材には、木材用塗料が塗布される。木材用塗料は、そのバインダーとしての樹脂組成が特に限定されるものではないが、可とう型アクリル樹脂を含有する木材用塗料を好んで使用することができる。可とう型の樹脂とは、実施形態では、樹脂のTg(ガラス転移温度)が10℃以下であるものをいい、ほぼ常温で可とう性を有する樹脂である。可とう型アクリル樹脂を含有する木材用塗料は、ほぼ常温で木材の伸縮に追従することができるため、塗膜のクラックの発生が抑制され、木材を耐候性に優れるものとすることができる。これに加え、下塗工程で形成される下塗塗膜が、木材への水の浸入を防ぐため、本発明の塗装方法から形成される塗装塗膜は、より耐候性に優れるものとすることができる。なお、木材用塗料のTgは、-30~10℃が好ましい。木材用塗料から形成される塗膜が可とう性を有するとともに、適度な可撓性により塗膜への汚れの付着が少なく、塗膜の美観を保つことができるためである。
【0038】
可とう型アクリル樹脂を含有する木材用塗料として、市販品を使用することができる。また、本願出願人の出願である特開2019-108461号に記載された木材用塗料をより好んで使用することができる。
【0039】
木材用下塗剤を用いた木材の塗装方法は、木材の表面をならす表面処理工程と、表面処理工程の次に行われる、実施形態の木材用下塗剤を塗布する下塗工程と、下塗工程の次に行われる、木材用塗料を塗布する仕上工程と、を含む工程からなる。
【0040】
表面処理工程は、木材表面の毛羽立ちを取り除き、表面を整えるために行うものであり、サンドペーパを用いた研磨によって行なう。サンドペーパは、#120~#240の中目が好ましい。
【0041】
下塗工程は、実施形態の木材用下塗剤をスプレー、ローラー又は刷毛などの汎用の塗装器具を用いて塗装する工程である。シラン-シリカ複合体を形成する有機ケイ素化合物とコロイダルシリカのヒドロキシ基(水酸基)が木繊維(セルロースあるいはリグニン成分)のヒドロキシ基と結合することによって、木材用下塗剤は、木材に強固に密着することができる。また、有機ケイ素化合物が有機官能基を有しているため、次に述べる木材用塗料との密着性に優れるものとなる。下塗工程での木材用下塗剤の所要量は、50~150g/m2であるが、木材への吸込み状況などを勘案して適宜増減する。木材に塗布された木材用下塗剤は、塗装直後にウエスなどで拭き取ることができる。木材用下塗剤を塗装直後に拭き取ることによって、過剰に塗布された木材用下塗剤を除去することができ、また、木材の木目を強調させることができる。木材用下塗剤が木材に塗装されることによって、木材用下塗剤のシラン-シリカ複合体は、成膜して、コロイダルシリカ含有ポリシロキサン層を形成し、木材に、コロイダルシリカ含有ポリシロキサン層が積層された下塗塗膜を形成する。
【0042】
仕上工程は、可とう型アクリル樹脂を含有する木材用塗料をスプレー、ローラー又は刷毛などの汎用の塗装器具を用いて塗装する工程である。可とう型アクリル樹脂を含有する木材用塗料は、アクリル樹脂を含有しているため、有機官能基を有する木材用下塗剤の有機ケイ素化合物との密着性に優れ、可とう型であるため、木材の伸縮に対して追従することができる。仕上工程での木材用塗料の所要量は、50~150g/m2である。木材に塗布された木材用塗料は、塗装直後にウエスなどで拭き取りと磨きをかけることができる。木材用塗料を塗装直後に拭き取りと磨きをかけることによって、過剰に塗布された木材用塗料を除去するとともに塗膜に光沢を付与することができ、また、木材の木目を強調させることができる。仕上工程における木材用塗料の塗装は、1回行えば、木材に耐候性を付与することができるが、2~3回行うことにより、より耐候性に優れるものとすることができる。木材用塗料が下塗塗膜の形成された木材に塗装されることによって、木材用塗料は成膜し、木材(下塗塗膜)に、上塗塗膜が形成される。
【実施例0043】
実施形態の木材用下塗剤の原材料配合量(質量%)を表1に記載する。なお、原材料配合量は、揮発分を除き、不揮発分換算で記載し、揮発分(希釈剤を含む)に、原材料に含まれる揮発分を加算して記載した。
【0044】
【0045】
原材料の詳細を以下に記載する。
【0046】
コロイダルシリカ分散液A(オルガノシリカゾル)
分散媒:イソプロピルアルコール
不揮発分:30質量%
粒子径:12nm(レーザー回析法、モード径(以下、粒子径について同じ))
コロイダルシリカ分散液B(オルガノシリカゾル)
分散媒:イソプロピルアルコール
不揮発分:30質量%
粒子径:45nm
コロイダルシリカ分散液C(オルガノシリカゾル)
分散媒:メタノール
不揮発分:30質量%
粒子径:12nm
コロイダルシリカ分散液D(コロイダルシリカ)
分散媒:水
不揮発分:40質量%
粒子径:22nm
有機ケイ素化合物A
メチルトリメトキシシラン
有機ケイ素化合物B
ジメチルジメトキシシラン
有機ケイ素化合物C
メチルトリエトキシシラン
有機ケイ素化合物D
メチルトリプロポキシシラン
有機ケイ素化合物E
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
有機ケイ素化合物F
3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
その他添加剤
粘性調整剤、消泡剤、紫外線吸収剤など
希釈溶剤
コロイダルシリカ分散液の分散媒と同じ種類の希釈溶剤
これら原材料には市販品を用いた。
【0047】
実施形態の木材用下塗剤に対して仕上材となる木材用塗料の原材料配合量(質量%)を表2に記載する。原材料配合量は、揮発分を除き、不揮発分換算で記載し、揮発分(希釈剤を含む)に、原材料に含まれる揮発分を加算して記載した。
【0048】
【0049】
原材料の詳細を以下に記載する。
【0050】
合成樹脂
可とう型ウレタン変性アクリル樹脂
(アクリルポリオール樹脂+イソシアネート樹脂)
平均分子量:35,000
ガラス転移温度(Tg):-10℃
※イソシアネート樹脂は、使用(塗装)する直前に混合
紫外線吸収剤
ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系
艶消し剤
ホワイトカーボン、ポリオレフィン系
顔料
酸化チタン
その他添加剤
粘性調整剤、消泡剤、紫外線吸収剤など
希釈溶剤
酢酸エステル、ミネラルスピリット
これら原材料には市販品を用いた。
【0051】
試験例は、木材に対して、表3~表5に記載する木材用下塗剤と木材用塗料の組合せの工程を施し、促進耐候性試験によって評価した。促進耐候性試験の条件と評価方法を以下に記載する。
【0052】
促進耐候(光)性(キセノンランプ法)
試験機:NX75(スガ試験機株式会社製)
放射照度:60W/m2
ブラックパネル温度:65±2℃
サイクル:120分照射中18分水噴霧
試験時間:1800時間
評価方法:試験前後の色差ΔE*が20以下であり、塗膜に亀裂や剥がれがないものを○、試験前後の色差ΔE*が20を超え、25以下であり、塗膜に亀裂や剥がれがないものを△、試験前後の色差ΔE*が25を超える、又は、塗膜に亀裂又は剥がれが生じているものを×、として評価した。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
基材となる木材には、杉(cryptomeria)を使用し、#180のサンドペーパで研磨した後に、木材用下塗剤を塗装し(2回(試験例23、24では省略))、木材用下塗剤乾燥後に、木材用塗料を塗装し(1回(試験例23、24では2回))、促進耐候性試験の試験体とした。木材用下塗剤の所要量は、1回につき、90~100g/m2とし、木材用塗料の所要量は、1回につき、65~75g/m2とした。なお、試験例1~9、及び、12~20が実施例であり、試験例10、11、及び、21~24が比較例である。
【0057】
(試験例1)
試験例1は、ベストモードとなる試験例である。試験例1では、木材用下塗剤に、表1に記載の木材用下塗剤1を用い、木材用塗料に、表2に記載の木材用塗料(着色)を用いた。木材用下塗剤1のコロイダルシリカ分散液は、分散媒がイソプロピルアルコール、粒子径が12nmであるオルガノシリカゾルのコロイダルシリカ分散液Aである。木材用下塗剤1の有機ケイ素化合物は、メチルトリメトキシシランである有機ケイ素化合物Aである。試験例1の促進耐候性試験の評価は、試験前後の色差ΔE*が20以下であり、塗膜に亀裂や剥がれは認められず、良好なものであった。
【0058】
(試験例2~4)
試験例2~4は、試験例1と比して、木材用下塗剤のコロイダルシリカ分散液の種類を変更した木材用下塗剤2~4を使用し、木材用塗料は試験例1と同じ木材用塗料(着色)である。試験例2に使用した木材用下塗剤2のコロイダルシリカ分散液は、分散媒がイソプロピルアルコール、粒子径が45nmであるオルガノシリカゾルのコロイダルシリカ分散液Bである。試験例3に使用した木材用下塗剤3のコロイダルシリカ分散液は、分散媒がメタノール、粒子径が12nmであるオルガノシリカゾルのコロイダルシリカ分散液Cである。試験例4に使用した木材用下塗剤4のコロイダルシリカ分散液は、分散媒が水、粒子径が22nmであるコロイダルシリカ分散液Dである。試験例2~4の促進耐候性試験の評価は、試験前後の色差ΔE*が20以下であり、塗膜に亀裂や剥がれは認められず、良好なものであった。なお、水を分散媒とする木材用下塗剤4(試験例4)は、基材となる木材に塗布する際に、基材に対して僅かにはじきがみられた。
【0059】
(試験例5~9)
試験例5~9は、試験例1と比して、木材用下塗剤の有機ケイ素化合物の種類を変更した木材用下塗剤5~9を使用し、木材用塗料は試験例1と同じ木材用塗料(着色)である。試験例5に使用した木材用下塗剤5の有機ケイ素化合物は、ジメチルジメトキシシランである有機ケイ素化合物Bである。試験例6に使用した木材用下塗剤6の有機ケイ素化合物は、メチルトリエトキシシランである有機ケイ素化合物Cである。試験例7に使用した木材用下塗剤7の有機ケイ素化合物は、メチルトリプロポキシシランである有機ケイ素化合物Dである。試験例8に使用した木材用下塗剤8の有機ケイ素化合物は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランである有機ケイ素化合物Eである。試験例9に使用した木材用下塗剤9の有機ケイ素化合物は、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランである有機ケイ素化合物Fである。試験例5~9の促進耐候性試験の評価は、試験前後の色差ΔE*が20以下であり、塗膜に亀裂や剥がれは認められず、良好なものであった。
【0060】
(試験例10、11)
試験例10、11は、試験例1と比して、木材用下塗剤の有機ケイ素化合物が配合されていない木材用下塗剤10、11を使用し、木材用塗料は試験例1と同じ木材用塗料(着色)である。試験例10に使用した木材用下塗剤10のコロイダルシリカ分散液は、分散媒がイソプロピルアルコール、粒子径が12nmであるオルガノシリカゾルのコロイダルシリカ分散液Aである。試験例10の促進耐候性試験の評価は、塗膜に亀裂や剥がれは認められなかったものの、試験前後の色差ΔE*が20を超え、変色の度合いが大きいものであった。木材用下塗剤に有機ケイ素化合物が配合されていないため、木材用塗料の付着が弱く、目視では確認できなかったが、細かい亀裂が塗膜に発生していたと推測する。試験例11に使用した木材用下塗剤11のコロイダルシリカ分散液は、分散媒が水、粒子径が22nmであるコロイダルシリカ分散液Dである。試験例11の促進耐候性試験の評価は、試験前後の色差ΔE*が25を超え、変色の度合いが大きいものであり、かつ、塗膜に亀裂が生じていた。木材用下塗剤に有機ケイ素化合物が配合されていないため、木材用塗料の付着が弱く、塗膜に亀裂が入り、そこから水が侵入することによって、濡れ色に変化したものと推測する。
【0061】
(試験例12~22)
試験例12~22は、試験例1~11の木材用塗料を表2に記載の木材用塗料(クリヤ)にそれぞれ変更したものである。試験例12~20は、試験例1~9と同様に、促進耐候性試験の評価が、試験前後の色差ΔE*が20以下であり、塗膜に亀裂や剥がれは認められず、良好なものであった。試験例21、22は、試験例10、11とほぼ同様に、促進耐候性試験の評価は、試験前後の色差ΔE*が25を超え、変色の度合いが大きいものであり、かつ、塗膜に亀裂が生じていた。木材用下塗剤に有機ケイ素化合物が配合されていないため、木材用塗料の付着が弱く、塗膜に亀裂が入り、そこから水が侵入することによって、濡れ色に変化したものと推測する。
【0062】
試験例12~20は、木材用塗料がクリヤ(透明)であるにもかかわらず、木材の変色を抑制することができたため、実施形態の木材用下塗剤は、これまで困難であった透明・淡色系の塗装仕上げにおいても木材の変色を抑制することができるものといえる。
【0063】
(試験例23、24)
試験例23、24は、対照となる試験例であり、木材用下塗剤を使用しない試験例である。試験例23、24は、木材用下塗剤を使用していないため、試験例1などと比して、木材用塗料の木材への密着が弱いものであった。このため、促進耐候性試験の評価は、試験前後の色差ΔE*が25を超え、変色の度合いが大きいものであり、かつ、塗膜に亀裂が生じていた。