(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100119
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】表示制御装置、ヘッドアップディスプレイ装置、及び画像の表示制御方法
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20220628BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20220628BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20220628BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20220628BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20220628BHJP
G09G 5/10 20060101ALI20220628BHJP
G09G 5/02 20060101ALI20220628BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20220628BHJP
G02B 30/26 20200101ALI20220628BHJP
H04N 13/346 20180101ALI20220628BHJP
H04N 13/363 20180101ALI20220628BHJP
H04N 13/125 20180101ALI20220628BHJP
H04N 13/229 20180101ALI20220628BHJP
H04N 13/225 20180101ALI20220628BHJP
H04N 13/128 20180101ALI20220628BHJP
【FI】
G02B27/01
G01C21/36
B60K35/00 A
G09G5/00 510G
G09G5/36 510V
G09G5/10 B
G09G5/02 B
G09G5/36 520C
G09G5/36 520B
G09G5/38 A
G09G5/00 550B
G02B30/26
H04N13/346
H04N13/363
H04N13/125
H04N13/229
H04N13/225
H04N13/128
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214290
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 悠樹
【テーマコード(参考)】
2F129
2H199
3D344
5C061
5C182
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129EE22
2F129EE52
2F129EE70
2F129FF02
2F129FF19
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2F129GG18
2F129HH14
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2H199BB04
2H199BB08
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2H199DA03
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2H199DA36
3D344AA19
3D344AA21
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3D344AA26
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3D344AC25
5C061AA07
5C061AA08
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5C061AB18
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5C182AB15
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5C182AC46
5C182BA14
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5C182BA56
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5C182CC24
5C182DA14
5C182DA52
5C182DA53
5C182DA65
(57)【要約】
【課題】 視差式3Dヘッドアップディスプレイ(HUD)装置において、コンテンツ画像の知覚距離の増大に伴って、視認者にクロストークが認識され易くなること(クロストークが目立つようになること)を効果的に防止する。
【解決手段】 表示制御装置は、画像表示を制御する制御部701を有し、その制御部701は、3D表示処理と、コンテンツ画像の知覚距離を変更する知覚距離変更処理と、を実行し、知覚距離変更処理においては、知覚距離が増大した場合に、コンテンツ画像の視認性を、段階的又は連続的に低下させる視認性低下処理を合わせて実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を被投影部材に投影することで、視認者に前記画像を視認させるヘッドアップディスプレイ装置における表示制御を実行する表示制御装置であって、
1つ又は複数のプロセッサと、
メモリと、
前記メモリに格納され、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるように構成される1つ又は複数のコンピュータ・プログラムと、を備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータ・プログラムに基づいて動作することで、画像表示を制御する制御部として機能し、
前記制御部は、
前記視認者の左右の各目に、視差を有する左視点画像及び右視点画像を視認させることで、奥行き感のある立体的なコンテンツ画像として表示する3D表示処理と、
前記コンテンツ画像が視認者に知覚される距離である知覚距離を変更する知覚距離変更処理と、を実行し、
前記知覚距離変更処理は、前記知覚距離が増大した場合に、前記コンテンツ画像の視認性を、段階的又は連続的に低下させる視認性低下処理を含む、表示制御装置。
【請求項2】
前記視認性低下処理は、
前記コンテンツ画像の、
明度(輝度)を低下させる処理、
及び、
色相を青色に近づける処理、
及び、
彩度を低下させる処理、
の少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記視認性低下処理は、
前記コンテンツ画像の輪郭を、段階的又は連続的にぼかす、ぼかし処理を含む、
請求項1又は2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記コンテンツ画像としての第1のコンテンツ画像について、前記知覚距離変更処理によって前記知覚距離を第1の知覚距離まで増大させ、これに伴い、前記視認性低下処理によって前記第1のコンテンツ画像の視認性を低下させ、これによって前記第1のコンテンツ画像を非表示状態、又はそれに近い状態とし、
前記知覚距離変更処理の途中、又は前記知覚距離変更処理の後に、前記第1の知覚距離又はその近傍である第2の知覚距離において、視認可能な視認性を有し、かつ前記第1のコンテンツ画像とは表示態様が異なる、前記コンテンツ画像としての第2のコンテンツ画像を表示する、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記第1のコンテンツ画像は、位置が随時に変更される移動対象を示す拡張現実要素であり、
前記第2のコンテンツ画像は、特定の地点、又はその地点の近傍の実景に重ねられる、目印、又は案内表示、あるいは道路標識としての機能をもつ拡張現実要素である、
請求項4に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記第1のコンテンツ画像は、前記視認者が搭乗する車両の走行を案内するために路面に沿って移動する拡張現実要素であり、
前記第2のコンテンツ画像は、特定の地点、又はその地点の近傍の実景に重ねられる、前記車両の運行に関する目印、又は案内表示、あるいは道路標識としての機能をもつ拡張現実要素である、
請求項4に記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記視認者側に設定される基準点から、前記視差を有する左視点画像及び右視点画像の表示位置までの距離を調整距離とし、
前記視差を有する左視点画像及び右視点画像の表示位置から、前記第1のコンテンツ画像、又は第2のコンテンツ画像が知覚される位置までの距離を、第1の仮想距離、又は第2の仮想距離とし、
前記調整距離に前記第1の仮想距離を加算した距離を前記第1の知覚距離とし、前記調整距離に前記第2の仮想距離を加算した距離を前記第2の知覚距離とするとき、
前記制御部は、
前記第2のコンテンツ画像の表示を開始した後、3D表示が可能な期間においては、前記第2の仮想距離を維持する、
請求項4乃至6の何れか1項に記載の表示制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第2のコンテンツ画像についての前記第2の知覚距離を短縮するときは、前記第2の仮想距離を維持しつつ短縮するが、その短縮にかかわらず、前記第2コンテンツ画像の視認性を低下させない、
請求項7に記載の表示制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記第2のコンテンツ画像の表示開始時において、一定時間視認性を高くした後、視認性を低下させる、
請求項4乃至8の何れか1項に記載の表示制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記第2の知覚距離の短縮に伴い、前記第2のコンテンツ画像の視認性を上昇させる、
請求項9に記載の表示制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記第2のコンテンツ画像の視認性は、前記視認者から見て、前記第2のコンテンツ画像よりも手前側に位置し、かつ実景に重畳することが意図されない画像の視認性よりも低く設定する、
請求項4乃至10の何れか1項に記載の表示制御装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記視認者から見て、前記視差を有する左視点画像及び右視点画像の位置よりも手前側に、前記コンテンツ画像を表示するときは、
そのコンテンツ画像の視認性を、視差角差を0°として2Dの表示とするときの視認性と同じ、あるいはそれに近い視認性とする、
請求項1乃至11の何れか1項に記載の表示制御装置。
【請求項13】
画像を被投影部材に投影することで、視認者に前記画像を視認させるヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記画像を生成する画像生成部と、
前記画像を表示する表示部と、
前記画像の表示光を反射して、前記被投影部材に投影する光学部材を含む光学系と、
請求項1乃至12の何れか1項に記載の表示制御装置と、
を有するヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項14】
画像の表示制御方法であって、
コンテンツ画像が視認者に知覚される距離である知覚距離を決定する第1の工程と、
前記視認者の左右の各目に、視差を有する左視点画像及び右視点画像を視認させることで、奥行き表現を付加したコンテンツ画像として表示する3D表示処理を実施する第2の工程と、
前記知覚距離を変更する知覚距離変更処理を実施する場合において、前記知覚距離が増大したときは、前記コンテンツ画像の明度、色相、彩度の少なくとも1つを調整することで、前記コンテンツ画像の視認性を、段階的又は連続的に低下させる視認性低下処理を合わせて実施する第3の工程と、
を含む、画像の表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の車両に搭載される表示制御装置、ヘッドアップディスプレイ(HUD)装置、及び画像の表示制御方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、両目視差による立体視の原理を利用して、車外情報や車両走行の誘導情報等を3次元のステレオ画像(立体画像)として表示する車載用ステレオ画像表示装置が示されている。特許文献1の[0031]には、発明の効果として、「フロントガラスを通して乗員がみる実際の情景に即した立体感および距離感をもってその画像を認識することができ、乗員に車外情報や誘導情報を的確に与えることができるという利点がある」と記載されている。
【0003】
特許文献2には、車両を誘導する第1経路案内コンテンツを移動させ、続いて、車両の進行方向の転換地点(方向転換地点)を示す第4経路案内コンテンツを表示する例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-144578([0004]、[0031]、
図4等)
【特許文献2】特開2020-64047([0165]、
図17)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、表示器として視差方式3次元ディスプレイを使用し、画像に任意の輻輳角を与えることで運転者に立体像(奥行き感のある立体的な画像)を視認させるヘッドアップディスプレイ装置(ここでは、視差式3DHUD装置と称する)について検討した。その結果として、以下の課題が明らかとなった。
【0006】
視差式3DHUD装置では、仮想的な第1の面(調整面)に、視差を有する左視点画像(左目用視差画像)及び右視点画像(右目用視差画像)を表示し、典型的には、視認者から見て第1の面よりも奥側に位置する第2の面(輻輳面)に立体像(奥行き感のある立体的な画像)を表示する。
【0007】
ここで、視認者側の基準点(例えば、視認者の視点位置、又は車両上の特定位置、あるいは、視認者側の実空間における所定の座標位置等)を基準として、立体像(言い換えれば上記の第2の面)までの距離を、立体像が視認者によって知覚される距離である「知覚距離」と称する。
【0008】
知覚距離が長くなる(言い換えれば、立体像がより遠くに表示される)と、上記の第1の面に表示される左/右の各視点画像間の間隔(各視点画像の位置のずれ量)が増大し、各視点画像の外観の差異が拡大される。このため、知覚距離が長い状態では、短い状態に比べて、視認者は、クロストークを認識し易い。
【0009】
ここで、クロストークについて説明する。視差式3DHUD装置では、右目用の画像と左目用の画像を各々、例えば1つの表示装置にて作成し、各表示光を左目/右目に向けて出射するが、例えば、左目用の画像の表示光が右目に入射され、右目用の画像の表示光が左目に入射されることがあり(逆視)、あるいは、2つの視点画像の表示光が、何れか一方の目に同時に入射する場合(画像混合)もある。本来、入射すべきでない目に、他方の視点画像の表示光が入射されると、立体視はできず、違和感のあるゴースト像が視認者に見えることになる。これがクロストークと呼ばれる現象である。クロストークの発生は、目の疲労や、運転中の視認者(運転者)の注意散漫の要因ともなり得る。
【0010】
このクロストークは、コンテンツ画像の知覚距離の長短に関係なく、同程度の頻度で生じるが、しかし、クロストークが生じたときの視認者に与える違和感は、知覚距離が大きいほど強くなる。
【0011】
言い換えれば、外観の差異が大きい画像について逆視や画像混合が生じると、ゴースト像の歪みが増大し、よって違和感が増大する結果となる。従って、知覚距離によって違和感が異なるという知見に基づいて、適切なクロストーク対策が施されるのが好ましい。
【0012】
また、コンテンツ画像としては、例えば車両の進路案内用の拡張現実要素(例えば、AR表示としての矢印の図形要素)が、路面に重なるようにして、あるいは、路面から離れて、その路面に沿って随時に位置を変えて移動する場合もあり得る。移動する拡張現実要素の表示を行う場合、左右の各目に正確に表示光を配光することが難しくなるのは否めず、クロストークが生じ易くなるため、上記の知見に基づいた適切なクロストーク対策が施されるのが好ましい。
【0013】
また、例えば、車両の進路案内用の矢印の図形等が路面を移動していき、続いて、方向転換地点(例えば右折や左折の地点)を示す方向転換用の矢印の図形等に切り替わる場合も想定され得る。
【0014】
この場合、方向転換用の矢印の図形等は、ある地点の付近において、静止状態、又は動きの少ない状態で表示される場合が多いと考えられる。よって、上記のクロストーク対策を施す場合においても、表示しようとするコンテンツ画像の性質(一例として、動きのあるコンテンツ画像であるか、動きが少ない、あるいは静止状態のコンテンツ画像であるか等)を考慮して、柔軟に処理内容を変更することも必要である。
【0015】
本発明者によって、このような課題が明らかにされた。上記特許文献1、2は、この課題やその解決策について何ら言及していない。
【0016】
本発明の目的の一つは、視差式3Dヘッドアップディスプレイ(HUD)装置において、コンテンツ画像の知覚距離の増大に伴って、視認者にクロストークが認識され易くなること(クロストークが目立つようになること)を効果的に防止することである。
【0017】
本発明の他の目的は、以下に例示する態様及び最良の実施形態、並びに添付の図面を参照することによって、当業者に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
以下に、本発明の概要を容易に理解するために、本発明に従う態様を例示する。
本発明の第1の態様において、表示制御装置は、
画像を被投影部材に投影することで、視認者に前記画像を視認させるヘッドアップディスプレイ装置における表示制御を実行する表示制御装置であって、
1つ又は複数のプロセッサと、
メモリと、
前記メモリに格納され、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるように構成される1つ又は複数のコンピュータ・プログラムと、を備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータ・プログラムに基づいて動作することで、画像表示を制御する制御部として機能し、
前記制御部は、
前記視認者の左右の各目に、視差を有する左視点画像及び右視点画像を視認させることで、奥行き感のある立体的なコンテンツ画像として表示する3D表示処理と、
前記コンテンツ画像が視認者に知覚される距離である知覚距離を変更する知覚距離変更処理と、を実行し、
前記知覚距離変更処理は、前記知覚距離が増大した場合に、前記コンテンツ画像の視認性を、段階的又は連続的に低下させる視認性低下処理を含む。
【0019】
第1の態様では、知覚距離の増大に伴い(言い換えれば、画像の表示位置が遠方となることに伴い)、画像の視認性を低下させる。これにより、クロストークによるゴースト像の視認性も低下することから、視認者がクロストークを認識しにくい。よって、例えば違和感が低減される。違和感等の低減は、安全運転にも寄与する。
【0020】
第1の態様に従属する第2の態様において、
前記視認性低下処理は、
前記コンテンツ画像の、
明度(輝度)を低下させる処理、
及び、
色相を青色に近づける処理、
及び、
彩度を低下させる処理、
の少なくとも1つを含んでもよい。
【0021】
第2の態様では、画像の視認性を低下させる手段として、明度(輝度)を低下させる、色相を青色に近づける、及び、彩度を低下させる、の少なくとも1つが実施される。例えば、L*a*b*色空間、あるいはL*c*h*色空間等において、上記3つの要素を適宜、変化させて、適切な視認性の変更制御を行うことで、クロストークを認識しにくい3D表示を実現可能である。
【0022】
例えば、画像の輝度(明度)を低下させれば、クロストーク像の輝度も低くなり、視認者がクロストークを認識しにくくなる。具体的には、例えば、視差角差0°のコンテンツの表示輝度を最大輝度とし、視差角差が大きくなるにつれて、表示輝度を低下させる。
【0023】
なお、「視差角差」とは、「遠方の立体画像の輻輳角(β)」と、「手前側の左右の視点画像の輻輳角(α)」との差を「視差角差(α-β)」と称する。
【0024】
視差角差が0°ということは、左右の視点画像の表示面(「第1の表示面」とする)上で、視差のない2D画像を表示した状態(左右の各目に同一の画像を視認させた状態)である。2D表示のときは、画像は第1の表示面上に位置するが、視差角差が0°より大きくなると、第1の表示面を基準として、より奥側(より遠方)に3D表現による立体画像が表示される。
【0025】
立体画像の表示面(輻輳面)を「第2の表示面」とするとき、「第1の表示面」と「第2の表示面」との間の距離を「仮想距離(あるいは奥行距離)」とし、視認者側の基準点(例えば視認者の視点)から第2の表示面までの距離が上述した「知覚距離(あるいは3D表示距離)」である。仮想距離が大きくなるにつれて、第1の面に表示される左右の各視点画像の輝度(明度)を低下させる処理が、例えばプロセッサ(制御部)によって実行される。なお、輝度(明度)の低下は、「階調の低下」と言い換えることができ、また、「色味が黒色に近づくこと」と言い換えることもできる。
【0026】
また、3D表現による立体画像の表示位置が遠方にシフトするにつれて、左右の視点画像の色味を青色方向へシフトさせることによっても、視認性を低下させることが可能である。言い換えれば、画像の配色を、人間の感度が低いといわれる青色方向にシフトすることによって、調光パラメータを変更することなく、クロストークを認識しにくい表示とすることができる。
【0027】
また、空気遠近法によって、遠方の対象物は近傍に配置された同様の対象物よりも青味が増して視認される傾向がある。よって、色味を青色方向に変化させた場合でも、実際の風景(遠景)に近い表現となり、視認者の、表示コンテンツに対する違和感は少ないものと考えられ、特に問題は生じない。
【0028】
なお、表示コンテンツの初期値が青色の最大値(MAX)であるときは、青色方向へのシフトはできないが、この場合でも、例えば、明度(輝度)を低下させて色味を黒の方向に近づけて視認性を変化させることは可能である。また、彩度の低下によって視認性を変化させることもできる。
【0029】
また、彩度を単独で調整して、視認性を変更することもできる。例えば、3D表現の立体画像が近方にあるときは原色に近い鮮やかな色とし、遠方になるにつれて、くすんだ色へと変化させ、最終的には無彩色とすることで、視認性を制御することが可能である。
【0030】
第1又は第2の態様に従属する第3の態様において、
前記視認性低下処理は、
前記コンテンツ画像の輪郭を、段階的又は連続的にぼかす、ぼかし処理を含んでもよい。
【0031】
第3の態様では、コンテンツ画像の輪郭をぼかすことによって、クロストーク像(ゴースト像)と本来の表示像との境界がぼけ、クロストークを認識しにくい表示が提供可能となる。
【0032】
なお、表示像自体のぼけは、視認者に多少の影響を与える。但し、人間の目は、遠方の表示ほど空気遠近法によって輪郭が霞んで見えることから、上記の処理によって表示像にぼけが生じたとしても、コンテンツ画像に対する違和感は少なく、特に問題はない。
【0033】
第1乃至第3の何れか1つの態様に従属する第4の態様において、
前記制御部は、
前記コンテンツ画像としての第1のコンテンツ画像について、前記知覚距離変更処理によって前記知覚距離を第1の知覚距離まで増大させ、これに伴い、前記視認性低下処理によって前記第1のコンテンツ画像の視認性を低下させ、これによって前記第1のコンテンツ画像を非表示状態、又はそれに近い状態とし、
前記知覚距離変更処理の途中、又は前記知覚距離変更処理の後に、前記第1の知覚距離又はその近傍である第2の知覚距離において、視認可能な視認性を有し、かつ前記第1のコンテンツ画像とは表示態様が異なる、前記コンテンツ画像としての第2のコンテンツ画像を表示してもよい。
【0034】
第4の態様では、第1のコンテンツ画像について知覚距離の増大に伴う視認性低下処理を施すと共に、第1のコンテンツ画像から、表示態様が異なる第2のコンテンツへと切り替える処理が実行されるときの、好ましい表示処理例が例示される。
【0035】
第1のコンテンツ画像については、知覚距離の増大に伴い、視認性がきわめて低い状態(非表示、あるいはそれに近い状態)となる。
【0036】
一方、第2のコンテンツ画像については、第1のコンテンツ画像の知覚距離の増大が継続している途中、あるいは、知覚距離の増大が終了した後において、第1のコンテンツ画像の第1の知覚距離と同じ、あるいは近傍の第2の知覚距離にて、かつ、視認可能な視認性を有して表示される。
【0037】
これによって、違和感が少ない、円滑なコンテンツ画像の切り替えが可能である。言い換えれば、第2のコンテンツ画像が表示されるタイミングでは、第1のコンテンツ画像の視認性はかなり低下しているため、2つのコンテンツ画像が併存すること(2つの画像がはっきりと視認される状態となって混乱が生じること)が防止され、よって、視覚的な煩わしさが抑制される。
【0038】
また、第2のコンテンツ画像は、非表示に近い状態となった第1のコンテンツ画像とは異なり、視認可能な視認性をもって表示されることになり、この視覚の変化(視認性の落差)が誘目性を生み、視認者は、その第2のコンテンツ画像に誘目され、よって確実に第2のコンテンツ画像を目視する。これによって、第2のコンテンツ画像のもつ情報が、確実に視認者に伝わる。
【0039】
第4の態様に従属する第5の態様において、
前記第1のコンテンツ画像は、位置が随時に変更される移動対象を示す拡張現実要素であり、
前記第2のコンテンツ画像は、特定の地点、又はその地点の近傍の実景に重ねられる、目印、又は案内表示、あるいは道路標識としての機能をもつ拡張現実要素であってもよい。
【0040】
第5の態様では、第1、第2の各コンテンツ画像の好ましい例を例示している。第1のコンテンツ画像は、移動する拡張現実(AR)要素であってもよく、第2のコンテンツ画像は、地点の目印、案内表示、道路標識の機能をもつ拡張現実(AR)要素であってもよい。具体的には、第1のコンテンツ画像は、人の進路を案内する矢印の図形要素であってもよい。また、第2のコンテンツ画像は、方向転換地点における人の右折や左折を促す案内表示(あるいは目印表示)であってもよく、また、「一時停止、左右確認」といった行動を促す道路標識であってもよい。
【0041】
第4の態様に従属する第6の態様において、
前記第1のコンテンツ画像は、前記視認者が搭乗する車両の走行を案内するために路面に沿って移動する拡張現実要素であり、
前記第2のコンテンツ画像は、特定の地点、又はその地点の近傍の実景に重ねられる、前記車両の運行に関する目印、又は案内表示、あるいは道路標識としての機能をもつ拡張現実要素であってもよい。
【0042】
第6の態様では、表示制御装置が車両に搭載されることを前提として、第1、第2のコンテンツ画像の好ましい例を示している。
【0043】
第1のコンテンツ画像(例えば移動するAR要素)は、例えば車両の進路案内用の矢印の図形要素である。この矢印の図形要素が、例えば路面に重なるようにして、あるいは、路面から離れて、その路面に沿って随時に位置を変えて移動する場合もあり得る。このような移動するAR要素の表示に際しては、左右の各目に正確に表示光を配光することが難しくなるのは否めず、クロストークが生じ易くなるため、知覚距離の増大に伴う視認性の低下処理を実施するのが好ましい。
【0044】
また、第2のコンテンツ画像としては、例えば、方向転換地点(例えば右折や左折の地点)を示す方向転換用の矢印の図形要素(AR要素)をあげることができる。第1、第2の各コンテンツ画像が関係する運転シーンとしては、例えば以下のようなものが考えられる。例えば、車両の進路案内用の矢印の図形要素(第1のコンテンツ画像)が路面を移動していき、続いて、方向転換地点(例えば右折や左折の地点)を示す方向転換用の矢印の図形要素(第2のコンテンツ画像)に切り替わるような運転シーンである。
【0045】
この場合、方向転換用の矢印の図形要素(第2のコンテンツ画像)は、ある地点の付近において、静止状態、又は動きの少ない状態で表示される場合が多いと考えられる。よって、第2のコンテンツ画像については、視認性低下によるクロストーク対策よりも、右折や左折の地点をはっきりと視認者に視認(確認)させることが重要であり、よって、視認可能な視認性を付与して表示する。
【0046】
このように、表示しようとするコンテンツ画像の性質(一例として、動きのあるコンテンツ画像であるか、動きが少ない、あるいは静止状態のコンテンツ画像であるか)を考慮して、柔軟に処理内容を変更することで、クロストーク対策と、必要な視認性の確保とを両立することができる。
【0047】
なお、上記の方向転換用の矢印の図形要素(第2のコンテンツ画像の例)は、案内表示の一種と考えられる。他の具体例としては、「目的地の位置を示す目印の表示」、あるいは、「一時停止、徐行、左右確認」といった道路標識をあげることができる。これらを第2のコンテンツ画像として表示するときも、上記の例(方向転換用の矢印要素の例)と同じように、視認者に確実に視認させる(確認させる)ことが優先される。よって、上記の例と同様の処理をするのが好ましい。なお、目印、案内表示、道路標識の各々の意味内容は広義に、柔軟に解釈するものとする。例えば、案内表示には広告や看板も含まれ得る。
【0048】
第4乃至第6の何れか1つの態様に従属する第7の態様において、
前記視認者側に設定される基準点から、前記視差を有する左視点画像及び右視点画像の表示位置までの距離を調整距離とし、
前記視差を有する左視点画像及び右視点画像の表示位置から、前記第1のコンテンツ画像、又は第2のコンテンツ画像が知覚される位置までの距離を、第1の仮想距離、又は第2の仮想距離とし、
前記調整距離に前記第1の仮想距離を加算した距離を前記第1の知覚距離とし、前記調整距離に前記第2の仮想距離を加算した距離を前記第2の知覚距離とするとき、
前記制御部は、
前記第2のコンテンツ画像の表示を開始した後、3D表示が可能な期間においては、前記第2の仮想距離を維持してもよい。
【0049】
第7の態様では、第2のコンテンツ画像を表示については、表示開始時点から時間が経過しても、第2の仮想距離(視差を有する左視点画像及び右視点画像の表示位置(第1の表示面)から、第2のコンテンツ画像が知覚される位置(第2の表示面)までの距離)を可能な限り維持する。
【0050】
視認者は、各目用の視点画像(視差画像)の表示位置(第1の面)から、仮想距離だけ奥の位置に、立体像を感得している。よって、この第2の仮想距離を短縮等すると違和感が生じる可能性があることから、第2の仮想距離を極力維持することとした。
【0051】
第7の態様に従属する第8の態様において、
前記制御部は、
前記第2のコンテンツ画像についての前記第2の知覚距離を短縮するときは、前記第2の仮想距離を維持しつつ短縮するが、その短縮にかかわらず、前記第2コンテンツ画像の視認性を低下させないようにしてもよい。
【0052】
第8の態様では、例えば車両が方向転換地点に近づくことによって、第2のコンテンツ画像の知覚距離が短縮されるときは、第7の態様で述べたとおり第2の仮想距離を維持しつつ短縮するが、この場合、その知覚距離の短縮にかかわらず、第2のコンテンツ画像の視認性は低下させることなく、少なくとも維持する。
【0053】
第2のコンテンツ画像は、上述のとおり、視認者に確実に視認(確認)させることが重要であるため、クロストーク対策よりも視認性を優先させ、視認性の低減処理は実施しないこととした。
【0054】
第4乃至第8の何れか1つの態様に従属する第9の態様において、
前記制御部は、
前記第2のコンテンツ画像の表示開始時において、一定時間視認性を高くした後、視認性を低下させてもよい。
【0055】
第9の態様によれば、第2のコンテンツ画像の表示開始時期において、視認性を一時的に高くし、その後、低下させるという制御を実施する。これによって、第2のコンテンツ画像の誘目性を高めることができる。したがって、視認者は、新たに表示された第2のコンテンツ画像を見落とすことなく、確実に視認できる。
【0056】
第9の態様に従属する第10の態様において、
前記制御部は、
前記第2の知覚距離の短縮に伴い、前記第2のコンテンツ画像の視認性を上昇させてもよい。
【0057】
第10の態様では、上記第9の態様の視認性制御の後、第2のコンテンツ画像の知覚距離(第2の知覚距離)がさらに短縮される(例えば、車両が方向転換地点に近づくことに対応して第2の知覚距離が徐々に短縮される)ときは、その距離の短縮に応じて視認性を上昇させる。言い換えれば、視認者と第2のコンテンツ画像の位置とが近づくにつれて、第2のコンテンツ画像の視認性が向上して、第2のコンテンツ画像の誘目性が増す。これによって、視認者が第2のコンテンツ画像を見落とすことがない。よって、例えば、車両が、方向転換地点をうっかり通り過ぎてしまう、というような運転ミスが抑制され得る。
【0058】
第4乃至第10の何れか1つの態様に従属する第11の態様において、
前記制御部は、
前記第2のコンテンツ画像の視認性は、前記視認者から見て、前記第2のコンテンツ画像よりも手前側に位置し、かつ実景に重畳することが意図されない画像の視認性よりも低く設定してもよい。
【0059】
第11の態様では、第2のコンテンツ画像の視認性は、視認者から見て手前側に表示される、実景(背景)への重畳が意図されない画像(非重畳コンテンツの画像:例えば車速表示)の視認性よりも低く設定する。
【0060】
車速表示や車両の計器類の表示等は、視認者(運転者等)から見て手前側にはっきりと表示される。ここで、遠方に表示される第2のコンテンツ画像が、その車速表示等と同等の視認性を有していると、視認者には、誘目される表示が2つあることになり、煩わしく感じられることがある。この点を考慮して、遠方の第2のコンテンツ画像の視認性は、手前側の車速表示等の視認性よりも低く設定するのが好ましい。
【0061】
また、空気遠近法によって、遠方の実景は霞んで見えることを考慮すると、遠方の第2のコンテンツ画像の視認性を低下させることは、実景の実際の見え方と合致するものであり、特に問題は生じない。
【0062】
第1乃至第11の何れか1つの態様に従属する第12の態様において、
前記制御部は、
前記視認者から見て、前記視差を有する左視点画像及び右視点画像の位置よりも手前側に、前記コンテンツ画像を表示するときは、
そのコンテンツ画像の視認性を、視差角差を0°として2Dの表示とするときの視認性と同じ、あるいはそれに近い視認性としてもよい。
【0063】
第12の態様では、視認者から見て、第2のコンテンツ画像が、視差を有する左視点画像及び右視点画像の位置(言い換えれば第1の面)よりも手前側に飛び出して見えるときは、視差角差を0°として2Dの表示とするときの視認性と同じ、あるいはそれに近い視認性(例えば、同等の表示輝度)とする。
【0064】
視認性(例えば表示輝度)が低下すると、視認者(運転者等)は、第2のコンテンツ画像が手前側に飛び出している、と認識しづらくなる。言い換えれば、視認者における、距離の認知性が低下する事態を招く。よって、これを防止するために、視認者から見て手前側に飛び出すコンテンツ画像については、視認性(例えば表示輝度)を積極的には変更せず、2D表示の視認性と同じ、又は近い視認性とする。
【0065】
第13の態様において、ヘッドアップディスプレイ装置は、
画像を被投影部材に投影することで、視認者に前記画像を視認させるヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記画像を生成する画像生成部と、
前記画像を表示する表示部と、
前記画像の表示光を反射して、前記被投影部材に投影する光学部材を含む光学系と、
第1乃至第12の何れか1つの態様の表示制御装置と、
を有する。
【0066】
第13の態様によれば、コンテンツ画像の知覚距離の増大に伴って、視認者にクロストークが認識され易くなること(クロストークが目立つようになること)を効果的に防止することが可能な、視差式3Dヘッドアップディスプレイ(HUD)装置を提供することができる。
【0067】
第14の態様において、画像の表示制御方法は、
画像の表示制御方法であって、
コンテンツ画像が視認者に知覚される距離である知覚距離を決定する第1の工程と、
前記視認者の左右の各目に、視差を有する左視点画像及び右視点画像を視認させることで、奥行き表現を付加したコンテンツ画像として表示する3D表示処理を実施する第2の工程と、
前記知覚距離を変更する知覚距離変更処理を実施する場合において、前記知覚距離が増大したときは、前記コンテンツ画像の明度、色相、彩度の少なくとも1つを調整することで、前記コンテンツ画像の視認性を、段階的又は連続的に低下させる視認性低下処理を合わせて実施する第3の工程と、
を含む。
【0068】
第14の態様によれば、コンテンツ画像の知覚距離の増大に伴って、視認者にクロストークが認識され易くなること(クロストークが目立つようになること)を効果的に防止することが可能な、画像の表示制御方法を提供することができる。
【0069】
当業者は、例示した本発明に従う態様が、本発明の精神を逸脱することなく、さらに変更され得ることを容易に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】
図1(A)は、視差式3DHUD装置を含む車載システムの構成の一例を示す図、
図1(B)は、視差角差のない2D表示の例を示す図である。
【
図2】
図2(A)は、車載用HUD装置による3D表示が可能な領域等を示す図、
図2(B)は、運転シーンにおける3D表示例を示す図である。
【
図3】
図3(A)~(E)は、視差式3D表示における、視差角差に対する、視差を有する左右の各視点画像、ならびに遠方に表示される奥行き感を有する立体画像の位置の変化の様子を示す図である。
【
図4】
図4(A)~(E)は、クロストーク対策として、知覚距離に対応させて視認性を低下させる処理を実施する場合の一例を示す図である。
【
図5】
図5(A)、(B)は、L
*a
*b
*色空間を用いた視認性の制御について説明する図である。
【
図6】
図6は、L
*c
*h
*色空間を用いた視認性の制御について説明する図である。
【
図7】
図7(A)~(D)は、運転シーンにおける、第1、第2の各コンテンツ画像を用いた表示例を示す図である。
【
図8】
図8(A)~(H)は、
図7の表示例における、視認性及び仮想距離の制御例を示す図である。
【
図9】
図9(A)は、クロストーク対策として視認性の変更制御が可能な視差式3DHUD装置の全体構成例を示す図、
図9(B)は、制御部及び画像生成部の構成例を示す図である。
【
図10】
図10は、画像表示制御の手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0071】
以下に説明する最良の実施形態は、本発明を容易に理解するために用いられている。従って、当業者は、本発明が、以下に説明される実施形態によって不当に限定されないことを留意すべきである。
【0072】
(第1の実施形態)
図1を参照する。
図1(A)は、視差式3DHUD装置を含む車載システムの構成の一例を示す図、
図1(B)は、視差角差のない2D表示の例を示す図である。
【0073】
なお、
図1(A)、(B)において、視認者の左右の目E1、E2を結ぶ線分に沿う方向(言い換えれば車両1の幅方向)を左右方向(あるいは横方向:X方向)とし、左右方向に直交すると共に、地面又は地面に相当する面(ここでは路面6とする)に直交する線分に沿う方向を上下方向(あるいは高さ方向:Y方向)とし、左右方向及び上下方向の各々に直交する線分に沿う方向(車両1の前進及び後退の向きを示す方向)を前後方向(Z方向)とする。正のZ方向を前方、負のZ方向を後方とする。この点は、他の図面(
図2、
図7)においても同様である。
【0074】
図1(A)の、車両(自車両)1に備わる車載システムは、運転者(視認者あるいは観察者)の左目ELと右目ERの視線方向や位置を検出する瞳(あるいは顔)検出用の瞳検出カメラ43と、前方(広義には周囲)撮像カメラ(例えばステレオカメラ)45と、画像処理部46(測距部47、対象物種類/サイズ検出部48を含む)と、HUD装置100と、通信部(GPS通信や車々間通信等の機能を有する)123と、車両1に関する各種情報(例えば照明のオン/オフ情報、車速情報、エンジンに関する情報等)を収集可能なECU120と、を有する。必要に応じて、さらに測距手段としてのレーダー部125等を備えてもよい。測距手段は、例えば、自車両から前方車両(先方対象物)までの距離の測距に利用可能である。この測定結果に基づいて、例えば、先方対象物の無い範囲において視差式3D表示を実施する等の表示制御が実施される。
【0075】
なお、画像処理部46に含まれる測距部47は、例えば、撮像カメラ45としてのステレオカメラで撮像した左右一対の元画像を参照し、例えば、各画像の対応点を探索するステレオマッチングにより同一物体(先方対象物とする)に対する視差を検出し、この視差に基づく三角測量の原理により先方対象物までの測距を測定する。また、レーダー部125は、電波を対象物(先方対象物)に向けて発射し、その反射波を測定することにより、対象物(先方対象物)までの距離や方向を測定する。HUD装置100の情報取得部119は、適宜、測定された距離情報等は取得し、立体表示装置111の制御部701に供給する。
【0076】
HUD装置100は、例えばダッシュボード(
図1では不図示、
図2(B)の符号41)内に設置される。このHUD装置100は、立体表示装置111と、光学系116と、光出射窓118と、情報取得部119と、を有する。情報取得部119は、通信部127、ECU120、レーダー部125、及び画像処理部46等から、種々の情報を取得することができる。
【0077】
立体表示装置111は、ここでは視差式3D表示装置とする。この立体表示装置(視差式3D表示装置)111は、画像生成部112と、画像表示部(液晶表示装置等であり、画像を表示する画像表示面を有する)113と、レンチキュラレンズやパララックスバリア(視差バリア)等を有し、画像表示面から出射される光を、左右の各目用の光線に分離する光線分離部114と、制御部701と、を有する。
【0078】
制御部701は、例えば画像生成部(具体的には例えば画像レンダリング)112、画像表示部113の動作を制御することができ、また、2D表示/3D表示を切り替えることが可能であり、クロストーク対策としてのコンテンツ画像の視認性制御も行うことができる。また、制御部701は、表示制御装置(
図1(A)では不図示、
図9(A)の符号700)の構成要素として設けてもよい。
【0079】
光学系116は、光線分離部114からの光を反射し、画像の表示光K1、K2を、ウインドシールド(被投影部材)2に投影する曲面ミラー(凹面鏡等)117を有する。但し、その他の光学部材(レンズ、補助反射鏡等)を、さらに有してもよい。
【0080】
図1(A)では、HUD装置100の立体表示装置111によって、左右の各目用の、視差を有する視点画像(「視差画像」と称する場合もある)が表示される。各視差画像は、
図1(A)に示されるように、調整面(結像面)PSに結像した画像(虚像)25L、25Rとして表示される。
【0081】
以下の説明では「調整面(結像面)PS」を「第1の面」という場合がある。奥行き感を有する立体画像(立体像、3D像)27は、第1の面PSよりも、視認者から見て奥側に位置する輻輳面VS(これを「第2の面」という場合がある)に表示される。
【0082】
また、調整面(第1の面)PSの位置を、「調整位置」と称する場合がある。また、視認者側に設定される基準点(例えば、視認者の視点位置、又は車両上の特定位置、あるいは、視認者側の実空間における所定の座標位置等)を基準として、調整面(第1の面)までの距離(
図2の符号D100)を調整距離と称し、輻輳面(第2の面)VSまでの距離(
図2(A)の符号D300)を、立体像が視認者によって知覚される距離である「知覚距離(あるいは輻輳距離)」と称する場合がある。
【0083】
また、調整面(第1の面)から輻輳面(第2の面)までの距離(
図2の符号D200)を、仮想距離(あるいは奥行距離)と称する。なお、知覚距離(
図2(A)の符号D300)は、調整距離(
図2(A)の符号D100)に、仮想距離(
図2(A)の符号D200)を加算した距離ということもできる。
【0084】
2D表示制御が実行された場合には、
図1(B)のように、調整面(結像面)PSにおいて、平面的な虚像29(ナビゲーション用の矢印の図形)が表示される。なお、平面的な虚像は、「2D画像あるいは2D虚像」等と称される場合がある。
【0085】
次に、
図2を参照する。
図2(A)は、車載用HUD装置による3D表示が可能な領域等を示す図、
図2(B)は、運転シーンにおける3D表示例を示す図である。
【0086】
図2(A)において、視差式3DHUD装置は、車両1に搭載されており、ウインドシールド2に画像(表示光)を投影して、視認者(運転者)の前方に画像(虚像)を表示する。
【0087】
図2(A)において、符号21で示される領域(砂模様が付されている領域)は、視差式3D表示が可能な領域(視差式3D表示可能領域)である。3D画像は、調整面(第1の面)PSよりも、視認者から見て手前側に表示されることも可能である。
図2(A)の例では、輻輳面(第2の面)VSは、調整面(第1の面)PSよりも奥側に設定されている。先に説明したように、符号D100は調整距離(結像距離)を示し、符号D200は仮想距離(奥行距離)を示し、符号D300は知覚距離(3D表示距離)を示す。
【0088】
具体的には、調整面(第1の面PS)は、視認者側の基準点(基準位置)から、例えば5m~8mの距離に設定される。但し、これは一例であり、これに限定されるものではない。
【0089】
図2(B)を参照する。
図2(B)において、車両1は、直線状の道路(路面)6を走行している。
図2(B)の例では、視認者5は、車両1の運転者である。HUD装置100は、ダッシュボード41内に設置されている。HUD装置100は、ウインドシールド2に画像(表示光)を投影する。また、表示領域(HUD表示領域)3は、調整面(第1の面)PSに対応する仮想的な領域である。
【0090】
また、
図2(B)の表示例では、路面(地面に相当する面)6に重畳されるように(あるいは、路面から離れて浮き上がっている状態で)、立体的な虚像としての進路案内用の矢印の図形要素FUが表示されている。
【0091】
この矢印の図形要素FUは、拡張現実(AR)要素の一種であり、
図2(B)の例では、車両1の進路を示すために、車両1の前方に移動することができる。言い換えれば、車両1(あるいは視認者5)と、矢印の図形要素FUとの距離は可変であり、矢印の図形要素FUは、見かけ上、車両1よりも前方に速く移動して、車両1との距離を広げることができ、あるいは、移動速度を低下させることで、車両1との距離を縮めることもできる。なお、
図2(B)では、矢印の図形要素FUの移動方向を、破線の矢印で示している。
【0092】
次に、
図3を参照する。
図3(A)~(E)は、視差式3D表示における、視差角差に対する、視差を有する左右の各視点画像、ならびに遠方に表示される奥行き感を有する立体画像の位置の変化の様子を示す図である。
【0093】
図3(A)は2D表示の例を示している。1つの画像(例えば虚像)V1は、視認者の左右の目EL、ERの位置(視点位置)からD1の距離にて表示される。この場合の輻輳角はθ0である。また、視差角差は0°である
【0094】
図3(B)は視差式3D表示の一例を示す。
図3(B)において、左右の各目用の視点画像(視差画像)V10、V20は、左右方向(車両1の幅方向)に沿って並置されるが、それらは一部重複して配置されている。この結果、3D表示としての画像(虚像)FU10は、視認者から見て、比較的近くに見える。なお、D1は調整距離、D2は仮想距離、D3は知覚距離を示す。
【0095】
図3(C)は、
図3(B)における視差角差について説明する図である。視差角差は、
図3(B)の輻輳角θ1と、輻輳角θ2L又はθ2Rとの差で表される。
【0096】
図3(B)の下側に示されるΔθが視差角差であり、その値が正である場合は、立体画像(立体像)FU10は、視差画像V10、V20の表示位置(あるいは第1の面)よりも奥側に表示され、その値が負である場合は、立体画像(立体像)FUは、視差画像V10、V20の表示位置(あるいは第1の面)よりも手前側に、飛び出すようにして表示される。
図3(C)では、視差角差Δθは正であり、かつ、その値は、所定の閾値θthよりも小さい。
【0097】
図3(D)を参照する。
図3(D)において、D4は仮想距離、D5は知覚距離を示す。知覚距離D5は、
図3(B)における知覚距離D3より大きい。左右の各視点画像(視差画像)V30、V40は、左右方向に間隔をおいて(離れて)並置されている。立体画像FU20は、
図3(B)の立体画像F10よりも、視認者から見て奥側(遠い位置)に表示される。この場合の視差角差は、
図3(E)に示されるように、Δθ’で表される。Δθ’は閾値θthより大きく、また、Δθ<Δθ’である。
【0098】
このように、知覚距離が増大すると、言い換えれば、視差角差が増大すると、左右の視点画像(左右の視差画像)の間隔が大きくなり、視認者から見て、各視差画像の外観の差異が増大する。
【0099】
よって、クロストーク(逆視や混合等)が生じると、
図3(B)よりも
図3(D)の方がゴースト像の歪みが大きくなり、視認者は、クロストークの発生をよりはっきりと認識してしまう。言い換えれば、3D表現の立体像が遠方に表示される場合ほど、クロストークが認識され易い。したがって、この点を考慮した、クロストーク対策が必要となる。
【0100】
次に、
図4を参照する。
図4(A)~(E)は、クロストーク対策として、知覚距離に対応させて視認性を低下させる処理を実施する場合の一例を示す図である。
図4(A)は、
図3(A)と同じである。知覚距離はD1である。ここでは、
図4(A)の2Dの画像V1の視認性を100%とする。
【0101】
図4(B)は、
図3(B)と同じである。知覚距離はD3(>D1)である。
図4(C)は、
図3(D)と同じである。知覚距離はD5(>D3)である。
【0102】
図4(D)及び
図4(E)は、最初に
図4(A)の表示を実施し、続いて
図4(B)の表示を実施し、続いて
図4(C)の表示を実施したときの、時間軸上におけるコンテンツ画像(表示画像)の視認性の変化の例を示す。
図4(D)では、知覚距離が増大した場合に、コンテンツ画像の視認性を、連続的に低下させる処理(特性線G1で示されるような視認性低下処理)が実行されている。
図4(E)では、コンテンツ画像の視認性を、段階的に低下させる処理(特性線G2で示されるような視認性低下処理)が実行されている。何れの制御でもよい。但し、より高精度な視認性の制御が必要な場合は、
図4(D)の連続的な視認性低下制御を採用するのが好ましい。
【0103】
このように、知覚距離の増大に伴い(言い換えれば、画像の表示位置が遠方となることに伴い)、画像の視認性を低下させる。これにより、クロストークによるゴースト像の視認性も低下することから、視認者がクロストークを認識しにくい。よって、例えば違和感が低減される。違和感等の低減は、安全運転にも寄与する。
【0104】
また、
図4(D)、(E)における視認性の低下は、具体的には、例えば、画像の輝度(階調)を低下させることで実現され得る。なお、輝度は明度と言い換えることができる。但し、これに限定されるものではなく、画像の色相や彩度を調整することで視認性を制御してもよい。
【0105】
言い換えれば、視認性低下処理は、コンテンツ画像の、明度(輝度)を低下させる処理、及び、色相を青色に近づける処理、及び、彩度を低下させる処理、の少なくとも1つを含んでもよい。
【0106】
例えば、L*a*b*色空間、あるいはL*c*h*色空間等(これらの色空間については後述する)において、上記3つの要素を適宜、変化させて、適切な視認性の変更制御を行うことで、クロストークを認識しにくい3D表示を実現可能である。
【0107】
例えば、画像の輝度(明度)を低下させれば、クロストーク像の輝度も低くなり、視認者がクロストークを認識しにくくなる。具体的には、例えば、視差角差0°のコンテンツの表示輝度を最大輝度とし、視差角差が大きくなるにつれて、表示輝度を低下させる。
【0108】
画像の輝度を低下させる処理は、具体的には、3DHUD装置において、コンテンツ画像の知覚距離(3D表示距離)を算出し、コンテンツ画像の知覚距離に応じたTFT液晶表示装置等の調光制御を実施することで実現が可能である。また、輝度の制御方法としては、アクティブバックライト等を使用して、光源の光強度を適応的に制御することによっても実現することができる。
【0109】
先に説明したように、視差角差が0°ということは、左右の視点画像の表示面(「第1の表示面」とする)上で、視差のない2D画像を表示した状態(左右の各目に同一の画像を視認させた状態)である。2D表示のときは、画像は第1の表示面上に位置するが、視差角差が0°より大きくなると、第1の表示面を基準として、より奥側(より遠方)に3D表現による立体画像が表示される。
【0110】
立体画像の表示面を「第2の表示面」とするとき、「第1の表示面」と「第2の表示面」との間の距離を「仮想距離」とし、視認者側の基準点(例えば視認者の視点)から第2の表示面までの距離が上述した「知覚距離」である。仮想距離が大きくなるにつれて、第1の面に表示される左右の各視点画像の輝度(明度)を低下させる処理が、例えばプロセッサ(
図9の符号742)によって実行される。なお、輝度(明度)の低下は、「階調の低下」と言い換えることができ、また、「色味が黒色に近づくこと」と言い換えることもできる。
【0111】
また、3D表現による立体画像の表示位置が遠方にシフトするにつれて、左右の視点画像の色味を青色方向へシフトさせることによっても、視認性を低下させることが可能である。言い換えれば、画像の配色を、人間の感度が低いといわれる青色方向にシフトすることによって、調光パラメータを変更することなく、クロストークを認識しにくい表示とすることができる。表示色の変更は、例えば、発光色が異なる複数の光源の出射光の配合比率を変更することで実現可能である。また、出射光を青色フィルタに通して、色相を青色方向にシフトすることも可能である。
【0112】
また、空気遠近法によって、遠方の対象物は近傍に配置された同様の対象物よりも青味が増して視認される傾向がある。よって、色味を青色方向に変化させた場合でも、実際の風景(遠景)に近い表現となり、視認者の、表示コンテンツに対する違和感は少ないものと考えられ、特に問題は生じない。
【0113】
なお、表示コンテンツの初期値が青色の最大値(MAX)であるときは、青色方向へのシフトはできないが、この場合でも、例えば、明度(輝度)を低下させて色味を黒の方向に近づけて視認性を変化させることは可能である。また、彩度の低下によって視認性を変化させることもできる。
【0114】
また、彩度を単独で調整して、視認性を変更することもできる。例えば、3D表現の立体画像が近方にあるときは原色に近い鮮やかな色とし、遠方になるにつれて、くすんだ色へと変化させ、最終的には無彩色とすることで、視認性を制御することが可能である。彩度の変更も、上記の色相の変更と同様の手法によって実現可能である。
【0115】
また、視認性の低下処理は、コンテンツ画像の輪郭を、段階的又は連続的にぼかす、ぼかし処理を含んでもよい。コンテンツ画像の輪郭をぼかすことによって、クロストーク像(ゴースト像)と本来の表示像との境界がぼけ、クロストークを認識しにくい表示が提供可能となる。
【0116】
なお、表示像自体のぼけは、視認者に多少の影響を与える。但し、人間の目は、遠方の表示ほど空気遠近法によって輪郭が霞んで見えることから、上記の処理によって表示像にぼけが生じたとしても、コンテンツ画像に対する違和感は少なく、特に問題はない。
【0117】
次に、
図5を参照する。
図5(A)、(B)は、L
*a
*b
*色空間を用いた視認性の制御について説明する図である。L
*a
*b
*色空間では、明度(輝度)をL
*で表し、色相と彩度を示す色度をa
*b
*で表す。
図5(A)は立体的な色空間の全体を示し、
図5(B)は色相と彩度を表す色平面を示す。
図5(B)において、例えば点Aは、「赤方向の色相で、比較的あざやかな色」を示す。
【0118】
L*a*b*色空間において、明度(輝度)、色相、彩度を適宜、変化させることで、画像の視認性を変更することができる。
【0119】
次に、
図6を参照する。
図6は、L
*c
*h
*色空間を用いた視認性の制御について説明する図である。
【0120】
L
*c
*h
*色空間は、
図5のL
*a
*b
*色空間を変形して得られる。L
*は、明度(輝度)を表す。c
*は、彩度を表す。この値が大きいと円の外側に位置するのであざやかさが増し、値が小さいと、円の中心に近づくため、くすんだ色となる。
【0121】
また、h
*は、色相角度を表す。
図6において、赤方向の軸である+a
*軸を色相角度0°とし、反時計回りに90°シフトすると黄方向の色相となり、180°シフトすると緑方向の色相となり、270°シフトすると青方向の色相となる。L
*c
*h
*色空間では、色相角度によって、色味を直接的に指定することができるため、先に述べた画像の色を青方向にシフトするような場合には使い勝手がよい。
【0122】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、移動する第1のコンテンツ画像を表示し、その第1のコンテンツ画像を、表示態様が異なる第2のコンテンツ画像に切り替えるような運転シーンにおける、好ましい視認性制御の例について説明する。
【0123】
図7を参照する。
図7(A)~(D)は、運転シーンにおける、第1、第2の各コンテンツ画像を用いた表示例を示す図である。
【0124】
図7(A)~(C)において、立体像である矢印の図形要素FU1は、路面6上を移動しつつ、車両1の進路(経路)を案内するナビゲーション表示の一種であり、ここでは、この矢印の図形要素(AR要素)FU1を、第1のコンテンツ画像と称する。
【0125】
立体像である矢印の図形要素FU1は、路面6に重なるようにして、あるいは、路面から離れて、その路面6に沿って随時に位置を変えて移動する移動体の拡張現実(AR)要素である。なお、
図7(A)~(C)では、矢印の図形要素FU1の移動経路を破線の矢印で示している。
【0126】
また、
図7(C)に続いて、
図7(D)では、表示態様が異なる第2のコンテンツ画像としての、方向転換地点を示す方向転換用の矢印の図形要素(AR要素)FU2が表示される。具体的には、方向転換用の矢印の図形要素FU2は、右折を促す、右折用の矢印要素である。
図7(C)から
図7(D)に移行することで、第1のコンテンツ画像から第2のコンテンツ画像への切り替えが行われることになる。
【0127】
また、
図7(D)において、第2のコンテンツ画像FU2よりも手前側には、車速表示SP(「60km/h」という表示)が表示されている。車速表示SPは、実景への重畳が意図されない非重畳コンテンツの画像である。
【0128】
路面6に沿って自在に移動する、立体的な矢印の図形要素FU1の表示を行う際、左右の各目に正確に表示光を配光することが難しくなるのは否めず、クロストークが生じ易くなるため、第1の実施形態で示した視認性低下処理によるクロストーク対策を実施するのが好ましい。
【0129】
但し、
図7(D)に示される右折用の矢印の図形要素FU2についても、同様に視認性低下処理を施すと、方向転換地点は遠方にあるため、右折用の矢印の図形要素FU2の視認性は相当に低下した状態となってしまう。この右折用の矢印の図形要素FU2は、視認者(運転者)に確実に視認され、認識されることが重要である。視認性が低下した状態では、視認者(運転者)は、その右折用の矢印の図形要素FU2に気づかず、車両1が、方向転換地点を、うっかり通り過ぎてしまうという不都合も生じ得る。また、右折用の矢印の図形要素FU2は、静止しているか、あるいは、移動体であるFU1の動きと比較して動きが少ないと考えられる。したがって、クロストークの発生頻度は、移動体であるFU1に比べて少ないと考えられる。
【0130】
また、
図7(D)の例では、矢印の図形要素FU2は、左右方向に3個(FU1では要素の数は1個であるため、FU1の要素の数よりも多い)が配列されており、仮に1つの矢印の図形要素にクロストークが発生したとしても、他の2個の矢印の図形要素が正常に視認され得るのであれば、問題は少ないと考えられる。
【0131】
このような点を考慮して、
図7(D)の運転シーンでは、右折用の矢印の図形要素FU2(第2のコンテンツ画像)については、クロストーク対策よりも、視認者(運転者)によって確実に視認され、認識される点を優先し、例えば、視認可能な視認性を維持する(確保する)というような制御を実施する。言い換えれば、視認性を積極的に付与する制御を実施する。
【0132】
このように、第1、第2の各コンテンツ画像の性質(属性)を考慮して、各々に対して異なる視認性制御を実施することで、クロストークの防止と、重要な情報の確実な確認とを両立することができる。
【0133】
第1、第2のコンテンツ画像は、上記の例には限定されない。HUD装置が車載用に限定されない点を考慮すると、広義には、例えば、第1のコンテンツ画像は、位置が随時に変更される移動対象を示す拡張現実要素であり、第2のコンテンツ画像は、特定の地点、又はその地点の近傍の実景に重ねられる、目印、又は案内表示、あるいは道路標識としての機能をもつ拡張現実要素としてもよい。
【0134】
具体的には、第1のコンテンツ画像は、人の進路を案内する矢印の図形要素であってもよい。また、第2のコンテンツ画像は、方向転換地点における人の右折や左折を促す案内表示(あるいは目印表示)であってもよく、また、「一時停止、左右確認」といった行動を促す道路標識であってもよい。
【0135】
また、車載用のHUD装置を想定した場合は、例えば、第1のコンテンツ画像は、視認者(運転者)が搭乗する車両の走行を案内するために路面に沿って移動する拡張現実要素(例えば、
図7の立体的な矢印の図形要素FU1)であってもよく、第2のコンテンツ画像は、特定の地点、又はその地点の近傍の実景に重ねられる、車両の運行に関する目印、又は案内表示、あるいは道路標識としての機能をもつ拡張現実要素であってもよい。
【0136】
第2のコンテンツ画像の具体例としては、例えば、方向転換地点(例えば右折や左折の地点)を示す方向転換用の矢印の図形要素(AR要素)が挙げられる。方向転換用の矢印の図形要素には、右カーブや左カーブを促す表示を含めてもよい。
【0137】
なお、上記の方向転換用の矢印の図形要素(第2のコンテンツ画像の例)は、案内表示の一種と考えられる。他の具体例としては、「目的地の位置を示す目印の表示」、あるいは、「一時停止、徐行、左右確認」といった道路標識をあげることができる。これらを第2のコンテンツ画像として表示するときも、上記の例(方向転換用の矢印要素の例)と同じように、視認者に確実に視認させる(確認させる)ことが優先される。よって、上記の例と同様の処理をするのが好ましい。なお、目印、案内表示、道路標識の各々の意味内容は広義に、柔軟に解釈するものとする。例えば、案内表示には広告や看板も含まれ得る。
【0138】
また、第2のコンテンツ画像(例えば
図7(A)~(C)の矢印の図形要素FU1)の視認性は、視認者から見て、第2のコンテンツ画像よりも手前側に位置し、かつ実景に重畳することが意図されない画像(非重畳コンテンツの画像:例えば
図7(A)~(D)の右下側に表示される車速表示SP)の視認性よりも低く設定するのが好ましい。
【0139】
車速表示や車両の計器類の表示等は、視認者(運転者等)から見て手前側にはっきりと表示される。ここで、遠方に表示される第2のコンテンツ画像が、その車速表示等と同等の視認性を有していると、視認者には、誘目される表示が2つあることになり、煩わしく感じられることがある。この点を考慮して、遠方の第2のコンテンツ画像の視認性は、手前側の車速表示等の視認性よりも低く設定するのが好ましい。
【0140】
また、空気遠近法によって、遠方の実景は霞んで見えることを考慮すると、遠方の第2のコンテンツ画像の視認性を低下させることは、実景の実際の見え方と合致するものであり、特に問題は生じない。
【0141】
次に、視認性制御の具体例について説明する。
図8を参照する。
図8(A)~(H)は、
図7の表示例における、視認性及び仮想距離の制御例を示す図である。
図8(A)~(D)の各々は、
図7(A)~(D)の各々に対応している。
【0142】
図8(A)~(D)において、D10は調整距離、D21~D23は仮想距離、D31~D33は知覚距離を表す。また、V11、V12は、第1の表示面上に表示される左目用/右目用の視点画像(視差画像)である。
【0143】
立体的な矢印の図形要素FU1は、
図8(A)では視認者の近くに表示されるが、
図8(B)では、視認者からやや遠ざかり、
図8(C)では、遠方に表示される。また、FU1は線遠近法により描画されるため、
図8(A)から
図8(C)に向かって、FU1の大きさは徐々に小さくなる。
【0144】
また、
図8(E)は、
図7(A)~(D)を順次、表示する場合に、時間軸上での、FU2の視認性(P:実線の特性線で示される)と、仮想距離(L:破線の特性線で示される)との変化の一例を示している。
【0145】
また、
図8(F)は、
図8(D)と同じである。
図8(G)は、
図8(F)の後、車両の進行に伴って、第2のコンテンツ画像FU2の知覚距離(第2の知覚距離)が短縮された場合の表示例を示す。
図8(F)では第2の知覚距離はD33であるが、
図8(G)では、D34(<D33)となっている。但し、
図8(F)、(G)共に、仮想距離はD23であり、一定に維持されている。また、
図8(H)は、
図8(F)、(G)における視認性P(実線)、仮想距離L(破線)の、時間軸上における変化の例を示している。なお、
図8(D)(F)、(G)におけるV14、V24は、立体的な第2のコンテンツ画像FU2を表示するための、左右の各目用の視点画像(視差画像)である。
【0146】
図8(A)~(E)に示されるように、HUD装置の制御部(
図1、
図9(A)の符号701)は、第1のコンテンツ画像FU1について、知覚距離変更処理によって知覚距離を第1の知覚距離まで増大させ、これに伴い、視認性低下処理によって第1のコンテンツ画像FU1の視認性を低下させ、これによって第1のコンテンツ画像を非表示状態、又はそれに近い状態とする(
図8(E)の時刻t20付近を参照)。
【0147】
また、制御部701は、知覚距離変更処理の途中、又は知覚距離変更処理の後に、第1の知覚距離又はその近傍である第2の知覚距離において、視認可能な視認性を有し、かつ第1のコンテンツ画像とは表示態様が異なる第2のコンテンツ画像FU2を表示することができる。
【0148】
図8(A)~(C)及び
図8(E)に示されるように、第1のコンテンツ画像FU1については、知覚距離の増大に伴い、視認性が漸次低下され、
図8(E)の時刻t20付近では、視認性がきわめて低い状態(非表示、あるいはそれに近い状態)となる。
【0149】
一方、第2のコンテンツ画像(
図8(D)のFU2)については、第1のコンテンツ画像FU1の知覚距離の増大が継続している途中、あるいは、知覚距離の増大が終了した後において、第1のコンテンツ画像FU1の第1の知覚距離D33と同じ、あるいは近傍の第2の知覚距離(
図8(E)では第1の知覚距離D33と同じ距離)にて、かつ、視認可能な視認性を有して表示される。
【0150】
これによって、違和感が少ない、円滑なコンテンツ画像の切り替えが可能である。言い換えれば、第2のコンテンツ画像FU2が表示されるタイミング(
図8(E)の時刻t20付近)では、第1のコンテンツ画像FU1の視認性はかなり低下しているため、2つのコンテンツ画像が併存すること(2つの画像がはっきりと視認される状態となって混乱が生じること)が防止され、よって、視覚的な煩わしさが抑制される。
【0151】
また、第2のコンテンツ画像FU2は、非表示に近い状態となった第1のコンテンツ画像FU1とは異なり、視認可能な視認性をもって表示されることになり、この視覚の変化(視認性の落差)が誘目性を生み、視認者(運転者等)は、その第2のコンテンツ画像FU2に誘目され、よって確実に第2のコンテンツ画像FU2を目視する。これによって、第2のコンテンツ画像FU2のもつ情報(例えば右折を促すナビゲーション情報)が、確実に視認者(運転者等)に伝わる。
【0152】
また、制御部(
図1、
図9(A)の符号701)は、第2のコンテンツ画像FU2の表示開始時において、一定時間視認性を高くした後、視認性を低下させてもよい。
図8(E)において、時刻t20~t21において、点線で示されるように、FU2についての視認性が一時的に高められ、t21~t22において、視認性が低下して元の状態に戻っている。
【0153】
このように、第2のコンテンツ画像FUの表示開始時期において、視認性を一時的に高くし、その後、低下させるという制御を実施することによって、第2のコンテンツ画像FUの誘目性を高めることができる。したがって、視認者(運転者)は、新たに表示された第2のコンテンツ画像FU2を見落とすことなく、確実に視認できる。
【0154】
次に、
図8(F)、(G)を参照する。制御部701は、上記の一時的に視認性を高める視認性制御の後、第2のコンテンツ画像FU2の知覚距離(第2の知覚距離:
図8(F)ではD33、
図8(G)ではD34)が、車両1の進行に伴って短縮されると、これに応じて、第2のコンテンツ画像FUの視認性を上昇させてもよい。
【0155】
図8(H)において、時刻t31を起点として、視認性を示す実線から、右斜め上に点線が延びているが、これが、知覚距離の短縮に伴う、視認性の漸次上昇を示している。
【0156】
例えば、車両1が方向転換地点に近づくことに対応して第2の知覚距離が徐々に短縮されるときは、その距離の短縮に応じて視認性を上昇させることができる。言い換えれば、視認者と第2のコンテンツ画像の位置とが近づくにつれて、第2のコンテンツ画像の視認性が向上して、第2のコンテンツ画像の誘目性が増す。これによって、視認者が第2のコンテンツ画像を見落とすことがない。よって、例えば、車両1が、方向転換地点をうっかり通り過ぎてしまう、というような運転ミスが抑制され得る。
【0157】
また、制御部701は、第2のコンテンツ画像FU2の表示を開始した後、3D表示が可能な期間においては、第2の仮想距離(
図8(D)(又は(F))、及び
図8(G)におけるD23)を維持してもよい。
図8(G)では、知覚距離D34は、
図8(D)(又は(F)のD33に比べて短縮されているが、仮想距離D23については変更されることなく維持されている。
【0158】
視認者は、各目用の視点画像(視差画像)の表示位置(第1の面)から、仮想距離だけ奥の位置に、立体像を感得している。よって、この第2の仮想距離を短縮等すると違和感が生じる可能性があることから、第2の仮想距離を極力維持することとした。
【0159】
また、制御部701は、
図8(G)の第2のコンテンツ画像FU2についての知覚距離(第2の知覚距離D34)を短縮するときは、仮想距離(第2の仮想距離)D23を維持しつつ短縮するが、その短縮にかかわらず、第2コンテンツ画像FU2の視認性を低下させないようにしてもよい。
【0160】
第2のコンテンツ画像FU2は、上述のとおり、視認者(運転者等)に確実に視認(確認)させることが重要であるため、クロストーク対策よりも視認性を優先させ、視認性の低減処理は実施しないこととした。
【0161】
以上の説明では、3D表現の立体像は、各目用の視点画像(視差画像)の位置(第1の面)よりも奥側に表示される場合について例示した。但し、上述のとおり、3D表現の立体像は、第1の面の手前側に表示される場合もある。
【0162】
この場合において、制御部701は、3D表現によるコンテンツ画像の視認性を、視差角差を0°として2Dの表示とするときの視認性と同じ、あるいはそれに近い視認性としてもよい。
【0163】
視認性(例えば表示輝度)が低下すると、視認者(運転者等)は、立体的なコンテンツ画像が手前側に飛び出している、と認識しづらくなる。言い換えれば、視認者における、距離の認知性が低下する事態を招く。
【0164】
よって、これを防止するために、視認者から見て手前側に飛び出すコンテンツ画像については、視認性(例えば表示輝度)を積極的には変更せず、2D表示の視認性と同じ、又は近い視認性とするのが好ましい。
【0165】
次に、
図9を参照する。
図9(A)は、クロストーク対策として視認性の変更制御が可能な視差式3DHUD装置の全体構成例を示す図、
図9(B)は、制御部及び画像生成部の構成例を示す図である。なお、
図9(A)において、
図1(A)と共通する部分には同じ符号を付している。
【0166】
視差式3DHUD装置は、立体表示装置111と、光学系116と、情報取得部119とを備える。立体表示装置111は、表示制御装置700と、画像生成部112と、表示部113と、アクチュエータ179とを有する。アクチュエータ179は、例えば、光学系116に含まれる曲面ミラー(凹面鏡等)117の向きを変更するために使用可能である。
【0167】
表示制御装置700は、制御部701を有する。制御部700は、I/Oインタフェース741と、1つ又は複数のプロセッサ702と、メモリ743と、メモリ743に格納され、1つ又は複数のプロセッサ702によって実行されるように構成される1つ又は複数のコンピュータ・プログラムPGと、を備える。プロセッサ702は、コンピュータ・プログラムPGに基づいて動作することで、画像表示を制御する制御部701(機能ブロック)として機能する。
【0168】
制御部701は、視認者の左右の各目に、視差を有する左視点画像及び右視点画像を視認させることで、奥行き感のある立体的なコンテンツ画像として表示する3D表示処理と、コンテンツ画像が視認者に知覚される距離である知覚距離を変更する知覚距離変更処理と、を実行し、また、知覚距離変更処理は、知覚距離が増大した場合に、コンテンツ画像の視認性を、段階的又は連続的に低下させる視認性低下処理(
図4(D)、(E)参照)を含む。
【0169】
図9(B)の例では、瞳撮像カメラ43による撮像画像を解析して視点位置(及び視線方向)を検出するために、視点位置検出部44が設けられている。
【0170】
また、
図9(B)において、制御部701は、3D/2D切り替え要否判定部751と、3D表示処理部752と、知覚距離変更処理部753と、を有する。知覚距離変更処理部753は、視認性変更処理部754を含む。但し、視認性変更処理部754は、独立して設けてもよい。
【0171】
また、画像生成部112は、画像蓄積部312と、ライトフィールドレンダリング部333と、左目用画像バッファ334と、右目用画像バッファ335と、画像インタフェース(画像I/F)336と、を有する。
【0172】
次に、
図10を参照する。
図10は、表示制御の手順例を示すフローチャートである。ステップS1では、コンテンツ画像の知覚距離(3D表示距離)を決定する。ステップS2では、3D表示処理を実施する。
【0173】
ステップS3では、知覚距離の変更の要否を判定する。Yのときは、ステップS4に移行して、視認性変更処理を実施する。視認性の変更は、例えば、明度(輝度)、色相、彩度の少なくとも1つを調整することで実現され得る。ステップS3で、Nのときは、ステップS5に移行して、現状の3D表示を維持する。
【0174】
ステップS6では、表示終了か否かを判定する。Yのときは表示制御を終了し、Nのときは、ステップS1に戻る。
【0175】
以上説明したように、本発明によれば、視差式3Dヘッドアップディスプレイ(HUD)装置において、コンテンツ画像の知覚距離の増大に伴って、視認者にクロストークが認識され易くなること(クロストークが目立つようになること)を効果的に防止することができる。
【0176】
本明細書において、車両という用語は、広義に、乗り物としても解釈し得るものである。また、ナビゲーションに関する用語(例えば標識等)についても、例えば、車両の運行に役立つ広義のナビゲーション情報という観点等も考慮し、広義に解釈するものとする。また、HUD装置や表示器装置(及び広義の表示装置)には、シミュレータ(例えば、航空機のシミュレータ、ゲーム装置としてのシミュレータ等)として使用されるものも含まれるものとする。
【0177】
本発明は、上述の例示的な実施形態に限定されず、また、当業者は、上述の例示的な実施形態を特許請求の範囲に含まれる範囲まで、容易に変更することができるであろう。
【符号の説明】
【0178】
1・・・車両(自車両)、2・・・ウインドシールド(被投影部材)、3・・・HUD装置の表示領域(HUD表示領域)、5・・・視認者(ユーザー、運転者、乗員、観察者等)、6・・・地面又は地面の相当面(路面等)、21・・・視差式3D表示が可能な領域(視差式3D表示可能領域)、41・・・ダッシュボード、43・・・瞳撮像カメラ、45・・・周囲撮像カメラ、46・・・画像処理部、47・・・測距部、48・・・対象物種類/サイズ検出部、100・・・HUD装置、111・・・立体表示装置、112・・・画像生成部、113・・・表示部(表示パネル等)、114・・・光線分離部(レンチキュラレンズ、視差バリア等)、116・・・光学部、117・・・曲面ミラー(凹面鏡等)、119・・・情報取得部、120・・・ECU、123・・・通信部、125・・・レーダー部、700・・・表示制御装置、701・・・制御部、741・・・I/Oインタフェース、742・・・プロセッサ、743・・・メモリ、751・・・2D/3D切り替え要否判定部、752・・・3D表示処理部、753・・・知覚距離変更処理部、754・・・視認性変更処理部、K10、K20・・・表示光、PS・・・調整面(結像面、第1の表示面)、VS・・・輻輳面(第2の表示面)、D100・・・調整距離、D200・・・仮想距離(奥行距離)、D300・・・知覚距離(3D表示距離)、FU・・・3D表現による、奥行き感を有する立体像。