(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100126
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】除菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/00 20060101AFI20220628BHJP
B01J 21/06 20060101ALI20220628BHJP
B01J 35/06 20060101ALI20220628BHJP
B01J 35/02 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
A61L9/00 C
B01J21/06 A
B01J35/06 A
B01J35/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214299
(22)【出願日】2020-12-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2020年12月4日 ウェブサイトでの公開、販売開始2020年12月16日 包装容器印刷発注原稿を頒布
(71)【出願人】
【識別番号】514293008
【氏名又は名称】株式会社東亜産業
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(74)【代理人】
【識別番号】100123663
【弁理士】
【氏名又は名称】広川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 龍志
【テーマコード(参考)】
4C180
4G169
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180AA16
4C180CA10
4C180CC03
4C180EA34X
4C180EA39X
4C180EA40X
4C180EA54X
4C180HH05
4C180HH15
4G169AA03
4G169BA04A
4G169BA48A
4G169CA02
4G169CA06
4G169CA11
4G169DA06
4G169EA10
4G169HA01
4G169HB01
4G169HE07
4G169HF02
(57)【要約】
【課題】効率よく光触媒反応を生じさせつつ、気流の流動性も良好な除菌装置を提供する。
【解決手段】空気の取込口25と空気の排出口27とを有する本体部20を備え、本体部20は、空気を取込口25から取り込んで排出口27から排出する気流を生じさせる送風部40と、気流を通す光触媒部43と、光触媒部43に対して光を照射する光源45と、を有し、光触媒部43は、気流の方向に沿う気流通過孔52を格子状に多数有するフィルタ51を備え、フィルタ51は、少なくとも光触媒層55を有し、光触媒層55は、気流が接する壁面に二酸化チタンを含む繊維が設けられる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の取込口と空気の排出口とを有する本体部を備え、
前記本体部は、空気を前記取込口から取り込んで前記排出口から排出する気流を生じさせる送風部と、
前記気流を通す光触媒部と、
前記光触媒部に対して光を照射する光源と、
前記光源と前記光触媒部との間に設けられた空間部と、を備え、
前記光触媒部は、前記気流の方向に沿う気流通過孔を有するフィルタを備え、
前記フィルタは、前記光源から照射された光を受けて光触媒反応を生じる光触媒層を有し、
前記光触媒層は、前記空間部と接する面に二酸化チタンを含むように構成された除菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、首に掛けるなどして携帯可能な除菌装置であって、光触媒の効果により空気の除菌、脱臭を行う除菌装置に関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光触媒の効果により空気の除菌、脱臭を行う除菌装置が知られている。このような除菌装置は、基本的に室内などに設置して使用する据置型であるが、持ち運び可能として外出時等にも使用できるようにした除菌装置も存在する。このような除菌装置として、例えば特許文献1に挙げるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯できるようにした除菌装置は、筐体をコンパクトにするため、光触媒を繊維からなるシート状にして筐体内に収納している。光触媒を薄いシート状にすると、気流に対して光触媒反応を行うための長さが十分に確保しにくい。また、光触媒のシートが繊維状であるため、気流の流動抵抗が大きく、気流を生じさせるためのファンを大きくする必要がある。
【0005】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、効率よく光触媒反応を生じさせつつ、気流の流動性も良好な除菌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る除菌装置は、空気の取込口と空気の排出口とを有する本体部を備え、
前記本体部は、空気を前記取込口から取り込んで前記排出口から排出する気流を生じさせる送風部と、
前記気流を通す光触媒部と、
前記光触媒部に対して光を照射する光源と、
前記光源と前記光触媒部との間に設けられた空間部と、を備え、
前記光触媒部は、前記気流の方向に沿う気流通過孔を有するフィルタを備え、
前記フィルタは、前記光源から照射された光を受けて光触媒反応を生じる光触媒層を有し、
前記光触媒層は、前記空間部と接する面に二酸化チタンを含むように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る除菌装置によれば、光触媒層を含むフィルタが、気流の方向に沿う気流通過孔を有し、空間部と接する面に二酸化チタンを含む繊維が設けられていることにより、気流が光触媒である二酸化チタンに接する面積が大きく、効率的に光触媒反応を生じさせることができると共に、気流の流動性も良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態における除菌装置の正面図である。
【
図7】除菌装置の内部に設けられるファンと排出孔との関係を示す
図2のA-A部分端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。本実施形態の除菌装置10は、首に掛けるなどして携帯可能であり、本体部20の両側部に設けられた取込口25から空気を取り込み、その空気を光触媒の作用により除菌、脱臭して、本体部20の上部に設けられた排出口27から排出することができる。
【0010】
図1~4に示すように、除菌装置10は、取込口25と排出口27とを有する本体部20を有している。本体部20は、全体が概ね円筒状に形成されており、周面部30と上面部32および下面部34を有している。周面部30は、背面側が平面状となっている他は、周方向に沿う曲面で形成されている。本体部20の周面部30には、電源ボタン24が配置されている。
【0011】
本体部20の両側部に配置される取込口25は、周面部30の曲面に沿う多数の丸孔26によって形成される。取込口25は、本体部20において中央やや上方位置に配置されている。
【0012】
本体部20の上面部32には、使用者の首に掛けるためのストラップを固定するフック22が形成されている。また、上面部32には、中央部に向かって凹状の凹面部33が形成されている。凹面部33には、その曲面形状に沿って横長のスリット孔28が複数形成され、これらのスリット孔28によって排出口27が形成されている。
【0013】
図5に示すように、本体部20は、取込口25から排出口27への気流を生じさせる送風部40と、気流を通す光触媒部43と、光触媒部43に対して紫外線を照射する光源45と、を内部に有している。光源45と光触媒部43との間には空間部が形成される。また、本体部20には、送風部40および光源45に電源を供給するバッテリー47が設けられている。
【0014】
本体部20の電源ボタン24を操作して、除菌装置10をオンにすることで、除菌装置10の動作が開始される。バッテリー47からの電極供給により、送風部40が気流を生じさせ、取込口25から本体部30に取り込まれた空気が、本体部30内を流動し、排出口27から排出される。この際に、光源45からの紫外線により、光触媒部43において気流が除菌、脱臭される。
【0015】
光触媒部43について詳細に説明する。光触媒部43は、
図6に示すように、外枠部50の内側に、気流の方向に沿う気流通過孔52を格子状に多数有するフィルタ51が設けられて形成されている。気流通過孔52は、概ね四角形状を有し、光触媒部43を厚み方向に貫通している。気流通過孔52は、四角形状以外にも六角形状など他の形状を有していてもよい。また、外枠部50により、光触媒部43の強度が確保される。
【0016】
フィルタ51は、気流の方向に沿って複数が積層されている。
図5に示されているように、フィルタ51は、光触媒部43のうち光源45に最も近い光触媒層55を有している。光触媒層55より光源45から遠い側、すなわち下部には、第1金属イオン層56と第2金属イオン層57とが積層されている。
【0017】
光触媒層55は、気流が接する壁面が二酸化チタンを含む繊維で覆われている。二酸化チタンは、繊維の表面を被覆している。これにより、二酸化チタンは、光源45からの紫外線が照射されると共に、光触媒層55を通過する気流に直接触れることができる。また、二酸化チタンを含む光触媒層55は、少なくとも光源45と光触媒層55との間の空間部に接する面を有しており、光源45からの光を確実に受けることができる。
【0018】
二酸化チタンは、光触媒として作用し、気流の除菌、脱臭を行うことができる。金属が紫外線を受けると、金属内の自由電子が励起して金属表面に現れる。この電子は近くの酸素分子(O2)と結びついて活性酸素(O2
-)となる。活性酸素は近くの菌やウィルスのタンパク質やDNAを攻撃して、その活動を抑制する効果がある。このとき金属内部では、電子ホール(正孔)ができている。この電子ホールは、金属表面の水分と反応して強い酸化力を有するヒドロキシルラジカル(・OH)を生成する。この酸化力は大部分の有機物を炭酸ガスと水分までに分解でき、更に菌やウィルスのタンパク質も分解可能である。これらの効果が光触媒と呼ばれている金属の効果である。二酸化チタンは金属の種類の中では比較的容易に光触媒となる性質を有している。
【0019】
光触媒層55は、気流の方向に沿う気流通過孔52を格子状に多数有するので、気流の流動抵抗が低く、かつ、気流通過孔52内において気流との接触面積を十分に確保できるので、光触媒による除菌、脱臭を効果的に行うことができる。また、複数層が積層されたフィルタ55において、光触媒層55は光源45に最も近い位置に配置されているので、光源45からの紫外線を確実に照射することができる。
【0020】
第1金属イオン層56は、気流が接する壁面が銅を含む繊維で覆われている。また、第2金属イオン層57は、気流が接する壁面が銀を含む繊維で覆われている。いずれも金属が繊維を被覆しており、気流が金属に接することができる。
【0021】
第1金属イオン層56と第2金属イオン層57は、銅または銀で被覆した繊維を使用しているので、気流が接する金属の表面積が大きい。その結果、第1金属イオン層56と第2金属イオン層57を通過する気流の水蒸気が金属に付着すると、水分中にプラスイオン化した金属分子が放出される。この水蒸気は、排出口27から外部へ放出される。例えば、排出口27から外部へ放出された水分中において、銀イオンは不安定な状況(プラスに帯電したAg+)であるため、マイナスに帯電した水分中の微生物菌の酸素と結びつこうとして、微生物(ウイルス・細菌・真菌・藻類等)の細胞内に取り込まれ、抗菌性を発揮する。取り込まれた銀イオンはタンパク質等に結合し、その機能を阻害し細胞分裂などができなくなり、タンパク質の機能障害によって活性酸素種が発生し、微生物細胞が死滅する。
【0022】
このように、複数層が積層されて厚みを有する光触媒部43を気流が通過することで、光触媒層55と第1金属イオン層56および第2金属イオン層57で、それぞれ気流に対する除菌作用が発揮されるので、排出口27から排出される空気に対する除菌効果を高くすることができる。
【0023】
次に、排出口27について説明する。前述のように、排出口27は上面部32の凹面部33に沿って形成されている。
図7に示すように、排出口27に気流を送る送風部40は、回転軸41を中心にファン42が回転する。各排出口27は、送風部40の回転軸41の軸方向とは異なる方向に面するように形成されている。各排出口27の向かう方向を図中矢印で示している。このため、それぞれの排出口27から排出される空気が混ざり合い、攪拌されながら上昇するので、使用者が除菌装置10を首に掛けた際に、効果的に使用者の顔の方向に向かって除菌された空気を送ることができる。
【0024】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的範囲において様々に適用され得る。例えば、本実施形態において本体部20は円筒状であるが、それ以外の形態を有していてもよい。また、取込口や排出口の形状、大きさ、配置等も、必要に応じて任意に設定することができる。
【符号の説明】
【0025】
10 除菌装置
20 本体部
22 フック
24 電源ボタン
25 取込口
26 丸孔
27 排出口
28 スリット孔
30 周面部
32 上面部
33 凹面部
34 下面部
40 送風部
41 回転軸
42 ファン
43 光触媒部
45 光源
47 バッテリー
50 外枠部
51 フィルタ
52 気流通過孔
55 光触媒層
56 第1金属イオン層
57 第2金属イオン層