(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100135
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】シューズ
(51)【国際特許分類】
A43C 11/00 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
A43C11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214318
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高増 翔
(72)【発明者】
【氏名】有本 佳奈
(72)【発明者】
【氏名】阿部 悟
(72)【発明者】
【氏名】田岡 あずみ
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BC07
4F050BC10
4F050BC34
4F050HA05
4F050HA16
4F050HA30
4F050HA43
4F050HA55
4F050MA27
(57)【要約】
【課題】着用者の足が底屈する際に履き口と着用者の足との間に足幅方向の隙間が生じにくいシューズを得ること。
【解決手段】シューズ1Aは、接地面が設けられたソール20Aと、着用者の足が挿入される履き口11Bが設けられており、ソール20Aに取り付けられて着用者の足を覆うアッパー10と、アッパー10のうち履き口11Bの内足側に固定される内アーム31と、アッパー10のうち履き口11Bの外足側に固定される外アーム32と、内アーム31及び外アーム32とを繋ぐ連結部33とを備え、連結部33が履き口11Bの後方に配置されるように、ソール20Aとは離してアッパー10に取り付けられた補正部材30とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地面が設けられたソールと、
着用者の足が挿入される履き口が設けられており、前記ソールに取り付けられて着用者の足を覆うアッパーと、
前記アッパーのうち前記履き口の内足側に固定される内アームと、前記アッパーのうち前記履き口の外足側に固定される外アームと、前記内アーム及び前記外アームとを繋ぐ連結部とを備え、前記連結部が前記履き口の後方に配置されるように、前記ソールとは離して前記アッパーに取り付けられた補正部材とを備える、シューズ。
【請求項2】
前記補正部材は、前記内アームのうち着用者の内踝の下方に配置される箇所の少なくとも前記外アーム側の部分及び前記外アームの先端の少なくとも前記内アーム側の部分に設置されたクッション材を備える、請求項1に記載のシューズ。
【請求項3】
前記クッション材は、前記内アーム及び前記外アームを囲む筒状である、請求項2に記載のシューズ。
【請求項4】
前記補正部材により、前記補正部材を未装着の状態と比較して、前記履き口の足幅方向の開口幅が狭められている、請求項1から3のいずれか1項に記載のシューズ。
【請求項5】
前記外アームは、前記アッパーのうち着用者の外踝に対応する部分の下方まで延びており、
前記内アームは、前記アッパーのうち着用者の内踝に対応する部分の下方を経てさらに前方かつ上方へ延びている、請求項1から4のいずれか1項に記載のシューズ。
【請求項6】
前記アッパーは、前記履き口よりも前方となる部分にシューレースを備え、
前記内アームの先端部に、前記シューレースを通す穴が形成されている、請求項1から5のいずれか1項に記載のシューズ。
【請求項7】
前記補正部材は、前記アッパーの外側に取り付けられている、請求項1から6のいずれか1項に記載のシューズ。
【請求項8】
前記補正部材は、前記アッパーの表地と裏地との間に挿入されている、請求項1から6のいずれか1項に記載のシューズ。
【請求項9】
前記補正部材は、前記内アーム及び前記外アームが前記アッパーの表地と裏地との間に挿入されており、前記連結部は前記アッパーの外に露出している、請求項1から6のいずれか1項に記載のシューズ。
【請求項10】
前記補正部材は、前記アッパーに着脱可能である、請求項9に記載のシューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シューズに関する。
【背景技術】
【0002】
シューズの履き口は、着用者の足が出入りする部分であることから、シューズ着脱時は広い方が好ましい。一方で、シューズの内部で足がずれて靴擦れが生じたり、着用者の足へのフィット性が低下したりすることを防止するためには、シューズの履き口は、着用中は狭い方が好ましい。
【0003】
このため、シューズの多くは、履き口よりも前方となる部分にシューレース又は面ファスナーといった締め付け部材を備えており、着用中にこれらの締め付け部材を用いて、着用中に履き口が広がることを抑制し、着用者の足へのフィット性を高めている。締め付け部材を備えたシューズは、締め付け部材を緩めることによって履き口を広げることができるため、着用者の足へのフィット性を高めても、着脱しやすさは損なわれない。
【0004】
近年では、シューズのフィット性のさらなる向上が求められている。特許文献1には、シューレースの先端を踵後方に固定することで、着用中に履き口を縮めることができるシューズが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示されるシューズは、履き口に前後方向に締め付ける力を加えるため、着用者の足が底屈する際に足幅方向において履き口と着用者の足とに隙間が生じやすい。履き口と着用者の足との間に隙間が生じると、シューズの内部で足がずれやすくなってしまう。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、着用者の足が底屈する際に履き口と着用者の足との間に足幅方向の隙間が生じにくいシューズを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るシューズは、接地面が設けられたソールと、着用者の足が挿入される履き口が設けられており、ソールに取り付けられて着用者の足を覆うアッパーと、アッパーのうち履き口の内足側に固定される内アームと、アッパーのうち履き口の外足側に固定される外アームと、内アーム及び外アームとを繋ぐ連結部とを備え、連結部が履き口の後方に配置されるように、ソールとは離してアッパーに取り付けられた補正部材とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るシューズは、着用者の足が底屈する際に履き口と着用者の足との間に足幅方向の隙間が生じにくいという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1に係るシューズの側面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係るシューズの補正部材の斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係るシューズの着用者の立脚期における足の位置の上下方向の変動を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係るシューズの着用者の立脚期における足の位置の変動の最大量を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係るシューズの補正部材の第1の変形例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係るシューズの補正部材の第2の変形例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態2に係るシューズの側面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2に係るシューズの上面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態2に係るシューズの履き口における断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施の形態3に係るシューズの側面図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施の形態4に係るシューズの側面図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施の形態5に係るシューズの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係るシューズの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。なお、以下に示す実施の形態においては、同一の部分又は共通する部分については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0012】
以下において示す実施の形態においては、シューズを平面視した状態において靴底の踵中心を通る垂線であるヒールセンター軸が延在する方向を前後方向と称し、シューズを平面視した状態において上記前後方向と直交する方向を足幅方向と称する。
【0013】
また、前後方向のうち、靴底の足の後足部を支持する部分が位置する側の末端から、靴底の足の前足部を支持する部分が位置する側の末端を向く方向を前方と称し、前後方向のうち、靴底の足の前足部を支持する部分が位置する側の末端から、靴底の足の後足部を支持する部分が位置する側の末端を向く方向を後方と称する。
【0014】
また、足のうちの解剖学的正位における正中側を内足側と称し、足のうちの解剖学的正位における正中側とは反対側を外足側と称する。すなわち、解剖学的正位における正中に近い側を内足側と称し、解剖学的正位における正中に遠い側を外足側と称する。
【0015】
さらには、高さ方向とは、他に特段の記載がない限り、前後方向及び足幅方向の両方向に直交する方向を意味し、厚さとは、他に特段の記載がない限り、高さ方向の寸法を意味する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るシューズの側面図である。シューズ1Aは、アッパー10と、ソール20Aとを備えている。アッパー10は、挿入された足の甲側の部分の全体を覆う形状を有している。ソール20Aは、アッパー10の下方に位置し足裏を覆う。
【0017】
アッパー10は、アッパー本体11と、シュータン12とを含んでいる。シュータン12は、アッパー本体11に固定されている。また、アッパー本体11には、シューレース16が着脱可能に取り付けられている。
【0018】
アッパー本体11は、足首の上部と足の甲の一部とを露出させる上側開口部11Aが上部に設けられている。アッパー本体11の上側開口部11Aの周縁には、複数の孔部13が設けられている。シュータン12は、アッパー本体11に設けられた上側開口部11Aのうち、足の甲の一部を露出させる部分を覆うようにアッパー本体11に縫製、溶着、接着又はこれらの組み合わせによって固定されている。アッパー本体11及びシュータン12としては、織地、編地、合成皮革又は樹脂が用いられる。なお、アッパー本体11及びシュータン12の材料は、例示したものに限定されない。
【0019】
シューレース16は、紐状の部材であり、アッパー本体11の複数の孔部13に挿通されている。複数の孔部13に挿通されたシューレース16は、アッパー本体11の上側開口部11Aのうち足の甲にあたる部分を足幅方向において互いに引き寄せる。アッパー本体11に足が挿入された状態においてシューレース16を締め付けることにより、アッパー本体11を足に密着させることが可能になる。
【0020】
なお、アッパー本体11を足に密着させるためにシューレース16の代わりに面ファスナーを用いる構造であってもよい。面ファスナーを用いてアッパー本体11を足に密着させる場合、アッパー本体11に孔部13は形成されない。
【0021】
アッパー本体11の上側開口部11Aのうち、シュータン12よりも後方の部分は、着脱時に着用者が足を出し入れする履き口11Bである。一般的には、履き口11Bは、標準的な体型の着用者の足の甲側の先端から足長の56.1%から100%にあたる部分に位置している。
【0022】
アッパー本体11には、履き口11Bを囲む補正部材30が設置されている。補正部材30は、アッパー本体11の外側に貼り付けられている。
図2は、実施の形態1に係るシューズの補正部材の斜視図である。補正部材30は、アッパー本体11のうち履き口11Bの内足側に固定される内アーム31と、アッパー本体11のうち履き口11Bの外足側に固定される外アーム32と、内アーム31及び外アーム32を繋ぐ連結部33とを備えている。補正部材30は、標準的な体型の着用者の足の踵に沿う形状とされている。したがって、シューズ1Aが男性用である場合、補正部材30は、標準的な体型の男性の足の踵に沿う形状であり、シューズ1Aが女性用である場合、補正部材30は、標準的な体型の女性の踵に沿う形状である。
【0023】
図1に示すように、補正部材30は、連結部33が履き口11Bの後方に配置されるように、後側から取り付けられている。また、補正部材30は、ソール20Aとは離してアッパー本体11に取り付けられている。補正部材30は、ソール20Aとの間に、高さ方向に5mm以上の間隔を開けて取り付けられている。
【0024】
補正部材30は、弾性材料で形成されている。補正部材30の材料としては、ポリエーテルブロックアミド共重合体といった硬質樹脂の他、チタンといった金属を例示できる。ただし、補正部材30の材料は、例示したものに限定はされない。
【0025】
アッパー本体11に取り付けられた補正部材30の外アーム32は、アッパー本体11のうち着用者の外踝に対応する部分の下方まで延びている。一方、アッパー本体11に取り付けられた補正部材30の内アーム31は、アッパー本体11のうち着用者の内踝に対応する部分の下方を経てさらに前方かつ上方へ延びている。標準的な体型の男性は、外踝と比較して10mm前方かつ14mm上方に内踝が位置している。一方、標準的な体型の女性は、外踝と比較して8mm前方かつ12mm上方に内踝が位置している。このため、内アーム31の先端は、外アーム32の先端よりも3mm以上前方かつ上方に位置することが好ましい。
【0026】
アッパー本体11に取り付けられた補正部材30は、履き口11Bの足幅方向の寸法を、非装着時の足幅寸法以下に補正する。すなわち、履き口11Bの足幅方向の開口幅は、補正部材30により、補正部材30を未装着の状態と比較して狭められていてもよい。また、履き口11Bの足幅方向の開口幅は、補正部材30により、補正部材30を未装着の状態と同じ幅とされていてもよい。
【0027】
また、
図2に示すように、補正部材30は、内アーム31のうち着用者の内踝の下方に配置される箇所の少なくとも外アーム32側の部分及び外アーム32の先端の少なくとも内アーム31側の部分に、クッション材40が設置されている。クッション材40の材料には、発泡フォーム材及び軟質樹脂を例示できる。ただし、クッション材40の材料は例示したものに限定はされない。クッション材40は、内アーム31及び外アーム32が履き口11Bを足幅方向に潰そうとする力を分散させて着用者の足に伝える。すなわち、内アーム31及び外アーム32が発生させる力が着用者の足に加わる面積は、クッション材40を設置することによって広くなり、着用者の足に加わる圧力が低減される。
【0028】
実施の形態1に係るシューズ1Aは、着用者の足が底屈する際に、履き口11Bが足幅方向に広がることを、補正部材30が抑制する。したがって、着用者の足が底屈する際に、履き口11Bと着用者の足との間に足幅方向の隙間が生じにくい。
【0029】
図3は、実施の形態1に係るシューズの着用者の立脚期における足の位置の上下方向の変動を示す図である。
図3の横軸は、立脚期の進行の程度を表しており、踵で着地した時点を0%とし、後方に蹴った足のつま先が地面から離れた時点を100%としている。
図3の縦軸は、着用者が立って静止している状態での足とシューズ1Aとの位置を基準として、着用者の足がシューズ1Aに沈み込んでいる状態をマイナス、着用者の足がシューズ1Aから浮き上がっている状態をプラスとして変動量を表している。ヒールストライク後、着用者の足がシューズ1Aに沈み込んでいくことにより、着用者の足の位置はマイナス方向に変動し、着用者の足が中立状態を経て底屈していくにつれて、着用者の足の位置の変動はプラス方向に変化していく。
【0030】
図4は、実施の形態1に係るシューズの着用者の立脚期における足の位置の変動の最大量を示す図である。
図4には、比較のため、補正部材30を備えないシューズを着用した場合の着用者の立脚期における足の位置の変動の最大量を併せて示している。補正部材30を備えないシューズを着用した場合には、着用者の足の位置の変動量の最大値はプラス1.05mmであるのに対し、厚さ2mmの補正部材30を備えるシューズ1Aを着用した場合には、着用者の足の位置の変動量の最大値はプラス0.65mmとなっている。また、厚さ4mmの補正部材30を備えるシューズ1Aを着用した場合には、着用者の足の位置の変動量の最大値はマイナス0.18mmとなっている。なお、着用者の足の位置の変動量の最大値がマイナスの値であることは、踵着地後に着用者の足がシューズ1Aに沈み込む大きさが、底屈中にシューズ1Aから浮き上がる大きさよりも大きいことを意味している。このように、補正部材30の厚さが厚くなると、着用者の足の位置の変動を抑える効果が高くなる。
【0031】
実施の形態1に係るシューズ1Aは、補正部材30を備えないシューズと比較すると、着用者の足の位置の変動量が小さく抑えられ、着用者の足へのフィット性が高い。
【0032】
補正部材30は、ソール20Aとは高さ方向に間隔を開けて設置されているため、着地時に着用者の足のプロネーションが妨げられることはない。このため、走行中の着地時に着用者が不快に感じにくい。
【0033】
なお、着用者がシューズ1Aを着脱する際には、着用者の足が補正部材30を押し広げることによって履き口11Bも足幅方向に広がるため、シューズ1Aを着脱する際に特別な操作を行う必要はない。
【0034】
また、実施の形態1に係るシューズ1Aは、補正部材30の取り付け位置を目視によって確認できるため、補正部材30の位置合わせが容易である。すなわち、実施の形態1に係るシューズ1Aの補正部材30は、正確な位置に取り付けることが容易である。
【0035】
さらに、実施の形態1に係るシューズ1Aは、補正部材30がアッパー本体11の外側に配置されているため、補正部材30が設置されているか否かを目視によって容易に確認できる。したがって、シューズ1Aの製造時に、補正部材30を取り付け忘れるといった不良の発生を防止しやすい。また、補正部材30が目視可能であることにより、補正部材30を備えないシューズとの外観上の差別化がなされるため、補正部材30が搭載されたシューズ1Aを購入しようとする者は、複数のシューズ中からシューズ1Aを容易に選び出すことができる。
【0036】
図5は、実施の形態1に係るシューズの補正部材の第1の変形例を示す図である。第1の変形例に係る補正部材30Aは、補正部材30の代わりにアッパー本体11に取り付けられてシューズ1Aを構成する。第1の変形例に係る補正部材30Aは、内アーム31の先端に、シューレース16を通す穴31Aが形成されている。なお、
図5では、クッション材40の図示を省略している。第1の変形例に係る補正部材30Aは、穴31Aが、孔部13のうち内足側かつ最後方の孔部13と重なるようにアッパー本体11に取り付けられる。
【0037】
第1の変形例に係る補正部材30Aは、シューレース16を締めることにより、内アーム31の先端は、足幅方向の中央に付勢される。内アーム31の先端が足幅方向の中央に付勢されることにより、内アーム31全体が足幅方向の中央に付勢される。このため、補正部材30Aを用いたシューズ1Aでは、シューレース16を締めることにより、履き口11Bを足幅方向に潰す力が発生する。第1の変形例に係る補正部材30Aをシューズ1Aに用いることにより、着用者の足へのフィット性をさらに高めることができる。
【0038】
図6は、実施の形態1に係るシューズの補正部材の第2の変形例を示す図である。第2の変形例に係る補正部材30Bは、補正部材30の代わりにアッパー本体11に取り付けられてシューズ1Aを構成する。第2の変形例に係る補正部材30Bは、内アーム31、外アーム32及び連結部33の全体にわたって棒状である。クッション材40は、筒状であり、内アーム31及び外アーム32の各々は、クッション材40を貫通している。第2の変形例に係る補正部材30Bは、内アーム31及び外アーム32の各々がクッション材40を貫通しているため、内アーム31及び外アーム32からクッション材40が脱落しにくい。したがって、第2の変形例に係る補正部材30Bを用いたシューズ1Aは、補正部材30を用いたシューズ1Aよりも耐久性が向上する。
【0039】
補正部材30を備えないシューズでは、シューレース又は面ファスナーといった締め付け部材により、着用者の足の甲にあたる部分のみを締め付けるため、着用者の足首の側方での締め付けが不足しやすく、履き口と着用者の足との間に足幅方向の隙間が生じやすい。これに対し、実施の形態1に係るシューズ1Aは、補正部材30,30A,30Bにより、着用者の足首の側方から履き口11Bを締め付けるため、履き口11Bと着用者の足との間に足幅方向の隙間が生じにくい。すなわち、実施の形態1に係るシューズ1Aは、補正部材30を備えないシューズと比較すると、シューズ1Aの内部で足がずれて靴擦れが生じたり、着用者の足へのフィット性が低下したりすることを抑制する効果が高い。
【0040】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2に係るシューズの側面図である。実施の形態2に係るシューズ1Bは、補正部材30がアッパー本体11に内蔵されている点で実施の形態1に係るシューズ1Aと相違する。実施の形態1に係るシューズ1Aと共通する部分については説明を省略する。
【0041】
図8は、実施の形態2に係るシューズの上面図である。
図9は、実施の形態2に係るシューズの履き口における断面図である。
図9に示す断面は、
図8中のIX-IX線におけるシューズ1Bの断面を示している。実施の形態2に係るシューズ1Bに用いられる補正部材30は、内アーム31、外アーム32及び連結部33の全体がアッパー本体11の表地111と裏地112との間に挿入されている。補正部材30は、表地111及び裏地112に接着されて固定されている。クッション材40は、内アーム31と裏地112との間及び外アーム32と裏地112との間に配置されている。クッション材40は、裏地112に接着されて固定されている。
【0042】
実施の形態2に係るシューズ1Bは、補正部材30がアッパー本体11の内部に設置されるため、着用中に補正部材30が脱落しにくい。また、補正部材30は、アッパー本体11の表地111及び裏地112の両方に接着されるため、アッパー本体11の外側に取り付ける場合よりも強固に固定することができる。したがって、実施の形態2に係るシューズ1Bは、実施の形態1に係るシューズ1Cと比較して耐久性が高い。また、実施の形態2に係るシューズ1Bは、補正部材30がアッパー本体11の表地111によって覆われているため、シューズ1Bのデザイン上の制約が少ない。例えば、実施の形態2に係るシューズ1Bは、補正部材30が配置された部分の表地111の表面に装飾部品を設置して美観の向上を図ることができる。
【0043】
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3に係るシューズの側面図である。実施の形態3に係るシューズ1Cは、補正部材30の連結部33のみがアッパー本体11の外側に配置されており、内アーム31及び外アーム32がアッパー本体11の内部に配置されている点で、実施の形態1に係るシューズ1Aと相違する。実施の形態1に係るシューズ1Aと共通する部分については説明を省略する。
【0044】
アッパー本体11は、表地111の踵の斜め後方の部分に穴111Aが形成されており、内アーム31及び外アーム32は、穴111Aを通じてアッパー本体11に挿入されている。内アーム31及び外アーム32が配置された部分でのシューズ1Cの断面は、
図9に示した実施の形態2に係るシューズ1Bの断面と同様である。すなわち、内アーム31及び外アーム32は、表地111と裏地112との間に配置されている。
【0045】
実施の形態3に係るシューズ1Cは、補正部材30の連結部33がアッパー本体11の外側に露出しているため、補正部材30が設置されているか否かを目視によって容易に確認できる。したがって、シューズ1Cの製造時に、補正部材30を取り付け忘れるといった不良の発生を防止しやすい。また、補正部材30の連結部33が目視可能であることにより、補正部材30を備えないシューズとの外観上の差別化がなされるため、補正部材30が搭載されたシューズ1Cを購入しようとする者は、複数のシューズ中からシューズ1Cを容易に選び出すことができる。
【0046】
(実施の形態4)
図11は、本発明の実施の形態4に係るシューズの側面図である。実施の形態4に係るシューズ1Dは、内アーム31及び外アーム32の先端に、抜け止め部34が形成されている点で、実施の形態3に係るシューズ1Cと相違する。実施の形態3に係るシューズ1Cと共通する部分については説明を省略する。表地111の穴111Aよりも抜け止め部34を大きく形成することにより、表地111の穴111Aを押し広げて抜け止め部34を通さないと内アーム31及び外アーム32を引き抜くことができないため、補正部材30がアッパー本体11から脱落しにくい。
【0047】
(実施の形態5)
図12は、本発明の実施の形態5に係るシューズの側面図である。実施の形態5に係るシューズ1Eは、内アーム31及び外アーム32の先端が、連結部33よりも低い位置に位置している点で実施の形態1に係るシューズ1Aと相違する。実施の形態1に係るシューズ1Aと共通する部分については説明を省略する。実施の形態5に係るシューズ1Eは、内アーム31及び外アーム32が履き口11Bから下方向に離れた位置に設置される。このため、補正部材30をアッパー本体11に取り付けても、履き口11Bの足幅方向の開口幅は、補正部材30を未装着の状態と比べて変化しにくい。
【0048】
補正部材30の内アーム31と外アーム32とで着用者の足を足幅方向から強く保持したい場合、補正部材30を履き口11Bに近づけて設置すると、履き口11Bの足幅方向の開口幅が狭くなりすぎてしまうことがある。実施の形態5に係るシューズ1Eは、内アーム31及び外アーム32の先端が、連結部33よりも低い位置に位置しており、内アーム31及び外アーム32が履き口11Bから下方向に離れた位置に設置されるため、弾性力が強い補正部材30を設置しても、着用者が履き口11Bに足を挿入しやすい。
【0049】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0050】
1A,1B,1C,1D,1E シューズ、10 アッパー、11 アッパー本体、11A 上側開口部、11B 履き口、12 シュータン、13 孔部、16 シューレース、20A ソール、30,30A,30B 補正部材、31 内アーム、31A,111A 穴、32 外アーム、33 連結部、34 抜け止め部、40 クッション材、111 表地、112 裏地。