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特開2022-100158バイオリアクター用容器の外部管接続用コネクタ、及び、このコネクタを有するバイオリアクター用容器、並びに、前記バイオリアクター用容器の滅菌方法
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  • 特開-バイオリアクター用容器の外部管接続用コネクタ、及び、このコネクタを有するバイオリアクター用容器、並びに、前記バイオリアクター用容器の滅菌方法 図1
  • 特開-バイオリアクター用容器の外部管接続用コネクタ、及び、このコネクタを有するバイオリアクター用容器、並びに、前記バイオリアクター用容器の滅菌方法 図2
  • 特開-バイオリアクター用容器の外部管接続用コネクタ、及び、このコネクタを有するバイオリアクター用容器、並びに、前記バイオリアクター用容器の滅菌方法 図3
  • 特開-バイオリアクター用容器の外部管接続用コネクタ、及び、このコネクタを有するバイオリアクター用容器、並びに、前記バイオリアクター用容器の滅菌方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100158
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】バイオリアクター用容器の外部管接続用コネクタ、及び、このコネクタを有するバイオリアクター用容器、並びに、前記バイオリアクター用容器の滅菌方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20220628BHJP
   C12M 1/12 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
C12M1/00 C
C12M1/00 D
C12M1/12
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214357
(22)【出願日】2020-12-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000171919
【氏名又は名称】佐竹マルチミクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 紀一
(74)【代理人】
【識別番号】100081787
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 輝晃
(72)【発明者】
【氏名】加藤 好一
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029BB01
4B029CC01
4B029DF06
4B029DG01
4B029DG04
4B029GB02
4B029GB04
4B029GB05
4B029GB09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低いイニシャルコストで、シングルユースバイオリアクターよりもランニングコストの低いバイオリアクターを実現するための、バイオリアクター用容器の外部管接続用コネクタを提供する。
【解決手段】バイオリアクター用容器の開口部にその一端が接続される、再使用されるリユース管部7と、リユース管部の途中に接続される、外部管接続用の使い捨てのシングルユースチューブ部8よりなり、リユース管部は、一端が、開口部に接続される主流路管部9と、主流路管部の途中で分岐した分岐管部10と、主流路管部の、分岐管部よりも他端側に設けた、主流路管部内の流路を開閉する主流路管流路開閉部12と、分岐管部に設けた、分岐管部内の流路を開閉する分岐管流路開閉部13と、分岐管部の他端部に設けた、シングルユースチューブ部に接続する分岐管側接続部14とよりなる、バイオリアクター用容器の外部管接続用コネクタとする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオリアクター用容器の開口部に、その一端が接続される、再使用されるリユース管部と、
該リユース管部の途中に接続される、外部管接続用の使い捨てのシングルユースチューブ部とよりなり、
前記リユース管部は、一端が、前記開口部に接続される主流路管部と、該主流路管部の途中で分岐した分岐管部と、前記主流路管部の、前記分岐管部よりも他端側に設けた、該主流路管部内の流路を開閉する主流路管流路開閉部と、前記分岐管部に設けた、該分岐管部内の流路を開閉する分岐管流路開閉部と、前記分岐管部の他端部に設けた、前記シングルユースチューブ部に接続する分岐管側接続部とよりなり、
前記シングルユースチューブ部は、一端に、前記分岐管側接続部に接続されるシングルユースチューブ側接続部を有し、他端に、外部管に接続される外部管接続部を有することを特徴とするバイオリアクター用容器の外部管接続用コネクタ。
【請求項2】
前記分岐管側接続部は、複数有することを特徴とする請求項1に記載のバイオリアクター用容器の外部管接続用コネクタ。
【請求項3】
前記再利用されるリユース管部は、ステンレス製であることを特徴とする請求項1または2に記載のバイオリアクター用容器の外部管接続用コネクタ。
【請求項4】
再利用されるバイオリアクター用容器と、
該バイオリアクター用容器の開口に接続される外部管接続用コネクタとよりなり、
前記外部管接続用コネクタは、
バイオリアクター用容器の開口部に、その一端が接続される、再使用されるリユース管部と、
該リユース管部の途中に接続される、外部管接続用の使い捨てのシングルユースチューブ部とよりなり、
前記リユース管部は、一端が、前記開口部に接続される主流路管部と、該主流路管部の途中で分岐した分岐管部と、前記主流路管部の、前記分岐管部よりも他端側に設けた、該主流路管部内の流路を開閉する主流路管流路開閉部と、前記分岐管部に設けた、該分岐管部内の流路を開閉する分岐管流路開閉部と、前記分岐管部の他端部に設けた、前記シングルユースチューブ部に接続する分岐管側接続部とよりなり、
前記シングルユースチューブ部は、一端に、前記分岐管側接続部に接続されるシングルユースチューブ側接続部を有し、他端に、外部管に接続される外部管接続部を有することを特徴とするコネクタを有するバイオリアクター用容器。
【請求項5】
前記分岐管側接続部は、複数有することを特徴とする請求項4に記載のコネクタを有するバイオリアクター用容器。
【請求項6】
前記再利用されるバイオリアクター用容器及び前記再利用されるリユース管部は、ステンレス製であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のバイオリアクター用容器の外部管接続用コネクタ。
【請求項7】
再利用されるバイオリアクター用容器の開口部に、その一端が接続される、再使用されるリユース管部と、
該リユース管部の途中に接続される、外部管接続用の使い捨てのシングルユースチューブ部とよりなり、
前記リユース管部は、一端が、前記開口部に接続される主流路管部と、該主流路管部の途中で分岐した分岐管部と、前記主流路管部の、前記分岐管部よりも他端側に設けた、該主流路管部内の流路を開閉する主流路管流路開閉部と、前記分岐管部に設けた、該分岐管部内の流路を開閉する分岐管流路開閉部と、前記分岐管部の他端部に設けた、前記シングルユースチューブ部に接続する分岐管側接続部とよりなり、
前記シングルユースチューブ部は、一端に、前記分岐管側接続部に接続されるシングルユースチューブ側接続部を有し、他端に、外部管に接続される外部管接続部を有する、外部管接続用コネクタを、
前記分岐管流路開閉部を閉として、前記コネクタを滅菌する第一の工程と、
前記コネクタの主流路管部の一端を、前記バイオリアクター用容器の開口部に密閉状態で接続する第二の工程と、
前記バイオリアクター用容器のスチーム導入口からスチームを導入し、前記容器内及び前記コネクタ内を滅菌すると共に、前記前記主流路管流路開閉部を閉とする第三の工程と、
前記容器内及び前記コネクタ内を滅菌後、前記分岐管流路開閉部を開とする第四の工程とよりなることを特徴とするバイオリアクター用容器の滅菌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物やカビ系培養等を行うバイオリアクター(生化学反応装置)を構成する、例えば、培養容器などのバイオリアクター用密閉容器に、液体や気体等を供給するための外部管を接続するためのコネクタ、及び、このコネクタを有するバイオリアクター用容器に関するものであり、特に、該コネクタを用いて、前記容器内を滅菌処理できるコネクタ及び容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(1.1.従来のステンレス製のバイオリアクターの説明)
【0003】
ステンレス製(SUS製)のバイオリアクター(生物反応装置)に代表されるリユース型(再使用型)の滅菌方法は、定置滅菌(SIP)による高圧スチーム滅菌が運用される。
【0004】
このため、培養容器から、これに接続された複雑な配管に至るまで、完全密閉状態として120℃以上を一定時間維持しなければならず、複雑な構造と運用手順により、常にコンタミリスクに晒されている。
【0005】
また、これらを防ぐために装置のイニシャルコストも高く、運用も面倒な作業が多いことから操作ミスのリスクも高く、解決すべき課題が存在する。
【0006】
(1.2.従来のシングルユースバッグの説明)
【0007】
これらの問題を解決するため、事前に密閉条件にてγ滅菌やEG滅菌を行ったバッグや容器を用いた、シングルユース(使い捨て)の培養槽及び付帯設備によりなるシングルユースバイオリアクターが運用されている。
【0008】
このシングルユースバイオリアクターは、SUS製タンク(容器)を持たずに、柔軟素材の可撓性のある合成樹脂製 (ポリエチレンなどのプラスチック製、エラストマー製)の使い捨て(シングルユース)バッグなどの可撓性バッグが用いられ、このバッグ内に、撹拌装置などのバイオリアクター設備が、前記バッグに一体化して設けられ、全体が使い捨てになる。
【0009】
このシングルユースバイオリアクターは、コンタミリスクが極めて低く、またステンレス製バイオリアクターに対し、滅菌設備等の設備(ユーティリティー)が必要なく、通常の室内でも運用可能であることから、イニシャルコストは低い。
【0010】
また、バッグに設けられた配管も柔軟素材のチューブで、外部管に無菌接続が可能となり、コンタミリスクの低減と共に、運用も非常に楽になった。
【0011】
例えば、シングルユースバイオリアクターとしては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2016-212017号公開公報第5図
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
(1.3.シングルユースバッグの課題)
【0014】
しかしながら、イニシャルコストが安くても、前記使い捨てのシングルユースバッグや容器は非常に高価であり、ランニングコストの抑制が課題となっている。結果として、付加価値の高い培養にのみ運用されている。
【0015】
特に、付加価値が高くなく、大量生産を目的とする数十~数百Lクラスの培養を目的としたPILOT設備では、本格的なユーティリティーまで必要とせず、低いイニシャルコストで、シングルユースバイオリアクターよりもランニングコストの低いバイオリアクターが望まれていた。
【0016】
即ち、従来のSUS製バイオリアクターのSIP滅菌は、配管の構造が複雑でイニシャルコストが高く、滅菌不良や、コンタミリスクが存在している。一方、配管をシリコンチューブ等を用いるシングルユースチューブとしたものは、配管のイニシャルコストが、ほぼ0で、また、滅菌済みを使用することでコンタミリスクが少ない特徴がある。使い捨てでのチューブなどのランニングコストも低く、多用されている。ただし、シリコンチューブなどのシングルユース製品は、SIP滅菌時の高圧に対する耐性はない。従って、SUSリアクターで、SIP滅菌に耐えるシングルユースチューブの配管を用いたものは存在しない。しかし、使い捨ての容器と配管からなるシングルユースバッグ全体ではランニングコストが非常に高く、付加価値の高い培養以外での使用は難しい。そこで、本発明においては、SUSリアクターで配管部のみシングルユースに置き換え、コンタミリスクを低減し得るシステムを提案し、前記問題を解決しようとしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の目的を達成すべく、本発明のバイオリアクター用容器の外部管接続用コネクタは、バイオリアクター用容器の開口部に、その一端が接続される、再使用されるリユース管部と、該リユース管部の途中に接続される、外部管接続用の使い捨てのシングルユースチューブ部とよりなり、前記リユース管部は、一端が、前記開口部に接続される主流路管部と、該主流路管部の途中で分岐した分岐管部と、前記主流路管部の、前記分岐管部よりも他端側に設けた、該主流路管部内の流路を開閉する主流路管バルブ部(主流路管流路開閉部)と、前記分岐管部に設けた、該分岐管部内の流路を開閉する分岐管バルブ部(分岐管流路開閉部)と、前記分岐管部の他端部に設けた、前記シングルユースチューブ部に接続する分岐管側接続部とよりなり、前記シングルユースチューブ部は、一端に、前記分岐管側接続部に接続されるシングルユースチューブ側接続部を有し、他端に、外部管に接続される外部管接続部を有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明のバイオリアクター用容器は、再利用されるバイオリアクター用容器と、該バイオリアクター用容器の開口に接続される外部管接続用コネクタとよりなり、前記外部管接続用コネクタは、バイオリアクター用容器の開口部に、その一端が接続される、再使用されるリユース管部と、該リユース管部の途中に接続される、外部管接続用の使い捨てのシングルユースチューブ部とよりなり、前記リユース管部は、一端が、前記開口部に接続される主流路管部と、該主流路管部の途中で分岐した分岐管部と、前記主流路管部の、前記分岐管部よりも他端側に設けた、該主流路管部内の流路を開閉する主流路管バルブ部と、前記分岐管部に設けた、該分岐管部内の流路を開閉する分岐管バルブ部と、前記分岐管部の他端部に設けた、前記シングルユースチューブ部に接続する分岐管側接続部とよりなり、前記シングルユースチューブ部は、一端に、前記分岐管側接続部に接続されるシングルユースチューブ側接続部を有し、他端に、外部管に接続される外部管接続部を有することを特徴とする。
【0019】
また、前記分岐管側接続部は、複数有することを特徴とする。
【0020】
また、前記再利用されるバイオリアクター用容器及び前記再利用されるリユース管部は、ステンレス製であることを特徴とする。
【0021】
また、本発明のバイオリアクター用容器の滅菌方法は、再利用されるバイオリアクター用容器の開口部に、その一端が接続される、再使用されるリユース管部と、該リユース管部の途中に接続される、外部管接続用の使い捨てのシングルユースチューブ部とよりなり、前記リユース管部は、一端が、前記開口部に接続される主流路管部と、該主流路管部の途中で分岐した分岐管部と、前記主流路管部の、前記分岐管部よりも他端側に設けた、該主流路管部内の流路を開閉する主流路管流路開閉部と、前記分岐管部に設けた、該分岐管部内の流路を開閉する分岐管流路開閉部と、前記分岐管部の他端部に設けた、前記シングルユースチューブ部に接続する分岐管側接続部とよりなり、前記シングルユースチューブ部は、一端に、前記分岐管側接続部に接続されるシングルユースチューブ側接続部を有し、他端に、外部管に接続される外部管接続部を有する、外部管接続用コネクタを、前記分岐管流路開閉部を閉として、前記コネクタを滅菌する第一の工程と、前記コネクタの主流路管部の一端を、前記バイオリアクター用容器の開口部に密閉状態で接続する第二の工程と、前記バイオリアクター用容器のスチーム導入口からスチームを導入し、前記容器内及び前記コネクタ内を滅菌すると共に、前記前記主流路管流路開閉部を閉とする第三の工程と、前記容器内及び前記コネクタ内を滅菌後、前記分岐管流路開閉部を開とする第四の工程とよりなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、低コストで、外部管に接続できるバイオリアクター用容器を提供でき、また、該バイオリアクター用容器を滅菌することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明のバイオリアクター用容器の全体図を示す説明用側面図である。
図2】本発明のバイオリアクター用容器の外部管接続用コネクタの説明用側面図である。
図3】本発明のバイオリアクター用容器の外部管接続用コネクタをリユース管部とシングルユースチューブ部とに分離した説明用側面図である。
図4】本発明の本発明のバイオリアクター用容器の一例の全体図を示す説明用側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための形態の実施例を以下に示す。
【実施例0025】
本発明の実施例1を図1図4によって説明する。
【0026】
(2.1.全体構成の説明)
【0027】
図1は、例えば、微生物やカビ系などの培養物と培養液等からなる内容物が容れられる、リユース(再使用)可能なステンレス製のバイオリアクター用容器1と、該容器1に形成されたコネクタ接続用開口部2に着脱自在に、密閉状態(気密状態、液密状態)で接続された、本発明の外部管接続用のコネクタ3とが示されている。
【0028】
(2.2.バイオリアクター用容器1の説明)
【0029】
前記容器1は、密閉状態で、バイオリアクター処理がされる容器であり、例えば、円柱状に形成され、その天井壁1aの中央部に、撹拌軸4a及び撹拌翼4bなどからなる撹拌手段4の撹拌軸4aが貫通する撹拌軸貫通用開口部5が形成される。なお、容器1によっては、撹拌手段4は設けられない場合もある。
【0030】
また、前記容器1のコネクタ接続用開口部2は、例えば、前記天井壁1aの外周側に形成され、例えば、筒状のノズル部2aと、該ノズル部2aの上端開口部に形成された容器側フランジ部2bとよりなる。
【0031】
なお、前記開口部2は、天井壁1a以外の周壁などに設けてもよい。
【0032】
また、前記容器1内には、前記撹拌手段4以外に、例えば、バッフル6や、前記内容物を加熱・冷却したりするためのステンレス製の配管(図示せず)等の設備が設けられ、これらは、例えば、リユース可能なステンレス製で形成される。
【0033】
なお、前記容器1、及び、前記設備は、滅菌手段により滅菌して、リユースできるようにステンレス(SUS)製が好ましいが、該設備が再利用できる金属や材質であれば、特に限定はない。
【0034】
なお、前記容器1は、前記設備を含まない場合と含む場合の両方を意味する概念である。
【0035】
(2.3.外部管接続用のコネクタ3の説明)
【0036】
前記外部管接続用のコネクタ3は、図1図4に示すように、リユース可能なステンレス製のスチーム(流体)を導通するリユース管部7と、該リユース管部7の流路途中に接続されるシングルユース(使い捨て)の外部管接続用シングルユースチューブ部8とよりなる。
【0037】
そして、前記リユース管部7は、スチームなどの流体を通す管よりなり、前記容器1のコネクタ接続用開口部2に密閉状態で接続される。
【0038】
また、前記シングルユースチューブ部8は、前記リユース通管7の流路途中に接続されるチューブよりなり、例えば、耐熱シリコンチューブなど、可撓性のある柔軟素材の合成樹脂製(ポリエチレンなどのプラスチック製、エラストマー製)よりなる。
【0039】
前記リユース通管7は、例えば、一端開口部9aから導入された滅菌用のスチームなどの流体が、他端開口部9bから排出される主流路管部9と、該主流路管部9の途中に分岐して設けられた分岐管部10と、前記主流路管部9の一端側に設けた、前記一端開口部9aが前記容器1内に連通(挿入)した状態で、前記コネクタ接続用開口部2の容器側フランジ部2bに着脱自在に、密閉状態で接続されるリユース管側フランジ部11と、前記主流路管部9の、前記分岐管部10よりも他端側に設けられた、該管内の流路を開閉する主流路管バルブ部(主流路管流路開閉部)12と、前記分岐管部10に設けられた、該管路内の流路を開閉する分岐管バルブ部(分岐管流路開閉部)13と、前記分岐管部10の他端部に形成した、前記シングルユースチューブ部8に密閉状態で接続される、リユース管側接続部14とよりなる。
【0040】
なお、前記分岐管部10は、前記リユース管側フランジ部11と前記主流路管バルブ部12との間の前記主流路管部9に分岐して形成される。
【0041】
また、前記リユース管側接続部14は、1つのシングルユースチューブ部8に接続される以外に、複数の外部管接続用シングルユースチューブ部8に接続できるよう、複数の接続部から形成されていてもよい。
【0042】
なお、前記分岐管バルブ部13は、分岐管部10の途中に設けられる他に、複数のリユース管側接続部14を有する場合には、各リユース管側接続部14部分にそれぞれバルブを設けてもよい。
【0043】
また、前記主流路管バルブ部12と分岐管バルブ部13とを、前記主流路管部9と、前記分岐管部10とが接続されるT字管部分に設けた、3方弁を用いてもよい。
【0044】
前記シングルユースチューブ部8は、一端部は、前記分岐管部10のリユース管側接続部14に接続されるチューブ側接続部15を有すると共に、他端部は、液体や気体等を容器内に供給するための外部管に、無菌状態で接続可能な、閉じられた耐熱無菌プラグ16を有する。
【0045】
なお、前記各接合部は、ヘルール構造が望ましい。
【0046】
(3.コネクタの接続方法と、容器の滅菌方法の説明)
【0047】
次に、本発明の前記コネクタ3を前記容器1に装着し、前記容器1内及びコネクタ3内を滅菌する方法について説明する。
【0048】
リユースされるステンレス製のリユース管部7にシングルユースのシリコン製のシングルユースチューブ部8が接続された外部管接続用コネクタ3を用意する。
【0049】
そして、前記各バルブ部12、13を閉じた状態で、前記外部管接続用のコネクタ3を、例えば、オートクレーブ滅菌(高圧蒸気滅菌)などで加熱滅菌し、前記コネクタ3の内外を滅菌する。なお、前記バルブ部12は、閉じなくてもよい。
【0050】
次に、前記コネクタ3のリユース管側フランジ部11と、前記容器1の容器側フランジ部2bとを密閉状態で接続し、前記コネクタ3のリユース管部7と前記容器1とを連通させる。
【0051】
この時、前記無菌プラグ16から分岐管バルブ部12までの管内が無菌状態で維持され、それ以外の前記コネクタ3の管路内は、非滅菌状態となる。
【0052】
そして、次に、例えば、前記容器1に別途設けたスチーム導入口(図示せず)から、SIP滅菌をすべく、滅菌用高圧スチームを導入し、前記主流路管部9の他端開口部9bから排出させ、そして、前記コネクタ3内に前記スチームを通した後、前記主流路管バルブ部12を閉じ、前記非滅菌であった容器1から前記主流路管バルブ部12、前記分岐管バルブ部13までの配管内をスチーム滅菌する。
【0053】
そして、前記スチーム滅菌完了後、前記分岐管バルブ部13を開放することにより、前記シングルユースチューブ部8と前記分岐管部10が連通し、前記容器1内から前記コネクタ3内の前記主流路管バルブ部12、チューブ部の無菌プラグ部までが無菌状態となる。
【0054】
そして、シングルユースチューブ部8の無菌プラグ16に、液体や気体等を容器内に供給するための外部管を接続することにより、前記容器1内を無菌状態で、外部管に接続できるようになる。
【0055】
本発明によれば、使い捨ての容器と配管からなるランニングコストの高いシングルユースバッグを用いることなく、バイオリアクター用容器をリユース可能なSUS製容器を用い、そして、該容器に接続される、液体や気体等を容器内に供給するための外部管に接続するコネクタ3を、SIPスチーム滅菌に耐えられるリユース可能なステンレス製の部分と、外部管に容易に接続できる、安価なシングルユースのチューブ部分に分けることにより、構造が複雑なSUS製配管を用いずにSIP滅菌でき、また、大掛かりな滅菌装置を用いずに滅菌でき、イニシャルコストを下げ、また、配管部分をシングルユースチューブとすることにより、低価格に抑えることができるので、ランニングコストも抑えることができ、その結果、低価格のバイオリアクター装置を提供することができるようになる。
【0056】
本発明のバイオリアクター用容器は、医療品関係、食品関係等において利用される。
【符号の説明】
【0057】
1 バイオリアクター用容器
1a 天井壁
2 コネクタ接続用開口部
2a ノズル部
2b 容器側フランジ部
3 コネクタ
4 撹拌手段
4a 撹拌軸
4b 撹拌翼
5 撹拌軸貫通用開口部
6 バッフル
7 リユース管部
8 外部管接続用シングルユースチューブ部
9 主流路管部
9a 一端開口部
9b 他端開口部
10 分岐管部
11 リユース管側フランジ部
12 主流路管バルブ部
13 分岐管バルブ部
14 リユース管側接続部
15 チューブ側接続部
16 無菌プラグ
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧スチーム滅菌に耐えられる再利用されるバイオリアクター用容器の開口部に、その一端が接続される、高圧スチーム滅菌に耐えられる再使用されるリユース管部と、
該リユース管部の途中に接続される、外部管接続用の使い捨てのオートクレーブ滅菌可能な合成樹脂製のシングルユースチューブ部とよりなり、
前記リユース管部は、一端が、前記開口部に接続される主流路管部と、該主流路管部の途中で分岐した分岐管部と、前記主流路管部の、前記分岐管部よりも他端側に設けた、該主流路管部内の流路を開閉する主流路管流路開閉部と、前記分岐管部に設けた、該分岐管部内の流路を開閉する分岐管流路開閉部と、前記分岐管部の他端部に設けた、前記シングルユースチューブ部に接続する分岐管側接続部とよりなり、
前記シングルユースチューブ部は、一端に、前記分岐管側接続部に接続されるシングルユースチューブ側接続部を有し、他端に、外部管に無菌状態で接続可能な、閉じられた無菌プラグを有することを特徴とするバイオリアクター用容器の外部管接続用コネクタ。
【請求項2】
前記分岐管側接続部は、複数の前記シングルユースチューブ部に接続される複数の接続部からなり、該各接続部にそれぞれ前記分岐管流路開閉部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のバイオリアクター用容器の外部管接続用コネクタ。
【請求項3】
前記再利用されるリユース管部は、ステンレス製であることを特徴とする請求項1または2に記載の外部管接続用コネクタ。
【請求項4】
高圧スチーム滅菌に耐えられる再利用されるバイオリアクター用容器と、
該バイオリアクター用容器の開口に接続される外部管接続用コネクタとよりなり、
前記外部管接続用コネクタは、
バイオリアクター用容器の開口部に、その一端が接続される、高圧スチーム滅菌に耐えられる再使用されるリユース管部と、
該リユース管部の途中に接続される、外部管接続用の使い捨てのオートクレーブ滅菌可能な合成樹脂製のシングルユースチューブ部とよりなり、
前記リユース管部は、一端が、前記開口部に接続される主流路管部と、該主流路管部の途中で分岐した分岐管部と、前記主流路管部の、前記分岐管部よりも他端側に設けた、該主流路管部内の流路を開閉する主流路管流路開閉部と、前記分岐管部に設けた、該分岐管部内の流路を開閉する分岐管流路開閉部と、前記分岐管部の他端部に設けた、前記シングルユースチューブ部に接続する分岐管側接続部とよりなり、
前記シングルユースチューブ部は、一端に、前記分岐管側接続部に接続されるシングルユースチューブ側接続部を有し、他端に、外部管に無菌状態で接続可能な、閉じられた無菌プラグを有することを特徴とするコネクタを有するバイオリアクター用容器。
【請求項5】
前記分岐管側接続部は、複数の前記シングルユースチューブ部に接続される複数の接続部からなり、該各接続部にそれぞれ前記分岐管流路開閉部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のコネクタを有するバイオリアクター用容器。
【請求項6】
前記再利用されるバイオリアクター用容器及び前記再利用されるリユース管部は、ステンレス製であることを特徴とする請求項4または5に記載の外部管接続用コネクタ。
【請求項7】
高圧スチーム滅菌に耐えられる再利用されるバイオリアクター用容器の開口部に、その一端が接続される、高圧スチーム滅菌に耐えられる再使用されるリユース管部と、
該リユース管部の途中に接続される、外部管接続用の使い捨てのオートクレーブ滅菌可能な合成樹脂製のシングルユースチューブ部とよりなり、
前記リユース管部は、一端が、前記開口部に接続される主流路管部と、該主流路管部の途中で分岐した分岐管部と、前記主流路管部の、前記分岐管部よりも他端側に設けた、該主流路管部内の流路を開閉する主流路管流路開閉部と、前記分岐管部に設けた、該分岐管部内の流路を開閉する分岐管流路開閉部と、前記分岐管部の他端部に設けた、前記シングルユースチューブ部に接続する分岐管側接続部とよりなり、
前記シングルユースチューブ部は、一端に、前記分岐管側接続部に接続されるシングルユースチューブ側接続部を有し、他端に、外部管に無菌状態で接続可能な、閉じられた無菌プラグを有する、外部管接続用コネクタを、
前記分岐管流路開閉部を閉として、前記コネクタをオートクレーブ滅菌する第一の工程と、
前記コネクタの主流路管部の一端を、前記バイオリアクター用容器の開口部に密閉状態で接続する第二の工程と、
前記バイオリアクター用容器のスチーム導入口から滅菌用高圧スチームを導入し、前記容器内及び前記コネクタ内を滅菌すると共に、前記前記主流路管流路開閉部を閉とする第三の工程と、
前記容器内及び前記コネクタ内を滅菌後、前記分岐管流路開閉部を開とする第四の工程とよりなることを特徴とするバイオリアクター用容器の滅菌方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
前記の目的を達成すべく、本発明のバイオリアクター用容器の外部管接続用コネクタは、高圧スチーム滅菌に耐えられる再利用されるバイオリアクター用容器の開口部に、その一端が接続される、高圧スチーム滅菌に耐えられる再使用されるリユース管部と、該リユース管部の途中に接続される、外部管接続用の使い捨てのオートクレーブ滅菌可能な合成樹脂製のシングルユースチューブ部とよりなり、前記リユース管部は、一端が、前記開口部に接続される主流路管部と、該主流路管部の途中で分岐した分岐管部と、前記主流路管部の、前記分岐管部よりも他端側に設けた、該主流路管部内の流路を開閉する主流路管流路開閉部と、前記分岐管部に設けた、該分岐管部内の流路を開閉する分岐管流路開閉部と、前記分岐管部の他端部に設けた、前記シングルユースチューブ部に接続する分岐管側接続部とよりなり、前記シングルユースチューブ部は、一端に、前記分岐管側接続部に接続されるシングルユースチューブ側接続部を有し、他端に、外部管に無菌状態で接続可能な、閉じられた無菌プラグを有することを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
また、本発明のバイオリアクター用容器は、高圧スチーム滅菌に耐えられる再利用されるバイオリアクター用容器と、該バイオリアクター用容器の開口に接続される外部管接続用コネクタとよりなり、前記外部管接続用コネクタは、バイオリアクター用容器の開口部に、その一端が接続される、高圧スチーム滅菌に耐えられる再使用されるリユース管部と、該リユース管部の途中に接続される、外部管接続用の使い捨てのオートクレーブ滅菌可能な合成樹脂製のシングルユースチューブ部とよりなり、前記リユース管部は、一端が、前記開口部に接続される主流路管部と、該主流路管部の途中で分岐した分岐管部と、前記主流路管部の、前記分岐管部よりも他端側に設けた、該主流路管部内の流路を開閉する主流路管流路開閉部と、前記分岐管部に設けた、該分岐管部内の流路を開閉する分岐管流路開閉部と、前記分岐管部の他端部に設けた、前記シングルユースチューブ部に接続する分岐管側接続部とよりなり、前記シングルユースチューブ部は、一端に、前記分岐管側接続部に接続されるシングルユースチューブ側接続部を有し、他端に、外部管に無菌状態で接続可能な、閉じられた無菌プラグを有することを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
また、前記分岐管側接続部は、複数の前記シングルユースチューブ部に接続される複数の接続部からなり、該各接続部にそれぞれ前記分岐管流路開閉部が設けられていることを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
また、本発明のバイオリアクター用容器の滅菌方法は、高圧スチーム滅菌に耐えられる再利用されるバイオリアクター用容器の開口部に、その一端が接続される、高圧スチーム滅菌に耐えられる再使用されるリユース管部と、該リユース管部の途中に接続される、外部管接続用の使い捨てのオートクレーブ滅菌可能な合成樹脂製のシングルユースチューブ部とよりなり、前記リユース管部は、一端が、前記開口部に接続される主流路管部と、該主流路管部の途中で分岐した分岐管部と、前記主流路管部の、前記分岐管部よりも他端側に設けた、該主流路管部内の流路を開閉する主流路管流路開閉部と、前記分岐管部に設けた、該分岐管部内の流路を開閉する分岐管流路開閉部と、前記分岐管部の他端部に設けた、前記シングルユースチューブ部に接続する分岐管側接続部とよりなり、前記シングルユースチューブ部は、一端に、前記分岐管側接続部に接続されるシングルユースチューブ側接続部を有し、他端に、外部管に無菌状態で接続可能な、閉じられた無菌プラグを有する、外部管接続用コネクタを、前記分岐管流路開閉部を閉として、前記コネクタをオートクレーブ滅菌する第一の工程と、前記コネクタの主流路管部の一端を、前記バイオリアクター用容器の開口部に密閉状態で接続する第二の工程と、前記バイオリアクター用容器のスチーム導入口から滅菌用高圧スチームを導入し、前記容器内及び前記コネクタ内を滅菌すると共に、前記前記主流路管流路開閉部を閉とする第三の工程と、
前記容器内及び前記コネクタ内を滅菌後、前記分岐管流路開閉部を開とする第四の工程とよりなることを特徴とする。