(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100206
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】コマ玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 1/00 20190101AFI20220628BHJP
A63H 11/02 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
A63H1/00 Z
A63H11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115494
(22)【出願日】2021-07-13
(62)【分割の表示】P 2020213151の分割
【原出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(71)【出願人】
【識別番号】591274532
【氏名又は名称】株式会社メガハウス
(72)【発明者】
【氏名】森 のえみ
(72)【発明者】
【氏名】長澤 香音
(72)【発明者】
【氏名】小関 裕文
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150BB01
2C150DA39
2C150EB32
2C150EB41
(57)【要約】
【課題】興趣性の高いコマ玩具を提供する。
【解決手段】遊戯形態と展示形態とに変化可能なコマ玩具であって、球欠形状を成す本体部10と、本体部10から突出して設けられている軸部20と、本体部10の内部に設けられている重り部30と、を備え、本体部10には、軸部20の突出側とは反対側に開口部18が形成されているコマ玩具1。コマ玩具1は、構成要素が部品構成であり、組立て部品の変更が容易で玩具形態を多様化し易く、玩具として興趣性を高めることができる。また、重り部30が組み込み部品として構成されるので、重り部30によって重心位置を自在に変えることができ、コマ玩具1の回転性能を変えることができ、コマ玩具1の外表面10uに描く図画やキャラクターに対応する回転性能を演出が可能であり、興趣性を高めることができる。さらに、軸部20とは反対側に設けられた開口部18を利用して、他の物品の連結を可能にする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊戯形態と展示形態とに変化可能なコマ玩具であって、
球欠形状を成す本体部と、
前記本体部から突出して設けられている軸部と、
前記本体部の内部に設けられている重り部と、を備え、
前記本体部には、前記軸部の突出側とは反対側に開口部が形成されている、
コマ玩具。
【請求項2】
請求項1に記載のコマ玩具であって、
前記本体部の内部には、空間が形成されている、
コマ玩具。
【請求項3】
請求項2に記載のコマ玩具であって、
前記重り部は、前記空間が形成されている前記本体部の内壁面に隣接して設けられている、
コマ玩具。
【請求項4】
請求項3に記載のコマ玩具であって、
前記重り部は、平板形状に構成された第一重り部を含み、前記軸部と前記開口部との間に設けられている、
コマ玩具。
【請求項5】
請求項4に記載のコマ玩具であって、
前記第一重り部は、前記内壁面に隣接する一方面と、前記内壁面とは隣接しない他方面とを含み、
前記一方面と前記他方面とは、曲率が異なる曲面で構成されている、
コマ玩具。
【請求項6】
請求項5に記載のコマ玩具であって、
前記第一重り部において、前記内壁面とは隣接しない前記他方面にリブが設けられている、
コマ玩具。
【請求項7】
請求項2~6のいずれか一項に記載のコマ玩具であって、
前記重り部は、前記本体部に対し着脱可能に構成されている、
コマ玩具。
【請求項8】
請求項2~7のいずれか一項に記載のコマ玩具であって、
前記本体部は、第1外殻体と第2外殻体から構成され、
前記重り部は、重心が前記第1外殻体、及び第2外殻体の何れか側に偏心して設けられている、
コマ玩具。
【請求項9】
請求項8に記載のコマ玩具であって、
前記第1外殻体、及び前記第2外殻体は、複数の連結部を介して互いに連結可能に構成され、
前記重り部は、前記第1外殻体又は前記第2外殻体の内壁面への隣接状態で、前記連結部の隣合うもの同士の間に位置するように設けられている、
コマ玩具。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のコマ玩具であって、
前記第1外殻体には、第1切欠きが形成され、前記第2外殻体には、第2切欠きが形成され、
前記第1外殻体と前記第2外殻体との連結状態において、前記第1切欠き、及び前記第2切欠きにより前記開口部が形成されている、
コマ玩具。
【請求項11】
請求項2~10のいずれか一項に記載のコマ玩具であって、
前記重り部は、平板形状に構成された第一重り部と、前記第一重り部の一端部に設けられた筒状の第二重り部と、を含んでいる、
コマ玩具。
【請求項12】
請求項11に記載のコマ玩具であって、
前記第二重り部は、有底筒状に構成されている、
コマ玩具。
【請求項13】
請求項12に記載のコマ玩具であって、
前記第二重り部は、他の前記コマ玩具の軸部を挿入可能に構成されている、
コマ玩具。
【請求項14】
請求項12又は13に記載のコマ玩具であって、
前記本体部は、第1外殻体と第2外殻体とを含み、
前記第二重り部の内周部と前記本体部の前記開口部は、前記第1外殻体と前記第2外殻体との連結状態において連通している、
コマ玩具。
【請求項15】
請求項11~14のいずれか一項に記載のコマ玩具であって、
前記軸部は、円柱状に形成され、
前記軸部の外径は、前記第二重り部の内径より小さい、
コマ玩具。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のコマ玩具であって、
前記軸部は、少なくとも先端部の角が丸みを帯びた形状に形成されている、
コマ玩具。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載のコマ玩具であって、
前記軸部は、前記軸部を中心に大径に広がるつば部を更に備え、
前記つば部には、外周縁部から中心部に向う窪みが形成されている、
コマ玩具。
【請求項18】
請求項17に記載のコマ玩具であって、
前記本体部は、第1外殻体と第2外殻体とを含み、
前記第1外殻体には、第3切欠きが形成され、前記第2外殻体には、第4切欠きが形成され、
前記第1外殻体と前記第2外殻体との連結状態において、前記第3切欠き、及び前記第4切欠きにより形成される穴は、前記つば部により閉塞されている、
コマ玩具。
【請求項19】
請求項17又は18に記載のコマ玩具であって、
前記つば部には、前記本体部の内方に向かって凹む凹部が形成されている、
コマ玩具。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載のコマ玩具であって、
前記軸部を他の前記コマ玩具の前記開口部に挿入して複数の前記コマ玩具が連結可能に構成されている、
コマ玩具。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載のコマ玩具であって、
前記軸部を挿入可能な台座部を備え、
前記展示形態は、前記軸部が前記台座部に挿入された状態である、
コマ玩具。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載のコマ玩具であって、
成形樹脂により前記本体部の外表面が略球状に構成されている、
コマ玩具。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載のコマ玩具であって、
前記コマ玩具を、前記軸部と前記本体部とが載置面に接する状態で載置したときに、前記軸部の中心軸線が、前記載置面に対して略45度の角度になるように設定されている、
コマ玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コマ玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立ち上がりコマとして、例えば特許文献1のものが知られている。ここに開示された立ち上がりコマは、球形状の本体の上半体部を切欠して中心に向けて凹陥面を設け、この凹陥面に中心に孔を設け、この孔に軸を立設し、本体の外周面を着色すべくなした構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、立ち上がりコマとして平凡なものであり、それ以上の興趣性を求めるべくもない構造であった。
【0005】
本発明は、興趣性の高いコマ玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコマ玩具は、
遊戯形態と展示形態とに変化可能なコマ玩具であって、
球欠形状を成す本体部と、
前記本体部から突出して設けられている軸部と、
前記本体部の内部に設けられている重り部と、を備え、
前記本体部には、前記軸部の突出側とは反対側に開口部が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、興趣性の高いコマ玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態であるコマ玩具を軸部側から見た外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すコマ玩具を先端側から見た斜視図である。
【
図4】
図3に示す本体部の第1外殻体の内部を示す拡大斜視図である。
【
図5】
図3に示す本体部の第2外殻体の内部を示す拡大斜視図である。
【
図6】
図3に示す重り部の外側面側から見た斜視図である。
【
図7】
図3に示す重り部の内側面側から見た斜視図である。
【
図9】
図2のA-A線に沿った部分の断面斜視図である。
【
図10】
図2のB-B線に沿った部分の断面図である
【
図11】コマ玩具と台座部を示す斜視図であって、(a)は、コマ玩具を台座部に差込む前の状態を示す斜視図であり、(b)は、コマ玩具の展示状態の一例を示す斜視図である。
【
図12】
図11(b)のC-C線に沿った部分の断面図である。
【
図13】コマ玩具を載置面上に置いたときの状態を示す側面図である。
【
図14】コマ玩具の動作を示すための概略側面図である。
【
図15】コマ玩具の展示状態の他の例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態であるコマ玩具について、
図1~
図15を参照して説明する。
図1は、本実施形態におけるコマ玩具の外観を示す斜視図である。
図2は、コマ玩具を先端側から見た斜視図である。
【0010】
図1及び
図2に示すように、コマ玩具1は、球形の一部が欠けた所謂、球欠形状を成す本体部10から、球形の欠けた部位から突出して設けられた軸部20を有した形状となっている。そして、このコマ玩具1は、軸部20を指先で摘まむようして回転を加えてコマとして遊ぶ。また、本体部10は、第1外殻体11と第2外殻体12とにより球形部分が形成され、その内部は空間SP(
図3参照)として形成されている。そして、本体部10の内部には、重り部30(
図3参照)が設けられている。また、本体部10には、軸部20の突出側とは反対側に開口部18が形成されている。
【0011】
図3は、
図1に示すコマ玩具1の分解斜視図である。
図3に示すように、本体部10を形成する第1外殻体11及び第2外殻体12は、外表面10uが略球状に形成される。要するに、両外殻体11,12の対面する開口縁11e,12eをつき合わせるように組み立てることで球欠形状が構成される。第1外殻体11には、第1切欠き11k及び第3切欠き13kが形成されている。一方、第2外殻体12には、第2切欠き12k及び第4切欠き14kが形成されている。したがって、第1外殻体11と第2外殻体12との連結状態において、第1切欠き11k及び第2切欠き12kにより開口部18が形成される。また、第3切欠き13k及び第4切欠き14kにより、軸部20用の開口部である穴16が形成される。また、空間SP内には、重り部30が設けられる。更に、穴16は、軸部20のつば部22により閉じられる。なお、これらの各構成部品は、合成樹脂により射出成型等によって成形される。
【0012】
図4は、第1外殻体11の内部を示す拡大斜視図である。
図4に示すように、第1外殻体11は、内壁面10iには、第2外殻体12と連結する連結部15a(15)が、例えば4つ突設されている。連結部15aには、挿入穴15hが設けられている。連結部15aの間の内壁面10iには、略長方形の凹み段部11dが設けられている。凹み段部11dは、第1切欠き11k近傍から第3切欠き13k近傍の間に縦長に形成されている。凹み段部11dは、重り部30が装着される部位として形成されている。なお、第1切欠き11kに近い側の2つの連結部15aには、当該連結部15aの延出方向に沿い且つ凹み段部11d内まで延びる位置決め壁15dが設けられている。また、第3切欠き13kには、縁部が空間SP側に向く側面を備える段差部13dと段差部13dに対面する切欠き内壁面13eとで溝構造が形成されている。更に、第3切欠き13kには、係合突起13vが設けられている。なお、開口縁11eは、その内側が凹んだ凹状縁部として構成されている。
【0013】
図5は、第2外殻体12の内部を示す拡大斜視図である。
図5に示すように、第2外殻体12は、内壁面10iには、第1外殻体11と連結する連結部15b(15)が4つ突設されている。連結部15bは、第1外殻体11側の挿入穴15h内に嵌入可能な径(断面径のサイズ)に形成されている。第2切欠き12kの近傍には、重り部30の位置決め部位として用いられる位置決め突起12rが設けられている。第4切欠き14kには、第3切欠き13kと同様に、縁部が空間SP側に向く側面を備える段差部14dと段差部14dに対面する切欠き内壁面14eとで溝構造が形成されている。更に、第4切欠き14kには、係合突起14vが設けられている。また、開口縁12eは、開口縁11eに嵌合する凸状縁部として構成されている。
【0014】
図6は、重り部30を外側面側から見た斜視図である。
図7は、重り部30を内側面側から見た斜視図である。
図6及び
図7に示すように、重り部30は、平板形状に構成された第一重り部31と、第一重り部31の一端部に設けられた筒状の第二重り部32と、を有する。第一重り部31は、外殻体の内壁面10iに沿う湾曲した平板形状となっている。要するに、第一重り部31は、内壁面10iに隣接する一方面である外側面31uと、内壁面10iとは隣接しない他方面である内側面31iとは、内側面31iの曲率が大きい曲面で構成されている。また、外側面31uには、外側面31uの外縁部分よりも少し肉厚な嵌合凸部31dが突設されている。一方、内側面31iには、重り部30の長手方向に沿う第一リブ35と、短手方向に沿う2つの第二リブ36と、が設けられている。これらの第一リブ35及び第二リブ36並びに嵌合凸部31dは、重り部30の重量調整を可能にする構造といえる。また、長手方向の両端縁には、第1外殻体11に重り部30を装着するときに利用する嵌合切欠き31kが形成されている。
【0015】
第二重り部32は、第一重り部31の一端側(図中上側)から他端側に向けて延出された有底筒状の構造である。第二重り部32は、その開口側32aが第一重り部31に接続されており、底部側32bが空間SP内に突出するように装着される。第二重り部32の開口側32aの内径(D2)は、軸部20の軸外径(D1)よりも若干大きく構成されている(
図8参照)。要するに、第二重り部32は、他のコマ玩具の軸部20を挿入可能な大きさに構成されている。
【0016】
図8は、軸部20の断面斜視図である。
図8に示すように、軸部20は、回転中心となる軸本体21が円柱状に形成されており、コマ玩具1の回転支軸として構成されている。また、軸本体21は、その外径(D1)が前掲のごとく第二重り部32の開口側32aの内径(D2)より若干小さく構成されている。要するに、軸本体21は、他のコマ玩具1の開口部18に挿入することが可能である。このことは、例えば、軸本体21を他のコマ玩具1の開口部18に挿入して連結することができる。また、軸部20は、軸本体21の先端面21sの少なくとも外周縁である角21eが丸みを帯びた形状に形成されている。
【0017】
軸部20は、その一端に軸部20を中心に大径に広がる円形のつば部22を備えている。つば部22は、外周縁部22eから中心部に向かって本体部10内方に凹む窪み22dが形成されている。外周縁部22eには、180度反対の位置に2つの係合切欠き22cが設けられている。また、一方側の係合切欠き22cに接近してリブ係合部22mが突設されている。なお、外周縁部22eは、軸部突出側が小径となる段差構造を有している。また、つば部22には、本体部10の空間側に向かって凹む凹部22dg(
図10参照)が、例えば2つ設けられている。
【0018】
前掲のように構成されたコマ玩具1の各構成部品を組み立てについて説明する。
第1外殻体11と第2外殻体12とを組み合わせるときに、軸部20及び重り部30を組み込む。先ず、第1外殻体11の内側に重り部30を装着する。このとき、重り部30の嵌合切欠き31kを位置決め壁15dに嵌め合わせるようにして装着する。そして、嵌合凸部31dを凹み段部11dに嵌めるようにセットする。この状態で、重り部30は、第1外殻体11内に仮保持された状態となる。第1外殻体11に対して第2外殻体12を嵌め合わせるときは、軸部20のつば部22は、第3切欠き13kと第4切欠き14kとの間に挟まれるようにセットされる。このとき、係合切欠き22cと係合突起13v,14vとを嵌め合わせる。更に、リブ係合部22mと重り部30の第一リブ35の下端部35dとを嵌め合わせる。なお、軸部20は、つば部22が第1外殻体11の第3切欠き13kの溝構造によって、第1外殻体11に仮保持された状態にできる。
【0019】
以上の状態で、第1外殻体11に対して第2外殻体12を嵌め合わせる。この嵌め合わせに際して、重り部30は、第二重り部32が位置決め突起12rによって押され、第一重り部31が第1外殻体11の内壁面10iに押し付けられ、外側面31uが内壁面10iに接した状態で固定・保持される。また、第1外殻体11と第2外殻体12との嵌め合わせは、開口縁11eと開口縁12eとの凹凸嵌合により確りと嵌合する。
【0020】
このようにして組み立てられたコマ玩具1は、特に、接着剤等を用いて固定する必要はない。したがって、重り部30は、本体部10に対し着脱可能であることから、例えば、第二リブ36の数が異なる重り部30を装着し直して組み立て直すことも容易である。また、重り部30は、第1外殻体11側に偏心して設けられていることから、後述するように、逆立ちコマ玩具1として遊ぶときに、逆立ちし易くできる。
【0021】
図9は、
図2のA-A線に沿った部分の断面斜視図である。
図9に示すように、コマ玩具1が組み立てられた状態では、重り部30は、その長手方向においては、位置決め突起12rとリブ係合部22mとの間に挟まれ、軸部20と開口部18との間に固定されている。そして、第二重り部32の開口を構成する内周部32wと開口部18は連通する。このように重り部30が組み込まれた状態では、開口部18の空間側の内側縁18eは、開口側32aの筒部上端面32eに密着している。すなわち、開口部18は、すき間無く閉じられている。一方、穴16は、つば部22の外周縁部22eと穴16との組み合わせ段差構造によりすき間無く確りと閉じられている。
【0022】
図10は、
図2のB-B線に沿った部分の断面図である。
図10に示すように、コマ玩具1が組み立てられた状態では、重り部30は、その幅方向(短手方向)においては、連結部15の間で位置決め壁15d間に挟まれて、位置規制され固定されている。また、つば部22には、前掲のごとく凹部22dgが設けられている。この凹部22dgは、例えば、治具等が進入することができ、組み立て時において軸部20を保持する部位として利用できる。また、コマ玩具1が組み立てられた状態において、例えば、凹部22dgに治具を挿入することで、外表面10uに触れることなくコマ玩具1を確実に保持することができる。したがって、外表面10uに図柄や加工を施す作業がしやすくなる。
【0023】
図11(a)は、コマ玩具1を台座部50に差込む前の状態を示す斜視図である。
図11(b)は、コマ玩具1の展示状態の一例を示す斜視図である。
図11(a)に示すように、台座部5は、コマ玩具1を保持可能な構成と有している。すなわち、台座部50は、側面視で台形の円筒部材であり、上端面50uには、軸部20を挿入可能な台座開口50hを備えている。要するに、台座開口50hの開口内径(D3)は、軸部20の外径(D1)を挿入可能な大きさに設定されている。したがって、
図11(b)に示すように、コマ玩具1は、台座部50に挿入された状態で、載置面60上に安定して載置でき展示することができる。
【0024】
図12は、
図11(b)のC-C線に沿った部分の断面図である。
図12に示すように、台座部50の上端面50uは、軸部20のつば部22の形状に対応する形状を有している。すなわち、端面外周縁(外側)に向かって高さを低くする傾斜の第一傾斜部51uを備えている。したがって、第一傾斜部51uは、コマ玩具1のつば部22の窪みの傾斜に倣うように傾斜している。これにより、軸部20が台座部50に挿入された状態においては、台座部50の上端面50uが窪み22dに入り込むよう接触して、コマ玩具1を確実に保持する。また、上端面50uには、台座開口50hの内方に向かって傾斜(高さを低く)する第二傾斜部52uが設けられている。この第二傾斜部52uは、軸部20を台座開口50hに挿入するとき挿入しやすいように、誘い込みの傾斜として機能する。
【0025】
図13は、コマ玩具1を載置面60上に置いたときの状態を示す側面図である。
図13に示すように、コマ玩具1を、軸部20と本体部10とが載置面60に接する状態で載置したときに、軸部20の中心軸線CLが、載置面60に対する傾斜角度θが略45度の角度になるように設定されている。これは、本体部10のサイズ(外径)、軸部20の突出長さ、軸部20の径等によって決定される。例えば、本体部10の外径が小さいとき、或いは軸部20の突出量が大きいときは、傾斜角度θが45度よりも小さくなる。この場合、コマ玩具1を回した際に、軸部20を下にして回転する逆立ちし難くなる。一方、例えば、本体部10の外径が大きいとき、或いは軸部20の突出量が小さいときは、傾斜角度θが45度よりも大きくなる。この場合、コマ玩具1を回した際に、軸部20を下にして回転する逆立ちし易くなる。しかし、軸部20の長さと全体的なサイズ感からコマらしさなくなり、コマ玩具1として面白味が低下する。
【0026】
以下、コマ玩具1で遊ぶ時について、
図1、
図2及び
図14を参照して説明する。
図14は、コマ玩具1の動作を示すための概略側面図である。
先ず、コマ玩具1を回すときは、
図1に示すように、指先にて軸部20を摘まんで、載置面60上若しくは載置面60から少し離して回す。この回し操作のとき、軸部20の周りのつば部22が凹んだ窪み22dを有していることで、摘まみ易く回しやすい。コマ玩具1は、重心が重り部30によって偏心しているので、コマ玩具1が回り始めると、直ぐに、
図2に示すように、軸部20を外側にして旋回するように回転する。
【0027】
その後、
図14に示すように、コマ玩具1は立ち上がり始める。詳細には、例えば、
図2に示す如く、軸本体21を最外周として旋回している状態から、旋回(矢印LF)した状態で軸本体21の先端面21sが載置面60に接する。そして、更にコマ玩具1は、旋回しながら、その中心軸線CLを垂直にする方向(矢印SF)の力が作用し立ち上がって行く。ここで、コマ玩具1が旋回(矢印LF)しながら先端面21sが載置面60に接触するときは、先端面21sの角21eが接する。この角21eは円弧状に面取りされておち、これによって、角21eが接した後の立ち上がりが円滑に行われて、中心軸線CLが垂直線VLと一致した状態で回転する。
【0028】
図15は、コマ玩具1の展示状態の他の例を示す正面図である。
コマ玩具1は、前掲のように台座部50に挿入して、展示状態とすることができる。
図15に示す場合は、複数のコマ玩具1が重ねられた状態を示す。この場合、コマ玩具1の開口部18に他の軸部20の軸本体21を差し込むことで、多数のコマ玩具1を縦に重ねて展示することができる。なお、コマ玩具1の窪み22dの曲率は、外表面10uの曲率と略同じに構成されているので、コマ玩具1同士を連結した状態では、外表面10uと窪み22dとが面接触するように接するので、多数のコマ玩具1を重ねても安定して保持することができる。また、コマ玩具1は、その外表面10uには、適宜配色された図柄Cや、キャラクターA,Bを模した絵が描かれている。これにより、展示物として楽しむことができる。また、コマ玩具1として回して遊ぶときは、図柄CやキャラクターA,Bが横線となって綺麗な模様を演出する。
【0029】
以上述べたように、本実施形態のコマ玩具1によれば、コマ玩具1は、その構成要素が部品構成となっているので、組立て部品の変更が容易で玩具形態を多様化し易く、玩具として興趣性を高めることができる。また、重り部30は、組み込み部品として構成されるので、重り部30によって重心位置を自在に変えることができる。この結果、コマ玩具1の回転性能を変えることが容易にでき、例えば、コマ玩具1の外表面10uに描く図画やキャラクターに合わせて回転性能を演出が可能であり、その興趣性は格段に向上する。さらに、軸部20とは反対側に開口部18が設けられていることで、開口部18を利用して、他の物品の連結を可能にする。また、コマ玩具1は、組立てが容易であることから、組立て式のコマ玩具1として提供することができ、その組立てをも楽しむことができ興趣性は極めて高い。
【0030】
また、本実施形態のコマ玩具1では、本体部10の内部は空間SPとして形成されているので、重り部30を配置する位置を選ぶことができる。この結果、コマ玩具1の重心位置を変えることが容易にでき、コマ玩具1の回転性能等の特性を変えることができる。
【0031】
本実施形態のコマ玩具1では、重り部30は、本体部10の外表面10uに隣接して設けられているので、重り部30を回転半径の外周寄りに配置でき、偏心を大きくすることができる。
【0032】
また、本実施形態のコマ玩具で1は、重り部30は平板形状に構成されているので、本体部10の内部空間の内壁面10iに設置し易い。また、重り部30を開口部18と軸部20との間に設けることで、コマの重心を軸部20の位置に対して設定しやすく、例えば、重心を軸部20とは反対寄り(先端寄り)にすることができる。
【0033】
また、本実施形態のコマ玩具1では、重り部30は、空間SPを形成する内壁面10iに隣接する第一重り部31の外側面31uが曲面にて構成されることで、内壁面10iの曲率に合わせて内壁面10iに接するようにして確実に保持できる。一方、第一重り部31の内側面31iの曲率を外側面31uの曲率に対して変えることで、例えば第一重り部31の厚みを全長にわたって略同じの板状の構成、或いは、板厚を部位によって変えることで重心位置を変える構成とすることができる。
【0034】
本実施形態のコマ玩具1では、第一重り部31において、本体部10の内壁面10iに接触しない内側面31iに、リブ(第一リブ35,第二リブ36)を設けることで、重り部30の重さを変えることができる。また、リブを設ける位置によってコマ玩具1の重心の位置を変えることができる。さらに、リブの数の増減によって重さ調整や重心位置の変更が容易にできる。
【0035】
また、本実施形態のコマ玩具1では、重り部30は、本体部10に対し着脱可能に構成されているので、異なる重り部30の装着ができる。この結果、重さや重心位置の異なる複数の重り部30を選択できるコマ玩具1を提供できる。
【0036】
本実施形態のコマ玩具1では、重り部30は、本体部10を構成する第1外殻体11及び第2外殻体12の何れかに設けられるので、重り部30をコマ玩具1の片側に偏心して設けることができる。また、組立てに際して、重り部30を片方の外殻体に設けて組み立てることが出るので、コマ玩具1の組み立て性を良くすることができる。
【0037】
また、本実施形態のコマ玩具1においては、重り部30は、第1外殻体11と第2外殻体12とを連結する連結部15間に位置するように設けられているので、連結部15によって重り部30の位置決めができ、重り部30の設置が容易である共に保持が容易である。
【0038】
また、本実施形態のコマ玩具1においては、本体部10の開口部18は、組み合わせられる2つの外殻体(第1外殻体11、第2外殻体12)の切欠き(第1切欠き11k、第2切欠き12k)にて形成されるので、開口部18を形成するときに、開口部18及び開口部18近傍に他の部材、例えば第二重り部32を挟持するように設けることができる。
【0039】
本実施形態のコマ玩具1においては、重り部30は、平板形状の第一重り部31と筒状の第二重り部32とを有するので、内壁面10iに第一重り部31を接するように配置し、開口部18に第二重り部32を設置することができる。また、第一重り部31と筒状の第二重り部32は連続した一体構造であるので、組み込み部品点数を少なくできる。
【0040】
本実施形態のコマ玩具1は、開口部18と連通される第二重り部32により開口部18が塞がれるので、本体部10の内部へのゴミ等に侵入を防止することができ、コマ玩具1の重心変動等を回避することができる。
【0041】
本実施形態のコマ玩具1においては、第1外殻体11と第2外殻体12との連結状態において、第二重り部32は、その開口側32aが開口部18に対応し第二重り部32の内周部32wが開口部18に連通するので、重り部30の設置と同時に本体部10にその内方まで深く凹んだ構成を設けることができる。また、軸部20の外径(D1)は、開口部18(第二重り部32の内周部32w)の内径(D2)より小さく構成することで、開口部18に他のコマ玩具1の軸部20を挿入可能である。この結果、コマ玩具1は軸部20を他のコマ玩具1の開口部18に挿入することができ、複数個のコマ玩具を連結して遊ぶことができる。
【0042】
本実施形態のコマ玩具1は、軸本体21の角21eが丸みを帯びた形状に形成されているので、軸部20を回転支点して逆立ちし易くすることができる。また、本実施形態のコマ玩具1は、軸部20と本体部10とが載置面60に接する状態で載置されたときに、軸部20の中心軸線CLが、載置面60に対して略45度の角度になるように設定されていることで、軸部20を回転支点にした逆立ちの起き上がりが容易になる。さらに、例えば、前記略45度の角度になるように軸部20の突出長さが設定されていることで、コマ玩具1としての外観的なコマらしさを維持することができる。
【0043】
本実施形態のコマ玩具1の軸部20には、軸本体21から大径に広がるつば部22が設けられていることで、第1外殻体11と第2外殻体12とで形成され穴16につば部22を嵌めるように取り付けることができるので、軸部20の組み込み性を良くできる。また、つば部22は、軸本体21に向かって窪み22dが形成されているので、軸本体21を摘まみ易くできる。
【0044】
また、本実施形態のコマ玩具1のつば部22には、本体部10の内方に向かって凹む凹部22dgが設けられているので、凹部22dgを利用して、例えば治具等により外表面10uに接触することなくコマ玩具1を保持することができる。この結果、コマ玩具1の外表面10uに模様や図柄を描くと等の加工を施す際に、加工しやすい状態で保持することが可能になる。
【0045】
本実施形態のコマ玩具1においては、コマ玩具1の軸部20を挿入した状態で載置する展示形態とする台座部50を備えるので、コマ玩具1を展示物として楽しむことができる。
【0046】
本実施形態のコマ玩具1は、成形樹脂にて構成されるので、複数の部品の組み合わせにて形成することが容易であり、成形性がよく生産性に優れている。
【0047】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はその技術思想の範囲で適宜変更することができる。例えば、上記実施形態においては、第一重り部31を板状にし、第一リブ35,第二リブ36を設けて重さ並びに重心位置を変更できるようにしたが、重り部30の重さを変える構成としては、第一重り部31の板厚み自体を変えるように構成しても良い。また、上記実施形態における重り部30は、第1外殻体11側に設けるようにしたが、第2外殻体12側に設ける構成であってもよい。
【0048】
また、上記実施形態の軸部20においては、軸本体21の21eを丸くする構成としたがこれに限るものではなく、例えば、軸本体21の先端面21sを全体的に丸くする構成であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 コマ玩具
10 本体部
10i 内壁面
10u 外表面
11 第1外殻体
11k 第1切欠き
12 第2外殻体
12k 第2切欠き
13k 第3切欠き
14k 第4切欠き
15 連結部
16 穴
18 開口部
20 軸部
21 軸本体
21e 角
22 つば部
22d 窪み
22e 外周縁部
30 重り部
31 第一重り部
31i 内側面(他方面)
31u 外側面(一方面)
32 第二重り部
35 第一リブ
36 第二リブ
50 台座部
60 載置面
CL 中心軸線