(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100210
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】半導体パッケージ用アンダーフィルフィルム及びこれを用いた半導体パッケージの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20220628BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
H01L21/52 E
H01L21/60 311Q
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136500
(22)【出願日】2021-08-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0182150
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】504408236
【氏名又は名称】ドゥーサン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チェ、テ ジン
(72)【発明者】
【氏名】イ、チュング
(72)【発明者】
【氏名】パク、スイン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジョンジン
【テーマコード(参考)】
5F044
5F047
【Fターム(参考)】
5F044KK02
5F044KK16
5F044KK18
5F047AA17
5F047BA23
5F047BA34
5F047BA53
5F047BA54
(57)【要約】
【課題】半導体パッケージングの際に移送とボンディング工程を簡素化するチッププレースメント方式に最適化できると共に接続信頼性が向上できる、半導体パッケージ用アンダーフィルフィルムの提供。
【解決手段】本発明は、半導体パッケージ用アンダーフィルフィルム及びこれを用いた半導体パッケージの製造方法に関し、より詳しくは、溶融粘度及び開始温度(Onset Temp.)が所定の範囲に調節された接着層を含むことで、パッケージング工程が簡素化され、生産効率が向上し、かつパッケージの接続信頼性が向上し得る、半導体パッケージ用アンダーフィルフィルム及びこれを用いた半導体パッケージの製造方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材;及び、
前記基材の一面に配置され、150~160℃での溶融粘度が300~1000Pa.sであり、示差走査熱量分析器(DSC)上、開始温度(Onset Temperature)が、145±5℃である接着層;
を含む、半導体パッケージ用アンダーフィルフィルム。
【請求項2】
前記アンダーフィルフィルムは、前記接着層が設けられた半導体チップをピックアップし、ボンディングステージに支持されたパッケージ基板上に貼り付けるチッププレースメント方式に使用される、請求項1に記載の半導体パッケージ用アンダーフィルフィルム。
【請求項3】
前記接着層の開始温度は、予め設定されたボンディングステージの予熱温度(Ts)と実質的に同一である、請求項2に記載の半導体パッケージ用アンダーフィルフィルム。
【請求項4】
前記接着層の厚さは、前記半導体チップと前記パッケージ基板との間隔の80~120%の範囲である、請求項1に記載の半導体パッケージ用アンダーフィルフィルム。
【請求項5】
前記接着層は、
示差走査熱量分析器(DSC)上、ピーク頂点温度が、165±5℃であり、
前記開始温度と前記ピーク頂点温度との差は、25±5℃である、請求項1に記載の半導体パッケージ用アンダーフィルフィルム。
【請求項6】
前記接着層は、
(a)液状エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、及び多官能性エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂;
(b)酸無水物系硬化剤;
(c)含窒素(N)ヘテロ環化合物;及び、
(d)フィラー;
を含む接着樹脂組成物の硬化物又は半硬化物である、請求項1に記載の半導体パッケージ用アンダーフィルフィルム。
【請求項7】
前記多官能性エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、及び液状エポキシ樹脂の混合割合は、4:3~4:2~3の重量比である、請求項6に記載の半導体パッケージ用アンダーフィルフィルム。
【請求項8】
前記酸無水物系硬化剤は、該エポキシ樹脂1当量に対して、酸無水物0.3~1.0当量の範囲で含まれる、請求項6に記載の半導体パッケージ用アンダーフィルフィルム。
【請求項9】
前記含窒素ヘテロ環化合物は、該酸無水物硬化剤1当量に対して、0.005当量以上、0.02当量未満で含まれる、請求項6に記載の半導体パッケージ用アンダーフィルフィルム。
【請求項10】
(i)バンプが設けられた半導体チップのバンプ上に、請求項1~請求項9のうちのいずれか1項に記載のアンダーフィルフィルムの接着層を設けるステップ;
(ii)前記接着層が設けられた半導体チップのバンプをピックアップし、ボンディングステージ上に支持されたパッケージ基板のボンディングパッド上に整列させるステップ;
(iii)整列された半導体チップとパッケージ基板とを、プレッシャーチャンバーオーブンに投入するステップ;
(iv)前記半導体チップのバンプを溶融させ、半導体チップとパッケージ基板とを接続させるステップ;及び
(v)前記接続された半導体チップとパッケージ基板との間に配置された接着層を硬化させるステップ;
を含む、半導体パッケージの製造方法。
【請求項11】
前記ステップ(ii)において、ピックアップ及び整列は、チッププレースメント方式によって実施される、請求項10に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項12】
前記ステップ(ii)におけるボンディングステージは、前記アンダーフィルフィルムに設けられた接着層の開始温度と実質的に同一である設定温度(Ts)で予熱されるものである、請求項10に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項13】
前記ステップ(ii)において、バンプとボンディングパッドとの整列は、130~150℃のステージ温度、常温のダイボンダヘッド、10~200N、1~5秒の条件下で圧着して実施される、請求項10に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項14】
前記ステップ(iv)において、バンプの溶融ステップ後、該接着層中のボイド面積率は、1.0%以下である、請求項10に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項15】
前記ステップ(v)において、接着層の硬化温度は、160~250℃の範囲である、請求項10に記載の半導体パッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージ用アンダーフィルフィルム及びこれを用いた半導体パッケージの製造方法に関し、より詳しくは、チッププレースメント(Chip Placement)方式を用いて、半導体チップの移送、ボンディング工程の簡素化、及び生産効率を向上させ、また、パッケージの信頼性を向上させることができる、半導体パッケージ用アンダーフィルフィルム及びこれを用いた半導体パッケージの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、高密度化に伴って半導体素子を最小限の面積で実装することができるフリップチップ(flip-chip)パッケージの製造方法が注目されている。
【0003】
フリップチップパッケージの製造にあたって、半導体チップとパッケージ基板との間にアンダーフィル(underfill)が配置される。アンダーフィルは、機械的衝撃や接合部腐食のような外部の影響から保護するとともに、チップと基板との間の熱膨張係数の差による応力を最小化することで、パッケージ製品の信頼性を向上させる役割を果たす。
【0004】
このようなアンダーフィルは、半田リフロー(solder reflow)工程を行った後、ニードルのような装備を用いて半導体チップとパッケージ基板との間の空間に液状アンダーフィル樹脂を充填させた後、硬化するという方法で形成されている。但し、液状アンダーフィル樹脂の充填工程では、半導体チップとパッケージ基板との間の空間全体にアンダーフィル樹脂を均一に提供する必要がある。従って、ニードルを半導体チップの側面に沿って一定の軌跡で移動させるためのニードルの移動空間、及びニードルを配置するためのスペースを確保する必要がある。このため、空間が消費され、これは、フリップチップ使用製品の小型化の障害要因となっている。また、液状アンダーフィル樹脂の充填工程では、印刷回路基板の回路パターン及びボンディングパッドと、半導体チップの半田付けによって、液状アンダーフィル樹脂の拡散速度に差が生じ、これによって、アンダーフィル中にエアーギャップ又は空隙が発生している。このようなエアーギャップや空隙によって、アンダーフィル機能の低下が起こり、長期的に水分浸透によるパッケージの信頼性低下の原因となっている。
【0005】
なお、近年、半導体素子の小型化に応えるためウェハーレベルパッケージ(Wafer Level Package)技術への関心が大きくなっている。ウェハーレベルパッケージ技術は、ウェハーから切り出した半導体チップを一つ一つパッケージする従来の方式とは異なり、チップ切り出し前のウェハー上において組み立てまで行われる半導体パッケージ技術である。このような半導体パッケージ技術を適用する場合は、配線接続、プラスチックパッケージのような半導体組立過程が簡素化されるため、工程簡素化などによるコスト削減を実現することができる。
【0006】
現在、半導体パッケージングは、半導体チップの移送工程、移送された半導体チップとパッケージ基板とのボンディング工程、及び高温下でのリフロー(reflow)工程がそれぞれ別に行われているため、物性低下が発生しないパッケージング工程の簡素化、生産効率の向上には限界がある。従って、ウェハーレベルパッケージ技術を適用して半導体パッケージング工程を簡素化し、かつパッケージの信頼性を改善することができる、ボンディング用新規な素材及びこれを用いた半導体パッケージングの製造工程の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、半導体チップを個別にピックアップし、ボンディング装置の置き台に水平移送させ、所定の位置に整列するというチッププレースメント(Chip Placement)方式を用いた上でリフロー工程を行うと、半導体パッケージ工程を自動化することができ、従来技術に比べて、材料のロス及び停止時間が少なく、パッケージ工程が簡素化し、生産効率が有意に増大することを見出した。
【0008】
従って、本発明の技術課題は、半導体パッケージングの際に移送とボンディング工程を簡素化するチッププレースメント方式に最適化できると共に接続信頼性が向上できる、半導体パッケージ用アンダーフィルフィルムを提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の技術課題は、前記アンダーフィルフィルムを用いて、ボンディング工程を単純化させ、生産効率性を向上させると共に、接続信頼性に優れた半導体パッケージの製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明のまた他の目的及び利点は、後述の発明の詳細な説明及び特許請求の範囲によってより明確になる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述のような技術課題を解決するため、本発明は、基材;及び前記基材の一面に配置され、150~160℃での溶融粘度が、300~1000Pa.sであり、示差走査熱量分析器(DSC)上、開始温度(Onset Temperature)が、145±5℃である接着層;を含む半導体パッケージ用アンダーフィルフィルムを提供する。
【0012】
本発明の一実施例では、前記アンダーフィルフィルムは、前記接着層が設けられた半導体チップをピックアップし、ボンディングステージに支持されたパッケージ基板上に貼り付けるというチッププレースメント方式に使用可能である。
【0013】
本発明の一実施例では、前記接着層の開始温度は、予め設定されたボンディングステージの予熱温度(Ts)と実質的に同一である。
【0014】
本発明の一実施例では、前記接着層の厚さは、前記半導体チップと前記パッケージ基板との間隔の80~120%の範囲である。
【0015】
本発明の一実施例では、前記接着層は、示差走査熱量分析器(DSC)上、ピーク頂点温度が、165±5℃であり、前記開始温度と前記ピーク頂点温度との差は、25±5℃である。
【0016】
本発明の一実施例では、前記接着層は、(a)液状エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、及び多官能性エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂;(b)酸無水物系硬化剤;(c)含窒素(N)ヘテロ環化合物;及び、(d)フィラー;を含む接着樹脂組成物の硬化物又は半硬化物である。
【0017】
本発明の一実施例では、前記多官能性エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、及び液状エポキシ樹脂の混合割合は、4:3~4:2~3の重量比である。
【0018】
本発明の一実施例では、前記酸無水物系硬化剤は、該エポキシ樹脂1当量に対して、酸無水物0.3~1.0当量の範囲で含まれる。
【0019】
本発明の一実施例では、前記含窒素ヘテロ環化合物は、該酸無水物硬化剤1当量に対して、0.005当量以上、0.02当量未満の範囲で含まれる。
【0020】
また、本発明は、前記半導体パッケージの製造方法であって、(i)バンプが設けられた半導体チップのバンプ上に、上述のアンダーフィルフィルムの接着層を設けるステップ;(ii)前記接着層が設けられた半導体チップのバンプをピックアップし、ボンディングステージ上に支持されたパッケージ基板のボンディングパッド上に整列させるステップ;(iii)整列された半導体チップとパッケージ基板とを、プレッシャーチャンバーオーブンに投入するステップ;(iv)前記半導体チップのバンプを溶融させ、半導体チップとパッケージ基板とを接続させるステップ;及び、(v)前記接続された半導体チップとパッケージ基板との間に配置された接着層を硬化させるステップ;を含む半導体パッケージの製造方法を提供する。
【0021】
本発明の一実施例では、前記ステップ(ii)において、ピックアップ及び整列は、チッププレースメント方式によって実施される。
【0022】
本発明の一実施例では、前記ステップ(ii)におけるボンディングステージは、前記アンダーフィルフィルムに設けられた接着層の開始温度と実質的に同一の設定温度(Ts)で予熱される。
【0023】
本発明の一実施例では、前記ステップ(ii)において、バンプとボンディングパッドとの間の整列は、130~150℃のステージ温度、常温(RT)のダイボンダヘッド、10~200N、1~5秒の条件下で圧着して実施される。
【0024】
本発明の一実施例では、前記ステップ(iv)において、バンプの溶融ステップ後、該接着層中のボイド面積率が1.0%以下である。
【0025】
本発明の一実施例では、前記ステップ(v)において、接着層の硬化温度は、160~250℃である。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一実施例によれば、所定の範囲に調節された溶融粘度、及び開始温度(Onset Temperature)を有する接着層を備えることで、チッププレースメント方式を適用して、半導体チップの移送とボンディング工程の簡素化及び自動化によって大量生産性の向上を図ることが可能となる。また、パッケージの接続信頼性を向上させることができる。
【0027】
従って、本発明のアンダーフィルフィルムは、当該分野の半導体装置及びその製造工程にも有用に適用可能である。
【0028】
本発明の効果は、上記の例示に制限されず、より種々の効果が本明細書中に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の第1の実施例に係る半導体パッケージ用アンダーフィルフィルムの構造を示す断面図である。
【
図2】本発明の第2の実施例に係る半導体パッケージ用アンダーフィルフィルムの構造を示す断面図である。
【
図3】本発明に係る半導体パッケージの製造方法を概略的に説明するための各工程別の断面図である。
【
図4】本発明に係る半導体パッケージの製造方法を概略的に説明するための各工程別の断面図である。
【
図5】本発明に係る半導体パッケージの製造方法を概略的に説明するための各工程別の断面図である。
【
図6】本発明に係る半導体パッケージの製造方法を概略的に説明するための各工程別の断面図である。
【
図7】実施例1に係るアンダーフィルフィルムを用いた半導体パッケージの平面写真である。
【
図8】実施例1に係るアンダーフィルフィルムを用いた半導体パッケージの断面写真である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、発明を詳述する。後述の実施例は、当該技術分野で通常の知識を有する者に本発明を完全に説明するために提供されるものであり、後述の実施例は、種々に変更して実施することができ、本発明の範囲は、これらの実施例によって限定されない。また、本明細書中において、同一の参照符号は、同一の構造を指称する。
【0031】
特に断りのない限り、本明細書中の全ての用語(技術及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が共通に理解できる意味として使用される。また、一般的に使用される辞典に定義されている用語は、特に定義されていない限り、理想的に過剰解釈してはならない。
【0032】
また、図中、各構成要素の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意に示されているが、本発明は、これらの図示に限定されない。図中、複数の層及び領域を明確に表現するため、厚さが拡大して図示されている。さらに、説明の便宜上、一部の層及び領域の厚さが誇張して示されている。
【0033】
また、明細書全般において、ある部分が他の構成要素を「含む」とは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。また、明細書全般において、「上に」又は「上方に」とは、対象部分の上又は下に位置する場合だけでなく、その中間に他の部分が存在する場合も含む意味であり、必ず重力方向を基準に上方に位置するという意味ではない。なお、本明細書中、「第1」、「第2」などの用語は、任意の順番又は重要度を示すのではなく、構成要素を区分するために使用されたものである。さらに、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」又は「接続」するとは、ある構成要素が他の構成要素に直接に「連結」、「結合」又は「接続」される場合だけでなく、ある構成要素と他の構成要素とがまた他の構成要素を介して「連結」、「結合」又は「接続」される場合を含むこともできる。
【0034】
なお、本明細書中、「平面上」とは、対象体を上から見たことを意味し、「断面上」とは、対象体を垂直に切断した断面を横から見たことを意味する。
【0035】
<半導体パッケージ用アンダーフィルフィルム>
図1は、本発明の第1の実施例に係る半導体パッケージ用アンダーフィルフィルムを概略的に示す断面図であり、
図2は、本発明の第2の実施例に係る半導体パッケージ用アンダーフィルフィルムを概略的に示す断面図である。
【0036】
本発明に係るアンダーフィルフィルムは10A、10Bは、半導体パッケージングの際に、半導体チップのバンプとパッケージ基板のボンディングパッドとの接続部に加えられる応力(stress)を緩和させるために使用される非導電性接着フィルムであって、具体的にチッププレースメント(Chip Placement)方式に最適化した物性を有する。
【0037】
図1及び
図2に示されるように、前記アンダーフィルフィルム10A、10Bは、基材11、及び前記基材11の一面上に配置された接着層12を含む。選択的に、前記接着層の他面に配置された他の基材(以下、「第2の基材」という)をさらに含むことができる(
図2参照)。
【0038】
以下、
図1に基づいて本発明の第1の実施例に係る半導体パッケージ用アンダーフィルフィルム10Aについて説明する。
【0039】
基材
本発明に係るアンダーフィルフィルムにおいて、基材11は、接着層を支持すると共に接着層の表面を保護する部分であって、アンダーフィルフィルムの使用時に剥離除去される。
【0040】
このような基材11としては、剥離可能であれば、当業界で周知のプラスチックフィルムを制限なく使用することができ、また、離型紙を使用することもできる。
【0041】
使用可能なプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロハン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン-酢酸共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルムなどが挙げられるが、これらに制限されない。このようなプラスチックフィルムは、透明又は半透明であることができ、又は着色又は無着色のものであることができる。一例としては、基材11は、ポリエチレンテレフタレート(PET)であることができる。他の一例としては、基材11は、ポリイミド(PI)であることもできる。
【0042】
このようなプラスチックフィルムの上には、離型層を設けることができる。離型層は、基材11の接着層12からの分離時に、接着層が損なわれることなく形状を維持した状態で基材を接着層から容易に分離させる役割を果たす。なお、離型層は、通常使用されるフィルムタイプの離型物質であることができる。
【0043】
離型層に使用される離型剤成分としては、特に限定されず、当業界で周知の離型剤成分を使用することができる。例えば、エポキシ基盤の離型剤、フッ素樹脂からなる離型剤、シリコン系離型剤、アルギド樹脂系離型剤、水溶性高分子などが挙げられるが、これらに制限されない。また、必要に応じて、離型層成分として、粉末状フィラー、例えば、シリコン、シリカなどを含むことができる。なお、微粒子状の粉末フィラーは、2タイプの粉末フィラーを混用することができ、このとき、これらの平均粒度は、形成される表面粗さを考慮して、適宜選択することができる。また、離型層の厚さは、当業界で周知の範囲内で適宜調節することができる。また、離型層の形成方法は、特に限定されず、熱プレス、熱ロールラミネート、押出ラミネート、コーティング液の塗布、乾燥などの公知の方法を採用することができる。
【0044】
前記基材11の厚さは、特に限定されず、当業界で周知の範囲内で調節することができ、例えば、約25~150μmであることができ、具体的に約30~100μm、より具体的に30~50μmである。また、基材11の離型力は、特に限定されず、例えば、約1~500gf/inchであることができ、具体的に約10~100gf/inchの範囲である。
【0045】
接着層
本発明に係るアンダーフィルフィルムにおいて、接着層12は、基材11の一面上に配置されるものであって、半導体パッケージングの際に半導体チップをパッケージ基板上に整列する時、半導体チップをパッケージ基板上に接着させることができ、また、アンダーフィル(underfill)として半導体チップとパッケージ基板との間の熱膨張係数の差により発生する応力と変形を再分配することができる。
【0046】
本発明の接着層12は、半硬化状態で、約150~160℃で、1000Pa.s以下の最低溶融粘度(lowest melt viscosity)を有する。このような接着層12は、パッケージングの際に、バンプが設けられた半導体チップと、ボンディングパッドが設けられたパッケージ基板との間に配置され、これらを130~150℃のステージ温度、常温のダイボンダヘッド、10~200N、1~5秒の条件下で圧着するようになる。このとき、実質的なボンディングが行われるステージとダイボンダのうち、ステージは、所定の温度が付加されるが、ダイボンダヘッド(Die Bonder Head)は、常温状態である。従って、高温が必須に付加されるダイボンダを使用する従来技術と差別化される。
【0047】
具体的に、本発明の接着層12は、最低溶融粘度が約150~160℃で、約1000Pa.s以下、具体的に100~900Pa.s、より具体的に約300~600Pa.sと低いため、所定の条件(例えば、約150℃、75~200N、1~3秒)下の圧着によっても溶融されやすく、流動性を有する。従って、半導体チップのバンプをパッケージ基板のボンディングパッドに仮圧着する時、半導体チップのバンプとパッケージ基板のボンディングパッドとの間に位置する接着層12は、容易に溶融され、バンプとボンディングパッドとの間の空間を満たし、接続信頼性を向上させることができる。特に、前記接着層120は、流動性が高いため、微細ピッチ(fine pitch)の微細な空間を充填することが可能である。
【0048】
また、本発明の接着層12は、アンダーフィル(underfill)の役割だけでなくフラックス(flux)の役割も果たすことができるため、従来とは異なり、ボンディングパッドの上に別のフラックスを塗布、又はフラックスを洗浄する必要がない。それで、フラックスの残渣又はフラック洗浄溶媒の残存物によるボイドの発生が根本的に生じない。このように、本発明の接着層は、充填(gap-filling)効果に優れ、かつボイドの発生を極力抑制することができる。
【0049】
特に、本発明に係るアンダーフィルフィルムは、接着層が設けられた半導体チップをピックアップし、これをボンディングステージに支持されたパッケージ基板上に水平移動、整列及び実装するチッププレースメント(Chip Placement)方式を採用しているため、この方式に最適化されるように、接着層12の物性を調節することが要求される。例えば、接着層12の開始温度(Onset Temp.)が、予め設定されたボンディングステージの予熱温度(Ts)と実質的に同一であるように制御される場合、所定の条件下で圧着工程、例えば、後述の仮圧着(pre-bonding)工程を実施しても安定的に行われるため、半導体チップの移送工程とボンディング工程を簡素化して生産効率を上げることができる。
【0050】
他の一実施例では、前記接着層12は、示差走査熱量分析器(Differential Scanning Calorimeter、DSC)上、開示温度が、約145±5℃であることができ、具体的に143~147℃である。ここで、開始温度とは、接着層12の硬化が一部開始される始点であって、具体的に、半硬化状態の接着層内に存在する酸二無水物硬化剤の酸無水物基が、フラックス機能のためカルボキシル基で開環(ring open)されて硬化反応が起こることを意味する。このように硬化が開始される接着層12の開始温度をパッケージのボンディングが行われるステージの予熱温度(Ts)と同一になるように微細制御することで、チッププレースメント方式に最適化することができる。
【0051】
また、前記接着層12のピーク頂点温度(Peak Temperature)は、165±5℃であり、前記開始温度(Onset Temp.)と前記ピーク頂点温度(Peak Temp.)との間の温度差(ΔT)は、25±5℃であることができる。ここで、ピーク頂点温度とは、DSCグラフの最高ピーク温度を意味する。接着層12が前記開始温度とピーク頂点温度の特性を有する場合、チッププレースメント方式により最適化した物性を確保し、かつ高温で安定した硬化特性を示すことができる。
【0052】
前記接着層12の厚さは、接着層の最低溶融粘度などを考慮して調節する。例えば、接着層12の厚さは、前記半導体チップとパッケージ基板との間隔(例えば、100%)に対して、80~120%の範囲であることができる。
【0053】
本発明に係る接着層12は、前記溶融粘度(M.V)と開始温度(Onset Temperature)の物性パラメータを満足すれば、前記接着層12の構成成分及びその組成などに特に制限はない。このような接着層12は、接着樹脂組成物の硬化物又は半硬化物からなり得る。前記接着樹脂組成物の具体例としては、例えば、(a)液状エポキシ樹脂、フェノキシ系樹脂、及び多官能性エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂;(b)酸無水物系硬化剤;(c)含窒素ヘテロ環化合物;及び、(d)フィラー(filler)を含む。
【0054】
より具体的に、本発明では、接着層12を構成する主な樹脂成分として、液状エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、及び多官能性エポキシ樹脂を含む少なくとも3種以上を混用し、これらの混合割合を所定の範囲に調節する。
【0055】
少なくとも3種以上のエポキシ樹脂のうち、液状エポキシ樹脂は、25±5℃で液体状態であるエポキシ樹脂であって、熱硬化性樹脂である。このような液状エポキシ樹脂は、接着樹脂組成物に接着性、硬化性を付与し、また、硬化後の接着層に硬化均一性を付与することができる。
【0056】
使用可能な液状エポキシ樹脂としては、例えば、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂、液状ナフタレン型エポキシ樹脂、液状アミノフェノール型エポキシ樹脂、液状水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、液状脂環式エポキシ樹脂、液状アルコールエーテル型エポキシ樹脂、液状環状脂肪族型エポキシ樹脂、液状フルオレン型エポキシ樹脂、液状シロキサン系エポキシ樹脂などが挙げられ、このうち、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂、液状ナフタレン型エポキシ樹脂が、接着性、硬化性、耐久性、耐熱性の点から好適であるが、これらに制限されない。これらは単独で使用、又は2種以上を混合して使用することができる。具体的に、液状エポキシ樹脂の製品としては、ビスフェノールF型エポキシ樹脂「YDF8170」(商品名、新日鉄化学製)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EXA-850CRP」(商品名、DIC製)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂「YDF870GS」(商品名、新日鉄化学製)、ナフタレン型エポキシ樹脂「HP4032D」(商品名、DIC製)、アミノフェノール型エポキシ樹脂(グレード:JER630、JER630LSD、三菱化学製)、シロキサン系エポキシ樹脂「TSL9906」(商品名、モメンティブ・パフォーマンス製)、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル「ZX1658GS」(商品名、新日鉄化学製)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
フェノキシ樹脂は、少なくとも一側の末端にエポキシ基を含有している熱可塑性高分子であって、分子中、エポキシ基は、分子量に比べて当量が非常に低いため、硬化に参与するものの、高温での流動性を付与することができる。このような点から、本発明の接着層は、常温(約25±5℃)で半硬化(B-stage)状態のフィルム形状に成形することができる。
【0058】
使用可能なフェノキシ樹脂としては、高分子鎖中にフェノキシ基を含有するとともに少なくとも1つの末端にエポキシ基を含有するものであれば、特に限定されない。
【0059】
例えば、フェノキシ樹脂は、次の化1で示される化合物であることができるが、これに制限されない。
【0060】
【0061】
前記化1において、
a及びbは、それぞれ1~4の整数であり、
複数のR1及び複数のR2は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1~C10のアルキル基、C2~C20のシクロアルキル基、C5~C20のアリール基、及びニトロ基からなる群から選択され、具体的に、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1~C5のアルキル基、C3~C10のシクロアルキル基、C5~C10のアリール基、及びニトロ基からなる群から選択され、
R3~R8は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、水素、又はヒドロキシ基であり、但し、R3~R8のうちの少なくとも1つが、ヒドロキシ基であり、
X1は、単結合であるか、又はC1~C10のアルキレン基であり、具体的に、単結合であるか、又はC1~C5のアルキレン基であり、
Y1及びY2は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシ基、又はエポキシ基であり、但し、Y1及びY2のうちの少なくともいずれか1つは、エポキシ基であり、
nは、30~400の整数である。
【0062】
また、多官能性エポキシ樹脂は、少なくとも2つ以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂である。このような多官能性エポキシ樹脂は、接着層に電気絶縁性、耐熱性、化学的安定性、強度(toughness)、及び成形性を付与する。
【0063】
使用可能な多官能性エポキシ樹脂は、分子(単量体)当たり、2つ以上、具体的に2~5個のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。多官能性エポキシ樹脂としては、例えば、フェノール又はアルキルフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒドとの縮合物をエポキシ化することで得られるエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル(biphenyl)型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環を含むエポキシ樹脂、キシロキシ型エポキシ樹脂、多官能型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA/ビスフェノールF/ビスフェノールADのノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA/ビスフェノールF/ビスフェノールADのグリシジルエーテルエポキシ樹脂、ビスヒドロキシビフェニル系エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに制限されない。このなかで、25±5℃で非液状である多官能性エポキシ樹脂が好ましい。ここで、25±5℃で非液状であるとは、25±5℃で半固体状又は固体状であるエポキシ樹脂を意味し、固体状に近いエポキシ樹脂も含まれる。
【0064】
前記接着層12を構成する少なくとも3種のエポキシ樹脂、例えば、液状エポキシ樹脂、フェノキシ系樹脂、及び多官能性エポキシ樹脂の含有割合は、接着性や充填性などを考慮して、所定の範囲に調節されることが好ましい。例えば、多官能性エポキシ樹脂、フェノキシ系樹脂、及び液状エポキシ樹脂の使用割合(混合比率)は、4:3~4:2~3重量比であることができ、具体的に4:3~3.5:2~2.5重量比である。前記エポキシの混合比率を満たす場合、最低溶融粘度と硬化開始温度を所定の範囲に制御することで接着性と充填性が改善され、これによって、パッケージの接続信頼性を確保することができ、チッププレースメント方式に最適化することで、半導体チップの移送及びボンディング工程の簡素化によって生産効率を上げることができる。
【0065】
本発明に係る接着層12を構成する接着樹脂組成物は、酸無水物系硬化剤を含む。酸無水物系硬化剤は、液状エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、及び多官能性エポキシ樹脂のうちの少なくとも1つを硬化させることができ、かつフラックス特性を発揮することができる。
【0066】
使用可能な酸無水物系硬化剤としては、例えば、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、トリアルキルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、フタル酸無水物、マレイン酸無水物、ピロメリット酸無水物などが挙げられるが、これらに制限されず、これらは、単独で使用、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0067】
前記酸無水物系硬化剤の含有量は、特に限定されず、当該分野で公知の範囲内で適宜調節することができる。例えば、酸無水物系硬化剤は、該エポキシ樹脂1当量に対して、酸無水物0.3~1.0当量の範囲で含むことができ、具体的に0.4~0.7当量である。
【0068】
前記酸無水物系硬化剤の他に、本発明の接着樹脂組成物は、当該分野でエポキシ樹脂の硬化成分として周知の硬化剤を1種以上さらに含むことができる。例えば、メタフェニレンジアミン、ジアミノ2フェニルメタン、ジアミノ2フェニルスルホンなどの芳香族アミン系硬化剤、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの脂肪族アミン系硬化剤;フェノールアラルキル型フェノール樹脂、フェノールノボラック型フェノール樹脂、キシロキシ型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、ナフトール型フェノール樹脂、テルペン型フェノール樹脂、多官能型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、ナフタレン型フェノール樹脂、ビスフェノールAとレゾールから合成されたノボラック型フェノール樹脂などのようなフェノール系硬化剤;ジシアンジアミド(dicyandiamide)などの潜在性硬化剤などが挙げられるが、これらは、単独で使用、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0069】
本発明に係る接着層12を構成する接着用樹脂組成物は、含窒素ヘテロ環化合物を含む。含窒素ヘテロ環化合物は、硬化を促進させ得る硬化触媒の一種であって、硬化速度を調節するだけでなく、接着層の高温安定性を確保することができる。
【0070】
このような含窒素ヘテロ環化合物は、次の化2で示される化合物、及び次の化3で示される化合物からなる群から選択される1種以上であることができる。
【0071】
【0072】
【0073】
前記化2及び化3において、
n1は、1又は2であり、
n2は、それぞれ0~2の整数であり、
X1~X6は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、N、又はC(R1)であり、但し、X1~X6のうちの1つ以上が、Nであり、
Y1~Y6は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、N(R2)、又はC(R3)(R4)であり、但し、Y1~Y6のうちの1つ以上が、N(R2)であり、
このとき、複数のC(R1)は、互いに同一又は異なり、複数のN(R2)は、互いに同一又は異なり、複数のC(R3)(R4)は、互いに同一又は異なり、
R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立に、水素、重水素(D)、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、C1~C20のアルキル基、C2~C20のアルケニル基、及びC2~C20のアルキニル基からなる群から選択される。
【0074】
具体的に、前記化2中、X1~X6のうちの1~2つは、Nであり、残りは、C(R1)である。
【0075】
また、前記化3中、Y1~Y6のうちの1~2つは、N(R2)であり、残りは、C(R3)(R4)である。
【0076】
また、前記化2及び3中、R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立に、水素、重水素(D)、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、C1~C12のアルキル基、C2~C12のアルケニル基、及びC2~C12のアルキル基からなる群から選択される。
【0077】
前記化2で示される化合物としては、例えば、ピラジン系(pyrazine-based)化合物、ピリジン系(pyridine-based)化合物、イミダゾール系(imidazole-based)化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。具体的に、前記化2で示される化合物としては、例えば、次の化2aで示される化合物が挙げられるが、これに制限されない。
【0078】
【化4】
前記化3で示される化合物としては、例えば、ピペラジン系(piperazine-based)化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。具体的に、前記化3で示される化合物としては、例えば、次の化3aで示される化合物、次の化3bで示される化合物が挙げられるが、これに制限されない。
【0079】
【0080】
【0081】
例えば、含窒素ヘテロ環化合物は、ピラジン系(pyrazine-based)化合物、ピリジン系(pyridine-based)化合物、及びピペラジン系(piperazine-based)化合物からなる群から選択される1種以上を含むことができる
【0082】
本発明の接着樹脂組成物において、含窒素ヘテロ環化合物の含有量は、使用される酸無水物系硬化剤の種類及びその含有量を考慮して調節することが好ましい。例えば、前記含窒素ヘテロ環化合物は、該酸無水物系硬化剤1当量に対して、0.005当量以上0.02当量未満であることができ、具体的に0.01~0.015当量である。
【0083】
本発明に係る接着層12を形成する接着樹脂組成物は、当該分野で周知のフィラー(filler)を含む。フィラーは、チキソトロピー特性(thixotropic property)を発現して溶融粘度を調節し、かつ接着性を向上させるとともに熱膨張係数を低くすることができる。
【0084】
このようなフィラーは、有機フィラー、又は無機フィラーであることができる。具体的に、無機フィラーとしては、金粉、銀粉、銅粉、ニッケル粉末などのような金属成分;アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、シリカ、窒化ホウ素、二酸化チタン、ガラス、酸化鉄、セラミックなどのような非金属成分;が挙げられ、また、有機フィラーとしては、カーボン、ゴム系フィラー、ポリマー系フィラーなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらは、単独で使用、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0085】
フィラーの形状及び大きさは、特に限定されず、例えば、フィラーの形状は、角状、球状であることができ、平均粒径が約10~100nmの範囲であることができる。フィラーの平均粒径が上述の範囲内である場合、硬化物の機械的物性がより向上される。例えば、フィラーは、約10~100nmの平均粒径を有するシリカであることができる。
【0086】
このようなフィラーの含有量は、特に限定されず、例えば、接着樹脂組成物の総量(例えば、固形分を基準に)が100重量%になるように調節する残部であることができ、具体的にエポキシ樹脂の総量(例えば、100重量部)に対して、約10~50重量部、具体的に20~40重量部である。フィラーの含有量が上述の数値範囲内である場合、低い熱膨張係数(CTE)を有する接着層が形成されるため、基板及び半導体素子間の熱膨張係数の差が小さく、反り(warpage)やクラック(crack)の発生を極力抑制することができる。
【0087】
本発明の一具体例では、例えば、接着層12を形成する接着樹脂組成物は、該組成物の総重量(例えば、100重量部)に対して、エポキシ樹脂の含有量(即ち、多官能性エポキシ樹脂と、フェノキシ樹脂と、液状エポキシ樹脂とを合わせた全含有量)は、樹脂組成物の総量に対して、約40~60重量%の範囲であり、酸無水物系硬化剤の含有量は、樹脂組成物の総量に対して、約10~20重量%の範囲であり、含窒素ヘテロ環化合物の含有量は、樹脂組成物の総量に対して、約0.1~0.5重量%の範囲であることができる。また、該組成物の総重量を満たす残部としての溶媒を含むことができる。ここで、溶媒は、該組成物100重量部を満たす残量であれば、特に制限されず、例えば、30~60重量部であることができ、具体的に30~50重量部である。なお、全エポキシ樹脂を構成する多官能性エポキシ樹脂と、フェノキシ樹脂と、液状エポキシ樹脂との使用割合(混合比率)は、4:3~4:2~3の重量部であることができる。
【0088】
前記溶媒は、エポキシ樹脂との混和性に優れ、これらを均一に分散、又は安定的に溶解し得るものであれば、特に限定されない。このような溶媒としては、例えば、水、有機溶剤、又はこれらの混合溶媒であることができ、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールなどのようなアルコール系溶媒;メチルセロソルブ(methyl cellosolve)、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、セロソルブアセテートなどのようなエーテル系溶媒;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン、ジアセトンアルコール、エステル類として酢酸メチル、酢酸エチルなどのようなケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチルなどのようなエステル系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタンなどのようなハロゲン化炭化水素系溶媒;などが挙げられ、その他、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、N-メチル-2-ピロリドン、ニトロメタン、アセトニトリルなどが挙げられるが、これらに制限されない。これらは、単独で使用、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0089】
上述の組成を有する本発明の接着層12は、取り扱いやすく、接着力に優れ、かつ約150~160℃での最低溶融粘度が、約1000Pa.s以下と低いため、ボイド発生を極力抑制し、優れた充填性を有するとともに、接続信頼性を向上させることができる。また、接着層の開始温度(Onset Temperature)がボンディングステージの予熱温度(Ts)と同一であるように調節されるため、チッププレースメント方式に最適化され、半導体パッケージングの構成が容易になる。
【0090】
本発明の接着樹脂組成物は、該接着層の固有特性を損なわない範囲内で、必要に応じて、当該分野で周知の添加剤を、該組成物の使用目的及び使用環境に応じて選択的にさらに含むことができる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、エチルアセテートなどの溶媒、粘着増進剤、カップリング剤、帯電防止剤、密着力増進剤、濡れ性向上剤、レベリング増進剤などが挙げられるが、これらに限定されない。このような添加剤の含有量は、特に限定されず、当該技術分野で周知の範囲内で使用することができる。例えば、該樹脂組成物の総量に対して、約0.01~10重量%である。
【0091】
前記接着樹脂組成物は、当該技術分野で周知の常法に従って製造することができる。例えば、液状エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂。多官能性エポキシ樹脂、酸無水物系硬化剤。含窒素ヘテロ環化合物、フィラー、及び選択的に添加剤を、ボールミル、ビーズミル、三本ロールミル(3roll mill)、バスケットミル(basket mill)、ダイノーミル(dyno mill)、プラネタリー(planetary)などの混合装置を用いて、室温~適宜昇温した温度で、混合及び撹拌して接着樹脂組成物を製造することができる。
【0092】
本発明に係るアンダーフィルフィルムは、当該技術分野で周知の常法に従って製造することができる。例えば、上述の方法により得られた接着樹脂組成物を、必要に応じて、希釈可能な有機溶剤で希釈し、塗膜製造が容易な適正濃度でミキシングした後、これを基材に塗布し、乾燥するという方式でアンダーフィルフィルムを製造することができる。
【0093】
前記塗布及び乾燥方法は、バーコート法、グラビアコート法、コンマロールコート法、ロールリバースコート法、ロールナイフコート法、ダイコート法、リップコート法など、塗膜を形成し得る方法であれば、特に限定されない。
【0094】
上述のように構成される本発明のアンダーフィルフィルムは、最低溶融粘度が低いため、半導体チップとパッケージ基板との仮圧着の際にボイド発生を極力抑制し、充填性に優れているため、パッケージの接続信頼性を向上させるとともに、微細ピッチ(fine pitch)に適用することができる。また、チッププレースメント方式を採用することで、従来とは異なり、半導体チップの移送及びボンディング工程が単純化され、マスリフロー(mass reflow)工程を行うことができる。
【0095】
以下、
図2に示される本発明の第2の実施例に係るアンダーフィルフィルム10Bについて説明する。
【0096】
図2に示されるように、本発明のアンダーフィルフィルム10Bは、基材(以下、「第1の基材」という)11;前記基材の一面上に配置された接着層12;及び、前記接着層12の他面に配置される他の基材(以下、「第2の基材」という)13;を含んでいる。
【0097】
本発明において使用可能な第1の基材11及び接着層12については、第1の実施例における基材及び接着層と同様であるため、説明を省略する。
【0098】
本発明において、第2の基材13は、接着層13の他面に配置され、接着層を支持するとともに接着層の表面を保護するものであって、剥離可能であるため、フィルムの使用時に剥離除去される。
【0099】
このような第2の基材13は、第1の基材と同一又は異なり、第2の基材については、第1の実施例における基材と同様であるため、説明を省略する。
【0100】
<半導体パッケージの製造方法>
本発明の他の一実施例は、前記アンダーフィルフィルム10A、10Bを用いる種々の半導体パッケージの製造方法を提供する。
【0101】
特に、前記アンダーフィルフィルム10A、10Bの接着層は、約150~160℃で最低溶融粘度が約1000Pa.s以下と低く、また、接着層の開始温度がボンディングステージの予熱温度と実質的に同一であるため、所定の条件下で仮圧着(pre-bonding)を行っても、接着層が容易に流動性を有するため、半導体チップとパッケージ基板との間のギャップ(gap)を、ボイドが発生することなく充填させることができ、これによって、半導体パッケージの接続信頼性が向上される。従って、本発明によれば、前記アンダーフィルフィルムを用いて、半導体パッケージの製造工程を簡素化させるとともに生産効率性を向上させ、優れた接続信頼性を有するパッケージを製造することができる。
【0102】
特に、従来、半導体パッケージングでは、ボンディングが行われるステージとダイボンダヘッドとのそれぞれに特定の高温と高圧を付加することが必須であった。これに対し、本発明では、上述の物性に調節されたアンダーフィルフィルムを使用することで、ダイボンダヘッド(Die Bonder Head)に別途高温を付加することなく、半導体パッケージングを完全に行うことができるので、製造工程の簡素化及びコスト削減によって量産性を向上させることができる。また、以後、リフロー工程を行うことでボイド発生を極力抑制し、電気的接続が行われるため、パッケージの信頼性が向上される。
【0103】
以下、本発明の一実施形態に係る半導体パッケージの製造方法について説明する。なお、前記半導体パッケージは、当業界で周知の常法に従って制限なく製造することができ、後述の製造方法にのみ限定されるのではない。必要に応じて、各工程のステップを変形又は選択的に混用して遂行することがあり得る。
【0104】
前記半導体パッケージ製造方法の一実施例では、(i)バンプが設けられた半導体チップのバンプ上に、上述のようなアンダーフィルフィルムの接着層を設けるステップ(ステップS100)、(ii)前記接着層が設けられた半導体チップのバンプをピックアップし、ボンディングステージ上に支持されたパッケージ基板のボンディングパッド上に整列させるステップ(ステップS200)、(iii)整列された半導体チップとパッケージ基板とをプレッシャーチャンバーオーブンに投入するステップ(ステップS300)、(iv)前記半導体チップのバンプを溶融させ、半導体チップとパッケージ基板とを接続させるステップ(ステップS400)、及び(v)前記接続された半導体チップとパッケージ基板との間に配置された接着層を硬化させるステップ(ステップS500)を含む。
【0105】
以下、
図3~
図6に基づいて、本発明に係る半導体パッケージの製造方法を、各工程別に説明すると、次の通りである。
【0106】
(a)半導体チップに接着層を配置するステップ
図3に示されるように、バンプ21が設けられた半導体チップ20のバンプ21上に、前記アンダーフィルフィルム10A、10Bの接着層12を配置する(以下、「ステップS100」)。
【0107】
一般に、半導体チップ20には、内部の電子回路を外部と連結するための端子(パッド)(図示せず)が、チップの縁部に沿って形成され、また、必要に応じて、チップの中央に沿って1列又は2列で形成される。
【0108】
このような半導体チップの端子には、バンプ21がそれぞれ設けられている。前記バンプは、パッケージングの際に、基板と半導体チップとを電気的に連結する外部端子であって、半田バンプ(solder bump)やAuバンプ(Au bump)などがある。
【0109】
本発明では、
図3に示されるように、前記アンダーフィルフィルム10A、10Bから基材11、13を分離し、接着層12のみを半導体チップのバンプ12側に配置する。このとき、バンプ21が設けられた半導体チップ20を、約30~100Nの圧力で接着層12上に加圧して積層することができる。また、必要であれば、前記半導体チップ20を、接着層の開始温度より低い温度、例えば、50~150℃の温度で加圧積層することができる。なお、接着層は、半硬化状態(B-stage)で半導体チップのバンプ上に圧着されている。このとき、接着層は、アンダーフィルの役割だけでなく、フラックス(flux)の役割を果たすことができるため、本発明は、従来とは異なり、バンプをフラックスで洗浄する必要がない。
【0110】
(b)半導体チップと基板との整列ステップ
前記ステップS100において、接着層12が圧着された半導体チップ20を、パッケージ基板30上に整列させる(以下、「ステップS200」)。
【0111】
具体的に、本発明では、半導体チップの移送工程、移送された半導体チップをボンディングステージに支持されたパッケージ基板上に整列及び実装する工程としてチッププレースメント(Chip Placement)方式が適用される。
【0112】
このとき、パッケージ基板が着座されるボンディングステージは、前記アンダーフィルフィルムに設けられた接着層の開始温度(Onset Temp.)と実質的に同一である設定温度(Ts)に予め予熱されることが好ましい。例えば、ボンディングステージの予熱温度(Ts)は、145±5℃であることができる。
【0113】
前記ボンディングステージに支持されるパッケージ基板30は、当該分野で周知の基板を制限なく使用することができる。例えば、少なくとも一面に回路パターン(図示せず)が形成された基板であって、例えば、プリント回路基板(PCB)などが挙げられる。このようなパッケージ基板30には、半導体チップ20のバンプ21の位置に対応する領域にボンディングパッド31が設けられている。
【0114】
本発明では、
図4に示されるように、バンプ21が形成された半導体チップ20がボンディングパッド31上に配列されるように、パッケージ基板30上に半導体チップ20を搭載する。具体的に、約130~150℃のステージ温度、常温(RT)のダイボンダヘッド、10~200N、1~5秒の条件下で、半導体チップ20のバンプ21をパッケージ基板30のボンディングパッド31上に加圧してパッケージ基板30と半導体チップ20とを仮圧着(pre-bonding)させることができる。このとき、半導体チップ20とパッケージ基板30との間に配置された接着層12は、上述のように最低溶融粘度が低いため、流動される。
【0115】
なお、本発明では、接着層12が、フラックス機能を果たし得る成分を含有しているため、従来とは異なり、ステップS200の前に、パッケージ基板30のボンディングパッド31にフラックスを塗布する必要がない。従って、本発明では、ボンディングパッドへのフラックス塗布工程、及びフラックス洗浄工程を省略することができる。
【0116】
(c)ボイド除去工程
ステップS200において、整列された半導体チップとパッケージ基板とを、所定の条件下で、プレッシャーチャンバーオーブン(Pressure Chamber Oven、PCO)に投入する(以下、「ステップS300」)。
【0117】
前記プレッシャーチャンバーオーブンの条件は、特に制限されず、例えば、約100~200℃、具体的に約110~150℃のオーブンでボイド除去を行うことができる。
【0118】
(d)バンプ溶融ステップ
図5に示されるように、半導体チップ20のバンプ21を溶融させ、半導体チップ20とパッケージ基板30との電気的、機械的接続を行う(以下、「ステップS400」)。
【0119】
バンプをリフローするステップで、バンプが溶融され、半導体チップ20とパッケージ基板30とが電気的、機械的に接続される。
【0120】
このとき、半導体チップ20とパッケージ基板30との間に配置された接着層12が共に溶融され、接着層中のボイド面積率が少なくなる。例えば、リフロー工程後、該接着層12中のボイド面積率は、1m2当たり、1%以下であることができる。これによって、本発明によって製造された半導体パッケージの接続信頼性が向上される。
【0121】
(e)接着層の硬化ステップ
図6に示されるように、前記ステップS300で接続された半導体チップ20とパッケージ基板30との間に配置された接着層12を硬化させる(以下、「ステップS500」)。
【0122】
本発明の接着層12は、約145±5℃の開始温度を有するため、ステップS500は、前記開始温度より高い温度、例えば、約160℃以上、具体的に160~250℃で行うことができる。
【0123】
接着層の硬化時間は、硬化温度によって適宜調節することができ、例えば、約0.5~3時間である。
【0124】
次に、必要に応じて、当該分野で公知の後続工程を行うことができる。例えば、パッケージ基板を、単位基板の形態に切断してシンギュレーションすることができる。なお、印刷回路基板形態のパッケージ基板をパッケージ単位に完全に切断する工程は、当該分野に周知の工程、例えば、ソーブレード又はレーザーカッティングなどを用いて行うことができる。
【実施例0125】
以下、実施例を挙げて本発明を詳述するが、後述の実施例及び実験例は、本発明の例示に過ぎないものであり、本発明の範囲は、これらの実施例及び実験例によって制限されない。
【0126】
[実施例1]
1-1.接着樹脂組成物の製造
下記表1に記載の組成によって各成分を混合し、実施例1の接着樹脂組成物を製造した。表1に記載の各成分の含有量単位は、重量部(重量比)であり、具体的にフィラーの含有量は、エポキシ樹脂100重量部に対して設定した。また、硬化剤の含有量は、エポキシ1当量に対して設定し、触媒の含有量は、使用される硬化剤1当量に対して設定した。
【0127】
1-2.アンダーフィルフィルムの製造
PET製離型フィルム(厚さ:38μm)の一面上に、実施例1-1で製造された各接着用樹脂組成物をダイコーティングした後、乾燥し、接着層(厚さ:18μm)を形成して非導電性接着フィルムを製造した。
【0128】
【0129】
[実験例1]物性評価
実施例1で製造されたアンダーフィルフィルムの物性を後述のように測定し、測定の結果を表1に示す。
【0130】
1)開始温度(Onset Temperature)
示差走査熱量分析器(Differential Scanning Calorimetry、DSC)を用いて、アンダーフィルフィルムの接着層に対する開始温度を測定した。
【0131】
2)溶融粘度(Melt Viscosity)
レオメーター(Rheometer)を用いて、アンダーフィルフィルムの接着層について、10℃/分で、50℃から300℃まで昇温しながら粘度を測定した。
【0132】
[実験例2]パッケージング評価
実施例1で製造されたアンダーフィルフィルムを用いて、チッププレースメント方式に従って半導体パッケージングを行った後、そのパッケージング断面を評価した。
【0133】
図7は、半導体チップのバンプとパッケージ基板のボンディングパッドとの仮圧着(pre-bonding)、及びプレッシャーチャンバーオーブン(PCO)への投入後の接着層を示す平面写真である。PCOへの投入後、接着層内のボイド面積が急減していることがわかった。
【0134】
また、
図8は、リフロー工程後、アンダーフィルフィルムの接着層が硬化された状態を示す断面写真である。
【0135】
実験の結果、本発明のアンダーフィルフィルムは、硬化後、又は仮圧着された状態でも、半導体チップのバンプとパッケージ基板のボンディングパッドとのボンディングが安定的に行われることが確認された(添付の
図8を参照)。