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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100273
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】膨張式ヘルメット
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/32 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
A42B3/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021206041
(22)【出願日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】2020491.3
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】521555443
【氏名又は名称】ヴェンテテ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーパージャー コリン
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107AA01
3B107BA02
3B107BA04
3B107DA03
3B107DA04
3B107EA02
3B107EA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】折り畳まれるかまたは収縮され、ユーザがヘルメットを膨張状態に膨張させることによってヘルメットを使用する必要があるまで折り畳まれた状態で都合よく保管できる膨張式ヘルメットを提供する。
【解決手段】複数の細長い部材を備える膨張式ヘルメット10であって、各細長い部材は、膨張可能なチャンバを画定する少なくとも1つのチャンバ壁を備え、少なくとも2つの隣接する細長い部材は、互いに流体連通しており、複数の細長い部材は、膨張式ヘルメットを折り畳まれた状態から、少なくとも一対の隣接する細長い部材がそれぞれのチャンバ壁の少なくとも一部に沿って互いに当接する膨張状態に調整するように膨張可能である、膨張式ヘルメット。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の細長い部材を備える膨張式ヘルメットであって、
各細長い部材は、膨張可能なチャンバを画定する少なくとも1つのチャンバ壁を備え、
少なくとも2つの隣接する細長い部材は、互いに流体連通しており、
前記複数の細長い部材は、前記膨張式ヘルメットを、折り畳まれた状態から、少なくとも一対の隣接する細長い部材がそれぞれのチャンバ壁の少なくとも一部に沿って互いに当接する膨張状態に調整するように膨張可能である、
膨張式ヘルメット。
【請求項2】
前記複数の細長い部材は、前記膨張式ヘルメットを膨張状態から折り畳まれた状態に調整するように収縮可能である、
請求項1に記載の膨張式ヘルメット。
【請求項3】
前記細長い部材の各々は、折り畳まれた状態における前記ヘルメットの形状が、膨張状態における前記ヘルメットの形状よりも実質的に平坦であるように、折り畳まれた状態において実質的に平坦である、
請求項1または2に記載の膨張式ヘルメット。
【請求項4】
前記細長い部材は、前記ヘルメットの長手方向に実質的に延びる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の膨張式ヘルメット。
【請求項5】
前記細長い部材は、折り畳まれた状態で互いに実質的に平行である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の膨張式ヘルメット。
【請求項6】
各細長い部材は、前記チャンバ壁に画定された少なくとも1つの開口を備え、細長い部材の前記少なくとも1つの開口は、隣接する細長い部材の少なくとも1つの対応する開口に流体連通される、
請求項1から5のいずれか1項に記載の膨張式ヘルメット。
【請求項7】
細長い部材の前記少なくとも1つの開口は、隣接する細長い部材の少なくとも1つの対応する開口に連結される、
請求項6に記載の膨張式ヘルメット。
【請求項8】
前記複数の細長い部材は、2つの外部の細長い部材と、前記外部の細長い部材の間に配置された少なくとも1つの内部の細長い部材とを備え、
前記少なくとも1つの内部の細長い部材は、前記膨張可能なチャンバの第1の側に配置された少なくとも1つの第1の開口と、前記膨張可能なチャンバの反対側の第2の側に配置された少なくとも1つの第2の開口と、を備え、
内部の細長い部材の前記少なくとも1つの第1の開口は、隣接する細長い部材の前記少なくとも1つの対応する開口に流体連通され、内部の細長い部材の前記少なくとも1つの第2の開口は、別の隣接する細長い部材の少なくとも1つの対応する開口に流体連通される、
請求項1から7のいずれか1項に記載の膨張式ヘルメット。
【請求項9】
各細長い部材は、前記チャンバ壁内に画定された複数の開口を備え、前記複数の開口は、長手方向に離間されている、
請求項6~8のいずれか1項に記載の膨張式ヘルメット。
【請求項10】
細長い部材の前記少なくとも1つの開口を囲む前記チャンバ壁の部分は、隣接する細長い部材の前記少なくとも1つの対応する開口を囲む前記チャンバ壁の部分に連結され、気密シールが前記開口の周囲に設けられる、
請求項6~9のいずれか1項に記載の膨張式ヘルメット。
【請求項11】
各細長い部材の前記チャンバ壁は、内側層および外側層を備える、
請求項1~10のいずれか1項に記載の膨張式ヘルメット。
【請求項12】
前記少なくとも1つの開口を囲む前記チャンバ壁の一部は、前記内側層からなる、
請求項11に記載の膨張式ヘルメット。
【請求項13】
各細長い部材の前記チャンバ壁は、少なくとも1つの長手方向継ぎ目を備え、前記少なくとも1つの長手方向継ぎ目は、前記内側層および外側層のうちの一方の長手方向部分を、前記内側層および外側層のうちの同じものまたは前記内側層および外側層のうちの異なるもののいずれかの別の長手方向部分に接合することによって形成される、
請求項11または12に記載の膨張式ヘルメット。
【請求項14】
前記内側層は、プラスチック材料の外側薄層および織物材料の内側薄層を含み、前記外側層は、織物材料の外側薄層およびプラスチック材料の内側薄層を含み、前記チャンバ壁の前記外側層と前記内側層との間に気密シールが形成されるように、前記内側層の前記外側薄層と重なる前記外側層の前記内側薄層の少なくとも一部が前記内側層の前記外側薄層に接合される、
請求項11~13のいずれか1項に記載の膨張式ヘルメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張式ヘルメットに関する。膨張式ヘルメットは、サイクリング、モータサイクリングのための保護ヘルメットとして、またはスポーツ、および保護着用物が必要とされるかもしくは有益であり得る任意の他の活動の保護着用物としての使用のために有用であり得る。そのような他の活動は、スケートボード、ローラーブレード、スケート、およびカイトサーフィンを含み得る。
【背景技術】
【0002】
従来のサイクリングヘルメットは、固体の剛性材料から形成され、したがって、特定の永久的なサイズおよび体積を有する。これは、特に従来のサイクリングヘルメットを保管する余地がほとんどないため、不便になる可能性がある。膨張可能であり、したがって、非使用時には折り畳んでコンパクトな形態に圧縮され、使用のために再膨張させることができるサイクリングヘルメットを有することが望ましい。しかしながら、膨張可能な構造はしばしば強度および剛性を欠いている。
【0003】
公知の膨張式ヘルメットは、欧州特許第EP3232844号明細書に記載されている。これは、格子状構造を使用して剛性構造を形成する。
【0004】
本発明者らは、欧州特許第EP3232844号明細書に記載のヘルメットの対角ストラットは、硬い衝撃の場合に歪みを受けることを認識している。さらに、ストラットを長手方向部材に、強力で空気が漏れないように接合することは困難である。
【0005】
本発明者らは、サイクリングヘルメットに必要とされる従来の衝撃試験(例えば、EN1078)の構造力に耐えることができる膨張可能または折り畳み可能なヘルメットの必要性を認識している。本発明者らは、さらに、効果的かつ効率的に製造されるように設計されたヘルメットの必要性を認識している。本発明者らは、さらに、使用されていないときに容易かつ効果的に保管され得るヘルメットの必要性を認識している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、膨張可能なヘルメットを提供する。膨張式ヘルメットは、複数の細長い部材を備える。各細長い部材は、膨張可能なチャンバを画定する少なくとも1つのチャンバ壁を備える。少なくとも2つの(または一対の)隣接する細長い部材は、互いに流体連通している。複数の細長い部材は、膨張可能なヘルメットを折り畳まれた状態から膨張状態に調整するように膨張可能である。膨張状態では、少なくとも一対の隣接する細長い部材が、それぞれのチャンバ壁の少なくとも一部に沿って互いに当接している。
【0007】
本発明の好ましい実施形態のヘルメットは、折り畳まれるかまたは収縮され、ユーザがヘルメットを膨張状態に膨張させることによってヘルメットを使用する必要があるまで折り畳まれた状態で都合よく保管されることが可能であってもよい。それぞれのチャンバ壁の少なくとも一部に沿って互いに当接している細長い部材を設けることによって、ヘルメットが膨張されるとき、本発明の好ましい実施形態のヘルメットはまた、膨張状態での使用中に改善された構造的剛性および衝撃性能を提供し得る。
【0008】
好ましくは、膨張状態では、複数の細長い部材のうちの隣接する細長い部材は、それらのそれぞれのチャンバ壁の少なくとも長手方向部分に沿って、相互に当接する。言い換えると、隣接する細長い部材は、それらのそれぞれのチャンバ壁の少なくとも長手方向部分に沿って、互いに接触するか、または互いに連結されるかのいずれかである。
【0009】
好ましくは、隣接する細長い部材は、それらのそれぞれのチャンバ壁の少なくとも長手方向部分に沿って互いに直接当接する。「直接当接する」という用語は、好ましくは、2つの要素または構成が、それらが当接している場所においてそれらの間に他の中間要素もしくは構成、または間隙さえも伴わずに、互いに接触しているか、または連結されているという事実を指す。好ましくは、膨張状態では、(少なくとも一対の)隣接する細長い部材は、それらのそれぞれのチャンバ壁の長さの大部分に沿って互いに当接している。
【0010】
好ましくは、膨張式ヘルメットは、膨張状態から折り畳まれた(または収縮)状態に折り畳み可能である。好ましくは、複数の細長い部材は、膨張可能なヘルメットを膨張状態から折り畳まれた状態に調整するように収縮可能である。これは、有利なことに、膨張可能なヘルメットが、折り畳まれた状態から膨張状態に膨張された後に、保管できることを保証する。
【0011】
好ましくは、折り畳まれた状態において、細長い部材の各々は、折り畳まれた状態におけるヘルメットの形状が膨張状態におけるヘルメットの形状よりも実質的に平坦であるように、実質的に平坦である。折り畳まれた状態におけるヘルメットの形状は、膨張した状態におけるヘルメットの形状よりも横方向において実質的に平坦であってもよい。
【0012】
好ましくは、折り畳まれた状態では、隣接する細長い部材は、それらのそれぞれのチャンバ壁の少なくとも1つの位置または部分において、互いに接合または連結される。好ましくは、折り畳まれた状態では、隣接する細長い部材は、それらのそれぞれのチャンバ壁の少なくとも1つの長手方向位置または部分において、互いに接合または連結される。接合された隣接する細長い部材のそれぞれのチャンバ壁の残りの長手方向部分または長さは、互いに連結または接合されなくてもよい。接合された隣接する細長い部材のそれぞれのチャンバ壁の残りの長手方向部分は、折り畳まれた状態で互いに当接してもしなくてもよい。好ましくは、膨張状態では、隣接する細長い部材のそれぞれのチャンバ壁のそのような残りの部分は、膨張状態で互いに当接する。しかしながら、好ましくは、隣接する細長い部材のそれぞれのチャンバ壁のそのような残りの部分のいくつかは、折り畳まれた状態では互いに当接しない。
【0013】
言い換えれば、折り畳まれた状態において、隣接する細長い部材は、それらのそれぞれのチャンバ壁の第1の部分に沿って互いに連結される。チャンバ壁のそのような第1の部分(または複数の第1の部分)は、別のチャンバ壁に連結されるチャンバ壁の部分を備えるか、またはそれからなる。膨張状態では、隣接する細長い部材は、それらのそれぞれのチャンバ壁の第2の部分に沿って互いに当接してもよい。膨張または折り畳まれた状態では、隣接する細長い部材は、それらのそれぞれのチャンバ壁の第2の部分に沿って、互いに当接してもよい。チャンバ壁のそのような第2の部分は、別のチャンバ壁に連結または接合されていないチャンバ壁の部分を備えるか、またはそれからなる。チャンバ壁のそのような第2の部分は、チャンバ壁の長さの大部分を構成してもよい。言い換えれば、隣接する細長い部材のチャンバ壁の第2の部分に当接するように構成されたチャンバ壁のそのような第2の部分は、チャンバ壁の長さの少なくとも50%を構成する。チャンバ壁のそのような第2の部分は、チャンバ壁の長さの少なくとも60%を構成していてもよい。チャンバ壁のそのような第2の部分は、チャンバ壁の長さの少なくとも75%を構成していてもよい。
【0014】
したがって、隣接する細長い部材は、折り畳まれたまたは収縮状態で互いに当接してもよいが、それらは、膨張状態でそれらのそれぞれのチャンバ壁のより長い部分に沿って互いに当接するように構成される。これは、細長い膨張可能な部材が、折り畳まれた状態よりも膨張状態において幅が広いためである。その結果、流体的に接続された細長い部材は、折り畳まれた状態におけるよりも膨張した状態において、互いにより多く(すなわち、それらのそれぞれのチャンバ壁のより長い長さに沿って)当接する。そのような当接の増加は、膨張状態で隣接する細長い部材の間でより多くの接触があることを確実にし、これは、有利には、ヘルメットが衝撃を維持し、ユーザの頭部へのそのような衝撃の伝達を最小限にすることができることを確実にしながら、ヘルメットをよりコンパクトな形態で保管できることも確実にする。
【0015】
好ましくは、細長い部材は、実質的にヘルメットの長手方向に沿って延びる。ヘルメットの細長い部材は、好ましくは、全体的または部分的に、ヘルメットの後端とヘルメットの前端との間で延びる。細長い部材は、好ましくは、側方に(すなわち、左右両側の間で延びるヘルメットの横方向に沿って)または横方向に拡張するように構成される。したがって、細長い部材の各々の幅は、折り畳まれたまたは収縮状態における細長い部材の各々の幅よりも膨張状態で大きくてもよい。
【0016】
細長い部材は、少なくとも膨張式ヘルメットの折り畳まれた状態において、互いに実質的に平行であってもよい。少なくともヘルメットの折り畳まれた状態で細長い部材を互いに実質的に平行に設けることにより、ヘルメットの幅が最小限に抑えられ、その結果、ヘルメットが占有する空間が少なくなり、ユーザが容易に保管できるようになる。
【0017】
各細長い部材は、チャンバ壁内に画定される少なくとも1つの開口を備えてもよい。細長い部材の少なくとも1つの開口は、隣接する細長い部材の少なくとも1つの対応する開口に流体連通されてもよい。これは、膨張可能なように、そのような細長い部材間に流体連通を確立しながら、膨張状態で隣接する細長い部材間に直接当接があることを確実にする。細長い部材の少なくとも1つの開口は、隣接する細長い部材の少なくとも1つの対応する開口に連結されてもよい。開口は、好ましくは、本開示でさらに詳細に説明されるように、溶接によって連結される。
【0018】
複数の細長い部材は、2つの外部の(または外側の)細長い部材と、外部の細長い部材の間に配置された少なくとも1つの内部の(または内側の)細長い部材と、を備えてもよい。少なくとも1つの内部の細長い部材は、膨張可能なチャンバの第1の側に配置された少なくとも1つの第1の開口と、膨張可能なチャンバの反対側の第2の側に配置された少なくとも1つの第2の開口と、を備えてもよい。内部の細長い部材の少なくとも1つの第1の開口は、隣接する細長い部材の少なくとも1つの対応する開口に流体連通されてもよい。内部の細長い部材の少なくとも1つの第2の開口は、別の隣接する細長い部材の少なくとも1つの対応する開口に流体連通されてもよい。好ましくは、膨張式ヘルメットは、少なくとも5つの内部の細長い部材を備える。さらにより好ましくは、膨張式ヘルメットは、少なくとも8つの内部の細長い部材を備える。膨張式ヘルメットは、2つの外部の細長い部材と、少なくとも9つの内部の細長い部材とを備えてもよい。内部の細長い部材のいくつかは、他の内部の細長い部材および外部の細長い部材よりも長さが短い。
【0019】
各細長い部材は、チャンバ壁内に画定された複数の開口を備えてもよい。これらの複数の開口ののうちの開口は、互いに長手方向に離間していてもよい。長手方向に間隔を空けた複数の開口を設けることにより、隣接する細長い部材を確実に流体連通することができ、同時に、ヘルメットの効果的かつ迅速な膨張がもたらされる。
【0020】
細長い部材の少なくとも1つの開口を囲むチャンバ壁の部分は、隣接する細長い部材の少なくとも1つの対応する開口を囲むチャンバ壁の部分に連結され、気密シールが開口の周囲に設けられてもよい。
【0021】
各細長い部材のチャンバ壁は、内側層および外側層を備えてもよい。これにより、チャンバ壁の構造的完全性が高められる。
【0022】
少なくとも1つの開口を囲むチャンバ壁の一部は、内側層および外側層のうちの一方を備えてもよい。好ましくは、少なくとも1つの開口を囲むチャンバ壁の一部は、内側層または外側層からなっていてもよい。チャンバ壁のそのような一部は、開口の周囲に配置されたチャンバ壁の一部に対応してもよい。本開示において以下で更に説明するように、少なくとも1つの開口を囲む外側層の一部を除去して、内側層を露出させてもよい。
【0023】
各細長い部材のチャンバ壁は、少なくとも1つの長手方向継ぎ目を備えてもよい。少なくとも1つの長手方向継ぎ目は、内側層および外側層のうちの一方の長手方向部分を、内側層および外側層のうちの同じものまたは内側層および外側層のうちの異なるもののいずれかの別の長手方向部分に接合することによって形成されてもよい。好ましくは、少なくとも1つの長手方向継ぎ目は、外側層の長手方向部分を同じ外側層または異なる外側層のいずれかの別の長手方向部分に接合することによって形成される。好ましくは、各細長い部材のチャンバ壁は、第1の壁および第2の壁を備える。第1及び第2の壁は、上側長手方向継ぎ目及び下側長手方向継ぎ目によって互いに接合されてもよい。あるいは、各細長い部材のチャンバ壁は、単一の壁要素によって画定され、その縁は、膨張可能なチャンバを形成するために、少なくとも1つの長手方向継ぎ目を形成するようにともに接合される。
【0024】
好ましくは、各長手方向継ぎ目は、リブ部材によって補強される。補強リブ部材は、各長手方向継ぎ目に連結されてもよい。リブ部材は、各長手方向継ぎ目を包囲または封入してもよい。各細長い部材は、少なくとも1つのリブ部材を備えてもよい。各細長い部材は、下側長手方向継ぎ目および上側長手方向継ぎ目にそれぞれ対応する下側リブ部材および上側リブ部材を備えてもよい。
【0025】
内側層は、プラスチック材料の外側薄層と織物材料の内側薄層とを備えてもよい。外側層は、織物材料の外側薄層と、プラスチック材料の内側薄層とを含んでもよい。チャンバ壁の外側層と内側層との間に気密シールが形成されるように、内側層の外側薄層と重なる外側層の内側薄層の少なくとも一部を内側層の外側薄層に接合してもよい。
【0026】
本開示では、膨張可能な物品も提供される。膨張可能な物品は、複数の膨張可能な部材を備えてもよい。各膨張可能な部材は、膨張可能なチャンバを画定する少なくとも1つのチャンバ壁を備えてもよい。少なくとも2つの隣接する膨張可能な部材は、互いに流体連通していてもよい。複数の膨張可能な部材は、折り畳まれた状態から膨張状態に膨張可能な物品を調整するように膨張可能であってもよい。膨張状態では、少なくとも一対の隣接する膨張可能な部材は、それらのそれぞれのチャンバ壁の少なくとも一部に沿って互いに当接している。好ましくは、膨張可能な部材は細長い部材であってもよい。好ましくは、膨張状態では、少なくとも一対の隣接する細長い部材は、それらのそれぞれのチャンバ壁の少なくとも一部に沿って互いに当接している。膨張可能な物品は、着用可能な物品であってもよい。
【0027】
各膨張可能な部材は、チャンバ壁に画定された少なくとも1つの開口を備えてもよい。膨張可能な部材の少なくとも1つの開口は、隣接する膨張可能な部材の少なくとも1つの対応する開口に流体連通されていてもよい。膨張可能な部材の少なくとも1つの開口部を囲むチャンバ壁の部分は、隣接する膨張可能な部材の少なくとも1つの対応する開口部を囲むチャンバ壁の部分に連結され、気密シールが開口部の周囲に設けられてもよい。各膨張可能な部材のチャンバ壁は、内側層および外側層を備えてもよい。
【0028】
少なくとも1つの開口を囲むチャンバ壁の一部は、内側層および外側層のうちの1つからなってもよい。膨張可能な物品は、折り畳まれた状態から膨張した状態に膨張可能であってもよい。
【0029】
膨張可能な物品は、膨張状態から折り畳まれた状態に折り畳み可能であってもよい。好ましくは、折り畳まれた状態において、膨張可能な部材の各々は、折り畳まれた状態における物品の形状が、膨張状態における物品の形状よりも実質的に平坦であるように、実質的に平坦であってもよい。
【0030】
好ましくは、膨張可能な部材は、物品の長手方向に沿って延びる。好ましくは、膨張可能な部材のいくつかまたはすべては、互いに実質的に平行に配置される。膨張可能な部材のいくつかまたはすべては、折り畳まれた状態で、互いに実質的に平行に配置されてもよい。膨張可能な物品の膨張可能な部材は、本開示に記載される膨張式ヘルメットの特徴と同様の特徴を有する細長い部材であってもよい。
【0031】
各膨張可能な部材のチャンバ壁は、少なくとも1つの長手方向継ぎ目を備えてもよい。少なくとも1つの長手方向継ぎ目は、内側層および外側層のうちの一方の長手方向部分を、内側層および外側層のうちの同じものまたは内側層および外側層のうちの異なるもののいずれかの別の長手方向部分に接合することによって形成されてもよい。好ましくは、少なくとも1つの長手方向継ぎ目は、外側層の長手方向部分を同じ外側層または異なる外側層のいずれかの別の長手方向部分に接合することによって形成される。
【0032】
本開示の膨張式ヘルメットと同様に、内側層は、プラスチック材料の外側薄層および織物材料の内側薄層を備えてもよい。外側層は、織物材料の外側薄層と、プラスチック材料の内側薄層とを備えてもよい。チャンバ壁の外側層と内側層との間に気密シールが形成されるように、内側層の外側薄層と重なる外側層の内側薄層の少なくとも一部を内側層の外側薄層に接合してもよい。
【0033】
本発明の一態様における任意の特徴は、任意の適切な組み合わせで、本発明の他の態様に適用されてもよい。さらに、一態様における任意の特徴、いくつかの特徴、および/またはすべての特徴は、任意の適切な組合せで、任意の他の態様における任意の特徴、いくつかの特徴、および/またはすべての特徴に適用されてもよい。特に、第1の態様に関連して提供される任意の方法の特徴は、他の態様のいずれかに適用されてもよい。
【0034】
また、本発明の任意の態様において説明および定義される様々な特徴の特定の組み合わせは、独立して実装および/または供給および/または使用されてもよいことも理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
ここで、本発明の好ましい実施形態を、単なる例として、図面を参照しながら説明する。
【0036】
図1】本発明の一実施形態による膨張状態にあるヘルメットの斜視図である。
図2】膨張状態にある図1のヘルメットの正面図である。
図3】膨張状態にある図1のヘルメットの平面図である。
図4】非膨張状態、収縮状態又は折り畳まれた状態にある図1のヘルメットの斜視図である。
図5】非膨張状態にある図1のヘルメットの正面図である。
図6】非膨張状態にある図1のヘルメットの平面図である。
図7】膨張状態にあるヘルメットの実施形態の断面図である。
図8】膨張状態にあるヘルメットの実施形態の断面図である。
図9】衝突時の空気流を示す図7図8に示すヘルメットの斜視断面図である。
図10】非膨張状態にある図7図8のヘルメットの断面図である。
図11】非膨張状態にある図7図8のヘルメットの斜視断面図である。
図12】非膨張状態にある図7図10のヘルメットの壁構造の断面図である。
図13】別の壁構造に接合するのに適した構成を示す壁構造の断面図である。
図14】2つの壁構造の断面図であり、それらが接合された状態で示されている。
図15図14に示すシステムによって接合された壁構造を有する長手方向部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1図3を参照すると、本発明の一実施形態によるヘルメット10は、互いに並んで配置された一連の長手方向部材12、14を備える。ヘルメット10は、前端18および後端19ならびに2つの側縁20を有する、いくらか平坦であるが、凹状の内側形状および凸状の外側形状を有する、概して湾曲した形状を有し、各長手方向部材12、14は、湾曲し、ほぼ長手方向に、かつその隣接する部材に概して平行に整列するが、増加する傾斜を有し、長手方向部材12、14が共にヘルメット10の湾曲した外形を形成する。いくつかの長手方向部材12は、前縁部18と後縁部19との間で十分に延び、これらの2つの領域で収束する。他の長手方向部材14は、より短く、ヘルメットの中央領域において、十分に延びる長手方向部材12の間に残される位置を占めている。長手方向部材12はすべて、半球状の構成で互いに嵌合するように、その末端に向かってテーパー状になっていてもよい。
【0038】
各長手方向部材12、14は膨張可能であり、膨張可能なチャンバを画定する気密スキン(またはチャンバ壁)を有し、長手方向部材12、14のチャンバは互いに流体連通している。図1から図3では、長手方向部材12、14は、ヘルメットのような形状または輪郭を呈するように十分に膨張した状態で示されている。
【0039】
図4図6を参照すると、長手方向部材12、14のチャンバが排気される場合に、長手方向部材12は横方向に圧縮または折り畳まれてよく、その結果、長手方向部材12、14およびヘルメット10は全体として比較的平坦な状態に達し、各長手方向部材12、14の平面形状はここでは他のすべての平坦な長手方向部材12、14と平行である。この収縮した比較的平坦な状態では、ヘルメット10はほとんど空間を占めず、より便利に保管され得る。
【0040】
図7および図8を参照すると、各長手方向部材12、14は、第1の壁22および第2の壁24によって画定されるチャンバ空洞34を備える。第1の壁22および第2の壁24は、それらのそれぞれの上縁およびそれぞれの下縁に沿って、表面間接続部38で接合され、第1の壁22および第2の壁24からの材料は、継ぎ目を形成するように重ね合わされる。したがって、各長手方向部材12、14は、2つの表面間接続部38を有し、1つはヘルメット10の外側に沿って長手方向に延び、1つはヘルメット10の内側に沿って長手方向に延びている。各表面間接続部38は、長さに沿って(または長さの大部分に沿って)線形周囲リブ35、36で封入され、これは、長手方向部材にさらなる構造的強度および剛性を提供し、表面間接続部38を強化し、衝撃中の荷重をチャンバのより多くにわたって分散させ、衝撃下の摩擦を低減する。摩擦の低減は、衝撃力がヘルメットによって吸収されるのではなく、ヘルメットの表面上をすべることを意味する。内側線形周囲リブ36は、内側線形周囲リブ36に沿って延びユーザの頭部上に着座する軟質表面を提供するパッド付き部材37を特徴とする。リブは、ナイロンから形成されてもよい。
【0041】
前述のように、各長手方向部材12、14は、それに直接隣接する部材に流体連通して接合され、その結果、ヘルメット10は、長手方向部材のいずれかに空気をそれぞれ導入または排出することによって膨張または収縮させることができる。
【0042】
長手方向部材12、14は、壁22、24の開口30によって形成されたノード28によって接合される。1つの長手方向部材12、14の第1の壁22の開口30は、隣接する長手方向部材12、14の第2の壁24の開口30に接合される。この構成は、長手方向部材12、14の各隣接する対に対して繰り返される。隣接する長手方向部材の第1及び第2の壁の材料は、一致する縁部と重ね合わされ、この領域において接合されて、表面ノード間接続部40を形成する。したがって、表面ノード間接続部40は、材料の二重層を有し、概して環状であり、開口30は概して円形である。
【0043】
図9も参照すると、ノード28は、長手方向部材12、14に沿って周期的に配置されている。長手方向部材12’を例として検討すると、長手方向部材12で形成されたノード28は、長手方向部材14で形成されたノード28と比較して長手方向に離間している。これは、長手方向部材を接合するノードを通る空気流は、単純にヘルメットの一方の側から他方の側へ直線的に流れることができないが、ノードを通る空気流の経路が矢印aによって示されるように、長手方向部材に沿って次のノードまで長手方向に移動しなければならず、複雑な経路をたどる必要があることを意味する。この構成は、空気流の抵抗を増大させ、ヘルメット上の点への衝撃の場合に対するヘルメット10の強度を高める。
【0044】
しかし、長手方向部材12の各側にノード28を有する、図9に示す最中央の長手方向部材12などのいくつかの長手方向部材を有することが好都合であり得る。そのようなノード28は、両側で横方向に整列される。
【0045】
図10及び図11を参照すると、空気がヘルメット10から送り出されてそれを収縮させると、長手方向部材12、14は蛇腹状に横方向に収縮し、壁22、24は平面形状をとり、その結果、全ての壁22、24はヘルメットを横切って概ね平行に配置されるが、ヘルメット10の半球状または湾曲した外形に起因して、異なる高さに配置される。
【0046】
第1および第2の壁22、24は、理想的には二重層材料から形成され、長手方向部材12、14の各壁は、内部(または内側)層(または薄層)26および外部(または外側)層(または薄層)25から形成される。各単層自体は理想的には積層材料であり、その1つのありうる実施形態が図12図14にさらに詳細に記載される。
【0047】
隣接する長手方向部材12、14を、表面ノード間接続部40で一緒に接着または接合するために、各長手方向部材12、14の壁の外部層または薄層は、2つの隣接する内部層26が一緒に固定され得るように、その領域において除去される。
【0048】
長手方向部材12、14の第1の壁22及び第2の壁24を表面間接続部38で接着するために、第1の壁22及び第2の壁24の内部層26は両方とも除去され、第1の壁22及び第2の壁24の残りの外部層25は重ね合わされて溶接され、継ぎ目を形成する。
【0049】
壁の層を除去するのではなく、壁を、その領域に層が存在しない状態で形成してもよい。
【0050】
ノード28は、各長手方向部材の長さに沿って互いからほぼ等距離の地点に配置され、したがって、構造にわたって力を分散させる。
【0051】
長手方向部材の壁の理想的な材料は、気密性熱可塑性ポリウレタン(TPU)の薄層とナイロン66などの織プラスチック材料の薄層とから形成された積層材料である。両方の薄層に傷がなければ、この積層材料の単層は、TPUによってそれ自体気密である。図12を参照すると、二重層材料50は、2つのそのような積層材料層、すなわち、TPUの第1の薄層42および織物材料の第1の薄層43を含む薄層材料の第1のシート45を、TPUの第2の薄層44および織物材料の第2の薄層46を含みTPUの第1の薄層42およびTPUの第2の薄層44が互いに対向して配置されている薄層材料の第2のシート47に共に溶接することによって都合よく形成することができる。第1および第2のシート45、47は、同様に延在する必要はなく、この例では、第1のシート45が第2のシート47の縁を越えて延びる領域51が示されている。そのような領域は、材料の長さに沿って、例えば、継ぎ目38が第2の壁24とともに形成される第1の壁22に沿って延びてもよい。
【0052】
二重層壁材料50の2つのこのようなシートは、互いに合わせられた材料の2つのシートの露出領域51を溶接することによって接合することができる。材料の2つのシートを接合する別の方法は、いくつかの薄層を除去して露出領域51を形成することである。図13は、二重層壁材料50のシートを示し、切欠き穴52が、第2の層状材料シート47の第2のTPU薄層44および第2の織物材料薄層46を貫通して形成され、第1の層状材料シート45の隣接する面の第1のTPU薄層42を露出させる。
【0053】
図14を参照すると、二重層壁材料50、50’の2つの同様のシートを、同様の切欠き穴52、52’が互いに向かい合うように互いに合わせ、TPU53、54の露出部分を互いに押し付けて溶接し、二重層壁材料50、50’のシート間に接合部を形成することができる。その結果、2つの長手方向部材間に流体連通を確立することができる。
【0054】
図15を参照すると、長手方向部材12は、図11に示される二重層壁材料50から形成される第1の壁22および第2の壁24を有する。長手方向部材12がノードによって隣接する長手方向部材12’に接合される場合、TPUの最外側薄膜および織物材料が除去されて、TPUの露出領域55が露出した図12に示す構造を有する領域を残すための切欠き穴52を形成する。開口30は、この露出領域55においてTPUおよび織物材料を貫通して形成される。
【0055】
長手方向部材12を隣接する長手方向部材12’と接合するために、他方の長手方向部材は、同様に、切欠き穴52に面するように配置された切欠き穴を備えて準備され、開口が整列される。2つの露出領域55内のTPUは、共に押し付けられ、溶接される。このように溶接する露出したTPUの対向する表面は、確実な気密封止接合部を形成し、長手方向部材の壁を貫通する整列した開口30は、前述のように長手方向部材間の流体連通を可能にする。
【0056】
対向して配置されたTPUの薄膜を接合するための溶接プロセスは、高周波(HF)溶接であってもよい。このプロセスは、TPU材料内の分子の超音波振動により、材料の当接するTPU薄膜を接合するために高周波エネルギーを使用し、材料自体の基本構造強度に等しい接合部での強度を与える。得られるTPUの2つの薄膜間の接合部も気密である。このシステムを使用するノード溶接は、漏出防止性であり、実際の基本材料と同程度に強力であり、EN1078構造落下試験および反復試験に合格するためにBSI実験室で試験される。得られる溶接部または接合部が充分な強度および気密封止品質を有する限り、熱溶接または溶媒溶接などの他の形態の溶接または接合が適切であり得る。
【0057】
織物材料の薄膜は、織り方向を有してもよく、これは、典型的には、方向に応じて変動する構造特性をもたらすであろう。図11に戻って参照すると、織物材料の第1の薄層43および織物材料の第2の薄層46は、織物材料の第1の薄層43の織り方向が、理想的には、織物材料の第2の薄層46の織り方向から45度回転されるように配置されてもよい。織物材料は、典型的には互いに垂直である縦糸および横糸の両方を有してもよく、したがって、一方の織物薄層を他方の織物薄層に対して45度に配向することは、その薄層の縦糸および横糸の両方が他方の織物薄層の縦糸および横糸の両方に対して異なって配向されることを確実にし、任意の方向に良好な強度品質を提供する。しかしながら、2つの織物薄層の他の異なる配向角度が実装されてもよい。
【0058】
二重壁材料は、膨張されたとき、または衝撃の応力下にあるとき、各長手方向部材のチャンバに強度を提供し、すなわち、伸張に対して耐性がある。図10に戻って参照すると、内側材料26の上側周囲は、外側材料25のみの上側周囲を縁部の周囲に残すように、外側材料に対してオフセットされている。次いで、これにより、第1の壁22の外側材料25を第2の壁24の外側材料25に溶接または積層して(第2の壁は、第1の壁に類似しているが、薄層順序が逆転または反転されている)、表面間接続部38を形成し、したがって前述のチャンバを形成することができ、長手方向部材12、14の下側領域でも同じプロセスを使用して下側表面間接続部を形成する。
【0059】
得られる溶接継ぎ目は、ヘルメット構造の長さに沿って長手方向に延び、主要な構造要素を形成し、リブ部材35、36になる。リブ部材35、36は、膨張下で力を抑制するのに役立ち、最終的に、その特定のチャンバの長さに沿って衝撃下または衝撃中に負荷力を分散させる、すなわち、リブは、長手方向部材の湾曲した形状または輪郭が開くことまたはカールが解かれることを防止する。
【0060】
二重薄膜構造はまた、スリットが薄膜間に生成されることを可能にし、必要に応じて、内部ノードにチャンバの内側からアクセスし、内部から内部へ次のチャンバに溶接することができる。ノードが溶接されると、スリットは溶接される。スリットはオフセットされると、これにより外側薄層スリットが意図的に内側薄層とずれて、表面上に織物材料の少なくとも1つの薄層が常にあることを確実にする。
【0061】
溶接接続点は、二重壁材料の整列部分から織物材料およびTPU材料の薄層を除去し、ノードを形成するように対向するTPU表面を溶接することによって形成されてもよいが、貫通穴を形成せず接続部が未加工または閉塞されていてもよく、その場合は、隣接する長手方向部材はともに接着されるが、この点で流体連通しない。
【0062】
貫通穴接続部および閉塞溶接接続点を有する両方のノードは、最小限の設計変更でチャンバに沿った任意の点に配置されてもよい、すなわち、織物材料の1つの薄層およびTPU材料の1つの薄層を二重壁から除去してノードを形成することが行われてもよい。
【0063】
このように二重壁材料から材料を除去することによる溶接部の形成または接合は、元の材料の厚さに等しい平坦な溶接接続部を与える。最終的に、これは、使用されていないときに全体的な設計が平らに圧縮されることを可能にし、平らな材料の層の総数より厚くならない。溶接点は実際にはわずかに薄い。このプロセスの性質により、溶接部に及ぼされる力は、チャンバの壁を通して分散されるときに等しくなり、したがって一点で増大しない。
【0064】
貫通孔開口が形成されるノードでは、開口のサイズは、衝撃中の空気流に対する抵抗を決定し、チャンバおよび構造の強度が予め決定されることを可能にする。開口の直径は、少なくとも約1mmであってもよい。好ましくは、開口の直径は少なくとも約3mmである。開口の直径は、約7mm以下であってもよい。好ましくは、開口の直径は約6mm以下である。開口の直径は、約1mm~約7mmであってもよい。好ましくは、開口の直径は、約3mm~約6mmである。好ましくは、開口の直径は約5mmである。
【0065】
好ましくは、ヘルメットは、好ましくは繰り返し膨張および収縮することができる完全に封止されたユニットとして形成される。したがって、ヘルメットは、好ましくは、ヘルメットを膨張または収縮させるために使用することができる少なくとも1つの空気入口ポート(図示せず)を含む。空気入口ポートまたは弁は、ヘルメットの細長い部材のうちの少なくとも1つとの流体連通を提供してもよい。空気入口ポートは、空気がヘルメットに出入りすることを可能にするように構成されてもよい。あるいは、空気がヘルメットから出ることを可能にするために、別個のまたは追加の空気出口ポートがヘルメットに設けられてもよい。
【0066】
好ましくは、空気入口(または出口)ポートが、内部の細長い部材のうちの1つに設けられる。さらにより好ましくは、空気入口(または出口)ポートは、ヘルメットの中央部分上またはその近傍に配置された細長い部材のうちの1つに設けられる。これは、ヘルメットが膨張中に均等かつ効率的に膨張させられるとともに、収縮中に均等に収縮させられることを確実にし得る。
【0067】
少なくとも1つの空気入口または出口ポートは、弁を備えてもよい。好ましくは、そのような弁は、シュレーダ弁またはプレスタ弁であってもよい。これは、ヘルメットを従来の自転車の空気入れで膨張させることができることを意味するので、特に有益である。ヘルメット材料の剛性および設計は、特に膨張状態では、ヘルメットが衝撃時に安全に機能するために、ヘルメット内の比較的低い内部空気圧を可能にする。膨張状態のヘルメット内の好ましい内圧は、約18Psi~約22Psiである。これにより、ユーザは、比較的迅速かつ容易にヘルメットを繰り返し膨張または収縮させることができる。
【0068】
TPU薄層および織物材料の薄層を含む材料片を、細長い部材のうちの1つの第1の壁(少なくとも外側TPU薄層を有する)上にパッチとして取り付けて、その領域に二重壁を提供することができ、そして、このパッチは、第1の壁のTPUの第1の薄層を露出させたままにする切欠き穴を有して形成されてもよく、その結果、第1の壁のTPUは、互いに合わされ、隣接する細長い部材のTPU薄層に溶接されてもよい。
【0069】
当接壁を接着してノード(構造的接合ノードまたは流体連通ノードのいずれか)を形成することによって膨張可能な部材を互いに接合する本明細書に記載の原理は、他の膨張可能な物品(すなわち、膨張式ヘルメット以外の物品)に等しく適用することができる。同様に、膨張可能な部材の継ぎ目を接着する本明細書に記載される原理は、他の膨張可能な物品に等しく適用され得る。
【0070】
本開示に記載される技術は、より平坦な形状に圧縮できることが要求され、膨張形態における比較的高い剛性が望ましい膨張可能な物品に、特に安全目的又は緩衝目的を有する物品又は大きな衝撃力を受ける物品に特に適している。
【0071】
特に、本開示の膨張可能な物品の場合、いくつかの膨張可能なチャンバ部材は、上記のヘルメットに関連して説明したようにノードによって互いに接合されてもよく、部材は、互いに重ね合わされるかまたは重なり合う第1の壁および第2の壁を有する材料から全体的または部分的に構成され、これらの壁のうちの1つは、一致した開口を囲む領域には存在しない。次いで、これらの部材を、前述のものと同じ様式でノードによって接合することができ、好都合には、壁内の第1および第2の薄層の同じ構造を採用することができ、1つの層は溶接可能である。さらに、上記のヘルメットに関しては、部材を接合するノードは、接合された部材の異なる対に対して異なる位置に分散されてもよく、その結果、部材の一方の側に沿ったノードは、その部材の他方の側上のノードから長手方向にオフセットされ、その結果、膨張された物品を通る空気流(衝撃の場合)は、複雑な経路をたどる必要があり、剛性および耐衝撃性を高める。
【0072】
本明細書に記載される壁構造は、織られたナイロン66の薄層と、気密シールを形成するために溶接されることが可能なTPUの薄層とを含む。しかし、例えば、ナイロン66の代わりに、ポリエステルまたはアラミド複合材を使用することができる等、他の適切なプラスチック材料を使用できることが理解されよう。
【0073】
本開示または本発明のさらなる例は、以下の番号付けされた項を参照して説明することができる。
1.複数の膨張可能な部材を備える膨張可能な物品であって、
各膨張可能な部材は、膨張可能なチャンバを画定する少なくとも1つのチャンバ壁を備え、
少なくとも2つの隣接する膨張可能な部材は、互いに流体連通しており、
複数の膨張可能な部材は、膨張可能な物品を、折り畳まれた状態から、少なくとも一対の隣接する膨張可能な部材がそれぞれのチャンバ壁の少なくとも一部に沿って互いに当接する膨張状態に調整するように膨張可能である、膨張可能な物品。
2.複数の膨張可能な部材は、膨張可能な物品を膨張状態から折り畳まれた状態に調整するように収縮可能である、項1に記載の膨張可能な物品。
3.膨張可能な部材の各々は、折り畳まれた状態における物品の形状が、膨張状態における物品の形状よりも実質的に平坦であるように、折り畳まれた状態において実質的に平坦である、項1または2に記載の膨張可能な物品。
4.膨張可能な部材は、物品の長手方向に実質的に延びる、項1から3のいずれか1項に記載の膨張可能な物品。
5.膨張可能な部材は、折り畳まれた状態で互いに実質的に平行である、項1から4のいずれか1項に記載の膨張可能な物品。
6.各膨張可能な部材は、チャンバ壁に画定された少なくとも1つの開口を備え、膨張可能な部材の少なくとも1つの開口は、隣接する膨張可能な部材の少なくとも1つの対応する開口に流体連通される、項1から5のいずれか1項に記載の膨張可能な物品。
7.膨張可能な部材の少なくとも1つの開口は、隣接する膨張可能な部材の少なくとも1つの対応する開口に連結される、項6に記載の膨張可能な物品。
8.複数の膨張可能な部材は、2つの外部の膨張可能な部材と、外部の膨張可能な部材の間に配置された少なくとも1つの内部の膨張可能な部材とを備え、
少なくとも1つの内部の膨張可能な部材は、膨張可能なチャンバの第1の側に配置された少なくとも1つの第1の開口と、膨張可能なチャンバの反対側の第2の側に配置された少なくとも1つの第2の開口と、を備え、
内部の膨張可能な部材の少なくとも1つの第1の開口は、隣接する膨張可能な部材の少なくとも1つの対応する開口に流体連通され、内部の膨張可能な部材の少なくとも1つの第2の開口は、別の隣接する膨張可能な部材の少なくとも1つの対応する開口に流体連通される、項1から7のいずれか1項に記載の膨張可能な物品。
9.各膨張可能な部材は、チャンバ壁内に画定された複数の開口を備え、複数の開口は、長手方向に離間されている、項6~8のいずれか1項に記載の膨張可能な物品。
10.膨張可能な部材の少なくとも1つの開口を囲むチャンバ壁の部分は、隣接する膨張可能な部材の少なくとも1つの対応する開口を囲むチャンバ壁の部分に連結され、気密シールが開口の周囲に設けられる、項6~9のいずれか1項に記載の膨張可能な物品。
11.各膨張可能な部材のチャンバ壁は、内側層および外側層を備える、項1~10のいずれか1項に記載の膨張可能な物品。
12.少なくとも1つの開口を囲むチャンバ壁の一部は、内側層からなる、項11に記載の膨張可能な物品。
13.各膨張可能な部材のチャンバ壁は、少なくとも1つの長手方向継ぎ目を備え、少なくとも1つの長手方向継ぎ目は、内側層および外側層のうちの一方の長手方向部分を、内側層および外側層のうちの同じものまたは内側層および外側層のうちの異なるもののいずれかの別の長手方向部分に接合することによって形成される、項11または12に記載の膨張可能な物品。
14.内側層は、プラスチック材料の外側薄層および織物材料の内側薄層を含み、外側層は、織物材料の外側薄層およびプラスチック材料の内側薄層を含み、チャンバ壁の外側層と内側層との間に気密シールが形成されるように、内側層の外側薄層と重なる外側層の内側薄層の少なくとも一部が内側層の外側薄層に接合される、項11~13のいずれか1項に記載の膨張可能な物品。
15.複数の膨張可能な部材を含む膨張可能な物品であって、各膨張可能な部材は、膨張可能なチャンバを画定する少なくとも1つのチャンバ壁を備え、各膨張可能な部材は、チャンバ壁に画定された少なくとも1つの開口を備え、膨張可能な部材の少なくとも1つの開口は、隣接する膨張可能な部材の少なくとも1つの対応する開口に流体連通され、
膨張可能な部材の少なくとも1つの開口を囲むチャンバ壁の部分は、隣接する膨張可能な部材の少なくとも1つの対応する開口を囲むチャンバ壁の部分に結合され、開口の周囲に気密シールが設けられ、
各膨張可能な部材のチャンバ壁は、内側層と外側層とを備え、少なくとも1つの開口を囲むチャンバ壁の一部は、内側層および外側層のうちの一方、好ましくは内側層からなり、
膨張可能な物品は、折り畳まれた状態から膨張状態まで膨張可能であって、膨張可能な部材の各々は膨張され、隣接する膨張可能な部材は、それぞれのチャンバ壁の少なくとも長手方向部分に沿って互いに当接している、膨張可能な物品。
16.膨張可能な物品は、膨張状態から折り畳まれた状態に折り畳み可能である、項15に記載の膨張可能な物品。
17.折り畳まれた状態において、膨張可能な部材の各々は、折り畳まれた状態における物品の形状が膨張状態における物品の形状よりも実質的に平坦であるように、実質的に平坦である、項15または16に記載の膨張可能な物品。
18.膨張可能な部材は、物品の長手方向に沿って延びる、項15~17のいずれか1項に記載の膨張可能な物品。
19.膨張可能な部材は、互いに実質的に平行に配置される、項15~18のいずれか1項に記載の膨張可能な物品。
20.各膨張可能な部材のチャンバ壁は、少なくとも1つの長手方向継ぎ目を備え、少なくとも1つの長手方向継ぎ目は、内側層および外側層のうちの一方の長手方向部分を、内側層および外側層のうちの同じものまたは内側層および外側層のうちの異なるもののいずれかの別の長手方向部分に接合することによって形成され、
好ましくは、少なくとも1つの長手方向継ぎ目は、外側層の長手方向部分を同じ外側層または異なる外側層のいずれかの別の長手方向部分に接合することによって形成される、項15~19のいずれか1つに記載の膨張可能な物品。
21.内側層は、プラスチック材料の外側薄層および織物材料の内側薄層を備え、外側層は、織物材料の外側薄層およびプラスチック材料の内側薄層を備え、内側層の外側薄層と重なる外側層の内側薄層の少なくとも一部が内側層の外側薄層に接合され、チャンバ壁の外側層と内側層との間に気密シールが形成される、項15から項20のいずれか1つに記載の膨張可能な物品。
22.膨張可能な部材は細長い、先行するいずれかの項に記載の膨張可能な物品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【外国語明細書】