(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100282
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】産業用テキスタイル
(51)【国際特許分類】
D21F 1/10 20060101AFI20220628BHJP
D21F 7/08 20060101ALI20220628BHJP
D03D 11/00 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
D21F1/10
D21F7/08
D03D11/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021207799
(22)【出願日】2021-12-22
(31)【優先権主張番号】20206371
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(71)【出願人】
【識別番号】515183610
【氏名又は名称】バルメット テクノロジーズ オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ハンヌ マルティカイネン
(72)【発明者】
【氏名】マリ セッパネン
(72)【発明者】
【氏名】セッポ タイパレ
【テーマコード(参考)】
4L048
4L055
【Fターム(参考)】
4L048AA06
4L048AA13
4L048AA20
4L048AA24
4L048BA09
4L048DA24
4L048DA39
4L055CE31
4L055CE37
4L055CF28
4L055FA22
(57)【要約】
【課題】 薄く、製造するのがより安価で速く、使用中に清潔なままである産業用テキスタイルを提供すること。
【解決手段】 本発明の例となる態様によると、ウェブ側層及び摩耗側層である2つの層を含む産業用テキスタイルであって、ウェブ側層は、縦方向ヤーン(1)及びバインディング横方向ヤーン(5)を含み、摩耗側層は、縦方向ヤーン(3)及び横方向ヤーン(4)を含み、バインディング横方向ヤーン(5)は、ウェブ側層から摩耗側層まで延び、摩耗側層縦方向ヤーン(3)の一部に結合して、ウェブ側層と摩耗側層とを接着し、ウェブ側層は、非平織りである、産業用テキスタイルが提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ側層及び摩耗側層である2つの層を含む産業用テキスタイルであって、
- 前記ウェブ側層は、縦方向ヤーン及びバインディング横方向ヤーンを含み、
- 前記摩耗側層は、縦方向ヤーン及び横方向ヤーンを含み、
- 前記バインディング横方向ヤーンは、前記ウェブ側層から前記摩耗側層まで延び、摩耗側層縦方向ヤーンの一部に結合して、前記ウェブ側層と前記摩耗側層とを接着し、
前記ウェブ側層の織りは、パターン反復の間に変化するように構成され、
- 1つのウェブ側層縦方向ヤーンの上、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの下、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの上、及び2つのウェブ側層縦方向ヤーンの下の5シャフト織りで、
- 1つのウェブ側層縦方向ヤーンの下、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの上、2つのウェブ側層縦方向ヤーンの下、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの上、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの下、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの上、2つのウェブ側層縦方向ヤーンの下、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの上、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの下、及び1つのウェブ側層縦方向ヤーンの上の6シャフト織りで、又は
- 2つのウェブ側層縦方向ヤーンの下、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの上、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの下、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの上、2つのウェブ側層縦方向ヤーンの下、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの上の8シャフト織りで、
前記バインディング横方向ヤーンは、前記ウェブ側層縦方向ヤーンに結合するように構成されている、産業用テキスタイル。
【請求項2】
前記ウェブ側層縦方向ヤーン及び前記摩耗側層縦方向ヤーンは、部分的に又は完全に積み重ねられていない、請求項1に記載の産業用テキスタイル。
【請求項3】
前記バインディング横方向ヤーンは、摩耗側層縦方向ヤーンの一部に結合し、前記バインディング横方向ヤーンは、2つのウェブ側層縦方向ヤーンの下で前記ウェブ側層縦方向ヤーンに結合する、請求項1又は2に記載の産業用テキスタイル。
【請求項4】
前記バインディング横方向ヤーンは、5つの摩耗側層縦方向ヤーンごとに結合するように構成されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の産業用テキスタイル。
【請求項5】
前記バインディング横方向ヤーンは、摩耗側層縦方向ヤーンの一部に結合して、前記ウェブ側層の下でバインディングポイントを形成する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の産業用テキスタイル。
【請求項6】
前記バインディング横方向ヤーンは、連続的な独立したヤーン経路を形成するように構成されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の産業用テキスタイル。
【請求項7】
前記ウェブ側層は、前記ウェブ側層縦方向ヤーンにのみ結合するように構成された横方向ヤーンを含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の産業用テキスタイル。
【請求項8】
前記ウェブ側層横方向ヤーンのうち少なくとも1つが、2つの隣接するバインディング横方向ヤーンの間にあるよう構成されている、請求項7に記載の産業用テキスタイル。
【請求項9】
前記ウェブ側層横方向ヤーンは、1つの縦方向ヤーンの上、1つの縦方向ヤーンの下、1つの縦方向ヤーンの上、及び2つの縦方向ヤーンの下で前記ウェブ側層縦方向ヤーンに結合するように構成されている、請求項7乃至8のいずれか一項に記載の産業用テキスタイル。
【請求項10】
前記摩耗側層は、5シャフト織り又は10シャフト織りである、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の産業用テキスタイル。
【請求項11】
前記摩耗側層は5シャフト織りであり、前記摩耗側層横方向ヤーンは、1つの縦方向ヤーンの上、及び4つの縦方向ヤーンの下で前記摩耗側層縦方向ヤーンに結合するように構成されている、請求項10に記載の産業用テキスタイル。
【請求項12】
前記摩耗側層は10シャフト織りであり、前記摩耗側層横方向ヤーンは、2つの縦方向ヤーンの上、及び8つの縦方向ヤーンの下で前記摩耗側層縦方向ヤーンに結合するように構成されている、請求項10に記載の産業用テキスタイル。
【請求項13】
前記摩耗側層は10シャフト織りであり、前記摩耗側層横方向ヤーンは、1つの縦方向ヤーンの上、1つの縦方向ヤーンの下、1つの縦方向ヤーンの上、及び7つの縦方向ヤーンの下で前記摩耗側層縦方向ヤーンに結合するように構成されている、請求項10に記載の産業用テキスタイル。
【請求項14】
前記摩耗側層は10シャフト織りであり、前記摩耗側層横方向ヤーンは、1つの縦方向ヤーンの上、2つの縦方向ヤーンの下、1つの縦方向ヤーンの上、及び6つの縦方向ヤーンの下で前記摩耗側層縦方向ヤーンに結合するように構成されている、請求項10に記載の産業用テキスタイル。
【請求項15】
前記ウェブ側層縦方向ヤーンと前記摩耗側層縦方向ヤーンとの比が、1:1、1:2、又は2:1である、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の産業用テキスタイル。
【請求項16】
前記ウェブ側層横方向ヤーンと前記摩耗側層横方向ヤーンとの比が、3:2、2:1、1:1、1:2、2:3、又は8:5である、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の産業用テキスタイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブ側層及び摩耗側層である2つの層を含む産業用テキスタイルに関する。特に、本発明は、追加のステッチヤーンを有さない産業用テキスタイルに関する。
【背景技術】
【0002】
3層織物構造は、2つの異なる織物層で形成される。2つの織物層は、単一の織物構造を形成するために、追加のステッチヤーンによって縫い合わせられる。織物層は、層が互いに対して積み重ねられるように縫い合わせられる。従って、層の縦方向ヤーンは重なり合っている。これによって、織物構造に考えられる均一な排水経路の形成が可能となる。しかし、脱水の間、水の流れは非常に強いため、繊維の一部が、流れと共に織物を通過し、一部は、織物構造に付着し、織物を詰まらせることさえあり得る。
【0003】
SSB(シートサポートバインディング)構造は、2つの縦方向ヤーンシステム及び3つの横方向ヤーンシステムを有する多層の織物構造である。横方向ヤーンシステムのうち1つは、ウェブ側層及び摩耗側層を互いに結合し、ウェブ側層の形成にも関与するバインディングヤーンの対を含む。1つの連続的な横方向ヤーン経路を形成するためには、2つのバインディング横方向ヤーンが必要であるため、横方向ヤーンの密度は非常に高くなる。その結果、製品を製造するためにさらなる材料が必要となり、より高価な製造となる。加えて、生産効率は低下する。
【0004】
特許文献1は、紙側層及び摩耗側層である2つの層を含む抄紙機織物構造を開示している。紙側層は、縦方向ヤーン、及び、少なくとも、バインディング横方向ヤーンを含み、これらのヤーンは、紙側表面の一部を形成し、2つの層を互いに結合するように構成される。しかし、紙側層及び摩耗側層の縦方向ヤーンは、積み重ねられる。従って、脱水中に、繊維の一部が、流れと共に織物を通過し、一部は、織物構造に付着し、織物を詰まらせることさえあり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、薄く、製造するのがより安価で速く、使用中に清潔なままである産業用テキスタイルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、独立請求項の特徴によって定められる。一部の特定の実施形態は、従属請求項において定められている。
【0008】
本発明の第1の態様によると、ウェブ側層及び摩耗側層である2つの層を含む産業用テキスタイルであって:ウェブ側層は、縦方向ヤーン及びバインディング横方向ヤーンを含み、摩耗側層は、縦方向ヤーン及び横方向ヤーンを含み、バインディング横方向ヤーンは、ウェブ側層から摩耗側層まで延び、摩耗側層縦方向ヤーンの一部に結合して、ウェブ側層と摩耗側層とを接着し、ウェブ側層は非平織りである、産業用テキスタイルが提供される。
【0009】
本発明の一実施形態によると、ウェブ側層縦方向ヤーン及び摩耗側層縦方向ヤーンは、部分的に又は完全に積み重ねられていない。
【0010】
本発明の一実施形態によると、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの上、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの下、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの上、及び2つのウェブ側層縦方向ヤーンの下の5シャフト織りで、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの下、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの上、2つのウェブ側層縦方向ヤーンの下、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの上、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの下、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの上、2つのウェブ側層縦方向ヤーンの下、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの上、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの下、及び1つのウェブ側層縦方向ヤーンの上の6シャフト織りで、又は、2つのウェブ側層縦方向ヤーンの下、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの上、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの下、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの上、2つのウェブ側層縦方向ヤーンの下、1つのウェブ側層縦方向ヤーンの上の8シャフト織りで、バインディング横方向ヤーンは、ウェブ側層縦方向ヤーンに結合するように構成される。
【0011】
本発明の一実施形態によると、バインディング横方向ヤーンは、摩耗側層縦方向ヤーンの一部に結合し、バインディング横方向ヤーンは、2つのウェブ側層縦方向ヤーンの下でウェブ側層縦方向ヤーンに結合する。
【0012】
本発明の一実施形態によると、バインディング横方向ヤーンは、5つの摩耗側層縦方向ヤーンごとに結合するように構成される。
【0013】
本発明の一実施形態によると、バインディング横方向ヤーンは、摩耗側層縦方向ヤーンの一部に結合して、ウェブ側層の下でバインディングポイントを形成する。
【0014】
本発明の一実施形態によると、バインディング横方向ヤーンは、連続的な独立したヤーン経路を形成するように構成される。
【0015】
本発明の一実施形態によると、ウェブ側層は、ウェブ側層縦方向ヤーンにのみ結合するように構成された横方向ヤーンを含む。
【0016】
本発明の一実施形態によると、ウェブ側層横方向ヤーンのうち少なくとも1つが、2つの隣接するバインディング横方向ヤーンの間にあるよう構成される。
【0017】
本発明の一実施形態によると、ウェブ側層横方向ヤーンは、1つの縦方向ヤーンの上、1つの縦方向ヤーンの下、1つの縦方向ヤーンの上、及び2つの縦方向ヤーンの下でウェブ側層縦方向ヤーンに結合するように構成される。
【0018】
本発明の一実施形態によると、摩耗側層は、5シャフト織り又は10シャフト織りである。
【0019】
本発明の一実施形態によると、摩耗側層は5シャフト織りであり、摩耗側層横方向ヤーンは、1つの縦方向ヤーンの上、及び4つの縦方向ヤーンの下で摩耗側層縦方向ヤーンに結合するように構成される。
【0020】
本発明の一実施形態によると、摩耗側層は10シャフト織りであり、摩耗側層横方向ヤーンは、2つの縦方向ヤーンの上、及び8つの縦方向ヤーンの下で摩耗側層縦方向ヤーンに結合するように構成される。
【0021】
本発明の一実施形態によると、摩耗側層は10シャフト織りであり、摩耗側層横方向ヤーンは、1つの縦方向ヤーンの上、1つの縦方向ヤーンの下、1つの縦方向ヤーンの上、及び7つの縦方向ヤーンの下で摩耗側層縦方向ヤーンに結合するように構成される。
【0022】
本発明の一実施形態によると、摩耗側層は10シャフト織りであり、摩耗側層横方向ヤーンは、1つの縦方向ヤーンの上、2つの縦方向ヤーンの下、1つの縦方向ヤーンの上、及び6つの縦方向ヤーンの下で摩耗側層縦方向ヤーンに結合するように構成される。
【0023】
本発明の一実施形態によると、ウェブ側層縦方向ヤーンと摩耗側層縦方向ヤーンとの比が、1:1、1:2、又は2:1である。
【0024】
本発明の一実施形態によると、ウェブ側層横方向ヤーンと摩耗側層横方向ヤーンとの比が、3:2、2:1、1:1、1:2、2:3、又は8:5である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の少なくとも一部の実施形態に従った、縦方向ヤーンの方向において見た場合のテキスタイル構造を例示した図である。
【
図2】本発明の少なくとも一部の実施形態に従った、ウェブ側から見た場合の
図1のテキスタイル構造を例示した図である。
【
図3】本発明の少なくとも一部の実施形態に従った、横方向ヤーンの方向において見た場合の
図1のテキスタイル構造を例示した図である。
【
図4】本発明の少なくとも一部の実施形態に従った、摩耗側から見た場合の5シャフト織りである
図1のテキスタイル構造の摩耗側層を例示した図である。
【
図5】本発明の少なくとも一部の実施形態に従った、縦方向ヤーンの方向において見た場合の摩耗側が10シャフト織りであるテキスタイル構造を例示した図である。
【
図6】本発明の少なくとも一部の実施形態に従った、摩耗側から見た場合の
図5のテキスタイル構造の摩耗側層を例示した図である。
【
図7】本発明の少なくとも一部の実施形態に従った、縦方向ヤーンの方向において見た場合の摩耗側が10シャフト織りであるテキスタイル構造を例示した図である。
【
図8】本発明の少なくとも一部の実施形態に従った、摩耗側から見た場合の
図7のテキスタイル構造の摩耗側層を例示した図である。
【
図9】本発明の少なくとも一部の実施形態に従った、縦方向ヤーンの方向において見た場合の摩耗側が10シャフト織りであるテキスタイル構造を例示した図である。
【
図10】本発明の少なくとも一部の実施形態に従った、摩耗側から見た場合の
図9のテキスタイル構造の摩耗側層を例示した図である。
【
図11】本発明の少なくとも一部の実施形態に従った、縦方向ヤーンの方向において見た場合の摩耗側が10シャフト織りであるテキスタイル構造を例示した図である。
【
図12】本発明の少なくとも一部の実施形態に従った、摩耗側から見た場合の
図11のテキスタイル構造の摩耗側層を例示した図である。
【
図13】本発明の少なくとも一部の実施形態に従った、縦方向ヤーンの方向において見た場合の摩耗側が6シャフト織りであるテキスタイル構造を例示した図である。
【
図14】本発明の少なくとも一部の実施形態に従った、縦方向ヤーンの方向において見た場合の摩耗側が8シャフト織りであるテキスタイル構造を例示した図である。
【
図15】本発明の少なくとも一部の実施形態に従った、縦方向ヤーンの方向において見た場合の摩耗側が12シャフト織りであるテキスタイル構造を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書において「ウェブ側層」という用語は、紙、ボード、又はティッシュマシンにおいてテキスタイルが組み立てられたときに生成される紙、ボード、又はティッシュと接触するテキスタイルの一側面を指す。
【0027】
本明細書において「摩耗側層」という用語は、紙、ボード、又はティッシュマシンにテキスタイルが組み立てられるときに紙、ボード、又はティッシュマシン機器と接触するテキスタイルの一側面を指す。
【0028】
本明細書において「縦方向」という用語は、紙、ボード、又はティッシュマシンにテキスタイルが組み立てられるときの紙、ボード、又はティッシュマシンにおけるテキスタイルの移動方向を指す。
【0029】
本明細書において「横方向」という用語は、紙、ボード、又はティッシュマシンにテキスタイルが組み立てられるときの紙、ボード、又はティッシュマシンにおけるテキスタイルの移動方向に垂直な方向を指す。
【0030】
本明細書において「非平織り」という用語は、横方向ヤーンが1つの縦方向ヤーンの上及び1つの縦方向ヤーンの下を通過する平織りではない織りを指す。その代わりに、織りは、パターン反復の間に変化するように構成される。
【0031】
本明細書において「完全に積み重ねられていない」という用語は、ウェブ側層縦方向ヤーン及び摩耗側層縦方向ヤーンが重ならないが、積み重ねを避けるためにそれらが横方向にずらされたテキスタイル構造を指す。
【0032】
本明細書において「部分的に積み重ねられていない」という用語は、ウェブ側層縦方向ヤーン及び摩耗側層縦方向ヤーンのうち少なくとも一部が重ならないが、積み重ねを避けるためにそれらが横方向にずらされたテキスタイル構造を指す。
【0033】
一部の実施形態によると、産業用テキスタイルは、ウェブ側層及び摩耗側層である2つの層を含む。ウェブ側層は、縦方向ヤーン1と、バインディング横方向ヤーン5とを含む。摩耗側層は、縦方向ヤーン3と、横方向ヤーン4とを含む。バインディング横方向ヤーン5は、ウェブ側層から摩耗側層まで延び、摩耗側層縦方向ヤーンの一部に結合して、ウェブ側層と摩耗側層とを接着する。ウェブ側層は非平織りである。従って、織りは、ウェブ側層のパターン反復の間に変化するように構成される。例えば、まず、バインディング横方向ヤーン5を、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下及び1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上で結合するように構成することができる。次に、織りを変えることができる。バインディング横方向ヤーン5を、2つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下で結合するように構成することができる。このパターンは、行において繰り返される。同じパターンを、次の行において代替のヤーンで繰り返すことができる。バインディング横方向ヤーン5は、ウェブ側層の一部を形成しながら、2つの層を互いに結合する。これにより、織り時間が短縮され、製造コストが低減され、追加のステッチヤーンは不必要となる。
【0034】
一部の実施形態によると、ウェブ側層縦方向ヤーン1及び摩耗側層縦方向ヤーン3は、部分的に又は完全に積み重ねられていない。これによって、SSB織物等、一般的に使用されている抄紙機用織物よりも5から15%薄いテキスタイルが可能となる。より薄い構造のため、紙ウェブの形成及び水分除去が改善される。より効果的な水分除去によって、抄紙機の負荷が軽減される。抄紙機の負荷を軽減することは、機械速度の増加を可能にする。これは、次に、生産性を向上させる。
【0035】
薄い構造は、紙ウェブの乾物含有量を改善することを目的とした場合にも有利である。厚いテキスタイル構造において乾物含有量が低い理由は、大きな水分空間が再湿潤現象を増加させるためである。再湿潤では、紙ウェブからワイヤに排出された水が、脱水要素の後に、ワイヤ部分において紙ウェブに吸収されて戻される。紙ウェブがプレス部分に入るに従いより乾燥すると、切断回数が少なくなり、プレス部分の蒸気消費量が減少する。これによって、エネルギーがセーブされる。湿式ワイヤ部分において乾物含有量を1%増加させることで、すでに抄紙機の速度を新しいレベルに上げることを可能にし得る。
【0036】
さらに、部分的又は完全に積み重ねられていない構造のために、ウェブ側層から摩耗側層までテキスタイルを通り横切ってまっすぐに延びる開口部は、もしあったとしても、ほとんどない。従って、脱水の間、テキスタイル構造を通る繊維の流れ、その結果、テキスタイル構造に付着する繊維によってテキスタイル構造を詰まらせることが最小限に抑えられる。さらに、テキスタイルの空隙容量が小さくなり、これは、テキスタイルが清潔なままであるのを可能にする。空隙容量が小さいため、テキスタイルはより少ない繊維及び水を保有する。
【0037】
一部の実施形態によると、バインディング横方向ヤーン5は、5シャフト織り、6シャフト織り、又は8シャフト織りで、ウェブ側層縦方向ヤーン1に結合するように構成される。5シャフト織りでは、バインディング横方向ヤーン5は、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、及び2つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下でウェブ側層縦方向ヤーン1に結合するように構成される。6シャフト織りでは、バインディング横方向ヤーン5は、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、2つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、2つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、及び1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上でウェブ側層縦方向ヤーン1に結合するように構成される。8シャフト織りでは、バインディング横方向ヤーン5は、2つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、2つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上でウェブ側層縦方向ヤーン1に結合するように構成される。従って、バインディング横方向ヤーンの浮きは短く、これは、内部摩耗を減らし、安定性を向上させる。
【0038】
加えて、バインディング横方向ヤーン5を、(図において例示されていない)3シャフト織り又は7シャフト織りでウェブ側層縦方向ヤーン1に結合するように構成することができる。3シャフト織りでは、バインディング横方向ヤーン5は、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、及び2つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下でウェブ側層縦方向ヤーン1に結合するように構成される。7シャフト織りでは、バインディング横方向ヤーン5は、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、及び2つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下でウェブ側層縦方向ヤーン1に結合するように構成される。
【0039】
加えて、バインディング横方向ヤーン5を、(図において例示されていない)9シャフト織り、10シャフト織り、又は12シャフト織りでウェブ側層縦方向ヤーン1に結合するように構成することができる。9シャフト織りでは、バインディング横方向ヤーン5は、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、及び2つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下でウェブ側層縦方向ヤーン1に結合するように構成される。10シャフト織りでは、バインディング横方向ヤーン5は、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、及び2つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下でウェブ側層縦方向ヤーン1に結合するように構成される。12シャフト織りでは、バインディング横方向ヤーン5は、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、及び2つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下でウェブ側層縦方向ヤーン1に結合するように構成される。
【0040】
図1は、縦方向のヤーンの方向において見た場合のテキスタイル構造を例示し、
図2は、ウェブ側から見た場合の上記のテキスタイル構造を例示している。ウェブ側層は5シャフト織りである。従って、バインディング横方向ヤーン5は、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、及び2つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下でウェブ側層縦方向ヤーン1に結合するように構成されている。バインディング横方向ヤーンの浮きは短く、これは、内部摩耗を減らし、安定性を向上させる。
【0041】
図1は、バインディング横方向ヤーン5が摩耗側層縦方向ヤーン3の一部に結合し、バインディング横方向ヤーン5が2つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下でウェブ側層縦方向ヤーン1に結合することを例示している。これによって、部分的又は完全に積み重ねられていない構造の形成が可能になる。
【0042】
図1は、バインディング横方向ヤーンが、5つの摩耗側層縦方向ヤーン3ごとに結合するように構成されていることを例示している。このように、5つの摩耗側層縦方向ヤーン3ごとに、ウェブ側層及び摩耗側層を接着することに関与する。
【0043】
図3は、縦方向ヤーンの方向において見た場合の
図1及び2のテキスタイル構造を例示している。バインディング横方向ヤーン5は、摩耗側層縦方向ヤーン3の一部に結合して、ウェブ側層の下でバインディングポイントを形成する。摩耗側層縦方向ヤーン3は、他の摩耗側層縦方向ヤーン3のラインからウェブ側層に向かって移動することができる。しかし、バインディングポイントは、ウェブ側層の下に留まる。このように、形成されたバインディングポイントがウェブ側層の表面に到達しないように、バインディング横方向ヤーン5による摩耗側層縦方向ヤーン3の結合が達成される。従って、バインディングポイントはテキスタイルを詰まらせない。これにより、テキスタイルの水透過性は、部分的又は完全に積み重ねられていない構造にもかかわらず、実質的に低下しない。さらに、横方向ヤーンは、最終構造においてより直線的である。これによって、抄紙機におけるテキスタイルの伸びが最小限に抑えられる。
【0044】
一部の実施形態によると、バインディング横方向ヤーン5は、連続的な独立したヤーン経路を形成するように構成される。従って、1つのバインディング横方向ヤーンが、1つの連続的なバインディング横方向ヤーン経路を形成するために必要とされる。これは、より低い横方向ヤーンの密度を提供する。従って、テキスタイルを製造するためにより少ない材料が必要とされ、製造するのにかかるコストがより低くなる。加えて、このテキスタイルは、連続的なヤーン経路を共に形成する2つのバインディング横方向ヤーンを有するテキスタイルよりも、織るのが15から25%速い。
【0045】
一部の実施形態によると、ウェブ側層は、ウェブ側層縦方向ヤーン1にのみ結合するように構成された横方向ヤーン2をさらに含む。従って、このヤーンは、ウェブ側層の形成にのみ関与する。
【0046】
一部の実施形態によると、ウェブ側層横方向ヤーン2のうち少なくとも1つを、2つの隣接するバインディング横方向ヤーン5の間にあるように構成することができる。従って、2つの隣接するバインディング横方向ヤーン5の間には、1つのウェブ側層横方向ヤーン2のみが存在することができ、ウェブ側層横方向ヤーン2は、連続的な独立したヤーン経路を形成する。次に、ウェブ側層横方向ヤーン2及びバインディング横方向ヤーン5は、ウェブ側層において、交互に入れ替わる。これは、より低い横方向ヤーンの密度を提供する。従って、テキスタイルを製造するためにより少ない材料が必要とされ、製造するのにかかるコストがより低くなる。加えて、このテキスタイルは、連続的なヤーン経路を共に形成する2つの横方向ヤーンを有するテキスタイルよりも、織るのが15から25%速い。
【0047】
或いは、例えば、2つの隣接するバインディング横方向ヤーン5の間に、2つのウェブ側層横方向ヤーン2が存在し得る。
【0048】
ウェブ側層横方向ヤーン2を、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下、1つのウェブ側層縦方向ヤーン1の上、及び2つのウェブ側層縦方向ヤーン1の下でウェブ側層縦方向ヤーン1に結合するように構成することができる。従って、横方向ヤーン2の浮きは短く、これは内部摩耗を低減し、安定性を向上させる。
【0049】
図4、6、8、10、及び12は、摩耗側から見た場合の構造を例示している。
図1、5、7、9、11、13、14、及び15は、縦方向ヤーンの方向において見た場合の構造を例示している。摩耗側層は、5シャフト織り又は10シャフト織りであり得る。加えて、6シャフト織り、8シャフト織り、12シャフト織り、又は16シャフト織りを使用することができる。
【0050】
図1及び4は、摩耗側層が5シャフト織りであることを例示している。摩耗側層横方向ヤーン4は、1つの縦方向ヤーン3の上及び4つの縦方向ヤーン3の下で摩耗側層縦方向ヤーン3に結合するように構成されている。従って、横方向ヤーンの浮きは比較的短く、これは、内部摩耗を減らし、安定性を向上させる。
【0051】
図5から8は、摩耗側層が10シャフト織りであることを例示している。摩耗側層横方向ヤーン4は、2つの縦方向ヤーン3の上及び8つの縦方向ヤーン3の下で摩耗側層縦方向ヤーン3に結合するように構成されている。従って、横方向ヤーンの浮きは比較的長く、これは、耐摩耗性を向上させる。
【0052】
図9及び10は、摩耗側層が10シャフト織りであることを例示している。摩耗側層横方向ヤーン4は、1つの縦方向ヤーン3の上、1つの縦方向ヤーン3の下、1つの縦方向ヤーン3の上、及び7つの縦方向ヤーン3の下で摩耗側層縦方向ヤーン3に結合するように構成されている。従って、横方向ヤーンの浮きは比較的長く、これは、耐摩耗性を向上させる。
【0053】
図11及び12は、摩耗側層が10シャフト織りであることを例示している。摩耗側層横方向ヤーン4は、1つの縦方向ヤーン3の上、2つの縦方向ヤーン3の下、1つの縦方向ヤーン3の上、及び6つの縦方向ヤーン3の下で摩耗側層縦方向ヤーン3に結合するように構成されている。従って、横方向ヤーンの浮きは比較的長く、これは、耐摩耗性を向上させる。
【0054】
図13は、摩耗側層が6シャフト織りであることを例示している。摩耗側層横方向ヤーン4は、1つの縦方向ヤーン3の上、及び5つの縦方向ヤーン3の下で摩耗側層縦方向ヤーン3に結合するように構成されている。従って、横方向ヤーンの浮きは比較的長く、これは、耐摩耗性を向上させる。
【0055】
図14は、摩耗側層が8シャフト織りであることを例示している。摩耗側層横方向ヤーン4は、2つの縦方向ヤーン3の上、及び6つの縦方向ヤーン3の下で摩耗側層縦方向ヤーン3に結合するように構成されている。従って、横方向ヤーンの浮きは比較的長く、これは、耐摩耗性を向上させる。
【0056】
図15は、摩耗側層が12シャフト織りであることを例示している。摩耗側層横方向ヤーン4は、1つの縦方向ヤーン3の上、1つの縦方向ヤーン3の下、1つの縦方向ヤーン3の上、及び9つの縦方向ヤーン3の下で摩耗側層縦方向ヤーン3に結合するように構成されている。従って、横方向ヤーンの浮きは比較的長く、これは、耐摩耗性を向上させる。
【0057】
一部の実施形態によると、ウェブ側層縦方向ヤーン1と摩耗側層縦方向ヤーン3との比は、好ましくは1:1である。加えて、この比は、例えば、1:2又は2:1であり得る。1:1の比では、ウェブ側層縦方向ヤーン及び摩耗側層縦方向ヤーンは積み重ねられている。
【0058】
しかし、一部の実施形態では、ウェブ側層縦方向ヤーン1と摩耗側層縦方向ヤーン3との比は、1を超える(>1)又は1を下回る(<1)こともあり得る。
【0059】
一部の実施形態によると、ウェブ側層横方向ヤーン2と摩耗側層横方向ヤーン4との比は、好ましくは3:2又は2:1である。しかし、1:1、1:2、2:3、又は8:5の比を使用することもできる。
【0060】
ウェブ側層ヤーン1、2、5の直径は、摩耗側層ヤーン3、4の直径よりも小さくすることができる。従って、ウェブ側層縦方向ヤーン1の直径は、摩耗側層縦方向ヤーンの直径よりも小さくすることができる。同様に、バインディング横方向ヤーン5及びウェブ側層横方向ヤーン2の直径は、摩耗側層横方向ヤーン4よりも小さくすることができる。より薄いヤーンで形成されたウェブ側層は、紙ウェブのマーキングを減らす。一方で、より厚いヤーンで形成された摩耗側層は、テキスタイルの耐用年数を増加させる。
【0061】
或いは、ウェブ側層ヤーン1、2、5の直径は、摩耗側層ヤーン3、4の直径と同じであってもよい。従って、ウェブ側層縦方向ヤーン1の直径は、摩耗側層縦方向ヤーンの直径と同じであってもよい。同様に、バインディング横方向ヤーン5及びウェブ側層横方向ヤーン2の直径は、摩耗側層横方向ヤーン4と同じであってもよい。
【0062】
ウェブ側層縦方向ヤーン1の直径は≧0.08mmであってもよく、及び/又はウェブ側層横方向ヤーン2及びバインディング横方向ヤーン5の直径は≧0.08mm、好ましくは0.13mmであってもよい。
【0063】
摩耗側層縦方向ヤーン3の直径は≧0.08mmであってもよく、及び/又は摩耗側層横方向ヤーン4の直径は0.15から0.50mm、好ましくは0.40mmであってもよい。
【0064】
テキスタイルのヤーン1、2、3、4、5はモノフィラメントであってもよいが、マルチフィラメントを使用することもできる。ヤーン1、2、3、4、5の断面は、円形、正方形、長方形、楕円形、又は任意の他の適した形状とすることができる。ヤーン1、2、3、4、5は、人造繊維、天然繊維、又は再生繊維のものであってもよい。さらに、リサイクル繊維を使用することができる。
【0065】
テキスタイルのヤーン1、2、3、4、5は、ポリエステル又はポリアミドのヤーンであってもよい。加えて、ポリエチレンナフタレート(PEN)又はポリフェニレンサルファイド(PPS)のヤーンを使用することができる。
【0066】
このテキスタイルは、280から1000g/m2の重さ、及び0.4mmから2mmの厚さを有し得る。
【0067】
産業用テキスタイルは、抄紙機の湿潤部分におけるワイヤとして使用することができるが、その構造は、例えばティッシュ、板紙、及び不織布マシンと共に使用することもできる。本発明の構造は、抄紙機のプレス部分又は乾燥部分において使用するように構成することもできる。
【0068】
開示される本発明の実施形態は、本明細書において開示される特定の構造、プロセスのステップ、又は材料に限定されるものではなく、当業者によって認識されるであろうそれらの等価物まで拡張されることが理解されたい。本明細書において利用される用語は、単に特定の実施形態を記載する目的で使用され、限定的であることを意図するものではないことも理解されるべきである。
【0069】
本明細書を通して「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書を通して様々な箇所における「一実施形態において」又は「実施形態において」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を言及しているというわけではない。
【0070】
本明細書において使用される場合、複数のアイテム、構造要素、組成要素、及び/又は材料は、便宜上、共通のリストにおいて提供されてもよい。しかし、これらのリストは、リストの各メンバーが別個のユニークなメンバーとして個々に特定されているかのように解釈されるべきである。従って、そのようなリストの個々のメンバーは、反対のことが示されることなく、共通のグループに提供されているということのみに基づき、同じリストの任意の他のメンバーと事実上等価物であると解釈されるべきではない。加えて、本発明の様々な実施形態及び例が、その様々な構成要素に対する代替物と共に本明細書において言及されてもよい。そのような実施形態、例、及び代替物は、互いに事実上等価であると解釈されることはないが、本発明の別個の自律的な表現とみなされることになるということが理解される。
【0071】
さらに、記載される特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の適した様式で組み合わされてもよい。以下の記載では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、長さ、幅、形状の例等、多数の特定の詳細が提供される。しかし、当業者は、特定の詳細のうち1つ以上を用いることなく、又は、他の方法、構成要素、材料等を用いて本発明を実施することができるということを認識することになる。他の例では、周知の構造、材料、又は操作は、本発明の態様を不明瞭にすることを避けるために、詳細には示されないか又は記載されない。
【0072】
上記の例は、1つ以上の特定の用途における本発明の原理を例示するものであるけれども、発明力を行使することなく、及び本発明の原理及び概念から逸脱することなく、実施の形態、用法、及び詳細における多くの修正を行うことができるということが当業者には明らかになる。従って、添付の特許請求の範囲による場合を除き、本発明を限定することは意図されない。
【0073】
「備える」及び「含む」という動詞は、記載されていない特徴の存在も排除せず、また、必要ともしないオープンな限定として、本明細書において使用されている。従属請求項において記載されている特徴は、他に明示的に述べられていない限り、相互に自由に組み合わせることができる。さらに、「a」又は「an」、すなわち、単数形の使用は、本明細書を通して、複数形を排除しないことを理解されたい。
【0074】
参照番号リスト
1 ウェブ側層縦方向ヤーン
2 ウェブ側層横方向ヤーン
3 摩耗側層縦方向ヤーン
4 摩耗側層横方向ヤーン
5 バインディング横方向ヤーン
【外国語明細書】