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特開2022-100315OFDR呼掛け監視及び最適化のための方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100315
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】OFDR呼掛け監視及び最適化のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/353 20060101AFI20220628BHJP
   G01B 11/16 20060101ALN20220628BHJP
【FI】
G01D5/353 B
G01B11/16 G
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022046227
(22)【出願日】2022-03-23
(62)【分割の表示】P 2018567247の分割
【原出願日】2017-06-20
(31)【優先権主張番号】62/355,957
(32)【優先日】2016-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】マルスデン,ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】フロガット,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフ,マシュー,エス.
(57)【要約】
【課題】従来技術の問題を解決する。
【解決手段】例示的な実施形態は、マルチチャネル連続掃引OFDR測定システムに光増幅器を追加し、上昇レーザ掃引と下降レーザ掃引との間で増幅される掃引されるレーザ出力パワーを調整し、且つ/或いは、OFDR測定が、典型的には、OFDR測定システムの完全性を高め、OFDR測定の性能及び品質を向上させ、且つ追加的な測定及び試験を実行するように実行されない、レーザ掃引の部分を利用する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光コアを含む光ファイバセンサを測定するための光周波数領域反射測定法(OFDR)呼掛けシステムであって、
波長掃引を実行するように構成されるチューナブルレーザであって、前記波長掃引は、上昇掃引と、下降掃引と、前記上昇掃引と前記下降掃引との間を移行するターンアラウンド部分とを含み、前記上昇掃引において、前記チューナブルレーザによって出力されるレーザ光の波長は、第1の範囲の波長において最小波長から最大波長に増加し、前記下降掃引において、前記レーザ光の前記波長は、前記最大波長から前記最小波長に減少し、前記ターンアラウンド部分において、前記レーザ光の前記波長は、前記第1の範囲の波長の外側の第2の範囲の波長における波長を含む、チューナブルレーザと、
前記レーザ光を前記光ファイバセンサに提供して、前記光ファイバセンサの前記複数の光コアの各光コアからの反射光を測定するように構成される、光干渉ネットワークおよび関連する検出回路構成であって、前記測定される反射光は、センサ測定データに対応する、光干渉ネットワークおよび関連する検出回路構成と、
前記上昇掃引及び前記下降掃引の間に獲得される前記センサ測定データを処理して、前記ターンアラウンド部分の間に当該OFDR呼掛けシステムに追加的な操作を実行させるように構成される、データ処理回路構成と、を含む、
OFDR呼掛けシステム。
【請求項2】
前記追加的な操作は、前記第2の範囲の波長における1つ以上の波長で追加的な測定を行うことを含む、請求項1に記載のOFDR呼掛けシステム。
【請求項3】
前記追加的な測定は、前記光ファイバセンサについての散乱ベースのOFDR測定を含む、請求項2に記載のOFDR呼掛けシステム。
【請求項4】
前記第2の範囲の波長の少なくとも一部分における前記チューナブルレーザの掃引速度は、前記第1の範囲の波長における前記チューナブルレーザの掃引速度よりも遅い、請求項1~3のうちのいずれか1項に記載のOFDR呼掛けシステム。
【請求項5】
前記光ファイバセンサは、前記第1の範囲の波長内で反射をもたらすファイバブラッググレーティングを含み、前記センサ測定データは、前記反射の測定データを含む、請求項1~4のうちのいずれか1項に記載のOFDR呼掛けシステム。
【請求項6】
前記追加的な操作は、前記上昇掃引における前記レーザ光のパワーレベルを前記下降掃引における前記レーザ光のポワーレベルと平衡させることを含む、請求項1~5のうちのいずれか1項に記載のOFDR呼掛けシステム。
【請求項7】
前記レーザ光を増幅するように構成される光増幅器を更に含み、前記データ処理回路構成は、前記光増幅器の利得を制御して、前記上昇掃引における前記レーザ光の前記パワーレベルを前記下降掃引における前記レーザ光の前記パワーレベルと平衡させるように更に構成される、請求項6に記載のOFDR呼掛けシステム。
【請求項8】
前記光増幅器に光を提供するように構成されるポンプレーザを更に含み、前記データ処理回路構成は、前記ポンプレーザのレーザパワーを制御することによって前記光増幅器の前記利得を制御する、請求項7に記載のOFDR呼掛けシステム。
【請求項9】
前記追加的な操作は、システム内確認又は調整を実行することを含む、請求項1~8のうちのいずれか1項に記載のOFDR呼掛けシステム。
【請求項10】
前記チューナブルレーザによって出力される前記レーザ光を変調するように構成される変調器を更に含み、
前記システム内確認又は調整は、前記OFDR呼掛けシステム内の少なくとも1つの遅延における変化を検出するために既知の信号に従って前記レーザ光を変調することを含み、前記少なくとも1つの遅延は、光学遅延又は電気的遅延を含む、
請求項9に記載のOFDR呼掛けシステム。
【請求項11】
前記既知の信号は、既知の周波数のリップル信号であり、前記少なくとも1つの遅延における変化を検出することは、前記複数の光コアと関連付けられる複数のOFDRチャネルの間の前記リップル信号の位相差を検出することを含む、請求項10に記載のOFDR呼掛けシステム。
【請求項12】
複数の光コアを含む光ファイバセンサを測定するために光周波数領域反射測定法(OFDR)呼掛けシステムを使用する方法であって、
チューナブルレーザによって出力されるレーザ光の波長を掃引して波長掃引を実行するステップであって、該波長掃引は、上昇掃引と、下降掃引と、前記上昇掃引と前記下降掃引との間を移行するターンアラウンド部分とを含み、前記上昇掃引において、前記チューナブルレーザによって出力されるレーザ光の波長は、第1の範囲の波長において最小波長から最大波長に増加し、前記下降掃引において、前記レーザ光の前記波長は、前記最大波長から前記最小波長に減少し、前記ターンアラウンド部分において、前記レーザ光の前記波長は、前記第1の範囲の波長の外側の第2の範囲の波長における波長を含む、ステップと、
前記レーザ光を前記光ファイバセンサに提供し、前記光ファイバセンサの前記複数の光コアの各光コアからの反射光を測定するステップであって、前記反射光は、センサ測定データに対応する、ステップと、
前記上昇掃引及び前記下降掃引の間に獲得される前記センサ測定データを処理するステップと、
前記ターンアラウンド部分の間に追加的な操作を実行するステップと、を含む、
方法。
【請求項13】
前記第2の範囲の波長の少なくとも一部分における掃引速度は、前記第1の範囲の波長における掃引速度よりも遅い、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記追加的な操作を実行するステップは、
前記第2の範囲の波長において1つ以上のレーザ波長で追加的な測定を実行するステップ、又は
前記上昇掃引における前記レーザ光のパワーレベルを前記下降掃引における前記レーザ光のパワーレベルと平衡させるステップ、又は
前記OFDR呼掛けシステム内の少なくとも1つの遅延における変化を検出するために既知の信号に従って前記レーザ光を変調させることによってシステム内確認又は調整を実行するステップを含み、前記少なくとも1つの遅延は、光学遅延又は電気的遅延を含む、
請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
複数の機械読取可能な命令を含む非一時的な機械読取可能な媒体であって、前記複数の機械読取可能な命令は、光周波数領域反射測定法(OFDR)呼掛けシステムと関連付けられる1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、該1つ以上のプロセッサに請求項12~14のうちのいずれか1項に記載の方法を実行させるように構成される、非一時的な機械読取可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
この出願は、2016年6月29日に出願された「METHODS AND APPARATUS FOR OFDR INTERROGATOR MONITORING AND OPTIMAZATION」という名称の米国仮特許出願第62/355,957号の優先権及び利益を主張し、その全体を参照として本明細書に援用する。
この出願に記載する技術は、光ファイバ形状検出のために使用される光周波数領域反射測定法(Optical Frequency Domain Reflectometry)(OFDR)測定値(measurements)に関し、それらのOFDR測定値の精度(accuracy)及び信頼性(reliability)を向上させるデータ処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光学ひずみ感知(optical strain sensing)は、例えば、光ファイバの張力、圧縮、又は温度の変化によって引き起こされる、導波路の物理的変形を測定するのに有用な技術である。マルチコア光ファイバは、単一のファイバ内に埋め込まれた幾つかの独立した導波路で構成される。典型的には、光周波数領域反射率測定法(OFDR)測定値の形態の掃引波長干渉法(swept wavelength interometry)を使用して、コアの光学応答を解釈することによって、コアの長さに沿うひずみの連続的な測定値を導き出すことができる。ファイバの長さに沿うコアの相対位置の知識を用いて、これらの独立したひずみ信号を組み合わせて、マルチコア光ファイバに加えられるひずみプロファイルの測定値を取得してよい。ファイバのひずみプロファイルは、高い(例えば、50マイクロメートル未満の)サンプル分解能でファイバの長さに沿って加えられる曲げひずみ(bend strain)、ねじりひずみ(twist strain)、及び/又は軸方向ひずみ(axial strain)の測定値に言及する。
【0003】
以前の特許は、マルチコア光ファイバを用いたOFDRベースの形状感知を記載している(例えば、参照として援用する米国特許第7,781,724号及び第8,773,650号を参照)。OFDRベースの形状感知ファイバの幾つかの用途は、形状感知出力の精度及び信頼性に関して高度の信用(confidence)を要求する。非限定的な例示的な用途は、外科又は他の環境において使用されるロボットアームである。
【0004】
OFDR測定システムには、3つの基本要素、即ち、光、光が横断する媒体(例えば、ファイバ導波路)、及び光を検出して光を電気信号に変換する受信器がある。これらの基本要素の各々は、実行される測定の精度に寄与する。例示的な光ファイバ形状感知システムが図1に示されており、それは(本明細書において「センサ3」又は「DUT3」とも呼ぶ)光ファイバセンサ/試験下デバイス(DUT)3に連結される光ネットワーク2に異なる周波数又は波長で光を提供するために掃引されるチューナブルレーザ1(tunable laser)を含む。波長又は周波数の同調範囲に亘るチューナブルレーザによる各走査(スキャン)は、OFDR測定データのセットを生成する。光ネットワーク2は、光情報を電気信号に変換する検出器、アナログ電気信号をデジタル電気信号に変換するアナログ対デジタル変換器、及び取得データを処理し且つ取得を制御するフィールドプログラマブルゲートアレイ(EFGA)を含む、検出、取得、及び制御エレクトロニクス4(detection, acquisition, and control electronics)に連結される。検出、取得、及び制御エレクトロニクス4は、ファイバの形状を計算することのような更なる処理、最終的には、ファイバセンサ/DUT3からの情報の出力のために、プロセッサ5に出力を供給する。プロセッサ5は、追加的に又は代替的に、FPGA又はGPUを含むことがある。
【0005】
図1に示す例示的な光ファイバ形状感知システムにおいて、形状測定は、マルチコア光ファイバセンサである媒体から反射される光を正確に検出する能力を含む、幾つかの要因に依存する。OFDRベースの光ファイバ形状感知は、ファイバセンサの各コアにおけるポイントツーポイント長の変化を検出し、OFDR測定システムの精度及びノイズは、光ファイバセンサ内への光の反復的な伝送及び測定毎の反射光の反復可能な検出に依存する。光周波数領域及び時間領域における異なる周波数(OFDRにおいてレーザは波長又は周波数の測定範囲を通じて掃引又は走査される)での反射光の検出は、正確な光ファイバ形状測定を達成するために重要である。感知ファイバにおける物理的変化の結果でないOFDR走査間の差(scan-to-scan differences)又は走査間の差(inter-scan differences)は、それらが縮小又は補正されないならば、OFDR測定データに誤差を導入し得る。例示的な誤差源は、レーザ同調速度の変動、光出力パワーの変動、干渉計の光路長の変化、コア間の遅延シフト、OFDRチャネルにおける電気信号の遅延を含む。
【0006】
コア間の検出回路の相対的遅延が一定であると仮定すると、コア間の位相変化は、感知ファイバに行われる物理的変化に起因するものと解釈されることができる。しかしながら、本発明者は、これらの遅延関係が時間の経過と共に変化し、温度と共に変化し、且つ/或いは呼掛けデバイスの故障によって影響されることを発見した。データ取得及び処理に導入される遅延シフトは、OFDR測定値に誤差を導入し、それは感知ファイバ形状への物理的変化として間違って解釈される。加えて、レーザ走査間の光パワーレベルの変化も、OFDR測定誤差をもたらし得る。そのような光パワーレベルの変化は、OFDR測定が行われる光周波数範囲に亘るレーザの上昇掃引と下降掃引との間の一致しない信号対雑音比(SNR)及び/又は変化するSNRをもたらし得る。
【発明の概要】
【0007】
例示的な実施形態は、複数の光コアを含む光ファイバセンサを測定する光測定システムを含む。チューナブルレーザが、第1の測定範囲の波長に亘ってレーザ光を掃引し、光増幅器が、掃引されたレーザ光を増幅する。光ネットワークが、増幅された掃引されたレーザ光を光ファイバセンサに提供し、複数の光コアの各光コアと関連付けられる、光ファバセンサからの反射光を出力する。検出回路構成が、光ファイバセンサからの出力される反射光を検出し、対応する電気信号に変換する。データ処理回路構成が、光増幅器の利得を制御して、掃引されたレーザ光のパワーを制御する。
【0008】
光増幅器は、例えば、ポンプレーザ源の出力とチューナブルレーザに連結される光スプリッタからのレーザ光の部分とに接続されるエルビウムドープファイバ増幅器(EDFA)で実施されてよい。
【0009】
例示的な光測定システムは、光周波数領域反射測定法(OFDR)呼掛けシステムである。光ネットワークは、検出回路構成に連結されるレーザモニタ干渉計と、光ファイバセンサ及び検出回路構成に連結される測定干渉計とを含む。チューナブルレーザは、検出回路構成がチューナブルレーザの下降掃引及び上昇掃引の間に光ファイバセンサからOFDR測定データを取得するよう、第1の測定範囲の波長に亘って連続的に掃引する。
【0010】
例示的な実施において、データ処理回路構成は、チューナブルレーザの上昇掃引及び下降掃引の間にレーザパワー不均衡又は変動を補償するために光増幅器の利得を制御し、第1の測定範囲の波長内の複数の異なる周波数で光増幅器の利得を補正し、第1の測定範囲の波長に亘って実質的に一定なレーザパワーレベルを維持するために光増幅器の利得を制御し、光増幅器の利得をチューナブルレーザの上昇掃引のための第1の利得及びチューナブルレーザの下降掃引のための第2の異なる利得に制御する。
【0011】
他の例示的な実施形態は、複数の光コアを含む光ファイバセンサを測定する光周波数領域反射測定法(OFDR)呼掛けシステムを含む。チューナブルレーザが、第1の測定範囲の波長に亘ってレーザ光を掃引し、掃引されたレーザ出力信号を生成する。変調器が、既知の信号を掃引されたレーザ出力信号に加える。光干渉ネットワークが、掃引されたレーザ光を光ファイバセンサに提供し、センサ測定データに対応する複数の光コアの各光コアと関連付けられる、光ファイバセンサからの反射光を出力する。検出回路構成が、光ファイバセンサからの出力される反射光を検出し、対応する電気信号に変換する。データ処理回路構成が、加えられる既知の信号に基づいて、第1の測定範囲の波長内のチューナブルレーザの掃引中に取得されるセンサ測定データを処理する。
【0012】
データ処理回路構成は、加えられる既知の信号に基づいて、光干渉ネットワーク、光ファイバセンサ、及び検出回路構成のうちの1つ又はそれよりも多くによって引き起こされる、遅延から誤差を決定するように構成されてよい。
【0013】
例示的な実施構成は、レーザドライバを含み、変調器は、レーザドライバの出力に連結される。変調器は、電圧制御される発振器を駆動させるデジタルアナログ変換器に連結されるコントローラと、電圧制御される発振器からの出力をフィルタリングして既知の信号を生成するフィルタとを含む。他の例示的な変調器は、クロック信号を提供するために使用される最上位ビットを有するバイナリ信号を生成する数値制御される発振器と、クロック信号をフィルタリングして既知の信号を生成するフィルタとを含む。ファイバは、N個の光コアを有してよく、Nは、3よりも大きい正の整数であり、変調器は、N個の光コアに対応するN個の位相信号とN-1個の位相差信号とを生成する、数値制御される発振器を含む。センサ測定データ内の位相誤差は、N-1個の位相差信号に基づいてよい。
【0014】
チューナブルレーザ掃引は、レーザ光波長が第1の測定範囲の波長内で最小波長から最大波長に増大する上昇掃引と、レーザ光波長が第1の測定範囲の波長内で最大波長から最小波長に減少する下降掃引とを含んでよい。レーザ掃引は、上昇掃引と下降掃引との間で移行するターンアラウンド部分を含む。変調器は、ターンアラウンド部分の間に既知の信号を掃引されるレーザ出力信号に加えるよう制御されてよい。代替的に、変調器は、第1の測定範囲の波長の外側の波長で既知の信号を掃引レーザ出力信号に加えるよう制御されてよい。
【0015】
一層更なる例示的な実施形態は、チューナブルレーザを有するOFDR呼掛けシステムを含み、チューナブルレーザは、レーザ光波長が第1の測定範囲の波長内で最小波長から最大波長に増大するチューナブルレーザの上昇掃引と、レーザ光波長が第1の測定範囲の波長内で最大波長から最小波長に減少するチューナブルレーザの下降掃引とを含む、第1の測定範囲の波長に亘って掃引する。レーザ掃引は、上昇掃引と下降掃引との間で移行するターンアラウンド部分を含む。光干渉ネットワークが、増幅される掃引されるレーザ光を光ファイバセンサに提供し、センサ測定データに対応する複数の光コアの各光コアと関連付けられる、光ファイバセンサから反射光を出力する。検出回路構成が、光ファイバセンサからの出力される反射光を検出し、対応する電気信号に変換する。データ処理回路構成が、第1の測定範囲の波長内のチューナブルレーザの上昇掃引及び下降掃引の間に取得されるセンサ測定データを処理し、レーザ掃引のターンアラウンド部分の間に追加的な操作を実行する。
【0016】
例えば、追加的な操作は、所定の範囲内の掃引レーザ波長以外の掃引レーザ波長で追加的な測定を実行することであってよい。この状況では、他の掃引されるレーザ波長の一部についてのレーザの掃引速度が、第1の測定範囲の波長内のチューナブルレーザの掃引のためのレーザの掃引速度よりも遅くてよい。
【0017】
他の例示的な追加的な操作は、上昇掃引及び下降掃引内の掃引されるレーザ光のパワーレベルを平衡させて、光ファイバセンサのための散乱ベースのOFDR測定を行い、システムダイナミクス(system dynamics)に応答してシステム内確認又は調整(in-system checks or adjustments)を実行することを含む。
【0018】
光ファイバセンサが第1の測定範囲の波長内の光反射を提供するファイバブラッググレーティングを含むならば、他の例示的な追加的な操作は、格子反射から波長内で分離される散乱ベースのOFDR測定を行うことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】例示的なOFDR測定システムを示している。
【0020】
図2】レーザ掃引又は走査における地点の周りに回転を示すグラフである。
【0021】
図3】例示的な実施形態に従った例示的なOFDR測定システムを示している。
【0022】
図4】例示的な実施形態に従ったより詳細な例示的なOFDR測定システムを示している。
【0023】
図5】補正を伴わないOFDRシステム内の例示的な下降シアン化水素(HCN)ガスセルパワーレベル対上昇シアン化水素(HCN)ガスセルパワーレベルを示すグラフである。
【0024】
図6A】例示的なレーザ掃引を示すグラフである。
図6B】例示的なポンプレーザパワーを示すグラフである。
【0025】
図7】補正を伴うOFDRシステム内の例示的な下降シアン化水素(HCN)ガスセルパワーレベル対上昇シアン化水素(HCN)ガスセルパワーレベルを示すグラフである。
【0026】
図8】OFDR測定システムにおいてEDFAを実施するための並びに上昇及び下降レーザ掃引のためにレーザパワー出力を平衡させるためにポンプレーザ利得を調整するための例示的な手順を例示するフローチャートである。
【0027】
図9】レーザ駆動システムの図である。
【0028】
図10図12中のレーザ駆動システムに変調を加える図である。
【0029】
図11】第1の例示的なレーザ変調器アプローチを示している。
【0030】
図12】第2の例示的なレーザ変調器を示している。
【0031】
図13】例示的な実施形態に従った変調及び測定のための装置である。
【0032】
図14】例示的な実施形態に従ってレーザを変調するために使用される同じ信号で混合することによる位相計算のための例示的な装置である。
【0033】
図15】レーザダイオードリップル注入を使用して遅延監視を実行する例示的な手順を例示するフローチャートである。
【0034】
図16A】線形化前の帯域外レーザ変調を示すグラフである。
図16B】線形化後の帯域外レーザ変調を示すグラフである。
【0035】
図17A】レーザ同調ターンアラウンドでのレーザ変調を示すグラフである。
図17B】レーザ同調ターンアラウンドでのレーザ変調を示すグラフである。
【0036】
図18】例示的な実施形態に従って追加的な測定を行うための拡張ターンアラウンド地点を示すグラフである。
【0037】
図19】例示的な実施形態に従った典型的なより高速な掃引部分に加えて例示的な帯域外の遅いレーザ掃引部分を示すグラフである。
【0038】
図20A】速い掃引部分を示すグラフである。
図20B】遅い帯域外の掃引部分を示すグラフである。
【0039】
図21】レーザ掃引エッジおよびターンアラウンドを利用して追加的な測定を実行する例示的な手順を例示するフローチャートである。
【0040】
図22】例示的な実施形態に従った例示的なOFDR測定システムを示している。
【0041】
図23】ロボット手術アームへの光ファイバ形状感知システムの例示的な使用を示している。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下の記述は、限定ではなく説明の目的のための具体的な実施形態のような特定の詳細を示す。しかしながら、これらの特定の詳細から離れて、他の実施形態が利用されてよいことが、当業者によって理解されるであろう。幾つかの場合において、周知の方法、インターフェース、回路、及びデバイスの詳細な記述は、不要な詳細で記述を不明瞭にしないよう省略されている。個々のブロックは、様々なノードに対応する図に示されている。当業者は、それらのブロックの機能が、個々のハードウェア回路を使用して、適切にプログラムされたデジタルマイクロプロセッサ又は汎用コンピュータと共にソフトウェアプログラム及びデータを使用して、及び/又は特定用途向け集積回路(ASIC)を使用して、及び/又は1以上(1つ又はそれよりも多く)のデジタル信号プロセッサ(DSP)を使用して、実施されてよいことを理解するであろう。ソフトウェアプログラム命令及びデータは、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよく、命令がコンピュータ又は他の適切なプロセッサ制御装置によって実行されるとき、コンピュータ又はプロセッサは、それらの命令と関連付けられる機能を実行する。
【0043】
よって、例えば、本明細書中の図面が例示的な回路又は他の機能ユニットの概念図を表し得ることが、当業者によって理解されるであろう。同様に、任意のフローチャート、状態遷移図、擬似コード、及び同等物は、コンピュータ可読媒体内に実質的に表現されてよく、よって、コンピュータ又はプロセッサが明示的に示されていようがいまいが、そのようなコンピュータ又はプロセッサによって実行されてよい、様々なプロセスを表すことが理解されるであろう。
【0044】
様々な例示される要素の機能は、コンピュータ可読媒体に格納されるコード化された命令の形態のソフトウェアを実行することができる回路ハードウェア及び/又はハードウェアのようなハードウェアの使用を通じて提供されてよい。よって、そのような機能及び例示される機能ブロックは、ハードウェア実装されるもの及び/又はコンピュータ実装されるもののいずれか、よって、機械実装されるものとして理解されるべきである。
【0045】
ハードウェア実装に関して、機能ブロックは、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、縮小命令セットプロセッサ、非限定的に特定用途向け集積回路(ASIC)及び/又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むハードウェア(例えば、デジタル又はアナログ)回路構成、及び(適切である場合には)そのような機能を実行することができる状態機械を含んでよい或いは包含してよいが、それらに限定されない。
【0046】
コンピュータ実装に関して、コンピュータは、1以上のプロセッサ又は1以上のコントローラを含むよう一般的に理解され、コンピュータ、プロセッサ、及びコントローラという用語は、互換的に利用されることがある。コンピュータ、プロセッサ、又はコントローラによって提供されるとき、機能は、単一の専用コンピュータ又はプロセッサ又はコントローラによって提供されてよく、単一の共有コンピュータ又はプロセッサ又はコントローラによって提供されてよく、或いは複数の個別のコンピュータ又はプロセッサ又はコントローラによって提供されてよく、複数の個別のコンピュータ又はプロセッサ又はコントローラの一部は共有又は分散されてよい。その上、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語は、上述の例示的なハードウェアのような、そのような機能を遂行することができる及び/又はソフトウェアを実行することができる他のハードウェアも指す。
【0047】
この出願に記載する技術は、光ファイバ測定に影響を及ぼす誤差源を決定し且つ低減し或いは排除する。
【0048】
(OFDRシステムにおける利得増大及び利得均衡)
導入部に記載したように、図1は、例示的なOFDR測定システムである。単一のチューナブルレーザ1(tunable laser)によって、ある範囲の周波数/波長に亘って掃引された非増幅光(unamplified light)が、光ネットワーク2に案内され、センサ又はDUT3からの反射光は、光ネットワーク2の基準経路を横断する光と干渉する。結果として得られる光は、検出及び取得エレクトロニクス4によって検出され、デジタル形態に変換され、プロセッサ5において処理されて、所望のOFDR測定値、例えば、ファイバセンサ3の形状を提供する。幾つかの場合において、OFDR測定は、光周波数が増加又は減少する、1つのレーザ掃引方向において行われる。更新速度、掃引速度、及び掃引範囲のような、用途要件に依存して、レーザの単一の掃引方向においてだけ所望の測定を行うことが必ずしも適切であるとは限らない。多くの用途は、上昇/増大する(rising/increasing)及び下降/減少する(falling/decreasing)掃引で連続的に掃引されるレーザを必要とする。
【0049】
連続レーザ掃引の一例が図2に例示されており、図2は、レーザの光周波数を時間の関数として描いている。このプロットの傾きは、レーザの掃引速度を表している。上昇掃引の場合、レーザはより低い光周波数からより高い光周波数に同調される(tuned)。下降掃引の場合、レーザはより高い光周波数からより低い光周波数に同調される。これらの上昇及び下降掃引に加えて、この出願においてレーザターンアラウンド(laser turnaround)と呼ぶ掃引の追加的な部分があり、それは1つの測定の完了から次の測定の開始までのレーザ掃引の部分を含む。ターンアラウンドは、レーザの掃引速度が遅くなり、最終的に掃引方向を変更し、次に、所望の掃引速度に達するまで反対方向に加速する前の、現在の掃引の継続を含む。
【0050】
ファイバセンサ3が張力下又は圧縮下にあるとき、ファイバコアはある程度の量の伸長又は短縮を受ける。曲げ、ねじれ、及び全体的な張力は、様々なファイバコアにおいて測定されるひずみの変化を引き起こす。ファイバセンサの曲げ、ねじれ、及びひずみと、各コアのひずみとの間の関係を記述するための行列を形成することができる。例えば、ファイバセンサ内の4つのコアを用いて形状を測定するならば、これらの4つのコアの歪みと、長さの関数としての適用される曲げ、ねじれ、及びひずみとの間の関係は、以下の通りである。
【表1】
【0051】
ここで、ε(z)は、センサの下方の距離の関数としてのコア内で測定されたひずみであり、z,αは、曲げに対するひずみに関する定数(「曲げ利得(bend gain)」)であり、βは、ねじれに対するひずみに関する定数(「ねじれ利得(twist gain)」)であり、γは、ファイバの中心に対するコアの径方向場所であり、θは、図1A図1C中のコア2のような基準コアに対するコアの角度場所であり、B(z)は、センサの下方の距離の関数としてのX-Z平面における曲げであり(図2を参照)、B(z)は、距離の関数としてのY-Z平面における曲げであり、T(z)は、距離の関数としてのセンサのねじれであり、E(z)は、距離の関数としてのセンサに加えられる軸方向ひずみである。
【0052】
高分解能及び高感度を備えるファイバセンサの長さに沿って反射される光の振幅及び位相の測定が、光周波数領域反射測定法(Optical Frequency Domain Reflectometry)(OFDR)を使用して達成されてよい。
【0053】
マルチチャネルOFDR呼掛けシステムの場合、各チャネルは、DUT又はマルチコアファイバセンサのコアに対応する。多チャネルOFDR呼掛けシステムでは、各チャネルへのパワーを増加させるために増幅器を追加することが有利であり得る。例示的な実施形態は、エルビウムドープファイバ増幅器(erbium-doped fiber amplifier)(EDFA)をOFDRシステムに追加して、ファイバセンサに結合されるレーザ光のパワーを増加させる。しかしながら、EDFAは、新しい変数、即ち、増幅器利得(amplifier gain)を、OFDR測定システムに導入する。EDFA内のポンプレーザが定電流源によって駆動されるとき、EDFAの利得は、掃引レーザが同調される方向、増幅される光の瞬間波長(instantaneous wavelength)、及び掃引速度又はレーザ速度を含む、様々な要因に依存して異なり得る。
【0054】
追加されたEDFAの例示的な実施形態が図3に示されている。検出、取得、及び制御エレクトロニクス4によって制御されるチューナブルレーザ1は、1520nm~1560nmの例示的な波長掃引範囲と共に示されている。検出、取得、及び制御エレクトロニクス4によって制御されるポンプレーザ7が、特定の波長、例えば、980nmにある光を、エルビウムドープファイバ増幅器(EDFA)8に提供する。光スプリッタ6が、チューナブルレーザ1からの光を2つの経路、即ち、EDFA8への経路と、光ネットワーク2の基準経路への経路に分割される。EDFA8からの増幅された光は、各OFDR測定チャネルに分割され、ファイバセンサ3を含むマルチコアセンサファイバの各コアに案内される。
【0055】
図4は、例示的な6コアファイバセンサ用のOFDRベースの呼掛けシステムに追加されたEDFAの詳細な例示的な実施形態を示している。この例ではデータ取得エレクトロニクス20によってというよりもむしろプロセッサ22によって制御される、周波数チューナブルレーザ16からの光は、レーザモニタ干渉計10と測定干渉計12との間で90/10カプラで分割される。レーザモニタ干渉計10において、光は3×3カプラを使用して3つの経路に分割される。第1の経路は、検出器に進み、レーザパワーを監視する。第2の経路は、シアン化水素(HCN)ガスセルを通じて検出器に進み、絶対波長基準を提供する。最終的な経路は、アイソレータ及び他の3×3カプラを通じて2つのファラデー回転子ミラー(FRM)に進み、一方の脚は、他方の脚からの既知の遅延差を有する。この干渉計からの戻り信号は、1/Q信号を形成する。120度の位相オフセットを用いて、I/Q信号は、直交信号(quadrature signals)に変換され、レーザが掃引するときの光周波数の変化を測定するために使用される。
【0056】
測定干渉計12に進む光は、干渉計12の基準ブランチと測定ブランチとの間の90/10カプラを使用して分割される。基準ブランチ内の光は、縦続カプラ(cascaded couplers)を使用して6つの基準信号に分割される。測定ブランチ内の光は、アイソレータを通過し、次に、ある長さのエルビウムドープファイバを通過する。このファイバは、この例では波長分割多重(Wavelength Division Multiplexed)(WDM)カプラを通じて結合するデータ取得エレクトロニクス20によってというよりもむしろプロセッサ22によって制御される、980nmポンプレーザ18からの光が供給される(pumped)。エルビウムドープファイバとポンプレーザ18とのこの組み合わせは、干渉計の測定ブランチ内の光を増幅する。光は、他のアイソレータを通過し、次に、後続の走査で2つの直交する(又はほぼ直交する)偏光状態の間で光を反転させるよう設定される偏光コントローラを通過する。光は、次に、縦続カプラで6つの測定チャネルに分割される。戻り光は、2×2カプラを使用して6つの基準経路と組み合わされる。次に、これらの組み合わされた信号は、偏光ビームスプリッタ(PBS)を通じて、データ取得回路構成20に入力される各チャネル(C,I,J,K,U,V)のための2つの検出器(S及びP)に進み、偏光ダイバース検出方式(polarization diverse detection scheme)を形成する。これはマルチコアファイバの最大6コアから反射される光の干渉測定を創り出す。6つのチャネル(C,I,J,K,U,V)は、ファンアウトアセンブリ14(fanout assembly)を使用してマルチコアファイバセンサ24の各コアに接続され、ファンアウトアセンブリ14は、6つの単一のコアファイバ28を、マルチコアファイバセンサ24へのコネクタ25によって接続されるマルチコアケーブル23内の6つのコアに連結する。コントローラ/データプロセッサ22は、チューナブルレーザ16、偏光コントローラ、及び偏光ビームスプリッタを制御し、ポンプレーザ18も駆動させる。データプロセッサ22は、データ取得回路構成20から提供されるフォトダイオード検出器の各々からデータを取得して処理する。
【0057】
記録されたデータは、測定される各光ファイバコアのための2つの偏光状態S及びPについての光周波数の関数としての反射振幅である。コントローラ/データプロセッサ22は、レーザモニタ干渉計10からのデータを使用して光周波数に関してこの記録されたデータを線形化することで、それは光周波数の等しい増分で表される。線形化されたデータは、反射光の振幅及び位相を各ファイバコアに沿う光学遅延の関数として表すよう、時間領域にフーリエ変換される。2つの連続する直交偏光走査からのS及びPデータは、ファイバコアにおける複屈折を補償し且つ各コアからの反射光の振幅及び位相のスカラー測定(scalar measure)を形成するよう、組み合わされる。この組み合わされた複素信号(complex signal)(振幅及び位相)は、基準走査で記録される干渉計データと比較され、各コアについて結果として得られる位相差/変化は、ファイバの現在の形状を計算するために使用される測定信号である。
【0058】
測定された位相変化の導関数は、各コアにおけるひずみに比例する。位相をコア内のひずみに関連付ける比例定数γは、そのコアについてのひずみ光学係数である。式1を以下のように表すことができる。
【表2】
ここで、φ’(z)は、ファイバセンサ24の下方の距離の関数としてのコアiについての測定された位相変化の導関数である。
【0059】
ファイバセンサの位置は、最初に各コアにおける位相変化を測定することによって見出され、次に、ひねりを説明しながらファイバに沿って曲げBx(z)及びBy(z)を積分することによって計算されるので、この式の逆が必要とされる。
【表3】
ここで、
は、形状行列として知られる。
【0060】
測定ブランチ内のファイバ増幅器を追加は、センサ又はDUTへのパワーの増大という利点をもたらすが、それはレーザの上昇掃引と下降掃引との間のパワー変動の形態においてOFDR測定に誤差も導入する。これらの変動の一例が図5のグラフに示されており、図5は、2,937,500GHz/sで10nmに亘って行われる掃引間の増幅の差に起因する、上昇レーザ掃引と下降レーザ掃引との間のパワーレベルの差を例示している。センサ又はDUTの代わりに接続された(図4には示されていない)HCNガスセルを使用して検出されるパワーレベルは、上昇レーザ掃引測定と下降レーザ掃引測定との間の2dBよりも多くの差を示している。図5において、上昇レーザ掃引データ(太い黒線)は下降レーザ掃引データ(細い黒線)との比較のために反転されていることに留意のこと。両方はより高い光周波数からより低い光周波数に表示されている。
【0061】
ポンプレーザパワーの変化は、エルビウムドープファイバにおける信号及びポンプパワー並びに蛍光寿命の関数である応答時間でEDFAの利得変化をもたらす。ポンプレーザパワーが調整されると、EDFAの出力でのパワーが変化する前に遅延がある。この遅延は、波長の関数としてのEDFAの利得応答と共に、チューナブルレーザが掃引されるときにEDFA出力に影響を与えることがある。EDFAの利得が波長の関数としてどのように変化するかを補償するために、出力フィルタでの利得平坦化フィルタ(GFF)が追加されてよい。しかしながら、同じ波長でも掃引方向に基づいて変化する利得差がある。また、GFFは、温度に依存した波長シフトを受ける。
【0062】
連続的に掃引されるOFDRシステムでは、チューナブルレーザの光周波数が増加するときに(レーザの上昇掃引)並びに掃引レーザの光周波数が減少するときに(レーザの下降掃引)、OFDR測定データが取得される。光は光増幅器を使用して増幅され、その利得は、上昇掃引のときよりも下降掃引のときにより高い。この利得差は、余り最適でないシステム性能及び余り正確でない測定結果をもたらし得る。
【0063】
掃引中及び掃引間の不均衡なパワーを補正するために、例示的な実施形態は、所定の地点の間でポンプレーザパワーを異ならせて、OFDRシステム内のセンサファイバ又は試験下デバイス(DUT)への出力パワーの実質的に一定レベルを維持する。1つの例示的な実施形態において、増幅器利得は、2つの状態、即ち、上昇掃引のための状態と下降掃引のための状態との間で変調される。この実施形態は、パワーが2つのレーザ掃引方向において平衡されることを可能にする。更に、増幅器利得は、OFDR測定データが取得される光周波数範囲に亘ってパワーを平坦化するよう、利得設定地点の追加を用いてレーザ掃引内で変調されてよい。例示的な実施形態は、ターンアラウンドも使用して、上昇レーザ掃引と下降レーザ掃引との間でレーザパワー出力を平衡させるよう調整を行う。1つの例示的な調整は、チューナブルレーザのダイオードを、上昇部分、下降部分、及びターンアラウンド部分を含む、掃引サイクル全体に亘って駆動させる電流を調整することを含む。
【0064】
例示的な実施形態では、掃引方向に依存する利得差を補償するために、データ、取得、及び制御エレクトロニクス4は、増幅器のポンプレーザパワーを上昇掃引及び下降掃引のための事前較正されたレベルに調整する。具体的には、システムは、ポンプレーザのための2つのパワー状態、即ち、下降掃引のためのパワー状態と上昇掃引のためのパワー状態とを含むように構成される。(調整は、代替的に、プロセッサ5によって制御されてよい)。このポンプレーザパワー切換えの一例が図6A及び図6Bに例示されている。
【0065】
図6A及び図6Bを参照すると、下降掃引パワーはそのままにされており、上昇掃引パワーは、下降掃引パワーに一致するよう増加されている。増幅器の利得の応答遅延があるので、ポンプレーザは、レーザターンアラウンドの開始時に下降掃引の完了に続いてより高いパワーレベルに駆動させられる。ターンアラウンドの開始時にポンプレーザパワーレベルを設定することは、増幅器利得が新しいレベルに調整するのに十分な時間をもたらす。
【0066】
図7は、調整が増幅器のポンプレーザパワーに適用された後の上昇掃引(太線)及び下降掃引(細線)についてのHCNパワーレベルを比較しており、それは上昇レーザ掃引と下降レーザ掃引との間の平均パワー差を0.02dB未満に減少させる。
【0067】
掃引方向に依存する利得を補償するためにポンプレーザパワーを調整することに加えて、DUTへのパワーを更に平坦化するために、レーザの掃引サイクルの過程の間に2よりも多くの設定地点を含むよう、ポンプレーザパワーを調整することができる。
【0068】
図8は、OFDR測定システムにおいてEDFAを実施するための並びにポンプレーザ利得を調整して上昇レーザ掃引及び下降レーザ掃引のためのレーザパワー出力を平衡させるための例示的な手順を例示するフローチャートである。EFDAのパワー要件が決定され(ステップS1)、EDFAは、利得媒体の種類、長さ、及びポンピング方向を含む、利得要件を満たすように構成される(ステップS2)。光ネットワーク内のEDFAの配置が決定され、EDFAが光ネットワークに加えられる(ステップS3)。チューナブルレーザは、所望の掃引挙動のために構成される(ステップS4)。上昇レーザ掃引と下降レーザ掃引との間の利得差が決定される(ステップS5)。上昇レーザ掃引と下降レーザ掃引との間のEDFA利得を平衡させるために、ポンプレーザパワー設定地点が特定の光周波数で加えられる(ステップS6)。ポンプレーザパワー設定地点は、EDFA出力パワーを平衡させるために調整される(ステップS7)。
【0069】
(既知の信号でレーザ出力を変調すること)
光ファイバ感知システムでは、遅延の測定が重要である。測定される1つの遅延は、マルチコアファイバセンサのコア間の遅延変化である。この遅延変化は、各コアについての基準位相からの位相シフト又は位相差に関して測定されることができる。OFDRシステムでは、光信号及び対応する電気信号がOFDR検出及び取得システムによって検出される前に受ける多くの遅延経路がある。多くの他の遅延の中でも、1つの例示的な遅延は、検出及び取得システムを通じたフォトダイオードへの測定干渉計の基準経路と関連付けられる。
【0070】
例示的な実施形態は、これらの経路の遅延の変化を監視し、誤ったデータを信号で伝えて光ネットワークの基準経路内の動的位相シフトを補正するために使用し得る測定値を提供する。より具体的には、既知の信号、例えば、既知の周波数を有するリップル信号(ripple signal)をレーザ内に注入することによって、その周波数での各遅延経路の位相を計算することができる。1つの例示的な実施において、その計算は高速フーリエ変換(FFT)を実行することなく行われる。周波数/波長のセットに亘ってこの測定を実行することは、システム内の各検出チャネルの位相応答を生成する。
【0071】
レーザターンアラウンド中に増幅器のポンプレーザを調整することに加えて、例示的な実施形態は、レーザターンアラウンド中にシステム内試験(in-system testing)を実行する。これらの例示的な実施形態において、光学(例えば、OFDR)測定システム内のチューナブルレーザダイオード出力は、システム内の光学的遅延及び電気的遅延の変化を検出するよう変調される。以下の例における変調は、既知の信号、例えば、既知の周波数を有するリップルを、チューナブルレーザダイオード出力に注入することを含む。他の既知の信号又は変調技法が使用されてよい。
【0072】
一定のレーザ出力がOFDRシステムにおいて望ましいので、チューナブルレーザ出力に存在するあらゆるリップルを低減し或いは補償するよう、制御システム及び処理アルゴリズムが特別に設計されてよい。一定のパワー出力を駆動させ且つ維持する典型的なダイオードドライバ回路が図9に例示されている。レーザダイオード32を駆動させるダイオードドライバ30は、アナログ及び/又はデジタル閉ループ制御方式を介して制御される電流源であってよい。ドライバ30は、開ループ式にレーザの掃引サイクルの特定の場所で電流を所定のレベルに調整するようプロセッサによって取り出される、メモリに格納される値のルックアップ表であってよい。この表は、時間の経過に亘ってレーザパワーレベルを維持するよう、内部及び/又は外部制御プロセスによって定期的に更新されてよい。
【0073】
レーザパワーにおける望まれない変調は、広帯域ノイズの形態において或いは実際にはセンサ又はDUTに存在しない反射事象として、OFDR測定に誤差を導入し得る。従来的な考え方とは対照的に、例示的な実施形態は、OFDR測定を劣化させないように取られるステップを用いて、リップルをレーザダイオード出力信号内に意図的に注入する。
【0074】
図10は、変調器34と共にレーザダイオードドライバ30を描写しており、その出力は、コンバイナ36(combiner)によって結合され、レーザダイオード32に供給される。変調器34は、様々な方法で実施されることができ、例えば、信号をまとめて送ること又は加算器(adder)として構成されるオペアンプを使用して信号を加算することのような、様々な方法でダイオードドライバ30信号と結合されることができる。
【0075】
変調器34の一例が図11に示されており、変調器34は、プロセッサ制御されたデジタルアナログ変換器(DAC)40と、電圧制御された発振器(VCO)42と、信号利得制御及び低域フィルタリングをもたらす能動フィルタ44とを含む。この例示的な実施形態において、プロセッサ5は、DAC40出力電圧を所望の値に設定することによって、VCO42の出力信号周波数を選択する。次に、この信号をレーザダイオード駆動信号に加えることによって、VCO42出力信号を変調器として使用してよい。振幅及びノイズレベルのような所望の信号特性に依存して、追加的なフィルタリング/増幅44が適用されてよい。例示的なプロセッサ5は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、又は他のプロセッサを含む。この変調アプローチの1つの不利点は、変調される信号と検出される光信号との間の位相差を測定するために、追加的なデータ取得チャネルがVCO出力の周波数を測定するために必要とされることである。
【0076】
変調器34の他の例示的な実施形態が図12に示されており、変調器34は、数値制御された発振器(NCO)46を有する或いは制御するプロセッサ5を含む。NCO46は、所望の周波数にある正弦波を表すデジタル出力を生成する。このデジタル出力から、NCO出力の最上位ビット(MSB)48に対応するクロック信号が生成される。プロセッサ5から出力されるデジタルクロック信号を、フィルタ/成形器50(shaper)によって低域フィルタリングして、デジタルクロック信号のコンテンツを帯域制限する(band limit)。1つの例示的なフィルタ/成形器50は、RCフィルタである。この例示的な実施形態において、フィルタリングされるクロック信号は、レーザ出力にリップルを注入するためにレーザダイオード駆動信号に加えられる変調信号である。この技術は、最小限の外部部品のみを必要とし、リップル信号(クロック)がプロセッサ5から直接的に供給されるという利点を有する。その結果として、プロセッサ5は、リップル信号の周波数を知るので、変調信号の周波数を決定するのに追加的な測定は要求されない。これらの構成は、OFDRシステムにおいて高分解能位相差測定を行うときに有利である。
【0077】
この種類の変調器の追加でレーザダイオードを駆動させることは、光学及び電子検出回路構成、例えば、既知の振幅変調の全ての経路を通じて既知の周波数リップル信号成分を搬送する、レーザ光を生成する。光ネットワークの基準経路を横断した光を測定することで、OFDRシステム内の各測定チャネルでの振幅変調信号がデータ取得エレクトロニクス4において検出される。変調された周波数で最初に注入されたリップルから各チャネル(各チャネルはマルチコアファイバセンサ内のコアに対応する)で検出されるリップル信号の位相差が測定され、この位相差はチャネル間の光学的及び電気的遅延差の測定値である。
【0078】
例示的な変調及び測定システムが図13に示されている。一例として、NCO46が12.5MHzに設定され、MSB48が、フィルタ/成形器50に送られて、36でダイオードドライバ30からのレーザ出力と結合される、クロック信号として使用されると仮定する。その場合、変調されたドライバ出力は、光ネットワーク2を掃引するために使用されるチューナブルレーザ32を駆動させる。N個のチャネルについての光ネットワーク応答は、フォトダイオード52によって検出され、対応するN個の電気信号は調整され(54)、ADC56によってN個のコアODFR測定チャネルに対応するN個のデジタル信号に変換される。DSP又はプロセッサ58によってN個のチャネルデジタル信号を処理して、N個の異なるチャネル位相を生成し、1つの共通のチャネルの位相に対する各々の決定されたチャネル位相の間のN-1個の位相差信号を計算して出力する。共通チャネルは、OFDRチャネルの1つとして選択されてよい。
【0079】
N個のチャネルからのデータは、時間領域内でプロセッサ5によって取得され、それは各地点が特定の周波数、例えば、200MHzでサンプリングされることを意味する。各チャネルについての注入リップルの位相を決定するために、データ線形化を実行することを必要とすることなく、高速フーリエ変換(FFT)が各チャネルからの測定データに対して実行される。これは、OFDR測定データが測定の過程の間にレーザ同調速度に基づいて先ず線形化され或いは再サンプリングされなければならない、センサ/DUT OFDR測定のための処理と異なる。FFTが非線形化された測定データに対してひとたび実行されると、(この例では)12.5MHz変調信号に対応するインデックス(index)12,500でデータ内にピークが観測される。N個のチャネル間の位相差を決定するために、DSP58はFFT結果を取り、各チャネルについてインデックス12,500での複素地点(complex point)の位相を計算し、変調周波数で検出される信号の位相を決定する。次に、1つの共通チャネル(例示的なチャネル0)が全てのN個のチャネルから減算される。共通チャネル0に対するN-1個のチャネルの各々からのこれらの結果として得られるN-1個の位相差は、ファイバセンサ内のN個のコア間のN-1個の遅延差を示す。ファイバ内のN個のコア間のN-1個の遅延差は、OFDR測定から除去されないならば、例えば、形状感知用途において、有意な誤差を生成し得る。
【0080】
DUT又はセンサの周波数範囲に亘ってNCO46を掃引することによって、各周波数での各OFDR測定チャネルの位相が計算されて、周波数の関数として各コア測定チャネルについての電子取得及び検出回路構成並びに光ネットワークの基準経路の位相応答が得られる。この位相応答は、各測定チャネル間の位相差を補正するために使用される。加えて、変化に関してこの位相応答を監視することは、光学的及び電気的な遅延経路の変化の結果として誘発される測定誤差を検出するフィードバックを提供するために使用されてよい、光ネットワーク及びエレクトロニクス内の遅延経路のリアルタイム監視を提供する。
【0081】
本発明者は、FFTの単一地点のみの位相が必要とされるため、この例では変調信号を供給するために使用されるNCOの出力である変調器と同じ周波数を使用してN個のチャネルから得られるデータをベースバンド(baseband)に混合することによって完全なFFTを実行することなく、位相を計算することができることを認識した。ひとたびベースバンドになると、各チャネルのDC項(DC term)は、位相を計算して共通チャネルと比較する地点になる。位相は、各チャネルのベースバンド信号の複素成分(complex components)を累積し、結果として得られる複素値(complex value)の位相を計算することによって、計算される。これらの操作を、例えば、DSP又はFPGAにおいて実行することができる。
【0082】
そのようなDSP処理の一例が図14に示されている。N個のコアOFDR測定からのN個のデジタルサンプルを、ミキサ60内でNCO46からの出力信号と混合する。ミキサ60は、複素NCO46出力(サイン及びコサイン)によって各チャネルを掛ける。62で、複素混合信号を累積(合計)し、複素形式から極形式に変換して、位相を決定する。これらの位相値は、変調信号と各チャネルについて検出される信号との間の位相差を表す。チャネル間の位相差を得るために、66で、1つの共通チャネルの位相をN個のチャネルの各々から減算し、チャネル間のN-1個の位相差を決定する。
【0083】
図15は、レーザダイオードリップル注入を使用して遅延監視を実行する例示的な手順を例示するフローチャートである。OFDRシステムにエレクトロニクスを追加して、1以上の周波数でレーザダイオードを変調し(ステップS10)、注入されたリップルの周波数(複数の周波数)を選択する(ステップS11)。追加されたリップルは、センサの測定周波数範囲の外側にある周波数又は複数の周波数内に位置し、追加されたリップルがセンサ測定と干渉しないことを保証する(ステップS12)。リップル信号をレーザダイオード出力に注入し(ステップS13)、変調周波数(複数の変調周波数)で全ての監視されるチャネルについてOFDRデータ及び位相測定を行う(ステップS14)。DSPは、N個のチャネル間の変調信号の位相差を計算し、光学的又は電気的な遅延の変化が生じたか否かを決定する(ステップS15)。
【0084】
(レーザ掃引エッジ及びターンアラウンドを使用して追加的測定を実行する)
変調されたレーザ光はセンサ測定と干渉することがあるが、干渉がファイバセンサ内の反射事象によって引き起こされることも可能である。本発明者は、この変調信号に対する線形化の効果が理解され且つ説明される必要があることを認識した。線形化は、レーザの瞬間同調速度に基づいて取得された測定データを再サンプリングするプロセスを指す。線形化プロセスの結果は、時間内というよりもむしろ光周波数内で均等に離間する測定データである。
【0085】
図16Aは、線形化のない帯域外変調が変調源の周波数でセンサ格子に対して強い観測可能なピークをどのように生成するかを示している。変調信号を測定するために線形化は必要とされない。何故ならば、これはOFDR測定ではなく、時間領域測定における振幅変調信号の測定に過ぎないからである。図16Bは、そのような信号に対する線形化の影響を例示している。線形化プロセスの部分として行われる再サンプリングは、掃引されたレーザの同調速度変動に基づいて広範囲の周波数に亘ってこの信号を広げる。
【0086】
レーザパワーを変調することは、この信号の変調周波数及びタイミングが考慮されないならば、実行される測定と干渉し得る。例えば、変調信号がファイバセンサに沿って含められるセンサ格子に近すぎるならば、データが線形化されるときに、変調信号がOFDR格子測定と干渉することがある可能性がある。OFDRベースの測定では、変調周波数がOFDR測定の予想される周波数の範囲外にあるならば、レーザダイオードの変調をOFDR測定と同じ時に行うことができる。しかしながら、ファイバセンサコネクタ及び終端反射が最小限に抑えられるよう注意しなければならない。さもなければ、これらの反射は、OFDR測定に誤差を導入し得るファイバセンサ内の変調の追加的な望まれない周波数を生成する変調信号と結合されるときに、干渉信号を生成し得る。
【0087】
格子測定が実行されているならば、より高い格子強度は、変調信号の測定を損ない得る。本発明者は、この問題に対処する幾つかの選択肢を認識した。1つの選択肢は、変調周波数を格子ファイバの周波数の外側の周波数に制限することである。この選択肢の不利点は、測定誤差の可能性があることである。何故ならば、センサが実際に存在する場所の周波数が測定されていないからである。この不利点は、測定領域内の周波数からターンアラウンド周波数に変調を移動することによって取り除かれることがある。増幅器の応答及びターンアラウンドの持続時間に依存して、増幅器を完全にオフにすることができ、或いは増幅器利得を減少させることができる。増幅器利得を十分に低減させることは、格子反射を雑音フロアより下に低減させることができ、それにより、格子からの如何なる測定可能な干渉を伴わずに変調測定が実行されることを可能にする。
【0088】
測定干渉を回避するために、例示的な実施形態は、図17A及び図17Bに例示するように、レーザ掃引のターンアラウンド地点の間にレーザダイオード変調ベースの測定を実行する。図17Bの例は、ターンアラウンド時間の間にのみ発生する変調を示しているが、何らかの変調がターンアラウンド時間の外側で又は連続的に発生することがある実施形態があってよい。
【0089】
本発明者は、これらのレーザ掃引ターンアラウンド地点が、更なる修正を行い、確認を実行し、且つ他の動的調整を行う、機会を提供することを認識した。レーザのこの連続的な掃引作用を、図18のグラフに例示する異なる区画に更に分解することができる。
【0090】
1つの例示的な実施形態は、レーザ掃引ターンアラウンドを使用して、ファイバセンサ波長を超える追加的なOFDR測定データ取得を実行する。例えば、ブラッググレーティングを含むファイバセンサの場合、既知の波長範囲内の光を反射するよう格子反射を設計し或いはファイバを制限することができる。連続的なレーザ掃引は、ターンアラウンドが、それらのOFDR測定値がファイバセンサから得られる波長範囲を超えるように、即ち、図19に示すレーザ掃引の高速上昇部分及び高速下降部分を超えるように、構成される。これはOFDR測定がレーザ掃引のターンアラウンド部分における追加的な波長範囲に亘って行われることを可能にする。追加的な範囲を含むようターンアラウンドを拡張することは、(ブラッググレーティングベースのOFDR測定とは異なる)レイリー散乱ベースのOFDR測定を実行することも可能にする。
【0091】
格子の周波数範囲又は主OFDR測定値を超えるデータを取得することに加えて、図19に例示するようなレーザ掃引のより遅い掃引速度部分で帯域外(out of band)OFDR測定値を取ることができる。これらの部分においてレーザ掃引速度を遅くすることによって、ファイバセンサに沿うより長い距離に亘って帯域外OFDR測定を行うことができる。
【0092】
OFDR測定範囲の例示的な拡張が図20A及び図20Bに例示され居ている。図20Aは、ファイバセンサに沿うより速い掃引速度及びより短い遅延又は長さでの例示的なファイバブラッググレーティング振幅測定を描いている。より広いレーザ掃引又は走査範囲を利用することは、より高い分解能をもたらすが、より速い掃引速度は、ナイキスト速度(Nyquist rate)(即ち、信号内に存在する最高周波数の二倍である、誤差を導入せずに信号をサンプリングすることができる最低速度)が、0nsからより短い遅延/距離に配置されるときに、より短い測定範囲をもたらす。図20Bは、より遅く、より低い分解能掃引のグラフを示している。より遅い掃引速度及び格子の範囲を超える光周波数を利用することの結果として、感知ファイバの反射事象を超える反射事象を測定することができる。
【0093】
図21は、追加的な測定を行うためにレーザ掃引エッジ及びターンアラウンドを利用する例示的な手順を示すフローチャートである。レーザは、例えば、追加的な測定を行うための所望の掃引速度及びパワーを含む、所望の掃引挙動を実行するように構成される(ステップS20)。所望の数の測定地点及び測定の波長範囲のような取得特異なパラメータ及び波長特異なデータ取得開始場所を決定する(ステップS21)。データ取得回路構成は、特定される波長範囲に亘ってODFR測定値を取得して処理する(ステップS22)。
【0094】
図22は、ポンプレーザのパワーレベルを調整する周波数特異なパワーレベル及び上述の例のうちの1つのようなレーザ変調器のような上からの多数の構成を含むOFDRシステムの一例を例示している。例示的な実施形態によれば、メモリ35に格納される周波数特異なパワーレベルの表が、ポンプレーザパワーレベルを制御するために検出、取得、及び制御エレクトロニクス4内の制御回路構成を処理することによって使用される。変調器34の出力は、ダイオードドライバ回路30の出力と結合して、例えば、前の段落で記載した理由のために、チューナブルレーザ1の出力パワーを制御し、且つ/或いは、例えば、この段落で記載したばかりの理由のために、レーザ出力内に変調信号を注入する。
【0095】
上述の技術は、光ネットワーク測定の精度及び信頼性を向上させるための幅広い多様な用途を有する。形状感知出力の精度及び信頼性に関して高度の信用を要求するOFDR測定機器に連結される形状感知ファイバについての1つの非限定的な用途は、外科又は他の環境で使用されるロボットアームである。図23は、上述の様々な技術的構成及び/又は実施形態のうちの1以上が使用されてよいロボット手術アームのための光ファイバ形状感知システムの例示的な使用を示している。
【0096】
様々な実施形態を示し且つ詳細に記載したが、請求項は如何なる特定の実施形態又は例にも限定されない。上述の記述は、いずれも、特定の要素、ステップ、範囲又は機能が、請求項の範囲に含まれなければならないというように必須であることを暗示するものとして読まれてならない。法的保護の範囲は、許可された請求項及びそれらの均等物に列挙される用語によって定義される。当業者に知られている上述の好ましい実施形態の要素に対する全ての構造的及び機能的な同等物は、本明細書中に参照として明示的に援用され、本請求項によって包摂されることが意図されている。その上、デバイス又は方法は、本発明の請求項に包含されるために、記載される技術によって解決されることが求められているありとあらゆる課題に対処する必要はない。「~のための手段」又は「~のためのステップ」という用語が使用されていない限り、如何なる請求項も、35USC§112の第6項を発動することを意図していない。更に、この明細書中の実施形態、構成、コンポーネント、又はステップは、いずれも、それらの実施形態、構成、コンポーネント、又はステップが請求項に列挙されているか否かに拘わらず、公衆に捧げられることを意図していない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19
図20A
図20B
図21
図22
図23
【外国語明細書】