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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100336
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】光沢性を有する変色体
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/023 20190101AFI20220628BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20220628BHJP
   B44C 1/165 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
B32B7/023
B32B5/18
B44C1/165 G
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063093
(22)【出願日】2022-04-05
(62)【分割の表示】P 2019526880の分割
【原出願日】2018-06-25
(31)【優先権主張番号】P 2017127459
(32)【優先日】2017-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017127460
(32)【優先日】2017-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018084506
(32)【優先日】2018-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018084507
(32)【優先日】2018-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000111890
【氏名又は名称】パイロットインキ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】中島 明雄
(57)【要約】
【課題】水の適用により変色すると共に、光沢性とに富み、玩具分野、装飾分野、デザイン分野等、多様な分野への応用性に優れた変色体を提供する。
【解決手段】布帛等の支持体と、低屈折率顔料がバインダー樹脂を介して分散状態で固着されている多孔質層と、光沢性樹脂層とを具備してなり、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、光沢性樹脂層の占有面積比率が、1~95%である変色体。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
低屈折率顔料がバインダー樹脂を介して分散状態で固着されている多孔質層と、
前記多孔質層上に形成された、光輝性樹脂層と
を具備してなり、
前記多孔質層の任意の位置における1mm四方に対して、前記光輝性樹脂層の占有面積比率が、1~95%であることを特徴とする変色体。
【請求項2】
前記光輝性樹脂層の厚みが0.1~20μmである、請求項1に記載の変色体。
【請求項3】
前記光輝性樹脂層が、金属光沢性、虹彩性、ホログラム性、および真珠光沢性からなる群から選択される光学的性状を示す層である、請求項1または2に記載の変色体。
【請求項4】
前記光輝性樹脂層が、目視で視認できない小さな島状部からなる模様である、請求項1~3のいずれか一項に記載の変色体。
【請求項5】
前記多孔質層と前記光輝性樹脂層の間に、さらに接着性樹脂層を具備してなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の変色体。
【請求項6】
前記支持体と前記多孔質層の間に、さらに着色層を具備してなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の変色体。
【請求項7】
前記着色層中に含まれる着色剤が、蛍光性着色剤、熱変色性着色剤、および光変色性着色剤からなる群から選択される、請求項6に記載の変色体。
【請求項8】
前記支持体が布帛である、請求項1~7のいずれか一項に記載の変色体。
【請求項9】
前記光輝性樹脂層が、布帛の生地の凸部と近似した形状である、請求項8に記載の変色体。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の変色体の製造方法であって、前記光輝性樹脂層が、離型性を有する基材上に光輝性樹脂層を積層した転写シートを前記多孔質層上に載置し、前記多孔質層の前記バインダー樹脂の軟化点以上の温度に加熱圧着することにより前記多孔質層と接着される、方法。
【請求項11】
請求項10記載の変色体の製造方法であって、前記支持体が布帛であり、前記布帛の凸部の前記多孔質層上に前記光輝性樹脂層を設ける方法。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか一項に記載の変色体の製造方法であって、前記光輝性樹脂層が、接着性樹脂層を介して前記多孔質層と接着されることにより形成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光沢性を有する変色体に関する。更には水の適用により変色する光沢性に富む変色体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、支持体と、低屈折率顔料をバインダー樹脂と共に分散状態に固着させた多孔質層とを具備してなる変色性積層体が開示されている。この多孔質層は、水等の液体の吸液により透明化するものであり、乾燥状態での隠蔽性と吸液状態での透明性に優れており、この変色性積層体は、水の付着により色変化を楽しむことができるものである(例えば、特許文献1)。
この変色性積層体は、多孔質層が表面に位置しているため、光沢性を発現させることが困難であった。
【0003】
また、支持体と、低屈折率顔料がバインダー樹脂を介して分散状態で固着されている多孔質層と、多孔質層上に固着された複数の光輝性微小片とを具備してなる変色性積層体が開示されている。これは、水の付着により色変化を楽しむことができると共に光輝性微小片による光輝性を視認することができるものである(例えば、特許文献2)。
この変色性積層体は、光輝性微小片が擦過により剥離したり、光輝性微小片の重なり合いによって表面の均一な光輝性を発現させることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-198271号公報
【特許文献2】特開2002-67200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、水の付着により色変化を楽しむことができると共に、光沢性に富む変色体を提供するものである。また、色変化を繰り返し行った際にも、光沢性を保ち、指などによる擦過に対しても耐久性を備える変色体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
支持体と、
低屈折率顔料がバインダー樹脂を介して分散状態で固着されている多孔質層と、
前記多孔質層上に形成された、光輝性樹脂層または透光性樹脂層から選択される光沢性樹脂層と
を具備してなり、
前記多孔質層の任意の位置における1cm四方に対する、前記光沢性樹脂層の占有面積比率が、1~95%であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、水の適用により変色すると共に、色変化を繰り返し行った際にも、光沢性を保ち、指などによる擦過に対しても耐久性を備え、玩具分野、装飾分野、デザイン分野等、多様な分野への応用性に優れた変色体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明による、光輝性樹脂層を具備してなる変色体の一実施例の縦断面説明図である。
図2】本発明による、透光性樹脂層を具備してなる変色体の一実施例の縦断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明による変色体は、支持体、多孔質層、および光沢性樹脂層が積層された構造を有している。ここで、多孔質層は支持体の表面全体に形成することができ、光沢性樹脂層は多孔質層の表面全体に形成することができるが、製造を容易にするため、あるいは変色体によって表現できる画像や文字をデザインするために、多孔質層や光沢性樹脂層を支持体表面の一部に形成することもできる。本発明においては、「変色体」とは、支持体、多孔質層、および光沢性樹脂層が積層された構造を有するものを意味する。そして、多孔質層や光沢性樹脂層が支持体表面の一部に形成されている場合には、支持体、多孔質層、および光沢性樹脂層が積層された構造を有する部分を変色体と定義する。ただし、この場合には「変色体」とそれ以外の部分とが支持体を介して一体化されているので、便宜的に積層構造を有していない部分を含めて「変色体」と称することがある。
支持体は、印刷適性を備えた材料であれば全て有効であり、例えば、紙、合成紙、布帛(例えば、織物、編物、組物、不織布等)、天然又は合成皮革、プラスチック、ガラス、陶磁器、金属、木材、石材等が用いられる。また、形状としては平面状のものが好ましいが、凹凸状の形態であってもよい。
【0010】
多孔質層は、低屈折率顔料がバインダー樹脂を介して分散状態で固着されている層であり、乾燥状態と吸液状態で透明性が異なる層である。
【0011】
低屈折率顔料としては、珪酸及びその塩、バライト粉、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、タルク、アルミナホワイト、炭酸マグネシウム等が挙げられ、これらは屈折率が1.4~1.8の範囲にあり、水を吸液すると良好な透明性を示すものである。
なお、珪酸の塩としては、珪酸アルミニウム、珪酸アルミニウムカリウム、珪酸アルミニウムナトリウム、珪酸アルミニウムカルシウム、珪酸カリウム、珪酸カルシウム、珪酸カルシウムナトリウム、珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、珪酸マグネシウムカリウム等が挙げられる。
なお、好適に用いられる低屈折率顔料としては珪酸が挙げられる。
また、低屈折率顔料は二種以上を併用することもできる。
低屈折率顔料の粒子径は特に限定されるものではないが、0.03~10.0μmのものが好適に用いられる。
珪酸は、乾式法により製造させる珪酸であってもよいが、湿式法により製造される珪酸(以下、湿式法珪酸と称する)が特に効果的であり、この点を説明すると、珪酸は非晶質の無定形珪酸として製造され、その製造方法により、四塩化ケイ素等のハロゲン化ケイ素の熱分解等の気相反応を用いる乾式法によるもの(以下、乾式法珪酸と称する)と、ケイ酸ナトリウム等の酸による分解等の液相反応を用いる湿式法によるものとに大別され、乾式法珪酸と湿式法珪酸とでは構造が異なり、前記乾式法珪酸は珪酸が密に結合した三次元構造を形成するのに対して、湿式法珪酸は、珪酸が縮合して長い分子配列を形成した、所謂、二次元構造部分を有している。
従って、乾式法珪酸と比較して分子構造が粗になるため、湿式法珪酸を多孔質層に適用した場合、乾式法珪酸を用いる系と比較して乾燥状態における光の乱反射性に優れ、常態での隠蔽性が大きくなるものと推察される。
また、多孔質層は、水を吸液させるものであるから、湿式法珪酸は乾式法珪酸に比べて粒子表面にシラノール基として存在する水酸基が多く、親水性の度合いが大であり、好適に用いられる。
なお、多孔質層の常態での隠蔽性と吸液状態での透明性を調整するために、湿式法珪酸と共に、他の低屈折率顔料を併用することもできる。
【0012】
多孔質層中の低屈折率顔料は、粒子径、比表面積、吸油量等の性状に左右されるが、常態での隠蔽性と吸液状態での透明性を共に満足するためには、塗布量が1~30g/mであることが好ましく、より好ましくは、5~20g/mである。1g/m未満では、常態で十分な隠蔽性を得ることが困難であり、また、30g/mを越えると吸液時に十分な透明性を得ることが困難である。
低屈折率顔料はバインダー樹脂を結合剤として含むビヒクル中に分散され、支持体上に塗布した後、揮発分を乾燥させて多孔質層を形成する。
バインダー樹脂としては、ウレタン系樹脂、ナイロン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン-ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合樹脂、メタクリル酸メチル-ブタジエン共重合樹脂、ブタジエン樹脂、クロロプレン樹脂、メラミン樹脂、及び前記各樹脂エマルジョン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
低屈折率顔料とバインダー樹脂の混合比率は、低屈折率顔料の種類及び性状に左右されるが、好ましくは、低屈折率顔料1質量部に対してバインダー樹脂固形分0.5~2質量部であり、より好ましくは、0.8~1.5質量部である。低屈折率顔料1質量部に対してバインダー樹脂固形分が0.5質量部未満の場合には、多孔質層の実用的な皮膜強度を得ることが困難であり、2質量部を越える場合には、多孔質層内部への水の浸透性が損なわれ易くなる。
多孔質層は、一般的な塗膜と比較して着色剤に対するバインダー樹脂の混合比率が小さいため、十分な皮膜強度が得られ難い。そこで、耐擦過強度を高めるために、前記のバインダー樹脂のうち、ナイロン樹脂又はウレタン系樹脂を用いると効果的である。
【0013】
ウレタン系樹脂としては、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂等があり、二種以上を併用することもできる。また、樹脂が水に乳化分散したウレタン系エマルジョン樹脂や、イオン性を有するウレタン樹脂(ウレタンアイオノマー)自体のイオン基により乳化剤を必要とすることなく自己乳化して、水中に溶解乃至分散したコロイド分散型(アイオノマー型)ウレタン樹脂を用いることもできる。
なお、ウレタン系樹脂は水性ウレタン系樹脂又は油性ウレタン系樹脂のいずれを用いることもできるが、水性ウレタン系樹脂、殊に、ウレタン系エマルジョン樹脂やコロイド分散型ウレタン系樹脂が好適に用いられる。
ウレタン系樹脂は単独で用いることもできるが、皮膜に必要とされる性能に応じて、他のバインダー樹脂を併用することもできる。ウレタン系樹脂以外のバインダー樹脂を併用する場合、実用的な皮膜強度を得るためには、多孔質層のバインダー樹脂中にウレタン系樹脂を固形分質量比率で30%以上含有させることが好ましい。
バインダー樹脂において、架橋性のものは任意の架橋剤を添加して架橋させることにより、さらに皮膜強度を向上させることができる。
バインダー樹脂には、水との親和性に大小が存在するが、これらを組み合わせることにより、多孔質層中への浸透時間、浸透度合い、浸透後の乾燥の遅速を調整することができる。更には、適宜分散剤や界面活性剤を添加して調整をコントロールすることができる。
【0014】
多孔質層は、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等により支持体上に形成できる。
【0015】
また、多孔質層中には、着色剤を添加して乾燥状態における多孔質層を着色したり、多孔質層上に着色剤を含む着色像を設けて複雑な様相変化を示す構成とすることもできる。着色剤としては、一般染料、一般顔料、蛍光染料、蛍光顔料、金属光沢顔料、可逆熱変色性組成物、可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、光変色性組成物、光変色性組成物を内包した光変色性マイクロカプセル顔料が挙げられる。蛍光染料、蛍光顔料等の蛍光性着色剤を用いると色変化の明瞭性に優れ、可逆熱変色性組成物、可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料等の熱変色性着色剤、光変色性着色剤、光変色性組成物、光変色性組成物を内包した光変色性マイクロカプセル顔料等の光変色性着色剤を用いると多彩な変化性を付与することができる。可逆熱変色性組成物としては、電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性化合物と呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体の三成分を含む可逆熱変色性組成物が好適に用いられる。光変色性組成物としては、スピロオキサジン系化合物、スピロピラン系化合物、ジアリールエテン系化合物等のフォトクロミック化合物が好適に用いられる。
【0016】
支持体と多孔質層の間には、着色層を設けることもできる。着色層は、着色剤を含むバインダー樹脂により形成されてなる。着色剤としては、一般染料、一般顔料、蛍光顔料、金属光沢顔料、可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が挙げられる。
着色剤はバインダー樹脂を結合剤として含むビヒクル中に含有されたインキや塗料を支持体に塗布した後、揮発分を乾燥させて着色層を形成する。バインダー樹脂としては、ウレタン系樹脂、ナイロン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン-ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合樹脂、メタクリル酸メチル-ブタジエン共重合樹脂、ブタジエン樹脂、クロロプレン樹脂、メラミン樹脂、及び前記各樹脂エマルジョン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
着色層は、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等により支持体上に形成される。
また、予め別の基材上に着色剤とバインダー樹脂を結合剤として含むビヒクル中に含有されたインキや塗料を塗布して転写層を設け、転写層を支持体上に転写して着色層を設けることもできる。
なお、着色層は、色の異なる複数の着色剤を用いて多色の絵柄又は図柄とすることにより、着色層によるカラフルな柄を視認できるため、商品性を高めることができる。
更に、支持体が透明性を有する場合は、支持体の裏面(多孔質層を設けていない面)に着色層を設けることもできる。
【0017】
多孔質層上には、光沢性樹脂層を部分的に設けてなる。本発明において、光沢性樹脂層は、光輝性樹脂層または透光性樹脂層が採用される。
ここで、本発明において、光沢性とは、物体の界面が反射により輝いて視認される性質を意味し、光輝性と透光性を含む概念とする。
本発明において光輝性とは、光を鏡面反射する界面の特性をいう。そして本発明において、光輝性樹脂層とは、単に界面が光を反射するものに限られず、表面反射をする物質が分散された樹脂層も包含される。光輝性樹脂層として、具体的には、以下で述べる、顔料を含む樹脂層、虹彩層、ホログラム層および透明性ホログラム層が挙げられる。
透光性樹脂層とは、光輝性樹脂層以外のものであって、光を通し、かつ界面で反射をすることによって、光沢性を示す層を意味するものとする。
【0018】
光沢性樹脂層は、多孔質層の表面全体に形成させることができ、光沢性を有する。このような変色体は、水を含んだ絵筆等で変色体の表面に文字や模様を描画することで、水で濡らされた部分に光沢性に富んだ文字や模様を表現することができる。
また、光沢性樹脂層を目視で視認できる大きさの、各種文字、記号、図形、模様の他、人、動物、植物、果実、食料品、乗物、建物、天体等の形状に形成させることもできる。なお、前記模様は水玉模様(ドット柄)等のそれぞれ独立した非連続模様であってもよいし、格子模様等の部分的に連結した連続模様であってもよい。このような変色体は、均一に光沢性樹脂層を形成させた場合と同様に文字や模様を描画することができる。
【0019】
まず、光沢性樹脂層が光輝性樹脂層である場合について述べる。本発明において光輝性樹脂層は、多孔質層の全てを完全に被覆するものではない。本発明においては、光輝性樹脂層が多孔質層上に位置することにより乾燥状態において光沢性を有する。更に、変色体表面に供給された水分が多孔質層に浸透し、多孔質層の屈折率が変化して多孔質層の下にある色や模様が視認できるようになり、その色や模様に、光輝性樹脂層の光沢や色などが組み合わさって、新たな美観を創出することもできる。すなわち、乾燥状態において光輝性樹脂層によってもたらされていた光沢性が、水分吸収後に別の美観を与える光沢性に変化する。したがって、光輝性樹脂層は完全に連続した層ではなく、水分を透過するための貫通孔を有する構造、または多数の分離した島状部の集合からなる構造を有している。典型的には、目視による視認ができない大きさの、例えばサブミリオーダー以下の、細かい島状部が無数に配置された構造を有する。したがって、多孔質層に対する光輝性樹脂層の占有面積比率は100%未満である。そして、光輝性樹脂層を構成する貫通孔または島状部の大きさが分布を有することがあるため、多孔質層の部位によって、多孔質層に対する光輝性樹脂層の占有面積比率は変動し得る。
【0020】
本発明において、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対する、光輝性樹脂層の占有面積比率は、1~95%、好ましくは5~95%、より好ましくは10~95%、最も好ましくは20~95%である。ここで、多孔質層とは、その上に光輝性樹脂層が形成されている部分について考慮するものとする。前記した範囲を満たすことにより、光沢性に優れると共に、均一な光輝性を有すると共に光輝効果の耐久性に優れ、且つ、水を付着させた際の明瞭な変色効果を発現することができる。
【0021】
光輝性樹脂層が目視で視認できない小さな島状部からなる模様の場合、多孔質層の任意の1mm四方に対して、光輝性樹脂層の占有比率が、1~95%であることにより、緻密且つ均一な光輝性を有すると共に水を付着させた際の変色効果を発現することができる。
【0022】
ここで、本発明において、「多孔質層の任意の位置における1cm四方に対する、光輝性樹脂層の占有面積比率」は、多孔質層の光輝性樹脂層と接する側(多孔質層と光輝性樹脂層の間に別の層が入る場合は、その別の層と接する側)の表面の任意の位置における1cm四方の領域における、光輝性樹脂層が形成されている部分の面積比率のことをいう。占有面積は、多孔質層に、光輝性樹脂層が垂直投影された面積のことをいう。ここで、「任意」とは、無作為に選択されたことをいう。つまり本発明において、多孔質層上のどこの位置で1cm四方をとっても、上記の専有面積比率が満たされるのである。ただし、本発明による変色体は、支持体と多孔質層と光沢性樹脂層とが積層された部分であるため、例えば多孔質層上に光沢性樹脂層を備えない部分を1cm四方以上有していてもよい。
また、本発明において、「多孔質層の任意の位置における1mm四方に対する、光輝性樹脂層の占有面積比率」は、上記の1cm四方よりも小さい、1mm四方を対象にしている。
なお、以下の透光性樹脂層においても、同様である。
【0023】
更に、光輝性樹脂層が透光性を有する場合は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、光輝性樹脂層の占有面積比率が、好ましくは5~95%、より好ましくは10~95%、さらに好ましくは20~95%である。この面積比率によって、変色体の表面から水を付着させると、光輝性樹脂層が形成されていない部分から水が浸透し、光輝性樹脂層の下部に位置する多孔質層にも水が浸透して多孔質層全体が透明化して変色し、その色変化は透光性の光輝性樹脂層を介して視認できるため、均一な光輝性を満たすと共に水を付着させた際の変色効果も満たすことができる。
【0024】
光輝性樹脂層が透光性を有さない場合は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、光輝性樹脂層の占有面積比率が、好ましくは5~80%、より好ましくは10~80%、さらに好ましくは20~70%である。この面積比率によって、変色体の表面から水を付着させると、光輝性樹脂層が形成されていない部分の多孔質層が透明化して変色し、光輝性樹脂層を設けた部分は変色しないため、均一な光輝性を満たすと共に水を付着させた際の変色効果も満たすことができる。
【0025】
ここでの、「透光性を有する」とは、光の透過性があって、かつ界面での光反射が多いことを意味する。光の透過率または反射率に応じて、視認される変色効果は変動し、求められる視覚効果に応じて適切に調整されるので、光の透過率や反射率は必ずしも特定できないが、一般に、いわゆる可視光領域、具体的には波長が400~800nmの領域での平均透過率が20%以上、好ましくは30%以上であり、平均反射率が1%以上、好ましくは5%以上の場合に、「透光性を有する」という。
【0026】
光輝性樹脂層としては、透明性金属光沢顔料(例えば、天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ等の透明性芯物質の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料)がバインダー樹脂と共に塗布した透明性金属光沢を有する樹脂層、虹彩層、ホログラム層および透明性ホログラム層が挙げられる。
虹彩層としては、基材表面に、該基材と屈折率が0.05以上の差がある透明な金属化合物(例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、硫化カドミウム、弗化マグネシウム、弗化セリウム等)の薄膜層を形成し、薄膜と屈折率が0.05以上の差がある凹凸の透明樹脂層の順に積層したもの、屈折率が異なる透明なプラスチック薄膜を多層に積層したものを例示できる。
ホログラム層及び透明性ホログラム層としては、微細な凹凸模様の少なくとも片面にAl、Cr、Ni、Sn、Fe、Co、Cu、Pb、Sb、Mg、Cd、Bi等の金属を蒸着して光反射層を設けたものを例示できる。
【0027】
また、光輝性樹脂層は厚みが0.1~20μmのものが好適に用いられる。より好ましくは厚みが0.5~10μm、さらに好ましくは0.5~5μmのものであり、薄くて柔軟性に富む光輝性樹脂層を設けることにより、柔軟性を有する変色体を得ることができる。更に、支持体として布帛等の柔軟性を有する材質を用いることにより、変色体自体に柔軟性を付与できる。
【0028】
光輝性樹脂層は、離型性を有する基材上に光輝性樹脂層を積層した転写シートを多孔質層上に載置し、多孔質層のバインダー樹脂の軟化点以上の温度に加熱圧着することにより多孔質層と接着したり、光輝性樹脂層中の樹脂の軟化点以上の温度に加熱圧着することに多孔質層と接着することができる。
【0029】
離型性を有する基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、セルロースアセテートフィルム、セロハン紙、グラシン紙、洋紙、和紙等に、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、アミノアルキッド樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸セルロース樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、尿素-メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、パラフィンワックス等を主成分とした離型剤を表面に塗布もしくは含浸、内在させたものが挙げられる。
【0030】
転写シートを用いて製造された変色体には、光輝性樹脂層上に基材の離型層が残ることがあるが、離型層は光輝性を阻害することがないため、そのまま放置してもよい。
【0031】
また、接着性樹脂層を介して多孔質層と接着し、基材を除去して光輝性樹脂層を形成することもできる。接着性樹脂層は、予め多孔質層上に形成してもよいが、支持体と転写シートを接合する際に接着剤を光輝性樹脂層に塗布して接着性樹脂層を設けたり、支持体と転写シートを接合する際に熱溶融性樹脂等の接着性樹脂層を介在させ、熱圧着して接着性樹脂層を設けることができる。前記のような接着方法により、光輝性樹脂層の接着性能が向上して耐摩擦性に優れ、光輝効果の耐久性をいっそう向上させることができる。
【0032】
次に、光沢性樹脂層が透光性樹脂層である場合について述べる。透光性樹脂層とは、後述するような材料から形成させることで得られるものであるが、一般に、前記したような透光性を有する樹脂層である。
【0033】
多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、透光性樹脂層の占有面積比率が、1~95%、好ましくは10~95%、より好ましくは20~95%、最も好ましくは30~95%である。前記した範囲を満たすことにより、光沢性を有すると共に、水を付着させた際に透光性樹脂層を形成していない部分から水が浸透して多孔質層が吸液により透明化して明瞭な変色効果を発現させることができる。
【0034】
透光性樹脂層を目視で視認できない小さな島状部からなるな模様の場合、多孔質層の任意の位置における1mm四方に対する、透光性樹脂層の占有面積比率が、1~95%にあることにより、緻密且つ均一な光沢性を有すると共に水を付着させた際の変色効果を発現することができる。
【0035】
透光性樹脂層としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、エポキシ-アクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂、エチレン樹脂、ウレタン-アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ウレア系樹脂、尿素系樹脂、尿素-メラミン系樹脂、ジアリルフタレート系樹、エステル系樹脂、アルキッド系樹脂、マレイン化ロジン、ビニルブチラール系樹脂、セルロース系樹脂、アミド系樹脂等の熱硬化性樹脂、二液硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等により形成されたものが挙げられる。
【0036】
透光性樹脂層の厚みは、0.5~20μmのものが好適に用いられる。より好ましくは厚みが0.5~10μm、さらに好ましくは0.5~5μmのものであり、薄くて柔軟性に富む透光性樹脂層を設けることにより、柔軟性を有する変色体を得ることができる。更に、支持体として布帛等の柔軟性を有する材質を用いることにより、変色体自体に柔軟性を付与できる。
【0037】
透光性樹脂層は、多孔質層上に直接形成してもよいが、離型性を有する基材上に透光性樹脂を塗布して透光性樹脂層を設けた転写シートを多孔質層と接合し、熱融着した後、基材を除去して変色体を得ることもできる。離型性を有する基材の例は、光輝性樹脂層の場合と同じである。また、転写シートを用いて製造された変色体には、透光性樹脂層上に離型層が残ることがあるが、離型層は光沢性を阻害することがないため、そのまま放置してもよい。
【0038】
また、接着性樹脂層を介して多孔質層と接着し、基材を除去して透光性樹脂層を形成することもできる。接着性樹脂層は、予め多孔質層上に形成してもよいが、支持体と転写シートを接合する際に接着剤を透光性樹脂層に塗布して接着性樹脂層を設けたり、支持体と転写シートを接合する際に熱溶融性樹脂等の接着性樹脂層を介在させ、熱圧着して接着性樹脂層を設けることができる。前記のような接着方法により、透光性樹脂層の接着性能が向上して耐摩擦性に優れ、耐久性をいっそう向上させることができる。
【0039】
更に、透光性樹脂層上に、保護層を設けることができる。この保護層は透光性樹脂層と同じ材料から形成された、透光性を有する、透光性保護層であってもよい。光沢性を有する透光性保護層を設けて透光性樹脂層の耐久性を向上させることもできる。
本発明において、透光性保護層は、透光性樹脂層と同様に、光を反射して光沢性を有し、透光性樹脂層の保護を主な目的とするものである。
【0040】
本発明による変色体の具体的な実施形態としては、例えば、ぬいぐるみ、人形、人形用ドレス等の人形用衣装、鞄等の人形用付属品、水鉄砲の標的、動物を模した模型、人間と人形の手形や足形等の形跡を現すボード等の玩具類、水筆シート等の教習具類、ドレス、水着等の衣類、靴類、鞄類、家具、造花等が挙げられる。また、各種インジケーターとして適用することもでき、例えば、配管、パイプ、水槽、タンク等の液洩れ検知、身の回り品や家具の水濡れ検知、禁水性薬品の輸送や保管場所での水濡れ検知、結露、使い捨ておむつの尿の検知、土壌中の水分検知等が挙げられる。さらには、雨天時には模様や色が変化する傘、あるいは雨天時に表示が変わる戸外用横断幕、道路標識、または建造物の壁面なども挙げられる。
【0041】
本発明による変色体に水を付着させる手段としては、直接水中に浸漬したり、手や指を水で濡らして接触させる他、水付着具を適用することもできる。水付着具としては、水鉄砲、噴霧機、先端部に筆穂や繊維ペン体等を有する筆記又は塗布具、容器内に水を収容し、且つ、容器内の水を導出する繊維体や刷毛を設けた筆記又は塗布具、スタンプ具等が挙げられる。水付着具として、連続気孔を有するプラスチック多孔体又は繊維加工体をペン先部材として適用した筆記具又は塗布具は、筆記像を簡便に形成でき、実用性を高めることができる。なお、水付着具と、本発明による変色体とを組み合わせて変色体セットを構成することもできる。
【実施例0042】
以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、実施例中の部は質量部を示す。
【0043】
まず、光沢性樹脂層が光輝性樹脂層である変色体の実施例を示す。
【0044】
実施例101(図1参照)
支持体12として白色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm)上に、ピンク色の非変色性インキを用いて、全面にベタ印刷して着色層13を形成した。次いで、着色層13上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層14を形成した。これとは別に、シリコーン系樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、アクリル樹脂とポリエステル樹脂を相互に積層した厚さ1.0μmの透光性を有する光輝性樹脂層を設け、更に、光輝性樹脂層上にポリウレタン樹脂からなる透明なホットメルト型の接着剤を塗布して直径1.5mmのドット形状からなる接着性樹脂層15を設けて転写シートを得た。転写シートの接着性樹脂層と多孔質層とを接合し、110℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して、多孔質層上にドット形状の光輝性樹脂層16を設けて実施例101の変色体11を得た。
実施例101の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、光輝性樹脂層の占有面積比率が、10%あった。
【0045】
実施例101の変色体は、乾燥状態では白色の生地上に光輝性樹脂層による虹彩性を有するドット柄が視認された。多孔質層上から水を付着させると、光輝性樹脂層を形成していない部分の多孔質層に水が浸透して透明化し、更に、光輝性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するため、光輝性樹脂層が形成されていない部分及び光輝性樹脂層が形成された部分ともにピンク色に変色し、虹彩性を有した状態でピンク色のドット柄が視認された。水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々にピンク色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。この様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに均一な光輝性を有していた。
また、光輝性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光輝性を保持していた。
【0046】
実施例102
支持体として白色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm)上に、ピンク色、オレンジ色、ブルー色、ライトグリーン色からなる四色の非変色性インキを用いて、1cm幅の屈曲した帯状の像が互いに隣接配置された波模様の着色層(帯状着色像)を形成した。次いで、着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。これとは別に、シリコーン系樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、アクリル樹脂とポリエステル樹脂を相互に積層した厚さ1.0μmの透光性を有する光輝性樹脂層を設け、更に、光輝性樹脂層上にウレタン樹脂からなる透明なホットメルト型の接着剤を塗布して1辺が1.0mmの正六角形形状からなる接着性樹脂層を設けて転写シートを得た。転写シートの接着性樹脂層と多孔質層とを接合し、110℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して、多孔質層上に正六角形の光輝性樹脂層を設けて実施例102の変色体を得た。
実施例102の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、光輝性樹脂層の占有面積比率が、95%であった。
【0047】
実施例102の変色体は、乾燥状態では白色の生地上に光輝性樹脂層による虹彩性を有する正六角形が視認された。多孔質層上から水を付着させると、光輝性樹脂層が形成されていない部分の多孔質層から水が浸透して透明化し、更に、光輝性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するため、光輝性樹脂層が形成されていない部分及び光輝性樹脂層が形成された部分ともにピンク色、オレンジ色、ブルー色、ライトグリーン色の波模様に変化し、虹彩性を有した状態で波模様が視認された。水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々に波模様は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。この様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに均一な光輝性を有していた。
また、光輝性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光輝性を保持していた。
【0048】
実施例103
支持体として白色のポリエステルタフタ生地(目付量:80g/cm)上に、青色の非変色性インキを用いて、全面にベタ印刷して着色層を形成した。次いで、着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。これとは別に、酢酸セルロース樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、アクリル樹脂とパール顔料からなる厚さ10.0μmの透光性を有する光輝性樹脂層を設け、更に、光輝性樹脂層上にエチレン酢酸ビニル樹脂からなる透明なホットメルト型の接着剤を塗布してひび割れ模様の接着性樹脂層を設けて転写シートを得た。転写シートの接着性樹脂層と多孔質層とを接合し、100℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して、多孔質層上にひび割れ模様の光輝性樹脂層を設けて実施例103の変色体を得た。
実施例103の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、光輝性樹脂層の占有面積比率が、70%であった。
【0049】
実施例103の変色体は、乾燥状態では白色の生地上に光輝性樹脂層による虹彩性を有するひび割れ模様が視認された。多孔質層上から水を付着させると、光輝性樹脂層を形成していない部分の多孔質層に水が浸透して透明化し、更に、光輝性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するため、光輝性樹脂層が形成されていない部分及び光輝性樹脂層が形成された部分ともに青色へと変色し、虹彩性を有した状態で青色のひび割れ模様が視認された。水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々に青色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。この様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに均一な光輝性を有していた。
また、光輝性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光輝性を保持していた。
【0050】
実施例104
支持体として白色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm)上に、ピンク色の非変色性インキを用いて、全面にベタ印刷して着色層を形成した。次いで、着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。これとは別に、ニトロセルロース樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、アクリル樹脂と硫化亜鉛と酸化ケイ素を相互に積層及び蒸着した厚さ0.5μmの透光性を有する光輝性樹脂層を設けて転写シートを得た。転写シートの光輝性樹脂層と多孔質層とを接合し、多孔質層のバインダー樹脂の軟化点以上の温度となる160℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して生地の凸部の多孔質層上に光輝性樹脂層を設けて実施例104の変色体を得た。
実施例104の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、光輝性樹脂層の占有面積比率が、50%であった。
【0051】
実施例104の変色体は、乾燥状態では白色の生地上に光輝性樹脂層による虹彩性を有するドット柄が視認された。多孔質層上から水を付着させると、光輝性樹脂層が形成されていない部分の多孔質層に水が浸透して透明化し、更に、光輝性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するため、光輝性樹脂層が形成されていない部分及び光輝性樹脂層が形成された部分ともにピンク色へと変色し、虹彩性を有した状態でピンク色のドット柄が視認された。水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々にピンク色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。この様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに均一な光輝性を有していた。
また、光輝性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光輝性を保持していた。
【0052】
実施例105
支持体として白色のナイロンタフタ生地(目付量:80g/cm)に、オレンジ色の非変色性インキを用いて、全面にベタ印刷して着色層を形成した。次いで、着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。これとは別に、シリコーン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、アクリル樹脂とポリエステル樹脂を相互に積層した厚さ1.0μmの透光性を有する光輝性樹脂層を設け、更に、光輝性樹脂層上にポリアミド樹脂からなる透明なホットメルト型の接着剤を塗布して直径2.0mmのドット形状からなる接着性樹脂層を設けて転写シートを得た。転写シートの接着性樹脂層と多孔質層とを接合し、110℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して多孔質層上にドット形状の光輝性樹脂層を設けて実施例105の変色体を得た。
実施例105の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、光輝性樹脂層の占有面積比率が1cmあたり20%であった。
【0053】
実施例105の変色体は、乾燥状態では白色の生地上に光輝性樹脂層による虹彩性を有するドット柄が視認された。多孔質層上から水を付着させると、光輝性樹脂層を形成していない部分の多孔質層に水が浸透して透明化し、更に、光輝性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するため、光輝性樹脂層が形成されていない部分及び光輝性樹脂層が形成された部分ともにオレンジ色に変色し、虹彩性を有した状態でオレンジ色のドット柄が視認された。水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々にオレンジ色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。この様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに均一な光輝性を有していた。
また、光輝性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光輝性を保持していた。
【0054】
実施例106
支持体として白色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm)上に、ピンク色の非変色性インキを用いて、全面にベタ印刷して着色層を形成した。次いで、着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。次いで、多孔質層上に、ポリオレフィン樹脂からなるホットメルト型の接着剤を塗布して線画のキャンバス模様からなる接着性樹脂層を設けた。これとは別に、シリコーン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、透明なポリエステル樹脂層を設け、エンボス加工後にアルミニウム蒸着層を形成して転写シートを得た。転写シートのアルミニウム蒸着層と接着性樹脂層とを接合し、110℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して線画のキャンバス模様を有するホログラム性の光輝性樹脂層を多孔質層上に設けて実施例106の変色体を得た。
実施例106の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、光輝性樹脂層の占有面積比率が、5%であった。
【0055】
実施例106の変色体は、乾燥状態では白色の生地上に光輝性樹脂層によるホログラム性を有するキャンバス模様が視認された。多孔質層上から水を付着させると、光輝性樹脂層が形成されていない部分の多孔質層に水が浸透して透明化してピンク色に変色し、ピンク地にホログラム性を有するキャンバス模様が視認された。水が付着した状態では前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々にピンク色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。この様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに均一な光輝性を有していた。
また、光輝性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光輝性を保持していた。
【0056】
実施例107
支持体として白色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm)上に、ピンク色、オレンジ色、ブルー色、ライトグリーン色からなる4色の非変色性インキを用いて、1cm幅の屈曲した帯状の像が互いに隣接配置された波模様の着色層(帯状着色像)を形成した。次いで、着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。これとは別に、シリコーン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に透明なポリエステル樹脂層を設け、更に、エンボス加工後にアルミニウム蒸着層を形成したホログラム性転写シート上に、ポリオレフィン樹脂からなるホットメルト型の接着剤を塗布して直径1.0mmからなる接着性樹脂層を設けて転写シートを得た。転写シートの接着性樹脂層と多孔質層とを接合し、100℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して多孔質層上にドット形状のホログラム性を有する光輝性樹脂層を設けて実施例107の変色体を得た。
実施例107の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、光輝性樹脂層の占有面積比率が、80%であった。
【0057】
実施例107の変色体は、乾燥状態では白色の生地上にホログラム性を有するドット柄が視認された。多孔質層上から水を付着させると、光輝性樹脂層が形成されていない部分の多孔質層が水を吸液して透明化してピンク色、オレンジ色、ブルー色、ライトグリーン色の波模様に変化し、波模様とホログラム性を有するドット柄が視認された。水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々に波模様は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。前記様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに均一な光輝性を有していた。
また、光輝性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光輝性を保持していた。
【0058】
実施例108
支持体として黒色合成紙上に、低屈折率顔料として湿式法により製造される微粒子状珪酸〔商品名:ニップシールE-200A、日本シリカ工業(株)製〕15部、バインダー樹脂として水性ウレタン樹脂〔商品名:ハイドランAP-10、ポリエステル系ウレタン樹脂、固形分30%、大日本インキ化学工業(株)製〕50部、水30部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ増粘剤3部、エチレングリコール1部、エポキシ系架橋剤2部を均一に混合、攪拌した白色印刷用インキを用いて印刷を施して多孔質層を形成した。これとは別に、シリコーン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、透明なポリエステル樹脂層を設け、エンボス加工後にアルミニウム蒸着層を形成し、ポリオレフィン樹脂からなるホットメルト型の接着剤を塗布して直径2mmのドット柄からなる接着性樹脂層を設けて転写シートを得た。転写シートの接着性樹脂層と多孔質層とを圧接し、70℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して多孔質層上にドット柄からなる厚さ5.0μmのホログラム効果を有する光輝性樹脂層を設けて実施例108の変色体を得た。
実施例108の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、光輝性樹脂層の占有面積比率が、50%であった。
【0059】
実施例108の変色体は、乾燥状態では白色の下地にホログラム効果を有するドット柄が視認された。多孔質層上から水を付着させると、光輝性樹脂層が形成されていない部分の多孔質層が透明化し、黒色へと変色し、黒地にホログラム性を有するドット柄が視認された。
水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々に黒色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。この様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに均一な光輝性を有していた。
また、光輝性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光輝性を保持していた。
【0060】
実施例109
支持体として白色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm)上に、蛍光ピンク色、蛍光オレンジ色、蛍光バイオレット色、蛍光ライトグリーン色からなる四色の非変色性蛍光インキを用いて、1cm幅の屈曲した帯状の像が互いに隣接配置された波模様の着色層(帯状着色像)を形成した。次いで、着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。これとは別に、シリコーン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に透明なポリエステル樹脂層を設け、更に、エンボス加工後にアルミニウム蒸着層を形成したホログラム性転写シートを得た。転写シートのアルミニウム蒸着層と多孔質層とを接合し、多孔質層のバインダー樹脂の軟化点以上の温度となる160℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して、多孔質層上に生地の凸部と近似した形状であり、直径0.5mmの円に収まる大きさのホログラム性を有する光輝性樹脂層を設けて実施例109の変色体を得た。
実施例109の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、光輝性樹脂層の占有面積比率が、1%であり、多孔質層の任意の位置における1mm四方に対する、光輝性樹脂層の占有の面積比率も、1%であった。
【0061】
実施例109の変色体は、乾燥状態では白色の生地上に光沢性を有し、全面がホログラム性を有する光輝性を視認可能であった。多孔質層上から水を付着させると、光輝性樹脂層が形成されていない部分の多孔質層に水が浸透して透明化し、更に、光輝性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するため、光輝性樹脂層が形成されていない部分及び光輝性樹脂層が形成された部分ともに蛍光ピンク色、蛍光オレンジ色、蛍光バイオレット色、蛍光ライトグリーン色の波模様に変化し、蛍光色からなる鮮やかな波模様とホログラム性を有する光輝性を視認することが可能であった。水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々に鮮やかな波模様は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。この様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに均一な光輝性を有していた。
また、光輝性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光輝性を保持していた。
【0062】
実施例110
支持体として白色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm)上に、蛍光ピンク色、蛍光オレンジ色、蛍光バイオレット色、蛍光ライトグリーン色からなる四色の非変色性蛍光インキを用いて、1cm幅の屈曲した帯状の像が互いに隣接配置された波模様の着色層(帯状着色像)を形成した。次いで、着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。これとは別に、シリコーン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に透明なポリエステル樹脂層を設け、更に、エンボス加工後にアルミニウム蒸着層を形成したホログラム性転写シート上に、ポリウレタン樹脂からなるホットメルト型の接着剤を全面ベタ状態に平均厚み3μmで塗布して転写シートを得た。転写シートの接着性樹脂層と多孔質層とを接合し、150℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して、多孔質層上に生地の凸部と近似した形状であり、直径0.5mmの円に収まる大きさのホログラム性を有する光輝性樹脂層を設けて実施例110の変色体を得た。
実施例110の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、光輝性樹脂層の占有面積比率が、5%であり、多孔質層の任意の位置における1mm四方に対する、光輝性樹脂層の占有面積比率も、5%であった。
【0063】
実施例110の変色体は、乾燥状態では白色の生地上に光沢性を有し、全面がホログラム性を有する光輝性が視認された。多孔質層上から水を付着させると、光輝性樹脂層が形成されていない部分の多孔質層に水が浸透して透明化し、更に、光輝性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するため、光輝性樹脂層が形成されていない部分及び光輝性樹脂層が形成された部分ともに蛍光ピンク色、蛍光オレンジ色、蛍光バイオレット色、蛍光ライトグリーン色の波模様に変化し、蛍光色からなる鮮やかな波模様とホログラム性を有する光輝性が視認された。水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々に波模様は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。この様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに均一な光輝性を有していた。
また、光輝性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光輝性を保持していた。
【0064】
実施例111
支持体として白色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm)上に、蛍光ピンク色、蛍光オレンジ色、蛍光バイオレット色、蛍光ライトグリーン色からなる四色の非変色性蛍光インキを用いて、1cm幅の屈曲した帯状の像が互いに隣接配置された波模様の着色層(帯状着色像)を形成した。次いで、着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。これとは別に、シリコーン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に透明なポリエステル樹脂層を設け、更に、エンボス加工後にアルミニウム蒸着層を形成したホログラム性転写シート上に、ポリウレタン樹脂からなるホットメルト型の接着剤を全面ベタ状態に平均厚み5μmで塗布して転写シートを得た。転写シートの接着性樹脂層と多孔質層とを接合し、180℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して多孔質層上に生地の凸部と近似した形状であり、直径0.5mmの円に収まる大きさのホログラム性を有する光輝性樹脂層を設けて実施例111の変色体を得た。
実施例111の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、光輝性樹脂層の占有面積比率が、13%であり、多孔質層の任意の位置における1mm四方に対する、光輝性樹脂層の占有面積比率も13%であった。
【0065】
実施例111の変色体は、乾燥状態では白色の生地上に光沢性を有し、全面がホログラム性を有する光輝性が明瞭に視認された。多孔質層上から水を付着させると、光輝性樹脂層が形成されていない部分の多孔質層に水が浸透して透明化し、更に、光輝性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するため、光輝性樹脂層が形成されていない部分及び光輝性樹脂層が形成された部分ともに蛍光ピンク色、蛍光オレンジ色、蛍光バイオレット色、蛍光ライトグリーン色の波模様に変化し、蛍光色からなる鮮やかな波模様とホログラム性を有する光輝性が明瞭に視認された。水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々に波模様は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。この様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに均一且つ明瞭な光輝性を有していた。
また、光輝性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、明瞭な光輝性を保持していた。
【0066】
実施例112
支持体としてピンク色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm)上に、色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(青色←→無色、15℃以下で青色、30℃以上で無色)10部、アクリル酸エステルエマルジョン(固形分50%)10部、シリコーン系消泡剤0.2部、水1部、エチレングリコール0.5部、増粘剤0.5部、イソシアネート系架橋剤0.5部を均一に混合攪拌してなる可逆熱変色性スクリーンインキを109メッシュのスクリーン版を用いて全面にベタ印刷を行ない、130℃にて5分間乾燥硬化させて可逆熱変色層(着色層)を形成した。支持体と可逆熱変色層を積層した状態では、15℃以下に冷却すると支持体のピンク色と可逆熱変色層の青色が混色となった紫色が視認され、この色調は30℃未満の温度域で保持され、30℃以上に加温すると、可逆熱変色層が無色となり、支持体のピンク色が視認され、この色調は15℃を越える温度域で保持されるものであった。次いで、微粉末シリカ〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、アクリル酸エステルエマルジョン(固形分50%)30部、水50部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを180メッシュのスクリーン版を用いて、可逆熱変色層上に全面にベタ印刷し、130℃にて5分間乾燥硬化させて、乾燥状態で白色の多孔質層を形成した。これとは別に、シリコーン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に透明なポリエステル樹脂層を設け、更に、エンボス加工後にアルミニウム蒸着層を形成したホログラム性転写シート上に、ポリウレタン樹脂からなるホットメルト型の接着剤を全面ベタ状態に平均厚み4μmで塗布して転写シートを得た。転写シートの接着性樹脂層と多孔質層とを接合し、180℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して、多孔質層上に生地の凸部と近似した形状であり、直径0.5mmの円に収まる大きさのホログラム性を有する光輝性樹脂層を設けて実施例112の変色体を得た。
実施例112の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、光輝性樹脂層の占有面積比率が、10%であり、多孔質層の任意の位置における1mm四方に対する、光輝性樹脂層の占有面積比率も、10%であった。
【0067】
実施例112の変色体は、乾燥状態且つ24℃の室温下では多孔質層の白色上に光沢性を有し、全面がホログラム性を有する光輝性が明瞭に視認され、冷却或いは加温しても常にホログラム性を有する光輝性が視認された。実施例112の変色体に15℃以下の冷水を付着させると、光輝性樹脂層が形成されていない部分の多孔質層に水が浸透して透明化し、更に、光輝性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するため、光輝性樹脂層が形成されていない部分及び光輝性樹脂層が形成された部分ともに下層の可逆熱変色層と支持体の色調が混色となった全面が紫色に変色した。この紫色の変色体を24℃の室温下で放置したところ、水が付着した状態では、全面が紫色を呈していたが、水が蒸発するに従い、徐々に紫色から白色に戻り、乾燥状態に戻ると元の全面が白色となった。次に、実施例112の変色体に30℃以上の温水を付着させると、多孔質層が水の付着により透明化すると共に、可逆熱変色層が青色から無色に変色して全面がピンク色に変色した。このピンク色の変色体を24℃の室温下で放置したところ、水が付着した状態では、全面がホログラム性を有する光輝性のピンク色を呈していたが、水が蒸発するに従い、徐々にピンク色から白色に戻り、乾燥状態に戻ると元の全面が白色となった。次に、15℃以下の冷水を付着させて紫色に変色させた状態から、変色体の一部に30℃以上の温水を付着させると、光輝性樹脂層が形成されていない部分の多孔質層に水が浸透して透明化し、更に、光輝性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するため、光輝性樹脂層が形成されていない部分及び光輝性樹脂層が形成された部分ともに紫色からピンク色に変色し、この状態は水が蒸発して乾燥状態になるまで保持していた。この様に、実施例112の変色体は、全面が光輝性を有する白色の状態から冷水又は温水の適用により、光輝性を有する紫色、或いは、光輝性を有するピンク色に変色させることができ、乾燥させることにより再び元の光輝性を有する白色にすることができる多彩な色変化を示すことができ、前記様相変化を可逆的に再現させることができた。
また、光輝性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光輝性を保持していた。
【0068】
実施例113
支持体としてピンク色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm)上に、フォトクロミック化合物として1,3,3-トリメチルインドリノ-6′-(1-ピペリジニル)-スピロナフトオキサジン1部、スチレン-α-メチルスチレン共重合体〔理化ハーキュレス(株)製:ピコラスチックA-5〕30部をポリウレア樹脂からなるマイクロカプセル中に封入した光変色性顔料10部、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン58部、消泡剤3部、増粘剤1部、レベリング剤3部、防腐剤1部を均一に混合してフォトクロミック印刷インキを用い、全面ベタにてスクリーン印刷してフォトクロミック性を有する紫外線照射によって無色から紫色に変色する光変色層(着色層)を設けた後、前記光変色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水50部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1.5部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いてベタ印刷し、吸液状態と非吸液状態とで透明性を異にする多孔質層を形成した。これとは別に、シリコーン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に透明なポリエステル樹脂層を設け、更に、エンボス加工後にアルミニウム蒸着層を形成したホログラム性転写シート上に、ポリウレタン樹脂からなるホットメルト型の接着剤を全面ベタ状態に平均厚み4μmで塗布して転写シートを得た。転写シートの接着性樹脂層と多孔質層とを接合し、180℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して多孔質層上に生地の凸部と近似した形状であり、直径0.5mmの円に収まる大きさのホログラム性を有する光輝性樹脂層を設けて実施例113の変色体を得た。
実施例113の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、光輝性樹脂層の占有面積比率が、10%であり、多孔質層の任意の位置における1mm四方に対する、光輝性樹脂層の占有面積比率も、10%であった。
【0069】
実施例113の光輝性変色体は、乾燥状態では白色の生地上に光沢性を有し、全面がホログラム性を有する光輝性が明瞭に視認された。多孔質層上から室内で水を付着させると、光輝性樹脂層が形成されていない部分の多孔質層に水が浸透して透明化し、更に、光輝性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するため、光輝性樹脂層が形成されていない部分及び光輝性樹脂層が形成された部分ともにピンク色に変化し、水が付着した個所は光輝性を有するピンク色が明瞭に視認された。水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々にピンク色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。前記様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに均一且つ明瞭な光輝性を有していた。次いで、実施例113の変色体に軸筒内に水を収容可能に構成したペンで「1」の数字を描くと、光輝性樹脂層が形成されていない部分の多孔質層に水が浸透して透明化し、更に、光輝性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するため、光輝性樹脂層が形成されていない部分及び光輝性樹脂層が形成された部分ともに光輝性を有するピンク色に変化し、光輝性を有するピンク色の「1」の数字が視認できた。次いで屋外に持ち出して太陽光に晒すと、多孔質層が透明化した部分の光変色層のみ変色するため、「1」の数字部分が赤紫色に変色した。次いで、暗所にて放置すると、再びピンク色の「1」の数字に戻り、更に、乾燥によって水が蒸発すると元の光輝性を有する白色に戻り、この様相は繰り返し何度も行うことができた。また、光輝性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、明瞭な光輝性を保持していた。
【0070】
実施例114
実施例107の変色体を裁断、縫製し、人形用ドレスを得た。人形用ドレスは、乾燥状態では白色の生地上にホログラム性を有するドット柄のドレスが視認された。多孔質層上から噴霧器で水を付着させると、光輝性樹脂層が形成されていない部分の多孔質層が水を吸液して透明化してピンク色、オレンジ色、ブルー色、ライトグリーン色の波模様に変化し、波模様とホログラム性を有するドット柄のドレスが視認された。水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々に波模様は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色のドレスに戻った。前記様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに均一な光輝性を有していた。
また、光輝性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光輝性を保持しており繰り返しの使用を満足させることができた。
【0071】
比較例101
支持体として黒色合成紙上に、低屈折率顔料として湿式法により製造される微粒子状珪酸〔商品名:ニップシールE-200A、日本シリカ工業(株)製〕15部、バインダー樹脂として水性ウレタン樹脂〔商品名:ハイドランAP-10、ポリエステル系ウレタン樹脂、固形分30%、大日本インキ化学工業(株)製〕50部、水30部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ増粘剤3部、エチレングリコール1部、エポキシ系架橋剤2部を均一に混合、攪拌した白色印刷用インキを用いて印刷を施して多孔質層を形成し、前記多孔質層が未乾燥状態で銀色の金属箔を一辺が2mmの正方形に裁断した光輝性微小片を均一に付着させた後、乾燥して比較例101の変色体を得た。
【0072】
比較例101の変色体は、乾燥状態においては白地に銀色の光輝性微小片が均一に分散された状態が視認された。多孔質層上から水を付着させると、光輝性微小片が形成されていない部分の多孔質層が透明化し、黒色へと変色し、黒地に光輝性微小片による視認する角度によって異なる様相の光輝性が視認された。前記様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに視認する角度により異なる様相の光輝性を有していた。
また、光輝性微小片を指で擦過すると剥離し易く、光輝性を保持し難いものであった。
【0073】
比較例102
支持体として白色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm)上に、ピンク色の非変色性インキを用いて、全面にベタ印刷して着色層を形成した。次いで、着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。これとは別に、シリコーン系樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、アクリル樹脂とポリエステル樹脂を相互に積層した厚さ1.0μmの透光性を有する光輝性樹脂層を設け、更に、光輝性樹脂層上にポリウレタン樹脂からなる透明なホットメルト型の接着剤を塗布して直径1.5mmの正方形のドット形状からなる接着性樹脂層を設けて転写シートを得た。転写シートの接着性樹脂層と多孔質層とを接合し、110℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して、多孔質層上に正方形ドット形状の光輝性樹脂層を設けて比較例102の変色体を得た。
比較例102の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、光輝性樹脂層の占有面積比率が、99%であった。
【0074】
比較例102の変色体は、乾燥状態では白色の生地上に光輝性樹脂層による虹彩性を有するドット柄が視認された。多孔質層上から水を付着させると、光輝性樹脂層が形成されていない部分の多孔質層に水が浸透して透明化し、更に、光輝性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するものの、光輝性樹脂層を形成した部分が多く、ピンク色に変色する箇所が少ないため、色変色を明瞭に視認することができなかった。
【0075】
比較例103
支持体として白色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm)上に、蛍光ピンク色、蛍光オレンジ色、蛍光バイオレット色、蛍光ライトグリーン色からなる四色の非変色性蛍光インキを用いて、1cm幅の屈曲した帯状の像が互いに隣接配置された波模様の着色層(帯状着色像)を形成した。次いで、着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。これとは別に、シリコーン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に透明なポリエステル樹脂層を設け、更に、エンボス加工後にアルミニウム蒸着層を形成したホログラム性転写シートを得た。転写シートのアルミニウム蒸着層と多孔質層とを接合し、多孔質層のバインダー樹脂の軟化点以上の温度となる120℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して、多孔質層上に直径0.5mmの円内に収まる大きさで、生地の凸部形状のホログラム性を有する光輝性樹脂層を設けて比較例103の変色体を得た。
比較例103の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、光輝性樹脂層の占有面積比率が、0.5%であり、多孔質層の任意の位置における1mm四方に対する、光輝性樹脂層の占有面積比率も、0.5%であった。
【0076】
比較例103の変色体は、乾燥状態で白色を呈しているものの、光輝性樹脂層が形成された部分が少ないため明瞭な光輝性を視認することはできなかった。
【0077】
次に、光沢性樹脂層が透光性樹脂層である変色体の実施例を示す。
実施例201(図1参照)
支持体22として白色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm)上に、ピンク色の非変色性インキを用いて、全面にベタ印刷して着色層23を形成した。
次いで、前記着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層24を形成した。これとは別に、シリコーン系樹脂を表面にコートしたポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、透明なポリウレタン樹脂をグラビア印刷にて直径1.5mmのドット形状からなる透光性樹脂層を設けて転写シートを得た。転写シートの透光性樹脂層と前記多孔質層とを接合し、110℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、前記離型シートを剥離して、多孔質層上にドット形状の光沢性を有する透光性樹脂層25を設けて実施例201の変色体21を得た。
実施例201の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、透光性樹脂層の占有面積比率が、90%であった。
【0078】
実施例201の変色体は、乾燥状態では白色の生地上に透光性樹脂層による光沢を有するドット柄が視認された。多孔質層上から水を付着させると、透光性樹脂層が形成されていない多孔質層に水が浸透して透明化し、更に、透光性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するため、透光性樹脂層が形成されていない部分及び透光性樹脂層が形成された部分ともにピンク色へと変色し、光沢性を有した状態でピンク色のドット柄が視認された。水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々にピンク色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。前記様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに光沢性を有していた。
また、支持体の布帛の風合いも損なうことなく、透光性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光沢性を保持していた。
【0079】
実施例202
支持体として白色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm)上に、ピンク色、オレンジ色、ブルー色、ライトグリーン色からなる四色の非変色性インキを用いて、1cm幅の屈曲した帯状の像が互いに隣接配置された波模様の着色層(帯状非変色像)を形成した。次いで、着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。これとは別に、シリコーン系樹脂を表面にコートしたポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、透明なポリウレタン樹脂をグラビア印刷にて1辺が1.0mmの正六角形が隣接した状態になるように塗工して透光性樹脂層を設けて転写シートを得た。転写シートの透光性樹脂層と前記多孔質層と接合し、110℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して、多孔質層上に正六角形の光沢性を有する透光性樹脂層を設けて実施例202の変色体を得た。
実施例202の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、透光性樹脂層の占有面積比率が、95%であった。
【0080】
実施例202の変色体は、乾燥状態では白色の生地上に透光性樹脂層による光沢を有する正六角形が視認された。多孔質層上から水を付着させると、透光性樹脂層が形成されていない多孔質層に水が浸透して透明化し、更に、透光性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するため、透光性樹脂層を形成していない部分及び透光性樹脂層を形成した部分ともにピンク色、オレンジ色、ブルー色、ライトグリーン色に変化し、光沢性を有した状態で四色の波模様が視認された。水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々に四色の波模様は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。前記様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに光沢を有していた。
また、支持体の布帛の風合いも損なうことなく、透光性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光沢性を保持していた。
【0081】
実施例203
支持体として白色のポリエステルタフタ生地(目付量:80g/cm)上に、青色の非変色性インキを用いて、全面にベタ印刷して着色層を形成した。次いで、着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。これとは別に、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離形シート上に酢酸セルロース樹脂を全面ベタで塗布して厚さ0.5μmの透光性保護層を設け、透光性保護層上に透明なエチレン酢酸ビニル樹脂をグラビア印刷にてひび割れ模様になるように塗工して透光性樹脂層を設けて転写シートを得た。転写シートの透光性樹脂層と多孔質層と接合し、100℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して、多孔質層上に透光性保護層を備えたひび割れ模様の透光性樹脂層を設けて実施例203の変色体を得た。
実施例203の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、透光性樹脂層の占有面積比率が、70%であった。
【0082】
実施例203の変色体は、乾燥状態では白色の生地上に透光性樹脂層による光沢を有するひび割れ模様が視認された。多孔質層上から水を付着させると、透光性樹脂層が形成されていない多孔質層に水が浸透して透明化し、更に、透光性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するため、透光性樹脂層が形成されていない部分及び透光性樹脂層が形成された部分ともに青色へと変色し、光沢性を有した状態で青色のひび割れ模様が視認された。水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々に青色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。この様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに光沢性を有していた。
また、支持体の布帛の風合いも損なうことなく、透光性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光沢性を保持していた。
【0083】
実施例204
支持体として白色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm)上に、ピンク色の非変色性インキを用いて、全面にベタ印刷して着色層を形成した。次いで、着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。これとは別に、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離形シート上に酢酸セルロース樹脂を全面ベタで塗布して厚さ0.5μmの透光性樹脂層を設けて転写シートを得た。転写シートの透光性樹脂層と多孔質層と接合し、多孔質層のバインダー樹脂の軟化点以上の温度となる160℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して、多孔質層上に生地の凸部形状の透光性樹脂層を設けて実施例204の光沢性変色体を得た。
実施例204の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、透光性樹脂層の占有面積比率が、50%であった。
【0084】
実施例204の変色体は、乾燥状態では白色の生地上に透光性樹脂層による光沢性が視認された。多孔質層上から水を付着させると、透光性樹脂層が形成されていない多孔質層に水が浸透して透明化し、更に、透光性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するため、透光性樹脂層が形成されていない部分及び透光性樹脂層が形成された部分ともにピンク色へと変色し、光沢性を有した状態でピンク色が視認された。水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々にピンク色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。この様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに光沢を有していた。
また、支持体の布帛の風合いも損なうことなく、透光性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光沢性を保持していた。
【0085】
実施例205
支持体として白色のナイロンタフタ生地(目付量:80g/cm)上に、オレンジ色の非変色性インキを用いて、全面にベタ印刷して着色層を形成した。次いで、着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。これとは別に、シリコーン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、透明なアクリル樹脂をスクリーン印刷にて直径2.0mmのドット形状になるように印刷して乾燥硬化させて透光性樹脂層を設けて転写シートを得た。転写シートの透光性樹脂層と多孔質層と接合し、110℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して、多孔質層上にドット形状の光沢性を有する透光性樹脂層を設けて実施例205の変色体を得た。
実施例205の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、透光性樹脂層の占有面積比率が、30%であった。
【0086】
実施例205の変色体は、乾燥状態では白色の生地上に透光性樹脂層による光沢を有するドット柄が視認された。多孔質層上から水を付着させると、透光性樹脂層が形成されていない多孔質層に水が浸透して透明化し、更に、透光性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するため、透光性樹脂層が形成されていない部分及び透光性樹脂層が形成された部分ともにオレンジ色へと変色し、光沢性を有した状態でオレンジ色のドット柄が視認された。水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々にオレンジ色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。この様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに光沢性を有していた。
また、支持体の布帛の風合いも損なうことなく、透光性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光沢性を保持していた。
【0087】
実施例206
支持体として白色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm)上に、ピンク色の非変色性インキを用いて、全面にベタ印刷して着色層を形成した。次いで、着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。次いで、多孔質層上に、グラビア印刷にて透明なポリウレタン樹脂からなるキャンバス模様の透光性樹脂層を設けた。これとは別に、シリコーン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、アクリル樹脂を全面ベタ状態に塗工して透光性保護層を設けて転写シートを得た。転写シートの透光性保護層と透光性樹脂層と接合し、110℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して、多孔質層上に透光性保護層を備えたキャンバス模様の透光性樹脂層を有する実施例206の変色体を得た。
実施例206の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、透光性樹脂層の占有面積比率が、20%であった。
【0088】
実施例206の変色体は、乾燥状態では白色の生地上に透光性樹脂層による光沢を有するキャンバス模様が視認される。多孔質層上から水を付着させると、透光性樹脂層が形成されていない多孔質層に水が浸透して透明化し、更に、透光性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するため、透光性樹脂層が形成されていない部分及び透光性樹脂層が形成された部分ともにピンク色へと変色し、光沢性を有した状態でピンク色のキャンバス模様が視認された。水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々にピンク色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。この様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに光沢性を有していた。
また、支持体の布帛の風合いも損なうことなく、透光性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光沢性を保持していた。
【0089】
実施例207
支持体として黒色合成紙上に、低屈折率顔料として湿式法により製造される微粒子状珪酸〔商品名:ニップシールE-200A、日本シリカ工業(株)製〕15部、バインダー樹脂として水性ウレタン樹脂〔商品名:ハイドランAP-10、ポリエステル系ウレタン樹脂、固形分30%、大日本インキ化学工業(株)製〕50部、水30部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ増粘剤3部、エチレングリコール1部、エポキシ系架橋剤2部を均一に混合、攪拌した白色印刷用インキを用いて印刷を施して多孔質層を形成した。これとは別に、シリコーン系樹脂を表面にコートしたポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、透明なポリオレフィン樹脂をグラビア印刷にて直径1.5mmのドット形状になるように塗工して乾燥硬化させて透光性樹脂層を設けて転写シートを得た。転写シートの透光性樹脂層と多孔質層と接合し、70℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して、多孔質層上にドット形状の光沢性を有する透光性樹脂層を設けて実施例207の変色体を得た。
実施例207の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、透光性樹脂層の占有面積比率が、80%であった。
【0090】
実施例207の変色体は、乾燥状態では白地に透光性樹脂層による光沢を有するドット柄が視認された。多孔質層上から水を付着させると、透光性樹脂層が形成されていない多孔質層に水が浸透して透明化し、更に、透光性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するため、透光性樹脂層が形成されていない部分及び透光性樹脂層が形成された部分ともに黒色へと変色し、光沢性を有した状態で黒色のドット柄が視認される。
水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々に黒色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。この様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに光沢性を有していた。
また、透光性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光沢性を保持していた。
【0091】
実施例208
支持体として白色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm)上に、蛍光ピンク色、蛍光オレンジ色、蛍光バイオレット色、蛍光ライトグリーン色からなる四色の非変色性蛍光インキを用いて、1cm幅の屈曲した帯状の像が互いに隣接配置された波模様の着色層(帯状着色像)を形成した。次いで、着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。これとは別に、シリコーン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、透明なアクリル樹脂をグラビア印刷にて全面ベタ状態になるように印刷して乾燥硬化させて厚さ10μmの透光性樹脂層を設けて転写シートを得た。転写シートの透光性樹脂層と多孔質層とを接合し、多孔質層のバインダー樹脂の軟化点以上の温度となる160℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して、多孔質層上に生地の凸部と近似した形状であり、直径0.5mmの円に収まる大きさの透光性樹脂層を設けて実施例208の変色体を得た。
実施例208の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、透光性樹脂層の占有面積比率が、1%であり、多孔質層の任意の位置における1mm四方に対する、透光性樹脂層の占有面積比率も、1%であった。
【0092】
実施例208の変色体は、乾燥状態では白色の生地上に、透光性樹脂層による表面光沢が視認可能であった。多孔質層上から水を付着させると、透光性樹脂層が形成されていない部分の多孔質層が水を吸液して透明化して蛍光ピンク色、蛍光オレンジ色、蛍光バイオレット色、蛍光ライトグリーン色の波模様に変化し、蛍光色からなる鮮やかな波模様と透光性樹脂層による光沢を視認することが可能であった。水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々に鮮やかな波模様は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。この様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに均一な表面光沢を有していた。
また、透光性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光沢性を保持していた。
【0093】
実施例209
支持体として白色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm)上に、蛍光ピンク色、蛍光オレンジ色、蛍光バイオレット色、蛍光ライトグリーン色からなる四色の非変色性蛍光インキを用いて、1cm幅の屈曲した帯状の像が互いに隣接配置された波模様の着色層(帯状着色像)を形成した。次いで、着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。これとは別に、シリコーン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、透明なアクリル樹脂をグラビア印刷にて全面ベタ状態になるように印刷し乾燥硬化させて厚さ10μmの透光性樹脂層を設け、更に透光性樹脂層上に、ポリウレタン樹脂からなるホットメルト型の接着剤を全面ベタ状態に平均厚み3μmで塗布して転写シートを得た。転写シートの接着性樹脂層と多孔質層とを接合し、150℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して、多孔質層上に生地の凸部と近似した形状であり、直径0.5mmの円に収まる大きさの透光性樹脂層を設けて実施例209の変色体を得た。
実施例209の変色体は、多孔質層の任意の10箇所の1cm四方あたり、透光性樹脂層が形成された部分の面積比率は1cmあたり5%であり、多孔質層の任意の10箇所の1mm四方あたり、透光性樹脂層が形成された部分の面積比率も5%であった。
【0094】
実施例209の変色体は、乾燥状態では白色の生地上に、透光性樹脂層による表面光沢が視認された。多孔質層上から水を付着させると、透光性樹脂層が形成されていない部分の多孔質層が水を吸液して透明化して蛍光ピンク色、蛍光オレンジ色、蛍光バイオレット色、蛍光ライトグリーン色の波模様に変化し、蛍光色からなる鮮やかな波模様と透光性樹脂層による光沢が視認された。水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々に鮮やかな波模様は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。この様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに均一な表面光沢を有していた。
また、透光性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光沢性を保持していた。
【0095】
実施例210
支持体として白色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm)上に、蛍光ピンク色、蛍光オレンジ色、蛍光バイオレット色、蛍光ライトグリーン色からなる四色の非変色性蛍光インキを用いて、1cm幅の屈曲した帯状の像が互いに隣接配置された波模様の着色層(帯状着色像)を形成した。次いで、前記着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。これとは別に、シリコーン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、透明なアクリル樹脂をグラビア印刷にて全面ベタ状態になるように印刷し乾燥硬化させて厚さ10μmの透光性樹脂層を設け、更に前記透光性樹脂層上に、ポリウレタン樹脂からなるホットメルト型の接着剤を全面ベタ状態に平均厚み5μmで塗布して転写シートを得た。転写シートの接着性樹脂層と多孔質層とを接合し、180℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して、多孔質層上に生地の凸部と近似した形状であり、直径0.5mmの円に収まる大きさの透光性樹脂層を設けて実施例210の変色体を得た。
実施例210の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、透光性樹脂層の占有面積比率が、13%であり、多孔質層の任意の位置における1mm四方に対する、透光性樹脂層の占有面積比率も、13%であった。
【0096】
実施例210の変色体は、乾燥状態では白色の生地上に、透光性樹脂層による表面光沢が視認された。多孔質層上から水を付着させると、透光性樹脂層が形成されていない部分の多孔質層が水を吸液して透明化して蛍光ピンク色、蛍光オレンジ色、蛍光バイオレット色、蛍光ライトグリーン色の波模様に変化し、蛍光色からなる鮮やかな波模様と透光性樹脂層による光沢が明瞭に視認された。水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々に鮮やかな波模様は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。この様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに均一且つ明瞭な表面光沢を有していた。
また、透光性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光沢性を保持していた。
【0097】
実施例211
支持体としてピンク色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm)上に、色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(青色←→無色、15℃以下で青色、30℃以上で無色)10部、アクリル酸エステルエマルジョン(固形分50%)10部、シリコーン系消泡剤0.2部、水1部、エチレングリコール0.5部、増粘剤0.5部、イソシアネート系架橋剤0.5部を均一に混合攪拌してなる可逆熱変色性スクリーンインキを109メッシュのスクリーン版を用いて全面にベタ印刷を行ない、130℃にて5分間乾燥硬化させて可逆熱変色層(着色層)を形成した。前記、支持体と可逆熱変色層を積層した状態では、15℃以下に冷却すると支持体のピンク色と可逆熱変色層の青色が混色となった紫色が視認され、この色調は30℃未満の温度域で保持され、又、30℃以上に加温すると、可逆熱変色層が無色となり、支持体のピンク色が視認され、この色調は15℃を越える温度域で保持されるものであった。次いで、微粉末シリカ〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、アクリル酸エステルエマルジョン(固形分50%)30部、水50部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを180メッシュのスクリーン版を用いて、可逆熱変色層上に全面にベタ印刷し、130℃にて5分間乾燥硬化させて、乾燥状態で白色の多孔質層を形成した。これとは別に、シリコーン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、透明なアクリル樹脂をグラビア印刷にて全面ベタ状態になるように印刷し乾燥硬化させて厚さ10μmの透光性樹脂層を設け、更に透光性樹脂層上に、ポリウレタン樹脂からなるホットメルト型の接着剤を全面ベタ状態に平均厚み4μmで塗布して転写シートを得た。転写シートの接着性樹脂層と多孔質層とを接合し、180℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して、多孔質層上に生地の凸部と近似した形状であり、直径0.5mmの円に収まる大きさの透光性樹脂層を設けて実施例211の変色体を得た。
実施例211の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、透光性樹脂層の占有面積比率が、10%であり、多孔質層の任意の位置における1mm四方に対する、透光性樹脂層の占有積比率も、10%であった。
【0098】
実施例211の変色体は、乾燥状態且つ24℃の室温下では多孔質層の白色上に透光性樹脂層の表面光沢が明瞭に視認され、冷却或いは加温しても常に光沢を有していた。実施例211の変色体に15℃以下の冷水を付着させると多孔質層が水の付着により透明化して、下層の可逆熱変色層と支持体の色調が混色となった紫色に変色した。この紫色の変色体を24℃の室温下で放置したところ、水が付着した状態では、全面が紫色を呈していたが、水が蒸発するに従い、徐々に紫色から白色に戻り、乾燥状態に戻ると元の全面が白色となった。次に、この変色体に30℃以上の温水を付着させると、多孔質層が水の付着により透明化すると共に、可逆熱変色層が青色から無色に変色して全面がピンク色に変色した。このピンク色の変色体を24℃の室温下で放置したところ、水が付着した状態では、全面が光沢のあるピンク色を呈していたが、水が蒸発するに従い、徐々にピンク色から白色に戻り、乾燥状態に戻ると元の全面が白色となった。次に、15℃以下の冷水を付着させて紫色に変色させた状態から、変色体の一部に30℃以上の温水を付着させると紫色からピンク色に変化し、この状態は水が蒸発して乾燥状態になるまで保持していた。この様に、実施例211の変色体は、全面が光沢のある白色の状態から冷水又は温水の適用により、全面が光沢のある紫色、或いは光沢のあるピンク色に変色させることができ、乾燥させることにより、再び元の全面が光沢のある白色にすることができる多彩な色変化を示すことができ、この様相変化を可逆的に再現させることができる。
また、透光性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、光沢性を保持していた。
【0099】
実施例212
支持体としてピンク色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm2)上に、フォトクロミック化合物として1,3,3-トリメチルインドリノ-6′-(1-ピペリジニル)-スピロナフトオキサジン1部、スチレン-α-メチルスチレン共重合体〔理化ハーキュレス(株)製:ピコラスチックA-5〕30部をポリウレア樹脂からなるマイクロカプセル中に封入した光変色性顔料10部、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン58部、消泡剤3部、増粘剤1部、レベリング剤3部、防腐剤1部を均一に混合してフォトクロミック印刷インキを用い、全面ベタにてスクリーン印刷してフォトクロミック性を有する紫外線照射によって無色から紫色に変色する光変色層(着色層)を設けた後、前記光変色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水50部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1.5部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いてベタ印刷し、吸液状態と非吸液状態とで透明性を異にする多孔質層を形成した。これとは別に、シリコーン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、透明なアクリル樹脂をグラビア印刷にて全面ベタ状態になるように印刷し乾燥硬化させて厚さ10μmの透光性樹脂層を設け、更に透光性樹脂層上に、ポリウレタン樹脂からなるホットメルト型の接着剤を全面ベタ状態に平均厚み4μmで塗布して転写シートを得た。
転写シートの接着性樹脂層と多孔質層とを接合し、180℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して、多孔質層上に生地の凸部と近似した形状であり、直径0.5mmの円に収まる大きさの透光性樹脂層を設けて実施例212の変色体を得た。
実施例212の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、透光性樹脂層の占有面積比率が、10%であり、多孔質層の任意の位置における1mm四方に対する、透光性樹脂層の占有面積比率も、10%であった
【0100】
実施例212の変色体は、乾燥状態では白色の生地上に透光性樹脂層による表面光沢が視認された。多孔質層上から室内で水を付着させると、透光性樹脂層が形成されていない部分の多孔質層に水が浸透して透明化し、更に、透光性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するため、透光性樹脂層が形成されていない部分及び透光性樹脂層が形成された部分ともにピンク色に変化し、水が付着した個所は光沢のあるピンク色が明瞭に視認された。水が付着した状態は前記様相を示していたが、乾燥するにつれて徐々にピンク色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の光沢のある白色に戻った。この様相変化は繰り返し行うことができ、乾燥状態及び吸水状態ともに均一且つ明瞭な光沢性を有していた。
次いで、実施例212の変色体に軸筒内に水を収容可能に構成したペンで「1」の数字を描くと、透光性樹脂層が形成されていない部分の多孔質層に水が浸透して透明化し、更に、透光性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するため、透光性樹脂層が形成されていない部分及び透光性樹脂層が形成された部分ともにピンク色に変化し、光沢性を有するピンク色の「1」の数字が視認できた。
次いで、屋外に持ち出して太陽光に晒すと、多孔質層が透明化した部分の光変色層のみ変色するため、「1」の部分のみが赤紫色に変色した。次いで、暗所にて放置すると、再びピンク色の「1」に戻り、更に、乾燥によって水が蒸発すると元の光沢のある白色に戻り、この様相は繰り返し何度も行うことができた。
また、透光性樹脂層を指で擦過しても欠落することなく、明瞭な光沢を保持していた。
【0101】
比較例201
支持体として白色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm)上に、ピンク色の非変色性インキを用いて、全面にベタ印刷して着色層を形成した。次いで、着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。これとは別に、シリコーン系樹脂を表面にコートしたポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、透明なポリウレタン樹脂をグラビア印刷にて直径1.5mmの正方形ドット形状からなる透光性樹脂層を設けて転写シートを得た。転写シートの透光性樹脂層と多孔質層とを接合し、110℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して、多孔質層上にドット形状の光沢性を有する透光性樹脂層を設けて比較例201の変色体を得た。
比較例201の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、透光性樹脂層の占有面積比率が、99%であった。
【0102】
比較例201の変色体は、乾燥状態では白色の生地上に透光性樹脂層による光沢を有するドット柄が視認された。多孔質層上から水を付着させると、透光性樹脂層を形成していない多孔質層に水が浸透して透明化し、更に、透光性樹脂層の下部に位置する多孔質層も水の浸透によって透明化するものの、透光性樹脂層を形成した部分が多く、ピンク色に変色する箇所が少ないため、色変色を明瞭に視認することができなかった。
【0103】
比較例202
支持体として白色のT/C(65/35)ブロード生地(目付量:120g/cm)上に、蛍光ピンク色、蛍光オレンジ色、蛍光バイオレット色、蛍光ライトグリーン色からなる四色の非変色性蛍光インキを用いて、1cm幅の屈曲した帯状の像が互いに隣接配置された波模様の着色層(帯状着色像)を形成した。次いで、着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE-200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW-930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。これとは別に、シリコーン樹脂を表面に塗布した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる離型シート上に、透明なアクリル樹脂をグラビア印刷にて全面ベタ状態になるように印刷して乾燥硬化させて厚さ10μmの透光性樹脂層を設けて転写シートを得た。転写シートの透光性樹脂層と多孔質層とを接合し、多孔質層のバインダー樹脂の軟化点以上の温度となる160℃に加熱したロールで圧着して貼り合わせた後、離型シートを剥離して、多孔質層上に生地の凸部と近似した形状であり、直径0.5mmの円に収まる大きさの透光性樹脂層を設けて比較例202の変色体を得た。
比較例202の変色体は、多孔質層の任意の位置における1cm四方に対して、透光性樹脂層の占有面積比率が、0.5%であり、多孔質層の任意の位置における1mm四方に対する、透光性樹脂層の占有面積比率も、0.5%であった。
【0104】
比較例202の変色体は、乾燥状態で白色を呈しているものの、透光性樹脂層が形成された部分が少ないため、十分な光沢性を視認することはできなかった。
【符号の説明】
【0105】
11 変色体
12 支持体
13 着色層
14 多孔質層
15 接着性樹脂層
16 光輝性樹脂層
21 変色体
22 支持体
23 着色層
24 多孔質層
25 透光性樹脂層
図1
図2