(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022010043
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】レーザ加工機
(51)【国際特許分類】
B23K 26/142 20140101AFI20220106BHJP
【FI】
B23K26/142
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180538
(22)【出願日】2021-11-04
(62)【分割の表示】P 2017038084の分割
【原出願日】2017-03-01
(31)【優先権主張番号】16158135.0
(32)【優先日】2016-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】503168692
【氏名又は名称】バイストロニック レーザー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ オベルホルツァー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ヴゥートリッヒ
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD07
4E168FC01
4E168FC04
4E168HA05
4E168HA08
(57)【要約】
【課題】レーザ加工機を提供する。
【解決手段】レーザ加工ヘッド(12)と、加工対象の工作物(8)を支持するための支持面(A)を画定する支持格子(16)と、流体供給装置(21)と、流体除去装置(31)と、を備えるレーザ加工機(11)に関する。流体供給装置(21)と流体除去装置(31)は、支持格子(16)の支持面(A)の下に流体流れ(27)を発生させるように設計される。流体供給装置(21)は、レーザ加工ヘッド(12)と共に移動させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書記載の事項(追って補充する)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1の前提部分に記載のレーザ加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工中および特にレーザ切削中、レーザ加工機の集塵空間内には、例えば工作物の底に堆積する溶融した工作物の材料または粉塵等の排ガスや残留物が蓄積される。加工対象の工作物、例えば金属シートは、後の塗装の前に機械的クリーニングを行わなければ塗料が工作物に接着しなくなる程度に汚染される可能性がある。
【0003】
集塵空間内に蓄積される粉塵と排ガスを除去するために、電流が発生されるレーザ加工機が知られている。
【0004】
例えば、独国特許出願公開第102011050749A1号は、工作物の、レーザ加工ヘッドと対向する面に蓄積される残留物を吸い上げる吸引装置を備えるレーザ加工機を開示している。
【0005】
既知の解決策の欠点は、この吸引装置では、特に集塵空間内に蓄積される排ガスのうち除去できる量が限定的にすぎないことである。集塵空間内の残留物は、この既知の解決策ですべて除去できるとはかぎらない。
【0006】
例えば、国際特許出願公開第2015068649A1号は、レーザ加工ヘッドと、加工対象の工作物を支持するための支持面を画定する支持格子と、流体供給装置と、流体除去装置と、を有するレーザ加工機を開示している。流体供給装置と流体除去装置は、特に排ガスと粉塵を除去するために支持格子の支持面の下に流体流れ(ここでは気流)を発生させるように設計される。
【0007】
流れを発生させるためのエネルギー消費量を抑えるために、国際特許出願公開第2015068649A1号によるレーザ加工機の集塵空間には案内板が組み込まれ、これは集塵空間を集塵空間小区画に分割する。流体供給装置と流体除去装置が集塵空間小区画ごとに提供される。
【0008】
既知の解決策の欠点は、レーザ加工機および特に集塵空間の構成が原材料集約的であり、製造コストが高いことである。
【0009】
国際特許出願公開第2015068649A1号による集塵空間またはレーザ加工機の全長および全幅にわたり流体を供給することにより、大量のエネルギーが浪費されるが、それは、この場合、レーザ加工ヘッドが工作物を加工しない領域で流れが生成されるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許出願公開第102011050749A1号
【特許文献2】国際特許出願公開第2015068649A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、上述の欠点を持たず、エネルギー効率がよく、製造しやすい、特にそれと同時に排ガスと粉塵が十分に除去されることが確実なレーザ加工機、特にレーザ切削機を考案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、特許請求の範囲の独立項の特徴により達成される。その有利な発展形が図面と従属項に示されている。
【0013】
本発明によれば、少なくとも1つの流体供給装置はレーザ加工機と共に移動させることができる。
【0014】
少なくとも1つの流体供給装置は、流体供給部と、レーザ加工ヘッドの特定のストリーム幅をカバーする分配器と、流れの形状、流れの幅、流速に影響を与える少なくとも1つの流体用排出口と、を包含する。
【0015】
流体はそれゆえ、支持面の下で少なくとも1つの流体供給装置によって標的を絞った指向的な方法で供給されるため、流体は、残留物と排ガスの除去のためにそれが必要であり、有利な点として、それにとって最適な領域でのみ供給される。レーザ加工機の集塵空間内には、集塵空間から確実かつ単純に排煙するための追加の構造的手段も、あるいは限定的な構造的手段であっても、不要である。レーザ加工機の構造的構成の単純化に加えて、その制御に関する要求事項も軽減できる。
【0016】
標的を絞った流れはまた、集塵空間内の所謂死水域を回避する。
【0017】
指向的流れによって、ほとんどエネルギーを使わずに、流体の良好な流入と排ガスからの良好な分離を実現できる。集塵空間から効率的に排煙するとともに工作物の底と排ガスとの間に保護境界層が生じることから、工作物の底への望ましくない堆積が防止される。
【0018】
それに加えて、加工中に発生するスラグとレーザ加工から生じる液体工作物材料が直接冷却され、集塵空間に損傷を与えなくなる。さらに、本発明によるレーザ加工機の構成によって、より高出力(例えば、6kW以上)レーザの使用が可能となり、それは、レーザ出力の限界を決める損傷の影響が、生成された流れによって軽減されるからである。これは集塵空間への損傷の危険を実質的に低減させ、それゆえ、その使用適合期間が大幅に長くなる。
【0019】
少なくとも1つの流体除去装置は、有利な態様として、静止しており、それによってレーザ加工機を単純な構造と費用対効果の高い構成とすることができる。それに加えて、少なくとも1つの流体除去装置は、より少ないエネルギー消費で動作でき、それは、標的を絞った流れが排ガスを少なくとも1つの流体除去装置の方向に搬送するからである。
【0020】
少なくとも1つの流体除去装置は、有利な態様として、少なくとも1つのフィルタ要素を包含し、これは排ガスと切削粉塵の少なくとも一部を取り去り、それによってレーザ加工機周辺の汚染を防止するか、少なくとも実質的に減少させる。
【0021】
さらに、本発明によるレーザ加工機では、複数の弁と、これら複数の弁の制御が不要となり、それは、流体が区間ごとに供給されないからである。より単純な流体供給によって、その中に実質的な圧力損失が生じなくなり、これもまた、レーザ加工機のエネルギー消費にプラスの影響を与える。その結果、レーザ加工機のフレームに関して、流体を供給するための構造的再構成や特殊な構成が不要となる。レーザ加工機の構造全体が本発明の解決策により大幅に単純化され、これはその製造コストに有利な影響を与える。
【0022】
少なくとも1つの流体供給装置は、有利な態様として、レーザ加工ヘッドと共に、その移動方向に平行に移動させることができ、それによって少なくとも1つの流体供給装置とレーザ加工ヘッドは、相互に関して移動中に、空間的観点から一定の整列状態を有する。少なくとも1つの流体供給装置とレーザ加工ヘッドは、特に有利な態様として、相互に同時に移動される。
【0023】
このために、少なくとも1つの流体供給装置とレーザ加工ヘッドは、有利な態様として、構造的に設計された連結を有する。そのような構成では、流体供給部もまた構造的に単純化され、それは、流体ラインを連結部上またはその中に配置できるからである。
【0024】
それゆえ、流体ラインの全長もまた、従来の構成に比べて短縮でき、これは圧力条件に関して特にプラスの影響を有する。この目的のためには、例えば、固定された供給部が移動経路全体の中央に、またはその付近に提供される。
【0025】
流体供給装置と流体除去装置はどちらも、工作物の下から排ガスと粉塵を除去するために支持面の下に位置付けられ、レーザ加工ヘッドは流体供給装置を横切ることができる。これによって、排ガスと粉塵の除去が、先行技術によるレーザ加工機の場合より単純で、より効率的で、より完全となる。
【0026】
支持格子は好ましくはいくつかの格子要素を包含し、これらは相互に平行に位置付けられ、ある距離だけ離間されており、少なくとも1つの流体供給装置は、格子要素に平行に流れる流体流れを発生させるように設計される。その結果、これらの格子要素はその流れのための案内要素を含み、流体の供給と排ガスおよび残留物の除去もまた改善される。すべての格子要素は好ましくは、略同じ距離だけ離間される。試験の結果、残留物を除去するのに十分な流れは、最大で流体の量の12分の1で生成できることがわかった。
【0027】
少なくとも1つの流体供給装置とレーザ加工ヘッドは、好ましくは、支持格子に関して移動可能な共有のブリッジ上に配置される。ブリッジは、切削ブリッジとも呼ばれ、通常は支持格子にその方向に架けられ、加工のためにレーザ加工ヘッドを加工対象の工作物に関して位置決めする役割を果たす。少なくとも1つの流体供給装置をブリッジの上に配置することは、レーザ加工ヘッドを再位置決めしている間であっても、少なくとも1つの流体供給装置が最適な流れを生成するための所望の整列状態に確実に保持されるようにするための容易な方法である。流体供給部はまた、有利な態様として、ブリッジに固定される。
【0028】
代替的な実施形態において、少なくとも1つの流体供給装置が別のガイドの上に配置され、支持格子に沿って移動可能であり、この目的のために必要なコントローラが、有利な態様として、レーザ加工ヘッドのコントローラに連結され、または少なくともそれと同期される。これによってまた、少なくとも1つの流体供給装置とレーザ加工ヘッドは、これらが別々の構成であるにもかかわらず、確実に平行に移動できる。例えば、別のガイドはガイドレールを包含し、それに沿って、またはその上で少なくとも1つの流体供給装置が移動中に案内される。
【0029】
上述の変形型は何れも、工作物の下の少量の流体だけで、レーザ加工ヘッドの動作点の方向に指向的流れを生成させることを可能にできる。少なくとも1つの流体供給装置は好ましくは、支持格子の支持面に関して調整、例えば移動でき、それによって流体供給部と支持格子の支持面との間の距離を必要に応じて調整できる。対応する構造とそのためのコントローラの単純な構成を実現するには、少なくとも1つの流体供給装置を、有利な態様として、支持格子の支持面に垂直に旋回および/または移動させることができる。
【0030】
少なくとも1つの流体供給装置は好ましくは、少なくとも1つのノズルを有し、それによって流体の標的を絞った供給、ひいては指向的流れを容易に確保できる。
【0031】
本文中、「ノズル」という用語は、ある長さを有し、排出口を有する管状の装置を指す。ノズルの断面は全長にわたって同じ面積か、拡張するか、または先細となる。必要に応じて、ノズルはまた、より複雑な、および/または長さにわたって変化する断面形状を有していてもよい。断面自体は丸、円、または多角形の設計とすることができ、断面の長さと幅は相互に大きく異なる。特にノズルの排出口はスリットとしても構成できる。
【0032】
例えば、少なくとも1つのノズルを使い、生成される流れについて、要求事項と希望を反映させるように流れの形状、流れの幅、および/または流速に影響を与えることができる。
【0033】
少なくとも1つの流体供給装置は好ましくは、相互に隣り合わせに配置された、いくつかのノズルを有する。必要に応じて、ノズルはここでは、設計においてすべて同じまたは同様でも、設計において異なっていてもよい。指向的流れを確保する一方で、いくつかのノズルを使って、その幅を広くし、それによってレーザ加工ヘッドの下の、より大きい面積をカバーするようにすることができる。ノズルは、有利な態様として、支持格子が少なくとも1つの流体供給装置により生成される流れの進行に不利な影響を与えないように相互に離間される。
【0034】
ノズルのいくつかは好ましくは、共有の線の上に配置され、それによってより広い範囲の指向的流れを発生させることが容易となる。
【0035】
共有の線の上にいくつかのノズルが、支持格子の支持面に平行に延びるように整列される構成は、理想的な流れを発生させるのに特に有利であることがわかっている。
【0036】
少なくとも1つのノズルは好ましくは、支持格子の支持面の下に位置付けられ、それによって、生成された流れが加工対象の工作物の下で確実に進行することになる。
【0037】
いくつかのノズルを備える流体供給装置が提供される場合、すべてのノズルが、有利な態様として、支持格子の支持面の下に位置付けられ、それによって残留物を除去するのに有利な流れを生成できる。
【0038】
支持格子の支持面の下に位置付けられた少なくとも1つのノズルのほかに、少なくとも1つの追加のノズルを、1つの変形型においては、支持格子の支持面の上に位置付けて、それによって工作物の上にも流れを生成させ、例えば工作物の上の残留物除去をさらに支援するか、工作物の加工点を冷却することができる。
【0039】
相互に隣り合わせに配置された、いくつかのノズルは好ましくは、格子要素間の距離より短い距離だけ相互に離間される。これによって、すべてのノズルが格子のバーに対して吹き付けることができない。これはまた、流れがノズル領域内の格子のバー間のすべての区間を確実に通れるようにし、特に、ノズル距離が格子要素間の距離より大きい場合と対照的に、この領域内の何れの区間も流れを搬送できなかったり、流れの経路から省かれたりしない。すべてのノズルは、有利な態様として、相互にほぼ同じ距離だけ離間される。
【0040】
少なくとも1つのノズルは好ましくは、少なくとも1つの流体供給装置の中または上に交換可能に取り付けられ、これを必要に応じて交換または取り替えることができる。少なくとも1つのノズルは、しばらく使用すると摩耗する。交換可能であることによって、新しいノズルを別の構成要素として提供することができ、少なくとも1つの流体供給装置ごと交換しなくてもよい。それに加えて、ノズルの様々な種類および/または構成を少なくとも1つの流体供給装置の中または上に提供することができ、例えばこれは加工の種類、工作物の材料の種類、および/または流体の種類に基づいて選択される。
【0041】
少なくとも1つのノズルの形状と構成は、有利な態様として、レーザ加工ヘッドの作業領域内で、できるだけ指向的または幅広い流体供給を実現するような方法で選択される。実行される切削加工の種類によって、各種のノズル形状とノズル寸法を使用できる。
【0042】
少なくとも1つのノズルは好ましくは、少なくとも1つの流体供給装置の中または上に配置され、それは少なくとも1つの自由度で移動でき、その結果、振動流を発生させることができる。少なくとも1つのノズルは、有利な態様として、それが複数の自由度で移動可能に取り付けられ、それによって流れを複数の方向に発生させることができる。例えば、少なくとも1つのノズルは、有利な態様として、弾性取付本体、例えばエラストマまたはゴム材料から製作されたものの中に位置付けられる。柔軟な供給線を提供することがさらに有利であり、それによって、このような少なくとも1つのノズルの構成であっても、流体供給が確保される。
【0043】
少なくとも1つのノズルの整列は好ましくは、少なくとも1つの流体供給装置に関して設定でき、それによって流れを必要に応じて整列させることができ、工作物に関する流体にとって最適な入射角が実現できる。少なくとも1つの流体供給装置の他の設定装置は、自動式または手動式に設計される。
【0044】
流体を工作物の縁辺にできるだけ近い位置で導入して、十分な流体層(境界層)を工作物の底に生成でき、その一方で、工作物の上面への加工作業、例えば切削または挿入加工を妨害しないようにすることが特に有利であることがわかった。これは、少なくとも1つの整列可能なノズルで容易に実現できる。また、ガス供給部を金属シートの下に配置して、流体を金属シートの底に斜め上方に供給することが好都合でありうる。
【0045】
工作物のレーザ加工ヘッドに関する、またはレーザ加工ヘッドの工作物の位置決めによって、最適な流れのための最適な流入点がシフトする。この場合、流体供給部も相応に調整しなければならない。
【0046】
1つの変形型において、少なくとも1つのノズルだけでなく、少なくとも1つの流体供給装置全体を支持面に関して整列させることができ、それによって流れの進行を必要に応じて調整できる。
【0047】
供給される流体は好ましくはガスであり、それはガスが流体として供給しやすく、特に所望の流れを発生させるのに適しているからである。空気以外のガスも使用でき、ガスの種類によってさらなる利点が得られる。例えば、流体としての酸素は、レーザ切削中に切削加工を支援する。流体としての窒素もまた、レーザ切削中の不活性保護ガスとしての役割を果たす。
【0048】
また、流体としては、例えば排ガスと結合することによって特別な利点を提供する水蒸気も使用できる。
【0049】
例えば、流体、例えば空気はまた、受動的にも、すなわち、動作流体除去装置の効果のみを経ても供給できる。例えば、このために、流体除去装置は吸引装置および/または換気装置を包含する。受動的流体供給はまた、集塵空間内を負圧にすることによって発生させることもできる。有利な受動流体供給を実現するためには、例えば、少なくとも1つの流体供給装置が供給線を介して対応する流体(例えば空気)の標的を絞った供給を確保するための開口を有する。受動的流体供給により、従来の解決策と比較して、より多くのエネルギーを節約できる。
【0050】
ガス状流体は吹き込まれることが好ましく、すなわち、圧力を受けて集塵空間内に導入される。圧縮空気(加圧空気)が特に有利であることがわかっており、費用対効率の高い方法で提供でき、レーザ加工機が通常据え付けられる既存の基礎構造内の構成要素であることが多い。
【0051】
流体がパルス状に吹き込まれて、流れの層がシフトすることがさらに有利である。これによって、流れの層間の死水域をさらに回避できる。
【0052】
流体がダイナミックに、例えば切削計画に応じて、および/またはレーザ加工ヘッドの位置に応じて供給されることがさらに有利である。
【0053】
流体の圧力を調整するための少なくとも1つの流体調整装置が提供されることが好ましく、それを用いて排出される流体の量を、所望の流れを発生させ、調整するためのそれぞれの用途に応じて調整し、最適化できる。このようにして、例えば、工作物上の動作点からの距離に応じて圧力が変えられ、それによって加工が流体の供給によるマイナスの影響を受けない。
【0054】
その代わりに、またはそれに加えて、少なくとも1つの流体調整装置は流体流速を調整し、好ましい流れを容易に発生させ、調整することが可能となる。
【0055】
上述の手段はまた、加工作業および/または工作物の材料に応じて排出される流体の量を設定または変更するために使用できる。
【0056】
有利な態様として、流体の量はダイナミックに、さらに有利な態様としてはレーザ加工機のコントローラからのデータに基づいて調整される。
【0057】
保護装置は、少なくとも部分的に少なくとも1つの流体供給装置を加工作業中に発生する残留物および/または使用材料の飛散から保護し、それによって少なくとも1つの流体供給装置を特に汚染から保護し、それゆえそれにとっての使用適合期間が確実に長くなる。例えば、フラップ要素が提供され、これは少なくとも1つの流体供給装置の一部の少なくとも正面に、例えばそれが使用されていない時に位置付けられる。
【0058】
その代わりに、またはそれに加えて、ノズルクリーニング装置が少なくとも1つのノズルについて提供され、これによってその中に存在する汚染物がそこから除去される。少なくとも1つのノズルクリーニング装置は、有利な態様として、必要であれば少なくとも1つのノズルが自動的にクリーニングされるように設計される。例えば、ノズルクリーニング装置は少なくとも1つのブラシを包含し、例えばこれは、必要に応じて、休止位置から少なくとも1つのノズルのクリーニング位置へと移動させ、再び戻すことができる。
【0059】
少なくとも2つの流体供給装置が提供されることが好ましく、これは特に工作物が大型であるときに有利である。少なくとも2つの流体供給装置によって、これらの工作物にとっても、少ないエネルギー需要で最適な流れを発生させることが可能となる。このような構成では、少なくとも1つの流体除去装置は集塵空間の前側に、または中心、例えば集塵空間の中央に提供される。両側に流体供給を有する実施形態においては、パルス式供給がさらに、特に有益であることがわかっており、それは、それによって整列または広がりが異なる流れの層を生成できるからである。
【0060】
少なくとも2つの流体供給装置は、好ましくは、相互に対向するように配置されることが好ましく、それによって工作物の底の大きな長さまたは表面を、流れのためのわずかな流れの圧力で覆うことができる。
【0061】
例えば、少なくとも2つの流体供給装置は相互に関してずらされて、相互に反対に配置され、それによって、格子要素を持つある特定の支持格子では、工作物の下の排ガスを排除するための反対向きの流れを相互間に容易に生成できる。ここで、流体が少なくとも2つの流体供給装置のうちの一方によってそれぞれの側から交互に供給されることも想定可能である。
【0062】
あるいは、少なくとも2つの流体供給装置は相互に直接反対に配置され、これは集塵空間内に配置された少なくとも1つの流体除去装置を考えると有利である。
【0063】
例えば、少なくとも1つの流体除去装置の配置を集塵空間内の流れの条件に合わせて調整することによって、反対方向の流れが渦巻き領域を生じさせないようにすることができる。
【0064】
少なくとも2つの流体供給装置が相互に同期して移動し、生成された流れによる最適なカバー範囲を確保できることがさらに有利である。少なくとも2つの流体供給装置はこの場合、相互に構造的に連結し、および/またはブリッジ上に配置することができる。
【0065】
ある代替案において、少なくとも2つの流体供給装置は、相互に別々に移動させることができるが、有利な態様として、同期してのみ移動できるように各々が制御される。この目的のためには1つのコントローラを提供でき、いくつかのコントローラも提供できるが、その場合はこれらが相互に通信することが有利である。
【0066】
本発明のその他の利点、特徴、および詳細は、本発明の実施形態が図面に関して説明されている以下の説明から収集されるであろう。特許請求項と説明文に記載されている特徴はここでは、個別にも、または何れの組み合わせでも本発明にとって重要となりうる。
【0067】
特許請求項と図面の技術的内容と同様に、参照符号一覧も本開示の構成要素である。図面は一貫した包括的な方法で説明されている。同じ参照番号は同じ構成要素を指し、異なる添え字を伴う参照番号は、機能的に同じまたは同様の構成要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図5】本発明によるレーザ加工機の変形型の概略断面図である。
【
図6】
図2と同様の、流体供給装置の別の変形型の詳細図である。
【
図8】流体供給装置と支持格子の概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
図1~3に示されるレーザ加工機11は、レーザ加工ヘッドとしてのレーザ切削ヘッド12を備えるレーザ切削機である。レーザ加工機11は、支持格子16でカバーされる集塵空間15をさらに包含する。支持格子16は、加工対象の工作物8を支持するための支持面Aを画定する。支持格子16は、相互に平行で、相互に離間された、いくつかの格子要素17を包含する。
【0070】
レーザ切削ヘッド12は、ブリッジ14に配置される。レーザ切削ヘッド12を工作物8に関して位置決めするために、これをブリッジ14に沿って、およびブリッジ14と共にレーザ切削ヘッド12の移動方向(二重矢印22)に移動させることができる。エネルギーは、供給連鎖とも呼ばれるフレキシブルフィーダ13を介してレーザ切削ヘッド12に供給される。
【0071】
流体供給装置21と流体除去装置31がさらに提供され、これらは支持格子16の支持面Aの下で支持格子16の格子要素17に平行に流れる流体流れ27を発生させ、例えば排ガス28と粉塵を除去するように設計される。
【0072】
流体除去装置31は吸引管32を包含し、その中がほとんど負圧となる。その代わりに、またはそれに加えて、少なくとも1つの換気装置を提供でき、これは流体除去装置31の領域内に負圧を発生させる。
【0073】
流体供給装置21はレーザ加工ヘッド12と共に、その移動方向に平行移動できる。
図1に示される実施形態において、流体供給装置21は、このために、ブリッジ14に位置付けられ、その上にはレーザ加工ヘッド12も配置されている。
【0074】
流体供給装置21は、相互に隣り合わせに配置された、いくつかのノズル23を有し、これらは共有の線の上に位置付けられる。ノズル23は、支持格子16の支持面Aの下に配置される。
【0075】
各ノズル23は、流体供給装置21に交換可能に配置され、流体供給装置21または支持格子16の支持面Aに関するその整列状態が調節可能である(
図4参照)。
【0076】
供給される流体はガス、有利な態様としては空気である。空気はパルス式に吹き込まれる。空気は供給線25を介して流体供給装置21に供給され、その中で、供給路26を介してノズル23へと誘導される。例えば、供給路26はここでは、弁が採用され、個々のノズル23に流体を供給するか、またはそれらを流体から分離することができる。
【0077】
レーザ加工機11は、流体の圧力および/または流速を調整するための流体調整装置29をさらに有する。
【0078】
図6に示される流体供給装置36は、流体供給装置21と同様に設計されるが、別のガイド(ここでは、ガイドレール38)上に位置付けられる。流体供給装置36は、支持格子16に沿って、有利な態様としてはレーザ加工ヘッド12と共に移動させることができる。流体供給装置36は、支持格子16の支持面Aに関して二重矢印37の方向に例えば旋回または移動させて調整できる。
【0079】
図5によるレーザ加工機41においては、2つの流体供給装置51が提供され、これらは相互に反対に位置付けられ、相互に同期して移動できる。例えば、流体供給装置51は各々、上述の流体供給装置21と同様に設計される。各流体供給装置51は、それぞれの旋回軸52の周囲で旋回することができ、したがって、支持格子16の支持面Aに関して整列させることができる。加圧ガスが流体として使用され、レーザ加工機41のコンプレッサ56により供給される。
【0080】
さらに、各流体供給装置51のために、それぞれのフラップ形保護装置58が提供される。各保護装置58は別々に作動させることができ、それぞれの流体供給装置51の正面へと押さ動かされ、少なくとも部分的に、加工作業中に蓄積されるその残留物から保護する。
【0081】
流体除去装置61は、集塵空間15の中の中心に配置される。
【0082】
しかしながら、この集塵空間15はまた、いくつかの別々の区間に分割することもでき、すると、別々の流体除去装置は、有利な態様として、各区間の中に位置付けられる。
【0083】
指向的な流れの形成を支援するために、その、または各流体除去装置はまた、集塵空間15の、供給装置とは反対側に、好ましくはそれに平行に整列させて位置付けることもできる。
【0084】
図7に示される流体供給装置71において、ノズル73は、流体供給装置71の中または上で、有利な態様として、弾性取付本体、例えばエラストマ製本体の中に取り付けられる。流体の供給中に、ノズル73は複数の自由度に移動できる。
【0085】
図8に示される実施形態において、相互に隣り合わせに配置される流体供給装置81のいくつかのノズル83は各々、支持格子76の格子要素77間の距離Cより小さい距離aだけ離間される。
【0086】
図9による実施形態において、2つの流体供給装置91および96が提供され、これらは相互に反対に、相互に関してずらして位置付けられる。流体供給装置91のノズル93と流体供給装置96のノズル98は、支持格子16の格子要素17間に反対向きの流れが存在するように配置される。この例において、流体供給装置91および96は好ましくは相互に同期して移動される。
【0087】
「付記」
本出願に係る発明は、下記のような特徴を有する。
[付記1]
レーザ加工ヘッド(12)、特にレーザ切削ヘッドと、加工対象の工作物(8)を支持するための支持面(A)を画定する支持格子(16)と、少なくとも1つの流体供給装置(21、36、51)と、少なくとも1つの流体除去装置(31、61)と、を備えたレーザ加工機、特にレーザ切削機において、流体供給装置(21、36、51)と流体除去装置(31、61)は、支持格子(16)の支持面(A)の下に、特に排ガス(28)と粉塵を除去するための流体流れ(27)を発生させるように設計され、少なくとも1つの流体供給装置(21、36、51)は、レーザ加工ヘッド(12)と共に、好ましくはその移動方向に平行に移動できることを特徴とするレーザ加工機。
[付記2]
付記1に記載のレーザ加工機において、
支持格子(16)は、相互に平行で距離(C)だけ離れたいくつかの格子要素(17)を包含し、少なくとも1つの流体供給装置(21、36、51)は、格子要素(17)に平行に流れる流体流れ(27)を発生させるように設計されることを特徴とするレーザ加工機。
[付記3]
付記1または2に記載のレーザ加工機において、
少なくとも1つの流体供給装置(21、51)とレーザ加工ヘッド(12)は、共有のブリッジ(14)上に配置され、支持格子(16)に相対的に移動できることを特徴とするレーザ加工機。
[付記4]
付記1または2に記載のレーザ加工機において、
少なくとも1つの流体供給装置(36)は別のガイド(38)上に配置され、支持格子(16)に沿って移動できることを特徴とするレーザ加工機。
[付記5]
付記1~4のうちの1つに記載のレーザ加工機において、
少なくとも1つの流体供給装置(36)は、支持格子(16)の支持面(A)に相対的に調整できることを特徴とするレーザ加工機。
[付記6]
付記1~5のうちの1つに記載のレーザ加工機において、
少なくとも1つの流体供給装置(21、36、51)は、少なくとも1つのノズル(23)を有することを特徴とするレーザ加工機。
[付記7]
付記1~5のうちの1つに記載のレーザ加工機において、
少なくとも1つの流体供給装置(21、36、51)は、相互に隣り合わせに配置されるいくつかのノズル(23)を有し、ノズル(23)のいくつかは好ましくは共有の線の上に配置され、共有の線が支持格子(16)の支持面(A)に平行に延びるように整列されることがさらに有利であることを特徴とするレーザ加工機。
[付記8]
付記7に記載のレーザ加工機において、
相互に隣り合わせに配置された、いくつかのノズル(83)は、格子要素(77)間の距離(C)より小さい距離(a)だけ離間されることを特徴とするレーザ加工機。
[付記9]
付記6~8のうちの1つに記載のレーザ加工機において、
少なくとも1つのノズル(23)は少なくとも1つの流体供給装置(21)の中または表面に交換可能に配置されることを特徴とするレーザ加工機。
[付記10]
付記6~9のうちの1つに記載のレーザ加工機において、
少なくとも1つのノズル(23)は少なくとも1つの流体供給装置(21)の中または表面に、それが少なくとも1つの自由度で移動できるように配置されることを特徴とするレーザ加工機。
[付記11]
付記6~10のうちの1つに記載のレーザ加工機において、
少なくとも1つのノズル(23)の整列は少なくとも1つの流体供給装置(21)に相対的に設定できることを特徴とするレーザ加工機。
[付記12]
付記1~11のうちの1つに記載のレーザ加工機において、
供給される流体がガスであり、これは好ましくは吹き込むことができ、さらに好ましくはパルス式に吹き込むことができることを特徴とするレーザ加工機。
[付記13]
付記1~12のうちの1つに記載のレーザ加工機において、
流体の圧力および/または流体の流速を調整するために、少なくとも1つの流体調整装置(29)が提供されることを特徴とするレーザ加工機。
[付記14]
付記1~13のうちの1つに記載のレーザ加工機において、
少なくとも部分的に、少なくとも、少なくとも1つの流体供給装置(51)を加工作業中に蓄積される残留物から保護するための保護装置(58)が提供されることを特徴とするレーザ加工機。
[付記15]
付記1~14のうちの1つに記載のレーザ加工機において、
少なくとも2つの流体供給装置(51)が提供され、これらは好ましくは相互に反対に、相互にずらして設置されるか、相互に直接反対に設置され、さらに、好ましくは相互に同期して移動できることを特徴とするレーザ加工機。
【符号の説明】
【0088】
8 工作物、11 レーザ加工機、12 レーザ加工ヘッド、13 フレキシブルフィーダ、14 ブリッジ、15 集塵空間、16 支持格子、17 格子要素、21 流体供給装置、22 二重矢印、23 ノズル、25 供給線、26 供給路、27 流体流れ、28 排ガス、31 流体除去装置、32 吸引管、36 流体供給装置、37 二重矢印、38 ガイド、A 16の支持面、C 77の距離、a 83の距離、41 レーザ加工機、51 流体供給装置、52 旋回軸、56 コンプレッサ、58 保護装置、61 流体除去装置、71 流体供給装置、72 貯蔵本体、73 ノズル、76 支持格子、77 格子要素、81 流体供給装置、83 ノズル、91 流体供給装置、93 ノズル、96 流体供給装置、98 ノズル。