(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100458
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】二重容器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/54 20060101AFI20220629BHJP
B65D 25/04 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
B65D25/54
B65D25/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214437
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】梶 温美
【テーマコード(参考)】
3E062
【Fターム(参考)】
3E062AA01
3E062AA04
3E062AB01
3E062AB08
3E062AC01
3E062EC04
3E062FA01
3E062FB03
3E062FC05
3E062MA03
3E062MA07
(57)【要約】
【課題】二重容器において、外観のデザインの自由度が高く、容器を開放することなく収容物の収容量を容易に確認できるようにする。
【解決手段】二重容器10は、少なくとも一部に内部が視認可能な光透過部を有し、内部に収容物Mを収容可能な第1容器部1と、第1容器部1を内側に収容した状態で第1容器部1を固定する外装体であり、光透過部に近接して配置され光透過部を通して内部を目視観察可能な開口部3dが形成され、開口部3dを除いて第1容器部1を囲む第2容器部2と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部に内部が視認可能な光透過部を有し、前記内部に収容物を収容可能な第1容器部と、
前記第1容器部を内側に収容した状態で前記第1容器部を固定する外装体であり、前記光透過部に近接して配置され前記光透過部を通して前記内部を目視観察可能な開口部が形成され、前記開口部を除いて前記第1容器部を囲む第2容器部と、
を備える、二重容器。
【請求項2】
前記第2容器部は、光透過性を低減する着色材料を含む不透明体で形成されている、
請求項1に記載の二重容器。
【請求項3】
前記第2容器部は、前記開口部の縁に沿って設けられ、前記開口部の近傍の剛性を高める補強部を有する、
請求項1または2に記載の二重容器。
【請求項4】
前記補強部は、前記開口部の前記縁から前記第1容器部の前記光透過部に向かって延びる壁体を有する、
請求項3に記載の二重容器。
【請求項5】
前記壁体は、前記光透過部に当接している、請求項4に記載の二重容器。
【請求項6】
前記第1容器部は、有底の筒状体であり、
前記光透過部は、少なくとも前記筒状体の底部に設けられている、
請求項1~5のいずれか1項に記載の二重容器。
【請求項7】
前記第1容器部の外周部には、前記第1容器部の内部と前記第2容器部の内部とに連通し、前記収容物が揮発または溶出によって移動可能な第1貫通孔が形成されており、
前記第2容器部の外周部には、前記第2容器部の外部と連通し、前記第1貫通孔を通して移動した前記収容物が前記外部に移動可能な第2貫通孔が形成されており、
前記第2貫通孔は、前記開口部よりも前記光透過部から遠い位置に形成されており、
前記外部から前記光透過部に向かって見たとき、前記第2貫通孔の大きさは、前記前記開口部の大きさよりも小さい、
請求項1~6のいずれか1項に記載の二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
収容物を収容する容器において、収容物の残量を確認できるように、容器本体に開口を設けたり、容器を透明または半透明にしたりすることが提案されている。
例えば、特許文献1に記載の芳香剤容器は、容器本体に設けられた開口を通して、内部に収容された芳香剤の残量が確認できる。
例えば、特許文献2に記載の揮散装置は、揮発性の液体製剤を収容した透明または半透明な容器を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2761821号公報
【特許文献2】特許第4761920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術には以下のような問題がある。
例えば、特許文献1のように、容器本体に開口を設ける場合、収容物が外部に飛び出さないように、開口の大きさを収容物よりも小さくする必要がある。このため、開口が狭くなるので、内部の残量を容易には確認できない可能性がある。
さらに容器本体に開口を設けると、外力が作用した場合に、容器本体が開口から破損する可能性がある。
例えば、特許文献2のように、容器本体を透明または不透明にする場合、容器本体に不透明な装飾を設けることができないので、デザイン性に欠け、他の容器と外観が似通ってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、外観のデザインの自由度が高く、容器を開放することなく収容物の収容量を容易に確認できる二重容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様の二重容器は、少なくとも一部に内部が視認可能な光透過部を有し、前記内部に収容物を収容可能な第1容器部と、前記第1容器部を内側に収容した状態で前記第1容器部を固定する外装体であり、前記光透過部に近接して配置され前記光透過部を通して前記内部を目視観察可能な開口部が形成され、前記開口部を除いて前記第1容器部を囲む第2容器部と、を備える。
【0007】
上記二重容器においては、前記第2容器部は、光透過性を低減する着色材料を含む不透明体で形成されていてもよい。
【0008】
上記二重容器においては、前記第2容器部は、前記第2容器部は、前記開口部の縁に沿って設けられ、前記開口部の近傍の剛性を高める補強部を有してもよい。
【0009】
上記二重容器においては、前記補強部は、前記開口部の前記縁から前記第1容器部の前記光透過部に向かって延びる壁体を有してもよい。
【0010】
上記二重容器においては、前記壁体は、前記光透過部に当接していてもよい。
【0011】
上記二重容器においては、前記第1容器部は、有底の筒状体であり、前記光透過部は、少なくとも前記筒状体の底部に設けられていてもよい。
【0012】
上記二重容器においては、前記第1容器部の外周部には、前記第1容器部の内部と前記第2容器部の内部とに連通し、前記収容物が揮発または溶出によって移動可能な第1貫通孔が形成されており、前記第2容器部の外周部には、前記第2容器部の外部と連通し、前記第1貫通孔を通して移動した前記収容物が前記外部に移動可能な第2貫通孔が形成されており、前記第2貫通孔は、前記開口部よりも前記光透過部から遠い位置に形成されており、前記外部から前記光透過部に向かって見たとき、前記第2貫通孔の大きさは、前記前記開口部の大きさよりも小さくてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の二重容器によれば、外観のデザインの自由度が高く、容器を開放することなく収容物の収容量を容易に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る二重容器の一例を示す模式的な斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る二重容器の第1変形例を示す模式的な断面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る二重容器の第2変形例を示す模式的な断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る二重容器の第3変形例を示す模式的な断面図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る二重容器の一例を示す模式的な斜視図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態に係る二重容器の一例を示す模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0016】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る二重容器について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る二重容器の一例を示す模式的な斜視図である。
図2は、
図1におけるF2-F2断面図である。
【0017】
図1に示すように本実施形態の二重容器10は、第1容器部1と、第2容器部2と、を備える。
図2に示すように、第1容器部1は、少なくとも一部に内部が視認可能な光透過部を有し、内部に収容物Mが収容可能である。
図2に示す例では、第1容器部1の形状は、底面部1aと、底面部1aの外縁から延びる円筒部1bと、を有する有底円筒形である。円筒部1bの外周部において底面部1aと反対側の端部には、第2容器部2に係止するための係止突起1cが設けられている。
係止突起1cは、円筒部1bの全周に設けられてもよいし、周方向において離れた複数箇所に設けられてもよい。
第1容器部1は、例えば、透明または半透明な樹脂材料からなる成形品である。このため、本実施形態では、第1容器部1の全体が光透過部である。
ただし、第1容器部1における光透過性の度合いは、場所によって異なっていてもよい。この場合、底面部1aの光透過性が最も良好であることがより好ましい。
【0018】
収容物Mの形態および種類は、第1容器部1の内部に収容可能であれば、特に限定されない。
例えば、収容物Mは固体でもよいし液体でもよい。例えば、収容物Mはゲル、ゾルなどでもよい。
図2に示す例では、収容物Mは、粒状の固体である。
【0019】
第2容器部2は、第1容器部1を内側に収容した状態で第1容器部1を固定する外装体である。第2容器部2の外形は特に限定されないが、
図1、2に示す例では、第1容器部1を内側に収容する直方体である。第2容器部2の高さは、第1容器部1の円筒部1bをその長さ方向において挟むことができる高さである。
第2容器部2における高さ方向から見た外形は、例えば、正方形である。第1容器部1は、高さ方向から見た第2容器部2の中心部に収容されている。
以下では、第2容器部2を
図2の上から下に向かって見ることを、平面視と称する。
【0020】
第2容器部2は、第1外装部材3と、第2外装部材4と、を有する。
第1外装部材3と、第2外装部材4と、は、いずれも一方に開口が形成された直方体状の箱形である。第1外装部材3と、第2外装部材4とは、それぞれの開口において互いに嵌合しており、全体として、第2容器部2の直方体型の外形を形成する。
【0021】
第1外装部材3は、底面部3aと、底面部3aの外周部から延びる側面部3bと、を有し、図示下方に開口する箱形である。
底面部3aは、第1容器部1の底面部1aに対向している。平面視における底面部3aの中心部には、底面部3aから底面部1aに向かって突出する円筒形の補強部3cが形成されている。補強部3cの突出高さと、径方向の厚さとは、必要な剛性および強度に応じて決められればよい。例えば、補強部3cの径方向の厚さは、底面部3aの厚さと同じでもよいし、異なっていてもよい。
補強部3cの内側には、底面部3aを貫通する円筒面状の開口部3dが形成されている。このため、補強部3cは、底面部3aを貫通する開口部3dに沿って、底面部3aの端縁が折り曲げられたような凸形状を形成している。
補強部3cの突出方向の先端における開口部3dの内径は、底面部1aの外径よりも小さい。
補強部3cの突出方向の基端は、円弧状の丸みを帯びて、底面部3aの表面に滑らかに接続している。このため、開口部3dの内径は、補強部3c基端部では、外側に向かって漸次拡径している。
【0022】
開口部3dの大きさは、底面部1aを通して、第1容器部1の内部における収容物Mが目視観察でき、収容物Mの収容量が視認できれば特に限定されない。
例えば、開口部3dの内径は、5.0mm以上であることがより好ましい。
【0023】
補強部3cの突出方向の先端は、底面部1aに当接している。このため、開口部3dは、光透過部である底面部1a上において開口している。
補強部3cは、底面部3aから内側に突出しているので、単に底面部3aに貫通孔が形成された場合に比べて、底面部3aにおける開口部3dの近傍の剛性を高めている。さらに、補強部3cが底面部1aに当接することで、底面部3aが外から外力を受けても、開口部3dの近傍における底面部3aの変形が抑制される。
【0024】
第1外装部材3の開口を形成する側面部3bの内周部には、第2外装部材4と凹凸嵌合する嵌合部3eが形成されている。嵌合部3eの形状は、第2外装部材4に設けられた嵌合部と凹凸嵌合できれば、特に限定されない。
図2に示す例では、嵌合部3eは、側面部3bの内周面に形成された凹部である。嵌合部3eは、側面部3bの内周部の全周にわたって形成されていてもよいし、周方向において離れた位置に形成されてもよい。
【0025】
第1外装部材3は、開口部3dを除いて第1容器部1を囲んでいる。
第1外装部材3は、開口部3dを除いて第1容器部1の内部が見えにくい状態で、第1容器部1を囲むことがより好ましい。
例えば、第1外装部材3は、光透過性を低減する着色材料を含む樹脂の成形品などの不透明体で形成されてもよい。
例えば、第1外装部材3は、光透過性を有する成形品の表面に光透過性を低減する印刷層が形成された不透明体であってもよい。
例えば、第1外装部材3は、透明または半透明な材料で形成され、外周面および内周面の少なくとも一方に透過光を散乱する凹凸形状が形成された実質的な不透明体で形成されてもよい。
例えば、第1外装部材3は、開口部3dを除く全体が不透明体であってもよいし、第1容器部1の内部を目視観察しにくい透明部を含む部分的な不透明体であってもよい。
ここで、「透明部」は、光透過性が良好な部位を意味しており、透明な場合と、半透明な場合と、を含んでいる。「透明部」は、例えば、可視光の透過率が70%以上100%以下の部位である。「第1容器部1の内部を目視観察しにくい」とは、透明部を通して第1容器部1の内部を目視観察できない場合と、目視観察できても収容物Mの残量の確認が困難な場合と、を含む。
例えば、第1容器部1における光透過部と対向しない位置に形成された透明部は、大きさによらず、第1容器部1の内部を目視観察できない透明部である。
例えば、第1容器部1における光透過部と対向する位置に形成された透明部では、目視観察のしにくさは、透明部の大きさと、第1容器部1の光透過部からの距離と、によって決まる。
例えば、透明部の大きさを規定する内接円の直径が5.0mm以下の場合、光透過部からの距離によらず目視観察しにくい。ここで、透明部の内接円の直径は、第1外装部材3の外部から第1容器部1における光透過部を見る方向における透明部の大きさに基づく。
【0026】
第2外装部材4は、底面部4aと、底面部4aの外周部から延びる側面部4bと、を有し、図示上方に開口する箱形である。
底面部4aは、第1容器部1における底面部1aと反対側の端部と対向している。平面視における底面部4aの中心部には、円筒部1bの外側から係止突起1cに係止する係止爪4dが突出している。係止爪4dは、係止突起1cに係止できる適宜の位置に複数個設けられている。底面部4aにおいて各係止爪4dの内側には、係止爪4dにおけるアンダーカット形状を解消するための孔部4eが形成されている。
第1容器部1の係止突起1cが係止爪4dに係止することによって、第1容器部1が第2外装部材4に固定される。これにより、第2外装部材4における第1容器部1の位置が固定される。第1容器部1が第2外装部材4に固定された状態では、底面部1aと反対側の端面1dが、孔部4eよりも内側の底面部4aの内周面上に当接している。このため、第1容器部1における底面部1aと反対側の開口は底面部4aによって閉じられる。収容物Mは第1容器部1の内部に収容される。
【0027】
第2外装部材4の開口を形成する側面部4bの外周部には、第1外装部材3の嵌合部3eと凹凸嵌合する嵌合部4cが形成されている。嵌合部4cの形状は、嵌合部3eと凹凸嵌合できれば、特に限定されない。
図2に示す例では、嵌合部4cは、側面部4bの外周部に形成された凸部である。嵌合部4cは、側面部4bの外周部の全周にわたって形成されていてもよいし、周方向において離れた位置に形成されてもよい。
【0028】
第2外装部材4は、第1外装部材3と嵌合した状態で、第1外装部材3とともに、第1容器部1を囲んでいる。
第2外装部材4は、第1外装部材3と同様、第1容器部1の内部が見えにくい状態で、第1容器部1を囲むことがより好ましい。
例えば、第2外装部材4は、光透過性を低減する着色材料を含む樹脂の成形品などの不透明体で形成されてもよい。
例えば、第2外装部材4は、光透過性を有する成形品の表面に光透過性を低減する印刷層が形成された不透明体であってもよい。
例えば、第2外装部材4は、透明または半透明な材料で形成されていても、外周面および内周面の少なくとも一方に透過光を散乱する凹凸形状が形成された実質的な不透明体で形成されてもよい。
例えば、第2外装部材4は、全体が不透明体であってもよいし、第1容器部1の内部を目視観察しにくい透明部を含む部分的な不透明体であってもよい。
【0029】
図2に示すように、二重容器10は、第1容器部1に収容物Mを入れて、係止爪4dを係止突起1cに係止し、第2外装部材4に第1容器部1を固定した後、第2外装部材4に第1外装部材3を嵌合させることによって、組み立てられる。
二重容器10が組み立てられた状態(組立状態)では、第1容器部1の高さ方向の両端部は、底面部4aと補強部3cとに当接した状態で、底面部4aと補強部3cとに挟まれている。
第2容器部2の内部において、円筒部1bの外側には、第2容器部2によって閉じられた空間Sが形成されている。
例えば、収容物Mが微粒子または液体からなる場合には、収容物Mが第1容器部1から空間Sに漏れないように、端面1dと底面部4aとの間にパッキンが配置されてもよい。
【0030】
第1容器部1を第2外装部材4から取り外すには、例えば、二重容器10の組立状態から、側面部4bを内側に押す。これにより、嵌合部3e、4cの嵌合が解除されるので、第1外装部材3を取り外すことができる。この後、係止突起1cと係止爪4dとの係止を解除する。これにより、第1容器部1を第2容器部2から取り外すことができる。この後、第1容器部1内の収容物Mを、詰め替えたり補充したりすることが可能である。
【0031】
組立状態の二重容器10によれば、収容物Mを収容した第1容器部1が第2容器部2の内部に保持されている。第1容器部1は、第2容器部2と空間Sを隔てて第2容器部2の内側に位置するので、例えば、二重容器10に外力が加わった際に、第1容器部1および第1容器部1内の収容物Mが損傷することを防止できる。
特に、開口部3dに外力が作用すると、開口部3dから底面部3aが損傷する可能性がある。本実施形態では、開口部3dに沿って補強部3cが形成されているので、開口部3dおよび開口部3dの近傍の底面部3aの損傷が抑制される。
さらに、補強部3cが底面部1aに当接した状態で二重容器10が組み立てられているので、外力が作用した際に底面部3aの変形が抑制される点でも、開口部3dの近傍が損傷しにくくなっている。
【0032】
第1容器部1の光透明部である底面部1aには、開口部3dが臨んでいる。これにより、二重容器10のユーザは、二重容器10を分解することなく、開口部3dおよび底面部1aを通して、第1容器部1の内部を目視観察可能である。例えば、ユーザは、第1容器部1の内部を見て、収容物Mの有無や残量を知ることができる。
特に補強部3cと底面部3aとのなす角部は丸みが付いているので、開口部3dを外から見るとき、底面部1aの法線に対する斜め方向から見ても、底面部1aが見えやすい。
【0033】
第2容器部2は、開口部3dを除いて第1容器部1を覆っている。
このため、第2容器部2が透明体からなる場合でも、第2容器部2を通して見た第1容器部1は、開口部3dを通して第1容器部1を直接的に見る場合に比べて、見えにくくなっている。
特に、第2容器部2が不透明体で形成されると、開口部3dを除いて第1容器部1の内部が見えなくなるので、より好ましい。
この場合、例えば、開口部3dが形成された底面部3aを配置面または壁面に向けて、二重容器10を配置すれば、外から第1容器部1が全く見えないようにすることもできる。
図1に示すように、開口部3dを上に向けて二重容器10を配置する場合には、第1容器部1が見えるのは開口部3dを通した場合に限られる。このため、第1容器部1よりも第2容器部2の方が目立つ。
このように、第2容器部2が不透明体の場合には、二重容器10の主要な外観は、第2容器部2によって形成される。
第2容器部2として不透明体を用いる場合、二重容器10の外観のデザインの自由度が特に高い。このため、第2容器部2を透明体で形成する場合に比べて、二重容器10の外観を向上できる。
第2容器部2が透明体で形成される場合でも、第2容器部2の外形のデザインや第2容器部2の一部に不透明体を配置する等の装飾が可能なので、第1容器部1の全体がむき出しの場合に比べると、二重容器10の外観のデザインの自由度が高い。
【0034】
以上説明したように、本実施形態の二重容器10によれば、外観のデザインの自由度が高く、容器を開放することなく収容物の収容量を容易に確認できる。
【0035】
[第1変形例]
本実施形態の第1変形例を説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る二重容器の第1変形例を示す模式的な断面図である。
図3に示すように、本変形例の二重容器10Aは、第1の実施形態における第1外装部材3に代えて第1外装部材3Aを備える。
以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0036】
第1外装部材3Aは、第1外装部材3の開口部3d、補強部3cに代えて、開口部3f、補強部3gを備える。第1外装部材3Aは、第1外装部材3と同様にして、図示略の第2外装部材4と嵌合し、第2容器部2Aの一部を構成する。
【0037】
開口部3fは、底面部3aにおいて、底面部1aと対向する位置に貫通された貫通孔である。開口部3fの好ましい内径は、開口部3dと同様である。
補強部3gは、開口部3fの内周面よりも外側の底面部3aの表面から底面部1aに向かって突出する円筒形に形成されている。底面部3aの内面から測った補強部3gの高さはh1である。
補強部3gの突出方向の先端は、底面部1aに当接している。このため、開口部3fは、光透過部である底面部1aからh1だけ離れた位置に開口している。
補強部3gの高さh1は、必要な補強効果が得られるとともに、開口部3fを通した目視観察がしにくくならない大きさとされる。
補強部3gの径方向の厚さは、補強部3cと同様、必要な剛性および強度に応じて決められればよい。
【0038】
補強部3gは、底面部3aから内側に突出しているので、底面部3aにおける開口部3fの近傍の剛性を高めている。さらに、補強部3gが底面部1aに当接することで、底面部3aが外から外力を受けても、開口部3fの近傍における底面部3aの変形が抑制される。
【0039】
二重容器10Aは、開口部3fが、底面部1aからh1だけ離れた位置に開口していることと、補強部3gが開口部3fの内縁よりも外側に設けられている以外は、二重容器10と同様に構成されている。
このため、二重容器10Aによれば、二重容器10と同様に、外観のデザインの自由度が高く、容器を開放することなく収容物Mの収容量を容易に確認できる。
また、二重容器10Aによれば、補強部3gの形状に応じて、開口部3fおよび開口部3fの近傍の底面部3aを補強できる。
【0040】
[第2変形例]
本実施形態の第2変形例を説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る二重容器の第2変形例を示す模式的な断面図である。
図4に示すように、本変形例の二重容器10Bは、第1の実施形態における第1外装部材3に代えて第1外装部材3Bを備える。
以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0041】
第1外装部材3Bは、第1外装部材3の開口部3d、補強部3cに代えて、開口部3i、補強部3hを備える。第1外装部材3Bは、第1外装部材3と同様にして、図示略の第2外装部材4と嵌合し、第2容器部2Bの一部を構成する。
【0042】
開口部3iは、底面部3aにおいて、底面部1aと対向する位置に貫通された貫通孔である。開口部3iの好ましい内径は、開口部3dと同様である。
補強部3hは、開口部3iの内周面から底面部3aよりも外側に向かって突出する略円筒形に形成されている。底面部3aの外面から測った補強部3hの高さはh2である。
本変形例では、補強部3hは底面部3aの内側に突出していないので、底面部3aの内面は、底面部1aに当接している。このため、開口部3iは、開口部3dと同様、光透過部である底面部1a上に開口している。
補強部3hの高さh2は、必要な補強効果が得られるとともに、開口部3iを通してする目視観察がしにくくならない大きさとされる。
本実施形態では、開口部3iよりも外側の補強部3hの内周部には、底面部3aから外側(図示上側)に向かうにつれて開口部3iの径方向外側に向かって傾斜する傾斜面3jが形成されている。すなわち、補強部3hの内側には、開口部3iから漸次拡径するすり鉢状の内周面が形成されている。これにより、開口部3iを外から見るとき、底面部1aの法線に対する斜め方向から見ても、底面部1aが見えやすい。
【0043】
補強部3hは、底面部3aから外側に突出しているので、底面部3aにおける開口部3iの近傍の剛性を高めている。
【0044】
二重容器10Bは、補強部3hが底面部3aの外側に突出している以外は、二重容器10と同様に構成されている。
このため、二重容器10Bによれば、二重容器10と同様に、外観のデザインの自由度が高く、容器を開放することなく収容物Mの収容量を容易に確認できる。
また、二重容器10Bによれば、補強部3hの形状に応じて、開口部3iおよび開口部3iの近傍の底面部3aを補強できる。
【0045】
[第3変形例]
本実施形態の第3変形例を説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る二重容器の第3変形例を示す模式的な断面図である。
図5に示すように、本変形例の二重容器10Cは、第1の実施形態における第1外装部材3に代えて第1外装部材3Cを備える。
以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0046】
第1外装部材3Cは、第1外装部材3の開口部3d、補強部3cに代えて、開口部3k、補強部3mを備える。第1外装部材3Cは、第1外装部材3と同様にして、図示略の第2外装部材4と嵌合し、第2容器部2Cの一部を構成する。
【0047】
開口部3kは、底面部3aにおいて、底面部1aと対向する位置において、貫通された貫通孔である。開口部3kの好ましい内径は、開口部3dと同様である。
補強部3mは、開口部3iの内周面に隣接する底面部3aが外側に膨出した外側に凸の湾曲部である。補強部3mの内側には、底面部1aに向かって突出する複数のリブ3nが形成されている。
複数のリブ3nは、平面視において開口部3kの径方向に沿って放射状に延びている。平面視において底面部1aと重なる複数のリブ3nの突出方向における先端は、底面部1aと当接している。
開口部3kの位置における補強部3mの内面の高さは、補強部3mよりも径方向外側における底面部3aの内面から測って、h3である。このため、複数のリブ3nの高さは最大でh3である。補強部3mよりも径方向外側における底面部3aの外面から測った補強部3mの最大高さもh3である。
本変形例では、開口部3kは、光透過部である底面部1aから高さh3の位置に開口している。
補強部3mの高さh3は、補強部3mの湾曲部の形状と、複数のリブ3nの高さと、により、必要な補強効果が得られるとともに、開口部3kを通してする目視観察がしにくくならない大きさとされる。
【0048】
補強部3mは、開口部3kの近傍の底面部3aが外側に膨出する湾曲部であることと、内側に複数のリブ3nが形成されていることと、によって、曲げに対する断面二次モーメントが増大している。このため、補強部3mは、開口部3kの近傍の剛性を高めている。
【0049】
二重容器10Cは、補強部3mが底面部3aの外側に突出している以外は、二重容器10と同様に構成されている。
このため、二重容器10Cによれば、二重容器10と同様に、外観のデザインの自由度が高く、容器を開放することなく収容物Mの収容量を容易に確認できる。
また、二重容器10Cによれば、補強部3mの形状に応じて、開口部3kおよび開口部3kの近傍の底面部3aを補強できる。
【0050】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る二重容器について説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る二重容器の一例を示す模式的な斜視図である。
図7は、
図6におけるF7-F7断面図である。
【0051】
図6に示す本実施形態の二重容器10Dは、昇華性、揮発性、溶出性などを有する収容物Mの収容に特に好適である。
二重容器10Dは、第1の実施形態における第1容器部1、第2容器部2に代えて、第1容器部1D、第2容器部2Dを備える。第2容器部2Dは、第2容器部2の第1外装部材3、第2外装部材4に代えて、第1外装部材3D、第2外装部材4Dを備える。
以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0052】
図7に示すように、第1容器部1Dは、円筒部14と、蓋部5と、を有する。
円筒部14は、第1容器部1の円筒部1bと同様の円筒形状を有する。ただし、円筒部14は、後述する第2外装部材4Dの底面部4aから突出しているので、係止突起1cは設けられていない。さらに、円筒部14の図示上端部は開口しており、底面部1aに代えて蓋部5が着脱可能に設けられている。
円筒部14には、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔H1が形成されている。複数の貫通孔H1のそれぞれは、少なくとも、気体および液体が円滑に流通可能な大きさを有する。ただし、収容物Mが固体の場合には、気体および液体が円滑に流通可能であって、固体状態の収容物Mが通過できない大きさに形成される。
【0053】
蓋部5は、円筒部14を閉止する。蓋部5は、平板部5aと、突起部5b、とを有する。
平板部5aは、円筒部14の図示上端部の開口を塞ぐ。平板部5aには、円筒部14と同様の複数の貫通孔H1が、平板部5aの板厚方向に貫通している。
突起部5bは、平板部5aから円筒部14の内周面に沿って円筒部14の内側に突出する。突起部5bは、円筒形である。突起部5bの外径は、円筒部14の内径と略等しい。
蓋部5は、第1容器部1と同様の透明体で形成される。
【0054】
以上説明したように、第1容器部1Dは、底面部1a、円筒部1bに代えて、平板部5a、円筒部14を備えており、全体として第1容器部1と同様な有底円筒形である。ただし、円筒部14における平板部5aと反対側の端部は、後述する第2外装部材4Dの底面部4aによって閉塞されている。
【0055】
第2容器部2Dは、第1容器部1Dを内側に収容する外装体である。
第2容器部2Dは、第1の実施形態における第1外装部材3、第2外装部材4に代えて、第1外装部材3D、第2外装部材4Dを備える。
本実施形態においては、第1外装部材3Dおよび第2外装部材4Dの両方は、不透明体で形成される。
【0056】
第1外装部材3Dは、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔H2が形成されている以外は第1外装部材3と同様である。ただし、
図7に示すように、補強部3cの突出方向における先端は蓋部5の平板部5aに当接している。
複数の貫通孔H2のそれぞれは、少なくとも、気体および液体が円滑に流通可能な大きさを有し、かつ第1容器部1Dの内部を目視観察しにくい貫通孔である。
ここで、「第1容器部1Dの内部を目視観察しにくい貫通孔」とは、貫通孔を通して第1容器部1Dの内部を目視観察できない場合と、目視観察できても収容物Mの残量の確認が困難な場合と、を含む。
例えば、第1容器部1Dにおける光透過部と対向しない位置に形成された貫通孔は、大きさによらず、第1容器部1Dの内部を目視観察できない貫通孔である。
例えば、第1容器部1Dにおける光透過部と対向する位置に形成された貫通孔では、目視観察のしにくさは、貫通孔の大きさと、第1容器部1の光透過部からの距離と、によって決まる。
例えば、貫通孔の大きさを規定する内接円の直径が2.0mm以下の場合、光透過部からの距離によらず目視観察しにくい。ここで、貫通孔の内接円の直径は、第1外装部材3Dの外部から第1容器部1Dにおける光透過部を見る方向における貫通孔の大きさに基づく。
複数の貫通孔H2は、円筒部14が透明材料で形成されている場合でも、第1容器部1Dの内部を目視観察しにくい貫通孔であることがより好ましい。この場合、第1外装部材3Dの外部から複数の貫通孔H2を通して、第1容器部1Dを目視観察しにくくなり、第1外装部材3Dによって、第1容器部1Dが隠された状態になる。
【0057】
複数の貫通孔H2の形成位置は、特に限定されない。
図6、7に示す例では、複数の貫通孔H2は、底面部3aと、側面部3bとに、形成されている。複数の貫通孔H2の配列パターンは特に限定されない。
【0058】
第2外装部材4Dは、第1の実施形態における係止爪4dに代えて、円筒部14を備える。
円筒部14の形状は、上述したように、係止突起1cが設けられていないことと、複数の貫通孔H1が形成されている以外は、第1の実施形態における円筒部1bと同様の円筒形である。
本実施形態では、円筒部14は、第2外装部材4Dの一部として成形されており、底面部4aから第2外装部材4Dの開口に向かって突出している。このため、円筒部14は、第2外装部材4Dと同様な不透明体によって形成される。
第2外装部材4Dにおける底面部4aおよび側面部4bの少なくとも一方には、第1外装部材3Dと同様の複数の貫通孔H2が形成されていてもよい。ただし、
図7に示す例では、貫通孔は形成されていない。
【0059】
第2外装部材4Dは、第2容器部2における第2外装部材4と同様に、第1外装部材3Dと嵌合した状態で、第1外装部材3Dとともに、第1容器部1Dを囲んでいる。
【0060】
二重容器10Dは、第1容器部1Dの円筒部14に収容物Mを入れて、円筒部14の開口に蓋部5を配置した後、第2外装部材4Dに第1外装部材3Dを嵌合させることによって、組み立てられる。
二重容器10Dが組み立てられた状態(組立状態)では、第1容器部1Dの蓋部5には、補強部3cの先端が当接している。
第2容器部2Dの内部において、円筒部14の外側には、第2容器部2Dによって外部から目視観察しにくい状態で閉じられた空間SDが形成されている。
組立状態において、第1容器部1Dの内部は、蓋部5の平板部5aに形成された複数の貫通孔H1を通して、二重容器10Dの外部と連通している。
空間SDは、円筒部14における複数の貫通孔H1を通して、第1容器部1Dの内部と連通している。さらに、空間SDは、第1外装部材3Dにおける複数の貫通孔H2を通して、二重容器10Dの外部と連通している。
【0061】
このため、第1容器部1Dおよび空間SDには、二重容器10Dの外部との間で、気体および液体の出入りが可能である。
このため、例えば、収容物Mが揮発性または昇華性を有する場合には、収容物Mの揮発物または昇華物が、複数の貫通孔H1、H2を通して、外部に放出できる。
例えば、収容物Mが溶出性を有する場合には、複数の貫通孔H1、H2を通して、第1容器部1Dおよび空間SDに流入した液体に、収容物Mが溶出する。溶出した収容物Mは、複数の貫通孔H1、H2のいずれかを通して、液体とともに外部に移動することができる。
【0062】
複数の貫通孔H1は、第1容器部1Dの外周部に形成され、第1容器部1Dの内部と第2容器部2Dの内部とに連通し、収容物Mが揮発または溶出によって移動可能な第1貫通孔の例になっている。
複数の貫通孔H2は、第2容器部2Dの外周部に形成され、第2容器部2Dの外部と連通し、第1貫通孔を通して移動した収容物Mが外部に移動可能な第2貫通孔の例になっている。
第2貫通孔は、開口部3dよりも光透過部から遠い位置に形成されており、外部から光透過部に向かって見たとき、第2貫通孔の大きさは、開口部3dの大きさよりも小さい。
【0063】
二重容器10Dの組立状態から、側面部4bを内側に押すなどして、嵌合部3e、4cの嵌合を解除して、第1外装部材3Dを取り外せば、蓋部5を円筒部14から取り外すことができる。これにより、第1容器部1D内の収容物Mを、詰め替えたり補充したりすることが可能である。
【0064】
組立状態の二重容器10Dによれば、収容物Mを収容した第1容器部1Dが第2容器部2Dの内部に保持されている。このため、第1の実施形態と同様、二重容器10Dに外力が加わった際に、第1容器部1Dおよび第1容器部1D内の収容物Mへの損傷を防止できる。また、第1の実施形態と同様、開口部3dに沿って補強部3cが形成されているので、開口部3dおよび開口部3dの近傍の底面部3aの損傷が抑制される。
本実施形態では、補強部3cが蓋部5に当接した状態で二重容器10Dが組み立てられているので、外力が作用した際に蓋部5が外れることが防止できる。
【0065】
第1容器部1Dの光透明部である蓋部5の平板部5aには、開口部3dが臨んでいる。これにより、二重容器10Dのユーザは、二重容器10Dを分解することなく、開口部3dおよび平板部5aを通して、第1容器部1Dの内部を目視観察可能である。例えば、ユーザは、第1容器部1Dの内部を見て、収容物Mの有無や残量を知ることができる。
【0066】
不透明体からなる第2容器部2Dは、開口部3dを除いて、第1容器部1Dを覆っている。このため、開口部3dを除いて、第1容器部1Dの内部が見えなくなっている。例えば、開口部3dが形成された底面部3aを配置面または壁面に向けて、二重容器10Dを配置すれば、外から第1容器部1Dが見えないようにすることができる。
図6に示すように、開口部3dを上に向けて二重容器10Eを配置する場合にも、第1容器部1Dが見えるのは開口部3dを通した場合に限られる。このため、第1の実施形態と同様、二重容器10Dの主要な外観は、第2容器部2Dによって形成される。
第2容器部2Dは、不透明体なので、二重容器10Dの外観のデザインの自由度が高い。このため、第2容器部2Dを透明体で形成する場合に比べて、二重容器10Dの外観を向上できる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態の二重容器10Dによれば、外観のデザインの自由度が高く、容器を開放することなく収容物の収容量を容易に確認できる。
【0068】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る二重容器について説明する。
図8は、本発明の第3の実施形態に係る二重容器の一例を示す模式的な斜視図である。
図9は、
図8におけるF9-F9断面図である。
【0069】
図8に示す本実施形態の二重容器10Eは、第2の実施形態と同様、昇華性、揮発性、溶出性などを有する収容物Mの収容に特に好適である。
二重容器10Eは、第1の実施形態における第1容器部1、第2容器部2に代えて、第1容器部1E、第2容器部2Eを備える。二重容器10Eは、配置面に図示のように配置して使用される据え置き型の容器である。以下の説明における「上」、「下」は、特に断らない限り、
図8に示す配置状態における上下を意味する。
以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0070】
図9に示すように、第1容器部1Eは、容器本体7と、蓋部6と、を有する。
容器本体7は、平面視円形の底面部7aと、底面部7aから上方に延びる円筒部7bと、底面部7aから下方に延びる脚部7dと、を有する。
円筒部7bは、底面部7aの外縁よりも内側に形成されている。このため、底面部7aは、円筒部7bよりも径方向外側に突出している。円筒部7bよりも径方向外側に突出した底面部7aは、フランジ部7cを形成している。
脚部7dの形状は、底面部7aを下方から支持できる突起であれば特に限定されない。例えば、脚部7dは、円筒部7bよりも内径が小さい円筒であってもよい。
容器本体7は、不透明体からなる。
【0071】
蓋部6は、容器本体7の円筒部7bを閉止する。蓋部6は、平板部6aと、突起部6b、とを有する。
平板部6aは、円筒部7bの上端部の開口を塞ぐ。平板部6aには、第2の実施形態における平板部5aと同様の複数の貫通孔H1が、平板部6aの板厚方向に貫通している。ただし、本実施形態における複数の貫通孔H1の個数および配列パターンは、平板部6aの大きさおよび形状に応じた適宜の個数および配列パターンが用いられてもよい。
突起部6bは、平板部6aから円筒部7bの内周面に沿って円筒部7bの内側に突出する。突起部6bは、円筒形である。突起部6bの外径は、円筒部7bの内径と略等しい。
蓋部6は、第1容器部1と同様の透明体で形成される。
【0072】
このため、第1容器部1Eは、第1の実施形態における底面部1a、円筒部1b、底面部4aに代えて、平板部6a、円筒部7b、底面部7aを備えている。第1容器部1Eにおいて、平板部6a、円筒部7b、および底面部7aで囲まれた円柱状の収容空間には、収容物Mが収容される。
【0073】
第2容器部2Eは、第1容器部1Eを内側に収容する外装体である。
第2容器部2Eは、第1の実施形態における第1外装部材3および第2外装部材4のように互いに嵌合する複数の部材の組立体で形成されてもよい。ただし、
図9に示す例では、第2容器部2Eは、単一の部材で構成される。
第2容器部2Eは、円筒部2a、係止部2d、縮径部2b、および補強部2cを備える。
【0074】
円筒部2aは、第2容器部2Eの下端部の側面を形成する。円筒部2aは、容器本体7の底面部7aの外径よりもわずかに大きい内径を有する円筒である。
円筒部2aの下端側の内周面には、内側に向かって突出する係止部2dが形成されている。
係止部2dは、容器本体7のフランジ部7cに下方から係止する突起である。係止部2dは、円筒部2aの全周にわたって、平面視円環状に突出していてもよいし、周方向に間隔を空けて突出する複数の板状突起であってもよい。
係止部2dは、係止部2dに係止した容器本体7の脚部7dの下端と、円筒部2aの下端とが、同一平面上に位置する高さに設けられている。
【0075】
縮径部2bは、円筒部2aの上端に接続されている。縮径部2bは、上方に向かうにつれて外径および内径が縮径する筒体である。
縮径部2bは、係止部2dに係止した第1容器部1Eを、円筒部2aとともに側方から囲んでいる。縮径部2bの上端は、係止部2dに係止した第1容器部1Eの上端よりも上方に位置する。
縮径部2bの上端の内径は、第1容器部1Eの平板部6aの外径よりも小さい。
【0076】
補強部2cは、縮径部2bの上端から下方に延びる円筒形の突起である。補強部2cの下端は、係止部2dに上方から係止した第1容器部1Eにおける蓋部6の平板部6aに上方から当接している。
補強部2cの内側には、円筒面状の開口部2fが形成されている。このため、補強部2cは、開口部2fに沿って、縮径部2bの端縁が折り曲げられたような凸形状を形成している。
補強部2cは、縮径部2bの上端に形成された開口の近傍の剛性を高めている。補強部2cの突出方向の長さと、径方向の厚さとは、開口に必要な剛性および強度に応じて決められればよい。例えば、補強部2cの径方向の厚さは、縮径部2bの厚さと同じでもよいし、異なっていてもよい。
補強部2cの突出方向の先端における開口部2fの内径は、平板部6aの外径よりも小さい。
補強部2cの突出方向の基端には、円弧状の丸みが設けられたり、円錐面状の面取り形状が形成されたりしてもよい。
【0077】
第2容器部2Eは、不透明体で形成される。第2容器部2Eは、下端部から第1容器部1Eを挿入しやすいように、第1容器部1Eよりも変形しやすい弾性体で形成される。例えば、第2容器部2Eは、軟質の樹脂材料またはエラストマーを用いた成形品で形成されてもよい。
【0078】
二重容器10Eは、第1容器部1Eの円筒部7bに収容物Mを入れて、円筒部7bの開口に蓋部6を配置した後、第1容器部1Eを、第2容器部2Eの下端部から押し込んで、フランジ部7cを係止部2dの上方から係止させることによって、組み立てられる。
二重容器10Eが組み立てられた状態(組立状態)では、第1容器部1Eの蓋部6には、補強部2cの先端が当接している。
第2容器部2Eの内部において、円筒部7bの外側には、第2容器部2Eによって外部から目視観察できない状態で閉じられた空間SEが形成されている。
組立状態において、第1容器部1Eの内部は、蓋部6の平板部6aに形成された複数の貫通孔H1を通して、二重容器10Eの外部と連通している。
【0079】
二重容器10Eの組立状態から、円筒部2aを外側に変形させるなどして、フランジ部7cと係止部2dとの係止状態を解除すれば、第1容器部1Eを第2容器部2Eの外部に取り外すことができる。これにより、第1容器部1E内の収容物Mを、詰め替えたり補充したりすることが可能である。
【0080】
組立状態の二重容器10Eによれば、収容物Mを収容した第1容器部1Eが第2容器部2Eの内部に保持されている。このため、第1の実施形態と同様、二重容器10Eに外力が加わった際に、第1容器部1Eおよび第1容器部1E内の収容物Mが損傷することを防止できる。また、第1の実施形態と同様、開口部2fに沿って、補強部2cが形成されているので、開口部2fおよび開口部2fの近傍の縮径部2bの損傷が抑制される。
本実施形態では、補強部2cが蓋部6に当接した状態で二重容器10Eが組み立てられているので、外力が作用した際に蓋部6が外れることが防止できる。
【0081】
第1容器部1Eの光透明部である蓋部6の平板部6aには、開口部2fが臨んでいる。これにより、二重容器10Eのユーザは、二重容器10Eを分解することなく、開口部2fおよび平板部6aを通して、第1容器部1Eの内部を目視観察可能である。例えば、ユーザは、第1容器部1Eの内部を見て、収容物Mの有無や残量を知ることができる。
【0082】
不透明体からなる第2容器部2Eは、開口部2fと、第2容器部2Eの下面と、を除いて、第1容器部1Eを覆っている。このため、二重容器10Eの使用時の配置では、開口部2fを除いて、第1容器部1Eの内部が見えなくなっている。
第2容器部2Eは、不透明体なので、二重容器10Eの外観のデザインの自由度が高い。このため、第2容器部2Eを透明体で形成する場合に比べて、二重容器10Eの外観を向上できる。
【0083】
以上説明したように、本実施形態の二重容器10Eによれば、外観のデザインの自由度が高く、容器を開放することなく収容物の収容量を容易に確認できる。
【0084】
なお、上記各実施形態および各変形例では、二重容器の外形が、直方体または略円筒形の例で説明した。しかし、二重容器の外形はこれには限定されず、適宜の外形が可能である。例えば、二重容器の外形は、球形、回転楕円形、角錐形、円錐形、多面体形などであってもよい。
【0085】
上記各実施形態および各変形例では、第1容器部が全体として有底円筒形の例で説明した。しかし、第1容器部の形状は、第2容器部の内側に収容できれば、有底円筒形には限定されない。例えば、第1容器部の外形は、直方体、多角柱、多面体、球体、回転楕円体などであってもよい。
【0086】
上記各実施形態および各変形例では、二重容器の第1容器部が2部品、第2容器部が1部品または2部品の例で説明した。しかし、二重容器の各部材を構成する部品数は、これらには限定されない。
例えば、第2の実施形態の円筒部14は、第2外装部材4Dと別部材で構成してもよい。この場合、円筒部と第2外装部材とは、第1の実施形態における第1容器部1と第2外装部材4とを互いに係止する係止構造と同様の係止構造を用いて連結されてもよい。
例えば、第1の実施形態における第1容器部1は、第2の実施形態と同様に、円筒部と蓋部との2部品で構成されてもよい。
【0087】
上記第2の実施形態では、複数の貫通孔H2が第1外装部材3Dに形成された例で説明した。しかし、複数の貫通孔H2は、第1外装部材3Dおよび第2外装部材4Dの一方または両方に設けられてもよい。
上記第3の実施形態では、第2容器部2Eに第2貫通孔が形成されていない例で説明した。しかし、第2容器部2Eに第2貫通孔が形成されていてもよい。
【0088】
上記第3の実施形態では、第2容器部2Eの円筒部2aを変形させて、第1容器部1Eを着脱する例で説明した。しかし、係止部2dの近傍にスリットを形成するなどして弾性爪を形成し、弾性爪を変形させて第1容器部1Eを着脱できるようにしてもよい。この場合、第2容器部2Eは、ある程度硬質の樹脂材料でも形成可能である。
【0089】
上記各実施形態および各変形例では、補強部が壁体で形成される場合の例で説明した。しかし補強部は、開口部の縁に沿って、開口部が形成された板状部の板厚を、開口部から遠い板状部の板厚よりも厚くすることによって形成されてもよい。
【0090】
上記各実施形態および各変形例では、二重容器がユーザによって分解可能であり、収容物を詰め替えることができる例で説明した。しかし、収容物を詰め替える必要がない場合には、二重容器は、例えば、嵌め殺しなどによって、組立状態をユーザによって容易に分解できない構成としてもよい。
【0091】
以上、本発明の好ましい各実施形態を各変形例とともに説明したが、本発明は各実施形態および各変形例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
例えば、第1の実施形態の各変形例は、第2および第3の実施形態にも同様に適用できる。
【符号の説明】
【0092】
1、1D、1E 第1容器部
1a、3a、4a、7a 底面部
1b、2a、7b、14 円筒部
2、2A、2B、2C、2D、2E 第2容器部
2c、3c、3g、3h、3m 補強部
2d、3d、3f、3i、3k 開口部
3、3A、3B、3C、3D 第1外装部材
3b、4b 側面部
3n 複数のリブ
4、4D 第2外装部材
5、6 蓋部
5a、6a 平板部
5b、6b 突起部
7 容器本体
10、10A、10B、10C、10D、10E 二重容器
H1 複数の貫通孔(第1貫通孔)
H2 複数の貫通孔(第2貫通孔)
M 収容物
S、SD、SE 空間