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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100489
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】通帳記帳データ印刷システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20120101AFI20220629BHJP
【FI】
G06Q40/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214494
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】500351000
【氏名又は名称】SocioFuture株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102923
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雄二
(72)【発明者】
【氏名】宮本 利仁
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB40
(57)【要約】
【課題】金融機関14ごとに発行される預金通帳の内容を一般のプリンタ32で印刷できるようにする。
【解決手段】利用者18の依頼をサービスプロバイダが受け付けて、 オープンAPI24(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を利用して該当する金融機関14から依頼者の通帳記帳データ28を取得する。その通帳記帳データ28を一般のプリンタ32で印刷できるようにデータ処理して例えば、PDF形式の印刷フォーム30を生成する。この印刷フォーム30をプリンタ32等に送り込む。例えば、複数の金融機関14の通帳記帳データ28を取得して一カ所でまとめて印刷することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関で預貯金の入出金処理に使用する自動機が、
利用者の本人確認情報と口座情報を取得して、通帳印刷要求が入力されたとき、
この自動機とオープンAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を介して接続されたサービス機関に対して、自動機から上記本人確認情報と金融機関識別情報と口座情報が送信され、
上記サービス機関は、上記金融機関識別情報と口座情報により特定された金融機関から、利用者の通帳記帳データを取得して、通帳記帳データを所定の用紙に印刷するための印刷フォームを生成して、上記自動機に返信をして、
上記自動機は、その自動機に接続されたプリンタに上記の印刷フォームを送信して、所定の用紙に印刷させることを特徴とする通帳記帳データ印刷システム。
【請求項2】
上記の自動機は上記利用者の金融機関識別情報と口座情報により特定された金融機関が自行でないと判断したときに、上記サービス機関に対して、上記本人確認情報と金融機関識別情報と口座情報を送信して、印刷フォームの生成を依頼することを特徴とする請求項1に記載の通帳記帳データ印刷システム。
【請求項3】
上記のプリンタは上記の自動機から送信された印刷フォームを記憶装置に記憶して、上記の利用者の自動機を操作したときに使用したカードを読み取って、利用者の識別コードと上記の印刷フォームの識別コードが一致したときに、該当する印刷フォームの印刷を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の通帳記帳データ印刷システム。
【請求項4】
上記のプリンタは上記の自動機から送信された印刷フォームを記憶装置に記憶して、上記の自動機のレシートプリンタで印刷されて利用者に排出されたレシートに印刷された利用者の識別コードと上記の印刷フォームに含まれた利用者の識別コードが一致したときに、該当する印刷フォームの印刷を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の通帳記帳データ印刷システム。
【請求項5】
プリンタを制御する印刷制御装置が、利用者の本人確認情報と金融機関識別情報と口座情報を取得して、該当する預金口座の通帳印刷要求が入力されたとき、
この印刷制御装置とネットワークを介して接続されたサービス機関に対して、印刷制御装置から上記本人確認情報と金融機関識別情報と口座情報が送信され、
上記サービス機関は、上記金融機関識別情報と口座情報により特定された金融機関から、利用者の通帳記帳データを取得して、通帳記帳データを所定の用紙に印刷するための印刷フォームを生成して、上記印刷制御装置に返信をして、
上記印刷制御装置は、上記のプリンタに上記の印刷フォームを送信して、所定の用紙に印刷させることを特徴とする通帳記帳データ印刷システム。
【請求項6】
利用者の使用するコンピュータまたは携帯端末装置に、上記の印刷制御装置として機能させるコンピュータプログラムを搭載し、
上記のコンピュータまたは携帯端末装置が、上記のプリンタで通帳記帳データを印刷出来る印刷フォームをサービス機関から取得することを特徴とする請求項5に記載の通帳記帳データ印刷システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載のサービス機関において、コンピュータを上記通信装置と上記印刷フォーム生成部として機能させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な金融機関で預貯金の入出金結果を記録するための、通帳記帳データの印刷サービスを提供する通帳記帳データ印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、各金融機関は利用者に対して預金通帳を発行し、適時その記帳をする事が出来るように、専用の通帳印刷装置を設置している。ところが、近年、預金通帳の発行や管理コストの低減のために、利用者に預金通帳無しの銀行預金の利用を推進している。近い将来は従来形式の預金通帳が廃止されるものと考えられる。
【0003】
預金通帳への記帳を求める利用者が減少すると、専用の通帳印刷装置の設備も不要になる。なお、多くの金融機関は、預貯金の入出金に使用する自動機(ATM)の設置コストを低減するために、自動機の共有を盛んに行っている(特許文献1)。例えば、コンビニエンスストアに設置された、複数の金融機関で共有される自動機には、現在でも通帳印刷機能が無い。従って、出金記録を従来の預金通帳の代わりに電子媒体に書き込むという技術も紹介されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】2006-127177号公報
【特許文献2】2018-28930号公報
【特許文献3】2020-68032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、入出金記録を正確に一覧するために預金通帳を有効に利用している利用者もある。また、例えば、預金通帳に記載された、金融機関名、支店名、口座番号や取引明細のコピーの提出を要求する公的機関も存在する。様々な金融機関の通帳記帳データを、できれば一カ所で簡単に印刷できるサービスの提供も必要と考えられる。本発明は以上の点に着目してなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
【0007】
<構成1>
金融機関で預貯金の入出金処理に使用する自動機が、
利用者の本人確認情報と口座情報を取得して、通帳印刷要求が入力されたとき、
この自動機とオープンAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を介して接続されたサービス機関に対して、自動機から上記本人確認情報と金融機関識別情報と口座情報が送信され、
上記サービス機関は、上記金融機関識別情報と口座情報により特定された金融機関から、利用者の通帳記帳データを取得して、通帳記帳データを所定の用紙に印刷するための印刷フォームを生成して、上記自動機に返信をして、
上記自動機は、その自動機に接続されたプリンタに上記の印刷フォームを送信して、所定の用紙に印刷させることを特徴とする通帳記帳データ印刷システム。
【0008】
<構成2>
上記の自動機は上記利用者の金融機関識別情報と口座情報により特定された金融機関が自行でないと判断したときに、上記サービス機関に対して、上記本人確認情報と金融機関識別情報と口座情報を送信して、印刷フォームの生成を依頼することを特徴とする構成1に記載の通帳記帳データ印刷システム。
【0009】
<構成3>
上記のプリンタは上記の自動機から送信された印刷フォームを記憶装置に記憶して、上記の利用者の自動機を操作したときに使用したカードを読み取って、利用者の識別コードと上記の印刷フォームの識別コードが一致したときに、該当する印刷フォームの印刷を実行することを特徴とする構成1または2に記載の通帳記帳データ印刷システム。
【0010】
<構成4>
上記のプリンタは上記の自動機から送信された印刷フォームを記憶装置に記憶して、上記の自動機のレシートプリンタで印刷されて利用者に排出されたレシートに印刷された利用者の識別コードと上記の印刷フォームに含まれた利用者の識別コードが一致したときに、該当する印刷フォームの印刷を実行することを特徴とする構成1または2に記載の通帳記帳データ印刷システム。
【0011】
<構成5>
プリンタを制御する印刷制御装置が、利用者の本人確認情報と金融機関識別情報と口座情報を取得して、該当する預金口座の通帳印刷要求が入力されたとき、
この印刷制御装置とネットワークを介して接続されたサービス機関に対して、印刷制御装置から上記本人確認情報と金融機関識別情報と口座情報が送信され、
上記サービス機関は、上記金融機関識別情報と口座情報により特定された金融機関から、利用者の通帳記帳データを取得して、通帳記帳データを所定の用紙に印刷するための印刷フォームを生成して、上記印刷制御装置に返信をして、
上記印刷制御装置は、上記のプリンタに上記の印刷フォームを送信して、所定の用紙に印刷させることを特徴とする通帳記帳データ印刷システム。
【0012】
<構成6>
利用者の使用するコンピュータまたは携帯端末装置に、上記の印刷制御装置として機能させるコンピュータプログラムを搭載し、
上記のコンピュータまたは携帯端末装置が、上記のプリンタで通帳記帳データを印刷出来る印刷フォームをサービス機関から取得することを特徴とする構成5に記載の通帳記帳データ印刷システム。
【0013】
<構成7>
構成1乃至6のいずれかに記載のサービス機関において、コンピュータを上記通信装置と上記印刷フォーム生成部として機能させるコンピュータプログラム。
【発明の効果】
【0014】
<構成1の効果>
サービス機関が印刷フォームを生成するので、預金通帳を使用しなくても汎用のプリンタで通帳記帳データの印刷が出来る。任意の複数の金融機関の通帳記帳データを一回の操作でまとめて印刷することが可能になる。
<構成2の効果>
自行の預金通帳を印刷する設備を自動機が保持している場合は専用プリンタを使用し、他行の通帳印刷は汎用のプリンタで印刷するという処理ができる。
<構成3の効果>
プリンタが自動機から離れた場所に設置されていても、カード情報等により利用者を識別して印刷をすることができる。
<構成4の効果>
複数の自動機から別々の利用者のための印刷フォームが送信されたときに、レシートプリンタで印刷したバーコード等により利用者を識別して印刷をすることができる。
<構成5の効果>
プリンタの印刷を制御する印刷制御装置がサービス機関と通信をして通帳印刷のための印刷フォームを取得する。自動機ではなくて、より安価なプリンタ制御専用の印刷制御装置により、通帳記帳データの印刷ができる。
<構成6の効果>
利用者の使用するコンピュータまたは携帯端末装置に印刷フォームを受信すれば、任意のプリンタでこれを印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例1のシステムの説明図である。
図2】実施例1のシステムの動作シーケンスチャートである。
図3】実施例1のシステムの別の動作シーケンスチャートである。
図4】実施例2のシステムの説明図である。
図5】実施例2のシステムの動作シーケンスチャートである。
図6】実施例3のシステムの説明図である。
図7】実施例3のシステムの動作シーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明では、金融機関ごとに発行される預金通帳の内容を、例えば、一般のプリンタで印刷できるようにする。出来る限り多くの金融機関の通帳記帳データを印刷することができるように、利用者の依頼をサービス機関が受け付けて、 オープンAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を利用して該当する金融機関から依頼者の通帳記帳データを取得する。その通帳記帳データを一般のプリンタで印刷できるようにデータ処理して、例えばPDF形式の印刷フォームを生成する。この印刷フォームをプリンタ等に送り込む。例えば、複数の金融機関の通帳記帳データを取得して一カ所でまとめて印刷することもできるようにする。
【0017】
以下の実施例ではいずれも、サービス機関が利用者の依頼に基づいて、オープンAPIを利用して該当する金融機関から通帳記帳データを取得し、利用者に提供する。利用者からサービス機関に対して通帳印刷要求のためのメッセージを送るルートは次のように各種考えられる。
【0018】
金融機関に備え付けられた自動機(ATM)を操作して通帳記帳要求をする場合には、例えば、金融機関の内部に設けられたルーターと各種のセキュリティの高いネットワークを経由してサービス機関にそのメッセージを送信するとよい。また、自動機とサービス機関とを任意のネットワークで直接接続してメッセージを送信することもできる。ネットワークには例えば、VPNなどの有線ネットワークや、LTEなどの無線ネットワークを利用することができる。
【0019】
また利用者が操作するインターフェースとしては、自動機のほか、プリンタを制御する専用の制御装置や、利用者の所持する携帯端末装置などが適する。プリンタは、汎用の普通紙に印刷ができるもので良い。金融機関の内部に据え付けられて様々な印刷業務に利用されるプリンタでもよいし、コンビニエンスストアなどで印刷サービスに使用されるプリンタでもよい。
【0020】
サービス機関で生成された印刷フォームは 利用者が操作する自動機や携帯端末装置等の記憶装置に転送して、その後利用者が操作して印刷を行うとよい。この他に、サービス機関から印刷装置の記憶装置に直接印刷フォームを送信するという方法もよい。以下の実施例ではこれらの中から特徴的な例をあげて説明する。
【実施例0021】
第1の実施例を、図1を参照して説明する。この実施例の通帳記帳データ印刷システム12では、利用者18は、金融機関14Aの自動機16を使用して、金融機関Bの入出金記録のための通帳記帳データの印刷を要求するものとする。金融機関14Aには、例えば、専用の通帳記帳機(図示しない)以外に、一般的な用紙に印刷をするプリンタ32が据え付けられているものとする。このシステムにより、この金融機関14Aは、自行の入出金記録は専用の通帳記帳機で、他行の入出金記録は一般的なプリンタ32で印刷を引き受けることができる。
【0022】
図1に示したサービス機関26は あらかじめ契約をした様々な金融機関、例えば、金融機関14Bから入出金記録のための通帳記帳データを取得することができる。自動機16から通帳印刷要求があると、サービス機関26は該当する金融機関14Bの通帳記帳データを収集して、例えば、金融機関名、支店名、口座番号、預金者名と入出金記録を含む印刷フォームを生成して、プリンタ32に送る。
【0023】
サービス機関26に設けられた印刷フォーム生成部27は、金融機関14Bから取得した通帳記帳データを使用して予め定められた形式の入出金記録を含む印刷フォームを生成する機能を持つ。一般に、通帳印刷機は、通帳に予め印刷された枠や通帳のページデザインを前提にして、印刷に必要な文字や数値をレイアウトして出力する。
【0024】
一方、この印刷フォーム生成部27は、金融機関14Bから通帳の表紙や記帳用ページの印刷用データ等も含めて取得した通帳記帳データを使用して、通帳をコピー機でコピーしたのとほぼ同様のレイアウトで印刷フォームを生成するとよい。もちろん、独自のレイアウトで編集をしてもよい。
【0025】
サービス機関26に設けられた通信装置29は、金融機関AやBとオープンAPI24を利用して上記のような通信を行なう機能を持つ。さらにこの通信装置29は、印刷フォーム生成部27で生成された印刷フォームを、インターネット15を介してプリンタ32に送信する機能を持つ。
【0026】
図1には、この通帳記帳データ印刷システム12の処理の流れをS1~S11で示した。この処理におけるデータ通信のシーケンスを図2図3に例示した。図2は利用者18が自動機16に通帳印刷要求をしたときに、付属のプリンタ32ですぐに印刷がされる例を示す。
【0027】
一方、図3は、複数の自動機16から通帳印刷要求があったときに、それぞれの印刷フォームをプリンタ32が一時記憶しておき、各利用者18が本人確認処理をしてから該当する印刷フォームを選択して印刷する例を示す。
【0028】
図2において、金融機関14A(図1)で預貯金の入出金処理に使用する自動機(ATM)16が、まず、利用者18のカード34を読み取る(ステップS1)。ここで、利用者18による通帳印刷要求を受け付ける(ステップS2)。
【0029】
この自動機16は、サービス機関26に対して、利用者18のカード34から読み取った本人確認情報20と金融機関識別情報21と口座情報22とを、通帳印刷要求と合わせて送信する(ステップS3,4)。このメッセージは、金融機関内のルーター等を経由してサービス機関26に送信される。また、あるいは矢印Zに示すように直接有線又は無線ネットワークを介してサービス機関26に送信される。
【0030】
サービス機関26は、金融機関識別情報21と口座情報22により特定された金融機関14Bに対して、オープンAPI24を介して、上記の利用者の通帳記帳データ28を要求する(ステップS5)。この要求と同時に、利用者18の本人確認情報20と金融機関識別情報21と口座情報22も金融機関14Bに送信する(ステップS6)。
【0031】
その後、サービス機関26は、金融機関14Bから利用者18の通帳記帳データ28を取得する(ステップS7)。サービス機関26の印刷フォーム生成部27は、通帳記帳データ28を所定の用紙に印刷するための印刷フォーム30を生成する(ステップS8)。この印刷フォーム30は、インターネット15を介して金融機関14Aの自動機16あるいはプリンタ32に送信される(ステップS9)。
【0032】
通帳記帳機とは異なり、汎用のプリンタ32は非常に安価なため、自動機16の1台ごとに直結されたものにすることもできる。その場合には、自動機16からプリンタ32に印刷指示がされて、自動的に所定の用紙に印刷させ、利用者に提供することができる(ステップS10、11)。
【0033】
この場合、印刷フォーム30は、金融機関14Aに送信されて、金融機関14Aの内部に設置された記憶装置に記憶されてもよいし、自動機16の記憶装置に記憶されてもよい。また、プリンタ32に、例えばPDFデータを記憶してプリンタ内部で処理をする機能があれば、プリンタ32の記憶装置に印刷フォーム30が直接転送されてもよい。なお、PDFデータのような印刷フォーム30もプリンタ32の内部で印刷直前に保持される制御データも実質的に同じものなので、区別せずに印刷フォーム30と呼ぶことにする。
【0034】
上記のように、サービス機関26が印刷フォーム30を生成すると、預金通帳を使用しなくても汎用のプリンタ32で通帳記帳データ28の印刷が出来る。金融機関では、専用のプリンタの保持数を減少させ将来的には全廃することも可能で、設備コストの削減に寄与する。
【0035】
なお、金融機関14Aは、自行の預金口座の通帳記帳が要求されたときには、専用の通帳プリンタに利用者を誘導することも考えられる。そこで、自動機16は、利用者18の金融機関識別情報21と口座情報22により特定された金融機関14が自行でないと判断したときにのみ、上記サービス機関26に対して、通帳印刷要求を送信するという取り扱いが可能である。自行の預金通帳を印刷する設備に自動機16が接続されている場合は専用プリンタ32を使用し、他行の通帳印刷は汎用のプリンタ32で印刷することができる。
【0036】
(共用プリンタの利用)
システム構成はほぼ図1のままでよいが、複数台の自動機で1台のプリンタを共用する場合の処理を説明する。この場合には、図3に示すように、ステップS8まではまったく同様の処理が行われる。そして、ステップS9では、印刷フォーム30がプリンタ32の記憶装置に記憶されて、印刷指示を待つ。このとき、各印刷フォーム30には、利用者18の自動機16を操作したときに使用したカード34の識別コードが付されているものとする。
【0037】
ここで、プリンタ32には、利用者18の本人確認用の識別装置が備えつけられているものとする。例えば、利用者18が所持するカード34を読み取る装置を備える。そして、利用者18がプリンタのところにやってきてカード34の読取操作をすると、プリンタ32は利用者18の識別コードと印刷フォーム30の識別コードとを照合する。そして、両者が一致したときに、該当する印刷フォーム30の印刷を実行する。
【0038】
一般の多くの自動機には、レシート印刷装置が付属している。このレシートに利用者18の識別コードをバーコード等で印刷して利用者18に排出し、プリンタ32に読み取らせるようにしてもよい。プリンタ32が複数の自動機16により共用されているときや、プリンタ32が自動機16から離れた場所に設置されていても、利用者18を識別して本人確認をして印刷をすることができる。
【実施例0039】
この実施例は図4図5を用いて説明する。サービス機関26と通信をしてプリンタを制御する機能を備えた印刷制御装置40を利用する。この実施例では、自動機を使用しない。実施例1では、自動機16が印刷制御装置40であった例を説明した。この印刷制御装置40はプリンタ32に内蔵されていても構わない。また、利用者18がスマートフォン等の携帯端末装置を操作することができれば、そのアプリに以下の機能を付与すれば、スマートフォンが印刷制御装置40として機能する。
【0040】
図4において、印刷制御装置40の処理は図1の自動機16の処理とほぼ同様である。印刷制御装置40は、利用者18の本人確認情報20と金融機関識別情報21と口座情報22の入力を求めて、該当する預金口座の通帳印刷要求を受け付ける(ステップS1,2)。
【0041】
印刷制御装置40は、インターネットその他のネットワークを通じてサービス機関26と接続されている。印刷制御装置40は、サービス機関26に対して、本人確認情報20と金融機関識別情報21と口座情報22とを送信して、通帳記帳データ28の要求をする(ステップS3,4)。
【0042】
サービス機関26は、実施例1と同様にして、金融機関14Bから、利用者18の通帳記帳データ28を取得して、通帳記帳データ28を所定の用紙に印刷するための印刷フォーム30を生成する(ステップS5~8)。この印刷フォーム30は、例えば、ワンタイムパスワードとともに印刷制御装置40に送信される(ステップS9)。
【0043】
ワンタイムパスワードはサービス機関26から印刷制御装置40に送信する通帳記帳データ28転送のセキュリティ確保のためのもので、利用者18がワンタイムパスワードを使用して安全に通帳記帳データ28を開き、プリンタ32に対して印刷指示をすることかできる(ステップS10、11)。
【0044】
プリンタ32の印刷を制御する印刷制御装置40がサービス機関26と通信をして通帳印刷のための印刷フォーム30を取得すれば、より経済的に通帳記帳データ28の印刷ができる。印刷制御装置40が利用者18の携帯端末装置であれば、利用者にも便利でセキュリティも高く、経済的にも最適といえる。
【実施例0045】
この実施例は、図6図7を用いて説明する。この実施例では、利用者18が複数の金融機関に預金口座を持っており、これらの通帳記帳データをまとめて一カ所のプリンタで印刷することを希望した場合を想定している。また、図の例では、金融機関14Aの自動機16を使用して、金融機関14Aと金融機関14Bの通帳記帳データを、ともに一カ所のプリンタで印刷する。これは例えば、金融機関14Aやその支店が専用の通帳記帳機を備えていない場合に適する。
【0046】
ステップS1からステップS4までは実施例1のシステムと同様である。サービス機関26は、ステップS5で、金融機関14Aと金融機関14Bに対して通帳記帳データの要求をする。例えば、金融機関14Aが既に利用者18の本人確認情報や口座情報を取得しているときは、折り返し通帳記帳データをサービス機関26に返す(ステップS7)。一方、金融機関14Bには、通帳記帳データの要求とともに本人確認情報と口座情報を送信する(ステップS5,6)。金融機関14Bはこの要求を受け付けて通帳記帳データをサービス機関26に返す(ステップS7)。
【0047】
その後の処理は実施例1とほぼ同様である。この例では、通帳記帳データ28転送のセキュリティ確保のためにワンタイムパスワードを追加した。以上の処理によって、金融機関14Aと金融機関14Bの通帳記帳データを、まとめてプリンタ32で印刷することができる。
【符号の説明】
【0048】
12 通帳記帳データ印刷システム
14 金融機関
15 インターネット
16 自動機
18 利用者
20 本人確認情報
21 金融機関識別情報
22 口座情報
24 オープンAPI
26 サービス機関
27 印刷フォーム生成部
28 通帳記帳データ
29 通信装置
30 印刷フォーム
32 プリンタ
34 カード
40 印刷制御装置
42 携帯端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7