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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100534
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】給紙装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/44 20060101AFI20220629BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20220629BHJP
   B65H 31/00 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
B65H3/44 344
B65H7/02
B65H31/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214562
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100197996
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 武彦
(72)【発明者】
【氏名】桧垣 明治
(72)【発明者】
【氏名】坂本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】横山 尚己
(72)【発明者】
【氏名】畑川 和義
(72)【発明者】
【氏名】竹下 尚人
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 裕
(72)【発明者】
【氏名】相川 憲稔
(72)【発明者】
【氏名】小澤 政利
【テーマコード(参考)】
3F048
3F054
3F343
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA04
3F048BB02
3F048CB12
3F048DA09
3F048DC12
3F054AA01
3F054BA01
3F054BF01
3F054CA12
3F343FA01
3F343FB01
3F343FC08
3F343HA33
3F343HA37
3F343HB08
3F343HC05
3F343KB03
3F343LA04
3F343LC19
3F343MA03
3F343MA25
3F343MB03
3F343MC21
(57)【要約】
【課題】 不良シートを排出する複数の排出部のうちのいずれかが満杯状態であったときに、空きのある排出部に不良シートを搬送することで、装置を停止させることなく、給紙動作を継続可能とする給紙装置を提供することである。
【解決手段】 シートの搬送経路の上流側及び下流側に設けられ、前記搬送経路で生じた不良シートP1、P2を排出する第1及び第2エスケープ部ES1、ES2と、前記第2エスケープ部ES2における不良シートP2の満杯状態を検出する上流側満杯検出手段と、前記不良シートP2を前記第2エスケープ部ES2に搬送すると共に、前記上流側満杯検出手段にて前記第2エスケープ部ES2が満杯状態であると検出された場合に、前記不良シートP2を前記第1エスケープ部ES1に排出する制御手段と、を備えた。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の搬送方向にシートを案内する搬送経路と、
前記搬送経路の上流側及び下流側に設けられ、前記搬送経路で生じた不良シートを排出する上流側排出部及び下流側排出部と、
前記上流側排出部における前記不良シートの満杯状態を検出する上流側満杯検出手段と、
前記搬送経路で生じた前記不良シートを前記上流側排出部に搬送すると共に、前記上流側満杯検出手段にて前記上流側排出部が満杯状態であると検出された場合に、前記不良シートを前記下流側排出部に排出する制御手段と、を備えた給紙装置。
【請求項2】
所定の搬送方向にシートを案内する搬送経路を有する上流側給紙ユニット及び下流側給紙ユニットと、
前記上流側給紙ユニットに設けられ、前記搬送経路で生じた不良シートを排出する上流側排出部と、
前記下流側給紙ユニットに設けられ、前記搬送経路で生じた不良シートを排出する下流側排出部と、
前記上流側排出部に排出した前記不良シートの満杯状態を検出する上流側満杯検出手段と、を備え、
前記上流側給紙ユニットは、該上流側給紙ユニットにおける前記不良シートを前記上流側排出部に排出すると共に、前記上流側満杯検出手段にて前記上流側排出部が満杯状態であると検出された場合に、前記不良シートを前記下流側給紙ユニットに搬送する上流側制御手段を有し、
前記下流側給紙ユニットは、前記上流側制御手段にて前記下流側給紙ユニットに搬送された前記不良シートを前記下流側排出部に排出する下流側制御手段を有する給紙装置。
【請求項3】
前記下流側排出部における前記不良シートの満杯状態を検出する下流側満杯検出手段を設け、
前記下流側満杯検出手段にて前記下流側排出部が満杯状態であることが検出されると、その満杯状態を報知する報知手段を設けた請求項1又は2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記不良シートを検出する不良シート検出手段を備え、
前記制御手段は、前記不良シート検出手段が不良シートを検出した時点で前記搬送経路に残留しているシートを前記上流側排出部に排出すると共に、前記上流側満杯検出手段にて前記上流側排出部が満杯状態であると検出された場合に、前記残留しているシートを前記下流側排出部に排出する請求項1又は2に記載の給紙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送経路で生じた不良シートを所定の排出部に排出する給紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタや複写機等の画像形成装置には、大量のシートを連続して給紙するための給紙ユニットを複数備えた給紙装置を接続する場合や、単体の給紙装置を複数連結して使用する場合がある。このように、複数の給紙ユニットや給紙装置を備えることで、画像形成装置を停止させることなくより多くのシートに連続して画像形成ができる。また、サイズや紙質が異なる多様のシートを収納できるので、シートの入れ替え等の手間がなくなる等のメリットを有している。
【0003】
特許文献1には、画像形成ユニットにシートを給紙する給紙ユニットを複数備えた構成の画像形成装置が開示されている。前記給紙ユニットには、重送等したシートを画像形成装置に搬送せずに排出するためのエスケープ部を備えることで、装置全体を停止させることなく、正常に給紙されるシートの給紙動作を継続できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-279168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、連結した複数の給紙ユニットのうちの下流側給紙ユニットと画像形成装置との間の給紙経路にエスケープ部が備えられており、このエスケープ部に前記複数の給紙ユニット中で重送等による不良シートを排出するようになっている。このようなエスケープ部を備えた給紙ユニットであっても、このエスケープ部にシートが満杯になると、満杯となったエスケープ部のシートを一旦排紙するために、装置を停止しなければならない。また、前記エスケープ部に排出できずに給紙経路中で停止したシートがあればそれを取り除かなければ装置を再起動できない。このように、エスケープ部が満杯になる頻度が多いほど生産性が低下すると共に、不良シートの取り除き作業が頻繁になるといった問題があった。
【0006】
そこで本発明は、不良シートを排出する排出部を複数備えた給紙装置において、前記複数の排出部に排出されているシートの満杯状態を検出すると共に、いずれかの排出部が満杯状態であったときに、空きのある排出部に不良シートを搬送することで、装置を停止させることなく、給紙動作を継続可能とする給紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の給紙装置は、所定の搬送方向にシートを案内する搬送経路と、前記搬送経路の上流側及び下流側に設けられ、前記搬送経路で生じた不良シートを排出する上流側排出部及び下流側排出部と、前記上流側排出部における前記不良シートの満杯状態を検出する上流側満杯検出手段と、前記搬送経路で生じた前記不良シートを前記上流側排出部に搬送すると共に、前記上流側満杯検出手段にて前記上流側排出部が満杯状態であると検出された場合に、前記不良シートを前記下流側排出部に排出する制御手段と、を備えた。
【発明の効果】
【0008】
本発明の給紙装置によれば、上流側満杯検出手段によって上流側排出部が不良シートで満杯状態であると検出された場合に、前記不良シートを下流側排出部に案内して排出するので、不良シートが多く発生した場合であっても給紙装置を停止させることなく、給紙動作を連続して継続することができる。これによって、生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の給紙装置を備えた画像形成システムの全体構成を示す断面図である。
図2】画像形成システムにおける制御構成を示すブロック図である。
図3】給紙装置の主要構成を示す断面図である。
図4】給紙装置の各種センサの配置構成を示す断面図である。
図5】エスケープ部を中心とした要部の構成を示す断面図である。
図6】不良シートの搬送排出動作を示す説明図である。
図7】重送時における制御手段の処理のフローチャートである。
図8】満杯検出手段における処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は画像形成装置101と、この画像形成装置101に連結可能な本発明の給紙装置DKと、を備えた画像形成システム100の全体構成を示したものである。本実施形態では、前記給紙装置DKが下流側給紙ユニット(第1給紙ユニット)DK1と、上流側給紙ユニット(第2給紙ユニット)DK2との2段構成となっているが、独立した給紙ユニットを複数連結した構成でもよく、給紙ユニットの段数には限定されない。以下の説明では、画像形成装置101の一例として、電子写真方式を用いたレーザプリンタシステムについて説明する。なお、画像形成装置101は、プリンタ以外に複写機、ファクシミリ、複合機などであってもよく、電子写真方式に限らず、インクジェット方式などの他の方式であってもよい。
【0011】
前記第1給紙ユニットDK1及び第2給紙ユニットDK2には、それぞれ複数枚のシートを収納可能な収納部(収納庫)が複数備えられており、各収納庫から画像形成装置101に向けてシートを給紙することができる。なお、シートの種類としては、普通紙、薄紙、厚紙などの他、プラスチックシート等が使用できる。
【0012】
図2は、前記画像形成システム100における画像形成装置101及び給紙装置DKの制御構成と相互の接続関係を示したブロック図である。画像形成装置101は、シートの搬送及び画像形成処理を実行制御する制御手段(制御部)CON0、操作部102及び報知手段(表示部)103を備えている。給紙装置DKを構成する第1給紙ユニットDK1及び第2給紙ユニットDK2には、シートの搬送給紙を制御する制御部(CON1、CON2)、各搬送経路を通過するシートを検出するシートセンサS1~S13、重送等による不良シートを検出する不良シート検出手段(重送センサ)DFS1~DFS3、搬送モータM1~M14、昇降モータM15~M17、ソレノイドSOL等がそれぞれ備えられている。給紙装置DK内では、第1給紙ユニットDK1の制御部CON1と第2給紙ユニットDK2の制御部CON2とが相互に電気的に接続されている。また、給紙装置DKと画像形成装置101とは、第1給紙ユニットDK1の制御部CON1と画像形成装置101の制御部CON0とを介して相互に電気的に接続されている。
【0013】
図1に示したように、画像形成装置101は、内部に備わる給紙部20(複数の給紙カセット21)や給紙装置DK(第1給紙ユニットDK1、第2給紙ユニットDK2)内の複数の収納庫から給紙される各種のシートを1枚ずつ分離した状態で画像形成部10に搬送する。そして、前記画像形成部10においてシートに画像形成した後、排出トレイ29から排出する。
【0014】
前記第1給紙ユニットDK1には、第2給紙ユニットDK2から給紙されるシートを画像形成装置101に中継搬送するスルーパス部TPが設けられている。
【0015】
前記操作部102では、画像形成部10に給紙するシートを前記給紙部20、第1給紙ユニットDK1又は第2給紙ユニットDK2から選択したり、印刷方法や印刷部数等を指定したりする。また、前記表示部103では、給紙部20、第1給紙ユニットDK1及び第2給紙ユニットDK2のどの収納庫からシートが給紙されているか、シートが重送等していないかが表示される。なお、前記操作部102を直接操作することなく、外部のPCやスマートフォン等の情報端末器から遠隔操作することも可能である。
【0016】
画像形成装置101に備わる画像読取装置2は、プラテン3上に載置された原稿に走査光学系光源による光を照射すると共に、反射光をCCDに入力することにより原稿画像を読み取る。また、画像読取装置2には、自動原稿送り装置(ADF)4を接続することができ、トレイ5上にセットされた原稿を自動的に画像読取装置2の読取部に搬送して、原稿画像を読み取ることも可能である。そして、読み取った原稿画像は電気信号に変換されて、後述する画像形成部10のレーザスキャナ13に伝送される。なお、レーザスキャナ13は、外部の端末機器等から送信されてくる画像データが入力される場合もある。
【0017】
給紙部20は、各種のシートを収納する複数の給紙カセット21と、ピックアップローラ22と、分離搬送ローラ対25等を備えている。前記給紙カセット21内に収納されているシートは、所定のタイミングで昇降動作して回転する前記ピックアップローラ22と分離搬送ローラ対25とによって1枚ずつ分離される。
【0018】
シート搬送経路34には、搬送ローラ対31、レジストローラ対33を備えており、搬送ローラ対31からレジストローラ対33によって導かれたシートは、所定のタイミングで画像形成部10に送り込まれる。また、前記給紙装置DKから給紙されるシートは、前記第1給紙ユニットDK1に備わる搬送ローラ対39及び接続経路TR6を介して前記シート搬送経路34に合流して画像形成装置101内に搬送される。
【0019】
画像形成部10は、感光ドラム11、帯電器12、レーザスキャナ13、現像器14、転写器15、クリーナ17等を備えている。画像形成時には、感光ドラム11が回転駆動し、最初に帯電器12により感光ドラム11の表面が一様に帯電される。そして、画像信号に応じて発光されるレーザスキャナ13からのレーザ光が帯電された感光ドラム11に照射されることで、感光ドラム11上に静電潜像が形成される。さらに、このようにして感光ドラム11上に形成された静電潜像は、現像器14によってトナー像として顕像化される。
【0020】
その後、感光ドラム11上のトナー像は、転写器15によってシートに転写される。さらに、トナー像が転写されたシートは、定着器16に搬送されてトナー像の定着が行われ、その後、排出ローラ対19を介して排出トレイ29に排出される。
【0021】
前記シートの裏面にトナー像を形成する場合には、定着器16から排出されたシートをスイッチバック経路18に搬送する。そして、スイッチバック経路18により表裏を反転した状態で、シートを再度、画像形成部10の転写器15に搬送する。裏面にトナー像が転写されたシートは、定着器16に搬送され、トナー像の定着が行われた後、排出ローラ対19により排出トレイ29に排出される。なお、転写後に感光ドラム11上に残った転写残トナーは、クリーナ17により除去される。
【0022】
制御部CON0は、CPU、ROM、RAMを有している。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。
【0023】
画像形成装置101に備わる操作部102では、画像形成条件、例えばシートサイズ指定、カラー・モノクロ印刷指定、プリント部数指定、片面・両面印刷指定、拡大・縮小印刷指定などの印刷条件が設定される。
【0024】
次に、図3乃至図5に基づいて給紙装置DKの詳細について説明する。なお、第1給紙ユニットDK1と第2給紙ユニットDK2は、スルーパス部TPを除いて同一構成であるため、第1給紙ユニットDK1に基づいて説明する。
【0025】
第1給紙ユニットDK1は、複数の収納庫LO1~LO3、前記複数の収納庫LO1~LO3からそれぞれ延びる複数の搬送経路TR1~TR5、各搬送経路に配置されている複数の搬送ローラ対、シートセンサS1~S13、重送センサDFS1~DFS3、モータM1~M17、スルーパス部TP等を備えている。本実施形態では、3つの収納庫LO1~LO3が上下方向に3段並べて配置されており、下段の収納庫LO3と中段の収納庫LO2との間にスルーパス部TPが設けられている。なお、第2給紙ユニットDK2には、前記スルーパス部TP及び重送センサDFS3は設けられていない。
【0026】
上段の収納庫LO1から給送されたシートは、搬送経路TR1に搬送され、中段の収納庫LO2から給送されたシートは、搬送経路TR2に搬送され、下段の収納庫LO3から給送されたシートは、搬送経路TR3に搬送される。また、前記スルーパス部TPを介して第2給紙ユニットDK2から搬送されたシートは、搬送経路TR4に搬送される。搬送経路TR2は、途中で搬送経路TR1に合流している。また、搬送経路TR1、TR3、TR4は、合流点J1で合流し、搬送経路TR5を通って搬送ローラ対39に搬送され、接続経路TR6を介して画像形成装置101に送り込まれる。
【0027】
また、図4に示したように、搬送経路TR2と合流後の搬送経路TR1、スルーパス部TP、搬送経路TR3には、それぞれシートの重送を検出する重送センサDFS1~DFS3が配置されている。そして、重送センサDFS1~DFS3により重送が検出された不良シートは、搬送経路TR5まで搬送される。搬送経路TR5の下方には、重送が検出された不良シートを排出する下流側排出部(第1エスケープ部)ES1が設けられている。前記不良シートは、搬送経路TR5に設けられた切換部材(フラッパ)FL1によって搬送経路が切り換えられることで、前記第1エスケープ部ES1に排出される。重送が検出された場合の処理の詳細については、後述する。
【0028】
収納庫LO1~LO3から給送されるシートは、搬送経路TR1、TR3、TR4を経由して接続経路TR6に搬送される。また、第1給紙ユニットDK1は、制御部CON1により各部が制御される。制御部CON1は、CPU、ROM、RAMを有している。また、制御部CON1は、画像形成装置101の制御部CON0と通信可能であり、制御部CON0と通信することでシートの給送タイミングなどを制御する。
【0029】
図3に示したように、収納庫LO1には、画像形成装置101に向けてシートを給送するシート給送部40a、複数のシートが積載される積載トレイ44aを有する。積載トレイ44aは、昇降モータM15によって駆動される昇降機構45aにより上下方向に昇降可能である。積載トレイ44aは、シートを積載する際には所定位置まで下降し、積載されたシートが給送されると徐々に上昇していく。
【0030】
シート給送部40aは、シートの搬送手段としてのピックアップローラ43a、搬送ローラとリタードローラとから構成される分離搬送ローラ対41a、搬送ローラ対42a等を有する。ピックアップローラ43a及び分離搬送ローラ対41aは、搬送モータM1によって回転駆動され、搬送ローラ対42aは、搬送モータM2によって回転駆動される。また、シート給送部40aには、分離搬送ローラ対41aの搬送方向下流側におけるシートの有無を検出するシートセンサS1と、搬送ローラ対42aの搬送方向上流側におけるシートの有無を検出するシートセンサS2とが配置されている。
【0031】
ピックアップローラ43aは、積載トレイ44aの上方に設けられ、上昇した積載トレイ44aに積載されたシートの最上位シートと当接して給送する。このためにピックアップローラ43aは、シート搬送方向に関してシートの先端部近傍に、積載トレイ44a上の最上位シートに適宜の力で圧接可能となるように配置されている。そして、回転することで、最上位シートを送り出す。
【0032】
分離搬送ローラ対41aは、ピックアップローラ43aから2枚以上のシートが重なって給送された場合、つまり2枚以上のシートが重送された場合に、分離して1枚のみのシートを搬送する。
【0033】
前記分離搬送ローラ対41aによって分離搬送されたシートは、搬送ローラ対42aにより搬送経路TR1に搬送される。搬送経路TR1には、搬送モータM7、M8によって回転駆動される複数の搬送ローラ対が配置されている。また、図4に示したように、搬送経路TR1には、搬送方向下流側におけるシートの有無を検出するシートセンサS7と、搬送方向上流側におけるシートの有無を検出するシートセンサS8が配置されている。
【0034】
収納庫LO2、LO3には、画像形成装置101に向けてシートを給送するシート給送部40b、40cと、複数のシートが積載される積載トレイ44b、44cと、昇降機構45b、45cと、を有する。なお、シート給送部40b、40cの構成及び搬送モータM3~M6については、シート給送部40aと同様であり、また、昇降機構45b、45cの構成及び昇降モータM16、M17については、昇降機構45aと同様であるので説明は省略する。
【0035】
スルーパス部TPでは、搬送モータM14によって回転駆動されるコンベア50によってシートが装置内を搬送される。また、スルーパス部TPには、コンベア50よりも搬送方向上流側に、スルーパス部TPに2枚以上のシートが重送されているか否かを検出する重送センサDFS3が配置されている。
【0036】
コンベア50によって搬送されたシートは、搬送モータM12によって回転駆動される搬送ローラ対51と、搬送モータM13によって回転駆動される搬送ローラ対52と、によって搬送経路TR4内に搬送される。
【0037】
搬送経路TR4には、搬送ローラ対51の搬送方向上流側におけるシートの有無を検出するシートセンサS12と、搬送ローラ対52の搬送方向上流側におけるシートの有無を検出するシートセンサS13と、が配置されている。
【0038】
搬送経路TR1、TR3、TR4は、合流点J1で合流し、搬送経路TR5に接続される。搬送経路TR5には、搬送モータM10によって回転駆動される搬送ローラ対53、搬送モータM11によって回転駆動される搬送ローラ対54が配置されており、搬送ローラ対54によって送り出されたシートが、接続経路TR6を経由して画像形成装置101に搬送される。
【0039】
また、搬送経路TR5には、搬送ローラ対53の搬送方向下流側におけるシートの有無を検出するシートセンサS10と、搬送ローラ対54の搬送方向上流側におけるシートの有無を検出するシートセンサS11と、が配置されている。そして、搬送経路TR5にはフラッパFL1が配置されている。このフラッパFL1は、ソレノイドSOLによって駆動し、搬送経路TR5に搬送された不良シートを接続経路TR6に向けて搬送する経路の途中から第1エスケープ部ES1の排出トレイ60に向けさせる。
【0040】
第1エスケープ部ES1は、収納庫LO3からのシートを画像形成装置101に搬送するための搬送経路TR3、TR5と、接続経路TR6の下方及び搬送経路TR1、TR2、TR3との合流点J1の下方に設けられている。第1エスケープ部ES1は、図3に示したように、搬送経路TR3、TR5を搬送されるシートの搬送方向における重送されたシートの排出領域が、画像形成装置101に隣り合う位置から収納庫LO3に隣り合う位置までの広い範囲となっている。つまり、第1エスケープ部ES1のうち搬送経路TR3、TR5を通るシートの搬送方向の長さは、搬送経路TR3から合流点J1、フラッパFL1を介して接続経路TR6に至るまでの長さとなっている。また、第1エスケープ部ES1は、その高さ方向において、搬送経路TR3の位置、つまりフラッパFL1の位置から第1給紙ユニットDK1の底面61よりも低い位置までを重送されたシートの排出領域としている。
【0041】
このように、第1給紙ユニットDK1は、第1エスケープ部ES1の重送されたシートを排出する排出領域を、装置内において大きく形成していることで、大量のシートを第1エスケープ部ES1に排出することができる。
【0042】
なお、第2給紙ユニットDK2については、上記第1給紙ユニットDK1からスルーパス部TP、搬送モータM12~14及び重送センサDFS3を除いた以外は同一構成となっている。
【0043】
次に、上記給紙装置DKにおいて、第2給紙ユニットDK2の搬送経路で重送や先出によって残留した不良シートの搬送及び排出の動作を図6及び図7のフローチャートに基づいて説明する。なお、第2給紙ユニットDK2は、第1給紙ユニットDK1からスルーパス部TPを除いた構成は共通であるので、各収納庫からの給紙動作の詳細については省略する。また、共通する部分は第1給紙ユニットDK1と同一符号で示す。
【0044】
図6に示すように、第2給紙ユニットDK2では、重送センサDFS1、DFS2のいずれかにおいてシートの重送等が検出された場合、検出された不良シートP2はフラッパFL2に案内されて、上流側排出部(第2エスケープ部)ES2に排出される。本発明では、前記第2エスケープ部ES2に排出された不良シートP2が満杯状態となったことを検出する上流側満杯検出手段を備えている。この上流側満杯検出手段によって、満杯であることが検出されたら、その後に重送となった不良シートP2を第1給紙ユニットDK1の第1エスケープ部ES1に向けて搬送させるように制御する。なお、第1給紙ユニットDK1で発生した不良シートP1はフラッパFL1に案内されて、第1エスケープ部ES1に排出される。この第1給紙ユニットDK1においても第1エスケープ部ES1が満杯であることを検出する下流側満杯検出手段を備えている。
【0045】
図7は重送等が生じた場合の制御部(CON1、CON2)における処理手順を示したものである。この処理では、最初に第2エスケープ部SE2が満杯状態であるいか否かを検出する(ST01)。満杯状態でなければ、第2給紙ユニットDK2で生じた不良シートP2はそのまま第2エスケープ部ES2に排出される(ST02)、(図6(a))。
【0046】
その後、さらに残留した不良シートP2がある場合は、再度ステップ(ST01)に戻り、第2エスケープ部SE2が満杯状態であるか否かを検出する。このとき、先の第2エスケープ部SE2への不良シートP2の排出によって第2エスケープ部SE2が満杯状態になっていなければ、引き続き第2エスケープ部SE2に排出する。
【0047】
一方、第2エスケープ部SE2が満杯状態であった場合、第1給紙ユニットDK1の第1エスケープ部ES1が満杯状態であるか否かを検出する(ST03)。この第1エスケープ部ES1の満杯状態が検出できなければ、スルーパス部TPを経由して第1給紙ユニットDK1に搬送され、フラッパFL1に案内されて第1エスケープ部ES1に第2給紙ユニットDK2で発生した不良シートP2を排出する(ST04)、(図6(b))。
【0048】
その後、さらに残留したシートがある場合は、再度ステップ(ST01)に戻り、第2エスケープ部SE2が満杯状態であるか否かを検出する。このとき、第2エスケープ部SE2は先の不良シートP2の搬送排出時に既に満杯状態となっているので、後続の不良シートP2も第1エスケープ部ES1に排出されることとなる。
【0049】
ステップ(ST03)において第1エスケープ部ES1が満杯状態である場合は、シートの搬送動作を停止して(図6(c))、第1エスケープ部ES1及び第2エスケープ部ES2が満杯状態であることを画像形成装置101に報知する(ST07、ST08)。これを受け、画像形成装置101は表示部103に満杯エラー表示を行う。そして、不良シートなし、つまり給紙装置DKの搬送経路中の全ての不良シートが第1エスケープ部ES1及び第2エスケープ部ES2に搬送して排出されると、給紙装置DKにおける搬送及び排出の動作を停止する(ST06)。
【0050】
次に、図8に基づいて、搬送された不良シートが前記第1エスケープ部ES1及び第2エスケープ部ES2において満杯状態であるか否かの判定を行う満杯検出手段の一例について説明する。なお、第1エスケープ部ES1及び第2エスケープ部ES2は共通仕様となっているため、以下の説明においては、単に「エスケープ部ES」と称する。
【0051】
本実施形態のエスケープ部ESは、上部が開口したボックス型の排出トレイ60を備え、この排出トレイ60に不良シートを落下させて排出する構造となっているため、不良シートのサイズによって排出量が異なる。このため、エスケープ部ESの満杯状態の検出においては、エスケープ部ESに排出される不良シートをサイズによって定められた値をカウントすることで検出している。つまり、所定のサイズの不良シートが満杯になる枚数を予め測定して上限値(満杯値)を定め、所定サイズよりも大きいサイズは2カウントとする。例えば、所定サイズをA4とすると、A4、A5及びA6などを1カウント(1枚相当)とし、B4やA3などを2カウント(2枚相当)とする。
【0052】
満杯検出手段は、重送センサDFS1~DFS3において不良シートが検出され、第1給紙ユニットDK1又は第2給紙ユニットDK2の重送処理が開始されたことによって実行される。先ず、エスケープ部ESに不良シートが排出されたか否かを検出する(ST11)。具体的には、エスケープ部ESに配置されたシートセンサS10が不良シートを検出したか否かによって、排出の有無が判定される。
【0053】
シートが検出されると、そのシートの情報(サイズ)を画像形成装置101が第1給紙ユニットDK1又は第2給紙ユニットDK2を介して取得する(ST12)。そして、取得されたシート情報からシートサイズが所定サイズ以下か否かが判定される(ST13)。所定サイズ以下であれば、不良シートであるか、先出シートであるかを判定し、不良シートであれば2枚が重なって搬送排出されたとして満杯カウンタCNに「2」を加算する(ST14、ST16)。
【0054】
一方、先出シートであれば満杯カウンタCNに「1」を加算する(ST14、ST17)。シートが所定サイズよりも大きいラージサイズ(Lサイズ)であれば、不良シートであるか、先出シートであるかを判定し、Lサイズのシートが重送されたとして、満杯カウンタCNに「4」を加算する(ST15、ST18)。一方、Lサイズの先出シートであれば満杯カウンタCNに「2」を加算する(ST15、ST19)。なお、本実施形態の重送処理においては、不良シートを最初に搬送して排出することにしているので、不良シートの検出後に最初に排出されるシートを不良シートとし、以降のシートは先出シートであるとしている。
【0055】
次に、加算された満杯カウンタCNのカウント値と予め設定された満杯値とを比較し、満杯値以上であればエスケープ部ESが満杯状態であると判定して、満杯フラグFUFLGを「1」にする(ST20、ST21)。一方、満杯カウンタCNのカウント値が予め設定された満杯値をよりも小さい値であれば、エスケープ部ESが満杯状態でないと判定する(ST20)。前記満杯フラグFUFLGは、例えば、エスケープ部SEを覆う開閉カバー(図示せず)の開閉を検知することによって、リセット(満杯フラグFUFLGを「1」)にするように設定することができる。すなわち、開閉カバーの開閉動作によって、エスケープ部ESに排出された不良シートが全て取り除かれたとすることができる。
【0056】
なお、上記実施形態に示したように、シートを落下させることによって排出するボックス型の排出トレイを有するエスケープ部ESにおいては、複数の異なる種類のシートが排出されることがあるため、シートのサイズ、厚さ、材質などに応じた重み付け(係数)を設定し、枚数と重み付けでシートの満杯を検出するようにしてもよい。さらに、エスケープ部ESに光学系のセンサを配置してシートの満杯を検出するような手段や、エスケープ部ESの上部に機械的なセンサレバーを設け、このセンサレバーの動作を光学系のセンサで検出するような手段であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
DK 給紙装置
DK1 第1給紙ユニット(下流側給紙ユニット)
DK2 第2給紙ユニット(上流側給紙ユニット)
CON0、CON1、CON2 制御部(制御手段)
ES1 第1エスケープ部(下流側排出部)
ES2 第2エスケープ部(上流側排出部)
M1~M14 搬送モータ
M15~M17 昇降モータ
S1~S13 シートセンサ
DFS1~DFS3 重送センサ(不良シート検出手段)
TR1~TR5 搬送経路
TR6 接続経路
J1 合流点
TP スルーパス部
FL1、FL2 フラッパ
LO1、LO2、LO3 収納庫(収納部)
19 排出ローラ対
20 給紙部
21 給紙カセット
22 ピックアップローラ
25 分離搬送ローラ対
29 排出トレイ
31 搬送ローラ対
33 レジストローラ対
34 シート搬送経路
39 搬送ローラ対
40a、40b、40c シート給送部
41a 分離搬送ローラ対
42a 搬送ローラ対
43a ピックアップローラ
44a、44b、44c 積載トレイ
45a、45a、45c 昇降機構
50 コンベア
51~54 搬送ローラ対
60 排出トレイ
100 画像形成システム
101 画像形成装置
102 操作部
103 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8