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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100577
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】排水ホース用ジョイント及び洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/08 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
D06F39/08 311B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214630
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 智宏
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 純也
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA12
3B166AA32
3B166AE01
3B166AE02
3B166BA34
3B166BA83
3B166BA84
3B166BA88
3B166CA02
3B166CA03
3B166CA04
3B166CA05
3B166CA11
3B166CA21
3B166CA30
3B166DE01
3B166DE04
3B166DE06
(57)【要約】
【課題】排水ホースに関する不具合を解消できる排水ホース用ジョイント及び洗濯機を提供する。
【解決手段】排水ホース用ジョイント6は、前後方向Yにおける前側Y1へ延びる上流筒部21と、前側Y1へ延びて排水ホース5につながる下流筒部22と、上流筒部21と下流筒部22とをつなぐ途中筒部23とを含む。上流筒部21は、洗濯機1の筐体2の後壁12に設けられる排水用の出口16に対して差し込まれる。下流筒部22は、前後方向Yと交差する上下方向Zに沿う直線部分23Aを有する。
【選択図】図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向における一方側へ延びる上流筒部であって、洗濯機の筐体の縦外壁に設けられる排水用の出口に対して差し込まれる上流筒部と、
前記一方側へ延びて排水ホースにつながる下流筒部と、
前記第1方向と交差する第2方向に沿う直線部分を有し、前記上流筒部と前記下流筒部とをつなぐ途中筒部と、を含む、排水ホース用ジョイント。
【請求項2】
前記直線部分は、前記第1方向において扁平である、請求項1に記載の排水ホース用ジョイント。
【請求項3】
前記途中筒部の外面部には、凸部が設けられる、請求項1又は2に記載の排水ホース用ジョイント。
【請求項4】
前記上流筒部と一緒に前記出口に対して差し込まれて前記縦外壁に対して固定される固定部と、前記上流筒部を前記出口内に押し込む押込部と、を有するストッパを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の排水ホース用ジョイント。
【請求項5】
請求項4に記載の排水ホース用ジョイントと、
前記筐体と、
前記出口内に配置されて前記縦外壁に対して固定される本体パイプと、含み、
前記本体パイプは、前記本体パイプの径方向における内側及び外側から前記上流筒部を挟む内側筒部及び外側筒部を有し、
前記外側筒部には、係止穴が設けられ、
前記固定部は、前記外側筒部と前記上流筒部との間に挟まれ、
前記固定部は、前記係止穴に係止される係止部を有する、洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、排水ホース用ジョイント及び洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来の洗濯機100の模式的な右側面図である。洗濯機100は、その筐体101における側壁や背面壁などの外縦壁102から引き出された蛇腹状の排水ホース103を含む。排水ホース103は、外縦壁102の下部に接続された根元部103Aと、洗濯機100の設置スペースにおける洗濯機100の真下又は側方の排水口104に接続された先端部103Bと、根元部103Aから突出した後に下側へ大きくUターンして先端部103Bへ向かう湾曲部103Cとを有する。筐体101の下端部における脚部105には、排水ホース103において先端部103Bと湾曲部103Cとの間の部分が固定される溝状の固定部105Aが設けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
洗濯機の設置スペースは、様々である。そのため、設置スペースによっては、作業者は、重量物である洗濯機100を傾けたり倒したりして排水ホース103を露出させてから、排水ホース103の先端部103Bの向きを調整する必要があるので、作業者の負担が大きい。また、洗濯機100が狭い設置スペースに設置されることによって外縦壁102が周囲の壁106に接近する場合には、排水ホース103の湾曲部103Cが外縦壁102と壁106との間に挟まれて破損し、湾曲部103Cの破損個所から水漏れが発生するおそれがある。そのため、湾曲部103Cが壁106に接触しないように、外縦壁102と壁106との間隔を実質的には100mm以上確保する必要があるが、設置スペースの都合上、このような間隔の確保が困難な場合がある。また、排水ホース103の根元部103Aが筐体101から抜けやすいと、水漏れのリスクが高まる。また、日本国内仕様の洗濯機と排水方法が違う外国仕様の洗濯機を日本国内仕様に変更する場合には、排水ホース103の取り回しを検討する必要があるが、その際において、排水ホース103に関する洗濯機の構造変更を最小限に抑えることができると好ましい。
【0004】
この発明は、かかる背景のもとにおいてなされたものであり、排水ホースに関する不具合を解消できる排水ホース用ジョイント及び洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1方向における一方側へ延びる上流筒部であって、洗濯機の筐体の縦外壁に設けられる排水用の出口に対して差し込まれる上流筒部と、前記一方側へ延びて排水ホースにつながる下流筒部と、前記第1方向と交差する第2方向に沿う直線部分を有し、前記上流筒部と前記下流筒部とをつなぐ途中筒部と、を含む、排水ホース用ジョイントである。
【0006】
また、本発明は、前記直線部分が、前記第1方向において扁平であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記途中筒部の外面部には、凸部が設けられることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記排水ホース用ジョイントが、前記上流筒部と一緒に前記出口に対して差し込まれて前記縦外壁に対して固定される固定部と、前記上流筒部を前記出口内に押し込む押込部と、を有するストッパを含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記排水ホース用ジョイントと、前記筐体と、前記出口内に配置されて前記縦外壁に対して固定される本体パイプと、含み、前記本体パイプが、前記本体パイプの径方向における内側及び外側から前記上流筒部を挟む内側筒部及び外側筒部を有し、前記外側筒部には、係止穴が設けられ、前記固定部が、前記外側筒部と前記上流筒部との間に挟まれ、前記固定部が、前記係止穴に係止される係止部を有する、洗濯機である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、排水ホース用ジョイントでは、上流筒部が洗濯機の筐体の縦外壁における排水用の出口に対して差し込まれ、下流筒部が排水ホースにつながる。つまり、排水ホースが、排水ホース用ジョイントを介して洗濯機に接続される。そのため、洗濯機に設置する場合において、洗濯機を傾けたり倒したりして排水ホースの取り回しを調整しなくても、排水ホース用ジョイントの姿勢や下流筒部の位置を調整することによって、排水ホースの先端部を設置スペースの排水口に容易に接続できる。また、外国仕様の洗濯機を日本国内仕様に変更する場合などにおいて、洗濯機を大幅に構造変更しなくても、排水ホース用ジョイントの姿勢や下流筒部の位置を調整することによって、排水ホースの先端部を設置スペースの排水口に容易に接続できる。
排水ホース用ジョイントでは、上流筒部及び下流筒部が、ともに第1方向における一方側へ延び、上流筒部と下流筒部とをつなぐ途中筒部が、第1方向と交差する第2方向に沿う直線部分を有する。このような排水ホース用ジョイントは、第1方向において扁平なU字状である。そのため、洗濯機の筐体の縦外壁が第1方向において設置スペースの周囲の壁に接近して配置される場合において、これらの壁の間の狭い隙間に排水ホース用ジョイントを配置できる。第1方向において扁平な排水ホース用ジョイントは、周囲の壁に接触しにくいので、排水ホース用ジョイントの破損を防止できる。また、排水ホース用ジョイントが筐体の縦外壁と周囲の壁との隙間に配置されることにより、排水ホースが周囲の壁から遠ざけられるので、排水ホースの破損も防止できる。そのため、排水ホース用ジョイントや排水ホースの破損による水漏れを防止できる。以上のように、排水ホースに関する不具合を解消できる。
【0011】
また、本発明によれば、排水ホース用ジョイントの途中筒部における直線部分が第1方向において扁平であるので、洗濯機の筐体の縦外壁が第1方向において周囲の壁に接近して配置されて、途中筒部が、これらの壁の間に配置される場合において、途中筒部は、周囲の壁に接触しにくい。これにより、排水ホース用ジョイントの破損を防止できるので、排水ホース用ジョイントの破損による水漏れを防止できる。
【0012】
また、本発明によれば、途中筒部の外面部には、凸部が設けられるので、途中筒部が周囲の壁に接触する場合には、実際には凸部が、バンパとなって壁に接触する。これにより、排水ホース用ジョイントの破損を防止できるので、排水ホース用ジョイントの破損による水漏れを防止できる。
【0013】
また、本発明によれば、排水ホース用ジョイントのストッパでは、固定部が、上流筒部と一緒に縦外壁の出口に対して差し込まれて縦外壁に対して固定され、押込部が、上流筒部を出口内に押し込むので、上流筒部が出口から不意に外れて水漏れが発生することを防止できる。
【0014】
また、本発明によれば、洗濯機では、縦外壁の出口内に配置されて縦外壁に対して固定される本体パイプの内側筒部及び外側筒部が、排水ホース用ジョイントの上流筒部を径方向の外側及び内側から挟む。排水ホース用ジョイントでは、ストッパの固定部が、外側筒部と上流筒部との間に挟まれ、固定部の係止部が、外側筒部の係止穴に係止される。これにより、固定部を、本体パイプを介して縦外壁に対して強固に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来の洗濯機の模式的な右側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る洗濯機の右側面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る洗濯機の背面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る洗濯機に含まれる排水ホース用ジョイントの右側面図である。
図5】排水ホース用ジョイントの正面図である。
図6図5のA-A矢視断面図である。
図7】排水ホース用ジョイントの平面図である。
図8】排水ホース用ジョイントの斜視図である。
図9】排水ホース用ジョイントの斜視図である。
図10】排水ホース用ジョイントに含まれるストッパの斜視図である。
図11】ストッパの斜視図である。
図12】本発明の一実施形態に係る洗濯機の要部の斜視図である。
図13】本発明の一実施形態に係る洗濯機の要部の斜視図である。
図14】本発明の一実施形態に係る洗濯機の要部の斜視図である。
図15】本発明の一実施形態に係る洗濯機の要部の背面図である。
図16図15のB-B矢視断面図である。
図17図15のC-C矢視断面図である。
図18図15のD-D矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る洗濯機1の右側面図である。図2において紙面に直交する方向を洗濯機1の左右方向Xといい、図2における左右方向を洗濯機1の前後方向Yといい、図2における上下方向を洗濯機1の上下方向Zという。左右方向Xのうち、図2の紙面の奥側を左側X1といい、図2の紙面の手前側を右側X2という。前後方向Yのうち、左側を前側Y1といい、右側を後側Y2という。上下方向Zのうち、上側を上側Z1といい、下側を下側Z2という。
【0017】
洗濯機1には、ドラム式洗濯機や、縦型洗濯機や、二槽式洗濯機や、乾燥機能を有する洗濯乾燥機も含まれるが、以下では、乾燥機能が省略されて洗濯運転だけを実行するドラム式洗濯機を例に取って洗濯機1について説明する。洗濯機1は、その外郭をなすボックス状の筐体2と、筐体2内に配置された洗濯槽3と、筐体2内において洗濯槽3から下側Z2へ延びてから横方向、例えば後側Y2へ延びる排水路4と、筐体2の外つまり機外に配置された排水ホース5と、機外に配置されて排水路4と排水ホース5とをつなぐ排水ホース用ジョイント6とを含む。
【0018】
筐体2は、正面壁をなす前壁11と、背面壁をなす後壁12と、前壁11及び後壁12の左端間及び右端間にそれぞれ架設された左右一対の側壁13と、前壁11、後壁12及び側壁13の各上端に接続された天壁14と、前壁11、後壁12及び側壁13の各下端に接続されたベース15とを有する。前壁11、後壁12及び各側壁13は、縦つまり上下方向Zに延びる板であり、特に、後壁12及び各側壁13は、筐体2の縦外壁の一例である。後壁12の下端部における右端部には、円形状の出口16が設けられる(図3参照)。天壁14は、前壁11、後壁12及び側壁13によって囲まれた筐体2の内部空間2Aを上側Z1から塞いだ状態にある。
【0019】
ベース15は、前壁11、後壁12及び側壁13の各下端を縁取る略矩形の額縁状に形成される。ベース15の下面部の四隅には、下側Z2へ突出した脚17が1つずつ設けられる。ベース15の下面部において、隣り合う脚17の間の部分には、上下が逆になったU字状の切欠き15Aが形成される。
【0020】
洗濯機1が設置される設置スペースには、トレイ状の洗濯パン18が設けられる。洗濯パン18は、ベース15より一回り大きい矩形状の底壁18Aと、底壁18Aの前縁、後縁、左縁及び右縁からそれぞれ立ち上がった前壁18B、後壁18C、左壁18D及び右壁18Eをと有する(図3も参照)。底壁18Aには、建物の排水管(図示せず)につながった排水口18Fが設けられる。ベース15は、洗濯パン18において、前壁18B、後壁18C、左壁18D及び右壁18Eによって囲まれた内側空間に配置され、各脚7は、底壁18Aの四隅に1つずつ載せられる。底壁18Aの四隅には、一段高い台座が設けられてもよい。底壁18Aの排水口18Fは、洗濯機1の真下にあってもよいし、洗濯機1の側方、例えば右側X2に位置してもよい。
【0021】
洗濯槽3は、水が溜められる水槽である。洗濯槽3は、回転駆動されるドラム(図示せず)を収容する。使用者は、筐体2の前壁11に設けられた扉19を開いてドラムに洗濯物を出し入れすることができる。排水路4は、洗濯槽3の下端部につながった根元部4Aと、筐体2の後壁12の出口16につながった先端部4Bとを有する。そのため、出口16は、排水用の開口である。なお、出口16の周辺における排水路4の構成については、追って詳しく説明する。
【0022】
排水ホース5は、洗濯パン18の底壁18Aの排水口18Fにつながった下流端部5Aと、下流端部5Aとは反対側の上流端部5Bと、下流端部5Aと上流端部5Bとをつなぐ途中部5Cとを有する。下流端部5Aの一例では、前側Y1へ向かうにつれて下側Z2へ湾曲して排水口18Fにつながるエルボ管である。上流端部5Bは、下流端部5Aよりも後側Y2に配置される。途中部5Cは、蛇腹状であり、上流端部5Bから下流端部5Aへ向けて、少なくとも前後方向Yに延びる。
【0023】
図4は、排水ホース用ジョイント6の右側面図である。以下では、排水ホース用ジョイント6を「ジョイント6」と略称することがある。そして、洗濯機1に組み込まれたときの状態に基いて、ジョイント6の向きを特定する。ジョイント6は、弾性を有するゴムなどによって構成される。ジョイント6は、筐体2の後壁12の出口16に対して差し込まれる上流筒部21と、排水ホース5の上流端部5Bにつながる下流筒部22と、上流筒部21と下流筒部22とをつなぐ途中筒部23とを一体的に含む。
【0024】
上流筒部21は、円筒状であり、その中心軸線が前後方向Yに沿った状態で、前後方向Yにおける前側Y1へ延びる。本実施形態では、前後方向Yが第1方向の一例であって、前側Y1が当該第1方向における一方側である。これに代え、左右方向Xが第1方向の一例であって、左側X1又は右側X2が第1方向における一方側であってもよい。第1方向が前後方向Y及び左右方向Xのいずれであっても、これらに方向に直交する上下方向Zは、第1方向と交差する第2方向である。
【0025】
図5は、ジョイント6の正面図である。図6は、図5のA-A矢視断面図である。上流筒部21の外径は、上流筒部21の外周面のほぼ全域で一定だが、当該外周面の後端部では、後側Y2へ向かうにつれて徐々に小さくなる。上流筒部21の外周面の後端部と上流筒部21の後端面との接続部分は、円環状の外側段部21Aを構成する。上流筒部21における円筒状の内周面には、その周方向に延びる円環状のリブ21Bが、前後方向Yに間隔を隔てて複数設けられる。本実施形態では、3つのリブ21Bが設けられる。
【0026】
上流筒部21の内周面の前端部は、前側Y1へ向かうにつれて徐々に拡径するテーパ面21Cである。テーパ面21Cは、前端のリブ21Bよりも前側Y1に位置する。上流筒部21の前端面には、テーパ面21Cによって縁取られた円形状の流入口21Dが形成される。上流筒部21の内周面において後端のリブ21Bよりも後側Y2の部分は、縮径されて円環状の内側段部21Eを構成する。内側段部21Eは、上流筒部21の内周面において前後方向Yの中央よりも後側Y2に位置する。
【0027】
図7は、ジョイント6の平面図である。下流筒部22は、円筒状であり、その中心軸線が前後方向Yに沿った状態で前側Y1へ延びる。つまり、下流筒部22は、上流筒部21と同じ方向へ平行に延びる。下流筒部22は、上流筒部21よりも下側Z2に位置し、上流筒部21よりも左側X1に位置する。下流筒部22の後端は、上流筒部21の前端面よりも前側Y1に位置する。下流筒部22の外周面では、浅い溝22Aが前半分のほぼ全域に形成されることによって、当該前半分が後半分よりも僅かに小径である。下流筒部22の外周面の前端部には、溝22Aの溝底よりも一段高い円環状のフランジ部22Bが設けられる。フランジ部22Bの外径は、下流筒部22の外周面の後半分の外径とほぼ同じでる。
【0028】
図8は、ジョイント6の斜視図である。下流筒部22における円筒状の内周面における後寄りの領域には、その周方向に延びる円環状の第1段部22C及び第2段部22Dが、前側Y1から、この順に設けられる。第2段部22Dは、第1段部22Cよりも小径である。下流筒部22の内周面の前端部は、前側Y1へ向かうにつれて徐々に拡径するテーパ面22Eである。下流筒部22の前端面には、テーパ面22Eによって縁取られた円形状の流出口22Fが形成される。後側Y2へ向かうにつれて、下流筒部22の内径は、テーパ面22Eでは徐々に小さくなって、その後一定になり、第1段部22Cにおいて一段小さくなり、第2段部22Dにおいてさらに一段小さくなる。
【0029】
図4図8とともに図9も参照して、途中筒部23は、側面視(図4参照)で上下方向Zに沿う直線部分23Aと、直線部分23Aの上端から前側Y1へ約90度湾曲して上流筒部21の後端面に接続される上流湾曲部23Bと、直線部分23Aの下端から前側Y1へ約90度湾曲して下流筒部22の後端に接続される下流湾曲部23Cとを一体的に有する。そのため、側面視における途中筒部23の全体形状は、前後方向Yに扁平なU字状、詳しくは略J字状である(図4参照)。直線部分23Aは、正面視では、左下側へ直線状に傾斜する(図5参照)。そのため、前述した第2方向は、正面視では、左下側へ傾斜する直線方向である。直線部分23Aは、前後方向Yにおいて扁平である。つまり、直線部分23Aでは、前後方向Yの寸法が、前後方向Yに直交する方向の寸法よりも小さい。具体的には、直線部分23Aの平断面は、左右方向Xに長手の楕円形状、又は、左右方向Xに長手で前後方向Yに短手で四隅が丸められた長方形状である。直線部分23Aの内部空間の平断面も、同様の楕円形状又は長方形状である。
【0030】
上流湾曲部23Bでは、直線部分23Aの上端に接続された部分の断面は、直線部分23Aと同じ楕円形状又は長方形状であるが、上流筒部21の後端面に接続された部分の断面は、上流筒部21の後端面よりも小径の円形状である。下流湾曲部23Cは、厳密には、左下側へ傾斜する直線部分23Aの下端から下側Z2へ湾曲してから前側Y1へ湾曲して下流筒部22の後端に接続される(図4及び図5参照)。下流湾曲部23Cでは、下流筒部22の後端に接続された部分の断面は、下流筒部22と同径の円形状であり、それ以外の部分の断面は、直線部分23Aと同じ楕円形状又は長方形状である。
【0031】
途中筒部23の延びる方向つまり長手方向と直交する切断面で切断したときの途中筒部23の内部空間の断面積の大きさは、直線部分23A、上流湾曲部23B及び下流湾曲部23Cのいずれにおいても一定である。途中筒部23の内部空間の断面積の大きさは、上流筒部21の内側段部21E(図6参照)における内部空間の断面積の大きさと同じであり、下流筒部22の第2段部22D(図8参照)における内部空間の断面積の大きさとも同じである。
【0032】
途中筒部23の外面部の全域には、複数の凸部23Dが分散して設けられる。各凸部23Dは、直線部分23A、上流湾曲部23B及び下流湾曲部23Cに跨って延びる一筋のリブである。
【0033】
ジョイント6は、筐体2の後壁12の出口16に対して差し込まれた上流筒部21の抜け止めとして機能するストッパ31をさらに含む。図10は、ストッパ31の斜視図である。ストッパ31は、円弧状、詳しくはC字状の全体形状を有する。ストッパ31は、その全体をなすC字状の本体部31Aを有する。本体部31Aの後面部は、上下方向Z及び左右方向Xに沿って平坦だが、図11に示すように、本体部31Aの前面部には、位置決め部31Bと、固定部31Cと、スペーサ部31Dと、押込部31Eとが設けられる。
【0034】
位置決め部31Bは、前側Y1へ突出する円筒状の凸部であり、本体部31Aの外縁部の中央に配置される。固定部31Cは、本体部31Aの両端部に1つずつ設けられる。各固定部31Cは、前側Y1へ突出し、その先端には、本体部31Aの外縁部側へ折れ曲がった爪状の係止部31Fが設けられる。スペーサ部31Dは、前側Y1へ突出して本体部31Aと同じ曲率で湾曲した円弧状であり、本体部31Aの前面部において一対の固定部31Cの間に配置される。スペーサ部31Dと各固定部31Cとの間には、隙間が確保される。押込部31Eは、本体部31Aの内縁部に沿って前側Y1へ突出した円弧状のリブである。押込部31Eの前端は、固定部31C及びスペーサ部31Dのそれぞれの前端よりも後側Y2に位置する。
【0035】
次に、ジョイント6を用いた筐体2への排水ホース5の取り付けについて説明する。図12は、洗濯機1において筐体2の後壁12の出口16の周辺部分の斜視図である。出口16内には、樹脂製の本体パイプ35が配置される。本体パイプ35は、排水路4の先端部4Bをなす円筒状の内側筒部35Aと、内側筒部35Aの外周面から張り出してから後側Y2へ折れ曲がって内側筒部35Aを取り囲む円筒状の外側筒部35Bとを有する。外側筒部35Bの外径は、出口16の直径とほぼ同じである。外側筒部35Bの後端部は、本体パイプ35の径方向Rにおける外側へ折り曲げられた円環状のフランジ部35Cを構成する。フランジ部35Cは、後壁12における出口16の周縁部に後側Y2から引っ掛かった状態にある。外側筒部35Bが後壁12に接着されるなどにより、本体パイプ35は、後壁12に対して固定された状態にある。
【0036】
フランジ部35Cには、その外縁部を切り欠いた切欠き35Dが形成される。本実施形態では、2つの切欠き35Dが、フランジ部35Cの周方向に等間隔で配置される。外側筒部35Bにおいてフランジ部35Cよりも前側Y1の領域には、外側筒部35Bを径方向Rに貫通した複数の係止穴35Eが設けられる。
【0037】
作業者は、ジョイント6の上流筒部21を、本体パイプ35の内側筒部35Aと外側筒部35Bとの隙間に差し込むことによって、図13に示すように、筐体2の後壁12の出口16に接続する。次に、作業者は、ストッパ31の固定部31C及びスペーサ部31D(図11参照)が上流筒部21と外側筒部35Bとの隙間に差し込まれるように、ストッパ31を上流筒部21及び外側筒部35Bに取り付ける。ストッパ31の位置決め部31B(図11参照)が外側筒部35Bのフランジ部35Cにおけるいずれかの切欠き35D(図13参照)に嵌ると、ストッパ31の取り付けが完了するとともに、筐体2へのジョイント6の取り付けが完了する。
【0038】
取り付け後のジョイント6の途中筒部23では、図14に示すように、上流湾曲部23Bが筐体2の後壁12から後側Y2へ突出し、背面視で直線部分23Aが上流筒部21から右下側へ直線状に延び、下流湾曲部23Cが、筐体2のベース15における後側Y2の2つの脚17の間の切欠き15Aを通って筐体2の真下で前側Y1へ延びる。
【0039】
図15は、洗濯機1の要部の背面図である。図16は、図15のB-B矢視断面図である。下流筒部22には、排水ホース5の上流端部5Bが流出口22Fから同軸上で挿入される。上流端部5Bが下流筒部22から外れないように、例えば金属製のバンド36が下流筒部22の外周面の溝22Aに巻き付けられて下流筒部22を上流端部5Bに押し付けてもよい。上流端部5Bの内側には、下流筒部22及び上流端部5Bよりも剛性が高い樹脂製のスリーブ37が、下流筒部22及び上流端部5Bの芯出しのために配置される。スリーブ37において上流端部5Bからはみ出した後部が下流筒部22の内周面の第2段部22Dに前側Y1から接触して、スリーブ37の内周面と第2段部22Dの内周面とが面一に連続するので、排水に流れる埃などの異物(太い破線矢印を参照)が第2段部22Dの周辺に溜まることを防止できる。スリーブ37の当該後部の外周面に設けられた円環状のリブ37Aが下流筒部22の内周面に接触するとともに当該内周面の第1段部22Cに接触することにより、下流筒部22とスリーブ37との間が水封される。
【0040】
図17は、図15のC-C矢視断面図である。取り付け後のジョイント6では、上流筒部21の流入口21Dに本体パイプ35の内側筒部35Aが前側Y1から挿入された状態にある。このような上流筒部21は、本体パイプ35の径方向Rにおける内側及び外側から内側筒部35A及び外側筒部35Bによって挟まれて、これらの筒部と同軸上に配置された状態にある。上流筒部21の内周面における各リブ21Bが内側筒部35Aの外周面に接触することにより、上流筒部21と内側筒部35Aとの間が水封される。内側筒部35Aの後端部は、上流筒部21の内周面における内側段部21Eに前側Y1から接触した状態にある。内側筒部35Aの内径と内側段部21Eの内径とは同じなので、内側筒部35Aの内周面と内側段部21Eの内周面とが面一に連続する。上流筒部21の前端部は、外側筒部35Bにおいて内側筒部35Aの外周面から張り出した後端部35Fに後側Y2から接触してもよい。
【0041】
ストッパ31では、固定部31C及びスペーサ部31Dが、上流筒部21と一緒に筐体2の後壁12の出口16に対して差し込まれて、上流筒部21と外側筒部35Bとの間に挟まれた状態にある(図18も参照)。また、固定部31Cの先端における係止部31Fは、外側筒部35Bにおける係止穴35Eの周縁部に引っ掛かることによって、係止穴35Eに係止された状態にある。これにより、固定部31Cを含むストッパ31の全体が、外側筒部35Bを介して後壁12に対して固定される。ストッパ31では、本体部31Aの外周部が、外側筒部35Bのフランジ部35Cに後側Y2から接触した状態にある。さらに、ストッパ31の押込部31Eが、上流筒部21の後端部における外側段部21Aに後側Y2から接触することによって、上流筒部21を出口16内に押し込んだ状態にある。
【0042】
図18は、図15のD-D矢視断面図である。ストッパ31の位置決め部31Bは、外側筒部35Bのフランジ部35Cにおけるいずれかの切欠き35Dに嵌った状態にある。また、スペーサ部31Dが上流筒部21と外側筒部35Bとの間に圧入されるので、取り付け後のスペーサ部31Dのがたつきが防止される。なお、ストッパ31は、前述したように1つだけ取り付けられるのでなく、2つのストッパ31が、環状をなすように取り付けられてもよい。
【0043】
以上のように、ジョイント6では、上流筒部21が洗濯機1の筐体2の後壁12の出口16に対して差し込まれ、下流筒部22が排水ホース5につながる。つまり、排水ホース5が、ジョイント6を介して洗濯機1に接続される。そのため、洗濯機1に設置する場合において、洗濯機1を傾けたり倒したりして排水ホース5の取り回しを調整しなくても、ジョイント6の姿勢や下流筒部22の位置を調整することによって、排水ホース5の先端部である下流端部5Aを設置スペースの排水口18F(図2参照)に容易に接続できる。また、洗濯機1が外国仕様である場合において、洗濯機1を日本国内仕様に変更する際において、洗濯機1を大幅に構造変更しなくても、ジョイント6の姿勢や下流筒部22の位置を調整することによって、排水ホース5の下流端部5Aを排水口18Fに容易に接続できる。そのため、洗濯機1の仕様を複数国において共通化できる。
【0044】
ジョイント6では、上流筒部21及び下流筒部22が、ともに前後方向Yにおける前側Y1へ延び、上流筒部21と下流筒部22とをつなぐ途中筒部23が、前後方向Yと交差する上下方向Zに沿う直線部分23Aを有する。このようなジョイント6は、前後方向Yにおいて扁平なU字状である。そのため、設置スペースが狭いことによって洗濯機1の筐体2の後壁12が前後方向Yにおいて周囲の壁に接近して配置される場合において、これらの壁の間の狭い隙間にジョイント6を配置できる。なお、当該周囲の壁は、本実施形態では洗濯パン18の後壁18C(図2参照)だが、設置スペースにおける部屋などの壁38(図2参照)でもあり得る。前後方向Yにおいて扁平なジョイント6は、周囲の壁に接触しにくいので、ジョイント6の破損を防止できる。また、ジョイント6が筐体2の後壁12と周囲の壁との隙間に配置されることにより、排水ホース5が周囲の壁から遠ざけられるので、排水ホース5の破損も防止できる。ジョイント6や排水ホース5の破損による水漏れを防止できる。以上のように、排水ホース5に関する不具合を解消できる。
【0045】
また、途中筒部23の直線部分23Aが前後方向Yにおいて扁平であるので、洗濯機1の筐体2の後壁12が前後方向Yにおいて周囲の壁に接近して配置されて、途中筒部23が、これらの壁の間に配置される場合において、途中筒部23は、周囲の壁に接触しにくい。これにより、ジョイント6の破損を防止できるので、ジョイント6の破損による水漏れを防止できる。なお、直線部分23Aが扁平であっても、前述したようにジョイント6の内部の断面の大きさ、つまり流路面積は、途中筒部23の全域にわたって一定であるし、排水路4及び排水ホース5のそれぞれの内部の断面の大きさとも同じなので、洗濯槽3からの排水を排水路4、排水ホース5及びジョイント6の順に円滑に流すことができる。
【0046】
また、途中筒部23の外面部には、凸部23Dが設けられるので、途中筒部23が周囲の壁に接触する場合には、実際には凸部23Dが、バンパとなって壁に接触する。これにより、ジョイント6の破損によるジョイント6の内部空間の露出を防止できるので、ジョイント6からの水漏れを防止できる。
【0047】
また、ジョイント6のストッパ31では、固定部31Cが、上流筒部21と一緒に後壁12の出口16に対して差し込まれて後壁12に対して固定され、押込部31Eが、上流筒部21を出口16内に押し込むので、上流筒部21が出口16から不意に外れて水漏れが発生することを防止できる。
【0048】
また、洗濯機1では、後壁12の出口16内に配置されて後壁12に対して固定される本体パイプ35の内側筒部35A及び外側筒部35Bが、ジョイント6の上流筒部21を径方向Rの外側及び内側から挟む。ジョイント6では、ストッパ31の固定部31Cが、外側筒部35Bと上流筒部21との間に挟まれ、固定部31Cの係止部31Fが、外側筒部35Bの係止穴35Eに係止される。これにより、固定部31Cを、本体パイプ35を介して後壁12に対して強固に固定できる。
【0049】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0050】
例えば、洗濯機1の筐体2においてジョイント6が接続される出口16は、前述の実施形態では後壁12に設けられるが、側壁13に設けられてもよい(図2参照)。また、ジョイント6は、排水ホース5に一体化されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 洗濯機
4 筐体
5 排水ホース
6 排水ホース用ジョイント
12 後壁
13 側壁
16 出口
21 上流筒部
22 下流筒部
23 途中筒部
23A 直線部分
23D 凸部
31 ストッパ
31C 固定部
31E 押込部
31F 係止部
35 本体パイプ
35A 内側筒部
35B 外側筒部
35E 係止穴
R 径方向
Y 前後方向
Y1 前側
Z 上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18