(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100587
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】作業装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/53 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
B65G47/53 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214654
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】592089799
【氏名又は名称】メタルエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(72)【発明者】
【氏名】金平 諭三
【テーマコード(参考)】
3F016
【Fターム(参考)】
3F016AA01
3F016CB03
3F016CB24
(57)【要約】
【課題】搬送路の脇に小さなスペースで設置でき、確実かつ安全に所定の作業を行うことができる作業装置を提供する。
【解決手段】作業装置であって、水平方向に延在する搬送路に置かれたものに対して作業を行う作業部と、作業部を搬送路に対して相対的にかつ水平方向に移動させる作業駆動部と、を備えた作業装置であって、作業部は、搬送路よりも上方に配置され、作業駆動部は、搬送路よりも下方に配置され、上方の作業部と下方の作業駆動部との間に搬送路が進入可能とする状態で、搬送路上におかれたものに対して作業を行う。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延在する搬送路に置かれたものに対して作業を行う作業部と、
前記作業部を前記搬送路に対して相対的にかつ水平方向に移動させる作業駆動部と、を備えた作業装置であって、
前記作業部は、前記搬送路よりも上方に配置され、前記作業駆動部は、前記搬送路よりも下方に配置され、
上方の前記作業部と下方の前記作業駆動部との間に前記搬送路が進入可能とする状態で、前記搬送路上におかれたものに対して前記作業を行う作業装置。
【請求項2】
基端部が前記作業駆動部に固定され、かつ前記作業部が先端部に固定された上下方向に延在する片持ちアームであって、
前記基端部と前記先端部との間には、前記搬送路が水平方向から前記片持ちアームに対して進入離脱可能な湾状の逃げ部が設けられている前記片持ちアームを備えた請求項1に記載の作業装置。
【請求項3】
前記片持ちアームの前記先端部には、前記先端部に付加される上下方向の力を受ける受けローラが設けられている請求項2に記載の作業装置。
【請求項4】
前記作業部には、前記搬送路を搬送される鋳型の横巾に対応する巾の押出し板を備えた請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の作業装置。
【請求項5】
前記作業部には、前記搬送路を搬送される搬送台の上面に溜まった落下物を掃き落とす清掃部材が設けられている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送路に対してコンパクトに設営できる作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋳造ラインに付帯する装置には、
図14および
図15に示すように、注湯済み鋳型PMを一つの搬送路(搬送テーブル2)から別の次の搬送路(冷却コンベヤCAC)に押出し板513で押し出して移動させる押出し装置511が知られている。また、
図16および
図17に示すように、搬送台車TF上の注湯済み鋳型PMを取り除いた後に搬送台車TF上面に付着した鋳物砂を除去する清掃装置54が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、作業を行う押出し板513や清掃部材544を先端部に取り付けた作業用アーム514,543は、水平方向に延在し、作業用アーム514,543を駆動させる駆動部(台車512,542)も作業用アーム514,543に対して直列する位置に設けている。そのため、このような作業用アーム514,543と駆動部(台車512,542)とを含む装置は、搬送路の脇に大きな設置スペースを必要とするという問題があった。
【0004】
本発明は、かかる課題を解決するために、搬送路の脇に小さなスペースで設置でき、確実かつ安全に所定の作業を行うことができる作業装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る作業装置は、水平方向に延在する搬送路に置かれたものに対して作業を行う作業部と、作業部を搬送路に対して相対的にかつ水平方向に移動させる作業駆動部と、を備えた作業装置であって、作業部は、搬送路よりも上方に配置され、作業駆動部は、搬送路よりも下方に配置され、上方の作業部と下方の作業駆動部との間に搬送路が進入可能とする状態で、搬送路上におかれたものに対して作業を行う。
これによると、搬送路に対して作業部と、作業駆動部とが進入して、上下方向に重ねた状態で作業できるので、搬送路の脇に設置する作業部および作業駆動部を平面スペース上においてコンパクトに設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明を実施した実施形態の造型ライン全体の概要を示す平面図である。
【
図2】押出し装置に実施した第一実施形態の作業装置の側面図である。
【
図3】押圧スライド装置を第二搬送路の下流側から見た図である。
【
図7】押出し装置で鋳型を押し出した状態を示す側面図である。
【
図8】清掃装置に実施した第二実施形態の作業装置を示す平面図である。
【
図11】清掃装置で清掃した状態を示す側面図である。
【
図12】押出し装置に実施した第三実施形態の作業装置を示す平面図である。
【
図13】押出し装置に実施した第三実施形態の作業装置を示す側面図である。
【
図15】従来の押出し装置で注湯済み鋳型を押し出した状態を示す側面図である。
【
図17】従来の清掃装置で搬送台車の上面を掃き出した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に係る作業装置を鋳造ラインに具体化した実施形態について、
図1~
図13を参照して以下に説明する。
図1は、本発明に係る作業装置としての鋳型押出し装置と、作業装置としての台車上面清掃装置4とを、含む鋳造ラインCLの全体の概要を示している。
【0008】
(鋳造ライン)
鋳造ラインCLは、
図1に示すように、造型装置ME、第一鋳型搬送装置MT1、注湯エリアPA、第一トラバーサT1、第二鋳型搬送装置MT2、第二トラバーサT2、ジャケット錘移し替え装置WT、冷却エリア搬入装置CAI、鋳型押出し装置11、冷却コンベヤCAC、台車上面清掃装置4、および振動コンベヤVCを備えている。
鋳造ラインCLは、造型した鋳型Mに溶湯を注入し、注湯済み鋳型PMを搬送し、注湯済み鋳型PMを所定時間冷却し、型バラシして鋳造品を注湯済み鋳型PMから取り出す鋳造工程を実行する。
【0009】
(造型装置)
造型装置MEは、水分、粘結材などが調整された鋳物砂を押圧することで上鋳型と下鋳型とを形成し、下鋳型に上鋳型を重ねて鋳型を造型する。造型装置MEは、公知技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0010】
(第一鋳型搬送装置)
第一鋳型搬送装置MT1は、第一搬送路TP1と第一プッシャー装置PD1と第一クッション装置CD1とを備えている。第一鋳型搬送装置MT1は、造型装置MEで造型された鋳型Mを搬送台車TFに載せて注湯エリアPAまで搬送し、注湯エリアPAで注湯された注湯済み鋳型PMを、さらに第一トラバーサT1まで搬送する。
【0011】
搬送台車TFは、鋳型Mを載置する矩形状の載置台と載置台の側面に搬送方向に直交する回転軸を有する4つの車輪(回転自在)とを備えている。搬送台車TFは、鋳型Mを載せて搬送するものとして公知技術であるので、説明を省略する。
第一搬送路TP1は、搬送方向に沿って設けられ床面BGから立ち上がる架台(図示せず)と、架台上に設けられ搬送方向に沿って平行に対に延在する図略の搬送レール(軌道レール)とを備えている。搬送レールには、夫々鋳型Mが載置される複数の搬送台車TFが一列に並べられる。
【0012】
第一プッシャー装置PD1は、第一搬送路TP1の上流側の端部に設けられ、第一搬送路TP1上に並べられた一番後方に位置する搬送台車TFを搬送方向に1ストローク(1つの搬送台車TFの搬送方向の長さ)だけ押圧する。
【0013】
第一クッション装置CD1は、第一搬送路TP1の下流側の端部に設けられ、第一搬送路TP1上に並べられた搬送台車TFのうち一番前方に位置する搬送台車TFを受けるように働く。第一鋳型搬送装置MT1では、複数の搬送台車TFを自由に動くことないように第一クッション装置CD1と第一プッシャー装置PD1とで挟持した状態で、搬送方向に搬送する。第一プッシャー装置PD1および第一クッション装置CD1は、公知技術であるため、詳細な説明を省略する。
【0014】
(注湯エリア)
注湯エリアPAは、金属を高温で溶かす溶解炉(図略)と溶けた金属の湯を鋳型に注入するトリベLと備えている。溶解炉およびトリベLは公知技術であるため説明を省略する。
【0015】
(第一トラバーサ)
第一トラバーサT1は、鋳型Mが載置された搬送台車TFを載置する台車載置台T1aと搬送レールに直交する遷移レールT1bと台車載置台T1aを遷移レールT1b上で駆動させる駆動装置(図略)とを備えている。台車載置台T1aは、側面に搬送方向に沿って延在する回転軸を有する4つの車輪を備えている。第一トラバーサT1は、公知技術であるため説明を省略する。
【0016】
(第二鋳型搬送装置)
第二鋳型搬送装置MT2は、第二搬送路TP2と第二プッシャー装置PD2と第二クッション装置CD2とを備えている。
第二鋳型搬送装置MT2は、第一鋳型搬送装置MT1とは逆方向に鋳型Mが載置された搬送台車TFを搬送するもので、第二搬送路TP2、第二プッシャー装置PD2、および第二クッション装置CD2の構成は同様なので説明を省略する。第二搬送路TP2の下流側には、第二搬送路TP2から冷却コンベヤCACに向けて注湯済み鋳型PMを搬出するための搬送路搬出位置TUPが設けられている。
【0017】
(第二トラバーサ)
第二トラバーサT2は、鋳型Mが取り除かれた搬送台車TFを第一トラバーサT1とは逆方向に搬送するもので、その構成は第一トラバーサT1と同様なので、説明を省略する。
【0018】
(ジャケット錘移し替え装置)
ジャケット錘移し替え装置WTは、第一搬送路TP1の注湯エリアPAの上流側位置および第二搬送路TP2の前記上流側位置に対応する下流側の位置に設けられている。ジャケットおよび錘(図示せず)は、鋳型Mに上方から被せられ、注湯時の内圧による鋳型Mの損傷破壊を防止するものである。ジャケット錘移し替え装置WTは、公知技術であるので、説明を省略する。
【0019】
第一搬送路TP1、第一トラバーサT1、第二搬送路TP2および第二トラバーサT2に沿って搬送台車TFを搬送することで、造型装置MEで造型された鋳型Mを、注湯工程を経て注湯済み鋳型PMとし、搬送路搬出位置TUPまで搬送する。また、搬送台車TFを循環させることで同じ搬送台車TFを繰り返し使用できるようになっている。
【0020】
本明細書において、注湯済み鋳型PMが鋳造ラインCLの第一・第二搬送路TP1,TP2に沿って搬送される方向を「搬送方向」という。鋳型の搬送を水の流れに例えて、鋳造ラインCLにおいて搬送の始点となる側を「上流側」、搬送の終点となる側を「下流側」という。搬送方向において上流方向を「後方」といい、下流方向を「前方」というものとする。搬送方向に延在する中心線を想定した場合に、その中心線より遠い側を「外側」、近い側を「内側」というものとする。
【0021】
(第一実施形態)
本発明に係る作業装置としての鋳型押出し装置11を、冷却エリア搬入装置CAIに実施した第一実施形態について以下に説明する。
【0022】
(冷却エリア搬入装置)
搬送路搬出位置TUPと後述する冷却コンベヤCACとの間には、冷却エリア搬入装置CAIが設けられている。冷却エリア搬入装置CAIは、第二搬送路TP2で搬送台車TFにより搬送された注湯済み鋳型PMを、搬送台車TFから受け取って冷却エリアを構成する冷却コンベヤCAC(ベルトコンベヤ)に搬入する工程を担う。
冷却エリア搬入装置CAIは、
図2に示すように、搬送テーブル2と押圧スライド装置3と鋳型押出し装置11とを備えている。
【0023】
(搬送テーブル)
搬送テーブル2は、搬送台車TFによって搬送路搬出位置TUPまで搬送されてきた注湯済み鋳型PMを冷却コンベヤCACに送るように連絡する。この搬送テーブル2は、「搬送路」に相当する。
【0024】
搬送テーブル2は、支持板21と平滑板22とを備えている。支持板21は、
図3に示すように、例えば鉄製で矩形長板状に形成され、第二搬送路TP2を挟む支柱31a(後述)の一方と第二搬送路TP2とは反対側に離間した支柱31aとの間に横架されている。平滑板22は、例えば鉄製の略矩形薄板状に形成され、支持板21の上に固定されている。平滑板22は、注湯済み鋳型PMが滑らかに移動するように、表面粗さが小さく設定されている。
【0025】
平滑板22は、
図4に示すように、第二搬送路TP2の搬送路搬出位置TUPに連絡するために第二搬送路TP2に向かって水平に矩形状に突出する第一連絡橋部221と、冷却コンベヤCACに連絡するために冷却コンベヤCACの上流端位置に向かって水平に矩形状に突出する第二連絡橋部222と、第一連絡橋部221と第二連絡橋部222とを連結し、第二搬送路TP2に直角な方向から第二搬送路TP2に平行な方向に移動方向を変える位置である方向変換部223とを備えている。平滑板22は、
図3に示すように、第二搬送路TP2の搬送路搬出位置TUPに位置決めされる搬送台車TFの鋳型載置面と同じ高さ位置となるよう、上面の位置が設定されている。
【0026】
(押圧スライド装置)
押圧スライド装置3は、搬送路搬出位置TUPに位置決めされる搬送台車TFに載置された注湯済み鋳型PMを、搬送テーブル2の方向変換部223までスライドさせる。押圧スライド装置3は、
図3に示すように、支持フレーム31と移動台車32と押し板33と駆動装置34とを備えている。
【0027】
支持フレーム31は、支柱31aと支持桟31bとガイドレール31cとを備えている。支柱31aは、例えば、鉄製の断面矩形状の長尺板材より形成され、搬送方向に所定の間隔で対にして、床面BGより夫々垂直に立設されている。支柱31aは、
図1に示すように、第二搬送路TP2を挟んだ両側と搬送テーブル2の第二搬送路TP2に対して反対側の計六個所に配設されている。
【0028】
支持桟31bは、例えば鉄製の断面正方形状の棒材により形成されている。支持桟31bは、前記支柱31aのうち第二搬送路TP2および搬送テーブル2を間に挟んで外側に設けられた支柱31aのうち、同じ外側に配された支柱31aの上部間に搬送方向に沿って一対横架されている。
【0029】
ガイドレール31cは、例えば鉄製の断面C形の長尺材により形成されている。ガイドレール31cは、
図3に示すように、前記外側に設けられた支柱31aのうち搬送方向に直交する方向に対向する支柱31a間に横架されている。ガイドレール31cは、第二搬送路TP2および搬送テーブル2の上方であって、支持桟31bと同じ高さ位置に設けられている。ガイドレール31cは、
図5に示すように、開口部側を対向させて水平方向に沿って配設され、開口部には後述する移動台車32の転動輪32bの回転軸が遊嵌される。ガイドレール31cの内壁底部には、転動輪32bの外周が転動するように接触する。
【0030】
移動台車32は、
図3に示すように、例えば、鉄製の長尺材により矩形状に組付けられた台車本体部32aと、台車本体部32aに設けられた転動輪32bと、駆動装置34のローラーチェーン34d(後述)に連結される連結部32cとを備えている。
【0031】
移動台車32は、第二搬送路TP2上の搬送路搬出位置TUPと搬送テーブル2上の方向変換部223との間を往復する(
図1参照)。方向変換部223は、本実施形態では、二つの注湯済み鋳型PMが搬送方向に対して直交する方向に沿って並ぶように、搬送テーブル2の方向変換部223上に二か所直線上に並べて配置される。
【0032】
移動台車32には、搬送方向に沿って延在する回転軸を夫々有する四つの転動輪32bが設けられ、転動輪32bはガイドレール31cに沿って転動するようになっている。
連結部32cは、例えば鉄製で四角柱状に形成され、移動台車32の搬送テーブル2側の上部に、例えば、溶接等により固定されている。
【0033】
押し板33は、押し板支持フレーム33aおよび押し板本体33bを備えている。押し板支持フレーム33aは、例えば、鉄製の長尺材で形成され、搬送方向に対向して移動台車32の第二搬送路TP2側の端部に溶接等で連結されて垂下されている。押し板本体33bは、例えば、鉄製の矩形状板材で形成され、押し板支持フレーム33aの搬送テーブル2側の側面に例えば溶接等で貼着されている。
【0034】
駆動装置34は、電動モータ34aと駆動側スプロケット34bと従動側スプロケット34cとローラーチェーン34dとを備えている。電動モータ34aは、搬送テーブル側の支持桟31bの上部中央に固定されている。電動モータ34aの駆動軸は、搬送方向に沿って延在し、駆動軸には駆動側スプロケット34bが駆動軸に対して相対回転不能に固定されている。第二搬送路TP2側の支持桟31bの上部中央には、従動側スプロケット34cの軸支持部が固定されている。
【0035】
従動側スプロケット34cは、駆動側スプロケット34bに対向して設けられ、従動側スプロケット34cと駆動側スプロケット34bとの間には、ローラーチェーン34dが循環するように掛装されている。ローラーチェーン34dの一端部は、移動台車32の連結部32cの一端側に、ローラーチェーン34dの他端部は、移動台車32の連結部32cの他端側に夫々連結されている。電動モータ34aの駆動により循環するローラーチェーン34dの動きは、連結部32cを介して移動台車32に伝わり、移動台車32をガイドレール31cに沿って往復するように移動させる。
【0036】
(鋳型押出し装置)
鋳型押出し装置11は、押圧スライド装置3により搬送テーブル2の方向変換部223に載置された注湯済み鋳型PMを、冷却コンベヤCACの上流端位置UEPまで移送する。
鋳型押出し装置11が、作業装置に相当し、搬送テーブル2が搬送路に相当する。
鋳型押出し装置11は、
図4に示すように、搬送テーブル2を挟んで冷却コンベヤCACの反対側に設けられた支持台111の上に固定されている。鋳型押出し装置11は、支持台111、押出し台車112、第一油圧シリンダ装置HCD1、押出し板113および第一片持ちアーム114(片持ちアーム)を備えている。
【0037】
支持台111は、四本の支柱部材111a、四本の下部横梁部材111bおよび四本の上部横梁部材111cによって矩形の櫓状に組んで形成されている。第二搬送路TP2と平行な方向に沿って延在する上部・下部横梁部材111b,111cは、第二搬送路TP2と直角な方向に沿って延在する上部・下部横梁部材111b,111cよりも長く形成されている。上方から見て長方形状に形成されている。第二搬送路TP2に直角な方向に対向する一対の支柱部材111aは、後述する冷却コンベヤCACの上流端位置UEPの下方より下流側に挿入されて設けられている。
【0038】
第二搬送路TP2と平行な方向に沿って延在する上部横梁部材111cは、例えば、断面コ字型の部材で形成され、コ字の開口部が対向するように設けられている。第二搬送路TP2と平行な方向に沿って延在する上部横梁部材111cは、後述する押出し台車112の車輪112bをガイドするガイドレールを構成する。
【0039】
押出し台車112は、押出し台車本体112aと車輪112bとを備えている。押出し台車本体112aは、
図5に示すように、例えば、第二搬送路TP2に沿った方向が長い長方形板状に形成されている。押出し台車本体112aの四隅に第二搬送路TP2に対して直角な方向に延在する中心軸を備えた車輪112bが回転自在に設けられている。押出し台車112の上流側の端部には、第一片持ちアーム114の基端部1141が固定されている。
【0040】
第一片持ちアーム114は、例えば鉄製で形成され、縦アーム部114aと横アーム部114bとを備えている。縦アーム部114aは、押出し台車112の一方側(
図4において左側)の両隅より垂直に一対立設されている。横アーム部114bは、矩形の長板状に形成され、縦アーム部114aと一体に形成されている。横アーム部114bは、縦アーム部114aの先端より押出し台車112の上方に押出し台車112と平行に設けられている。横アーム部114bの先端部1142には、垂直方向および第二搬送路TP2に直角な方向に延在する長方形板状の押出し板113が組み付けられている。
【0041】
押出し板113は、二つ並べられた注湯済み鋳型PMの横巾に対応する巾で形成されている。側面から見て第一片持ちアーム114および押出し台車112は、コ字状に形成され、搬送テーブル2が一方(
図4において左側)の水平方向から第一片持ちアーム114に挿入離脱可能な逃げ部EP1が形成されている。押出し板113が作業部に相当し、押出し台車112が作業駆動部に相当する。
【0042】
(第一油圧シリンダ装置)
押出し台車112の底面には、第一油圧シリンダ装置HCD1が設けられている。第一油圧シリンダ装置HCD1は、押出し台車112を搬送テーブル2の搬送方向に直角な方向に移動させる。第一油圧シリンダ装置HCD1は、シリンダ部CP1、ピストン部PP1、油圧ポンプHP1および電磁切替弁ESV1を備えている。
【0043】
シリンダ部CP1は、
図5に示すように、上部横梁部材111c(ガイドレール)と平行に設けられ、シリンダ部CP1の中間部は、対となった上部横梁部材111cの間に横架された支持横部材111dにブラケットMB1を介して固定されている(
図6参照)。第一油圧シリンダ装置HCD1のピストン部PP1の先端部は、押出し台車112の他方の底面端部に下方に向かって突出する取付金具MB2に組み付けられている。シリンダ部CP1は輸送パイプを介して油圧ポンプHP1に連通され、シリンダ部CP1と油圧ポンプHP1との間には、電磁切替弁ESV1が設けられている。電磁切替弁ESV1は、図略の制御装置によって作動が制御される。
【0044】
(冷却コンベヤ)
冷却コンベヤCACは、注湯済み鋳型PMを自然冷却する冷却エリアを構成する。冷却エリアは、注湯された鋳物が、その後の型バラシの際に外気温で急冷されても鋳物の組織が状態変化しないところまで徐冷する。
冷却コンベヤCACは、注湯された鋳型PMを上流端位置UEPより冷却しながら下流端位置DEP(
図2参照)まで搬送する。下流端位置DEPでは冷却された注湯済み鋳型PMから鋳物品を取り出す型バラシが行われる。
冷却コンベヤCACは、ベルトコンベヤであって、公知技術であるため説明を省略する。
【0045】
(振動コンベヤ)
振動コンベヤは、型バラシされた鋳物品に振動を加えることで鋳型を構成していた鋳物砂を除去しながら次工程に搬送する。
振動コンベヤは、公知技術であるため、説明を省略する。
【0046】
(作動)
次に、鋳型押出し装置の作動について、
図4から
図7に基づいて以下に説明する。
まず、注湯済み鋳型PMが押圧スライド装置3によって、第二搬送路TP2の搬送路搬出位置TUPより搬送テーブル2に移動される。注湯済み鋳型PMは、搬送テーブル2に一つずつ移動され、二つの注湯済み鋳型PMが方向変換部223に位置決めされた状態となっている。鋳型押出し装置11の電磁切替弁ESV1は、油圧ポンプHP1がシリンダ部CP1のキャップ側およびロッド側に連通していない停止位置に位置決めされている。押出し装置1の押出し板113は、冷却コンベヤCACとは反対側の搬送テーブル2の端部に位置決めされている。
【0047】
次に、制御装置は、
図7に示すように、鋳型押出し装置11の電磁切替弁ESV1を油圧ポンプHP1がシリンダ部CP1のキャップ側に連通する位置に切替え、ピストン部PP1を前進させる。ピストン部PP1の前進に伴って、押出し台車112は、押出し板113で二つの注湯済み鋳型PMを押圧しながら冷却コンベヤCAC側へ移動する。押圧された注湯済み鋳型PMは、冷却コンベヤCACの上流端位置UEPに位置決めされる。
【0048】
次に、制御装置は、鋳型押出し装置11の電磁切替弁ESV1を油圧ポンプHP1がシリンダ部CP1のロッド側に連通する位置に切替え、ピストン部PP1を後退させる。ピストン部PP1の後退に伴って、押出し台車112は、押出し板113が、冷却コンベヤCACとは反対側の搬送テーブル2の端部になる位置まで移動する。
【0049】
次に、制御装置は、冷却コンベヤCACを駆動させ、上流端位置UEPが空席となる位置までコンベヤベルトを移動させる。冷却コンベヤCACの下流端位置では冷却された注湯済み鋳型PMが振動コンベヤVCに排出される。
以下、同様な作業が繰り返される。
【0050】
(まとめ)
本発明に係る鋳型押出し装置11は、水平方向に延在する搬送テーブル2に置かれたものに対して作業を行う押出し板113と、押出し板113を搬送テーブル2に対して相対的にかつ水平方向に移動させる押出し台車112と、を備えた鋳型押出し装置11であって、押出し板113は、搬送テーブル2よりも上方に配置され、押出し台車112は、搬送テーブル2よりも下方に配置され、上方の押出し板113と下方の押出し台車112との間に搬送テーブル2が進入可能とする状態で、搬送テーブル2上におかれた注湯済み鋳型PMに対して作業を行う。
【0051】
これによると、押出し板113および押出し台車112の間に搬送テーブル2が進入して、押出し板113、押出し台車112および搬送テーブル2が、上下方向に重なった状態で作業できるので、搬送テーブル2の脇に設置する押出し板113および押出し台車112を平面スペース上においてコンパクトに設定することができる。
【0052】
また、基端部1141が押出し台車112に固定され、かつ押出し板113が先端部1142に固定された上下方向に延在する第一片持ちアーム114であって、基端部1141と先端部1142との間には、搬送テーブル2が水平方向から第一片持ちアーム114に対して進入離脱可能な湾状の逃げ部EP1が設けられている第一片持ちアーム114を備えた。
これによると、湾状の逃げ部EP1が形成された第一片持ちアーム114を使って、平面スペース上においてコンパクトな鋳型押出し装置11とすることができる。
【0053】
(第二実施形態)
次に、本願発明の作業装置を台車上面清掃装置4に実施した第二実施形態について説明する。
台車上面清掃装置4は、
図8に示すように、第二トラバーサT2の手前位置の第二搬送路TP2脇に設けられている。台車上面清掃装置4は、注湯済み鋳型PMが搬出された搬送台車TFの上面を、残った鋳物砂を払い落すことで清掃する。
台車上面清掃装置4は、
図9に示すように、支持架台41、清掃台車42、清掃フレーム43、第二油圧シリンダ装置HCD2、清掃ブラシ44およびシュート45を備えている。
【0054】
(支持架台)
支持架台41は、
図9に示すように、第二搬送路TP2の第一搬送路TP1側に第二搬送路TP2に沿って対に設けられた第一保持柱41aと、第二搬送路TP2の第一搬送路TP1と反対側に第二搬送路TP2に沿って対に設けられた第二保持柱41bと、を備えている。第一保持柱41aおよび第二保持柱41bは、第二搬送路TP2の搬送レールをレール軌道に沿って支えるレール支持部材TP2aの高さ位置よりも低く設定されている。
【0055】
第二搬送路TP2に直角な方向に対向する第一保持柱41aと第二保持柱41bの間には、中間横部材41cと、先端横レール部材41dとが設けられている。中間横部材41cは、第一保持柱41aおよび第二保持柱41bの高さの中間位置に設けられている。先端横レール部材41dは、例えば、断面コ字状部材で形成され、コ字状の開口部が対向するように配置されている。先端横レール部材41dの開口部には、後述する清掃台車42の車輪42bが挿入され、清掃台車42の車輪42bは先端横レール部材41dの内壁下部に接触して転動する。
【0056】
(清掃台車)
清掃台車42は、清掃台車本体42aと、車輪42bとを備えている。清掃台車本体42aは、上方から見て、例えば、第二搬送路TP2に直角な方向が長い長方形板状に形成されている。
清掃台車本体42aの四隅には、第二搬送路TP2に沿って延在する中心軸を備えた車輪42bが回転自在に設けられている。清掃台車42の外側の端部には、清掃フレーム43の基端部431が固定されている。
【0057】
(清掃フレーム)
清掃フレーム43は、例えば鉄製で形成され、縦アーム部43aと横アーム部43bとを備えた片持ちアームで構成されている。縦アーム部43aは、清掃台車42の一方側(
図9において右側)の両隅より垂直に一対立設されている。横アーム部43bは、矩形の長板状に形成され、縦アーム部43aと一体に形成されている。横アーム部43bは、縦アーム部43aの先端より清掃台車42の上方に清掃台車42と平行に設けられている。横アーム部43bの先端部432には、垂直方向および第二搬送路TP2に並行に沿った方向に延在する長方形板材が設けられ、長方形板材の下端部には下方に突出したブラシが組み付けられた清掃ブラシ44(清掃部材)が設けられている。
【0058】
側面から見て清掃フレーム43および清掃台車42は、全体として略コ字状に形成されている。このように略コ字状に形成することで、第二搬送路TP2(軌道レールおよびレール支持部材)が一方(
図8において左側)の水平方向から、清掃ブラシ44と清掃台車42との間に挿入離脱可能な「逃げ部EP2」が形成されている。清掃ブラシ44が作業部に相当し、清掃台車42が作業駆動部に相当する。
【0059】
(第二油圧シリンダ装置)
清掃台車42の底面には、第二油圧シリンダ装置HCD2が設けられている。油圧シリンダ装置HCD2は、シリンダ部CP2、ピストン部PP2、油圧ポンプHP2および電磁切替弁ESV2を備えている。シリンダ部CP2は、先端横レール部材41dと平行に設けられ、シリンダ部CP2の中間部は、対となった先端横レール部材41dの間に横架された支持横部材41eにブラケットMB3を介して固定されている。第二油圧シリンダ装置HCD2のピストン部PP2の先端部は、清掃台車42の他方の底面端部に下方に向かって突出する取付金具MB4に組み付けられている。
【0060】
シリンダ部CP2は輸送パイプを介して油圧ポンプHP2に連通され、シリンダ部CP2と油圧ポンプHP2との間には、電磁切替弁ESV2が設けられている。電磁切替弁ESV2は、図略の制御装置によって作動が制御される。
【0061】
(シュート)
第二搬送路TP2の第一搬送路TP1側の脇には、清掃フレーム43に対向する位置にシュート45が設けられている。シュート45は、清掃ブラシ44が掃き落とす鋳物砂などを図略の搬出コンベヤ内に案内する。シュート45は、例えば、鉄製の薄板材で矩形状に形成され、傾斜壁部45aと垂直壁部45bとを備えている。傾斜壁部45aの上端縁は、第二搬送路TP2に搬送される搬送台車TFの上面より少し低い位置で、かつ搬送台車TFの側面に接触しない程度の隙間を介して沿った位置に設けられている。傾斜壁部45aの下部は、第一搬送路TP1側の第一保持柱41aを覆う位置まで延在している。垂直壁部45bは、傾斜壁部45aに一体に連続して形成され、第一保持柱41aの上部を覆うように垂直に設けられている。
【0062】
(作動)
台車上面清掃装置4の作動について、
図8から
図11に基づいて以下に説明する。
まず、搬送路搬出位置TUPにおいて注湯済み鋳型PMが降ろされた空の鋳型搬送台車TFが、第二搬送路TP2の下流端部に位置決めされている。台車上面清掃装置4の電磁切替弁ESV2は、油圧ポンプHP2がシリンダ部CP2のキャップ側およびロッド側に連通していない停止位置に位置決めされている。清掃ブラシ44は、第一搬送路TP1とは反対側の第二搬送路TP2の端部に位置決めされている。
【0063】
次に、制御装置は、台車上面清掃装置4の電磁切替弁ESV2を油圧ポンプHP2がシリンダ部CP2のキャップ側に連通する位置に切替え、ピストン部PP2を前進させる。ピストン部PP2の前進に伴って、清掃台車42は、清掃ブラシ44で搬送台車TFの上面を掃きながら第一搬送路TP1側へ移動する。清掃ブラシ44は、シュート45の上端まで掃き進み、鋳物砂などの搬送台車TF上の落下物をシュート45に掃き落とす。
逃げ部EP2の中に第二搬送路TP2を侵入させることで、清掃ブラシ44は第二搬送路TP2に位置決めされた搬送台車TFの上面を端から端まで掃き出すことができる。
【0064】
(第三実施形態)
次に、本願発明の作業装置を押出し装置に実施した第三実施形態について、
図12および
図13に基づいて説明する。
第一片持ちアーム114における横アーム部114bの先端部1142には受けローラ115が設けられ、搬送テーブル2が受けローラ115を受承する位置まで拡張した拡張部2aを備えている点において、第一実施形態と相違する。その他の構成については、第一実施形態と同様であるので、同じ符号を付与して説明を省略する。
【0065】
(受けローラ)
受けローラ115は、横アーム部114bの先端部1142に、回転軸が第二搬送路TP2に平行となる方向に沿って設けられている。回転軸115aには車輪115bが回転自在に設けられ、車輪115bの外輪部が横アーム部114bの底面より下方に突出するように設けられている。
【0066】
これによると受けローラ115は、横アーム部114bの先端部1142に付加される上方からの力を受け、第一片持ちアーム114の基端部1141に加わる曲げ応力を軽減する。そして、第一片持ちアーム114の軽量化を図り、先端部の倒れを防止して押出し作業における円滑な動作をサポートすることができる。
【0067】
なお、上記実施形態において、搬送路(2,TP2)に対して直角な方向に移動する作業部(113,44)および作業駆動部(112,42)としたが、これに限定されない。例えば、搬送路に沿った方向に移動する作業部および作業駆動部でもよい。逃げ部に搬送路の端部を進入可能とすることで、コンパクトな作業装置とすることができる。
【0068】
また、作業部および作業駆動部を支持するものとして片持ちアームとしたが、これに限定されない。搬送路が進入可能な逃げ部が形成されていればよく、例えば、搬送路の両側を囲む両持ちアームでもよい。
【0069】
本発明は、上記しかつ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0070】
11:鋳型押出し装置(作業装置)、112:押出し台車(作業駆動部)、113:押出し板(作業部)、114:第一片持ちアーム(片持ちアーム)、1141:基端部、1142:先端部、115:受けローラ、2:搬送テーブル(搬送路)、4:台車上面清掃装置(作業装置)、43:清掃フレーム(片持ちアーム)、431:基端部、432:先端部、44:清掃ブラシ(清掃部材・作業部)、EP1:逃げ部、EP2:逃げ部、TP2:第二搬送路(搬送路)。