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  • 特開-無線通信装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100593
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20220629BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20220629BHJP
   H04B 1/38 20150101ALI20220629BHJP
【FI】
H05K7/20 B
H05K9/00 R
H05K9/00 U
H04B1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214664
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】服部 正
【テーマコード(参考)】
5E321
5E322
5K011
【Fターム(参考)】
5E321AA02
5E321CC16
5E321GG05
5E321GH03
5E322AA01
5E322AA03
5E322AA11
5E322AB06
5E322EA10
5E322FA04
5K011AA06
5K011AA15
5K011KA04
5K011KA18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】基板を大型化することなくアンテナの感度低下を抑制する無線通信装置を提供する。
【解決手段】無線通信装置1は、基板10と、基板10に配置されたアンテナ11と、基板10に配置された集積回路(CPU12、メモリ13)と、前記集積回路に対して固定され、貫通孔14aが形成された放熱器14と、を備える。放熱器の貫通孔により、電磁波を放熱器が放射する方向に指向性を持たせることができ、放熱器から集積回路側への電磁波放射をされにくくすることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に配置されたアンテナと、
前記基板に配置された集積回路と、
前記集積回路に対して固定され、貫通孔が形成された放熱器と、
を備える無線通信装置。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記基板を平面視した場合に前記集積回路と重ならない位置に形成されている、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記貫通孔の長手方向の長さは、前記アンテナで伝送される伝送波の中心周波数に基づいて決定されている、
請求項1または請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記貫通孔は、異なる形状で複数形成されている、
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板に実装された集積回路等には、放熱のために放熱器が設けられることが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-77958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板に実装された集積回路が動作する場合にノイズが発生し、当該ノイズが放熱器を介して放射されうる。基板にアンテナも実装される場合、放熱器から放射されるノイズによりアンテナの感度が低下する可能性がある。この対策として、アンテナと放熱器とを離間させて基板上に配置することが考えられる。しかしこの場合、基板を小型化することが困難である。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、基板を大型化することなくアンテナの感度低下を抑制する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、無線通信装置は、基板と、基板に配置されたアンテナと、基板に配置された集積回路と、集積回路に対して固定され、貫通孔が形成された放熱器と、を備える。
【0006】
放熱器に貫通孔が形成されていることにより、ノイズとなる電磁波を放熱器が放射する方向に指向性を持たせることができる。そのため、放熱器から集積回路側にノイズとなる電磁波が放射されにくくすることができる。その結果、放熱器とアンテナとを近距離に配置可能となり、基板の小型化が可能である。従ってこの無線通信装置の場合、基板を大型化することなくアンテナの感度低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1Aは無線通信装置の断面図、図1Bは無線通信装置の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)無線通信装置の構成:
(2)他の実施形態:
【0009】
(1)無線通信装置の構成:
図1Bは、本発明にかかる無線通信装置1の上面図である。図1Aは、図1BのA-A線における断面図である。なお同図において配線は図示を省略されている。無線通信装置1は、基板10と、アンテナ11と、集積回路であるCPU12およびメモリ13と、放熱器14を備えている。説明の便宜のため、図に示すように3次元直交座標軸(xyz)を定義する。x軸およびy軸は、基板10の表面と平行であり、z軸は、基板10の表面と直交する。本実施形態において、x軸と平行な方向における基板10の一方の端部には、アンテナ11が配置されている。本実施形態におけるアンテナ11は、チップアンテナである。アンテナ11は、例えばLTE(登録商標)やBlutooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格に従った通信を行うためのアンテナである。本実施形態において、基板10のx方向における長さは、100mm以下である。
【0010】
またx軸と平行な方向における基板10の他方の端部側に寄せて、小型基板10aが配置されている。CPU12およびメモリ13は小型基板10a上に配置されている。メモリ13は例えばDRAMであり、CPU12とメモリ13とは互いに近接して配置されている。CPU12およびメモリ13は、動作時に発熱源となる。そのため、CPU12およびメモリ13に対して接着層15を介して1個の放熱器14が固定されている。放熱器14は、基板10を平面視した場合に、CPU12およびメモリ13の両方を覆う。接着層15には熱伝導材料が配合されており、CPU12やメモリ13で発生した熱は接着層15を介して放熱器14に伝導する。
【0011】
放熱器14は、熱伝導特性の高い、例えばアルミニウム等の金属で構成されており、上面には凹凸が形成されている。本実施形態において放熱器14はストレートフィンの形態であり、各フィンの長手方向はy軸と平行である。図1Aの曲線矢印は、放熱器14からの放熱を模式的に示している。また、放熱器14には、基板10を平面視した場合にCPU12およびメモリ13と重ならない位置に貫通孔14aが形成されている。仮にCPU12およびメモリ13と重なる位置に貫通孔14aが形成される場合、CPU12やメモリ13と放熱器14との接着層15を介した接触面積が少なくなるため、CPU12やメモリ13で発生した熱を十分に放熱器14に伝導することができない。その結果、放熱性能が低下する。本実施形態のように、CPU12やメモリ13と重ならない位置に貫通孔14aが形成されることにより、放熱性能が低下することを抑制することができる。なお本実施形態において貫通孔14aは、矩形形態であり、長手方向がy軸と平行である。
【0012】
CPU12は、動作時に、アンテナ11に対するノイズとなる不要電磁波を発生する。放熱器14は、接着層15を介してCPU12に固定されており、アンテナとなってCPU12から発生する不要電磁波を放出する。仮に貫通孔14aが放熱器14に形成されていない場合、放熱器14からの放射ノイズの特性は、平面アンテナの特性に近い。すなわち、指向性はほぼなく、不要電磁波は放射状にほぼ均一に放射される。そのため、この構成(貫通孔14aが放熱器14に形成されていない構成)においてアンテナ11が不要電磁波の影響を受けにくくするためには、アンテナ11と放熱器14との間にシールドを設けることや、ある一定の距離以上に離間させること等の対策が必要となる。あるいは、CPU12のクロック周波数を低下させることも必要となりうる。
【0013】
そこで、本実施形態においては、放熱器14に貫通孔14aを形成する構成を採用している。放熱器14に貫通孔14aを形成したことにより、スロットアンテナのように放熱器14に指向性を持たせることが可能である。すなわち、図1Aの直線矢印に示すように、水平方向(xy平面と平行な方向)に放出される不要電磁波を弱め、垂直方向(z方向)に放出される不要電磁波を強めることができる。図1Aにおいて、直線矢印の長さが放射強度を示している。そのため、放熱器14に貫通孔14aが形成されていない場合よりもアンテナ11と放熱器14との距離を短くしたとしても、アンテナ11の感度を確保できる。従って、x軸と平行な方向において基板10の長さを低減でき、基板10を小型化できる。
【0014】
このような無線通信装置1は、様々な装置に搭載可能である。例えば、車載電子機器の場合、気象条件等にもよるが、高温の環境で使用されうるため、大型の放熱器14が搭載される。本実施形態によれば、放熱器14は大型であっても基板10のサイズの大型化を抑制できる。そのため、例えばドライブレコーダ等の小型の車載電子機器に搭載される場合も、アンテナ11の感度低下を抑制できる。
【0015】
なお、貫通孔14aの形状は、アンテナ11の伝送波の周波数に応じて設計される。具体的には、貫通孔14aの長手方向の長さは、アンテナ11で伝送される伝送波の中心周波数に基づいて決定されている。アンテナ11の伝送波の中心周波数に応じた長さであり、伝送波の中心周波数の電磁波がz方向に放射される効率が最も良くなる長さを貫通孔14aの長手方向の長さとして決定することにより、当該周波数およびその前後の帯域の不要電磁波がアンテナ11側に放出されることを抑制できる。なお、例えば、アンテナ11の中心周波数が1GHzの場合、貫通孔14aの長手方向の長さは、約30mmであることが望ましい。また、貫通孔14aの短手方向の長さが小さいほど、周波数帯域が狭くなる。このように、アンテナ11においてノイズの影響を受けにくくすべき周波数帯域及び中心周波数に基づいて、貫通孔14aの形状が決定される。
【0016】
(2)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、貫通孔は基板を平面視した場合に集積回路と重ならない位置に形成されていればよい。貫通孔は、アンテナと集積回路の間に形成されていてもよいし、必ずしもそれらの間に形成されていなくてもよい。また、上記実施形態においては、貫通孔の長手方向が、アンテナと集積回路が並ぶ方向であるx方向と直交しているが、この構成に限定されない。すなわち貫通孔は放熱器において長手方向がどの向きに形成されていてもよい。
【0017】
また、貫通孔は、異なる形状で複数形成されていてもよい。そうすることにより、中心周波数が異なる複数の帯域において、アンテナが不要電磁波の影響を受けにくくすることができる。
【0018】
なお、上記実施形態においては、アンテナと、放熱器および集積回路との間にシールドは設けられていないが、このようなシールドは設けられていてもよい。放熱のための空気の対流させたい方向に空気を対流させることができる間隙を設けることができれば、シールドが基板に設置されてもよい。
【0019】
アンテナは、チップアンテナであってもよいし、基板上にパターン形成されたものであってもよい。また、セラミックパッチアンテナであってもよい。
【0020】
放熱器は、ストレートフィン形態であってもよいし、剣山形態であってもよい。CPU12およびメモリ13は、基板10上に配置されていればよく、小型基板10aを省略し基板10に直接実装されてもよい。無線通信装置は、車載か否かに関わらず様々な電子機器に搭載可能である。
【符号の説明】
【0021】
1…無線通信装置、10…基板、10a…小型基板、11…アンテナ、12…CPU、13…メモリ、14…放熱器、14a…貫通孔、15…接着層
図1