(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100625
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 17/06 20060101AFI20220629BHJP
F25D 11/02 20060101ALI20220629BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20220629BHJP
F25D 23/04 20060101ALI20220629BHJP
F25D 25/02 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
F25D17/06 309
F25D11/02 L
F25D11/00 101A
F25D23/04 H
F25D25/02 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214711
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 亮太
(72)【発明者】
【氏名】坂野 慎哉
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045AA04
3L045AA05
3L045AA06
3L045BA01
3L045CA02
3L045CA05
3L045DA02
3L045EA01
3L045HA02
3L045KA08
3L045LA08
3L045LA13
3L045MA01
3L045NA23
3L045PA04
3L345AA02
3L345AA12
3L345AA14
3L345AA16
3L345AA18
3L345BB01
3L345CC01
3L345DD12
3L345DD18
3L345DD20
3L345DD21
3L345DD33
3L345DD53
3L345DD54
3L345DD62
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】速冷却機能が搭載された実用的な貯蔵庫を提供する。
【解決手段】貯蔵対象物を貯蔵可能な貯蔵庫10であって、室内を冷却可能な冷蔵室30と、冷蔵室30よりも急速に室内を冷却可能な急冷室34と、当該貯蔵庫10の側壁部12Lと底壁部12Dとに接続され、冷蔵室30と急冷室34とを仕切る仕切壁部13と、を備え、急冷室34は、当該急冷室34内に貯蔵した貯蔵対象物の側方に配され、気体を送る庫内ファン51を備え、冷蔵室30及び急冷室34は、当該貯蔵庫10の底壁部12Dに面していること。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵対象物を貯蔵可能な貯蔵庫であって、
室内を冷却可能な冷蔵室と、
前記冷蔵室よりも急速に室内を冷却可能な急冷室と、
当該貯蔵庫の側壁部と底壁部とに接続され、前記冷蔵室と前記急冷室とを仕切る仕切壁部と、を備え、
前記急冷室は、当該急冷室内に貯蔵した貯蔵対象物の側方に配され、気体を送る庫内ファンを備え、
前記冷蔵室及び前記急冷室は、当該貯蔵庫の前記底壁部に面していることを特徴とする貯蔵庫。
【請求項2】
前記急冷室は、前記庫内ファンと前記庫内ファンから送られた気体を冷却する冷却器とを有する冷却装置を備え、
前記冷却装置は、前記仕切壁部に対し複数の開口が設けられたブラケットを介して取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項3】
前記急冷室を開閉可能に取り付けられたドアを備え、
前記仕切壁部には、ワイヤーラックを取付可能なボルトラックが設けられており、
前記ワイヤーラックは、貯蔵対象物を載置するトレイを室内外方向に摺動可能な形とされ、
前記ボルトラックは、開いた状態の前記ドアに対し前記トレイの前記摺動が妨げられない高さで前記仕切壁部から室内側に突き出ていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の貯蔵庫。
【請求項4】
前記急冷室は、前記庫内ファンと前記庫内ファンから送られた気体を冷却する冷却器とを有する冷却装置を備え、
当該貯蔵庫は、前記冷却装置の作動を操作する操作部を備え、
前記冷蔵室の一部、前記急冷室、及び前記操作部は、上下方向に並んでいることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の貯蔵庫。
【請求項5】
前記冷蔵室は、前記急冷室の上側に配された上側冷蔵室を備え、
前記上側冷蔵室は、
貯蔵対象物を載置するトレイを側方から支持する第1ステイ及び第2ステイと、
貯蔵対象物を載置する棚部を側方から支持する第3ステイと、を備え、
前記第3ステイは、少なくとも前記第2ステイにおいて、前記第1ステイとは反対側に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の貯蔵庫。
【請求項6】
正面側に開口した開口部を有する箱体であって、前記冷蔵室、前記急冷室、及び前記仕切壁部を有する箱体と、
前記開口部を正面視十字に仕切る十字部と、
前記開口部と前記十字部とに設けられたヒータと、を備え、
前記十字部は、前記仕切壁部の正面側に重畳した重畳部を備え、
前記ヒータは、前記開口部のうち前記急冷室側の部分と前記重畳部とにおいて、二重に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の貯蔵庫。
【請求項7】
前記急冷室を開閉可能に取り付けられたドアと、
前記ドアの開閉を検出する検出部と、を備え、
前記検出部は、前記底壁部における前記急冷室の正面側において、左右方向における中央に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の貯蔵庫。
【請求項8】
前記急冷室は、前記庫内ファンと前記庫内ファンから送られた気体を冷却する冷却器とを有する冷却装置を備え、
当該貯蔵庫は、
前記冷却装置の作動を操作する操作部が設けられた機械室と、
前記機械室の正面側を覆うパネルと、を備え、
前記パネルは、
前記操作部を正面側に露出させる開口をなすパネル開口部と、
前記パネル開口部の縁部を被覆する被覆部と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の貯蔵庫。
【請求項9】
前記冷蔵室は、
第1冷蔵室と、
第1冷蔵室の下方であって前記急冷室の側方に配された第2冷蔵室と、
第1冷蔵室の側方であって前記急冷室の上方に配された第3冷蔵室と、を備え、
前記第1冷蔵室は、
冷却した気体を室内に送る冷蔵室側冷却装置と、
前記冷蔵室側冷却装置によって室内に送られた気体を、前記第2冷蔵室と前記第3冷蔵室とに分流させるダクトと、を備えることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯蔵庫として、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載された貯蔵庫は、貯蔵室を構成する断熱性の箱体と、箱体の上方に設けられた機械室と、を備えた4ドア式の冷蔵庫である。箱体の前面の開口は、十字状をなす仕切枠によって仕切られることで、方形状をなす4つの開口部となっている。各開口部は、箱体に取り付けられた4つの扉によってそれぞれ開閉可能とされている。箱体は、外箱と、外箱の内側に収容された内箱と、を備え、外箱と内箱との間には、断熱材が充填されている。貯蔵室の上側には、庫内ファン、冷却器、及び吹出部が配されている。庫内ファンが駆動すると、貯蔵室から吸引された空気が、冷却器を通過する間に熱交換されて冷気となり、当該冷気が、吹出部から貯蔵室に吹き出される。これにより、貯蔵室に冷気が循環供給される。
【0003】
一方、特許文献2には、食品を急速に冷却する急速冷却庫が記載されている。このような急速冷却庫では、食品を急速に冷却するために庫内ファンが高速で回転される。このため食品に含まれている水分や油分などが庫内ファンの風圧によって冷却庫の内面や蒸発器(冷却器)、庫内ファンなどに飛び散ることがある。従って、このような冷却庫ではユーザが手作業によって、あるいは自動洗浄機能によって庫内を定期的に水で洗浄するという運用が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-204930号公報
【特許文献2】特開2019-49399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特許文献2に記載された急速に冷却する機能を、特許文献1に記載された貯蔵庫に適用した場合、洗浄水を排水する排水口を貯蔵庫の壁部に貫通形成することによる断熱性の低下、貯蔵庫の庫内を仕切って急速冷却される部分を設けることに起因し、冷気が循環しにくくなることによる温度ムラの発生、機能が複雑化することによるユーザの使い勝手の低下等、様々な課題が生じる。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、急速冷却機能が搭載された実用的な貯蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、貯蔵対象物を貯蔵可能な貯蔵庫であって、室内を冷却可能な冷蔵室と、前記冷蔵室よりも急速に室内を冷却可能な急冷室と、当該貯蔵庫の側壁部と底壁部とに接続され、前記冷蔵室と前記急冷室とを仕切る仕切壁部と、を備え、前記急冷室は、当該急冷室内に貯蔵した貯蔵対象物の側方に配され、気体を送る庫内ファンを備え、前記冷蔵室及び前記急冷室は、当該貯蔵庫の前記底壁部に面していることに特徴を有する。
【0008】
このような貯蔵庫によると、貯蔵対象物を冷却して貯蔵する機能と、貯蔵対象物を急速に冷却して粗熱を取る機能と、を有する貯蔵庫を提供することができる。また、冷蔵室及び急冷室は、底壁部に面しているため、各室内を洗浄する際に生じる排水を通す排水口を、底壁部に設けることができる。これにより、排水を比較的短い経路で貯蔵庫の外に排出することができ、排水口を貯蔵庫の壁部に貫通形成することによる壁部の断熱性の低下を抑制することができる。
【0009】
上記構成において、前記急冷室は、前記庫内ファンと前記庫内ファンから送られた気体を冷却する冷却器とを有する冷却装置を備え、前記冷却装置は、前記仕切壁部に対し複数の開口が設けられたブラケットを介して取り付けられていてもよい。
【0010】
急冷室の室内において、冷却装置が取り付けられた側は、冷却装置自身によって気体の流れが妨げられやすい。しかしながら、上記のような貯蔵庫によると、冷却装置から吹き出される気体が、ブラケットに設けられた複数の開口を通って急冷室の室内を循環することができる。
【0011】
上記構成において、当該貯蔵庫は、前記急冷室を開閉可能に取り付けられたドアを備え、前記仕切壁部には、ワイヤーラックを取付可能なボルトラックが設けられており、前記ワイヤーラックは、貯蔵対象物を載置するトレイを室内外方向に摺動可能な形とされ、前記ボルトラックは、開いた状態の前記ドアに対し前記トレイの前記摺動が妨げられない高さで前記仕切壁部から室内側に突き出ていてもよい。
【0012】
このような貯蔵庫によると、トレイを急冷室のワイヤーラックに摺動させるときに、トレイがドアにぶつかることを抑制し、トレイを急冷室にスムーズに出し入れすることができる。
【0013】
上記構成において、前記急冷室は、前記庫内ファンと前記庫内ファンから送られた気体を冷却する冷却器とを有する冷却装置を備え、当該貯蔵庫は、前記冷却装置の作動を操作する操作部を備え、前記冷蔵室の一部、前記急冷室、及び前記操作部は、上下方向に並ぶものとしてもよい。
【0014】
このような貯蔵庫によると、例えば、急冷室で急冷させた貯蔵対象物が載置されたトレイを、冷蔵室の上記一部に移し、操作部を操作する等といったように、ユーザの動きや視線を上下方向に限定することができ、使い勝手を向上させることができる。
【0015】
上記構成において、前記冷蔵室は、前記急冷室の上側に配された上側冷蔵室を備え、前記上側冷蔵室は、貯蔵対象物を載置するトレイを側方から支持する第1ステイ及び第2ステイと、貯蔵対象物を載置する棚部を側方から支持する第3ステイと、を備え、前記第3ステイは、少なくとも前記第2ステイにおいて、前記第1ステイとは反対側に設けられていてもよい。
【0016】
このような貯蔵庫によると、冷蔵室において、第2ステイの一方側で貯蔵対象物を載置するトレイを収容することができ、第2ステイの他方側で別の貯蔵対象物を棚部に載置して収容することができる。これにより、冷蔵室のスペースを有効に活用することができる。
【0017】
上記構成において、当該貯蔵庫は、正面側に開口した開口部を有する箱体であって、前記冷蔵室、前記急冷室、及び前記仕切壁部を有する箱体と、前記開口部を正面視十字に仕切る十字部と、前記開口部と前記十字部とに設けられたヒータと、を備え、前記十字部は、前記仕切壁部の正面側に重畳した重畳部を備え、前記ヒータは、前記開口部のうち前記急冷室側の部分と前記重畳部とにおいて、二重に設けられていてもよい。
【0018】
結露を防止するためのヒータについて、例えば、冷蔵室に合わせたワット密度のものを選定すると、急冷室では熱が不足し、急冷室に合わせたワット密度のものを選定すると、冷蔵室に対して熱が余剰になってしまい、無駄に電力を消費してしまうことが懸念される。しかしながら上記のような貯蔵庫によると、ヒータは、開口部のうち急冷室側の部分と重畳部とにおいて、二重に設けられているので、冷蔵室の正面側に比して急冷室の正面側をより加熱することができる。これにより、結露を抑制しつつ、上記熱の過不足を低減して省エネルギー化を実現可能な貯蔵庫を提供することができる。
【0019】
上記構成において、当該貯蔵庫は、前記急冷室を開閉可能に取り付けられたドアと、前記ドアの開閉を検出する検出部と、を備え、前記検出部は、前記底壁部における前記急冷室の正面側において、左右方向における中央に設けられていてもよい。
【0020】
このような貯蔵庫によると、検出部が、例えば、ドアに設けられた磁石が近接又は離間することによってドアの開閉を検出するものとされるときに、ドアの取付位置を左右反対にした場合であっても、検出部(及び磁石)の位置を変更する必要がなく、ユーザにとって使い勝手の良いものとなる。
【0021】
上記構成において、前記急冷室は、前記庫内ファンと前記庫内ファンから送られた気体を冷却する冷却器とを有する冷却装置を備え、当該貯蔵庫は、前記冷却装置の作動を操作する操作部が設けられた機械室と、前記機械室の正面側を覆うパネルと、を備え、前記パネルは、前記操作部を正面側に露出させる開口をなすパネル開口部と、前記パネル開口部の縁部を被覆する被覆部と、を備えることとしてもよい。
【0022】
このような貯蔵庫によると、パネル開口部の縁部にユーザの手指が直接接触することを防ぐことができ、ユーザが安全に操作部を操作することができる。
【0023】
上記構成において、前記冷蔵室は、第1冷蔵室と、第1冷蔵室の下方であって前記急冷室の側方に配された第2冷蔵室と、第1冷蔵室の側方であって前記急冷室の上方に配された第3冷蔵室と、を備え、前記第1冷蔵室は、冷却した気体を室内に送る冷蔵室側冷却装置と、前記冷蔵室側冷却装置によって室内に送られた気体を、前記第2冷蔵室と前記第3冷蔵室とに分流させるダクトと、を備えることとしてもよい。
【0024】
このような貯蔵庫によると、冷気が溜まりやすい第2冷蔵室と冷気が循環しにくい第3冷蔵室との間で生じる温度のムラを抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、急速冷却機能が搭載された実用的な貯蔵庫を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態に係る貯蔵庫を右上方から視た斜視図
【
図2】ドアとパネルを外した貯蔵庫を右上方から視た斜視図
【
図5】急冷室側操作部付近の断面図(
図3のV-V線断面)
【
図7】急冷室付近の断面図(
図3のVII-VII線断面)
【
図10】第3冷蔵室付近の断面図(
図4のX-X線断面)
【
図11】第1冷蔵室と第3冷蔵室付近の拡大断面図(
図1のXI-XI線断面)
【
図12】第3冷蔵室付近の拡大断面図(
図11のXII-XII線断面)
【
図13】急冷室を開閉する扉の取付位置を十字部に変更した貯蔵庫を示す参考図
【発明を実施するための形態】
【0027】
<実施形態>
本発明の実施形態を
図1から
図13によって説明する。本実施形態では、4ドア型の貯蔵庫10について例示する。なお、以下の説明では、矢印方向Lを左方、矢印方向Rを右方、矢印方向Fを前方、矢印方向Bを後方、矢印方向Uを上方、矢印方向Dを下方として各部を説明する。
【0028】
図1に示すように、貯蔵庫10は、飲食物等の貯蔵対象物を貯蔵可能な断熱性の箱体12と、箱体12の上方に設けられた機械室14と、を備える。
図4に示すように、箱体12は、ステンレス鋼板等の金属板からなる外箱12A1内に、同じくステンレス鋼板等の金属板からなる内箱12A2が間隔を空けて収容され、この外箱12A1と内箱12A2との間の空間に、発泡ウレタン等の発泡樹脂からなる断熱材12A3が発泡充填されて形成されたものである。
【0029】
図1から
図4に示すように、箱体12は、左右側の壁部をなす側壁部12L,12Rと、下側の壁部をなす底壁部12Dと、上側の壁部をなす天井壁部12Uと、後側の壁部をなす背壁部12Bと、を備え、前方に開口した形をなしている。
【0030】
箱体12は、底壁部12D、及び天井壁部12Uの各前端部で構成された正面視四角枠形状の開口部20と、開口部20の内側を正面視十字に仕切る柱状の十字部25と、を備える。箱体12の正面側は、開口部20と十字部25により、第1開口部21、第1開口部21の下方に配された第2開口部22、第1開口部21の左方に配された第3開口部23、及び第1開口部21の左下方に配された第4開口部24に区分される。各開口部21,22,23,24は、正面視四角枠形状をなしている。
【0031】
箱体12は、室内を冷却可能な冷蔵室30と、冷蔵室30よりも急速に室内を冷却可能な急冷室34と、を備える。急冷室34は、当該急冷室34を冷却するための装置(例えば、後述する庫内ファン51、庫外ファン76、圧縮機77等)が、冷蔵室30を冷却するための装置に比して高出力であること、また、当該急冷室34用の凝縮器75が冷蔵室30用の凝縮器70に比して大きいこと、等により、冷蔵室30よりも急速に室内を冷却可能とされている。また、急冷室34は、後述する制御部78によって冷蔵室30よりも単位時間当たりの冷却速度(室内の温度を低下させる速度)が速くなるように制御されることが可能である。貯蔵庫10は、例えば、加熱した貯蔵対象物を急冷室34の室内に貯蔵し、当該室内を3度まで急速に冷却することで、当該貯蔵対象物の粗熱を取ることができる。
【0032】
冷蔵室30には、第1冷蔵室31と、第1冷蔵室31の下方に配された第2冷蔵室32と、第1冷蔵室31の左方に配された第3冷蔵室33と、が含まれる。急冷室34は、第2冷蔵室32の左方であって第3冷蔵室33の下方に配されている。第3冷蔵室33は、急冷室34の上側に配された上側冷蔵室に相当する。第1冷蔵室31の前側には、第1開口部21が配されている。第2冷蔵室32の前側には、第2開口部22が配されている。第3冷蔵室33の前側には、第3開口部23が配されている。急冷室34の前側には、第4開口部24が配されている。
【0033】
箱体12には、4つのドア16L,16Rがそれぞれ上下方向を回動軸として回動可能に取り付けられている。第1開口部21及び第2開口部22には、右側の側壁部12R側に設けられたヒンジによって右開きのドア16Rがそれぞれ取り付けられている。第3開口部23及び第4開口部24には、左側の側壁部12L側に設けられたヒンジによって左開きのドア16Lがそれぞれ取り付けられている。第1冷蔵室31、第2冷蔵室32、第3冷蔵室33、及び急冷室34は、4つのドア16L,16Rによって別々に開閉可能とされている。
【0034】
図1から
図4に示すように、機械室14は、冷蔵室30の冷却に係る装置が配された冷蔵室側ユニット17と、急冷室34の冷却に係る装置が配された急冷室側ユニット18と、各ユニット17,18の前側を覆う板金のパネル19と、を備える。また、機械室14は、冷蔵室側ユニット17の前方に配された冷蔵室側操作部90と、急冷室側ユニット18の前方に配された急冷室側操作部91と、を備える。急冷室側操作部91は、本発明の操作部に相当する。
【0035】
冷蔵室側ユニット17は、凝縮器70と、凝縮器70の後方に配された凝縮器ファン(庫外ファン)71と、凝縮器ファン71の後方に配された圧縮機72と、これらの右方に配された制御部(電装箱)73と、を備える。急冷室側ユニット18は、冷蔵室側ユニット17の凝縮器70よりも左右方向の長さが長い凝縮器75と、凝縮器75の後方において、左右方向に並設された2つの凝縮器ファン(庫外ファン)76と、凝縮器願76の後方に配された圧縮機77と、これらの右方であって冷蔵室側ユニット17の左方に配された制御部(電装箱)78と、を備える。
【0036】
冷蔵室側操作部90は、ユーザが操作することにより、冷蔵室側ユニット17や後述する冷蔵室側冷却器82(
図12参照)の作動を制御部73に制御させることができる。冷蔵室側操作部90は、第1冷蔵室31、第2冷蔵室32と共に上下方向に並んでいる。急冷室側操作部91は、ユーザが操作することにより、急冷室側ユニット18や後述する急冷室側冷却器52の作動を制御部78に制御させることができる。急冷室側操作部91は、第3冷蔵室33、急冷室34と共に、上下方向に並んでいる。
【0037】
図3及び
図5に示すように、パネル19は、右下側に配された左右方向を長辺とする正面視長方形状の開口である冷蔵室側開口部92と、左下側に配された左右方向を長辺とする正面視長方形状の開口である急冷室側開口部(パネル開口部)93と、を備える。冷蔵室側開口部92は、冷蔵室側操作部90の一部が正面側に露出する部分とされる。急冷室側開口部93は、急冷室側操作部91の一部が正面側に露出する部分とされ、冷蔵室側開口部92よりも左右方向の長さが長い。
【0038】
急冷室側開口部93には、当該急冷室側開口部93の縁部93Aを被覆する枠状の被覆部95が取り付けられている。被覆部95は、弾性を有する樹脂製とされる。被覆部95は、薄肉部95Aと、薄肉部95Aよりも前後方向の厚みが厚い厚肉部95Bと、を備える。厚肉部95Bの厚みは、急冷室側開口部93の厚みと薄肉部95Aの厚みの合計以上の厚みとされている。尚、被覆部95を急冷室側開口部93に取り付ける際は、厚肉部95Bを縁部93Aに当接させて開口に挿入すればよい。これにより、例えばパネル19において急冷室側開口部93の周囲に位置決めのための凹凸形状を設ける必要がなく、成形型でパネル19を成形する際のコストを削減することができる。
【0039】
図2及び
図4に示すように、箱体12は、冷蔵室30と急冷室34とを仕切る断熱性の仕切壁部13を備える。仕切壁部13は、正面視L字状とされ、左側の端部が箱体12の左側の側壁部12Lに取り付けられ、下側の端部が箱体12の底壁部12Dに取り付けられている。仕切壁部13の前端部は、十字部25の中央部25Cから左側部までの部分と、中央部25Cから下側部までの部分とに対し、後方に重畳している。十字部25において、このような中央部25Cから左側部までの部分と中央部25Cから下側部までの部分とにより構成される部分(仕切壁部13の正面側に重畳する部分)を、重畳部25Aと呼ぶ。
【0040】
図6に示すように、箱体12の開口部20及び十字部25には、白線で表した第1ヒータ配線部41及び第2ヒータ配線部42と、実線と点線で表した第3ヒータ配線部43及び第4ヒータ配線部44とが取り付けられている。第1ヒータ配線部41及び第2ヒータ配線部42は、冷蔵室側ユニット17(
図2参照)の制御部73によって制御されており、冷蔵室30の使用時に作動される。第3ヒータ配線部43及び第4ヒータ配線部44は、急冷室側ユニット18の制御部78によって制御されており、急冷室34の使用時に作動される。第1ヒータ配線部41は、結露を防止するコードヒータであり、開口部20の全周に沿って取り付けられている。第2ヒータ配線部42は、結露を防止するコードヒータであり、十字部25の各辺に沿って取り付けられている。
【0041】
第3ヒータ配線部43は、電流を流すためのリード線43A(点線で示す)と、結露を防止するコードヒータ43B(実線で示す)と、を備える。リード線43Aは、開口部20において、第1冷蔵室31の上側及び右側と、第2冷蔵室32の右側及び下側と、第3冷蔵室33の上側及び左側と、に設けられている。コードヒータ43Bは、開口部20において、急冷室34の左側及び下側に設けられている。第4ヒータ配線部44は、電流を流すためのリード線44A(点線で示す)と、結露を防止するコードヒータ44B(実線で示す)と、を備える。リード線44Aは、十字部25において、第1冷蔵室31と第3冷蔵室33との間と、重畳部25Aとに設けられている。コードヒータ44Bは、重畳部25Aに設けられている。以上により、開口部20のうち急冷室34側の部分(急冷室34の左側及び下側)には、第1ヒータ配線部41と第3ヒータ配線部のコードヒータ43Bとが2重になるように配されており、重畳部25Aには、第2ヒータ配線部42と第4ヒータ配線部のコードヒータ44Bとが2重になるように配されている。尚、結露を防止するコードヒータ(第1ヒータ配線部41、第2ヒータ配線部42、コードヒータ43B,44B)が、本願発明のヒータに相当する。
【0042】
図2及び
図4に示すように、冷蔵室30は、箱体12において、第1冷蔵室31、第2冷蔵室32、及び第3冷蔵室33が繋がった正面視L字状の空間を構成する。一方、急冷室34は、箱体12において、仕切壁部13によって冷蔵室30から隔てられた正面視正方形状の空間を構成する。第2冷蔵室32及び急冷室34は、箱体12において第1冷蔵室31及び第3冷蔵室33の下側に配されており、底壁部12Dに面している。
【0043】
図2及び
図3に示すように、底壁部12Dにおける急冷室34の正面側(第4開口部24の下側を構成する部分)において、左右方向における中央部分には、ドア16L(
図1参照)による第4開口部24の開閉を検出する検出部35が設けられている。検出部35は、例えば、磁気センサとされ、ドア16Lの下部に取り付けられた磁石(不図示)が近接又は離間することによる磁力の変化により、ドア16Lによる第4開口部24の開閉を検出するものとされる。
【0044】
図2に示すように、第2冷蔵室32及び急冷室34の前側には、底壁部12Dを上下方向に貫通する形で形成された排水口15がそれぞれ設けられている。排水口15は、各室を洗浄する際の洗浄水を庫外へ排水するものとされる。
【0045】
図4及び
図7に示すように、急冷室34には、庫内ファン51と冷却器(蒸発器)52とを有する冷却装置(急冷室側冷却装置)50と、貯蔵対象物を載置するトレイを複数収容することができるワイヤーラック57と、が設けられている。冷却器52は、機械室14の急冷室側ユニット18に設けられた圧縮機77と凝縮器75と共に、冷媒が循環する冷媒管によって連結され、既知の冷凍サイクルを形成している。急冷室34では、庫内ファン51によって冷却器52側に送られた気体が、冷却器52を通ることで冷却され、室内を循環する。尚、冷却器52と圧縮機77及び凝縮器75とをつなぐ冷媒管は、背壁部12B側において、冷却器52から第3冷蔵室33を経て機械室14の急冷室側ユニット18まで延びた冷媒管通路53の内部に設けられている。
【0046】
庫内ファン51は、ワイヤーラック57の左方であって、急冷室34において上下方向における中央の位置に配されている。
図3に示すように、ワイヤーラック57にトレイTを収容した場合、庫内ファン51は、トレイTに載置される貯蔵対象物の左方に配されることとなる。ワイヤーラック57は、トレイTを室内外方向に摺動可能に支持することができる形とされる。
【0047】
図7に示すように、庫内ファン51は、仕切壁部13に対しブラケット54を介して取り付けられている。ブラケット54は、前後方向を長辺とする側方視長方形状の板金とされる。ブラケット54は、厚み方向(左右方向)に貫通形成された開口であって、前後方向に長いブラケット側開口部54Aを複数備える。ブラケット54と背壁部12Bとの間には、間隔が設けられている。
【0048】
図4、
図8及び
図13に示すように、急冷室34には、ワイヤーラック57を取付可能な複数のボルトラック58L,58Rが設けられている。複数のボルトラック58L,58Rには、庫内ファン51に取り付けられた左側のボルトラック58Lと、仕切壁部13に取り付けられた右側のボルトラック58Rと、が含まれる。右側のボルトラック58Rの高さ(仕切壁部13から左方に突き出た距離)は、左側のボルトラック58Lの高さ(庫内ファン51から右方に突き出た距離)に比して高い。
図13には、急冷室34を開閉する左開きのドア16Lを取り外し、十字部25に対し右開きのドア16R1を取り付けた場合の参考図を示している。右側のボルトラック58Rの高さは、ワイヤーラック57に収容されるトレイTが開いた状態のドア16R1に干渉しない高さとされている。これにより、ワイヤーラック57に対するトレイTの摺動が、ドア16R1によって妨げられることを抑制することができる。尚、右側のボルトラック58Rがこのような高さであると、ワイヤーラック57にトレイTを載置した場合であっても、当該トレイTと仕切壁部13との間に十分に隙間を設けることができ、急冷室34において気体を好適に循環させることができる。
【0049】
図9及び
図10に示すように、第3冷蔵室33には、貯蔵対象物を載置するトレイT(
図3参照)を、右方から支持する2つの第1ステイ61及び左方から支持する2つの第2ステイ62と、貯蔵対象物を載置する棚部66を側方から支持する4つの第3ステイ63と、が設けられている。
図3に示すように、第1ステイ61と第2ステイ62は、急冷室34のワイヤーラック57の直上となる位置に配されている。
【0050】
図9及び
図10に示すように、2つの第1ステイ61のうち、一方は背壁部12Bにブラケット61Aを介して取り付けられており、他方は十字部25にブラケット(不図示)を介して取り付けられており、いずれも仕切壁部13から間隔を空けて配されている。第1ステイ61は、上下方向を高さ方向とする柱状であり、上面視左右方向を長辺とする長方形状とされる。第1ステイ61は、その左側面において、トレイTが載置される長板状の載置台65を任意の高さで取り付け可能とされている。
【0051】
2つの第2ステイ62は、その上端部が天井壁部12Uにブラケット62Aを介して取り付けられており、その下端部が、仕切壁部13に直接取り付けられている。第2ステイ62は、上下方向を高さ方向とする柱状であり、上面視前後方向を長辺とする長方形状とされる。第2ステイ62は、その右側面において、載置台65を任意の高さで取り付け可能とされている。
【0052】
4つの第3ステイ63のうち、2つは左側の側壁部12Lに取り付けられており、残りの2つは、第2ステイ62の左側面(第1ステイ61とは反対側)に取り付けられている。第3ステイ63は、上下方向に延設した平板状とされる。第3ステイ63は、棚部66を載置する取付片63Aを任意の高さで取り付け可能とされている。尚、第1ステイ61の右側面には、第3ステイ63と同様の形をなした第4ステイ64が取り付けられている。第4ステイ64には、第1冷蔵室31に貯蔵する貯蔵対象物を載置可能な棚部67を任意の高さで取り付けることができる。
【0053】
図11及び
図12に示すように、第1冷蔵室31には、庫内ファン81と冷却器(蒸発器)82とを有する冷却器室80と、冷却器室80の吹出口83から吹き出された気体の一部が通過するダクト85と、を備える。冷却器82は、機械室14の冷蔵室側ユニット17に設けられた圧縮機72と凝縮器70と共に、冷媒が循環する冷媒管によって連結され、既知の冷凍サイクルを形成している。第1冷蔵室31では、庫内ファン81によって冷却器82側に送られた気体が、冷却器82を通ることで冷却されて吹出口83から吹き出され、当該気体が室内を循環する。尚、庫内ファン81と冷却器82は、本発明の冷蔵室側冷却装置87に相当する。
【0054】
ダクト85は、背壁部12Bに取り付けられた板金であり、吹出口83から吹き出された気体を第2冷蔵室32と第3冷蔵室33とに分流させることができる。具体的には、ダクト85は、上端部85Aと下端部85Bとが開口しており、その左側面の全面において複数の貫通孔85Cが設けられている。また、ダクト85の内部には、板金のガイド壁部86が設けられている。ガイド壁部86は、ダクト85の上端部85Aの左右方向における中央から下方に延在し、その途中部分から左下方に屈曲してダクト85の左側面の貫通孔85C付近まで延在している。吹出口83から吹き出された気体は、ダクト85の上端部85Aからダクト85の内部に入り、当該気体の一部が下端部85Bから第2冷蔵室32に向かって排出され、他部がガイド壁部86によって左方に向きを変え、貫通孔85Cから第3冷蔵室33に向かって排出される。
【0055】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、貯蔵対象物を貯蔵可能な貯蔵庫10であって、室内を冷却可能な冷蔵室30と、冷蔵室30よりも急速に室内を冷却可能な急冷室34と、当該貯蔵庫10の側壁部12Lと底壁部12Dとに接続され、冷蔵室30と急冷室34とを仕切る仕切壁部13と、を備え、急冷室34は、当該急冷室34内に貯蔵した貯蔵対象物の側方に配され、気体を送る庫内ファン51を備え、冷蔵室30及び急冷室34は、当該貯蔵庫10の底壁部12Dに面している、貯蔵庫10を示した。
【0056】
このような貯蔵庫10によると、貯蔵対象物を冷却して貯蔵する機能と、貯蔵対象物を急速に冷却して粗熱を取る機能と、を有する貯蔵庫10を提供することができる。また、冷蔵室30及び急冷室34は、底壁部12Dに面しているため、各室内を洗浄する際に生じる排水を通す排水口15を、底壁部12Dに設けることができる。これにより、排水を比較的短い経路で貯蔵庫10の外に排出することができ、排水口15を貯蔵庫10の壁部に貫通形成することによる壁部の断熱性の低下を抑制することができる。
【0057】
急冷室34は、庫内ファン51と庫内ファン51から送られた気体を冷却する冷却器52とを有する冷却装置50を備え、冷却装置50は、仕切壁部13に対し複数の開口が設けられたブラケット54を介して取り付けられている。
【0058】
急冷室34の室内において、冷却装置50が取り付けられた側は、冷却装置50自身によって気体の流れが妨げられやすい。しかしながら、上記のような貯蔵庫10によると、冷却装置50から吹き出される気体が、ブラケット54に設けられた複数の開口を通って急冷室34の室内を循環することができる。
【0059】
貯蔵庫10は、急冷室34を開閉可能に取り付けられたドア16R1を備え、仕切壁部13には、ワイヤーラック57を取付可能なボルトラック58Rが設けられており、ワイヤーラック57は、貯蔵対象物を載置するトレイTを室内外方向に摺動可能な形とされ、ボルトラック58Rは、開いた状態のドア16R1に対しトレイTの摺動が妨げられない高さで仕切壁部13から室内側に突き出ている。
【0060】
このような貯蔵庫10によると、トレイTを急冷室34のワイヤーラック57に摺動させるときに、トレイTがドア16R1にぶつかることを抑制し、トレイTを急冷室34にスムーズに出し入れすることができる。また、右側のボルトラック58Rがこのような高さであると、ワイヤーラック57にトレイTを載置した場合であっても、当該トレイTと仕切壁部13との間に十分に隙間を設けることができ、急冷室34において気体を好適に循環させることができる。
【0061】
急冷室34は、庫内ファン51と庫内ファン51から送られた気体を冷却する冷却器52とを有する冷却装置50を備え、当該貯蔵庫10は、冷却装置50の作動を操作する急冷室側操作部91を備え、冷蔵室30の一部である第3冷蔵室33、急冷室34、及び急冷室側操作部91は、上下方向に並んでいる。
【0062】
このような貯蔵庫10によると、例えば、急冷室34で急冷させた貯蔵対象物が載置されたトレイTを、第3冷蔵室33に移し、急冷室側操作部91を操作する等といったように、ユーザの動きや視線を上下方向に限定することができ、使い勝手を向上させることができる。
【0063】
冷蔵室30は、急冷室34の上側に配された第3冷蔵室33を備え、第3冷蔵室33は、貯蔵対象物を載置するトレイTを側方から支持する第1ステイ61及び第2ステイ62と、貯蔵対象物を載置する棚部66を側方から支持する第3ステイ63と、を備え、第3ステイ63は、少なくとも第2ステイ62において、第1ステイ61とは反対側に設けられている。
【0064】
このような貯蔵庫10によると、冷蔵室30において、第2ステイ62の一方側で貯蔵対象物を載置するトレイTを収容することができ、第2ステイ62の他方側で別の貯蔵対象物を棚部66に載置して収容することができる。これにより、冷蔵室30のスペースを有効に活用することができる。
【0065】
貯蔵庫10は、正面側に開口した開口部20を有する箱体12であって、冷蔵室30、急冷室34、及び仕切壁部13を有する箱体12と、開口部20を正面視十字に仕切る十字部25と、開口部20と十字部25とに設けられたヒータ41,42,43B,44Bと、を備え、十字部25は、仕切壁部13の正面側に重畳した重畳部25Aを備え、ヒータ41,42,43B,44Bは、開口部20のうち急冷室34側の部分と重畳部25Aとにおいて、二重に設けられている。
【0066】
結露を防止するためのヒータについて、例えば、冷蔵室30に合わせたワット密度のものを選定すると、急冷室34では熱が不足し、急冷室34に合わせたワット密度のものを選定すると、冷蔵室30に対して熱が余剰になってしまい、無駄に電力を消費してしまうことが懸念される。しかしながら上記のような貯蔵庫10によると、ヒータ41,42,43B,44Bは、開口部20のうち急冷室34側の部分と重畳部25Aとにおいて、二重に設けられているので、冷蔵室30の正面側に比して急冷室34の正面側をより加熱することができる。これにより、結露を抑制しつつ、上記熱の過不足を低減して省エネルギー化を実現可能な貯蔵庫10を提供することができる。
【0067】
貯蔵庫10は、急冷室34を開閉可能に取り付けられたドア16Lと、ドア16Lの開閉を検出する検出部35と、を備え、検出部35は、底壁部12Dにおける急冷室34の正面側において、左右方向における中央に設けられている。
【0068】
このような貯蔵庫10によると、検出部35が、例えば、ドア16Lに設けられた磁石が近接又は離間することによってドア16Lの開閉を検出するものとされるときに、ドア16Lの取付位置を左右反対にした場合であっても、検出部35(及び磁石)の位置を変更する必要がなく、ユーザにとって使い勝手の良いものとなる。
【0069】
急冷室34は、庫内ファン51と庫内ファン51から送られた気体を冷却する冷却器52とを有する冷却装置50を備え、当該貯蔵庫10は、冷却装置50の作動を操作する急冷室側操作部91が設けられた機械室14と、機械室14の正面側を覆うパネル19と、を備え、パネル19は、急冷室側操作部91を正面側に露出させる開口をなすパネル開口部93と、パネル開口部93の縁部93Aを被覆する被覆部95と、を備える。
【0070】
このような貯蔵庫10によると、パネル開口部93の縁部93Aにユーザの手指が直接接触することを防ぐことができ、ユーザが安全に急冷室側操作部91を操作することができる。
【0071】
冷蔵室30は、第1冷蔵室31と、第1冷蔵室31の下方であって急冷室34の側方に配された第2冷蔵室32と、第1冷蔵室31の側方であって急冷室34の上方に配された第3冷蔵室33と、を備え、第1冷蔵室31は、冷却した気体を室内に送る冷蔵室側冷却装置50と、冷蔵室側冷却装置50によって室内に送られた気体を、第2冷蔵室32と第3冷蔵室33とに分流させるダクト85と、を備える。
【0072】
このような貯蔵庫10によると、冷気が溜まりやすい第2冷蔵室32と冷気が循環しにくい第3冷蔵室33との間で生じる温度のムラを抑制することができる。
【0073】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0074】
(1)上記実施形態では、貯蔵庫の箱体において左下側に急冷室を配置したが、これに限られない。例えば、貯蔵庫の箱体において右下側に急冷室を配置してもよい。
【0075】
(2)上記実施形態では、急冷室の冷却装置は、当該急冷室内の左側に配置したが、これに限られない。例えば、急冷室の冷却装置は、当該急冷室内の右側に配置してもよい。
【符号の説明】
【0076】
10…貯蔵庫、12…箱体、12D…底壁部、12L…側壁部、13…仕切壁部、14…機械室、16L,16R…ドア、19…パネル、20…開口部、25…十字部、25A…重畳部、30…冷蔵室、34…急冷室、35…検出部、50…冷却装置(急冷室側冷却装置)、51…庫内ファン、52…冷却器(急冷室側冷却器)、54…ブラケット、54A…ブラケット側開口部、57…ワイヤーラック、58R…ボルトラック、61…第1ステイ、62…第2ステイ、63…第3ステイ、64…第4ステイ、66…棚部、81…庫内ファン、82…冷蔵室側冷却器、85…ダクト、91…急冷室側操作部(操作部)、93…急冷室側開口部(パネル開口部)、93A…縁部、95…被覆部