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特開2022-100633シャワーヘッドおよびマイクロバブル発生装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100633
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】シャワーヘッドおよびマイクロバブル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/28 20060101AFI20220629BHJP
   B01F 25/10 20220101ALI20220629BHJP
   B01F 25/40 20220101ALI20220629BHJP
   B01F 23/23 20220101ALI20220629BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20220629BHJP
   B05B 1/18 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
A47K3/28
B01F5/00 G
B01F5/06
B01F3/04 A
B01F15/02 A
B05B1/18 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214725
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】100120640
【弁理士】
【氏名又は名称】森 幸一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 敏達
【テーマコード(参考)】
2D132
4F033
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
2D132FA03
2D132FC04
2D132FJ04
2D132FJ15
2D132FJ22
4F033AA11
4F033BA04
4F033DA05
4F033EA01
4F033KA01
4F033LA00
4F033NA01
4G035AB05
4G035AC26
4G035AC44
4G035AE01
4G035AE13
4G037AA02
(57)【要約】
【課題】マイクロバブルを高濃度に含む水などの液体のシャワーを容易に得ることができるシャワーヘッドを提供する。
【解決手段】シャワーヘッドは旋回流発生用翼型ノズル40および渦崩壊用ノズル50をヘッド部12のシャワープレート15の内側に有する。ノズル40は、第1の筒状体の円柱状の第1の中空部に、円柱状の本体42aに複数の翼42bが設けられ、かつ本体の中心軸上に貫通孔42cを有する旋回流発生用翼体42が固定されたものである。ノズル50は、第1の筒状体と一体に設けられ、かつ第1の中空部に連接する円柱状の第2の中空部とこの第2の中空部より小径の円柱状の第3の中空部とを有し、この第3の中空部の末端側の端面が渦崩壊用ノズル50の中心軸に垂直な第2の筒状体からなる。第2の筒状体の第3の中空部の末端側の端面とシャワープレート15の内面との間には隙間がある。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに同軸に設けられた旋回流発生用翼型ノズルおよび渦崩壊用ノズルからなるマイクロバブル発生装置をヘッド部の内部のシャワープレートの内側に当該渦崩壊用ノズルの出口を当該シャワープレートの内面に向けて有し、
上記旋回流発生用翼型ノズルは、第1の筒状体の円柱状の第1の中空部に、円柱状の本体の外周面の長手方向に複数の翼がそれらの後部が彎曲するように設けられ、かつ上記本体の中心軸上に貫通孔を有する旋回流発生用翼体が固定されたものであり、
上記渦崩壊用ノズルは、上記第1の筒状体と一体に設けられ、かつ上記第1の中空部に連接する円柱状の第2の中空部と当該第2の中空部に連接する当該第2の中空部より直径が小さい円柱状の第3の中空部とを有し、当該第3の中空部の末端側の端面が上記渦崩壊用ノズルの中心軸に垂直な第2の筒状体からなり、
上記第2の筒状体の上記第3の中空部の末端側の端面と上記シャワープレートの内面との間に隙間を有するシャワーヘッド。
【請求項2】
上記旋回流発生用翼型ノズルの上記旋回流発生用翼体の上記翼の枚数は4枚または3枚である請求項1記載のシャワーヘッド。
【請求項3】
上記旋回流発生用翼型ノズルと上記渦崩壊用ノズルとの合計の長さが25mm以下である請求項1または2記載のシャワーヘッド。
【請求項4】
上記ヘッド部の内面に上記旋回流発生用翼型ノズルおよび上記渦崩壊用ノズルの中心軸と同軸の円筒状の空気滞留板が上記マイクロバブル発生装置を囲むように、かつ上記ヘッド部の内部に流入する液体が上記旋回流発生用翼型ノズルの入口に供給されるように設けられている請求項1~3のいずれか一項記載のシャワーヘッド。
【請求項5】
上記空気滞留板は上記ヘッド部の内部に液体が流入する部分の少なくとも一部に設けられていない請求項4記載のシャワーヘッド。
【請求項6】
互いに同軸に設けられた旋回流発生用翼型ノズルおよび渦崩壊用ノズルからなり、
上記旋回流発生用翼型ノズルは、第1の筒状体の円柱状の第1の中空部に、円柱状の本体の外周面の長手方向に複数の翼がそれらの後部が彎曲するように設けられ、かつ上記本体の中心軸上に貫通孔を有する旋回流発生用翼体が固定されたものであり、
上記渦崩壊用ノズルは、上記第1の筒状体と一体に設けられ、かつ上記第1の中空部に連接する円柱状の第2の中空部と当該第2の中空部に連接する当該第2の中空部より直径が小さい円柱状の第3の中空部とを有し、当該第3の中空部の末端側の端面が上記渦崩壊用ノズルの中心軸に垂直な第2の筒状体からなるマイクロバブル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はシャワーヘッドおよびマイクロバブル発生装置に関し、マイクロバブル(微細気泡)を含む水などのシャワーを得るのに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロバブルを利用したマイクロバブルシャワーとして、旋回流発生用翼型ノズルと、この旋回流発生用翼型ノズルと同軸に設けられた、縮流部および渦崩壊部を有する渦崩壊用ノズルとをシャワーヘッドの喉部に有するものが提案されている(特許文献1参照)。このマイクロバブルシャワーにおいては、旋回流発生用翼型ノズルの入口に水を供給することにより旋回流を発生させるとともに、この旋回流の中心に気体を導入し、この中心に気体が導入された旋回流を縮流部に供給することにより渦崩壊部からマイクロバブルを発生させ、マイクロバブルを含むシャワー水を得る。
【0003】
また、特許文献1のように旋回流発生用翼型ノズルを用いるものではないが、同じく渦崩壊現象を利用した、3枚の平板を重ねた構造を有するシャワーヘッドが提案されている(特許文献2参照)。このシャワーヘッドでは、ヘッド部の内部の、シャワー孔を有するシャワープレートの内側にマイクロバブル発生装置(微細気泡発生装置)が設けられている。このシャワープレートは、マイクロバブル発生装置から流出する水に対して邪魔板として働く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-229516号公報
【特許文献2】特開2017-221919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のマイクロバブルシャワーは、旋回流発生用翼型ノズルと渦崩壊用ノズルとからなるマイクロバブル発生装置をシャワーヘッドの喉部に有するため、最終的にヘッド部の先端のシャワープレートのシャワー孔から出てくるシャワー水のマイクロバブル濃度はあまり高くなかった。
【0006】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、ヘッド部の内部のシャワープレートの内側に旋回流発生用翼型ノズルおよび渦崩壊用ノズルからなるマイクロバブル発生装置が設けられていることにより、シャワープレート直前でマイクロバブルを効率的に発生させることができ、それによってマイクロバブルを高濃度に含む水などの液体のシャワーを容易に得ることができるシャワーヘッドおよびこのシャワーヘッドに用いて好適なマイクロバブル発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は、
互いに同軸に設けられた旋回流発生用翼型ノズルおよび渦崩壊用ノズルからなるマイクロバブル発生装置をヘッド部の内部のシャワープレートの内側に当該渦崩壊用ノズルの出口を当該シャワープレートの内面に向けて有し、
上記旋回流発生用翼型ノズルは、第1の筒状体の円柱状の第1の中空部に、円柱状の本体の外周面の長手方向に複数の翼がそれらの後部が彎曲するように設けられ、かつ上記本体の中心軸上に貫通孔を有する旋回流発生用翼体が固定されたものであり、
上記渦崩壊用ノズルは、上記第1の筒状体と一体に設けられ、かつ上記第1の中空部に連接する円柱状の第2の中空部と当該第2の中空部に連接する当該第2の中空部より直径が小さい円柱状の第3の中空部とを有し、当該第3の中空部の末端側の端面が上記渦崩壊用ノズルの中心軸に垂直な第2の筒状体からなり、
上記第2の筒状体の上記第3の中空部の末端側の端面と上記シャワープレートの内面との間に隙間を有するシャワーヘッドである。
【0008】
旋回流発生用翼型ノズルの旋回流発生用翼体の詳細については特許文献1に記載されている。旋回流発生用翼体の翼の枚数は必要に応じて選ばれるが、典型的には、4枚または3枚である。旋回流発生用翼体の本体の中心軸上にある貫通孔は、本体の後端から空気を供給し、本体の前端から空気を噴出するためのものであり、典型的には円柱状である。第2の筒状体からなる渦崩壊用ノズルの第2の中空部は、旋回流発生用翼型ノズルにより生成される旋回流が流れる空間(旋回流発生部)である。旋回流発生用翼体の本体の貫通孔の出口から噴出する空気はこの旋回流に取り込まれ、バブルが発生する。こうしてバブルが発生した旋回流は第2の中空部に連接する第3の中空部(渦崩壊部)に入り、渦崩壊によりバブルが微細化されてマイクロバブルとなり、第3の中空部からマイクロバブルを含む液体が放出される。こうして放出されたマイクロバブル液体は邪魔板となるシャワープレートに当たり、第2の筒状体の第3の中空部の末端側の端面とシャワープレートの内面との間の隙間の中を放射状に流れ、最終的にシャワープレートのシャワー孔から噴出されてマイクロバブル液体のシャワーが得られる。旋回流発生用翼型ノズルの長さおよび渦崩壊用ノズルの長さは、マイクロバブル発生装置が収納されるヘッド部の内部の大きさに応じて適宜選ばれるが、ヘッド部の内部の空間の奥行きが例えば30mm程度と比較的小さい場合、旋回流発生用翼型ノズルと渦崩壊用ノズルとの合計の長さは例えば25mm以下に選ばれる。シャワープレートは、第2の筒状体の第3の中空部の末端から噴出されるマイクロバブル液体に対して邪魔板となり、シャワー孔から吹き出す液体の流量の向上に寄与する。
【0009】
ヘッド部の内部でマイクロバブルの発生効率の向上を図るためには、好適には、ヘッド部の内面に旋回流発生用翼型ノズルおよび渦崩壊用ノズルの中心軸と同軸の円筒状の空気滞留板がマイクロバブル発生装置を囲むように、かつヘッド部の内部に流入する液体が旋回流発生用翼型ノズルの入口に供給されるように設けられる。このために、例えば、空気滞留板はヘッド部の内部に液体が流入する部分の少なくとも一部には設けられていない。この場合、液体は空気滞留板のこの部分の隙間を通ってヘッド部の内部に流入する。
【0010】
また、この発明は、
互いに同軸に設けられた旋回流発生用翼型ノズルおよび渦崩壊用ノズルからなり、
上記旋回流発生用翼型ノズルは、第1の筒状体の円柱状の第1の中空部に、円柱状の本体の外周面の長手方向に複数の翼がそれらの後部が彎曲するように設けられ、かつ上記本体の中心軸上に貫通孔を有する旋回流発生用翼体が固定されたものであり、
上記渦崩壊用ノズルは、上記第1の筒状体と一体に設けられ、かつ上記第1の中空部に連接する円柱状の第2の中空部と当該第2の中空部に連接する当該第2の中空部より直径が小さい円柱状の第3の中空部とを有し、当該第3の中空部の末端側の端面が上記渦崩壊用ノズルの中心軸に垂直な第2の筒状体からなるマイクロバブル発生装置である。
【0011】
このマイクロバブル発生装置の発明においては、特にその性質に反しない限り、上記のシャワーヘッドの発明に関連して説明したことが成立する。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、ヘッド部の内部のシャワープレートの内側に旋回流発生用翼型ノズルおよび渦崩壊用ノズルからなるマイクロバブル発生装置が設けられていることにより、シャワープレート直前でマイクロバブルを効率的に発生させることができ、それによってマイクロバブルを高濃度に含む水などの液体のシャワーを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の第1の実施の形態によるシャワーヘッドを示す正面図である。
図2】この発明の第1の実施の形態によるシャワーヘッドを示す縦断面図である。
図3】この発明の第1の実施の形態によるシャワーヘッドのヘッド部およびその周辺部を拡大して示す縦断面図である。
図4】この発明の第1の実施の形態によるシャワーヘッドのヘッド部を示す正面図である。
図5】この発明の第1の実施の形態によるシャワーヘッドのマイクロバブル発生装置を渦崩壊用ノズル側から見た斜視図である。
図6】この発明の第1の実施の形態によるシャワーヘッドのマイクロバブル発生装置を旋回流発生用翼型ノズル側から見た斜視図である。
図7】この発明の第1の実施の形態によるシャワーヘッドのヘッド部をマイクロバブル発生装置、シャワープレートおよびリングを取り外して見た斜視図である。
図8】旋回流発生用翼型ノズルおよび渦崩壊用ノズルの構造の評価に用いた試験品1を示す断面図である。
図9】旋回流発生用翼型ノズルおよび渦崩壊用ノズルの構造の評価に用いた試験品2を示す断面図である。
図10】旋回流発生用翼型ノズルおよび渦崩壊用ノズルの構造の評価に用いた試験品3を示す断面図である。
図11】試験品1~3を用いて行った実験により得られたマイクロバブル発生装置に対する水流のパワーと給気部圧力との関係を示す略線図である。
図12】試験品1~3を用いて行った実験により得られたマイクロバブル発生装置に対する水流の圧力と流量との関係を示す略線図である。
図13】試験品3を用いてLを5mm、15mmに変えて行った実験により得られたマイクロバブル発生装置に対する水流のパワーと給気部圧力との関係を示す略線図である。
図14】試験品3を用いてLを5mm、15mmに変えて行った実験により得られたマイクロバブル発生装置に対する水流の圧力と流量との関係を示す略線図である。
図15】試験品3に邪魔板を加えた試験品4を示す断面図である。
図16】試験品4を用いて行った実験により得られたマイクロバブル発生装置に対する水流のパワーと給気部圧力との関係を示す略線図である。
図17】試験品4を用いて行った実験により得られたマイクロバブル発生装置に対する水流の圧力と流量との関係を示す略線図である。
図18】旋回流発生用翼型ノズルの旋回流発生用翼体の翼の具体例を示す展開図である。
図19】翼の傾斜角θを78°、80°、82°に変えた試験品3を用いて行った実験により得られたマイクロバブル発生装置に対する水流のパワーと給気部圧力との関係を示す略線図である。
図20】翼の傾斜角θを78°、80°、82°に変えた試験品3を用いて行った実験により得られたマイクロバブル発生装置に対する水流の圧力と流量との関係を示す略線図である。
図21】実施例によるシャワーヘッドにおいてシャワープレートを外した状態および取り付けた状態でマイクロバブル水が噴出される様子を示す図面代用写真である。
図22】この発明の第2の実施の形態によるシャワーヘッドのヘッド部を拡大して示す縦断面図である。
図23】この発明の第2の実施の形態によるシャワーヘッドのヘッド部を示す斜視図である。
図24】この発明の第3の実施の形態によるシャワーヘッドを示す縦断面図である。
図25】この発明の第4の実施の形態によるシャワーヘッドを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という。)について図面を参照しながら説明する。
【0015】
〈第1の実施の形態〉
[シャワーヘッド]
図1および図2は第1の実施の形態によるシャワーヘッド1を示し、図1は正面図、図2は縦断面図である。図3はシャワーヘッド1のヘッド部およびその周辺部を拡大して示す縦断面図である。図1図3に示すように、シャワーヘッド1は、ヘッド部10および細長いほぼ円筒状の柄部20からなる。ヘッド部10は柄部20側の部分にほぼ円筒状の連結部11を有する。連結部11の先端部の外周面に雄ねじ11aが切られている。柄部20の連結部11側の一端部の内周面に雌ねじ20aが切られている。そして、連結部11の雄ねじ11aが柄部20の雌ねじ20aにねじ込まれることにより連結部11、従ってヘッド部10と柄部20とが互いに固定されている。柄部20の中空部は連結部11の中空部を介してヘッド部10の内部の空間と連通している。これらのヘッド部10および柄部20はここでは別体に形成されているが、一体に形成されてもよい。柄部20の上流側の一端部の外周面に雄ねじ20bが切られている。シャワーヘッド1の使用時には、例えば、水道の蛇口に接続されたホースの一端の取付具の内周面に切られた雌ねじにこの雄ねじ20bがねじ込まれることにより柄部20とホースとが互いに接続される。
【0016】
ヘッド部10の本体12はほぼ半球状に湾曲した外形を有する。この本体12の先端部に円筒部13が設けられている。この円筒部13の外周面に雄ねじ13aが切られている。この円筒部13にリング14が、このリング14の後部の内周面に切られた雌ねじ14aに円筒部13の雄ねじ13aがねじ込まれることにより取り付けられている。リング14の先端部はこのリング14の中心軸側に垂直に折れ曲がっている。このリング14にシャワープレート15が嵌め込まれており、このリング14の折れ曲がった先端部と本体12の円筒部13の先端との間にシャワープレート15の外周部が挟まれることにより円筒部13とシャワープレート15の外周部とが密着している。図4にヘッド部10の正面図を示す。図3および図4に示すように、シャワープレート15には多数のシャワー孔15aが設けられている。これらのシャワー孔15aは、シャワープレート15の中心の周りの互いに半径が異なる6個の同心円上にそれぞれ等間隔に設けられている。このシャワープレート15は、後述のように、邪魔板として用いられる。
【0017】
ヘッド部10の内部のシャワープレート15の内側に段差の付いた筒状体からなる羽根ユニット30が設けられている。この羽根ユニット30に旋回流発生用翼型ノズル40および渦崩壊用ノズル50が互いに同軸になるように嵌め込まれており、マイクロバブル発生装置60が構成されている。羽根ユニット30の外径はシャワープレート15に向かって4段階に増加している。すなわち、羽根ユニット30は、後部(上流側)から前部(下流側)に向かって順に、外径D1 の第1の部分31、外径D2 (>D1 )の第2の部分32、外径D3 (>D2 )の第3の部分33および外径D4 (>D3 )の第4の部分34からなる。羽根ユニット30の内部は、後部から前部に向かって順に、第1の部分31と第2の部分32の一方の片側半分との内部の直径d1 の円柱状の中空部35、第2の部分32の他方の片側半分と第3の部分33の一方の片側半分との内部の直径d2 の円柱状の中空部36および第3の部分33の他方の片側半分と第4の部分34との内部の直径d3 の円柱状の中空部37からなる。中空部36に旋回流発生用翼型ノズル40が嵌め込まれ、中空部37に渦崩壊用ノズル50が嵌め込まれている。この場合、旋回流発生用翼型ノズル40の円筒41の内径と渦崩壊用ノズル50の旋回流発生部52の内径とは互いに等しくなっている。すなわち、旋回流発生用翼型ノズル40の円筒41と渦崩壊用ノズル50の旋回流発生部52とは直管となっている。
【0018】
旋回流発生用翼型ノズル40は円筒41の内部に旋回流発生用翼体42が円筒41と一体に設けられたものである。旋回流発生用翼体42は、円柱状の本体42aの前部(下流側)の外周面の長手方向に4枚の翼42bがそれらの後部が彎曲するように円周方向に等間隔に設けられ、かつ本体42aの中心軸上に貫通孔42cを有するものである。本体42aの後部(上流側)の直径は本体42aの前部の直径より小さくなっている。渦崩壊用ノズル50は円板51の一方の面に円筒状の旋回流発生部52が設けられたものである。円板51は中心に円形の開口からなる渦崩壊部53を有する。円板51の、旋回流発生部52の中心の周りの旋回流発生部52の外形より大きい半径の円周上に旋回流発生部52の中心に関して等角度の三箇所の位置(互いに120°離れた位置)にさらねじの頭が入るねじ孔51aが設けられている。羽根ユニット30のねじ孔51aに対応する部分には、羽根ユニット30の第3の部分33の外周と接して円柱状の突起30aが設けられ、この突起30aの中心に雌ねじ(図示せず)が切られている。そして、ねじ孔51aを通して突起30aの雌ねじにさらねじ38がねじ込まれることにより、渦崩壊用ノズル50が羽根ユニット30に取り付けられている。渦崩壊用ノズル50の円板51の外周部とシャワープレート15の外周部との間には円環状のパッキン39が設けられており、封止が行われている。
【0019】
一方、ヘッド部10の本体12の、羽根ユニット30に対向する部分の内面に軸16が旋回流発生用翼型ノズル40および渦崩壊用ノズル50と同軸に設けられている。軸16の先端部16aは細くなっており、この先端部16aが羽根ユニット30の上流側の端面に設けられた円柱状の穴30bに差し込まれている。この先端部16aの外周面と羽根ユニット30の穴30bの内周面との間にはO-リング71が設けられていて封止されている。軸16の中心軸上には貫通孔16bが設けられ、先端部16aではそれ以外の部分に比べて貫通孔16bの直径が小さくなっている。先端部16aの貫通孔16bは旋回流発生用翼型ノズル40の旋回流発生用翼体42の本体42aの貫通孔42cと連通している。ヘッド部10の本体12の表面に出ている軸16の貫通孔16bの周囲の部分には円形の凹部18が設けられ、この凹部18に、中心に円形の空気穴(図示せず)が設けられた円形の空気穴板19が接着されている。羽根ユニット30の、ヘッド部10の本体12の内面に対向する端面には旋回流発生用翼体42の4枚の翼42bと重ならない位置に四つの流入孔30cが設けられている。図5にマイクロバブル発生装置60を渦崩壊用ノズル50側から見た様子を、図6にマイクロバブル発生装置60を旋回流発生用翼型ノズル40側から見た様子を示す。
【0020】
ヘッド部10の本体12の内面に、軸16を中心軸とする円筒の側面の所定の角度範囲の部分が切除された形状の空気滞留板12aが設けられている。空気滞留板12aの直径は羽根ユニット30の第3の部分33の外形より大きく、かつ第4の部分34の外形より小さくなっており、空気滞留板12aの先端は羽根ユニット30の第4の部分34に接触している。空気滞留板12aの開口部はヘッド部10の連結部11の中空部に対向する部分に設けられており、連結部11から流出する液体が空気滞留板12aで囲まれた空間の内部に流入することができるようになっている。図7に、マイクロバブル発生装置60、シャワープレート15およびリング14を取り外した状態のヘッド部10を前方斜め右方向から見た斜視図を示す。
【0021】
上述のように、シャワーヘッド1においては、ヘッド部10の内部のシャワープレート15の内側に、羽根ユニット30に嵌め込まれた旋回流発生用翼型ノズル40および渦崩壊用ノズル50からなるマイクロバブル発生装置60が設けられているが、(1)旋回流発生用翼型ノズル40において旋回流発生用翼体42の下流側に渦崩壊用ノズル50の直管状の旋回流発生部52が設けられていること、(2)渦崩壊用ノズル50の渦崩壊部53が設けられた円板51に対して隙間を空けてシャワープレート15が設けられていて邪魔板として用いられること、(3)旋回流発生用翼体42の円柱状の本体42aの液体が流入する側の端部が特許文献1のように流線形状の尖った形状(砲弾形状)をしていないこと、(4)ヘッド部10の本体12の内面に空気滞留板12aが設けられていること、(5)旋回流発生用翼体42の円柱状の本体42aに設けられた翼42bの渦崩壊用ノズル50側の傾斜角度が最適化されていること、が特徴である。以下、このような構造を採用するに至った理由について説明する。
【0022】
(1)について
旋回流発生用翼型ノズル40および渦崩壊用ノズル50からなるマイクロバブル発生装置60を評価するために、図8図10に示すような三種類の試験品を作製した。図8に示す試験品1では、筒200の直管状の円筒部の内部に旋回流発生用翼体210が設けられ、旋回流発生用翼型ノズル220が構成されている。旋回流発生用翼体210は砲弾形状の本体211の外周面に長手方向に設けられた4枚の翼212を有する。旋回流発生用翼体210の下流側の旋回流発生部230では筒200は直線テーパー状に直径が減少した形状を有し、その後ろに直管状の円筒からなる渦崩壊部240が設けられている。旋回流発生部230および渦崩壊部240により渦崩壊用ノズル250が構成されている。筒200は、渦崩壊部240の出口では旋回流発生用翼型ノズル220および渦崩壊用ノズル250の中心軸に対して垂直に広がっている。図9に示す試験品2では、渦崩壊用ノズル250の旋回流発生部230の筒200が凹曲線テーパー状に直径が減少した形状を有すること以外は図8に示す試験品1と同様である。図10に示す試験品3は、シャワーヘッド1の旋回流発生用翼型ノズル40および渦崩壊用ノズル50に対応し、渦崩壊用ノズル250の旋回流発生部230の筒200が旋回流発生用翼体210の部分の筒200と同じ直径を有し、直管形状を有すること以外は図8に示す試験品1と同様である。ここで、旋回流発生用翼体210の部分の筒200の直径は19mmとした。また、ここでは、旋回流発生用翼体210は砲弾形状を有する特許文献1と同様な形状を有するものを用いた。図11はポンプからマイクロバブル発生装置に水を送出する時のパワー(水量×水圧)と給気部圧力(給気孔の圧力、従って給気チューブの一端の空気の圧力)との関係を図8図10に示す三種類の試験品1~3に対してプロットした図である。ただし、図10に示す試験品3については、旋回流発生用翼体210の下流側の管200の直管部の長さdを16mm、6mmとした場合についてプロットした。また、図12図11と同様に三種類の試験品1~3に対してポンプの圧力(水圧)と流量との関係をプロットした図である。図11および図12より、図8および図9に示す試験品1、2に比べて図10に示す試験品3(d=16mmのもの)の方が、給気部圧力は大きく低下し、流量も大きいことが分かる。この結果から、旋回流発生用翼体210の後方の後流スペースが重要であり、後流スペースが大きい程後流が低圧となると言える。以上が図10に示す試験品3に対応する上述のマイクロバブル発生装置60を採用した理由である。
【0023】
関連して、渦崩壊用ノズル250の直管状の渦崩壊部240の長さLについて検証した結果を説明する。旋回流発生部230の長さdはd=16mmとした。図13はポンプからマイクロバブル発生装置に水を送出する時のパワーと給気部圧力との関係を図10に示す試験品3においてL=5mm、15mmとした場合についてプロットした図である。また、図14図13と同様に試験品3においてL=5mm、15mmとした場合についてポンプの圧力と流量との関係をプロットした図である。ただし、d=15mmとし、渦崩壊部240の直径De =5mmとした。図13および図14から分かるように、マイクロバブル発生装置に同一エネルギーを与えた場合には、Lが大きい方が、給気部圧力が低下するため、マイクロバブルの発生には有利となる。
【0024】
(2)について
図15は試験品4を示す。試験品4は、図10に示す試験品3において、渦崩壊用ノズル250の直管状の渦崩壊部240の前面に間隔δを空けて邪魔板260を設置したものである。ただし、d=15mm、L=15mm、De =4.5mmとした。図16はポンプからマイクロバブル発生装置に水を送出する時のパワーと給気部圧力との関係を図15に示す試験品4においてδを0.4mm、1mm、2mmと変えた場合および邪魔板260を設置しない場合についてプロットした図である。また、図17図16と同様な場合についてポンプの圧力と流量との関係をプロットした図である。図17に示すように、邪魔板260を設置する方が、設置しない場合に比べて流量が増加する。また、図16に示すように、給気部圧力の低下が最大となる距離δが存在し、この場合はδ=1mmの場合が給気部圧力の低下が最大となる。δ=0.4mmでは流量は増加するが、給気部圧力の低下は半減する。以上が図15に示す試験品5に対応する上述のマイクロバブル発生装置60を採用した理由である。
【0025】
(3)について
旋回流発生用翼体42の本体42aとして特許文献1のように流線形状の尖った形状(砲弾形状)を採用すると、旋回流発生用翼型ノズル40の全長を長くせざるを得ず、シャワーヘッド1に組み込むマイクロバブル発生装置60としては不利である。このため、旋回流発生用翼体42の本体42aの形状として流線形状の尖った形状を採用しない上述のマイクロバブル発生装置60を採用した。ただし、マイクロバブル発生装置60では、旋回流発生用翼体42の本体42aの後部(上流側)の直径を翼42bが設けられている前部に比べて小さくすることで旋回流発生用翼型ノズル40に液体がスムーズに流入し、流れの損失を抑えられるようにしている。
【0026】
(4)について
ヘッド部10の内部に空気滞留板12aが設けられていない場合を考える。この場合、シャワーヘッド1の使用前にヘッド部10の内部に入っていた空気は、通水後に加圧された時に抜けてしまう。これに対して、ヘッド部10の内部に空気滞留板12aが設けられている場合は、空気滞留板12aが空気の流れに対して抵抗となることにより、シャワーヘッド1の使用前にヘッド部10の内部に入っていた空気は空気滞留板12aに囲まれた空間に滞留し、通水後に加圧された時に抜けにくくなる。ヘッド部10の内部に入っていた空気は、通水後に加圧されることで水に溶解し、その溶解水が旋回流発生用翼型ノズル40を通った時点で再気泡化し、濃度の高いマイクロバブル水を生成するのを補助する。渦崩壊用ノズル50で微粒化される空気量が数10cc/minであることを考慮すると、シャワー使用時に加圧供給する気体量として有意であることが分かる。
【0027】
(5)について
図18は旋回流発生用翼型ノズル40の旋回流発生用翼体42の4枚の翼42bの円柱状の本体42aの外周面の周方向の展開図である。翼42bの下流側の縁における周方向に対する傾斜角度をθとする。旋回流発生部52の長さは、マイクロバブルの発生効率を低下させないためには、円筒41の内径をDとするとD×cotθ程度が必要である。図19はポンプからマイクロバブル発生装置に水を送出する時のパワーと給気部圧力との関係を図15に示す試験品4においてθを78°、80°、82°と変えた場合についてプロットした図である。ただし、d=5mmとした。また、図20図19と同様な場合についてポンプの圧力(水圧)と流量との関係をプロットした図である。図19および図20に示すように、θ=78°の渦崩壊用ノズル250では、給気部圧力が低下し、流水抵抗が大きく流量も大きいことから、シャワーヘッド1に組み込む時には、より広い範囲の水圧に対してマイクロバブル発生効率が高い。
【0028】
シャワーヘッド1の主要部の寸法は例えば次の通りである。シャワープレート15の前面とヘッド部10の空気穴板19との間の距離は59mm、リング14の直径は70mm、パッキン39の内径は44mm、旋回流発生用翼型ノズル40の旋回流発生用翼体42の直径および渦崩壊用ノズル50の旋回流発生部52の内径は18mm、旋回流発生部52の長さは6mmである。渦崩壊用ノズル50の渦崩壊部53の長さは3mm、直径は3.5mmである。渦崩壊用ノズル50の渦崩壊部53側の端面とシャワープレート15の内面との間の間隔は0.4mm以上2mm以下、例えば1mm程度である。
【0029】
[シャワーヘッド1の動作]
このシャワーヘッド1の動作について説明する。このシャワーヘッド1の柄部20を水道の蛇口に接続されたホースの先端の取付具に取り付ける。水道の蛇口を開いて水(湯水も含む)をホースに流す。この水はホースを通って柄部20の中空部に流入し、さらにシャワーヘッド1のヘッド部10の連結部11を通ってヘッド部10の内部に流入する。ヘッド部10の内部に流入した水は、マイクロバブル発生装置60の羽根ユニット30の上流側の端面に設けられた流入孔30cを通って中空部35に流入し、旋回流発生用翼型ノズル40を通ることにより渦崩壊用ノズル50の旋回流発生部52の内部に旋回流が発生し、渦崩壊用ノズル50の渦崩壊部53で渦崩壊が起きることにより渦崩壊部53からマイクロバブルを含む水が流出する。旋回流発生部52における旋回流への空気の導入は、ヘッド部10の表面に取り付けられた空気穴板19の空気穴、軸16の貫通孔16bおよび旋回流発生用翼型ノズル40の本体42aの貫通孔42cを通して行われる。このマイクロバブルを含む水は、渦崩壊用ノズル50の前方に設けられたシャワープレート15に当たってこのシャワープレート15に沿う方向に流れ、最終的に、シャワー孔15aからマイクロバブルを含む水が噴出する。
【0030】
[シャワーヘッド1の動作実験]
シャワーヘッド1の試作品を作製し、透明アクリル製の容器の中でマイクロバブル水を噴出させる実験を行った。図21AおよびBはそれぞれ、シャワーヘッド1のシャワープレート15を外した状態および取り付けた状態でマイクロバブル水が噴出される様子を示す。
【0031】
以上のように、この第1の実施の形態によるシャワーヘッド1によれば、ヘッド部10のシャワープレート15の内側に旋回流発生用翼型ノズル40および渦崩壊用ノズル50からなるマイクロバブル発生装置60が設けられ、シャワープレート15が邪魔板として働くことにより、水道水圧でも効率的にマイクロバブルを発生させることができ、マイクロバブルを含む水あるいはその他の液体をシャワープレート15のシャワー孔15aから噴出させることができる。
【0032】
〈第2の実施の形態〉
[シャワーヘッド]
図22は第2の実施の形態によるシャワーヘッド1を示し、ヘッド部を拡大して示す縦断面図である。図23はシャワーヘッド1を斜め後ろ側から見た斜視図である。シャワーヘッド1の本体12の正面図は図4と同様である。この第2の実施の形態によるシャワーヘッド1は、旋回流発生用翼型ノズル40の旋回流発生用翼体42の本体42aの貫通孔42cに給気を行う構造が第1の実施の形態と異なる。すなわち、図22に示すように、このシャワーヘッド1においては、ヘッド部10の内面に貫通孔16bを有する軸16が設けられる代わりに、ヘッド部10に六角穴付きボタンボルト80が設けられている。具体的には、ヘッド部10の後部に貫通孔12bを設け、この貫通孔12bにゴムブッシュ81が固定される。そして、ゴムブッシュ81にスペーサー82を介して六角穴付きボタンボルト80が挿入される。六角穴付きボタンボルト80には平座金83およびナット84が嵌められ、平座金83を介してナット84がゴムブッシュ81が圧縮されるまで締め付けられている。六角穴付きボタンボルト80の中心軸上に貫通孔80aが設けられている。六角穴付きボタンボルト80の頭部には六角穴80bが設けられ、この六角穴80bの底面に六角形状の空気穴板85が設けられている。この空気穴板85の中心には空気穴(図示せず)が設けられており、この空気穴が六角穴付きボタンボルト80の貫通孔80aと連通している。六角穴付きボタンボルト80の先端部の貫通孔80aは旋回流発生用翼体42の本体42aの貫通孔42cと連通している。六角穴付きボタンボルト80の先端部にはE型止め輪86が設けられており、羽根ユニット30の後部端面に接触している。これによって、六角穴付きボタンボルト80の羽根ユニット30に対する位置めが行われている。このシャワーヘッド1の上記以外の構成は第1の実施の形態によるシャワーヘッド1と同様である。
【0033】
[シャワーヘッドの動作方法]
このシャワーヘッド1の動作方法は第1の実施の形態によるシャワーヘッド1と同様である。
【0034】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0035】
〈第3の実施の形態〉
[シャワーヘッド]
図24は第3の実施の形態によるシャワーヘッド1を示す縦断面図である。図24に示すように、このシャワーヘッド1は、図10に示すものと同様なマイクロバブル発生装置60を有し、ヘッド部10は円筒形状を有する。すなわち、このシャワーヘッド1においては、筒300の直管状の円筒部の内部に旋回流発生用翼体42が設けられ、旋回流発生用翼型ノズル40が構成されている。筒300の末端とヘッド部10の底面との間には隙間が設けられており、図24において矢印で示すように、この隙間を通って旋回流発生用翼型ノズル40に水などの液体が供給されるようになっている。旋回流発生用翼体42は円柱状の本体42aの外周面に長手方向に設けられた4枚の翼42bを有する。渦崩壊用ノズル50の旋回流発生部52の筒300は旋回流発生用翼体42の部分の筒300と同じ直径を有し、直管形状を有する。旋回流発生部52の後ろには直管状の円筒からなる渦崩壊部53が設けられている。旋回流発生部52および渦崩壊部53により渦崩壊用ノズル50が構成されている。筒300は、渦崩壊部53の出口では旋回流発生用翼型ノズル40および渦崩壊用ノズル50の中心軸に対して垂直に広がっている。筒300の外周面とヘッド部10の側面との間には円環310が設けられており、この円環310によりマイクロバブル発生装置60がヘッド部10に固定されているとともに、連結部11を通って流入する水が旋回流発生用翼型ノズル40の入口以外の部分に流入しないようにするための止水が行われている。旋回流発生用翼体42の貫通孔42cへの給気はヘッド部10の裏面に設けられた空気穴(図示せず)を通して行われる。ヘッド部10の前面にはリング(図示せず)に嵌められたシャワープレート15が取り付けられている。
【0036】
このシャワーヘッド1の各部の寸法は必要に応じて選ばれるが、例えば、旋回流発生用翼型ノズル40の長さを12mm、渦崩壊用ノズル50の旋回流発生部52の長さを5mm、渦崩壊部53の長さを6mmとすることにより、マイクロバブル発生装置60の全長を12mm+5mm+6mm=23mmとすることができ、市販されている一般的なシャワーヘッドのヘッド部に収納することができる全長25mm以下とすることができる。筒300の末端とヘッド部10の底面との間の隙間(流入部)の幅は5mm程度である。
【0037】
[シャワーヘッドの動作]
このシャワーヘッド1の動作方法は第1の実施の形態と同様である。
【0038】
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0039】
〈第4の実施の形態〉
[シャワーヘッド]
図25は第4の実施の形態によるシャワーヘッド1を示す縦断面図である。図25に示すように、このシャワーヘッド1においては、ヘッド部10へのマイクロバブル発生装置60の固定および旋回流発生用翼型ノズル40の入口以外の部分への止水を行うための円環310が渦崩壊用ノズル50の外周と筒300のこの筒300の中心軸に対して垂直に広がった部分とに接触して設けられていることが第3の実施の形態と異なる。このシャワーヘッド1のその他のことは第3の実施の形態と同様である。
【0040】
[シャワーヘッドの動作]
このシャワーヘッド1の動作方法は第1の実施の形態と同様である。
【0041】
第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0042】
以上、この発明の実施の形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0043】
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、形状、構造、配置などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、形状、構造、配置などを用いてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…シャワーヘッド、10…ヘッド部、11…連結部、12…本体、12a…空気滞留板、14…リング、15…シャワープレート、15a…シャワー孔、16…軸、16a…貫通孔、20…柄部、30…羽根ユニット、30c…流入孔、40…旋回流発生用翼型ノズル、42…旋回流発生用翼体、42a…本体、42b…翼、42c…貫通孔、50…渦崩壊用ノズル、51…円板、52…旋回流発生部、53…渦崩壊部、60…マイクロバブル発生装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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図19
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図24
図25