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特開2022-100639空気入りタイヤの製造方法及び空気入りタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100639
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】空気入りタイヤの製造方法及び空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/30 20060101AFI20220629BHJP
   B60C 9/04 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
B29D30/30
B60C9/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214733
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一柳 友洋
【テーマコード(参考)】
3D131
4F215
【Fターム(参考)】
3D131AA14
3D131AA44
3D131BC47
3D131BC51
3D131DA09
3D131DA22
4F215AH20
4F215AM32
4F215VA02
4F215VD10
4F215VK02
4F215VL08
4F215VL11
(57)【要約】
【課題】カーカスプライの接合部に起因するタイヤ表面での凹部の発生を抑制できる空気入りタイヤの製造方法及び空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】成形ドラムにカーカスプライを巻き付けてカーカスを成形する工程を含む空気入りタイヤの製造方法であって、カーカスは、カーカスプライのタイヤ周方向の端部同士を重ね合わせた接合部を有し、製造方法は、カーカスプライを巻き付けた後、接合部の少なくとも一部を覆うゴムテープを貼り付ける工程をさらに含み、ゴムテープは、接合部の外側に貼り付けられて一定の厚みでタイヤ周方向に沿って延びる中央部と、中央部のタイヤ周方向の両端から厚みを減らしながらタイヤ周方向に沿ってそれぞれ延び、且つ角度が45度以下の先端を有する先細り部と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形ドラムにカーカスプライを巻き付けてカーカスを成形する工程を含む空気入りタイヤの製造方法であって、
前記カーカスは、前記カーカスプライのタイヤ周方向の端部同士を重ね合わせた接合部を有し、
前記製造方法は、前記カーカスプライを巻き付けた後、前記接合部の少なくとも一部を覆うゴムテープを貼り付ける工程をさらに含み、
前記ゴムテープは、前記接合部の外側に貼り付けられて一定の厚みでタイヤ周方向に沿って延びる中央部と、前記中央部のタイヤ周方向の両端から厚みを減らしながらタイヤ周方向に沿ってそれぞれ延び、且つ角度が45度以下の先端を有する先細り部と、を有する、空気入りタイヤの製造方法。
【請求項2】
前記カーカスプライは、平行に配列された複数のカーカスコードと、前記カーカスコードを被覆するトッピングゴムとを有し、
前記中央部の厚みは、前記カーカスコードの直径よりも大きい、請求項1に記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項3】
前記先細り部は、前記中央部のタイヤ周方向の両端から一定の割合で厚みを減らしながらタイヤ周方向に沿って延びる、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項4】
トレッドからサイドウォールを経てビードに至るカーカスを備え、
前記カーカスは、カーカスプライのタイヤ周方向の端部同士を重ね合わせた接合部と、前記接合部の少なくとも一部を覆うゴムテープとを有し、
前記ゴムテープは、前記接合部の外側に貼り付けられて一定の厚みでタイヤ周方向に沿って延びる中央部と、前記中央部のタイヤ周方向の両端から厚みを減らしながらタイヤ周方向に沿ってそれぞれ延び、且つ角度が45度以下の先端を有する先細り部と、を有する、空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気入りタイヤの製造方法及び空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気入りタイヤのカーカスは、カーカスプライのタイヤ周方向の端部同士を重ね合わせて接合することで形成されている。このようなカーカスプライの接合部は、その他の部分に比べて引張剛性が高いため、トロイダル状のタイヤ形状に変形させたときに、接合部がその他の部分よりも伸びにくく、接合部に対応するタイヤ表面では、タイヤ表面が凹んだ凹部が生じやすい。この凹部は、加硫成型後の空気入りタイヤにおいても残存する。
【0003】
下記特許文献1には、カーカスプライの接合部によるサイドウォール部の凹凸現象を解消するために、接合部をゴムテープで被覆した空気入りタイヤが開示されている。当該ゴムテープは、タイヤ表面に発生し得る凹部を解消できるが、断面形状が略長方形であるため、ゴムテープのタイヤ周方向の端部で却ってタイヤ表面に凸部を発生するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-198314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、カーカスプライの接合部に起因するタイヤ表面での凹部の発生を抑制できる空気入りタイヤの製造方法及び空気入りタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の空気入りタイヤの製造方法は、成形ドラムにカーカスプライを巻き付けてカーカスを成形する工程を含む空気入りタイヤの製造方法であって、
前記カーカスは、前記カーカスプライのタイヤ周方向の端部同士を重ね合わせた接合部を有し、
前記製造方法は、前記カーカスプライを巻き付けた後、前記接合部の少なくとも一部を覆うゴムテープを貼り付ける工程をさらに含み、
前記ゴムテープは、前記接合部の外側に貼り付けられて一定の厚みでタイヤ周方向に沿って延びる中央部と、前記中央部のタイヤ周方向の両端から厚みを減らしながらタイヤ周方向に沿ってそれぞれ延び、且つ角度が45度以下の先端を有する先細り部と、を有する。
【0007】
また、本開示の空気入りタイヤは、トレッドからサイドウォールを経てビードに至るカーカスを備え、
前記カーカスは、カーカスプライのタイヤ周方向の端部同士を重ね合わせた接合部と、前記接合部の少なくとも一部を覆うゴムテープとを有し、
前記ゴムテープは、前記接合部の外側に貼り付けられて一定の厚みでタイヤ周方向に沿って延びる中央部と、前記中央部のタイヤ周方向の両端から厚みを減らしながらタイヤ周方向に沿ってそれぞれ延び、且つ角度が45度以下の先端を有する先細り部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る空気入りタイヤのタイヤ子午面における要部断面図
図2】第1のカーカスプライの斜視図
図3】成形ドラムに第1のカーカスプライを巻き付けた状態を示す斜視図
図4図3のIV-IV線の要部拡大断面図
図5】本実施形態に係る空気入りタイヤのタイヤ子午面における要部断面図
図6】他の実施形態に係るカーカスプライの接合部の要部拡大断面図
図7】他の実施形態に係るカーカスプライの接合部の要部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、空気入りタイヤ及びその製造方法における一実施形態について、図1図5を参照しながら説明する。なお、各図(図6図7も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0010】
<空気入りタイヤの構成>
図1に示すように、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、ビードコア11aを有する一対のビード11,11と、各ビード11からタイヤ径方向D2の外側に延びる一対のサイドウォール12,12と、一対のサイドウォール12,12のタイヤ径方向D2の外端部に連接されるトレッド13と、を備えている。
【0011】
各図において、タイヤ軸方向D1とは、空気入りタイヤ1の回転中心であるタイヤ回転軸と平行な方向であり、タイヤ径方向D2とは、空気入りタイヤ1の直径方向であり、タイヤ周方向D3とは、タイヤ回転軸周りの方向である。また、タイヤ赤道面S1とは、タイヤ回転軸に直交する面であって、空気入りタイヤ1のタイヤ軸方向D1の中心に位置する面のことであり、タイヤ子午面とは、タイヤ回転軸を含む面であり、タイヤ赤道面S1と直交する面である。
【0012】
なお、タイヤ軸方向D1において、内側とは、タイヤ赤道面S1に近い側のことであり、外側とは、タイヤ赤道面S1から遠い側のことである。また、タイヤ径方向D2において、内側とは、タイヤ回転軸に近い側のことであり、外側とは、タイヤ回転軸から遠い側のことである。
【0013】
空気入りタイヤ1は、一対のビードコア11a,11aの間に架け渡されるカーカス14と、カーカス14の内側に配置され、空気圧を保持するために、気体の透過を阻止する機能に優れるインナーライナー15とを備えている。カーカス14及びインナーライナー15は、ビード11、サイドウォール12及びトレッド13に亘って、タイヤ内周に沿って配置されている。
【0014】
カーカス14は、3つのカーカスプライ21,22,23で構成されている。トレッド13において、カーカスプライ21,22,23は、この順番にてタイヤ径方向D2の内側から外側に向かって積層されている。第1のカーカスプライ21及び第2のカーカスプライ22は、ビードコア11aを巻き込むようにビードコア11aの周りで折り返されている。第3のカーカスプライ23は、ビードコア11aのタイヤ軸方向D1の外側で終端している。カーカス14は、各カーカスプライ21,22,23のタイヤ周方向D3の端部同士を接合して構成されている。
【0015】
図2は、第1のカーカスプライ21の一部を示す斜視図である。カーカス14は、第1のカーカスプライ21のタイヤ周方向D3の端部同士を重ね合わせた接合部14aを有する。また、カーカス14は、接合部14aを覆うゴムテープ24(詳細は後述する)を有する。
【0016】
第1のカーカスプライ21は、タイヤ周方向D3に対して略直交する方向に平行に配列された複数のカーカスコード211(図4を参照)と、カーカスコード211を被覆するトッピングゴム212(図4を参照)とを備えている。
【0017】
第1のカーカスプライ21が重なった接合部14aでは、接合部14a以外の部分と比べて、引張剛性が高くなる。そのため、後述するように円筒状の第1のカーカスプライ21をトロイダル状に変形させたときに、接合部14aが、接合部14a以外の部分よりも伸びにくく、接合部14aに対応するタイヤ表面では、タイヤ表面が凹んだ凹部が生じやすいという課題がある。凹部は、特にゴムの厚みが薄くなったサイドウォール12で目立ちやすい。接合部14aを覆うようにゴムテープ24を配置することで、接合部14aでのゴム量が増えるため、タイヤ表面での凹部の発生を抑制することができる。
【0018】
<空気入りタイヤの製造方法>
次に、空気入りタイヤ1の製造方法について、図3図5を参酌して、説明する。一般的な空気入りタイヤの製造方法として、次の方法が例示される。まず、円筒状の成形ドラムにインナーライナー、カーカスプライ、ビードなどを含むタイヤ構成部材を所定位置に配設することで円筒状のケースを成形し、このケースをトロイダル状に変形させ且つ別途成形したトレッドゴムとケースとを合体して未加硫状態の未加硫タイヤを成形する。そして、未加硫タイヤを加硫成型することで、空気入りタイヤが製造される。
【0019】
図3は、成形ドラム9に第1のカーカスプライ21を巻き付けた状態を示している。図4は、図3のIV-IV線断面図である。なお、説明の便宜のため、図3及び図4ではインナーライナー15等を含むその他の部材は図示していない。
【0020】
成形ドラム9に巻き付けた第1のカーカスプライ21のタイヤ周方向D3の端部同士が重ね合わされることで、接合部14aが形成される。図4に示すように、第1のカーカスプライ21は、タイヤ周方向D3に対して略直交する方向に平行に配列された複数のカーカスコード211と、カーカスコード211を被覆するトッピングゴム212とを備えている。接合部14aでは、カーカスコード211が重なっている。
【0021】
第1のカーカスプライ21を成形ドラム9に巻き付けた後、接合部14aを覆うようにゴムテープ24を貼り付ける。ゴムテープ24は、接合部14aの外側に貼り付けられて一定の厚みでタイヤ周方向D3に沿って延びる中央部241を有する。中央部241は長方形状の断面を有する。中央部241は、接合部14aを完全に覆っている。接合部14aを覆うようにゴムテープ24を貼り付けることで、接合部14aで生じる凹部をゴムテープ24により埋めることができるため、接合部14aに起因するタイヤ表面での凹部の発生を抑制できる。
【0022】
また、ゴムテープ24は、中央部241のタイヤ周方向D3の両端241a,241aから厚みを減らしながらタイヤ周方向D3に沿ってそれぞれ延びる先細り部242を有する。先細り部242は、中央部241のタイヤ周方向D3の両端241a,241aから一定の割合で厚みを減らしながらタイヤ周方向D3に沿って延びている。先細り部242のタイヤ径方向D2の外側面242bは平坦面である。また、先細り部242のタイヤ径方向D2の内側面242cは平坦面であり、中央部241のタイヤ径方向D2の内側面に連続して延びている。先細り部242は、三角形状の断面を有している。ゴムテープ24が先細り部242を有することで、ゴムテープ24のタイヤ周方向D3の端部でタイヤ表面に凸部を発生するのを抑制できる。
【0023】
なお、図4はゴムテープ24を貼り付けた直後の状態を示しており、外側面242b及び内側面242cが平坦面となっているが、第1のカーカスプライ21をトロイダル状に変形させた後、及び加硫成型後には、外側面242b及び内側面242cが湾曲することもある。ただし、前記の何れの場合においても、ゴムテープ24は、接合部14aの外側に貼り付けられて一定の厚みでタイヤ周方向D3に沿って延びる中央部241と、中央部241のタイヤ周方向D3の両端241a,241aから厚みを減らしながらタイヤ周方向D3に沿ってそれぞれ延び、且つ角度θが45度以下の先端242aを有する先細り部242と、を有するものである。
【0024】
先細り部242の先端242aの角度θは、45度以下となっている。好ましくは、先端242aの角度θは30度以下である。角度θが45度を超えると、先端242aがタイヤ表面に凸部を生じさせるおそれがある。なお、先端242aの角度θは、外側面242bと内側面242cのなす角度である。また、先端242aの角度θは、内側面242cに垂直かつタイヤ周方向D3に沿った断面における角度である。
【0025】
接合部14aのタイヤ周方向D3の幅w14は2.0~6.0mmである。なお、接合部14aの幅w14が6.0mm以上の場合、タイヤ表面での凹部が目立ちやすくなる。
【0026】
ゴムテープ24のタイヤ周方向D3の幅w24は5~30mmである。中央部241のタイヤ周方向D3の幅w241は、接合部14aの幅w14以上とする。ただし、第1のカーカスプライ21とゴムテープ24を成形ドラム9に貼り付ける際のバラツキ等を考慮すると、中央部241の幅w241は、接合部14aの幅w14より2.0mm以上大きいのが好ましい。
【0027】
ゴムテープ24は、トッピングゴム212と同じゴムで構成される。具体的には、ゴムテープ24は、トランスポリイソプレン5~20%、天然ゴム及び/またはジエン系合成ゴム95~80%のブレンド物をゴム成分にしたゴム組成物、又はトランスポリオクテネマー5~35%、天然ゴム及び/またはジエン系合成ゴム95~65%のブレンド物をゴム成分にしたゴム組成物で構成される。
【0028】
ゴムテープ24の中央部241の厚みt241は、カーカスコード211の直径dよりも大きくなっている。中央部241の厚みt241は、例えば1.0~1.5mmである。カーカスコード211の直径dは、例えば0.6~1.0mmである。また、カーカスコード211とトッピングゴム212を含めた第1のカーカスプライ21の厚みt21は、例えば1.2~1.3mmである。
【0029】
ゴムテープ24は、接合部14aの全体を覆ってもよいが、接合部14aのうちサイドウォール12に位置する部分を少なくとも覆うのが好ましい。これにより、特に目立ちやすいサイドウォール12での凹部の発生を抑制することができる。具体的には、図5に示すように、ゴムテープ24は、接地端13aからタイヤ内面へ垂線を引いた点からタイヤ赤道面S1側へ30mmの点24aと、タイヤ最大幅位置1aからタイヤ径方向D2の内側へ30mmの点24bまでの範囲に少なくとも配置されるのが好ましい。
【0030】
ところで、第2のカーカスプライ22と第3のカーカスプライ23も、第1のカーカスプライ21と同様、タイヤ周方向D3に対して略直交する方向に平行に配列された複数のカーカスコード211と、カーカスコード211を被覆するトッピングゴム212とを備えている。また、カーカス14は、第2のカーカスプライ22のタイヤ周方向D3の端部同士を重ね合わせた接合部14a、及び第3のカーカスプライ23のタイヤ周方向D3の端部同士を重ね合わせた接合部14aを有する。そのため、詳細な説明は省略するが、カーカス14は、第2のカーカスプライ22の接合部14a及び第3のカーカスプライ23の接合部14aをそれぞれ覆うゴムテープ24を有してもよい。なお、第1のカーカスプライ21、第2のカーカスプライ22、及び第3のカーカスプライ23の接合部14aの位置は、タイヤ周方向D3で異ならせるのが好ましい。
【0031】
以上のように、本実施形態に係る空気入りタイヤ1の製造方法は、成形ドラム9にカーカスプライ21,22,23を巻き付けてカーカス14を成形する工程を含む空気入りタイヤ1の製造方法であって、
カーカス14は、カーカスプライ21,22,23のタイヤ周方向D3の端部同士を重ね合わせた接合部14aを有し、
製造方法は、カーカスプライ21,22,23を巻き付けた後、接合部14aの少なくとも一部を覆うゴムテープ24を貼り付ける工程をさらに含み、
ゴムテープ24は、接合部14aの外側に貼り付けられて一定の厚みでタイヤ周方向D3に沿って延びる中央部241と、中央部241のタイヤ周方向D3の両端241a,241aから厚みを減らしながらタイヤ周方向D3に沿ってそれぞれ延び、且つ角度θが45度以下の先端242aを有する先細り部242と、を有するものである。
【0032】
この構成によれば、カーカスプライ21,22,23の接合部14aを覆うようにゴムテープ24を貼り付けることで、接合部14aで生じる凹部をゴムテープ24により埋めることができるため、接合部14aに起因するタイヤ表面での凹部の発生を抑制できる。また、ゴムテープ24が先細り部242を有することで、ゴムテープ24のタイヤ周方向D3の端部(先端242a)でタイヤ表面に凸部が発生するのを抑制できる。
【0033】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1の製造方法においては、カーカスプライ21,22,23は、平行に配列された複数のカーカスコード211と、カーカスコード211を被覆するトッピングゴム212とを有し、中央部241の厚みt241は、カーカスコード211の直径dよりも大きい、という構成である。
【0034】
この構成によれば、接合部14aで生じる凹部をゴムテープ24により適切に埋めることができる。
【0035】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1の製造方法においては、先細り部242は、中央部241のタイヤ周方向D3の両端241a,241aから一定の割合で厚みを減らしながらタイヤ周方向D3に沿って延びる、という構成である。
【0036】
この構成によれば、ゴムテープ24のタイヤ周方向D3の端部でタイヤ表面に凸部が発生するのを適切に抑制できる。また、先細り部242の断面を三角形状とすることで、ゴムテープ24の成形が容易となる。
【0037】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、トレッド13からサイドウォール12を経てビード11に至るカーカス14を備え、
カーカス14は、カーカスプライ21,22,23のタイヤ周方向D3の端部同士を重ね合わせた接合部14aと、接合部14aの少なくとも一部を覆うゴムテープ24とを有し、
ゴムテープ24は、接合部14aの外側に貼り付けられて一定の厚みでタイヤ周方向D3に沿って延びる中央部241と、中央部241のタイヤ周方向D3の両端241a,241aから厚みを減らしながらタイヤ周方向D3に沿ってそれぞれ延び、且つ角度θが45度以下の先端242aを有する先細り部242と、を有するものである。
【0038】
この構成によれば、カーカスプライ21,22,23の接合部14aを覆うようにゴムテープ24を貼り付けることで、接合部14aで生じる凹部をゴムテープ24により埋めることができるため、接合部14aに起因するタイヤ表面での凹部の発生を抑制できる。また、ゴムテープ24が先細り部242を有することで、ゴムテープ24のタイヤ周方向D3の端部(先端242a)でタイヤ表面に凸部が発生するのを抑制できる。
【0039】
なお、上述した各寸法値、位置関係及び大小関係等は、空気入りタイヤ1を正規リムに装着して正規内圧を充填した無負荷の正規状態で測定したものである。例えば、タイヤ最大幅位置1aは、空気入りタイヤ1を正規リムに装着し、正規内圧を充填した無負荷状態のときの、サイドウォール12の外表面から突出する模様や文字等の構造物を除いたタイヤ軸方向D1における寸法が最大となる位置のタイヤ径方向D2における位置である。正規リムは、空気入りタイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格が空気入りタイヤ1ごとに定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRA及びETRTOであれば「Measuring Rim」となる。
【0040】
また、正規内圧は、空気入りタイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格が空気入りタイヤ1ごとに定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、ETRTOであれば「INFLATIONPRESSURE」である。
【0041】
なお、空気入りタイヤ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、空気入りタイヤ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記した複数の実施形態の各構成や各方法等を任意に採用して組み合わせてもよく、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0042】
(1)上記実施形態に係る空気入りタイヤ1の製造方法及び空気入りタイヤ1においては、カーカスプライ21,22,23は、平行に配列された複数のカーカスコード211と、カーカスコード211を被覆するトッピングゴム212とを有し、中央部241の厚みt241は、カーカスコード211の直径dよりも大きい、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1の製造方法及び空気入りタイヤ1は、かかる構成に限られない。例えば中央部241の厚みt241がカーカスコード211の直径d以下であっても、接合部14aに起因するタイヤ表面での凹部を目立ち難くすることができる。
【0043】
(2)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1の製造方法及び空気入りタイヤ1においては、先細り部242は、中央部241のタイヤ周方向D3の両端241a,241aから一定の割合で厚みを減らしながらタイヤ周方向D3に沿って延びる、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1の製造方法及び空気入りタイヤ1は、かかる構成に限られない。先細り部242は、中央部241のタイヤ周方向D3の両端241a,241aから必ずしも一定の割合で厚みを減らしながらタイヤ周方向D3に沿って延びている必要はなく、例えば図6のように外側面242bが内側へ凸となった凹面であり、かつ内側面242cが平坦面であってもよい。この構成によれば、先細り部242の先端242aの角度θを小さくできるため、ゴムテープ24のタイヤ周方向D3の端部(先端242a)でタイヤ表面に凸部が発生するのを効果的に抑制できる。なお、図6に示す先細り部242の先端242aの角度θは、先端242aにおける外側面242bの接線と内側面242cとのなす角度である。
【0044】
(3)さらに、先細り部242は、例えば図7のように外側面242bが外側へ凸となった凸面であり、かつ内側面242cが平坦面であってもよい。この構成によれば、先細り部242と、その外側に配置される第2のカーカスプライ22との間にエア入りが発生するのを抑制できる。なお、図7に示す先細り部242の先端242aの角度θは、先端242aにおける外側面242bの接線と内側面242cとのなす角度である。
【0045】
(4)上記実施形態に係る空気入りタイヤ1の製造方法及び空気入りタイヤ1においては、第1のカーカスプライ21の接合部14aはタイヤ周方向D3に1箇所のみである。しかし、空気入りタイヤ1の製造方法及び空気入りタイヤ1は、かかる構成に限られない。例えば、複数の第1カーカスプライ21のタイヤ周方向D3の端部同士を重ね合わせ、接合部14aをタイヤ周方向D3の複数箇所に設けてもよい。その場合、各接合部14aを覆うようにそれぞれゴムテープ24を貼り付けるようにしてもよい。
【0046】
(5)上記実施形態に係る空気入りタイヤ1の製造方法及び空気入りタイヤ1においては、カーカス14が3つのカーカスプライ21,22,23により構成されている。しかし、空気入りタイヤ1の製造方法及び空気入りタイヤ1は、かかる構成に限られない。例えば、カーカス14は、第2のカーカスプライ22を設けず、第1のカーカスプライ21及び第3のカーカスプライ23のみで構成されてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…空気入りタイヤ、1a…タイヤ最大幅位置、9…成形ドラム、11…ビード、12…サイドウォール、13…トレッド、13a…接地端、14…カーカス、14a…接合部、15…インナーライナー、21…第1のカーカスプライ、22…第2のカーカスプライ、23…第3のカーカスプライ、24…ゴムテープ、211…カーカスコード、d…カーカスコードの直径、212…トッピングゴム、241…中央部、t241…中央部の厚み、242…先細り部、242a…先端、D1…タイヤ軸方向、D2…タイヤ径方向、D3…タイヤ周方向、θ…先端の角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7