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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022010064
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】再装荷可能な回動式クリップ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/122 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
A61B17/122
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180767
(22)【出願日】2021-11-05
(62)【分割の表示】P 2020508348の分割
【原出願日】2018-08-29
(31)【優先権主張番号】62/564,805
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】エステベス、ラモン
(72)【発明者】
【氏名】スオン、ナローン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC02
4C160CC03
4C160CC12
(57)【要約】
【課題】再装荷可能な回動式クリップを形成する。
【解決手段】組織を治療するためのシステムは、1対のクリップアームを有するクリップアセンブリを備えている。クリップアームの基端部は、開放形態と閉止形態との間で移行されるように、カプセルのチャネル内部に摺動可能に受承された中央部材の先端側部分に係合する。中央部材は、所定の閾値を超過する力を受けたときに解除となる解除可能な接続部によって互いに接続された、先端側部分及び基端側部分を備えている。システムはさらに、クリップアセンブリに解除可能に結合されたアプリケータを備えている。アプリケータは、制御部材が中を通って伸びる外側スリーブを備えている。制御部材の先端部は、カプセルに対して中央部材を移動させるために基端側部分のキャビティに係合する。外側スリーブのルーメンは、その中にカプセルを摺動可能に受承するような大きさ及び形状に作られる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を治療するためのシステムにおいて、
1対のクリップアームを備えるクリップアセンブリであって、前記クリップアームの基端部は、開放形態と閉止形態との間で移行されるように、カプセルのチャネル内部に摺動可能に受承された中央部材の先端側部分に係合しており、前記クリップアームは、クリップアームの先端部が互いに離れている開放形態であるように付勢されており、前記中央部材は、所定の閾値を超過する力を受けたときに解除となる解除可能な接続部によって互いに接続された、先端側部分及び基端側部分を備えている、前記クリップアセンブリと、
前記クリップアセンブリを開放形態と閉止形態との間で移行させるために、前記クリップアセンブリに解除可能に結合されるように構成されたアプリケータであって、前記アプリケータはハンドル部分を備え、前記ハンドル部分は、前記クリップアセンブリを前記カプセルの長手方向軸の周りに回動させるために前記ハンドル部分に回動可能に結合されたアクチュエータを備え、前記アプリケータは、制御部材が中を通って伸びる外側スリーブを備えており、前記制御部材の先端部は、前記カプセルに相対して前記中央部材を移動させるために前記中央部材の前記基端側部分のキャビティに係合するように構成されており、前記外側スリーブのルーメンは、その中に前記カプセルを摺動可能に受承するような大きさ及び形状に作られている、前記アプリケータと、を備えるシステム。
【請求項2】
前記アプリケータは、前記カプセルが前記外側スリーブの基端部を過ぎて基端側へと移動されるのを防止するために、前記外側スリーブの基端部において前記外側スリーブの前記ルーメン内部に収容された内側スリーブをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記カプセルはその外面から横方向に外側へ向かって伸びるピンを備え、かつ前記外側スリーブは、その長さの一部分に沿って前記外側スリーブの先端部から基端側へと伸びる長手方向スロットであって、前記外側スリーブに対するカプセルの回動を防止するためにその中に前記ピンを受承するような大きさ及び形状に作られた長手方向スロットを備えている、請求項1又は2のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御部材の前記先端部は、前記中央部材の前記基端側部分のキャビティの大きさと形状に対応する大きさと形状をなす拡張端部を備えている、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御部材の前記拡張端部は、前記拡張端部が前記キャビティの中へと長手方向に摺動可能に挿入できるように、その基端部から先端部へとテーパ状をなして円錐形状である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記キャビティは、前記キャビティの基端側開口部が前記拡張端部の基端部の直径よりも小さい第1の形態であるように付勢された1対の偏向可能なアームであって、前記偏向可能なアームが互いに離れるように移動されて前記拡張端部が基端側開口部を通過して前記キャビティ内へと先端側へ移動されることが可能となる第2の形態となるように偏向することができる偏向可能なアームによって、画成されている、請求項4又は5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記基端側部分は、前記拡張端部が前記キャビティ内部に受承されたときに前記制御部材の長尺状部分を収容するために、前記キャビティから基端側へ伸びる長手方向スロットを備え、前記長手方向スロット及び前記キャビティは側方開口部を介して前記中央部材の外部に開口し、前記キャビティは前記側方開口部を通して前記制御部材の先端部を受承する、請求項4~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記基端側部分の前記キャビティは、前記先端部がそこを通って前記キャビティと係合することができる側方開口部を備えている、請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御部材は、前記基端側部分に係合するように構成された鉤形状の先端部を備えている、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記ハンドル部分は、可撓性部材を介して前記外側スリーブに接続されたハンドルシャフトと、前記ハンドルシャフトの上に摺動可能に取り付けられ、かつ、前記制御部材の基端部に接続されたスプールとを備えている、請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記アクチュエータは、その回動が可撓性部材を回動させるように前記可撓性部材に結合されている、請求項9又は10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記アクチュエータは、その回動が制御部材を回動させるように制御部材に結合されている、請求項9又は10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記ハンドル部分は、止め具要素であって、前記ハンドルシャフトに沿って配置され、かつ前記スプールが止め具要素を通過して先端側へ移動されるのを防止するための、第1の外向きの形態に付勢されており、前記スプールが前記止め具要素を通過して先端側へ移動されることを可能にする第2の内向きの形態へと移行可能である、前記止め具要素を備えている、請求項9~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記カプセルの基端部は、前記カプセルに伸びる長手方向スロットであって、制御部材の先端部が前記長手方向スロットを介して前記中央部材に前記中央部材の側面から係合することができる、長手方向スロットを備えている、請求項1~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
再装荷可能なクリッピングデバイスにおいて、
1対のクリップアームを備えるクリップアセンブリであって、前記クリップアームの基端部は、開放形態と閉止形態との間で移行されるように、カプセルのチャネル内に摺動可能に受承された中央部材の先端側部分に係合しており、クリップアームは、クリップアームの先端部が互いに離れている開放形態であるように付勢されており、中央部材は、所定の閾値を超過する力を受けたときに解除となる解除可能な接続部によって互いに接続された、先端側部分及び基端側部分を備えており、カプセルは、その外面から横方向に伸びるピンを備えている、クリップアセンブリと、
前記クリップアセンブリを開放形態と閉止形態との間で移行させるために、クリップアセンブリに解除可能に結合されるように構成されたアプリケータであって、前記アプリケータはハンドル部分を備え、前記ハンドル部分は、前記クリップアセンブリを前記カプセルの長手方向軸の周りに回動させるために前記ハンドル部分に回動可能に結合されたアクチュエータを備え、前記アプリケータは、制御部材が中を通って伸びる外側スリーブを備えており、制御部材の先端部は、カプセルに対して中央部材を移動させるために中央部材の基端側部分のキャビティに係合するように構成されており、外側スリーブは、基端部へと前記外側スリーブの先端部から伸びる、長手方向スロットを備えており、長手方向スロットは、カプセルと前記外側スリーブとの間の相対的回動を防止するために、前記スロット内にカプセルのピンを摺動可能に受承するような大きさ及び形状に作られている、アプリケータとを備える、デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は再装荷可能な回動式クリップに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
胃腸(GI)系、胆道系、血管系、並びにその他の体腔及び中空器官の病的状態は内視鏡的処置を通じて治療されることが多く、内視鏡的処置の多くは内出血を制御するために止血を必要とする。止血クリップは、創傷部周囲の組織を把持し、かつ創傷部の縁部を合わせて一時的に保持して、創傷部を恒久的に閉止するための自然治癒プロセスが可能となるようにする。専用の内視鏡的クリッピングデバイスは、身体内部の所望の位置にクリップを送達するために使用され、その後クリップ送達デバイスは抜去されて、身体内部にクリップが残される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
本開示は、組織を治療するためのシステムに関し、該システムは、1対のクリップアームを備えるクリップアセンブリであって、前記クリップアームの基端部は、開放形態と閉止形態との間で移行されるように、カプセルのチャネル内部に摺動可能に受承された中央部材の先端側部分に係合しており、クリップアームは、クリップアームの先端部が互いに離れている開放形態であるように付勢されており、中央部材は、所定の閾値を超過する力を受けたときに解除となる解除可能な接続部によって互いに接続された、先端側部分及び基端側部分を備えている、クリップアセンブリと、前記クリップアセンブリを開放形態と閉止形態との間で移行させるためにクリップアセンブリに解除可能に結合されるように構成されたアプリケータであって、前記アプリケータは、制御部材が中を通って伸びる外側スリーブを備えており、制御部材の先端部は、カプセルに対して中央部材を移動させるために中央部材の基端側部分のキャビティに係合するように構成されており、外側スリーブのルーメンは、その中にカプセルを摺動可能に受承するような大きさ及び形状に作られている、アプリケータと、を備える。
【0004】
実施形態では、アプリケータは、カプセルが外側スリーブの基端部を過ぎて基端側へと移動されるのを防止するために、外側スリーブの基端部において外側スリーブのルーメン内部に収容された内側スリーブをさらに具備することができる。
【0005】
実施形態では、カプセルはその外面から横方向に外側へ向かって伸びるピンを備えることが可能であり、かつ外側スリーブは、その長さの一部分に沿って外側スリーブの先端部から基端側へと伸びる長手方向スロットであって、外側スリーブに対するカプセルの回動を防止するためにその中にピンを受承するような大きさ及び形状に作られた長手方向スロットを、備えることができる。
【0006】
実施形態では、制御部材の先端部は、中央部材の基端側部分の対応する大きさ及び形状に作られたキャビティの内部に受承されるように構成された拡張端部を備えることができる。
【0007】
実施形態では、制御部材の拡張端部は、拡張端部がキャビティの中へと長手方向に摺動可能に挿入できるように、その基端部から先端部へとテーパ状をなしてほぼ円錐形状に作られることが可能である。
【0008】
実施形態では、キャビティは、キャビティの基端側開口部が拡張端部の基端部の直径よりも小さい第1の形態であるように付勢された1対の偏向可能なアームであって、前記偏向可能なアームが互いに離れるように移動されて拡張端部が基端側開口部を通過してキャビティ内へと先端側へ移動されることが可能となる第2の形態となるように偏向することができる偏向可能なアームによって、画成されてもよい。
【0009】
実施形態では、基端側部分は、拡張端部がキャビティ内部に受承されたときに制御部材の長尺状部分を収容するために、キャビティから基端側へ伸びる長手方向スロットを備えることが可能であり、長手方向スロット及びキャビティは側方開口部を介してコア部材の外部に開口し、キャビティは前記側方開口部を通して制御部材の先端部を受承する。
【0010】
実施形態では、基端側部分のキャビティは、先端部がそこを通ってキャビティと係合することができる側方開口部を備えることが可能である。
実施形態では、制御部材は、基端側部分に係合するように構成された鉤形状の先端部を備えることができる。
【0011】
実施形態では、アプリケータは、可撓性部材を介して外側シースに接続されたハンドルシャフトと、前記ハンドルシャフトの上に摺動可能に取り付けられた、制御部材の基端部に接続されたスプールとを備えている、ハンドル部分を備えることができる。
【0012】
実施形態では、ハンドル部分は、アクチュエータであってその回動が可撓性部材を回動させるように可撓性部材に結合されたアクチュエータを、さらに備えることができる。
実施形態では、ハンドル部分は、アクチュエータであってその回動が制御部材を回動させるように制御部材に結合されたアクチュエータを、さらに備えることができる。
【0013】
実施形態では、ハンドル部分は、止め具要素であって、ハンドルシャフトに沿って配置され、かつスプールが前記止め具要素を通過して先端側へ移動されるのを防止するための、第1の外向きの形態に付勢されており、スプールが前記止め具要素を通過して先端側へ移動されることを可能にする第2の内向きの形態へと移行可能である、止め具要素を備えることができる。
【0014】
実施形態では、カプセルの基端部は、前記カプセルに伸びる長手方向スロットであって、制御部材の先端部が前記スロットを介して中央部材に前記中央部材の側面から係合することができる、スロットを備えている。
【0015】
本開示はさらに、再装荷可能なクリッピングデバイスに関し、前記デバイスは、1対のクリップアームを備えるクリップアセンブリであって、前記クリップアームの基端部は、開放形態と閉止形態との間で移行されるように、カプセルのチャネル内に摺動可能に受承された中央部材の先端側部分に係合しており、クリップアームは、クリップアームの先端部が互いに離れている開放形態であるように付勢されており、中央部材は、所定の閾値を超過する力を受けたときに解除となる解除可能な接続部によって互いに接続された、先端側部分及び基端側部分を備えており、カプセルは、その外面から横方向に伸びるピンを備えている、クリップアセンブリと、前記クリップアセンブリを開放形態と閉止形態との間で移行させるために、クリップアセンブリに解除可能に結合されるように構成されたアプリケータであって、前記アプリケータは、制御部材が中を通って伸びる外側スリーブを備えており、制御部材の先端部は、カプセルに対して中央部材を移動させるために中央部材の基端側部分のキャビティに係合するように構成されており、外側スリーブは、基端部へと外側シースの先端部から伸びる、長手方向スロットを備えており、長手方向スロットは、カプセルと外側シースとの間の相対的回動を防止するために、前記スロット内にカプセルのピンを摺動可能に受承するような大きさ及び形状に作られている、アプリケータとを具備している。
【0016】
本開示はさらに、組織を治療するための方法であって、アプリケータの制御部材の先端部を、クリップアセンブリの中央部材の基端側部分の中へ係合させることにより、アプリケータの先端側部分にクリップアセンブリを装荷するステップであって、クリップアセンブリの先端側部分はクリップアームの基端側部分に結合され、かつ、中央部材がその中に摺動可能に収容されているクリップアセンブリのカプセルを、制御部材が中を通って伸びるアプリケータの外側シースのチャネルの中に受承している、ステップと、クリップアセンブリを、生体内の標的部位へ、クリップアームの先端部が互いに向けて拘束されるようにクリップアームがカプセル内に引き込まれている閉止形態で、挿入するステップと、クリップアームの先端部が互いに離れるように、制御ワイヤを、かつそれによりクリップアームをカプセルから外へ先端側へと移動させることにより、クリップアセンブリを開放形態へと移行させるステップと、標的部位において、標的組織に対して所望の形態へとクリップアセンブリを回動させるステップと、標的組織の上でクリップアセンブリを閉止形態へと移行させることにより、標的組織をクリッピングするステップと、クリップアセンブリを閉止形態に固定するステップと、を含んでなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の典型的な実施形態によるシステムの斜視図。
図2図1のシステムのアプリケータのハンドル部分を示す側面図。
図3図1のシステムのアプリケータの外側シースを示す斜視図。
図4図1のシステムのアプリケータの内側シースを示す斜視図。
図5】アプリケータ上に装荷されたクリップアセンブリを備えている、図1のシステムの先端側部分を示す側面図。
図6図1のクリップアセンブリの中央部材を示す斜視図。
図7図1のシステムの別例の実施形態によるクリップアセンブリの中央部材を示す斜視図。
図8図1のクリップアセンブリのカプセルを示す斜視図。
図9】本開示の別の典型的な実施形態によるシステムの斜視図。
図10図9のシステムによるアプリケータの制御部材の先端側部分を示す図。
図11図1のシステムのアプリケータのハンドル部分を示す図。
図12図9のシステムによるクリップアセンブリの中央部材を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
本開示は、以降の説明及び添付の図面を参照すればさらに理解されうるものであり、図面において同様の要素は同じ参照数字で引用されている。本開示はクリッピングシステムに関し、特に、再装荷可能な内視鏡的クリッピングシステムに関する。本開示の典型的な実施形態は、内視鏡的処置に先立ってアプリケータアセンブリの先端部に装荷可能なクリップアセンブリについて説明する。ひとたびクリップが体内の所望の標的領域に配備されてしまえば、アプリケータアセンブリに新たなクリップを再装荷することができる。特に、アプリケータアセンブリは、クリップアセンブリの回動を可能にする方式でクリップアセンブリに接続するように構成される。換言すれば、クリップアセンブリは、そのクリップアームをクリッピングすべき標的組織に対して所望の形態で配置するために、その長手方向軸の周りで回動することが許容されている。用語「基端側」及び「先端側」は、本明細書中で使用されるように、デバイスのユーザに向かう(基端側)方向及び離れる(先端側)方向を指すように意図されていることに、留意すべきである。
【0019】
図1~8に示されるように、本開示の典型的な実施形態によるシステム100は、標的組織のクリッピングのための生体内へのシステム100の挿入に先立ってアプリケータ104の先端側部分に装荷可能な、クリップアセンブリ102を具備している。アプリケータ104は、生体内にクリップアセンブリ102が配備された後、新たなクリップアセンブリ102がアプリケータ104に装荷可能であってその結果同じアプリケータ104が生体内の標的組織の別の部分に新たなクリップアセンブリ102を送達するために使用可能であるように、構成される。クリップアセンブリ102は、組織を受承する開放形態と組織を把持する閉止形態との間で移行されるようにカプセル108の内部を摺動可能に移動することのできる、1対のクリップアーム106を備えている。この実施形態のアプリケータ104は、クリップアセンブリ102のカプセル108をその中に摺動可能に受承するために、可撓性部材112の先端部114に外側シース110を備えている。特に、外側シース110は、その長さに沿って基端部120へと外側シース110の先端部118から伸びる、長手方向スロット116を備え、長手方向スロット116は、カプセル108が、かつそれによりクリップアセンブリ102が、外側シース110に対して前記シースの長手方向軸の周りで回動するのを防止するために、カプセル108の外面124から横方向に伸びるピン122を受承するような大きさである。クリップアセンブリ102が外側シース110に対して回動することを妨げられるので、アプリケータ104のアクチュエータ126による可撓性部材112の回動は、長手方向軸の周りで外側シース110及びクリップアセンブリ102を回動させて、クリップアーム106を標的組織に対して所望の形態で配置する。クリップアセンブリ102及びアプリケータ104の、それらの間の解除可能な接続を容易にする機構については、以下に一層詳細に説明する。
【0020】
アプリケータ104は、外側シース110、及び該シースを通って伸びる制御部材128を備えている。外側シース110は可撓性部材112の先端部114に接続され、該可撓性部材はその基端部113において外側シース110をハンドル部分130に接続する。可撓性部材は、例えば、制御部材128が中を通って伸びるワイヤのコイルとして、形成されてもよい。当業者には理解されるであろうが、ワイヤのコイルは、生体の曲がりくねった通路をも通り抜けるのに十分な可撓性を有することが好ましく、かつこの実施形態では、該ワイヤに可撓性内視鏡又はその他の挿入デバイスの作業用チャネルを通過させることを可能にするような大きさ及び形状に作られる。可撓性部材はワイヤのコイルとして図示及び説明されているが、可撓性部材がクリップアセンブリ102から制御部材128にかかる張力に対抗するのに十分な圧縮力を提供することができる限り、任意の他の適切な可撓性構造物も使用可能である。
【0021】
図1~2に示されるように、可撓性部材112の基端部113のハンドル部分130は、ハンドルシャフト132、及び該ハンドルシャフトの上に摺動可能に取り付けられたスプール134を備えている。ハンドルシャフト132は、ハンドルシャフト132の近位で(proximally)可撓性部材112に接続されているアクチュエータ126の回動が、可撓性部材112を長手方向軸の周りでハンドルシャフト132に対して回動させるように、可撓性部材112の基端部113に回動自在に接続される。スプール134は、スプール134をハンドルシャフト132に対して先端側及び基端側へ動かすことにより制御部材128を、かつそれにより該制御部材が接続されているクリップアーム106を、開放形態と閉止形態との間でそれぞれ移行させるように、制御部材128の基端部146に接続される。ハンドルシャフト132は、その基端部に親指リング136と、止め具要素138であって、付勢された固定形態ではスプール134が該要素を通過して先端側へ移動されることを防止するために横方向に外へと伸びている止め具要素とを、備えることができる。しかしながら、止め具要素138を越えてスプール134を移動させることが望ましい場合、システム100のユーザは、スプール134が該要素を越えて先端側へ移動されうるように、止め具要素138を押して非固定形態とすることができる。以下に一層詳細に説明されるように、スプール134は、生体内にクリップアセンブリ102を配備することが望まれるときに、止め具要素138を越えて先端側へと移動させることができる。
【0022】
外側シース110は、図3に示されるように、可撓性部材112の先端部114に固着された基端部140から、先端部118へと伸び、かつ該シースを通って長手方向に伸びるチャネル142を備えている。チャネル142は、その中にクリップアセンブリ102のカプセル108を摺動可能に受承するような大きさ及び形状に作られている。長手方向スロット116は、外側シース110の長さに沿って、外側シース110の先端部118から基端側へ、基端部120まで伸び、かつ、カプセル108が外側シース110に対して長手方向に(すなわち外側シース110の長手方向軸に沿って)摺動可能であるが、外側シース110に対して(すなわち外側シース110の長手方向軸の周りで)回動するのを防止されるように、カプセル108の横方向に伸びるピン122を該スロット内に受承するような大きさ及び形状に作られている。
【0023】
アプリケータ104は、図4に示されるような、外側シース110の基端部140において外側シース110の内側で可撓性部材112の先端部114へと固着されている内側シース144をさらに備えることができる。内側シース144は、以下に一層詳細に説明されるように、カプセル108が外側シース110の内部でさらに基端側へと移動されるのを防止することにより、クリップアセンブリ102のカプセル108がクリップアセンブリ102の止め具として働くことがないように予防するために、外側シース110の内部に配置される。内側シース144は、可撓性部材112の先端部114に接続された基端部148から、先端部150へと伸び、該先端部150は、カプセル108が外側シース110の内部に十分に受承されうるように、外側シース110の先端部118の基端側にある。内側シース144は、制御部材128が可撓性部材112、外側シース110及び内側シース144を通って、スプール134に接続された基端部146から、クリップアーム106に結合されるような大きさ及び形状に作られた拡張先端部154へと伸びるように、該内側シースを通って伸びるチャネル152を備えている。以下に一層詳細に説明されるように、制御部材128は、クリップアーム106を開放形態と閉止形態との間で移行させるために、外側シース110に対して、かつそれにより該シース内部に受承されたカプセル108に対して、長手方向に移動可能である。典型的な実施形態は、内側シース144を備えたものとしてアプリケータ104を説明及び図示しているが、当業者には理解されるであろうように、内側シース144は、アプリケータ104がそれ無しで機能することができるので、アプリケータ104の必須要素ではない。しかしながら、内側シース144は、カプセル108が外側シース110に対して基端側へ移動されるときのピン122に対するストレスを低減する。
【0024】
図5に示されるように、クリップアセンブリ102はクリップアーム106を備え、該クリップアームの基端部は、この実施形態では、カプセル108の内部に摺動可能に受承される中央部材156を介して互いに接続されている。本実施形態における上記クリップアーム106は、その先端部158が、カプセル108の中に引き込まれていないときには互いに離れるように動いて組織を受承する開放形態となるように、付勢されている。カプセル108の中に引き込まれた時、カプセル108はクリップアーム106を拘束し、該アームの先端部158を互いに向かうように、組織を把持する閉止形態に保持する。中央部材156は、クリップアーム106を開放形態と閉止形態との間で移行させるために、カプセル108の内部で長手方向に摺動可能である。
【0025】
中央部材156は、図6に示されるように、所定の閾値を超過する力を受けたときに解除するように構成されている解除可能な接続部164を介して互いに接続された、基端側部分160及び先端側部分162を備えている。1つの実施形態では、解除可能な接続部164は、十分な力がそこに働いたときに壊れるか又はその他の方法で結合を解く、壊れ易い連結部、例えば溶着部、直径縮小部分、又は接着剤などであってよい。先端側部分162は、該先端側部分から伸びて、クリップアーム106の基端側部分を通って伸びる1対の相応の大きさ及び形状に作られた開口部の内部に受承される、1対の突部166を介して、クリップアーム106の基端側部分に係合する。突部166は、相互に適切な配置にアーム対106を保持するように構成される。
【0026】
基端側部分160は制御部材128の拡張先端部154に係合するように構成される。基端側部分160は、制御部材128の拡張先端部154を受承するような大きさ及び形状に作られ、かつ基端側開口部170を介してその外部に開口している、キャビティ168を備えている。基端側開口部170は、拡張先端部154から基端側へと伸びる制御部材128の一部を受承するような大きさ及び形状に作られる。基端側開口部170の断面積は、ひとたび拡張先端部154がキャビティ168の内部に受承されてしまえば拡張先端部154は制御部材128にかかる基端側の力によってキャビティから外れるのを防止されるように、キャビティ168の断面積よりも小さい。
【0027】
基端側部分160は、中央部材156が受承されているカプセル108に対する該中央部材の、及びそれによりクリップアーム106の、移動を制御するための制御部材128の移動を可能にする方法で、制御部材128が中央部材156に結合される限りは、様々な方法のうち任意の方法で制御部材128の先端側部分154に係合するように構成可能である。1つの実施形態では、キャビティ168及び基端側開口部170は、対向したアーム172であって、拡張先端部154が基端側開口部170を通過してキャビティ168の中へと先端側へ移動されるのを可能にするために、拡張先端部154が該アーム172に寄せて先端側へと押されるにつれて広がることのできるアームによって、画成されてもよい。この実施形態の対向したアーム172は、ひとたび拡張先端部154がキャビティ168の内部に受承されてしまえば対向したアーム172がその当初の形態に戻って拡張先端部154をキャビティ168の内部に固定するように、付勢されている。先端部に向かってテーパ状をなす、円錐形状に作られた拡張先端部154は、上述のキャビティ168及び基端側開口部170に特に適しているかもしれない。しかしながら、当業者には理解されるであろうが、拡張先端部154は、拡張先端部154がキャビティ168の内部に受承されて保持されるような大きさ及び形状に作られることが可能である限り、数多くの形状のうち任意の形状を有することができる。別の実施例において、拡張先端部154は球体形状であってもよい。
【0028】
さらなる実施形態によれば、基端側部分160はさらに、キャビティ168及び基端側開口部170を中央部材156の外部へと通じせしめる、側方開口部186を備えることができる。この実施形態では、ユーザは、拡張先端部154がキャビティ168の内部に受承され、かつ制御部材128の基端側へ伸びる部分が基端側開口部170の内部に受承されるように、側方開口部186を介して中央部材156の側面から制御部材128を基端側部分に結合することを選ぶことができる。拡張先端部154がキャビティ168の中へ挿入され次第、カプセル108が該キャビティの上へと基端側に移動されて、側方開口部186を覆い、かつ拡張先端部154が該開口部から外れるのを防止することができる。
【0029】
別の実施形態では、図7に示されるように、中央部材156’は上述の中央部材156とほぼ同様であってよい。しかしながら、中央部材156’の基端側部分160’は、側方開口部186’を介したキャビティ168’の中への制御部材128’の拡張先端部154’の挿入しか許容せず、その結果拡張先端部154’は中央部材156’の側面から挿入されなければならないようになっている。基端側部分160’と同様に、拡張先端部154’から基端側へ伸びる制御部材128’の一部分は基端側開口部170’の内部に受承されるが、該開口部は、制御部材128’が同部材にかかる基端側への力によって該開口部から外れるのを防止するために、キャビティ168’よりも小さな断面積を有する。球体形状の拡張先端部154’がこの実施形態に特に適しているかもしれないが、様々な形状及び構成のうち任意のものを有することが可能である。
【0030】
図8に示されるように、カプセル108は基端部174から先端部176へと伸び、該カプセルを通って長手方向に伸びるチャネル178を備えている。チャネル178は、その中に中央部材156、及びクリップアーム106の少なくとも基端側部分を、摺動可能に受承するような大きさ及び形状に作られている。先端部176は、アーム対106をその中に受承するような大きさ及び形状に作られた1対の切り欠き部180を備えることができる。カプセル108はさらに、アーム106の対応する固定タブに係合するための、該カプセルを通って側方に伸びる1対の固定窓182を備えることもできる。以下にさらに詳細に説明されるように、固定タブが固定窓182の内部に受承されたとき、クリップアーム106は閉止形態でカプセル108の内部に固定される。固定窓182は、クリップアセンブリ102を閉止形態で固定することが必要となるまではアーム106を開放形態と閉止形態との間で繰り返し移動させることができるように、基端部174に近接して配置することが可能である。
【0031】
カプセル108はさらに、クリップアセンブリ102をアプリケータ104に装荷する際にアプリケータ104の外側シース110の長手方向スロット116の内部に摺動可能に受承されることになる、カプセル108の外面124から横方向に伸びるピン122も備えている。ピン122は、外側シース110に対するその長手方向軸の周りでのクリップアセンブリ102の回動を防止し、その結果クリップアセンブリ102は可撓性部材112の回動によって回動可能であるようになっている。
【0032】
この実施形態によるクリップアーム106は開放形態となるように付勢されており、かつ、クリップアセンブリ102がアプリケータ104に結合されたときに、制御ワイヤ128の取り外し及びそこにかかる軽微な先端側の力のうち少なくともいずれか一方によりクリップアーム106がカプセル108に対して先端側へ移動されるように、形作られることが可能である。特に、クリップアーム106は、該アームに沿って伸びる湾曲を備えることができる。この湾曲は、アーム106の弾性の性質と併せて、そこに力が働かなければ開放形態となるようにクリップアーム106をカプセル108に対して先端側へと移動させる。換言すれば、ひとたびクリップアーム106が制御ワイヤ128にかかる基端側の力により閉止形態となるように拘束されてしまえば、クリップアーム106は十分に高い軸方向荷重があれば閉止形態にとどまることしかできない、すなわち、ユーザはハンドル部分130の使用によりクリップアーム106を閉止形態に保持する。よって、この実施形態によれば、ユーザがハンドル部分130のスプール134を解放するとき、クリップアーム106は、開放形態に向けてカプセル108に対して摺動することによりその付勢された形態へと戻るように構成されている。
【0033】
上述のように、アーム106の基端部はさらに、該アームから横方向に外側へと伸びる固定タブを備えることができる。アーム106の各々の固定タブは、カプセル108の内部に向かって互いに離れるように伸びる。アーム106の基端部はさらに、中央部材156がカプセル108に対して長手方向に移動されるにつれて固定タブがカプセル108の内部に沿って摺動するように、互いに離れるように付勢されている。しかしながら、ひとたびクリップアセンブリを閉止形態に固定することが必要となれば、ユーザは、固定タブが固定窓182の内部に受承され、かつアーム106の基端部がその付勢された構成に戻ることが可能となってその結果固定タブが固定窓182に係合するまで、中央部材156を基端側へと引けばよい。
【0034】
アプリケータ104に装荷される前、クリップアセンブリ102は、例えばアプリケータ104へのクリップアセンブリ102の装荷を容易にするように構成されたカートリッジ内に、保管可能である。カートリッジは、クリップアセンブリ102を収容するための大きさ及び形状に作られた空間をその中に画成している。クリップアセンブリ102は、制御部材128の拡張先端部154を中央部材156の基端側部分160と係合させることができるように中央部材156の基端側部分160がカプセル108の基端部174の基端側へと伸びている状態の、組み立て済みの構成で、カートリッジ内に収容されてもよい。別例として、制御部材128を中央部材156の側面から、例えば側方開口部186を介して、中央部材に結合することが望まれる場合、カプセル108は、基端側部分160がカプセル108の基端部174の基端側まで伸びる必要がないように、基端部174に、拡張端部154がそこを介して基端側部分160に係合することのできる長手方向スロット184を備えることができる。
【0035】
アプリケータ104にクリップアセンブリ102を装荷するための典型的な方法は、外側シース110及び制御部材128の先端部154を、拡張先端部154が外側シース110の先端部118より先端側に配置されるように制御部材128を先端側へと伸ばした状態で、カートリッジに挿入するステップを含んでなる。1つの実施形態では、拡張先端部154は、先端側へと中央部材156の基端側部分160に押しつけられ、その結果対向するアーム172を離れるように広がらせて、拡張先端部154が基端側開口部170を通過してキャビティ168の中へと先端側に移動されることを可能にすることができる。ひとたび拡張先端部154がキャビティ168の内部に受承されてしまえば、対向するアーム172はその付勢された形態に戻って、拡張先端部154をキャビティ168の内側に保持する。別の実施形態では、拡張先端部154は、側方開口部186を介して中央部材156の側面からキャビティ168に挿入されてもよい。当業者には理解されるであろうが、クリップアセンブリ102は、アプリケータ104をクリップアセンブリ102と係合する所望の方式に応じて、開放形態又は閉止形態のいずれかの状態でカートリッジに収容可能である。
【0036】
ひとたび制御部材128が中央部材156と係合されてしまえば、外側シース110は、外側シース110がカプセル108の上を先端側へと摺動せしめられるように、制御ワイヤ128及び該ワイヤが接続されているクリップアセンブリ102に対して先端側へ移動される。外側シース110は、ピン122が外側シース110の長手方向スロット116の内部に摺動可能に受承されるように、カプセル108の上を先端側へ移動させることができる。ひとたびカプセル108の基端部174が内側シース144の先端部150に当接するか、ピン122が長手方向スロット116の基端部120に当接するかのうち少なくともいずれかとなれば、外側シース110をカプセル108に対してさらに先端側へ移動させることはできず、その結果、必要な場合には、クリップアセンブリ102を閉止形態となるように移動させるために制御部材128を外側シース110に対して基端側へと引くことができる。閉止形態では、アプリケータ104に装荷されているクリップアセンブリ102を、アプリケータ104から引き出すことが可能である。
【0037】
使用時、クリップアセンブリ102がアプリケータ104に装荷済みとなった後、クリップアセンブリ102は、内視鏡(又は任意の他の挿入デバイス)の作業用チャネルを通して挿入され、かつクリッピングすべき組織の標的部分に隣接する部位まで体内に(例えば自然の体腔を通じて)挿入される。クリップアセンブリ102は閉止形態で体内に挿入され、そして標的組織に隣接して配置される。クリップアセンブリ102は、必要であれば、標的組織の最適なクリッピングのために、アクチュエータ126によって可撓性部材112を回動させることにより、回動させることができる。上述のように、カプセル108は外側シース110に対して回動するのを防止されているので、可撓性部材112の回動はそれに応じてクリップアセンブリ102の回動をもたらす。制御部材128は、クリップアセンブリ102を開放形態となるように移動させるために、スプール134を介して外側シース110に対して先端側へと移動可能である。上述のように、クリップアーム106は、スプール134の解放及びスプール134にかかる軽微な先端側の力のうち少なくともいずれか一方がクリップアーム106を開放形態へとカプセル108の外へ先端側に引き出すような方法で、形作られる(例えば、湾曲せしめられる)ことが可能である。この先端側の力はカプセル108を外側シース110に対してわずかに先端側へ移動させる場合があるが、しかしカプセル108を外側シース110から完全に離脱させるには十分ではないであろう。更に、スプール134がそれより先端側へ移動されるのを防止する止め具要素138は外側シース110に対する制御部材128の最大伸張量を規定しており、このことは、クリップアーム106が、かつそれによりカプセル108が、外側シース110に対して該シースから離脱するに至るほど遠くへ先端側へと移動されることを防止する。
【0038】
クリップアセンブリ102は、必要に応じて、標的組織がクリップアーム106の間に把持されるまで、制御部材128を外側シース110に対して先端側及び基端側へとそれぞれ移動させることにより、開放形態と閉止形態との間で移行させることができる。クリップアセンブリ102はその後、制御部材128を外側シース110に対してさらに基端側へと引くことにより、閉止形態に固定することができる。上述のように、内側シース144に当接しているカプセル108、及び長手方向スロット116の基端部120に係合しているピン122のうち少なくともいずれか一方が、カプセル108が外側シース110に対してさらに基端側へと移動されるのを防止する。よって、制御ワイヤ128の継続した基端側への動きにより、クリップアーム106はさらに基端側へカプセル108の中へと、クリップアーム106の基端部の固定タブが固定窓ウィンドウ182に係合するまで引っ張られる。上述のように、クリップアーム106の基端部は、該基端部がひとたび固定窓182の内部に受承されれば基端部はその付勢された外側へ向かう形態に戻って固定タブを固定窓に係合させ、かつクリップアセンブリを閉止形態に固定するように、外側に向かって付勢されている。この固定された形態では、クリップアーム106はカプセル108に対して移動するのを防止されており、その結果、外側シース110に対する制御部材128のさらに基端側への動きが、中央部材156の解除可能な接続部164に、基端側部分及び先端側部分160、162の相互の切り離しを行わせるようになっている。解除可能な接続部164の解除は、解除可能な接続部164がひとたび解除されるか又は外れると、ユーザが分離された基端側部分160を使用して中央部材156の先端側部分162を、かつそれによりアーム106が固定されているカプセル108を、外側シース110に対して先端側へ押すために、制御ワイヤ128を外側シース110に対して先端側へ移動させることができるように、触覚フィードバックによってユーザによる検知が可能である。クリップアセンブリ102を体内に配備するために、ユーザは、固定タブ38を、スプール134が該固定タブを越えて先端側へ移動されうるように、非固定形態になるように動かすことができる。止め具要素138を越えてスプール134を移動させると、カプセル108がシース110から外へと先端側に押され、その結果、アプリケータ104を身体から外へと基端側へ引くことによりクリップアセンブリ102(中央部材156の基端側部分160を除く)が標的組織上にクリッピングされて体内に残される。必要な場合には、新しいクリップアセンブリ102を、上述されるのと同じ方式でアプリケータ104に装荷することができる。しかしながら、ユーザはまず、制御ワイヤ128の先端部に結合したままの基端側部分160を取り外さなければならない。新しいクリップが装荷された後、該デバイスは、組織の別の部分にクリッピングを行うために使用可能である。このプロセスは、必要に応じて又は望みどおりに何度も同じアプリケータ104を使用して繰り返すことができる。
【0039】
図9~12に示されるように、本開示の別の典型的な実施形態によるシステム200は、標的組織のクリッピングのための生体内挿入用の、アプリケータ204の先端側部分に装荷可能なクリップアセンブリ202を具備しており、システム100にかなり類似していてよい。しかしながらシステム200は、クリップアセンブリ202が、アプリケータ204の可撓性部材212の回動によってではなく、該クリップアセンブリに接続した制御部材228の回動によって、該アセンブリの長手方向軸の周りで回動することが許容されているという点で、システム100とは異なる。
【0040】
アプリケータ204は、外側シース210、内側シース(図示せず)、及びこれらを通って伸びる制御部材228を備えており、アプリケータ104にかなり類似していてよい。外側シース210、及び外側シース210の基端部240の内側に取り付けられた内側シースは、可撓性部材212の先端部214に接続され、該可撓性部材はハンドル部分230に接続された基端部213まで伸びる。拡張先端部ではなく、この実施形態の制御部材228の先端部254は、図10に示されるように、鉤状部又はU字形状の屈曲部を備えて、その結果、先端部254のクリップアセンブリ202との係合が、システム200の長手方向軸の周りでの制御部材228の回動がクリップアセンブリ202の対応する回動に転換されるのを可能にするようになっている。
【0041】
図11に示されるように、ハンドル部分230は、ハンドルシャフト232、及び該シャフト上に摺動可能に取り付けられた、外側シース210に対して制御ワイヤ228を長手方向に移動させるためのスプール234を備えており、ハンドル部分130にかなり類似していてよい。しかしながら、ハンドル部分230のアクチュエータ226は、制御ワイヤ228に回動力を提供するように該ワイヤに接続されている。この実施形態では、アクチュエータ226は、例えば、その回動が制御ワイヤ228及びその結果として該ワイヤに結合されたクリップアセンブリ202を回動させる、指動輪として構成されてもよい。アクチュエータ226は、ハンドルシャフト232に対するスプール234の長手方向の動きを妨げないように、スプール234の最も先端側寄りの配置よりも先端側に、ハンドルシャフト232に沿って配置されうる。ハンドル部分230はさらに、制御ワイヤ228が回動するときに該ワイヤのための剛性支持体を提供するための、ハンドルシャフト232の先端部233から先端側へ伸びるハイポチューブ290を備えることもできる。
【0042】
クリップアセンブリ202は、1対のクリップアーム206であって、クリップアーム206の先端部258がその間に組織を受承するように互いに離れている、組織を受承する開放形態と、先端部258がその間に組織を把持するように互いに引き寄せられている、組織を把持する閉止形態との間を移行されるように、中央部材256を介してカプセル(図示せず)の内部に摺動可能に受承されたクリップアームを具備しており、クリップアセンブリ102にかなり類似していてよい。中央部材156と同様に、中央部材256は、アプリケータ204の制御部材228に結合されるように構成された基端側部分260と、クリップアーム206の基端側部分に結合されるように構成された先端側部分262とを備えている。基端側部分及び先端側部分260、262は、例えば、所定の閾値を超過する力を受けたときに解除となる(例えば、壊れる、外れる)ように設計された解除可能な接続部264のような、解除可能な接続部を介して互いに接続されている。しかしながら、基端側部分260は、制御部材228の鉤形状の先端部254を受承するような大きさ及び形状に特別に作られたキャビティ268、凹部又はその他の構造物を備えている。鉤形状の先端部254の係合は、制御部材228の回動が、クリップアセンブリ202の長手方向軸の周りにおける中央部材256の、かつそれによりクリップアーム206の、対応する回動に転換されることを可能にする。
【0043】
クリップアセンブリ202は、システム100に関して上述されたのとほぼ同じ方式でアプリケータ204に装荷可能である。具体的には、先端部254は、中央部材256の基端側部分260のキャビティ268と、該中央部材の側面から係合する。ひとたびクリップアセンブリ202がアプリケータ204に装荷されてしまえば、システム100はシステム100とほぼ同じ方式で利用可能である。しかしながら、標的部位においては、クリップアセンブリ202は指動輪226の回動を介して所望の配置となるように回動されうる。標的組織のクリッピング及びクリップアセンブリ202の配備は、システム100に関して上述されたのとほぼ同じ方式で達成可能である。
【0044】
本開示の範囲から逸脱することなく、本開示において様々な改変を施すことができることは、当業者には明白であろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12