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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100646
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】靴
(51)【国際特許分類】
   A43B 23/02 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
A43B23/02 106
A43B23/02 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214743
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松永 遼
(72)【発明者】
【氏名】石川 達也
(72)【発明者】
【氏名】山根 収
(72)【発明者】
【氏名】仲谷 政剛
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BC07
4F050BC22
4F050JA09
(57)【要約】
【課題】内側縦アーチの落ち込みを抑制しながら後脛骨筋腱の負担を軽減できる靴を得ること。
【解決手段】靴1は、着用者の足の中足部を覆うアッパー中足部26と、足の踵部を覆うアッパー後足部27と、足を挿入するための履き口20aとが形成されたアッパー2と、アッパー2の下方に位置するソール3と、アッパー2の内部で足の内側縦アーチの下方に配置されて、外足側部分がアッパー2又はソール3に固定される第1サポート材5と、第1サポート材5の内足側部分に接続されて、アッパー後足部27に向かう方向かつソール3から離れる方向に第1サポート材5を引き上げる力を第1サポート材5に付与可能な第1引き上げ材6と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の足の中足部を覆うアッパー中足部と、足の踵部を覆うアッパー後足部と、足を挿入するための履き口とが形成されたアッパーと、
前記アッパーの下方に位置するソールと、
前記アッパーの内部で足の内側縦アーチの下方に配置されて、外足側部分が前記アッパー又は前記ソールに固定される第1サポート材と、
前記第1サポート材の内足側部分に接続されて、前記アッパー後足部に向かう方向かつ前記ソールから離れる方向に前記第1サポート材を引き上げる力を前記第1サポート材に付与可能な第1引き上げ材と、を備える、靴。
【請求項2】
前記第1引き上げ材は、前記アッパー中足部のうち内足側部分を前記アッパーの内部から外部に通過するとともに、前記アッパー後足部に沿って内足側から外足側に延びて前記アッパー後足部に固定可能である、請求項1に記載の靴。
【請求項3】
前記第1引き上げ材は、
前記第1サポート材の内足側部分に接続されて、前記アッパー中足部のうち内足側部分を前記アッパーの内部から外部に通過する第1ベルトと、
外足側部分が前記アッパー後足部のうち外足側部分に固定されて、前記アッパー後足部に沿って外足側から内足側に延びた後に折り返されて外足側に延びる第2ベルトと、
前記第1ベルトと前記第2ベルトの折り返し部とを互いに連結する連結部と、を有する、請求項1又は2に記載の靴。
【請求項4】
前記第1引き上げ材は、前記アッパー中足部のうち内足側部分を前記アッパーの内部から外部に通過するとともに、前記アッパー中足部の内足側部分から外足側部分まで延びて前記アッパー中足部に固定可能である、請求項1に記載の靴。
【請求項5】
前記第1引き上げ材は、
前記第1サポート材の内足側部分に接続されて、前記アッパー中足部のうち内足側部分を前記アッパーの内部から外部に通過する第1ベルトと、
外足側部分が前記アッパー中足部のうち外足側部分に固定されて、前記アッパー中足部の外足側部分から内足側部分まで延びた後に折り返されて外足側に延び、前記アッパー中足部の内足側部分と外足側部分とを互いに引き寄せる締付力を前記アッパーに付与可能な第2ベルトと、
前記第1ベルトと前記第2ベルトの折り返し部とを互いに連結する連結部と、を有する、請求項1又は4に記載の靴。
【請求項6】
前記アッパーは、前記アッパーの内部で前記第1サポート材の前方に配置されるとともに前記内側縦アーチの下方に配置されて、外足側部分が前記アッパー又は前記ソールに固定される第2サポート材と、
前記第2サポート材の内足側部分に接続されて、前記内側縦アーチの法線方向に前記第2サポート材を引き上げる力を前記第2サポート材に付与可能な第2引き上げ材と、を備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の靴。
【請求項7】
前記アッパーには、前記履き口に連通して前記履き口から前方に延びる開口が形成され、
前記開口の左右の側縁には、前後方向に互いに離隔する複数の紐通し部が設けられ、
前記第2サポート材の内足側部分には、複数の前記紐通し部のうち1つが設けられ、
前記第2引き上げ材は、一方の側縁に設けられた前記紐通し部と他方の側縁に設けられた前記紐通し部とに交互に通されるシューレースである、請求項6に記載の靴。
【請求項8】
前記第1サポート材の前後方向の幅は、前記第1引き上げ材との接続部分から外足側に向かうにつれて広くなる、請求項1から7のいずれか1項に記載の靴。
【請求項9】
前記ソールは、アウトソールと、前記アウトソールの上に設置される中敷きと、を含み、
前記第1サポート材は、前記中敷きの上に配置されている、請求項1から8のいずれか1項に記載の靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アッパー及びソールを備えた靴に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ランニングやジャンプなどの動作を繰り返し行うことによって、脛骨に付いている骨膜に炎症を引き起こす脛骨過労性骨膜炎、所謂シンスプリントが知られている。シンスプリントは、前脛骨筋腱の過剰な収縮によって前脛骨筋腱と脛骨との間の骨膜に炎症が生じる「前方型シンスプリント」と、後脛骨筋腱の過剰な伸長によって後脛骨筋腱と脛骨との間の骨膜に炎症が生じる「後方型シンスプリント」の2つに分類される。このうち後方型スプリントが発生する一因として、着用者の体重が足にかかったときの内側縦アーチの落ち込みにあることが分かっている。
【0003】
従来、特許文献1のように、アッパーの内部に補強材を配置し、補強材により内側縦アーチの落ち込みを抑制する技術が多数開発されている。ところが、後方型シンスプリントの予防を目的として、後脛骨筋腱の負担を軽減する技術については開発が進んでいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-36703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、後脛骨筋腱の負担を軽減できる靴の開発が望まれている。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、内側縦アーチの落ち込みを抑制しながら後脛骨筋腱の負担を軽減できる靴を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る靴は、着用者の足の中足部を覆うアッパー中足部と、足の踵部を覆うアッパー後足部と、足を挿入するための履き口とが形成されたアッパーと、アッパーの下方に位置するソールと、アッパーの内部で足の内側縦アーチの下方に配置されて、外足側部分がアッパー又はソールに固定される第1サポート材と、第1サポート材の内足側部分に接続されて、アッパー後足部に向かう方向かつソールから離れる方向に第1サポート材を引き上げる力を第1サポート材に付与可能な第1引き上げ材と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る靴は、内側縦アーチの落ち込みを抑制しながら後脛骨筋腱の負担を軽減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、靴に足の骨格モデルを重ねた状態を模式的に示す平面図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1に係る靴の斜視図である。
図3図3は、実施の形態1に係る靴の平面図である。
図4図4は、実施の形態1に係る靴の内足側側面図である。
図5図5は、靴の外形と第1サポート材及び第2サポート材を模式的に示す平面図である。
図6図6は、図4に示されるVI-VI線に沿った断面図であって、第1サポート材を引き上げる前の状態を示す断面図である。
図7図7は、図6に示される状態から第1サポート材を引き上げた後の状態を示す断面図である。
図8図8は、足に第1サポート材を重ねた状態を模式的に示す斜視図である。
図9図9は、図4に示されるIX-IX線に沿った断面図であって、第2サポート材を引き上げる前の状態を示す断面図である。
図10図10は、図9に示される状態から第2サポート材を引き上げた後の状態を示す断面図である。
図11図11は、足に第2サポート材を重ねた状態を模式的に示す斜視図である。
図12図12は、本発明の実施の形態2に係る靴の斜視図である。
図13図13は、本発明の実施の形態3に係る靴の斜視図である。
図14図14は、実施の形態3に係る靴の平面図である。
図15図15は、実施の形態3に係る靴の内足側側面図である。
図16図16は、本発明の実施の形態4に係る靴の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る靴の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
図1は、靴1に足の骨格モデルを重ねた状態を模式的に示す平面図である。以下において示す実施の形態においては、靴1を平面視した状態において靴1の中心を通る垂線であるシューズセンター軸Cが延在する方向を前後方向と称し、靴1を平面視した状態において上記前後方向と直交する方向を左右方向と称する。
【0012】
また、前後方向のうち、靴1の足の後足部を覆う部分が位置する側の末端から、靴1の足の前足部を覆う部分が位置する側の末端を向く方向を前方と称し、前後方向のうち、靴1の足の前足部を覆う部分が位置する側の末端から、靴1の足の後足部を覆う部分が位置する側の末端を向く方向を後方と称する。
【0013】
また、足のうちの解剖学的正位における正中側を内足側と称し、足のうちの解剖学的正位における正中側とは反対側を外足側と称する。すなわち、解剖学的正位における正中に近い側を内足側と称し、解剖学的正位における正中に遠い側を外足側と称する。
【0014】
また、高さ方向とは、他に特段の記載がない限り、前後方向及び左右方向の両方向に直交する方向を意味し、厚さとは、他に特段の記載がない限り、高さ方向の寸法を意味する。
【0015】
人体の足は、主に、楔状骨Ba、立方骨Bb、舟状骨Bc、距骨Bd、踵骨Be、中足骨Bf、趾骨Bgで構成される。足の関節には、MP関節Ja、リスフラン関節Jb、ショパール関節Jcが含まれる。ショパール関節Jcには、立方骨Bbと踵骨Beがなす踵立方関節Jc1と、舟状骨Bcと距骨Bdがなす距舟関節Jc2とが含まれる。
【0016】
足の中足部は、MP関節Jaからショパール関節Jcまでの部分をいう。足の内側縦アーチArは、足の内足側において、踵骨Beから距骨Bd、舟状骨Bc、内側の楔状骨Baを経て第一中足骨Bf1の母趾球までの部分をいう。
【0017】
また、靴1の前端から靴1の前後方向の寸法の25%から50%に相当する位置を通る左右方向に沿った線を第1境界線S1とし、靴1の前端から靴1の前後方向の寸法の55%から80%に相当する位置を通る左右方向に沿った線を第2境界線S2とした場合に、第1境界線S1よりも前方に位置する部分が靴1の前足部であり、第1境界線S1と第2境界線S2との間に挟まれる部分が靴1の中足部であり、第2境界線S2よりも後方に位置する部分が靴1の後足部である。第1境界線S1は、標準的な体型の着用者のMP関節Jaに概ね沿った線であり、第2境界線S2は、標準的な体型の着用者のショパール関節Jcに概ね沿った線である。
【0018】
(実施の形態1)
図2は、本発明の実施の形態1に係る靴1の斜視図である。図3は、実施の形態1に係る靴1の平面図である。図4は、実施の形態1に係る靴1の内足側側面図である。図2から図4には、左足用の靴1のみを図示している。靴1は、左足用と右足用とで左右対称構造であるため、本実施の形態では左足用の靴1のみを説明し、右足用の靴1の説明を省略する。靴1は、本実施の形態では陸上用のスパイクシューズであるが、ランニングシューズ、サッカー、バスケットボール、バレーボール等のスポーツ用のシューズでもよい。靴1は、アッパー2と、ソール3と、アジャスターベルト4と、第1サポート材5と、第1引き上げ材6と、第2サポート材7とを備えている。
【0019】
アッパー2は、アッパー本体20と、シュータン21と、シューレース22とを備えている。
【0020】
アッパー本体20は、足の甲側の部分を覆う。アッパー本体20の上部には、着用者の足を挿入するための履き口20aと、履き口20aに連通して履き口20aから前方に延びる開口20bとが形成されている。開口20bの左右の側縁には、前後方向に互いに離隔する複数の紐通し部である第1紐通し部23及び第2紐通し部24が設けられている。第1紐通し部23は、アッパー本体20を上下方向に貫通する貫通孔である。第2サポート材7の内足側部分には、複数の紐通し部のうち1つの第2紐通し部24が設けられている。第2紐通し部24は、本実施の形態では第2サポート材7の内足側部分を環状に折り返して縫合することで形成されているが、第2サポート材7とは別体の環状の部材を第2サポート材7の内足側部分に固定することで形成されてもよい。
【0021】
図3に示すように、アッパー本体20は、標準的な体型の着用者の足の前足部を覆う部分であるアッパー前足部25と、標準的な体型の着用者の足の中足部を覆う部分であるアッパー中足部26と、標準的な体型の着用者の足の踵部を覆う部分であるアッパー後足部27とを備えている。アッパー前足部25、アッパー中足部26及びアッパー後足部27は、この順番でアッパー本体20の前方から前後方向に連なっている。アッパー前足部25は、第1境界線S1よりも前方に位置している。アッパー中足部26は、第1境界線S1と第2境界線S2との間に挟まれる部分に位置している。アッパー後足部27は、第2境界線S2よりも後方に位置している。
【0022】
図2に示すように、アッパー中足部26のうち内足側部分には、アッパー2の内部と外部とを連通するスリット状の第1貫通孔20c及び第2貫通孔20dが形成されている。第1貫通孔20cは、履き口20aと左右方向で重なる位置に設けられている。第2貫通孔20dは、開口20bと左右方向で重なる位置に設けられている。
【0023】
図3に示すように、シュータン21は、着用者の足の甲を保護するための部材である。シュータン21は、アッパー本体20の内部において開口20bを覆っている。シュータン21は、アッパー本体20に縫合、溶着、接着又はこれらの組み合わせによって固定されている。アッパー本体20及びシュータン21の材料には、例えば、織地、編地、合成皮革又は樹脂が用いられる。特に通気性及び軽量性が求められる靴1においては、アッパー本体20及びシュータン21の材料には、ポリエステル糸を編み込んだダブルラッセル経編地が用いられることが好ましい。なお、アッパー本体20及びシュータン21の材料は、例示した材料に限定されない。
【0024】
シューレース22は、開口20bの一方の側縁に設けられた第1紐通し部23及び第2紐通し部24と他方の側縁に設けられた第1紐通し部23とに交互に通される紐状の部材であって、アッパー本体20に着脱可能に取り付けられている。
【0025】
図2に示すように、ソール3は、アッパー2の下方に位置する。ソール3は、足裏を覆う。ソール3は、アウトソール30と、ミッドソール31とを備えている。ソール3は、縫合、溶着、接着又はこれらの組み合わせによってアッパー2に固定される。アウトソール30の下面は、地面に設置する接地面30aとなる。ミッドソール31は、アウトソール30の上面に位置しており、クッション性を有している。なお、アウトソール30は、ミッドソール31と一体であってもよい。ミッドソール31と一体化されたアウトソール30は、「ユニソール」とも称される。また、図3に示すように、ソール3は、中敷き8を備えている。中敷き8は、アッパー2の内部でミッドソール31を挟んでアウトソール30の上に設置される。
【0026】
ソール3は、アッパー本体20の下側開口を覆う不図示の中底を備えている。中底は、ミッドソール31の上面に接着又は溶着によって固定される。また、中底は、上述したアッパー本体20の下縁に縫合によって固定される。ソール3が中底を備える場合には、中敷き8は、中底及びミッドソール31を挟んでアウトソール30の上に設置される。なお、ソール3は、中底を省略した構造であってもよい。
【0027】
図2に示すように、アジャスターベルト4は、アッパー中足部26の内足側部分と外足側部分とを互いに引き寄せる締付力をアッパー本体20に付与可能な部材である。アジャスターベルト4は、開口20bを横切って左右方向に延びている。アジャスターベルト4は、前後方向において、開口20bのうち履き口20aとの境界付近に配置されている。アッパー中足部26の内足側部分には、アジャスターベルト4を支持する固定ベルト41及び接続部42が設けられている。
【0028】
固定ベルト41は、アッパー中足部26の内足側部分において、第1貫通孔20cよりも前方に、かつ、第2貫通孔20dよりも後方に設けられている。固定ベルト41の一端は、アッパー中足部26に固定されている。固定ベルト41の他端は、接続部42に接続されている。
【0029】
図3に示すように、アジャスターベルト4は、外足側部分がアッパー中足部26のうち外足側部分に固定されて、アッパー中足部26の外足側部分から内足側部分まで延びた後に接続部42で折り返されて外足側に延びる。アジャスターベルト4は、第1締付側延伸部4aと、第2締付側延伸部4bとを有する。第1締付側延伸部4aのうち外足側部分は、アッパー中足部26のうち外足側部分に固定されている。第1締付側延伸部4aは、アッパー中足部26の外足側部分から内足側部分に向かって接続部42まで延びている。第1締付側延伸部4aのうちアッパー中足部26と反対を向く面には、面ファスナー4cが取り付けられている。第2締付側延伸部4bのうちアッパー中足部26を向く面には、面ファスナー4dが取り付けられている。第2締付側延伸部4bは、面ファスナー4c,4dを介して、第1締付側延伸部4aに固定および離隔可能である。第2締付側延伸部4bが第1締付側延伸部4aに固定した状態で、第2締付側延伸部4bは、接続部42からアッパー中足部26の外足側部分まで延びる。
【0030】
図2に示すように、接続部42は、固定ベルト41の他端とアジャスターベルト4の折り返し部とを互いに接続する。接続部42は、固定ベルト41とアジャスターベルト4とを接続可能であればその構成は特に制限されないが、本実施の形態ではリング状の部材である。本実施の形態では、固定ベルト41の他端を接続部42に通して折り返し、固定ベルト41のうち重なる部分同士を縫合することで、固定ベルト41が接続部42に接続されている。
【0031】
図5は、靴1の外形と第1サポート材5及び第2サポート材7を模式的に示す平面図である。図6は、図4に示されるVI-VI線に沿った断面図であって、第1サポート材5を引き上げる前の状態を示す断面図である。図7は、図6に示される状態から第1サポート材5を引き上げた後の状態を示す断面図である。図8は、足Fに第1サポート材5を重ねた状態を模式的に示す斜視図である。図6に示すように、第1サポート材5は、アッパー2の内部で足Fの内側縦アーチArの下方に配置されて、外足側部分がアッパー本体20に固定されている部材である。第1サポート材5は、内側縦アーチArを含む足F全体の下方に配置されている。第1サポート材5は、アッパー中足部26に配置されている。なお、第1サポート材5は、ソール3の中敷き8又は中底に固定されてもよい。第1サポート材5は、アッパー本体20、中敷き8及び中底のいずれかに縫合、溶着、接着又はこれらの組み合わせによって固定されている。第1サポート材5の材料には、例えば、織地、編地、合成皮革又は樹脂が用いられる。図5に示すように、第1サポート材5の前後方向の幅は、第1引き上げ材6との接続部分から外足側に向かうにつれて広くなる。第1サポート材5の平面視形状は、特に制限されないが、本実施の形態では台形状である。第1サポート材5のうち前端部、後端部および内足側端部は、本実施の形態では曲線形状であるが、例えば、直線形状、波形形状、ギザギザ形状でもよい。
【0032】
図7に示すように、第1引き上げ材6は、第1サポート材5の内足側部分に接続されて、アッパー後足部27に向かう方向かつソール3から離れる方向に第1サポート材5を引き上げる力を第1サポート材5に付与可能な部材である。言い換えると、図8に示すように、第1引き上げ材6は、着用者の足Fの後脛骨筋腱Teの延伸方向に沿って延びており、後脛骨筋腱Teに沿って第1サポート材5を引き上げる力を第1サポート材5に付与可能である。さらに換言すると、第1引き上げ材6は、上斜め後方に第1サポート材5を引き上げる力を第1サポート材5に付与可能である。図2に示すように、第1引き上げ材6は、アッパー中足部26のうち内足側部分をアッパー2の内部から外部に通過するとともに、アッパー後足部27に沿って内足側から外足側に延びてアッパー後足部27に固定可能である。なお、本明細書において、「第1引き上げ材6がアッパー後足部27に沿って延びる状態」とは、「第1引き上げ材6が着用者の足Fの後脛骨筋腱Teの延伸方向に沿って延びる状態」であることを意味する。第1引き上げ材6は、第1ベルト61と、第2ベルト62と、連結部63とを有する。第1ベルト61および第2ベルト62の材料には、例えば、織地、編地、合成皮革又は樹脂が用いられる。
【0033】
第1ベルト61は、アッパー2の内部で第1サポート材5の内足側部分に接続されて、アッパー中足部26のうち内足側部分をアッパー2の内部から外部に通過している。第1ベルト61の一部は、第1貫通孔20cを通じてアッパー2の外部に露出している。第1ベルト61は、例えば、縫合によって第1サポート材5に固定されている。
【0034】
図3に示すように、第2ベルト62は、外足側部分がアッパー後足部27のうち外足側部分に固定されて、アッパー後足部27に沿って外足側から内足側に延びた後に連結部63で折り返されて外足側に延びている。第2ベルト62は、第1引上側延伸部62aと、第2引上側延伸部62bとを有する。第1引上側延伸部62aのうち外足側部分は、アッパー後足部27のうち外足側部分に固定されている。第1引上側延伸部62aは、アッパー後足部27に沿って外足側から内足側に向かって連結部63まで延びている。第1引上側延伸部62aのうちアッパー後足部27と反対を向く面には、面ファスナー62cが取り付けられている。第2引上側延伸部62bのうちアッパー後足部27を向く面には、面ファスナー62dが取り付けられている。第2引上側延伸部62bは、面ファスナー62c,62dを介して、第1引上側延伸部62aに固定および離隔可能である。第2引上側延伸部62bが第1引上側延伸部62aに固定した状態で、第2引上側延伸部62bは、連結部63からアッパー後足部27の外足側部分まで延びている。
【0035】
図2に示すように、連結部63は、第1ベルト61のうちアッパー2の外部に露出する端部と第2ベルト62の折り返し部とを互いに連結する。連結部63は、第1ベルト61と第2ベルト62とを連結可能であればその構成は特に制限されないが、本実施の形態ではリング状の部材である。本実施の形態では、第1ベルト61のうちアッパー2の外部に露出する端部を連結部63に通して折り返し、第1ベルト61のうち重なる部分同士を縫合することで、第1ベルト61が連結部63に連結されている。
【0036】
図9は、図4に示されるIX-IX線に沿った断面図であって、第2サポート材7を引き上げる前の状態を示す断面図である。図10は、図9に示される状態から第2サポート材7を引き上げた後の状態を示す断面図である。図11は、足Fに第2サポート材7を重ねた状態を模式的に示す斜視図である。図5及び図9に示すように、第2サポート材7は、アッパー2の内部で第1サポート材5の前方に配置されるとともに内側縦アーチArの下方に配置されて、外足側部分がアッパー本体20に固定されている。図5に示すように、第1サポート材5と第2サポート材7とは、互いに上下方向に重なり合わないように前後方向にずれて配置されている。図9に示すように、第2サポート材7は、内側縦アーチArを含む足F全体の下方に配置されている。第2サポート材7は、アッパー中足部26に配置されている。なお、第2サポート材7は、図9に示されるソール3の中敷き8又は中底に固定されてもよい。第2サポート材7は、アッパー本体20、中敷き8及び中底のいずれかに縫合、溶着、接着又はこれらの組み合わせによって固定されている。第2サポート材7の材料には、例えば、織地、編地、合成皮革又は樹脂が用いられる。図5に示すように、第2サポート材7の前後方向の幅は、図9に示されるシューレース22との接続部分から外足側に向かうにつれて広くなる。第2サポート材7の平面視形状は、特に制限されないが、本実施の形態では台形状である。第2サポート材7のうち前端部、後端部および内足側端部は、本実施の形態では曲線形状であるが、例えば、直線形状、波形形状、ギザギザ形状でもよい。
【0037】
図10に示すように、シューレース22は、第2サポート材7の内足側部分に接続されて、内側縦アーチArの法線方向に第2サポート材7を引き上げる力を第2サポート材7に付与可能な第2引き上げ材となる。言い換えると、シューレース22は、ソール3から離隔する方向に第2サポート材7を引き上げる力を第2サポート材7に付与可能である。さらに換言すると、図11に示すように、シューレース22は、上方に向かって第2サポート材7を引き上げる力を第2サポート材7に付与可能である。詳しくは、図10に示すようにシューレース22を緊張させると、第2紐通し部24が上方かつ外足側に引っ張られ、第2サポート材7が内側縦アーチArの法線方向に引き上げられてソール3から離隔する。
【0038】
次に、本実施の形態に係る靴1の効果について説明する。
【0039】
本実施の形態では、図6及び図7に示すように、靴1は、アッパー2の内部で足Fの内側縦アーチArの下方に配置されて、外足側部分がアッパー2に固定される第1サポート材5と、第1サポート材5の内足側部分に接続されてアッパー後足部27に向かう方向かつソール3から離れる方向に第1サポート材5を引き上げる力を第1サポート材5に付与可能な第1引き上げ材6とを備える。この構成により、第1引き上げ材6を引っ張ることで、第1サポート材5がアッパー後足部27に向かう方向かつソール3から離れる方向に引き上げられるため、足Fの内側縦アーチArの落ち込みを抑制することができる。足Fの内側縦アーチArの落ち込みを抑制することによっても、後脛骨筋腱Teの過伸長を抑制して、後脛骨筋腱Teの負担を軽減できる。また、第1サポート材5が引き上げられる方向が後脛骨筋腱Teの延伸方向に沿うため、後脛骨筋腱Teの過伸長を抑制して、後脛骨筋腱Teの負担を軽減できる。
【0040】
本実施の形態では、図9及び図10に示すように、靴1は、アッパー2の内部で第1サポート材5の前方に配置されるとともに内側縦アーチArの下方に配置されて、外足側部分がアッパー2に固定される第2サポート材7と、第2サポート材7の内足側部分に接続されて内側縦アーチArの法線方向に第2サポート材7を引き上げる力を第2サポート材7に付与可能なシューレース22とを備える。この構成により、シューレース22を緊張させることで、第2サポート材7が内側縦アーチArの法線方向に引き上げられるため、足Fの内側縦アーチArの落ち込みをより一層抑制することができる。
【0041】
本実施の形態では、図2及び図3に示すように、第1引き上げ材6は、第1サポート材5の内足側部分に接続されてアッパー中足部26のうち内足側部分をアッパー2の内部から外部に通過する第1ベルト61と、外足側部分がアッパー後足部27のうち外足側部分に固定されてアッパー後足部27に沿って外足側から内足側に延びた後に折り返されて外足側に延びる第2ベルト62と、第1ベルト61と第2ベルト62の折り返し部とを互いに連結する連結部63とを有する。このように第1引き上げ材6は、シューレース22及びアジャスターベルト4とは独立した構造であるため、アッパー本体20の締め付け具合を考慮することなく、第1サポート材5の引き上げ具合を単独で調整することができる。
【0042】
本実施の形態では、図3に示すように、第2サポート材7の内足側部分には、複数の紐通し部のうち1つの第2紐通し部24が設けられ、シューレース22は、一方の側縁に設けられた第1紐通し部23及び第2紐通し部24と他方の側縁に設けられた第1紐通し部23とに交互に通される。この構成により、シューレース22を緊張させることで、アッパー本体20の締付と第2サポート材7の引き上げとを同時に行うことができるため、着用者の負担を軽減できる。
【0043】
本実施の形態では、図5に示すように、第1サポート材5の前後方向の幅は、第1引き上げ材6との接続部分から外足側に向かうにつれて広くなることにより、着用者の足Fに対する第1サポート材5の当たりを緩和することができる。すなわち、着用者の足Fと靴1との接触面積は外足側に向かうにつれて増えるため、足Fと第1サポート材5との接触面積を外足側に向かうほど増やすことで、着用者の足Fに対する第1サポート材5の当たりを緩和することができる。また、本実施の形態では、図5に示すように、第2サポート材7の前後方向の幅は、図2に示されるシューレース22との接続部分から外足側に向かうにつれて広くなることにより、着用者の足Fに対する第2サポート材7の当たりを緩和することができる。すなわち、着用者の足Fと靴1との接触面積は外足側に向かうにつれて増えるため、足Fと第2サポート材7との接触面積を外足側に向かうほど増やすことで、着用者の足Fに対する第2サポート材7の当たりを緩和することができる。
【0044】
本実施の形態では、図7及び図10に示すように、ソール3は、アウトソール30と、アッパー2の内部でアウトソール30の上に設置される中敷き8とを含み、第1サポート材5及び第2サポート材7は、中敷き8の上に配置されている。この構成により、第1サポート材5及び第2サポート材7を足Fに直接当てることが可能になり、各着用者の足Fの形に沿うように第1サポート材5及び第2サポート材7を変形させることができる。そのため、着用者の足Fに対する第1サポート材5及び第2サポート材7の当たりを良好にできる。
【0045】
(実施の形態2)
図12は、本発明の実施の形態2に係る靴1Aの斜視図である。実施の形態2に係る靴1Aは、第1引き上げ材6Aの構成が実施の形態1に係る靴1と相違する。なお、実施の形態2では、前記した実施の形態1と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
第1引き上げ材6Aは、アッパー中足部26のうち内足側部分をアッパー2の内部から外部に通過するとともに、アッパー後足部27に沿って延びてアッパー後足部27に固定可能である。第1引き上げ材6Aは、1本のベルト64aと、ベルト固定部64bとを有する。ベルト64a及びベルト固定部64bの材料には、例えば、織地、編地、合成皮革又は樹脂が用いられる。
【0047】
ベルト64aは、アッパー2の内部で第1サポート材5の内足側部分に接続されて、アッパー中足部26のうち内足側部分をアッパー2の内部から外部に通過している。ベルト64aの一部は、第1貫通孔20cを通じてアッパー2の外部に露出している。ベルト64aは、例えば、縫合によって第1サポート材5に固定されている。ベルト64aのうちアッパー後足部27を向く面には、面ファスナー64cが取り付けられている。
【0048】
ベルト固定部64bは、アッパー後足部27に固定されており、アッパー後足部27に沿って左右方向に延びている。ベルト固定部64bのうちアッパー後足部27と反対を向く面には、面ファスナー64dが取り付けられている。ベルト64aは、面ファスナー64c,64dを介して、ベルト固定部64bに固定および離隔可能である。ベルト64aがベルト固定部64bに固定した状態で、ベルト64aは、アッパー後足部27に沿って内足側から外足側に延びる。本施の形態では、前記した実施の形態1と同様の効果を奏することができる。なお、第1サポート材5とベルト64aとが一体に形成されてもよい。
【0049】
(実施の形態3)
図13は、本発明の実施の形態3に係る靴1Bの斜視図である。図14は、実施の形態3に係る靴1Bの平面図である。図15は、実施の形態3に係る靴1Bの内足側側面図である。実施の形態3に係る靴1Bは、第1引き上げ材6Bの構成が実施の形態1に係る靴1と相違する。なお、実施の形態3では、前記した実施の形態1と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
図13に示すように、第1引き上げ材6Bは、第1ベルト65aと、第2ベルト65bと、固定ベルト65cと、接続部65dと、連結部65eとを有する。固定ベルト65c及び接続部65dは、アッパー中足部26の内足側部分において、第1貫通孔20cよりも上斜め後方に位置している。連結部65eは、アッパー中足部26の内足側部分において、第1貫通孔20cよりも上斜め前方に、かつ、第2貫通孔20dよりも後方に位置している。
【0051】
第1ベルト65aは、アッパー2の内部で第1サポート材5の内足側部分に接続されて、アッパー中足部26のうち内足側部分をアッパー2の内部から外部に通過している。第1ベルト65aの一部は、第1貫通孔20cを通じてアッパー2の外部に露出している。第1ベルト65aは、第1貫通孔20cから接続部65dに向かって延びた後、接続部65dで折り返されて、連結部65eに向かって延びている。第1ベルト65aのうち第1貫通孔20cから接続部65dに至る部分は、図8に示される後脛骨筋腱Teの延伸方向に沿って延びている。第1ベルト65aのうち接続部65dと連結部65eとの間で延びる部分の一部は、アッパー本体20の外層と内層との間を通っている。アッパー本体20の外層は、第1ベルト65aが内足側に撓むことを抑制する撓み抑制部65fとなる。
【0052】
固定ベルト65cの一端は、アッパー中足部26に固定されている。固定ベルト65cの他端は、接続部65dに接続されている。
【0053】
接続部65dは、固定ベルト65cの他端と第1ベルト65aの折り返し部とを互いに接続する。接続部65dは、固定ベルト65cと第1ベルト65aとを接続可能であればその構成は特に制限されないが、本実施の形態ではリング状の部材である。本実施の形態では、固定ベルト65cの他端を接続部65dに通して折り返し、固定ベルト65cのうち重なる部分同士を縫合することで、固定ベルト65cが接続部65dに接続されている。
【0054】
第2ベルト65bは、前記した実施の形態1のアジャスターベルト4に相当する部材である。第2ベルト65bは、アッパー中足部26の内足側部分と外足側部分とを互いに引き寄せる締付力をアッパー本体20に付与可能である。図14に示すように、第2ベルト65bは、外足側部分がアッパー中足部26のうち外足側部分に固定されて、アッパー中足部26の外足側部分から内足側部分まで延びた後に連結部65eで折り返されて外足側に延びる。第2ベルト65bは、第1延伸部65gと、第2延伸部65hとを有する。第1延伸部65gのうち外足側部分は、アッパー中足部26のうち外足側部分に固定されている。第1延伸部65gは、アッパー中足部26の外足側部分から内足側部分に向かって連結部65eまで延びている。第1延伸部65gのうちアッパー中足部26と反対を向く面には、面ファスナー65iが取り付けられている。第2延伸部65hのうちアッパー中足部26を向く面には、面ファスナー65jが取り付けられている。第2延伸部65hは、面ファスナー65i,65jを介して、第1延伸部65gに固定および離隔可能である。第2延伸部65hが第1延伸部65gに固定した状態で、第2延伸部65hは、連結部65eからアッパー中足部26の外足側部分まで延びている。
【0055】
図13に示すように、連結部65eは、第1ベルト65aのうちアッパー2の外部に露出する端部と第2ベルト65bの折り返し部とを互いに連結する。連結部65eは、第1ベルト65aと第2ベルト65bとを連結可能であればその構成は特に制限されないが、本実施の形態ではリング状の部材である。本実施の形態では、第1ベルト65aのうちアッパー2の外部に露出する端部を連結部65eに通して折り返し、第1ベルト65aのうち重なる部分同士を縫合することで、第1ベルト65aが連結部65eに連結されている。
【0056】
本実施の形態では、前記した実施の形態1と同様の効果を奏することができる。また、本実施の形態では、図13から図15に示すように、第1引き上げ材6Bは、第1サポート材5の内足側部分に接続されてアッパー中足部26のうち内足側部分をアッパー2の内部から外部に通過する第1ベルト65aを有する。また、第1引き上げ材6Bは、外足側部分がアッパー中足部26のうち外足側部分に固定されて、アッパー中足部26の外足側部分から内足側部分に延びた後に折り返されて外足側に延びる第2ベルト65bを有する。第2ベルト65bは、アッパー中足部26の内足側部分と外足側部分とを互いに引き寄せる締付力をアッパー2に付与可能である。さらに、第1引き上げ材6Bは、第1ベルト65aと第2ベルト65bの折り返し部とを互いに連結する連結部65eを有する。これらの構成により、第2ベルト65bを締める動作に連動して第1サポート材5が引き上げられる構造になる。したがって、第2ベルト65bを締めることで、アッパー本体20の締付と第1サポート材5の引き上げとを同時に行うことができるため、着用者の負担を軽減できる。
【0057】
(実施の形態4)
図16は、本発明の実施の形態4に係る靴1Cの斜視図である。実施の形態4に係る靴1Cは、第1引き上げ材6Cの構成が実施の形態3に係る靴1Bと相違する。なお、実施の形態4では、前記した実施の形態3と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0058】
第1引き上げ材6Cは、アッパー中足部26のうち内足側部分をアッパー2の内部から外部に通過するとともに、アッパー中足部26の内足側部分から外足側部分まで延びてアッパー中足部26に固定可能である。第1引き上げ材6Cは、1本のベルト66aと、固定ベルト65cと、接続部65dと、ベルト固定部66bとを有する。固定ベルト65cおよび接続部65dの構成は、前記した実施の形態3と同様である。
【0059】
ベルト66aは、アッパー2の内部で第1サポート材5の内足側部分に接続されて、アッパー中足部26のうち内足側部分をアッパー2の内部から外部に通過している。ベルト66aの一部は、第1貫通孔20cを通じてアッパー2の外部に露出している。ベルト66aは、第1貫通孔20cから接続部65dに向かって延びた後、接続部65dで折り返されてベルト固定部66bに向かって延びている。ベルト66aのうち第1貫通孔20cから接続部65dに至る部分は、図8に示される後脛骨筋腱Teの延伸方向に沿って延びている。ベルト66aのうちアッパー中足部26を向く面には、面ファスナー66cが取り付けられている。
【0060】
ベルト固定部66bは、アッパー中足部26に固定されており、アッパー中足部26において開口20bを横切って左右方向に延びている。ベルト固定部66bのうちアッパー中足部26と反対を向く面には、面ファスナー66dが取り付けられている。ベルト66aは、面ファスナー66c及び面ファスナー66dを介して、ベルト固定部66bに固定および離隔可能である。ベルト66aがベルト固定部66bに固定した状態で、ベルト66aは、アッパー中足部26の内足側部分から外足側部分まで延びる。本実施の形態では、前記した実施の形態1,3と同様の効果を奏することができる。なお、第1サポート材5とベルト66aとが一体に形成されてもよい。
【0061】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。前記した実施の形態1から4では、第2サポート材7を備えたが、省略してもよい。第2サポート材7を省略する場合には、第1サポート材5の大きさを図示した例よりも大きくしてもよい。前記した実施の形態1から4では、第1サポート材5及び第2サポート材7は、中敷き8の上に配置されているが、中敷き8の下に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1,1A,1B,1C 靴、2 アッパー、3 ソール、4 アジャスターベルト、4a 第1締付側延伸部、4b 第2締付側延伸部、4c,4d,62c,62d,64c,64d,65i,65j,66c,66d 面ファスナー、5 第1サポート材、6,6A,6B,6C 第1引き上げ材、7 第2サポート材、8 中敷き、20 アッパー本体、20a 履き口、20b 開口、20c 第1貫通孔、20d 第2貫通孔、21 シュータン、22 シューレース、23 第1紐通し部、24 第2紐通し部、25 アッパー前足部、26 アッパー中足部、27 アッパー後足部、30 アウトソール、30a 接地面、31 ミッドソール、41,65c 固定ベルト、42,65d 接続部、61,65a 第1ベルト、62,65b 第2ベルト、62a 第1引上側延伸部、62b 第2引上側延伸部、63,65e 連結部、64a,66a ベルト、64b,66b ベルト固定部、65f 撓み抑制部、65g 第1延伸部、65h 第2延伸部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16