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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100755
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/00 20060101AFI20220629BHJP
   A41D 13/05 20060101ALI20220629BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20220629BHJP
   A41D 13/005 20060101ALI20220629BHJP
   A41D 27/20 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
A41D13/00 112
A41D13/05 175
A41D13/002 105
A41D13/005 103
A41D13/005 108
A41D13/05 162
A41D27/20 B
A41D27/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214937
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】391009372
【氏名又は名称】ミドリ安全株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畠山 貴行
【テーマコード(参考)】
3B011
3B035
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AC02
3B011AC17
3B011AC18
3B011AC21
3B035AA03
3B035AA17
3B035AB01
3B035AB05
3B035AB09
3B035AB11
3B035AC08
3B035AC21
3B035AC22
(57)【要約】
【課題】ポケットに収納した収納物の大きさに拘らず、ポケット内での収納物の移動を抑制できる。
【解決手段】後身頃13にポケット布41を縫い付けて形成されたポケット40と、後身頃13に基端部21が取り付けられた帯状のベルト20と、後身頃13に取り付けられてベルト20を挿通可能なループ30と、ベルト20の先端部22に設けられた係止部23と、ベルト20の中間部に設けられて係止部23が着脱可能に係止される被係止部24と、ベルト20による挟持力を調整する調整部である裾ゴム15と、を備え、ポケット40は、ベルト20とループ30との間に配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身頃にポケット布の両側縁と下端縁を縫い付けて形成されたポケットと、
前記身頃に基端部が取り付けられた帯状のベルトと、
前記身頃に取り付けられて、前記ベルトを挿通可能なループと、
前記ベルトの先端部の表面に設けられた係止部と、
前記ベルトの中間部の表面に設けられ、前記係止部が着脱可能に係止される被係止部と、
前記ベルトによる挟持力を調整する調整部と、を備え、
前記ポケットは、前記ベルトと前記ループとの間に配置されている
ことを特徴とする衣服。
【請求項2】
請求項1に記載された衣服において、
前記身頃は、外気を送り込む電動の送風装置を着脱自在に装着するための装着機構を有し、
前記ポケットは、前記送風装置に電力を供給するバッテリーを収納可能とする
ことを特徴とする衣服。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された衣服において、
前記身頃の裾部には、伸縮可能な裾ゴムが設けられ、
前記ポケットは、少なくとも一部が前記裾部に重複する位置に設けられ、
前記ベルトは、前記基端部が前記裾部に固定されて、前記裾部に沿って延在し、
前記調整部は、前記裾ゴムによって構成されている
ことを特徴とする衣服。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された衣服において、
前記係止部及び前記被係止部は、前記ベルトの長手方向に沿って延びると共に互いに係止可能な面ファスナーによって形成され、
前記調整部は、前記面ファスナーによって構成されている
ことを特徴とする衣服。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載された衣服において、
前記ポケットは、底マチと、前記底マチから開口部に向かって次第にマチ幅が短くなった横マチと、を有する
ことを特徴とする衣服。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された衣服において、
前記ポケットは、底マチ及び横マチを有し、
前記ポケット布の一方の側縁から前記ベルトの取付位置までの距離と、前記ポケット布の他方の側縁から前記ループの取付位置までの距離と、前記横マチの最大マチ幅とを、同じ長さに設定した
ことを特徴とする衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者が着る衣服に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、送風ファン(送風装置)を取り付け可能であって、送風ファンに給電するバッテリー等を収納するポケットが、身頃の内側に設けられた衣服が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-11524号公報
【特許文献2】特許第4559349号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バッテリー等のポケットに収納する収納物の大きさは様々である。そのため、例えば、大きいバッテリー等を収納可能とするポケットに対し、比較的小さいバッテリーを収納した場合、収納物であるバッテリーの周囲に不要な隙間が生じる。そのため、身体の激しい動きによってバッテリーがポケット内で移動し、着用者にバッテリーがぶつかったり、ポケットからバッテリーが脱落したりすることがあった。つまり、バッテリーに限らず保冷剤や無線通信機等であっても、ポケットの大きさに対して収納物の大きさが小さすぎると、収納物がポケット内で移動してしまい、着用者に不快感を与えるという問題が生じていた。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、ポケットに収納した収納物の大きさに拘らず、ポケット内での収納物の移動を抑制できる衣服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、身頃にポケット布の両側縁と下端縁を縫い付けて形成されたポケットと、前記身頃に基端部が取り付けられた帯状のベルトと、前記身頃に取り付けられて、前記ベルトを挿通可能なループと、前記ベルトの先端部の表面に設けられた係止部と、前記ベルトの中間部の表面に設けられ、前記係止部が着脱可能に係止される被係止部と、前記ベルトによる挟持力を調整する調整部と、を備えている。そして、前記ポケットは、前記ベルトと前記ループとの間に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
これにより、本発明の衣服では、ポケットに収納した収納物の大きさに拘らず、ポケット内での収納物の移動を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の衣服の外観を示す平面図である。
図2】実施例1の衣服の内側を示す展開図である。
図3】実施例1の衣服の要部を示す説明図である。
図4図3におけるA-A断面図である。
図5図3におけるB-B断面図である。
図6】実施例1のポケットにバッテリーを収納するときの説明図であり、(a)はバッテリー収納直前状態を示し、(b)はベルト挿通状態を示し、(c)はベルト挟持状態を示す。
図7図6(a)におけるC-C断面図である。
図8図6(c)におけるD-D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の衣服を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【0010】
実施例1の衣服1は、図1及び図2に示すように、着用者が上半身に着る上着であり、綿や化繊等で織られた布や不織布等からなる生地によって形成されている。なお、衣服1を形成する生地は、伸縮性や通気性、難燃性等の任意の性質を有していてもよい。
【0011】
実施例1の衣服1は、袖11(長袖)を有する胴衣10からなり、着用者の前面を覆う前身頃12と、着用者の背面を覆う後身頃13と、を有する。なお、本明細書において、前後左右を用いた文言は、衣服1を着用した着用者から見た方向を指す。
【0012】
図1及び図2に示すように、胴衣10の前身頃12は、着用者の身幅方向中央から左前身頃12Lと右前身頃12Rに分かれており、スライドファスナー等の係止部材12a(図2参照)によって開閉自在に係止される。ここで、係止部材12aは、左前身頃12Lに設けられた前立て12bの裏側に設けられる。また、右前身頃12Rは、前立て12bの少なくとも一部と重なる位置にファスナーガード12cを有している。係止部材12aは、前立て12bとファスナーガード12cとの間で左右前身頃12L,12Rを係止する。なお、実施例1の衣服1では、前身頃12にポケットを設けていないが、必要に応じて胸ポケットやウエストポケット等を適宜設けてもよい。
【0013】
胴衣10の後身頃13には、図2に示すように、胴衣10内に外気を送り込む電動の送風ファン(送風装置)を装着するための一対の取付孔14,14(装着機構)が形成されている。一対の取付孔14,14は、後身頃13の身幅方向の中央部を挟んで左右対称となる位置に設けられている。各取付孔14は、後身頃13を貫通する円形の貫通孔である。取付孔14に衣服1の外側から送風ファンを差し込み、衣服1の内側から固定リングを捩じ込むことで、送風ファンと固定リングとの間に取付孔14の周縁部が挟み込まれ、送風ファンを後身頃13に装着することができる。なお、各取付孔14の周縁は、玉縁始末がなされて、ほつれ止めされている。
【0014】
また、後身頃13の内側には、各取付孔14の周縁部を補強する補強板13aと、バッテリーと送風ファンとを接続するハーネスを後身頃13に固定する一対の留め具13b,13bと、が設けられている。
【0015】
また、図1及び図2に示すように、衣服1の着用時、着用者のウエスト部に沿う胴衣10の裾部10aには、帯状の裾ゴム15が取り付けられている。裾ゴム15は、胴回り方向(胴衣10の周方向、すなわち左右方向)に伸縮可能な伸縮材であり、自身の持つ伸縮力により、着用者の胴回りに密着するように裾部10aを着用者の身体(ウエスト部)に沿わせる。なお、裾ゴム15は、裾部10aを折り返して形成された空間に配置され、チェーンステッチによって裾部10aに打ち付けられている。ここで、裾部10aは、裾ゴム15よりも身幅方向の長さが長く、シャーリングによってひだ(シワ)を形成することで、裾部10a及び裾ゴム15の伸縮性を確保する。さらに、裾ゴム15は、後述するベルト20による挟持力を調整する調整部を構成する。
【0016】
そして、後身頃13の内側であって、身幅方向の中央部、すなわち一対の取付孔14,14の間には、図2に示すように、ベルト20と、ループ30と、ポケット40と、が設けられている。
【0017】
ベルト20は、帯状の布材であり、ここでは、胴衣10と同じ材質によって形成されている。ベルト20は、図3に示すように、長手方向の一方の端部である基端部21が裾部10aに縫い付け固定され、胴衣10の裾部10aに沿って延在する。これにより、ベルト20は、裾部10a(裾ゴム15)に重なる。
【0018】
また、ベルト20の表面20aには、係止部23と、係止部23に着脱可能に係止する被係止部24と、が設けられている。ここで、「ベルト20の表面20a」とは、胴衣10の内側に臨む面、すなわち、衣服1を着用した際、着用者に対向する面である。係止部23は、ベルト20の長手方向の他方の端部である先端部22に設けられ、被係止部24は、ベルト20の中間部(基端部21と先端部22との間の位置)に設けられている。係止部23及び被係止部24は、ベルト20の長手方向に延びると共に、互いに係止可能な面ファスナーによって形成されている。さらに、係止部23及び被係止部24は、ベルト20による挟持力を調整する調整部を構成する。
【0019】
ループ30は、短冊状の布材であり、ここでは、胴衣10と同じ材質によって形成されている。ループ30は、図3に示すように、長手方向がベルト20の長手方向に対して直交するように配置され、長手方向の両端部31,32がそれぞれ裾部10aに縫い付け固定されている。ループ30の長手方向の寸法LLは、ベルト20の短手方向の寸法LBよりも長く設定されており、ループ30と裾部10aとの間にベルト20を挿入可能としている。
【0020】
ポケット40は、送風ファンに電力を供給するバッテリー100(図6(a)参照)を収納可能であり、図3に示すように、ベルト20とループ30との間に配置されている。また、ポケット40は、ポケット布41と、一対の横マチ42,42と、底マチ43と、を有するマチ付きパッチポケットである。なお、ポケット40の幅寸法(身幅方向の長さ)及び深さ寸法(身丈方向の長さ)は、収納するバッテリー100の大きさ等に応じて任意に設定される。
【0021】
ポケット布41は、ポケット40の開口部40aとなる上端縁が補強された布材であり、ここでは、胴衣10と同じ材質によって形成されている。ポケット布41は、左右の両側縁41a,41bがそれぞれ横マチ42を介して後身頃13に縫い付けられ、下端縁41cが底マチ43を介して後身頃13に縫い付けられている。なお、横マチ42及び底マチ43も、胴衣10と同じ材質の布材である。ポケット布41は、下端縁41cが裾部10aの下端縁10bに沿っており、底マチ43が裾部10aの下端縁10bに固定されている。これにより、ポケット40は、下部が裾部10aに重複する。
【0022】
横マチ42は、ポケット40の内側に織り込まれた折りマチであり、図4に示すように、ポケット40の開口部40aから下端縁41cに向かった所定の範囲が、ポケット布41と共に後身頃13に縫い付けられている。このため、横マチ42は、最大マチ幅L3が底マチ43のマチ幅W2と同じ長さに設定され、底マチ43から開口部40aに向かって次第にマチ幅W1が短くなり、ポケット40の開口部40aにおいてマチなしになっている。
【0023】
そして、図5に示すように、ポケット布41の一方の側縁41aからベルト20の取付位置αまでの身幅方向の距離L1と、ポケット布41の他方の側縁41bからループ30の取付位置βまでの身幅方向の距離L2と、横マチ42の最大マチ幅L3(底マチ43のマチ幅W2)とが、同じ長さに設定されている。ここで、「ベルト20の取付位置α」は、ベルト20の基端部21が裾部10aに縫い付け固定された位置である。また、「ループ30の取付位置β」は、ループ30のポケット40側の身幅方向の端部である。
【0024】
なお、ポケット40には、バッテリーと送風ファンとを接続するケーブルを通すケーブル孔が設けられてもよい。ケーブル孔を設けた場合、ケーブルが引っ張られてバッテリーがポケットから落下することを防止できる。
【0025】
また、ポケット40の開口部40aには、ポケット布41を後身頃13に着脱自在に固定する封止部材を設けてもよい。封止部材を設けた場合、開口部40aを封鎖することができ、ポケット40に収納したバッテリーの脱落を防止することができる。なお、封止部材は、スナップボタンや、面ファスナー、スライドファスナー等を用いることができる。
【0026】
以下、実施例1の衣服1の作用を説明する。
【0027】
実施例1の衣服1は、取付孔14に送風ファンを装着して着用する。一方、図6(a)に示すように、送風ファンに給電するバッテリー100は、ポケット40に収納される。そして、ポケット40に収納されたバッテリー100は、ケーブルを介して送風ファンに接続される。
【0028】
このとき、バッテリー100はポケット40よりも小さく、図7に示すように、ポケット40に収納されたバッテリー100の周囲には隙間Sが生じる。なお、隙間Sは、ポケット40の大きさに対し、収納するバッテリー100の大きさが小さいほど大きくなる。
【0029】
バッテリー100をポケット40に収納したら、図6(b)に示すように、ベルト20の先端部22をループ30に挿通する。続いて、ループ30を抑えつつ、ベルト20の先端部22を引っ張り、ベルト20と裾部10aとによってバッテリー100をポケット40ごと締め付ける。
【0030】
最後に、ベルト20を折り返し、先端部22をベルト20の中間部に対向させる。そして、図6(c)に示すように、係止部23を被係止部24に押し付け、係止部23を被係止部24に係止し、ベルト20を固定する。
【0031】
このように、実施例1の衣服1では、ベルト20と裾部10aによって、ポケット40に収納したバッテリー100を、ポケット40ごと締め付けることができる。これにより、図8に示すように、バッテリー100を収納したときにポケット40の内部に生じた隙間Sがなくなり、バッテリー100が胴衣10に固定される。
【0032】
この結果、収納物であるバッテリー100がポケット40内で移動することを抑制できる。そして、バッテリー100が移動しないため、着用者が激しく動いても、バッテリー100が着用者にぶつかったり、ポケット40からバッテリー100が脱落したりすることを防止でき、着用者に不快感を与えることがない。
【0033】
また、バッテリー100を取り出すときには、係止部23を被係止部24から剥がし、両者の係止状態を解除する。これにより、ベルト20の先端部22が自由になり、ベルト20をループ30から引き出すことで、ベルト20による締め付け状態を解放できる。このため、バッテリーの周囲に隙間Sが再び生じ、バッテリー100を容易に取り出すことができる。
【0034】
さらに、実施例1の衣服1では、ベルト20による挟持力を調整する調整部を有しており、調整部は、裾ゴム15や、ベルト20の長手方向に延びる面ファスナーからなる係止部23及び被係止部24によって構成されている。すなわち、裾ゴム15が伸縮したり、係止部23と被係止部24との係止位置を変えたりすることで、ベルト20をループ30に挿通してから折り返すことで生じるベルト20と裾部10aとの間に区画される空間の大きさが変動する。これにより、異なる大きさのバッテリー100をポケット40に収納したときであっても、ベルト20と裾部10aとで区画される空間の大きさを変えることで、ベルト20による挟持力が調整され、所定の挟持力を担保することができる。
【0035】
また、調整部を裾ゴム15で構成したことで、胴衣10の裾部10aを着用者の身体(ウエスト部)に沿わせるための構成を利用してベルト20の挟持力を調整することができる。さらに、裾ゴム15が持つ伸縮力によってベルト20の挟持力が自動的に調整されるため、細かい調整を行うことなく、所定の挟持力を担保することができる。
【0036】
さらに、実施例1の衣服1では、裾ゴム15が設けられた裾部10aの下端縁10bにポケット布41の下端縁41cが沿い、底マチ43が裾部10aの下端縁10bに固定されている。これにより、ポケット40に収納されたバッテリー100の重みを裾ゴム15によって支持することができる。この結果、ポケット40の撓みや変形を抑制でき、後身頃13が下方に大きく引っ張られることを抑制できる。
【0037】
また、調整部をベルト20の長手方向に延びる面ファスナーからなる係止部23及び被係止部24によって構成している。これにより、係止部23と被係止部24との係止位置を変えるだけで、挟持力の調整を容易に行うことができる。
【0038】
なお、実施例1の衣服1では、調整部として裾ゴム15と、面ファスナーからなる係止部23及び被係止部24との双方を有する例を示したが、いずれか一方であってもよい。つまり、ポケット40を裾ゴム15に重複しない後身頃13の上部や、前身頃12に設けてもよい。この場合、面ファスナーからなる係止部23及び被係止部24の係止位置を変えることで、挟持力を調整する。また、ポケット40が裾ゴム15に重複する位置に設けた上で、係止部23及び被係止部24を、例えばスナップボタンやボタンとボタン穴等の係止位置の変更ができないもので形成してもよい。
【0039】
さらに、調整部は、ベルト20の挟持力を調整することができれば、裾ゴム15や面ファスナーに限らない。例えば、係止部23を雄スナップボタンとし、被係止部24をベルト20の長手方向に並ぶ複数の雌スナップボタンとし、これらのスナップボタンで形成された係止部23及び被係止部24で調整部を構成してもよい。また、ベルト20の全部又は一部を伸縮可能な材質(例えばゴム等)で形成し、伸縮するベルト20によって調整部を構成してもよい。さらに、係止部23をベルト20の長手方向に並ぶ複数のベルト孔とし、被係止部24をバックルとし、複数のベルト孔とバックルで形成された係止部23及び被係止部24で調整部を構成してもよい。
【0040】
また、実施例1の胴衣10は、電動の送風ファンが着脱自在に装着される取付孔14を有し、ポケット40には、送風ファンに電力を供給するバッテリー100を収納可能としている。これにより、胴衣10の内部に送風することで着用者の身体を冷却することができる衣服1であっても、バッテリー100が邪魔にならず、胴衣10を快適に着用することができる。さらに、実施例1の衣服1では、着用者の身体と、ポケット40に収納されたバッテリー100との間にベルト20が介在するため、バッテリー100の熱が着用者に伝達されにくくできる。
【0041】
なお、実施例1では、胴衣10に送風ファンが装着される一対の取付孔14,14を形成し、ポケット40には、送風ファンに給電するバッテリー100を収納する例を示したが、これに限らない。ポケット40への収納物は、例えば保冷剤や無線通信機等の任意のものであってもよく、バッテリー100に限らない。また、送風ファンを胴衣10に装着するための装着機構は、例えば送風ファンを締め付け固定するバンド等であってもよい。さらに、胴衣10は、必ずしも送風ファンを装着可能でなくてもよく、取付孔14等の装着機構を有していなくてもよい。
【0042】
さらに、実施例1の衣服1では、ポケット40が底マチ43と、底マチ43から開口部40aに向かって次第にマチ幅W1が短くなった横マチ42と、を有している。このため、ポケット40の下部では、ポケット布41と後身頃13との間に隙間をあけ、開口部40aでは、ポケット布41と後身頃13との間の隙間を小さくすることができる。これにより、ポケット40の収納力を確保しつつ、収納物の脱落を抑制することができる。
【0043】
そして、実施例1の衣服1では、ポケット布41の一方の側縁41aからベルト20の取付位置αまでの距離L1と、ポケット布41の他方の側縁41bからループ30の取付位置βまでの距離L2と、横マチ42の最大マチ幅L3とを、同じ長さに設定している。これにより、ループ30を押さえた状態でベルト20を引っ張ったとき、図8に示すように、ポケット布41の一方の側縁41aにベルト20の基端部21を合わせ、ポケット布41の他方の側縁41bにループ30を合わせることができる。このため、ポケット40の側縁と胴衣10との間に隙間を生じにくくでき、胴衣10内の空気がポケット40の周囲から漏れることを防止できる。
【0044】
以上、本発明の衣服1を実施例1に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0045】
実施例1では、ポケット40がポケット布41と、横マチ42及び底マチ43を有するマチ付きパッチポケットである例を示したが、ポケット布41を身頃に縫い付けたパッチポケットであればよいので、横マチ42及び底マチ43は有していなくてもよい。また、横マチ42のみを有するポケットや、底マチのみを有するポケットであってもよい。
【0046】
また、実施例1では、ベルト20、ループ30、ポケット40を、後身頃13の内側の身幅方向の中央部に設けた例を示したが、これに限らない。ポケット40が、ベルト20とループ30の間に位置していれば、ベルト20等を任意の位置に設けてもよい。すなわち、ベルト20等を、前身頃12に設けてもよいし、胴衣10の外側に設けてもよい。つまり、ポケット40は、内ポケットであっても、外ポケットであってもよく、任意の位置に設けることができる。
【0047】
さらに、ポケット布41の側部内側に面ファスナーやスナップボタンからなる第2係止部を設け、後身頃13のポケット40の内側となる部分に、第2係止部が着脱可能に係止される第2被係止部を設けてもよい。この場合、第2係止部が第2被係止部に係止することで、ポケット40の容量を小さくすることができる。これにより、ポケット40に対して小さいサイズのバッテリー100を収納した場合に、ポケット40内に生じる隙間を少なくすることができ、バッテリー100のポケット40内での移動をさらに抑えることができる。
【0048】
また、実施例1の衣服1は、着用者が上半身に着る長袖の上着である例を示したが、例えば、上衣部と下衣部とが繋がったツナギ服や、前身頃が分割されていないプルオーバー形状の衣服であってもよい。また、袖11は、半袖であってもよいし、設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 衣服
10a 裾部
12 前身頃(身頃)
13 後身頃(身頃)
14 取付孔(装着機構)
15 裾ゴム(調整部)
20 ベルト
20a 表面
21 基端部
22 先端部
23 係止部(調整部)
24 被係止部(調整部)
30 ループ
40 ポケット
40a 開口部
41 ポケット布
41a 側縁
41b 側縁
41c 下端縁
42 横マチ
43 底マチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8