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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100765
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】シートシャッター
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/72 20060101AFI20220629BHJP
   E06B 9/56 20060101ALI20220629BHJP
   E06B 9/58 20060101ALI20220629BHJP
   E06B 9/17 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
E06B9/72
E06B9/56 A
E06B9/58 A
E06B9/17 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214956
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】391020056
【氏名又は名称】小松電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(74)【代理人】
【識別番号】100166659
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 和也
(72)【発明者】
【氏名】小松 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】堀江 好明
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042AA06
2E042CA01
2E042DA01
(57)【要約】
【課題】シートケースに収容されてシートを下方に繰り出するとともに繰り出されたシートを巻き取るドラムと、ドラムの内部に少なくとも一部が収容されて該ドラムを回転駆動させるモーターと、シートケースの直下に配置されて昇降されるシートを上下にガイドするシートガイドとを備え、気体によってモーターを効率的に加温又は冷却できるシートシャッターを提供することを課題とする。
【解決手段】モーターの周囲に気体を導入する導入手段を備え、導入手段は、ドラムの内部に配置され且つモーターの外周面の全周をカバーする筒状に形成されたカバー体と、カバー体の内周面とモーターの外周面との間に形成されたスペースに気体を導入する導入部とを有する。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの昇降によって開閉されるシートシャッターであって、
前記シートと、
シートケースと、
左右方向を向いた姿勢で前記シートケースに収容され、前記シートを下方に繰り出するとともに繰り出された前記シートを巻き取るドラムと、
前記ドラムの内部に少なくとも一部が収容され、該ドラムを回転駆動させるモーターと、
前記シートケースの直下に配置され、前記シートケースの直下に繰り出され且つ前記ドラムにより昇降される前記シートを上下にガイドする左右一対のシートガイドと、
前記モーターの周囲に気体を導入する導入手段とを備え、
前記導入手段は、前記ドラムの内部に配置され且つ前記モーターの外周面の全周をカバーする筒状に形成されたカバー体と、前記カバー体の内周面と前記モーターの外周面との間に形成されたスペースに気体を導入する導入部とを有する
ことを特徴とするシートシャッター。
【請求項2】
前記モーターは、前記ドラムの左右一方寄りに配置され、
前記導入手段は、前記ドラムの前記モーターとは反対側に端部における該ドラムの回転軸心側に形成された取入口を有し、
前記ドラムの外部の気体は前記取入口から該ドラムの内部に取り入れられる
請求項1に記載のシートシャッター。
【請求項3】
前記モーターは前記シートケースに対して固定され、
前記導入手段は、前記シートケース内の前記モーター側に少なくとも一部が配管された導入管を有し、
前記導入管は、その一端側は前記導入部に接続して固定され、他端からのエアが導入される
請求項1又は2の何れかに記載のシートシャッター。
【請求項4】
前記シートケースは複数の左右方向に形成されたシートフレームを有し、
前記シートフレームには、その全長方向に沿って中空部が形成され、
前記中空部によって気体の流路が構成された
請求項1乃至3の何れかに記載のシートシャッター。
【請求項5】
前記シートケースは側断面視で多角形状に成形され、
前記シートフレームは前記シートケースのコーナー側に配置された
請求項4に記載のシートシャッター。
【請求項6】
前記シートガイドには、その全長方向に沿って中空部が形成され、
前記中空部によって気体の流路が構成された
請求項1乃至5の何れかに記載のシートシャッター。
【請求項7】
前記シートガイドは平断面視で多角形状に成形され、
前記中空部は前記シートガイドのコーナー側に形成された
請求項6に記載のシートシャッター。
【請求項8】
前記導入手段は、前記スペースに配置され、気体が前記モーターの外周面側を周方向に沿って流動することを規制する規制部材を有する
請求項1乃至7の何れかに記載のシートシャッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シートの昇降によって開閉されるシートシャッターに係わりシートを昇降させるモーターの通気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
シートと、シートケースと、左右方向を向いた姿勢で前記シートケースに収容され、前記シートを下方に繰り出するとともに繰り出された前記シートを巻き取るドラムと、ドラムの内部に少なくとも一部が収容され、該ドラムを回転駆動させるモーターと、シートケースの直下に配置され、シートケースの直下に繰り出され且つドラムにより昇降されるシートを上下にガイドする左右一対のシートガイドとを備えたシートシャッターが公知になっている。
【0003】
該構成によれば、モーターの少なくとも一部がドラムの内部に配置されるため、ドラム設置用の空間を別途設ける必要がなく、全体をコンパクトに形成可能になる。一方、モーターの少なくとも一部が回転駆動されるドラム内に位置した状態になるため、エア又はガスの少なくとも一方を含む気体が前記モーターの周囲で滞留すること等により、このモーター自体の温度を適切に保つことが困難な場合がある。
【0004】
これを改善するため、モーターをドラムの左右一方寄りに配置し、このドラムのモーターとは反対側に端部における該ドラムの回転軸心側に取入口を形成したシートシャッターが開発されて公知になっている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0005】
上記特許文献1のシートシャッターによれば、ドラムの回転の影響が少ない回転軸心側に形成された取入口によって、ドラムの外部の気体をその内部に取り入れることが可能になるため、この気体を利用したモーターの冷却又は加温が可能になる。一方、ドラム内の空間の全体においてモーターが占める割合はそれ程多くないため、ドラム内に取り入れられた気体によってモーターを効率的に加温又は冷却することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-145658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
シートケースに収容されてシートを下方に繰り出するとともに繰り出されたシートを巻き取るドラムと、ドラムの内部に少なくとも一部が収容されて該ドラムを回転駆動させるモーターと、シートケースの直下に配置されて昇降されるシートを上下にガイドするシートガイドとを備え、気体によってモーターを効率的に加温又は冷却できるシートシャッターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のシートシャッターは、シートの昇降によって開閉されるシートシャッターであって、前記シートと、シートケースと、左右方向を向いた姿勢で前記シートケースに収容され、前記シートを下方に繰り出するとともに繰り出された前記シートを巻き取るドラムと、前記ドラムの内部に少なくとも一部が収容され、該ドラムを回転駆動させるモーターと、前記シートケースの直下に配置され、前記シートケースの直下に繰り出され且つ前記ドラムにより昇降される前記シートを上下にガイドする左右一対のシートガイドと、前記モーターの周囲に気体を導入する導入手段とを備え、前記導入手段は、前記ドラムの内部に配置され且つ前記モーターの外周面の全周をカバーする筒状に形成されたカバー体と、前記カバー体の内周面と前記モーターの外周面との間に形成されたスペースに気体を導入する導入部とを有することを特徴としている。
【0009】
前記モーターは、前記ドラムの左右一方寄りに配置され、前記導入手段は、前記ドラムの前記モーターとは反対側に端部における該ドラムの回転軸心側に形成された取入口を有し、前記ドラムの外部の気体は前記取入口から該ドラムの内部に取り入れられるものとしてもよい。
【0010】
前記モーターは前記シートケースに対して固定され、前記導入手段は、前記シートケース内の前記モーター側に少なくとも一部が配管された導入管を有し、前記導入管は、その一端側は前記導入部に接続して固定され、他端からのエアが導入されるものとしてもよい。
【0011】
前記シートケースは複数の左右方向に形成されたシートフレームを有し、前記シートフレームには、その全長方向に沿って中空部が形成され、前記中空部によって気体の流路が構成されたものとしてもよい。
【0012】
前記シートケースは側断面視で多角形状に成形され、前記シートフレームは前記シートケースのコーナー側に配置されたものとしてもよい。
【0013】
前記シートガイドには、その全長方向に沿って中空部が形成され、前記中空部によって気体の流路が構成されたものとしてもよい。
【0014】
前記シートガイドは平断面視で多角形状に成形され、前記中空部は前記シートガイドのコーナー側に形成されたものとしてもよい。
【0015】
前記導入手段は、前記スペースに配置され、気体が前記モーターの外周面側を周方向に沿って流動することを規制する規制部材を有するものとしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
カバー体の内周面とモーターの外周面との間のスペースに導入された気体によって、モーターを効率的に加温又は冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明を適用するシートシャッターの上部構造を示す正面図である。
図2】(A),(B)は本発明が適用されるシートシャッターの上部構造の概要を示す右側面図及び左側面図である。
図3】シートシャッターのシート巻取ドラム及び駆動用モーターを軸支したシートケースの平断面図である。
図4】シートケースの右端背面側の組立構造を示す拡大断面図である。
図5】シートケースの右端部のモーター取付部の構造を示す関連部品の拡大分解平断面図である。
図6】シートケースとシート巻取用ドラム及びモーター側カップリングの拡大縦断面図である。
図7】シートケースの周壁とその取付構造を示す要部拡大縦断面図である。
図8】(A)はモーター取付用の介挿板の拡大側面図、(B)は(A)におけるB-B断面図である。
図9】シートケースのサイドフレームの拡大右側面図である。
図10】(A),(B),(C)はいずれも図9におけるA-A断面,B-B断面及びC-C断面をそれぞれ表している。
図11】シートシャッターのシートガイドの拡大平断面図である。
図12】シートシャッターのシートガイドの拡大分解平断面図である。
図13】同じくシートガイド部の連結部材の拡大正面図である。
図14】(A)はシートガイドに形成された流路への配管構造を示す平面図であり、(B)は(A)のB-B断面図である。
図15】導入手段及び導出手段の要部構成を示す正面図である。
図16】導入手段及び導出手段の要部構成を示す側断面図である。
図17】(A)はブラケット及び接続部材をカバー体と反対側から見た図面であり、(B)は(A)のB矢視図であり、(C)は(B)のC-C断面図である。
図18】閉塞部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<1.シートシャッターの全体構造概要>
図1は本発明が適用されるシートシャッターの上部構造の概要を示す正面図であり、図2(A),(B)は本発明が適用されるシートシャッターの上部構造の概要を示す右側面図及び左側面図である。
図示するシートシャッターは、縦断面が正方形又は正方形に近い長方形のボックス状に組立形成されたシートケース1を備え、その左右端下方には上下方向のシートガイド2が取付けられ、全体として正面視ゲート状に組立て設置される。尚、この例では設置されたシートケース1上の背面側の壁面からシートケース1の上面前端部に向って下降傾斜してシートケース1上を覆う薄板状の傾斜カバー3が設けられている。
【0019】
上記傾斜カバー3は、シートケース1の上面への塵埃の付着や屋外の場合は雨水の降り掛りの防止等を図るもので、薄手のステンレス鋼板,塗装鉄板,プラスチック又はFRPシート等からなる。上端は壁面に沿って取付けられる左右方向の取付杆4にビス止め等によって、下端はシートケース1の上部前端側に両面テープ又はマグネットシート等を介していずれも着脱可能に取付け固定される。尚、上記取付杆4は図6図7に示す後述のカバープレート支持用のビーム32と同一断面のものが転用されている。
【0020】
<2.シート巻取用ドラムの片側軸支機構の概要>
シートケース1は図3図5図7に示すように左右幅が建物の出入口で左右に隣接する支柱又はシートシャッター取付専用の支柱,壁体等の構造部材6に背面側においてボルト7により取付け固定されている。本例ではシートケース1内には、一方向への回動によって、シート42(図11参照)を下方に繰り出すとともに、他方向への回動によって、下方に繰り出したシート42を巻き取るドラム8が両方向に回動可能に支持されている。このドラム8は、その左右の軸支機構が異なっている。具体的には、ドラム8の一端(左端)が直接軸支され、他端(右端)が該ドラム8を両方向に回転駆動させるモーター9を介して軸支されている。このモーター9は、ドラム8の内部に少なくとも一部(本例では全体)が収容されている。
【0021】
シートケース1の左右両サイドには、図3に示すようにケースの端部を覆う左右対称形に板金形成されたサイドカバー11と、各サイドカバー11の内側に重ねて予め部分溶着して一体的に固定される左右のサイドフレーム10,12とがそれぞれ設けられている。左右のサイドカバー11,11とサイドフレーム10,12は共に後端部が内向きに直角方向に折曲げられた取付片11a,10a及び取付片11a,12aを備えており、左右において前後に重ね合わされ、構造部材6に対しボルト7で締着固定されている。このため、一対の取付片11a,10a及び一対の取付片11a,12aには、ボルト7を挿通するボルト孔Hが形成されている。
【0022】
左右のサイドカバー11,11とサイドフレーム10,12の左右方向の重ね合せ面間の中心回りには、後述するボルト13,14のボルトヘッド13a,14aを介在させるための間隙16,17が形成される。この内右側の各ボルト14のボルトヘッド14aの高さ(肉厚)は、上記間隙17の幅に対し約1mm程度高く(厚く)形成されており、組付時のサイドカバー11のボルト締め(図5参照29)により、ボルトヘッド14aを内向きに押圧挟持する締め付代ΔS(図4参照)が形成される(この締付け機構については後で詳述する)。
【0023】
<3.ドラム軸の軸支機構>
左側のサイドフレーム10の略中心位置には、中空の筒状に成形された軸受ボス18が内向きに突出して外端部外周のフランジ部19において前述したボルト13により締着固定され、この軸受ボス18の基端側には、ドラム8の端板21の中心部に突設した中空の筒状に成形されたドラム軸22の外端部がベアリング23を介して回転自在に軸支されている。
【0024】
また、軸受ボス18の周壁には、該軸受ボス18の内外を連通させる通気孔24が穿設されており、この通気孔24とドラム軸22の断面内の中空部22aを通じ、ドラム8内にシートシャッターの設置環境の条件に応じて、冷却用又は加温用のガス(エア)が供給又は排出(流通)できる機構となっている。
【0025】
<4.モーターの取付機構>
次にシートケース1の右端側におけるドラム8の軸支とモーター9の取付機構につき説明すると、モーター9の基端(右端)側のフランジ部26の端面には、図8(A),(B)に示す平板状の正方形又は長方形の薄手板からなる介挿板27が、該介挿板27及びフランジ部26の円形外周に沿ったピッチサークル上に配設されたボルト孔Hを介してボルト14により予め取付けられている。
【0026】
他方、サイドフレーム12は、図9に示すように側面視前後横長の長方形であるが、その中心回りには、上記ピッチサークル上のボルト14(図8に示すように本例では6本)全部を挿通する単一の円形の挿通孔28がボルト14の外周に近接して繰り抜き形成されている。この挿通孔28は各ボルト14位置に個別に穿設しても良い。さらにサイドフレーム12の長方形の四隅と下端後半部には、後で述べるシートケース1内に横設され、該シートケース1の周壁(カバープレート)を保持するためのビーム(シートフレーム)32~34(後述する)の挿通スペースとしての切欠部12b~12eが切欠形成されている。この切欠部12b~12eと同形の切欠部が同じくビーム類の他方の端部を挿通するために左側のサイドフレーム10にも形成されている(図示せず)。
【0027】
さらにサイドフレーム12の挿通孔28の周縁部は、図3図5図9図10(A)に示すように、介挿板27と重なり合うように側面視略正方形の形状で内向きに押出し成形された陥没部12fとなっている。この陥没部12fによりサイドフレーム12とサイドカバー11との間に前述したボルトヘッド収容用の前記間隙17が形成される。ちなみに上記陥没部12fと同様に左サイドフレーム10にも内向きの陥没部10bが形成され、同様なボルトヘッド収容用の前記間隙16が形成される。
【0028】
前記介挿板27の外側面とサイドフレーム12の陥没部12fの内周面は、互に重ね合わされて6本のボルト14を挿通孔28を介して(ボルトヘッド14aを)外側に突出させた状態でボルト29(この例では4本)とナット31により締着固定される。ボルト29は介挿板27とサイドフレーム12の陥没部12fとの四角形の各コーナー部に穿設されたボルト孔Hに挿通されて両者を締着する(図3図5参照)。また各ボルト29のボルトヘッドは薄肉に形成され、予めサイドフレーム12側に溶着固定され、先端が左右内向きに突出されている。
【0029】
一方サイドカバー11は、既述のように背面側の取付片11aがサイドフレーム12の取付片12aと重ねられて構造部材6にボルト7によって共締めされて取付けられるが、サイドフレーム12の外側を覆ってシートケース1の左右両端の端面カバーとして左右内向きにも締着固定される。ちなみに、共締めされる2つの取付片11a,12aの夫々には、ボルト7を挿通させるボルト孔Hが複数形成されている。
【0030】
即ち、左右のサイドカバー11,11間の側面視における四隅と下辺中央内側には、両カバー11,11間を連結するように左右方向の中空部材よりなる合計5本の棒状の中空部材からなるビーム32,33,34が互に平行に配置され、左右のサイドカバー11,11は該ビーム32~34の両端断面内に形成されたタップ孔32a,33a,34aにボルト(タッピングビス)35で内向きに締着固定されている(図3図4図6参照)。上記ビーム32~34は後述するようにシートケース1の周壁を装着する取付部材を構成している。
【0031】
このビーム32~34への締着により右側サイドカバー11の内面は、前記間隙17内において前述のサイドフレーム12より外向きに突出したボルトヘッド14aを外側より介挿板27及びフランジ部26との間で強い力で内向きに押接するとともに、介挿板27とサイドフレーム12を介し、モーター9を一体的に支持するフレームメンバーとして機能する。その結果モーターは薄手の板金部材であるにも拘わらず、軽量部材の一体的な組合せユニットによって強固に支持される。
【0032】
<5.モーターを介したシート巻取ドラムの支持と連結>
上記構成によりモーター9はサイドフレーム12の内面側に内向きに支持されるとともに、図3図6に示すようにモーター9の先端に突出するモーター軸36に嵌合されたカップリング37を介して、ドラム8内部と一体的な回転駆動が可能に連結されており、同時にモーター9はドラム8の右端をサイドフレーム12側に軸支する機構となっている。
【0033】
上記カップリング37はモーター軸36に嵌合されるフランジ付のボス部37aと、フランジ部に同心的に取付けられ、側面視菊座状に形成された一対の皿状部材からなるカップ部材37bとからなり、上記菊座状の周壁(カップリング羽根)とドラム8内周の係合溝8aにスプライン状に嵌合させて、モーター9によってドラム8を支持しながら回転駆動させる機構となっている(図3図6参照)。
【0034】
<6.ビームとビームによるカバープレートの取付機構>
左右のサイドカバー11,11を左右内向きに締着固定し、シートケース1の周壁の骨組みとなるビーム32~34は、図6図7に示すようにこの例では共にアルミ押出し成形された角型の中空異形断面を備えている。この内シートケース1の角型側断面の上辺側の前後コーナー部、下辺側の前端コーナー部のビーム32,33、底辺中央部付近と底辺背面側のビーム34とは次に述べるケース周壁(カバープレート41a~41d)端部の取付構造の違いにより異なる。
【0035】
即ち、この実施形態で示すシートケース1は、図6図7で示すように側断面視で多角形状(さらに具体的には略正方形に近い長方形)に成形されている。このシートケース1の内周面側の各コーナーと、背面寄り且つ底面側の位置との計5箇所の夫々には、左右方向のビーム32~34が、シートケース1の全長方向の全体に亘って形成されている。
シートケース1の正面で上下に隣接するビーム33,33同士の間と、上面で前後に隣接するビーム32,33同士の間との夫々には、左右方向の長い方形状に成形されたカバープレート41a,41bが配置されている。この2枚のカバープレート41a,41bはシートケース1の上面壁及び前面壁となる。各カバープレート41a,41bは、一定の剛性と弾力性を備えた薄板から構成され、その材質は例えば0.2mm厚程度の薄手の平板状又はシート状の材料で耐水性,耐候性,弾力性等を備えたものが望ましく、コーティング紙,セルロース材,プラスチック材,FRP材のほか、ステンレス鋼板,アルミ板等の採用が可能である。各カバープレート41a,41bの4辺におけるビーム32,33に接する側の各辺が該ビーム32、33に差込固定されている。
【0036】
またシートケース1の底面の前寄り部分で前後に隣接するビーム33,34同士の間にも、幅狭の薄板材からなる底辺カバープレート41cの前後両側辺が差込固定されている。一方,シートケース1の底面の後寄り部分で前後に隣接するビーム34,34同士の間には、カバープレートようなシート材は設けず、ドラム8に巻取られたシート42(図11参照)の昇降通路用の開口部1aが形成されている。またシートケース1の背面側上下のビーム32,34間にもカバープレート41dが取付けられているが、シートケース1を建物の壁面等に直接取付ける場合は、この背面カバープレート41dは省略することができる。
【0037】
<7.カバープレートの取付機構とビームの断面構造>
前記ビーム32~34は、いずれも角形中空パイプを本体部32b,33b,34bとし、その外周には垂直方向又は水平方向のカバープレート41a~41dの両側端を差込固定するための差込溝32c,33c,34cとそれぞれ形成されている。
【0038】
さらに上下辺及び前側辺となるカバープレート41a~41cを差込む差込溝32c,33c,34cの溝奥側には、差込まれたカバープレート41a~41cの差込端を外周側から押圧係止する薄板状の押え片32d,33d,34dが形成されるとともに、各差込溝32c,33c,34cの入口側には、差込まれるカバープレート41a~41cをケース内側から受け止める薄板状の受部32e,33e,34eが垂直方向又は水平方向に形成されている。ケース前方の上下コーナーのビーム33においては、2つの押え片33dが上下方向左右方向に直交して外向きの矢印状断面に形成されている。
【0039】
上記ビーム32,33及び底辺中途のビーム34に対し、カバープレート41a~41cを差込み(嵌め込み)固定して装着するには、各カバープレートを外側に弾力的に湾曲させた状態で、前後又は上下に向き合う差込溝に対し、各カバープレートの両端を差込み、弾力を解放復元させることによって装着される。この装着状態では、各カバープレートの両側端は、対応する差込溝32c,33c,34cの最深部まで挿入された状態で、内側より受部32e,33e,34eに受止められながら、各押え片32d,33d,34dに外側より受止められて弾力的に係止される。上記各カバープレート41a~41cの側端部は必要に応じて例えば各ビーム32~34の受部32e~34e側にビス止めすることもできる。メンテナンス等に際しカバープレート41a~41cを取外す際は、ケース内側から外向きに押圧湾曲させることによって取外しができる。
【0040】
図6図7に示すように上辺背面側のビーム32と正面側の上下ビーム33は、共に略正方形の中空断面の各パイプ状断面からなる本体部32b,33bを形成しており、内側のコーナー部に前述したサイドカバー11を締着するためのタッピングビス35のタップ孔32a,32dが形成されている。またケース断面底辺の中途のビーム34と、下部背面側のビーム34とは共に長方形断面で中空の角パイプ状に形成され、上記同様内側コーナー断面部にサイドカバー11の取付用タップ孔34aを形成している。背面側のビーム32,34は、背面の壁その他の構造物にビス止め等によって取付けることもできる。
【0041】
<8.ビームのその他の機能>
上記ビーム32~34の本体32b,33b,34bは内部の空洞な角パイプ状に成形されている。言い換えると、該本体32b,33b,34bの内部には、その全長方向に沿って中空部(流路)S1が形成されている。この空中部S1は、ビーム32~34の全長方向の全体を占める範囲に形成され、シートシャッター制御用の配線管として利用ができる他、シートケース21内及びモーター9やドラム8,シート等を、シャッターの設置環境に応じて冷却し又は加温するためのエアやガスの流通配管として利用することが可能である。言い換えると、中空部S1は、エヤ又はガス等の流路となるとともに、配線スペースにもなる他、配管スペースにもなる。
【0042】
これらのビーム32~34は、アルミ押出成形の金属製とし又は剛性を備えたFRP製とすることにより、上記各面のカバープレート41a~41cを強固に且つ着脱容易に取付け保持するほか、シートケース1の断面コーナー部を形成する構造部材としても機能する。
【0043】
<9.シートケースの構造部材への取付け>
上記のように構成されるシートケース1は、建物側又は壁面等の構造部材6に対し、既述のようにボルト7によって取付けられるが、この時サイドフレーム10,12,サイドカバー11の取付部10a,11a,12aのボルト孔H図10(A)に示すように、この例では上下方向に3個、左右2列に設けられている。
この内再上段の孔Hは、下部がボルト7のボルトヘッドを挿通できる大径の円弧状で、上部が通常のボルト孔径の小径の円弧状に連続するダルマ形に穿設され、構造部材6側には、最上段のボルト孔Hのみに挿通する2本のボルト7のみが予めねじ込まれている。
【0044】
サイドフレーム10,12とサイドカバー11は先ずこの最上段のボルト7を挿通して係止することにより仮止めされ、その後下段側のボルト孔Hにボルト7を挿通し、すべてのボルト7が挿通された状態で位置合せして構造部材6側に取付固定される。この方法では予め介挿板27を取付けたドラム8が吊り上げられ、構造部材6に取付けられた左右のサイドフレーム10,12に対してボルト29,ナット31により取付固定される。この取付に際し、背面側上下のビーム32,34が背面のカバープレート41aと共に取付けられ、次いでビーム32~34とサイドカバー11がビス35により締着される。
【0045】
サイドフレーム10,12とサイドカバー11は、現場の作業条件により、予めドラム8の端部に取付けられた状態で吊り上げて構造部材6側に取付けることも可能である。
【0046】
<10.シートガイドの構造と取付機構>
図11図13はシートガイド2の断面構造及びその組付部品を示し、左右のシートガイド2は、平断面形状が多角形(図示する例では、前後方向に長い長方形)をなす中空状をなして上下方向に形成されている。なお,シートガイドは平断面視で正方形の中空状に形成してもよい。シートガイド2の背面側を左右複数列(2列)のボルト43で構造部材6に沿って多段位置で取付けられる。この取付部材となり且つ背面壁と外側面を逆L字形断面に構成されるガイドフレーム44,内側面側を構成し前後の略中心位置に内向きのコ字形のガイド溝46を形成した横方向内向きのΩ字形断面のレール部材47,前方(正面)側に着脱可能な縦長の蓋を構成する縦長で平板状断面のカバー部材48とを組合わせて構成されている。40はガイドフレーム44の内部背面側の下端コーナーに接地してガイドフレーム44の下端をアンカー固定する押え金具である。
【0047】
またレール部材47のガイド溝46の周壁47aの外端とガイドフレーム44の外側壁44aの内面とは、横向きのアングル状断面の板金部材からなる連結部材49によって上下方向に間隔をおいて複数箇所(例えば3~4箇所)で連結され、これらのシートガイド2の構成部品の内、ガイドフレーム44とレール部材47はアルミ製の薄肉押出し成形部品からなり、カバー部材48は、アルミ製の薄肉押出し成形部品又は、上下方向の平板状にプラスチック押出し成形品からなる。ガイドフレーム44の外側には配線ダクトを形成するコ字形C型断面のダクトカバー51が取付けられている。
【0048】
ガイドフレーム44とレール部材47は、図11に示すようにカバー部材48とともに全体として中空の角筒状断面に組合わされるが、シートガイド2の内側壁側上部のガイド溝46の開放部側上方でガイドフレーム44とレール部材47の内側壁端部が重ね合わされてビス52で連結締着される。
【0049】
他方、ガイドフレーム44の外側壁44aの下端側とレール部材47のガイド溝46の周壁の周面との間は、平面視L字形(アングル状)断面の連結部材49によって上下方向に間隔をおいて複数箇所(例えば3~4箇所)で連結固定され、ガイドフレーム44とレール部材47は上記2箇所において連結されて一体的に固定される。
【0050】
この時、連結部材49の左右方向の一辺の後面と前側溝壁47aの前面側の重なり合う両面間は、ビス53でねじ止めされ、連結部材49の他方(前後方向)の辺は、ガイドフレーム44の外側壁44aの内面に溝状断面に形成されたフック部44bに後方より差込係止することによりガイドフレーム44とレール部材47とを連結している。
【0051】
ガイドフレーム44とレール部材47の周壁前端は、互に正面壁の一部を構成しながら左右方向から向き合った上下方向に平行な開口部54を形成しており、両者の開口部間に前記カバー部材48が係脱可能に差込まれ又は嵌合されて保持される。カバー部材48を取外した状態では、シートガイド2内での配線,配管や内部に収容した機器類の操作,メンテナンス作業等が可能である。
【0052】
また前記連結部材49を介したガイドフレーム44とレール部材47の連結とカバー部材48の嵌め込みを容易にするために、連結部材49による連結には融通機構が設けられている。即ち、連結部材49をレール部材47に取付ける連結部材49側のビス孔(ボルト孔)H図13に示すように左右方向の長孔に形成されており、仮付状態で左右位置調整可能となっている。この他連結部材49の他方の(前後方向の)取付片は、組付時にガイドフレーム44の外側壁44aに沿ってフック部44bの溝内で(仮締め状態では)前後にスライドできる機構となっている。
これらの構成により、カバー部材48を嵌め込み固定するガイドフレーム44とレール部材47の前面部の開口部54の左右幅を、カバー部材48の幅に合わせて最適に調節することができる。
【0053】
また必要に応じ、フック部44bの内面と連結部材49の前後方向の辺の間に弾力性のあるゴム又は合成樹脂材等からなるシート状のクッション材(図示しない)を介挿してもよい。この機構により、開口部54の左右幅は弾力的に開閉調整ができるため、カバー部材48がスムースに嵌合固定される。
【0054】
さらにガイドフレーム44の外側壁44aの前後の内面コーナーには、斜め方向の補強リブ44cが設けられてサイドフレーム44の強度補強ができる。この補強リブ44cとガイドフレーム44の周壁コーナーとの間には、三角形のパイプ状の中空部S2が該ガイドフレーム4の全長方向に沿って、その全体に亘り形成されている。この中空部S2は、シートシャッター内、例えばシートケース1内のモーター9やシート42等に、冷却や加温用のガス(エア)、又は消毒・殺菌用のガスを供給する流路として利用することが可能である。シートガイド2の内向きの周壁の適宜な高さ位置には、これらのガスをシート42の表面に噴射するための内向きのノズル56を設置することも可能である。このノズル56は上記中空部44dとの間でホース等による接続配管が必要な他、シートガイド2内の中空スペースに供給すべき薬剤等の収容タンクやこれらの接続配管が必要である(いずれも図示しない)。
尚、上記補強リブ44c及び中空部44dは、シート42の種類や左右両側端のガイド機構(例えば後述する芯材57の有無)等の相違に応じて異なるサイドフレーム44の断面に対応して、これらを設置するコーナーの選択や数の増減ができる。
【0055】
尚、上記シートガイド2自体は、通常はシートケース1の取付けに先立って構造部材6側に組付けられるが、現場の作業条件等によってはシートケース1の取付後に設置することも可能である。そしてシートガイド2の上端とシートケース1の背面側底面とは、要所においてアングル状断面のジョイント金具(図示しない)等によって連結固定されるが、いずれも構造部材6側に取付固定されることにより、シートケース1の全重量をシートガイド2によって支持させる構造は避けられ、そうすることによってシートガイド2の軽量化が実現できる。
また、シートシャッターの設置場所付近の床面、若しくは床面に設置させた台座の水平面内を組み立て台として、シートシャッター全体を横倒し状態に組み立てて、組み立て完成後に起立させて構造部材6側に組付けても良い。このようにすると組み立てするときに作業者の腰高位置ぐらいが組み立て作業箇所となり効率的に組み立て作業が遂行できる。
【0056】
<11.シートの構成例とシートガイド>
図11に示すシート42は、グラスファイバー等で補強された公知の樹脂製シートであるが、この例では所定間隔毎に左右方向に芯材57を挿通し、その左右の突出端に昇降を円滑に案内するガイドリング58を軸支しており、このガイドリング58が内側からガイド溝46内に収容されて昇降ガイドされる公知の機構のものである。
【0057】
したがってレール部材47の断面構造寸法等は、使用されるシート42の左右両端の構造によって異なり、芯材のないシートを用いる場合は、当該シートの側端の形状に適合する断面構造のものが使用される。またシートガイド2の内側正面側には、芯材57が突出しない平坦なシート面に断面先端が弾力的に押設されてシートシャッターの内側と外側の気密性を確保する弾性部材からなるシール部材59が突設されている。
【0058】
<12.カバープレートの応用例>
前述の通り、この実施形態で示すシートケース1は、図6図7で示すように側断面が略正方形に近い長方形であり、一定の剛性と弾力性を備えた薄板からなるカバープレート41a,41bが側端においてそれぞれ着脱可能に差込固定されている。従って、例えば
シートケース1の前面側に位置するカバープレート41bの表面にデザイン表示したり広告表示をしたりするものに付け替えることが可能であり、ユーザーの好みに応じて適宜に取り替えることができる。
このように、多彩な表現ができる巻取ボックスカバーを構成できるので、例えば、会社などにおいてもカバープレート41bに、社内啓蒙標語やメッセージ、絵画や表彰された社員の写真を入れるなどすることが可能となり社内情報伝達の媒体として利用できる利便性がある。
また、これらのカバープレート41bを透過性のものに構成した場合には巻取りボックス内のライトで照らされて職場環境を明るくする効果が期待できる。
さらには、このカバープレート41bを有機ELで表示するようにしておくと、例えば販売店舗などの商品情報や販売特ダネ情報、他店舗の案内情報などを電子表示管理することが可能となり顧客サービスの向上に寄与できる利点もある。
【0059】
<13.エアの流動経路>
図14(A)はシートガイドに形成された流路への配管構造を示す平面図であり、(B)は(A)のB-B断面図である。図2(A)に示す通り、冷却又は加温を目的として導入されるエア又はガスの少なくとも一方を含む気体は、一の流動管61である流動管61Aによって、左右一方側(具体的には左側)のシートガイド2である導入側シートガイド2Aの内部における背面寄りで且つ左右外側の箇所に形成された前記流路S2に導入される。
【0060】
具体的には、図2(A)及び図14に示す通り、導入側シートガイド2Aの背面側に位置する構造部材6の内部から該導入側シートガイド2Aの内部に至る範囲に配管された流動管61Aにおける流動下流側の端部は、導入側シートガイド2Aの内部の背面寄りで且つ左右外側の位置に配置された補強リブ44cにおける前記流路S2とは反対側の面に、ボルト又はピン等の固定部材62によって取り付けられた接続部材63に接続して固定される。
【0061】
接続部材63には、流動管61からの気体を流路S2側に向かって流動させる流路63aが形成されるとともに、該接続部材63が固定される補強リブ44cには、該流路63aからの気体を前記流路S2に流入させる流入孔44c1が穿設されている。このようにして前記流路S2に流入した気体は、下方に流動した後、接続部材63を介して、一の流動管61である流動管61Bに導入される。この流動管61Bによって、該導入側シートシートガイド2Aの正面寄りで且つ左右外側に位置する流路S2側まで流動した気体は、接続部材63を介して該流路S2内に流入し、その内部において上方に流動する。この流路S2の上端側までに達した気体は、接続部材63を介して、一の流動管61である流動管61Cに流入する。
【0062】
図6に示す通り、流動管61Cは、何れかのビーム32,33,34(本例では、底面側における前後中途部に位置するビーム34)における導入側シートガイド2Aに近い側の端部(導入側端部)まで延設され、このビーム34の当該端部に接続されている。このため、前記気体は、前記流動管61Cから該ビーム34内の流路S1に導入される。
【0063】
このビーム34の流路S1に導入された気体は、該流路S1において、該ビーム34の導入側シートガイド2Aの左右反対側に配置されたシートガイド2である非導入側シートガイド2B(図1及び図2を参照)に近い側の端部(非導入側端部)まで流動する。
【0064】
この流路S1の非導入側端部まで流動した気体は、一の流動管61である流動管61Dを介して、該ビーム34以外の何れかのビーム32,33,34(本例では、シートケース1の底面の背面側に位置するビーム34)における非導入側端部から、その内部の流路S1に流入する。このビーム34内の流路S1に流入した気体は、その導入側端部まで流動し、一の流動管61である流動管61Eを介して、シートケース1の背面側且つ上端側に位置するビーム32内の流路S1の導入側端部に導入される。このビーム32の流路S1の導入側端部から該流路S1に流入した気体は、該流路S1の非導入側端部まで流動し、一の流動管61である流動管61Fに流入される。
【0065】
図2(B)に示す通り、流動管61D内の気体は、非導入側シートガイド2Bにおける背面寄りで左右外側に位置する流路S2の上端部まで流動し、接続部材63を介して該流路S2内に導入される。この流路S2内の気体は下方に流動し、接続部材63を介して一の流動管61である流動管61Gに導入される。流動管61G内の気体は、非導入側シートガイド2Bにおける正面寄りで左右外側に位置する流路S2側まで流動し、接続部材63を介して該流路S2に導入される。この流路S2内の気体は、その上端側まで流動し、接続部材63を介して、一の流動管61である流動管61Hに導入される。図3に示す通り、この流動管61Hは、この接続部材63と、軸受けボス18に穿設された通気孔24とを接続するように配管され、該通気孔24を介して、前記気体をドラム8内に導入する。
【0066】
気体の流動経路は、これに限定されるものではなく、求められる条件に合わせて適宜変更である。例えば、加温した気体を最短で目的の箇所まで到達させたい場合には、最短の流動経路を形成する一方で、高温の気体を、その流動過程で冷却したい場合には、流動経路を長く設定することが可能である。また、これらの気体をモーター9の近傍(周囲側)まで導入する導入手段を設けることにより、該モーター9の適切な温度に加温又は冷却するようにしてもよい。さらに、本例では、モーター9の近傍(周囲側)の気体を遠くまで導出する導出手段も設けることにより、気体を循環させ、適切な状態に保持させる。
【0067】
<14.導入手段及び導出手段>
図15図16は導入手段及び導出手段の要部構成を示す正面図及び側断面図であり、図17(A)はブラケット及び接続部材をカバー体と反対側から見た図面であり、(B)は(A)のB矢視図であり、(C)は(B)のC-C断面図である。
【0068】
導入手段及び導出手段の夫々は、ドラム8内に配置され且つモーター9の外周面を全周に亘りカバーする筒状に成形されたカバー体64を備え、該カバー体64の内周面とモーター9の外周面との間には、その全周に亘り筒状形態の隙間(スペース)S3が形成されている。カバー体64は、モーター9と同一軸心となり且つ該モーター9におけるフランジ部26及びモーター軸36以外の部分の外周面を覆う範囲に形成されている。このカバー体64は複数のブラケット66によってモーター9のフランジ部26に取り付け固定されている。
【0069】
ブラケット66は、金属製の方形状プレートの長手方向の一端寄り部分が、それ以外の部分に対して90°程度屈曲したL字状に形成されている。
【0070】
ブラケット66のL字状の一方側は、フランジ部26の径方向に延びる板状部分であり、この板状部分の中央寄り箇所には、モーター8の軸方向に沿う方向に筒状に成形されたボス部67が一体的に形成されるとともに、該ボス部67の内周面を含み該板状部分をその厚み方向に貫く被取付孔66aが形成されている。
【0071】
その一方で、ブラケット66のL字状の他方側も、モーター9の軸方向に沿って左右方向に延びる板状部分であり、この板状部分には、前記隙間S3に気体を導入する導入部又は前記隙間S3から気体を導出する導出部の一部を構成する円形の連通孔66bと、カバー体64をブラケット66に取り付けて固定するための取付孔66c,66cが穿設されている。連通孔66bは該板状部分の先端寄り箇所に形成され、取付孔66c,66cは、連通孔66bを挟んだ左右対称な夫々の箇所に形成されている。
【0072】
上述したボルト14は、被取付孔66aに挿通され、前記ブラケット66を介挿板27と共にフランジ部26に共締め固定するように構成されている。一方、上述した一対の取付孔66c,66cに挿入されるピン又はボルト等の図示しない取付具によって、前記カバー体64がブラケット66に着脱可能に取り付け固定されている。
【0073】
該構成のブラケット66は、図16に示されるように、モーター9及びカバー体64の周方向に所定の間隔(図示する例では3分の1周)毎に並べて複数(図示する例では3つ)設けられている。複数のブラケット66のなかの2つのブラケット66には接続部材69が着脱可能に取り付け固定されている。2つの接続部材69の一方には、上述した流動経路の途中(具体的には、ビーム32の流路S1における導入側部分)から前記隙間S3に気体を導入させる導入管71(図6参照)の流動下流側の端部が接続され、他方には、前記隙間S3の気体を上述した流動経路の途中(具体的には、ビーム34の流路Sにおける導入側部分)に導出させる導出管72(図6参照)の流動上流側の端部が接続される。
【0074】
接続部材69は、ブラケット66における取付孔66c、66cが穿設された側の板状部分の長手方向に長く且つ該板状部分よりも幅狭な直方体状に成形された本体73と、該本体73の長手方向の両端面における前記板状部分側の端部から、互いに離間する方向に一体的に鍔状に延設された一対の取付座部74,74とを一体的に有している。
【0075】
一対の取付座部74,74には被取付孔69a,69aがそれぞれ穿設されている。この一対の被取付孔69a,69aは、接続部材69のブラケット66への取り付け固定時、対応する前記取付孔66c,66cと一致する状態になる。このようして被取付孔66c及び取付孔69aが相互に接続されて単一の孔を構成し、上述したピンやボルト等の取付具が、この単一の孔を貫通するように挿通されることによって、この接続部材69がカバー体64と共にブラケット66に着脱可能に共締め固定される。
【0076】
本体73には、中空部73aと、該中空部73aと前記連通孔66bとを連通させる連通孔69bとが形成されている。中空部73aは、本体74の長手方向のボス部67に近い側の端部が開放されている。連通孔69bは、上述した連通孔66bと一体となって単一の孔を形成し且つ上述した導入部又は導出部の一部を構成する。また、ブラケット66に取り付け固定されるカバー体64にも、該固定時に2つの連通孔66b,73cと共に単一の孔を形成する連通孔(図示しない)が穿設されている。
【0077】
これら3つの連通孔66b、69bは、その形状が同一な円形に成形され、中空部73aと上述した隙間S3とを空間的に接続させる。上述した3つの連通孔66b、73cによって形成される断面視で円形の孔と、該孔と連続し且つ導入管71が接続される中空部73aとは、カバー体64の外部から隙間S3に気体を導入する前記導入部を構成する。一方、上述した3つの連通孔66b、73cによって形成される断面視で円形の孔と、該孔と連続し且つ導出管72が接続される中空部73aとは、隙間S3からカバー体64の外部に気体を導出する導出部を構成する。
【0078】
すなわち、前記導入手段は、カバー体64、導入管71及び前記導入部から構成され、前記導出手段は、カバー体64、導出管72及び前記導出部から構成される。
【0079】
また、図3に示す通り、通気孔24及び中空部22aも、外部の気体をドラム8内に取り入れる取入口として機能する。この取入口からドラム8内の取り入れられた気体は、ボス部67のスペーサとしての機能によって筒状のカバー体64の軸方向の一方側端部とフランジ部26との間に形成されたクリアランスから、隙間S3に導入され、隙間S3の気体は、該クリアランスから外部に排出される。すなわち、この取入口によって前記導入手段の一部を構成してもよい。
【0080】
<15.隙間>
図18は閉塞部材の側面図である。図15図16及び図18に示す通り、隙間S3は、カバー体64とモーター9との間に形成された筒状形態の空間であり、その軸方向の一端側は、上述したクリアランスを許容しつつも、フランジ部26によって大部分がカバーされる。また、図15図18に示す通り、隙間S3の軸方向の他端側は、円形ドーナツ状に成形され且つ弾力変更可能な閉塞部材76によって閉塞されている。
【0081】
また、この隙間S3には、その周方向に所定間隔毎(図16に示す例では半周毎)に、その軸方向に延びる規制部材77が設けられている。また、規制部材77は、カバー体64の内周面と、モーター9の外周面との間の間隔を一定に保持するスペーサとしても機能する。このため、隙間S3の筒状の形状も安定的に保持される。
【0082】
規制部材77のフランジ部26側の端部は、隙間S3のフランジ部26側の端部までは達していない。このため、隙間S3におけるフランジ部26寄りの空間では、気体がモーター9の外周面側を周方向に流動することが規制されない。また、規制部材77のフランジ部26と反対側の端部は、隙間S3の閉塞部材76までは達していない。このため、隙間S3における閉塞部材76側の端部の空間では、気体がモーター9の外周面側を周方向に流動することが規制されない。これに対して、隙間S3の大部分の空間では、気体がモーター9の外周面側を周方向に流動することが複数の規制部材77によって規制される。
【0083】
このような構成により、隙間S3において、気体が迂回しながら流動し、これによって、モーター9が効率的に加温又は冷却される。
【0084】
ちなみに、本実施形態に係るシートシャッターを超低温下の冷凍庫などの入り口や間仕切りなどに設置して場合でも、適切な温度の温風を導入すれば、モーター9の周辺の温度を、その運転に支障をきたさない温度に維持できる。また、これによって、シート42の結露や霜の付着が防止され、該シート42による円滑な開閉作動を維持できる。逆に室温がサウナ程度の超高温下の出入り口や間仕切り等に設置する場合も、適切な冷風を導入すれば、モーター9の周辺の温度を、その運転に支障をきたさない温度に維持できる。
【符号の説明】
【0085】
1 シートケース
2 シートガイド
8 ドラム
9 モーター
32 ビーム(シートフレーム)
33 ビーム(シートフレーム)
34 ビーム(シートフレーム)
42 シート
64 カバー体
71 導入管
77 規制部材
S1 流路(中空部)
S2 流路(中空部)
S3 隙間(スペース)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18