(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100771
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】枝管接続部材
(51)【国際特許分類】
F16L 41/08 20060101AFI20220629BHJP
F16L 1/028 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
F16L41/08
F16L1/028 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214964
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】水野 宏俊
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 稔
【テーマコード(参考)】
3H019
【Fターム(参考)】
3H019DA03
3H019DA09
(57)【要約】
【課題】特別な治具等を用いることなく、枝管の取付対象となる本管に対して取付施工可能な枝管接続部材を提供することを目的とする。
【解決手段】枝管接続部材10は、枝管5を接続可能な外周部材20と、本管1の内部に導入され、本管1に穿孔された開口3の周辺部において本管1の内周側に装着される内周部材50と、内周部材50及び外周部材20を連結する線状部材70と、を有する。外周部材20は、軸線方向が本管1に対して交差するように配される外筒部22yと、外筒部22yの軸心位置を中心に回動可能とされた回動部34と、回動部34の回動に伴い回動部34を軸線方向に移動可能とする回動部移動機構120と、を有する。線状部材70の外周部材20側における連結部は、回動部34と共に軸線方向に移動可能とされている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本管に対する枝管の接続に用いられる枝管接続部材であって、
前記本管の外側に配され、前記枝管を接続可能な外周部材と、
前記本管の内部に導入され、前記本管に穿孔された開口の周辺部において前記本管の内周側に装着される内周部材と、
前記内周部材及び前記外周部材を連結する線状部材と、を有し、
前記外周部材が、
軸線方向が前記本管に対して交差するように配される外筒部と、
前記外筒部の軸心位置を中心に回動可能とされた回動部と、
前記回動部の回動に伴い前記回動部を軸線方向に移動可能とする回動部移動機構と、を有し、
前記線状部材の前記外周部材側における連結部が、前記回動部と共に軸線方向に移動可能であること、を特徴とする枝管接続部材。
【請求項2】
本管に対する枝管の接続に用いられる枝管接続部材であって、
前記本管の外側に配され、前記枝管を接続可能な外周部材と、
前記本管の内部に導入され、前記本管に穿孔された開口の周辺部において前記本管の内周側に装着される内周部材と、
前記内周部材及び外周部材を連結する線状部材と、を有し、
前記外周部材が、
軸線方向が前記本管に対して交差するように配される外筒部と、
前記外筒部の軸心位置を中心に回動可能とされた回動部と、
前記外筒部の軸心位置を中心に回動して前記線状部材を巻き付け可能な巻付部と、
前記回動部及び前記巻付部が一体的に回動可能なように連結された一体回動状態と、前記回動部が前記巻付部に対して独立して回動可能なように連結された独立回動状態とに切り替え可能な切替機構と、
少なくとも前記独立回動状態において、前記回動部の回動に伴い前記回動部を軸線方向に移動可能とする回動部移動機構と、を有し、
前記線状部材の前記外周部材側における連結部が、前記回動部と共に軸線方向に移動可能であること、を特徴とする枝管接続部材。
【請求項3】
前記外筒部と同一の軸心位置を中心として回動可能とされた筒状部と、
前記外筒部に対する前記筒状部の回動を規制及び規制解除可能な第一回動規制部と、
前記筒状部に対する前記回動部の回動を規制及び規制解除可能な第二回動規制部と、を有し、
前記切替機構が、前記筒状部、前記第一回動規制部、及び前記第二回動規制部を含んで構成されるものであり、
前記巻付部が、前記筒状部に対して前記軸線方向に移動可能、かつ回動不能に連結されていること、を特徴とする請求項2に記載の枝管接続部材。
【請求項4】
前記巻付部が、前記回動部に作用する回動力を受けて回動するものであること、を特徴とする請求項3に記載の枝管接続部材。
【請求項5】
前記筒状部が、周部において凹凸をなすように設けられた筒状部凹凸を有し、
前記外筒部が、周部において凹凸をなすように設けられた外筒部凹凸を有し、
前記第一回動規制部が、
前記筒状部凹凸及び前記外筒部凹凸の双方に対して係合して前記筒状部及び前記外筒部の相対回転が規制された状態、及び前記筒状部凹凸及び前記外筒部凹凸の一方又は双方から離脱して前記筒状部及び前記外筒部の相対回転が許容された状態に切り替え可能な第一係脱部を有すること、を特徴とする請求項3又は4に記載の枝管接続部材。
【請求項6】
前記筒状部が、周部において凹凸をなすように設けられた筒状部凹凸を有し、
前記回動部が、周部において凹凸をなすように設けられた回動部凹凸を有し、
前記第二回動規制部が、
前記筒状部凹凸及び前記回動部凹凸の双方に対して係合して前記筒状部及び前記回動部の相対回転が規制された状態、及び前記筒状部凹凸及び前記回動部凹凸の一方又は双方から離脱して前記筒状部及び前記回動部の相対回転が許容された状態に切り替え可能な第二係脱部を有すること、を特徴とする請求項3~5のいずれか1項に記載の枝管接続部材。
【請求項7】
前記筒状部、前記回動部、及び前記外筒部の周面に沿ってスライド移動可能な回動規制部と、
前記筒状部の周部において前記回動規制部のスライド移動方向に延びるように形成された筒状部凹凸と、
前記外筒部の周部において前記回動規制部のスライド移動方向に延びるように形成された外筒部凹凸と、
前記回動部の周部において前記回動規制部のスライド移動方向に延びるように形成された回動部凹凸とを有し、
前記回動規制部が、スライド移動に伴って前記筒状部凹凸、前記外筒部凹凸、及び前記回動部凹凸に対して係脱可能な回動規制凹凸を有し、前記回動規制凹凸により、前記第一回動規制部、及び前記第二回動規制部が構成されていること、を特徴とする請求項3~6のいずれか1項に記載の枝管接続部材。
【請求項8】
前記回動規制部が、前記筒状部、前記回動部、及び前記外筒部の周面に沿ってスライド可能な筒状の部材であり、
前記回動規制凹凸が、前記回動規制部の周方向に複数設けられており、
前記筒状部凹凸、前記外筒部凹凸、及び前記回動部凹凸が、前記筒状部、前記回動部、及び前記外筒部の周面に複数設けられていること、を特徴とする請求項7に記載の枝管接続部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枝管接続部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、既設の下水道等の主管(本管)に対して枝管を接続するための枝管接続部材の施工用の治具として、例えば下記特許文献1の分岐管取付用治具のようなものが提供されている。
【0003】
上記特許文献1の分岐管取付用治具は、枝管の接続対象となる主管に形成された開口部に対し、主管の内面側に係止可能な内面側係止部材と、主管の外面側から内面側係止部材に接続可能な外面側接続部材とを組付けて、枝管を接続可能な分岐管部を形成するためのものである。特許文献1の分岐管取付用治具は、主管への組み付けに際し、主管の内部において内面側係止部材を仮保持できる分岐管取付治具本体を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、従来技術においては、上記特許文献1に開示されている分岐管取付用治具のようなものが、枝管接続部材の取り付け施工に用いられている。しかしながら、従来技術においては、上述した分岐管取付用治具のような治具を取り揃えたり、このような治具を用いて所定箇所に設置したりするためには、相応の手間や時間、労力等を有する。また、従来技術においては、分岐管を取り付ける際に、冶具を取り外さなければ分岐管を接続できないという手間もある。
【0006】
そこで、本発明は、特別な治具等を用いることなく、枝管の取付対象となる本管に対して取付施工可能な枝管接続部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の枝管接続部材は、本管に対する枝管の接続に用いられるものであって、前記本管の外側に配され、前記枝管を接続可能な外周部材と、前記本管の内部に導入され、前記本管に穿孔された開口の周辺部において前記本管の内周側に装着される内周部材と、前記内周部材及び前記外周部材を連結する線状部材と、を有し、前記外周部材が、軸線方向が前記本管に対して交差するように配される外筒部と、前記外筒部の軸心位置を中心に回動可能とされた回動部と、前記回動部の回動に伴い前記回動部を軸線方向に移動可能とする回動部移動機構と、を有し、前記線状部材の前記外周部材側における連結部が、前記回動部と共に軸線方向に移動可能であること、を特徴とするものである。
【0008】
本発明の枝管接続部材は、外周部材をなす外筒部の軸心位置を中心に回動可能とされた回動部と、回動部の回動に伴って回動部を軸線方向に移動可能とする回動部移動機構とを備えたものとされている。また、本発明の枝管接続部材は、線状部材において外周部材側の連結部が、回動部と共に軸線方向に移動可能とされている。そのため、本発明の枝管接続部材は、本管に穿孔された開口から内周部材を本管内に導入し、本管の外周に外周部材を配した状態において、回動部を回動させて軸線方向に移動させ、内周部材を本管の内周面に接した状態になるまで移動させることにより、外周部材及び内周部材を本管に対して取り付けることができる。従って、本発明によれば、特別な治具等を用いることなく、本管に対して取付施工可能な枝管接続部材を提供することができる。
【0009】
(2)本発明の枝管接続部材は、本管に対する枝管の接続に用いられるものであって、前記本管の外側に配され、前記枝管を接続可能な外周部材と、前記本管の内部に導入され、前記本管に穿孔された開口の周辺部において前記本管の内周側に装着される内周部材と、前記内周部材及び外周部材を連結する線状部材と、を有し、前記外周部材が、軸線方向が前記本管に対して交差するように配される外筒部と、前記外筒部の軸心位置を中心に回動可能とされた回動部と、前記外筒部の軸心位置を中心に回動して前記線状部材を巻き付け可能な巻付部と、前記回動部及び前記巻付部が一体的に回動可能なように連結された一体回動状態と、前記回動部が前記巻付部に対して独立して回動可能なように連結された独立回動状態とに切り替え可能な切替機構と、少なくとも前記独立回動状態において、前記回動部の回動に伴い前記回動部を軸線方向に移動可能とする回動部移動機構と、を有し、前記線状部材の前記外周部材側における連結部が、前記回動部と共に軸線方向に移動可能であること、を特徴とするものである。
【0010】
本発明の枝管接続部材は、外周部材をなす外筒部の軸心位置を中心に回動可能とされた回動部と、外筒部の軸心位置を中心に回動して線状部材を巻き付け可能な巻付部とを有する。また、本発明の枝管接続部材は、回動部及び巻付部の連結状態を切り替えるための切替機構を備えており、切替機構により一体回動状態とすることにより、回動部及び巻付部を一体的に回動可能とすることができる。そのため、本発明の枝管接続部材は、一体回動状態において、回動部を回動させることにより、線状部材を巻付部に巻き付けることができる。線状部材を巻付部に巻き付ける作業を進めると、巻付部に巻き付けられた線状部材の長さに相当する分だけ外周部材及び内周部材の距離が短くなり、内周部材が内周面に近接する方向に引き寄せられる。そのため、本発明の枝管接続部材は、本管に穿孔された開口から内周部材を本管内に導入し、本管の外周に外周部材を配し、一体回動状態において回動部を回動させる操作を行うことで、内周部材を本管の内周面に向けて引き寄せることができる。
【0011】
本発明の枝管接続部材は、切替機構によって独立回動状態に切り替えることにより、回動部を巻付部に対して独立して回動可能な状態になる。また、本発明の枝管接続部材は、回動部移動機構を備えており、独立回動状態において回動部を回動させることにより回動部を軸線方向に移動させることができる。さらに、本発明の枝管接続部材は、線状部材において外周部材側の連結部が、回動部と共に軸線方向に移動可能とされている。そのため、本発明の枝管接続部材は、本管に穿孔された開口から内周部材を本管内に導入し、本管の外周に外周部材を配した状態において、回動部を回動させて軸線方向に移動させることにより、内周部材を本管の内周面に近接する方向に移動させることができる。これにより、本管に対して内周部材を圧着させ、枝管接続部材を強固に接続できる。
【0012】
上述したように、本発明の枝管接続部材は、一体回動状態において回動部を回動させる操作(以下、「一体回動操作」とも称す)、及び独立回動状態において回動部を回動させて回動部を軸線方向に移動させる操作(以下、「独立回動操作」とも称す)の双方により、本管に穿孔された開口から本管内に導入された内周部材を、本管の内周面に近接する方向に移動させることができる。そのため、例えば一体回動操作によって内周部材を本管の内周面に近接する位置まで移動させた後に独立回動操作によりさらに内周部材を本管の内周面に近接させる作業を行うことができる。従って、本発明によれば、特別な治具等を用いることなく、本管に対して強固に取付施工可能な枝管接続部材を提供することができる。
【0013】
(3)上述した本発明の枝管接続部材は、前記外筒部と同一の軸心位置を中心として回動可能とされた筒状部と、前記外筒部に対する前記筒状部の回動を規制及び規制解除可能な第一回動規制部と、前記筒状部に対する前記回動部の回動を規制及び規制解除可能な第二回動規制部と、を有し、前記切替機構が、前記筒状部、前記第一回動規制部、及び前記第二回動規制部を含んで構成されるものであり、前記巻付部が、前記筒状部に対して前記軸線方向に移動可能、かつ回動不能に連結されていること、を特徴とするものであると良い。
【0014】
かかる構成によれば、第一回動規制部により筒状部と外筒部の回動を規制した状態としつつ、第二回動規制部により筒状部に対する回動部の回動を規制解除した状態において、回動部を回動させる操作(独立回動操作)を行い、回動部移動機構によって回動部を軸線方向に移動させることにより、回動部と共に巻付部を筒状部に対して軸線方向に移動させることができる。一方、第一回動規制部により外筒部に対する筒状部の回動を規制解除した状態としつつ、第二回動規制部により筒状部に対する回動部の回動を規制した状態において、回動部を回動させる操作(一体回動操作)を行うことにより、回動部及び筒状部と共に巻付部を回動させ、巻付部に線状部材を巻き付けて回動部と共に巻付部を筒状部に対して軸線方向に移動させることができる。従って、上述した構成によれば、第一回動規制部及び第二回動規制部を活用し、独立回動操作が可能な状態と、一体回動操作が可能な状態とに切り替えることができる。
【0015】
(4)上述した本発明の枝管接続部材は、前記巻付部が、前記回動部に作用する回動力を受けて回動するものであること、を特徴とする請求項2又は3に記載のものであると良い。
【0016】
かかる構成によれば、回動部に回動力を作用させることにより、回動部を回動させるだけでなく、巻付部を回動させることも可能となる。これにより、巻付部を回動させるための部材を別途設ける必要がなくなり、その分だけ枝管接続部材の構成を簡略化できる。
【0017】
(5)上述した本発明の枝管接続部材は、前記筒状部が、周部において凹凸をなすように設けられた筒状部凹凸を有し、前記外筒部が、周部において凹凸をなすように設けられた外筒部凹凸を有し、前記第一回動規制部が、前記筒状部凹凸及び前記外筒部凹凸の双方に対して係合して前記筒状部及び前記外筒部の相対回転が規制された状態、及び前記筒状部凹凸及び前記外筒部凹凸の一方又は双方から離脱して前記筒状部及び前記外筒部の相対回転が許容された状態に切り替え可能な第一係脱部を有すること、を特徴とするものであると良い。
【0018】
かかる構成によれば、筒状部に設けられた筒状部凹凸、及び外筒部に設けられた外筒部凹凸に対し、第一回動規制部に設けられた第一係脱部を係脱させる操作を行うことにより、筒状部と外筒部との相対回転が規制された状態、及び規制解除された状態に切り替え可能な枝管接続部材を提供できる。
【0019】
(6)上述した本発明の枝管接続部材は、前記筒状部が、周部において凹凸をなすように設けられた筒状部凹凸を有し、前記回動部が、周部において凹凸をなすように設けられた回動部凹凸を有し、前記第二回動規制部が、前記筒状部凹凸及び前記回動部凹凸の双方に対して係合して前記筒状部及び前記回動部の相対回転が規制された状態、及び前記筒状部凹凸及び前記回動部凹凸の一方又は双方から離脱して前記筒状部及び前記回動部の相対回転が許容された状態に切り替え可能な第二係脱部を有すること、を特徴とするものであると良い。
【0020】
かかる構成によれば、筒状部に設けられた筒状部凹凸、及び回動部に設けられた回動部凹凸に対し、第二回動規制部に設けられた第二係脱部を係脱させる操作を行うことにより、筒状部と回動部との相対回転が規制された状態、及び規制解除された状態に切り替え可能な枝管接続部材を提供できる。
【0021】
(7)上述した本発明の枝管接続部材は、前記筒状部、前記回動部、及び前記外筒部の周面に沿ってスライド移動可能な回動規制部と、前記筒状部の周部において前記回動規制部のスライド移動方向に延びるように形成された筒状部凹凸と、前記外筒部の周部において前記回動規制部のスライド移動方向に延びるように形成された外筒部凹凸と、前記回動部の周部において前記回動規制部のスライド移動方向に延びるように形成された回動部凹凸とを有し、前記回動規制部が、スライド移動に伴って前記筒状部凹凸、前記外筒部凹凸、及び前記回動部凹凸に対して係脱可能な回動規制凹凸を有し、前記回動規制凹凸により、前記第一回動規制部、及び前記第二回動規制部が構成されていること、を特徴とするものであると良い。
【0022】
かかる構成によれば、回動規制部をスライド移動させ、回動規制凹凸によって構成された第一回動規制部及び第二回動規制部を筒状部凹凸や外筒部凹凸に対して係脱させる操作が可能な枝管接続部材を提供できる。
【0023】
(8)上述した本発明の枝管接続部材は、前記回動規制部が、前記筒状部、前記回動部、及び前記外筒部の周面に沿ってスライド可能な筒状の部材であり、前記回動規制凹凸が、前記回動規制部の周方向に複数設けられており、前記筒状部凹凸、前記外筒部凹凸、及び前記回動部凹凸が、前記筒状部、前記回動部、及び前記外筒部の周面に複数設けられていること、を特徴とするものであると良い。
【0024】
上述したように回動規制部を筒状に形成されたものとし、回動規制凹凸を周方向に複数設けると共に、筒状部凹凸、外筒部凹凸、及び回動部凹凸も複数設けた構成とすることにより、周方向の複数箇所において第一回動規制部及び第二回動規制部を筒状部凹凸や外筒部凹凸、回動部凹凸に対して係合させ、回動に伴う応力をしっかりと受け止めることができる。
【0025】
ここで、上述したような構成とする場合、線状部材が絡まる等すると、回動部を回動させて内周部材を本管の内周面に引き寄せる作業に支障が生じる可能性がある。
【0026】
(9)かかる知見に基づけば、上述した枝管接続部材は、前記線状部材をガイドするガイド部を有し、前記ガイド部が、前記巻付部よりも前記内周部材側において、前記線状部材を前記軸線方向に案内するのものであると良い。
【0027】
かかる構成によれば、ガイド部によって線状部材を軸線方向に案内しつつ、巻付部に対して整然と巻き付けることができる。そのため、上述した構成によれば、回動部を回動させて線状部材を巻付部に巻き付けることにより内周部材を本管の内周面に引き寄せる作業を、スムーズに行える枝管接続部材を提供できる。
【0028】
(10)上述した枝管接続部材は、前記巻付部が、前記線状部材が収まる巻付溝を、前記軸線方向にらせん状に形成したものであると良い。
【0029】
かかる構成によれば、回動部を回動することにより、巻付部に設けられた巻付溝に沿って線状部材を整然と巻き付けることが可能となる。従って、上述した構成によれば、回動部を回動させて内周部材を本管の内周面に引き寄せる作業を、より一層スムーズに行える枝管接続部材を提供できる。
【0030】
(11)上述した枝管接続部材は、前記内周部材が、第一内周片及び第二内周片を備えたものであり、前記線状部材が、前記第一内周片に繋がる第一線状部材、及び前記第二内周片に繋がる第二線状部材を有し、前記巻付溝が、前記第一線状部材が収まる第一巻付溝をなす螺旋状の溝、及び前記第二線状部材が収まる第二巻付溝をなす螺旋状の溝からなる二条の螺旋溝によって構成されているものであると良い。
【0031】
上述したように巻付溝を二条の螺旋溝によって構成すれば、回動部の回動量に対する内周部材の移動量を大きくとることができる。また、上述したように二条の螺旋溝を設ければ、第一線状部材及び第二線状部材を略均等に回動部に巻き付け、内周部材をバランスよく本管側に引き寄せることができる。従って、上述した構成によれば、回動部を回動させて内周部材を本管の内周面に引き寄せる引き寄せ操作の作業効率を向上させることができる。
【0032】
(12)上述した枝管接続部材は、前記内周部材が、前記本管の前記内周面に当接する複数の内周片を複数、屈曲伸長可能に接続したものであって、複数の前記内周片を屈曲させることにより前記本管の前記開口を介して前記本管の外側から内側に導入可能な屈曲状態となり、複数の前記内周片を前記本管の内部で伸長させることにより前記本管の前記開口から前記本管の外部に離脱不能な伸長状態になるものであり、前記屈曲状態において前記回動部を回動させ、前記巻付部に前記線状部材を巻き付けることにより、前記内周部材を前記内周面に近接させつつ前記伸長状態とすることができるものであると良い。
【0033】
上述した枝管接続部材は、内周部材が内周片を複数、屈曲伸長可能に接続したものとされている。また、内周部材は、屈曲状態とすることにより本管に設けられた開口を介して本管の内部に導入可能な程度にコンパクトな状態とすることができる。そのため、上述した枝管接続部材は、内周部材を本管の内部に導入する作業を容易かつスムーズに行うことができる。
【0034】
また、上述した枝管接続部材において、内周部材は、複数の内周片を本管の内部で伸長させることにより、本管の開口から前記本管の外部に離脱不能な状態(伸長状態)とすることができる。また、回動部を回動させて巻付部に線状部材を巻き付けることにより、内周部材が本管の内周部に引き寄せられる過程において、内周部材を屈曲状態から伸長状態に変化させることができる。そのため、本発明の枝管接続部材は、本管内部への内周部材の導入後、回動部を回動させて引き寄せ操作を行えば、開口を介して離脱しないように内周部材を本管の内周部に装着することができる。
【0035】
(13)上述した枝管接続部材は、前記内周部材が、所定の屈曲軸心を中心に複数の前記内周片を屈曲伸長可能に連結する連結部を有し、前記線状部材が、前記屈曲軸心から外れた位置において前記回動部の回動に伴う力が作用するように接続されているものであると良い。
【0036】
上述した枝管接続部材においては、内周部材をなす複数の内周片が、連結部を介して所定の屈曲軸心を中心に屈曲伸展可能なように連結されている。そのため、屈曲軸心から外れた位置において内周片に対して引っ張り力を作用させることにより、屈曲軸心を中心として内周片を屈曲させたり伸展させたりすることができる。上述した枝管接続部材においては、操作部材が内周片に接続されており、引き寄せ操作を行うことにより、屈曲軸心から外れた位置において内周片に操作力を作用させることができるものとされている。従って、上述した枝管接続部材では、操作部材による引き寄せ操作により、屈曲軸心を中心として内周片を伸展させ、伸長状態に状態変化させることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、特別な治具等を用いることなく、枝管の取付対象となる本管に対して取付施工可能な枝管接続部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の一実施形態に係る枝管接続部材を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る枝管接続部材を本管に対して接続した状態を示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る枝管接続部材が一体回転状態である状態を示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る枝管接続部材が独立回転状態である状態を示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る枝管接続部材を示す分解斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る枝管接続部材を分解した状態を示す断面図である。
【
図11】伸展状態とした内周部材を示す斜視図である。
【
図12】屈曲状態とした内周部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の一実施形態に係る枝管接続部材10について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において上下左右等の方向や表裏、前後等の表現については、特に断りのない限り、
図1等に示すような姿勢で枝管接続部材10を本管1に対して取り付けた状態を基準として説明する。また、以下の説明においては、先ず枝管接続部材10の構成について説明した後、枝管接続部材10を用いて本管1に枝管5を接続する施工方法について説明する。
【0040】
≪枝管接続部材10の構成について≫
図1~
図4等に示すように、枝管接続部材10は、例えば下水道管等の既設の本管1に新たに穿孔して形成された開口3に対し、枝管5を接続するために用いられるものである。本管1は、例えば、コンクリート管やヒューム管、塩化ビニル等の樹脂により形成された樹脂管等とすることができる。
図1~
図6等に示すように、枝管接続部材10は、外周部材20、内周部材50、線状部材70を備えている。
【0041】
外周部材20は、本管1に穿孔された開口3の周辺部において本管1の外周面7に装着される部材である。外周部材20は、外周固定部22、枝管接続部24、回動巻付部26、筒状部28、ガイド部30、及び回動規制部32を備えている。
【0042】
外周固定部22は、本管1の外周面7に対して当接するように取り付けられる部分である。
図7に示すように、外周固定部22は、外周当接部22x、及び外筒部22yを有する。外周当接部22xは、外周面7と同等の曲率で湾曲した円弧状の断面形状を有し、平面視で略矩形の形状を有する部材である。外周当接部22xは、長手方向(母線方向)に所定の長さを有し、長手方向の略中央部に表面22aから裏面22bに向けて貫通するように設けられた貫通孔22cを備えている。
【0043】
外筒部22yは、貫通孔22cを取り囲むように形成された円筒状の部分である。外筒部22yには、外筒部凹凸22d、及び外筒部被係合部22eが設けられている。外筒部凹凸22dは、外筒部22yの上端側において、後に詳述する筒状部28と外周面が略面一になるように膨出した膨出部22fに設けられている。外筒部凹凸22dは、外筒部22yの外周部において、外筒部22yの周方向に複数、所定の間隔毎に凹凸をなすように設けられている。外筒部凹凸22dは、外筒部22yの軸線方向(後に詳述する回動規制部32のスライド移動方向)に延びるように形成されている。
【0044】
外筒部被係合部22eは、外筒部凹凸22dが形成された膨出部22fよりもさらに外筒部22yの上端側に設けられている。外筒部被係合部22eは、周方向に延びる環状の凹部(周溝)及び凸部によって構成されている。外筒部被係合部22eをなす凹部及び凸部は、後に詳述する筒状部28の内周面に形成された筒状部係合部28dと係合可能とされている。また、膨出部22fは、筒状部28の下端部を支持可能とされている。
【0045】
図1~
図6等に示すように、枝管接続部24は、上下方向に貫通した筒状の部材である。枝管接続部24は、枝管5が接続される受口として機能する部分である。枝管接続部24は、例えば樹脂や、ゴム等の弾性を有する素材等によって形成される。枝管接続部24は、下端部を後に詳述する回動巻付部26に対して差し込んで接続可能とされている。
【0046】
回動巻付部26は、枝管接続部材10を本管1に対して取り付ける際に、回動操作によって外周部材20と内周部材50とを繋ぐ線状部材70を巻き上げる作業を行うためのものである。
図8等に示すように、回動巻付部26は、略筒状の外観形状を有するものである。回動巻付部26は、回動部34、及び巻付部36を一体化したものとされている。
【0047】
回動部34は、回動巻付部26の軸線方向一方側(図示状態において上方側)に設けられている。回動部34は、後述する筒状部28の軸心位置を中心に回動可能なように配される。回動部34の外周部には、ネジ溝(回動部ネジ34a)が螺旋状に形成されている。また、回動部34には、一対のハンドル34b,34bが設けられている。ハンドル34b,34bは、それぞれ折り畳み式のものとされている。具体的には、ハンドル34b,34bは、基端側(回動部34の外周面側)に設けられたヒンジを支点として回動させることにより、回動部34の外周面に沿うように折り畳まれた姿勢と、回動部34の径方向外側に向けて突出した姿勢とに切り替え可能とされている。回動部34は、ハンドル34b,34bを径方向外側に向けて突出された状態とすることにより、回動部34を回動させる操作を行うための把持部として機能させることができる。
【0048】
回動部34は、外周面に凹凸をなすように設けられた回動部凹凸34cを有する。回動部凹凸34cは、回動巻付部26の軸線方向(後に詳述する回動規制部32のスライド移動方向)に延びるように形成されている。回動部凹凸34cは、回動部34の周方向に複数、所定の間隔毎に設けられている。
【0049】
巻付部36は、上述した回動部34に対して回動巻付部26の軸線方向他方側(図示状態において下方側)に設けられている。巻付部36は、後に詳述する筒状部28の軸心位置を中心として回動部34と共に回動することにより線状部材70が巻き付けられる部分である。本実施形態では、巻付部36の外周面に線状部材70が収まる巻付溝38が、巻付部36の軸線方向にらせん状に形成されている。巻付溝38は、上述した回動部34に設けられた回動部ネジ34aと同一方向に形成されている。また、巻付溝38は、第一巻付溝38a、及び第二巻付溝38bを有する。巻付溝38は、第一巻付溝38a、及び第二巻付溝38bが巻付部36の軸線方向に交互に並ぶ、二条の螺旋溝とされている。第一巻付溝38a及び第二巻付溝38bは、それぞれ線状部材70をなす第一線状部材70a、及び第二線状部材70bが収まるものとされている。また、巻付部36は、後に詳述する筒状部28に対して軸線方向に移動可能、かつ回動不能に連結されている。
【0050】
また、巻付部36は、筒状部係合部37を有する。筒状部係合部37は、巻付溝38に対して軸線方向上方側に設けられている。筒状部係合部37は、径方向外側に膨出するように形成された凸状の部分とされている。筒状部係合部37は、筒状部39の周方向に複数設けられている。また、筒状部係合部37は、軸線方向に延びるように形成されている。
【0051】
図2~
図4等に示すように、筒状部28は、上述した回動部34に対して軸線方向下方側に隣接する位置に配置される部材である。筒状部28は、回動部34を回転可能に下方から支持するものである。
図9等に示すように、筒状部28は、軸線方向に貫通した筒状のものとされている。筒状部28は、回動部34が収まる大きさの開口径、及び高さ(軸線方向の長さ)を有するものとされている。そのため、筒状部28に対して回動巻付部26を軸線方向一端側(図示例では上方側)から内挿すると、筒状部28の軸線方向他端側(図示例では下方側)から巻付部36が出た状態になる。また、筒状部28の内周部には、回動部34の外周部に設けられた回動部ネジ34aに対応する筒状部ネジ溝28aが設けられている。そのため、筒状部28に対して軸線方向一端側(図示例では上方側)から内挿された回動巻付部26を回動させることにより、筒状部ネジ溝28aに回動部ネジ34aが噛み合い、回動巻付部26をスムーズに回動させることができる。
【0052】
筒状部28の内周部には、巻付部係合部28bが設けられている。巻付部係合部28bは、上述した巻付部36に設けられた筒状部係合部37に対応する位置に設けられている。巻付部係合部28bは、筒状部ネジ溝28aを軸線方向(上下方向)に縦断するように形成されている。巻付部係合部28bは、筒状部係合部37が係合することにより、筒状部係合部37の周方向への移動を規制しつつ、軸線方向(上下方向)への移動を許容することができる。
【0053】
筒状部28は、外周面に凹凸をなすように設けられた筒状部凹凸28cを有する。筒状部凹凸28cは、筒状部28の軸線方向(後に詳述する回動規制部32のスライド移動方向)に延びるように形成されている。筒状部凹凸28cは、筒状部28の周方向に複数、所定の間隔毎に設けられている。
【0054】
また、筒状部28の内周部には、筒状部係合部28dが設けられている。筒状部係合部28dは、筒状部28の内周面から径方向内側に突出するように形成されている。筒状部係合部28dは、筒状部28の内周面において略全周に亘って環状の凹凸形状に形成されている。筒状部係合部28dは、上述した外筒部22yの上端側に設けられた外筒部被係合部22eと係合している。これにより、筒状部28は、外筒部22yの上端側に接続されている。
【0055】
ガイド部30は、線状部材70を案内するガイドとしての機能を発揮するものである。
図2~4等に示すように、ガイド部30は、筒状部28の内周側に配される筒状の部材である。
図10に示すように、ガイド部30は、周面にガイド溝30aを有する。ガイド溝30aは、ガイド部30の周方向に2箇所設けられている。ガイド溝30aは、立上部30bと、周溝部30cとを有する。立上部30bは、図示状態においてガイド部30の下端側の位置から、軸線方向(高さ方向)の中間部まで上下方向に立ち上がるように形成された溝である。また、周溝部30cは、ガイド部30の軸線方向中間部において立上部30bに対して連続し、ガイド部30の周方向に延びる溝である。周溝部30cは、ガイド部30の周面を正面視した状態において片テーパー状の形状を有する溝である。周溝部30cは、立上部30bと連続する部分から周方向に離れるにつれて上辺側が上方側に傾斜し、溝幅(上下方向の長さ)が拡大するように形成されている。また、ガイド部30は、周溝部30cの終端側に連通部30dを有する。連通部30dは、ガイド部30の軸線方向(図示状態において上下方向)に延びる開口によって構成されている。そのため、ガイド部30は、連通部30dを介して外周側と内周側とが連通している。
【0056】
ガイド部30は、外周面にガイド部係合部30eを有する。ガイド部係合部30eは、ガイド部30の径方向外側に突出した突出部によって構成されている。ガイド部係合部30eは、ガイド部30の周方向複数箇所(本実施形態では2箇所)に設けられている。ガイド部係合部30e,30eは、ガイド部30の周方向に2つ設けられているガイド溝30a,30aの中間にそれぞれ設けられている。ガイド部30は、上述した筒状部28の内側に内挿すると共に、筒状部28の内周面に設けられた筒状部係合部28d,28dに対してガイド部係合部30e,30eを係合させた状態となるように配される。これにより、ガイド部30は、筒状部28に対して周方向に位置決めした状態で固定される。また、ガイド部30を筒状部28の内側に配することにより、ガイド溝30a,30aによって形成された2系統の経路44,44が線状部材70を通過可能なように形成される。
【0057】
図2~
図4等に示すように、内周部材50は、本管1に穿孔された開口3の周辺部において、本管1の内周面9に対して固定される部分である。
図11及び
図12等に示すように、内周部材50は、複数(本実施形態では2つ)の湾曲片52と、連結部54と、内周筒部56を有する。
【0058】
湾曲片52は、側面視した状態において本管1の内周面9に沿うように円弧状に湾曲した片状の部材である。すなわち、湾曲片52の曲率は、本管1の内周面9の曲率と略同一とされている。湾曲片52は、後に詳述する連結部54を介して並列配置した状態で、互いに回動可能なように連結されている。
【0059】
内周部材50は、隣接する湾曲片52,52の裏面同士が離反するように回動させることにより、隣接する湾曲片52,52が突き合わせられ、表面同士が連続した状態になる。これにより、内周部材50は、全体として伸長した状態(伸長状態)になる。また、伸長状態にすると、内周部材50は、略鞍状の外観形状になる。このように、湾曲片52は、伸長状態において隣接する他の湾曲片52と突き合わせられる部分(合わせ部52x)を有する。
【0060】
また、内周部材50は、連結部54において隣接する湾曲片52,52の裏面同士が近接するように折り畳むことにより、隣接する湾曲片52,52の表面同士の間に非連続部分が形成され、屈曲した状態(変形状態)にすることができる。
【0061】
連結部54は、湾曲片52の母線方向に延びる所定の回動軸心Cを中心に、複数(本実施形態では2つ)の湾曲片52を回動可能に連結するものである。回動軸心Cは、並べて配置された湾曲片52,52の境界をなす合わせ部52x側の位置に存在している。
【0062】
内周筒部56は、本管1に穿孔された開口3の内側に差し込まれる筒状の部分である。内周筒部56は、湾曲片52,52の回動に連動して集合分離可能とされた複数(本実施形態では2つ)の筒構成部58の組み合わせによって構成されている。内周筒部56は、内周部材50が伸長状態とされた状態において、筒構成部58,58が集合することにより形成される。筒構成部58,58は、それぞれ湾曲片52,52に対して一体的に設けられている。筒構成部58,58は、湾曲片52,52の表面側から上方に向けて突出している。筒構成部58,58は、それぞれ湾曲片52,52の長手方向(母線方向)の略中央部に設けられている。湾曲片52,52において、筒構成部58,58の基端(下端)側の部分は、湾曲片52,52の形状に合わせて半円状に切りかかれている。
【0063】
また、内周筒部56を構成する筒構成部58,58の外周面には、線状部材70を固定するための固定部60,60が設けられている。固定部60,60は、内周筒部56の基端側(湾曲片52,52の表面側)から内周筒部56の軸線方向(図示状態においては上下方向)に延びるように形成された固定溝60a,60aを有する。固定溝60a,60aは、線状部材70を嵌め込んで固定可能な溝とされている。また、固定溝60a,60aは、基端側において略「コ」字状に折れ曲がると共に、線状部材70の終端部を接続可能とされている。
【0064】
線状部材70は、本管1の内側に導入された内周部材50を、本管1の外側からの操作(引き寄せ操作)により、内周部材50を本管1の内周面9に近接する方向に引き寄せるための部材である。線状部材70は、金属や樹脂等の素材によって形成された線材によって構成されている。本実施形態では、
図5に示すように、線状部材70として、湾曲片52,52のうち一方(以下、「第一内周片52a」とも称す)に接続される第一線状部材70aと、他方(以下、「第二内周片52b」とも称す)に接続される第二線状部材70bとが設けられている。
【0065】
線状部材70をなす第一線状部材70a及び第二線状部材70bは、それぞれ内周部材50をなす第一内周片52a及び第二内周片52bの回動軸心Cから外れた位置において引き寄せ操作に伴う操作力が作用するように接続されている。
【0066】
具体的には、第一線状部材70aの一端側は、第一内周片52aを構成する筒構成部58の外周に設けられた固定溝60aに嵌め込み、終端部を接続することにより、内周部材50に対して接続されている。また、
図5に示すように、第一線状部材70aは、ガイド部30において、筒状部28とガイド部30との間に設けられた2系統の経路44,44のうちの一方を介してガイド部30の内側に導入されている。さらに、第一線状部材70aは、ガイド部30に対して軸線方向(図示状態では上下方向)に接続された筒状部28の内部において、回動巻付部26の巻付部36に対して接続されている。これにより、第一線状部材70aは、回動巻付部26を回動させることで、第一巻付溝38aに対して巻き付け可能とされている。
【0067】
同様に、第二線状部材70bの一端側は、第二内周片52bを構成する筒構成部58の外周に設けられた固定溝60aに嵌め込み、終端部を固定溝60aに係合させて接続することにより、内周部材50に対して接続されている。また、第二線状部材70bは、ガイド部30において、筒状部28とガイド部30との間に設けられた経路44,44のうち、上述した第一線状部材70aが配されたのとは異なるものを介してガイド部30の内側に導入されている。さらに、第二線状部材70bは、ガイド部30に対して接続された筒状部28の内部において、巻付部36に対して接続されている。これにより、第二線状部材70bは、回動巻付部26を回動させることで、第二巻付溝38bに対して巻き付け可能とされている。
【0068】
回動規制部32は、外筒部22y、筒状部28、及び回動部34のそれぞれの周面に沿って軸線方向にスライド移動可能な部材である。
図13等に示すように、回動規制部32は、筒状の形状とされている。回動規制部32は、回動規制凹凸32aを有する。
【0069】
回動規制凹凸32aは、回動規制部32のスライド移動に伴い外筒部凹凸22d、筒状部凹凸28c、回動部凹凸34cに対して係脱可能とされている。具体的には、回動規制凹凸32aは、回動規制部32の内周面において、スライド移動方向(本実施形態では軸線方向)に延びるように形成されている。回動規制凹凸32aは、回動規制部32の略全周に亘って、周方向に複数、凹凸が交互に並ぶように形成されている。回動規制凹凸32aは、第一回動規制部32b、及び第二回動規制部32cを構成する。
【0070】
第一回動規制部32bは、外筒部凹凸22d、及び筒状部凹凸28cに対して係脱することにより、外筒部22yに対する筒状部28の回動を規制及び規制解除可能とするものである。すなわち、第一回動規制部32bは、回動規制凹凸32aにおいて、外筒部凹凸22d、及び筒状部凹凸28cに対して係脱する部分(第一係脱部)である。第一回動規制部32b(第一係脱部)は、回動規制部32のスライド移動により、外筒部凹凸22d、及び筒状部凹凸28cの双方に対して係合することにより、外筒部22y及び筒状部28の相対回転が規制された状態とすることができる。また、第一回動規制部32bは、回動規制部32のスライド移動により、外筒部凹凸22d、及び筒状部凹凸28cの一方又は双方から離脱することにより、外筒部22y及び筒状部28の相対回転が許容された状態とすることができる。
【0071】
第二回動規制部32cは、筒状部凹凸28c、及び回動部凹凸34cに対して係脱することにより、筒状部28に対する回動部34の回動を規制及び規制解除可能可能とするものである。すなわち、第二回動規制部32cは、回動規制凹凸32aにおいて、筒状部凹凸28c、及び回動部凹凸34cに対して係脱する部分(第二係脱部)である。第二回動規制部32c(第二係脱部)は、回動規制部32のスライド移動により、筒状部凹凸28c及び回動部凹凸34cの双方に対して係合することにより、筒状部28及び回動部34の相対回転が規制された状態とすることができる。また、第二回動規制部32cは、筒状部凹凸28c及び回動部凹凸34cの一方又は双方から離脱することにより、筒状部28及び回動部34の相対回転が許容された状態とすることができる。
【0072】
枝管接続部材10は、上述したような各部の組み合わせによって構成される切替機構100や、回動部移動機構120を備えている。
【0073】
切替機構100は、回動部34及び巻付部36が一体的に回動可能なように連結された一体回動状態と、回動部34が巻付部36に対して独立して回動可能なように連結された独立回動状態とに切り替え可能とするための機構である。切替機構100は、筒状部28、及び回動規制部32(第一回動規制部32b,第二回動規制部32c)を含んで構成されている。また、回動部移動機構120は、独立回動状態において、回動部34の回動に伴い回動部34を軸線方向に移動可能とするための機構である。回動部移動機構120は、回動部34の外周部に形成された回動部ネジ34a、及び外筒部22yの内周側に螺旋状に形成された筒状部ネジ溝28aを含んで構成されている。
【0074】
具体的には、切替機構100により枝管接続部材10を一体回動状態にする際には、回動規制部32をスライド移動させることにより、筒状部凹凸28c及び回動部凹凸34cが回動規制凹凸32aの第二回動規制部32cと係合し、外筒部凹凸22dから第一回動規制部32bが離脱した状態とする。これにより、枝管接続部材10は、回動部34を回動させることにより、筒状部28が回動部34と共に回動させることができる状態(一体回動状態)になる。一体回動状態においては、回動部34に接続された巻付部36が回動部34と一体的に回転する。従って、一体回動状態において、枝管接続部材10は、巻付部36に対して線状部材70を巻き付けたり、巻き戻したりすることができる。
【0075】
また、切替機構100により枝管接続部材10を独立回動状態にする際には、回動規制部32をスライド移動させることにより、回動部凹凸34cから回動規制凹凸32aの第二回動規制部32cが離脱すると共に、筒状部凹凸28c及び外筒部凹凸22dに対して第一回動規制部32bが係合した状態とする。これにより、枝管接続部材10は、筒状部28が外筒部22yに一体化され、回動部34を回動させても外筒部22yが回動しない状態になる。そのため、枝管接続部材10を独立回動状態にした状態において回動部34を回動させると、回動部34の外周部に形成された回動部ネジ34aが、外筒部22yの内周側に螺旋状に形成された筒状部ネジ溝28aに沿って移動し、回動部34及びこれに接続された巻付部36が軸線方向に進退する。すなわち、切替機構100により枝管接続部材10を独立回動状態にすると、筒状部ネジ溝28aに対して回動部ネジ34aが螺合して構成される回動部移動機構120の作用により、回動部34の回動操作によって、回動部34を筒状部28に対して軸線方向に進退させることが可能となる。このような構成とされているため、枝管接続部材10は、独立回動状態において、回動部34の回動に伴い、回動部34及び巻付部36を軸線方向に進退させることができる。
【0076】
≪枝管接続部材10を用いた施工方法について≫
続いて、枝管接続部材10を用い、本管1に穿孔された開口3に対して枝管5を接続する施工方法について説明する。
【0077】
本管1に対する枝管5の接続施工に際し、枝管接続部材10は、先ず外周部材20が組み立てられた状態として準備されると共に、外周部材20の回動巻付部26と、内周部材50とを線状部材70によって繋いだ状態で準備される。この際、回動巻付部26に線状部材70が殆ど巻き付けられておらず、外周部材20と内周部材50とが十分に離れた状態で準備される。このようにして枝管接続部材10を準備した状態において、内周部材50をなす湾曲片52,52を連結部54において屈曲させ、折り畳んだ状態(変形状態)にする。この状態において、内周部材50は、変形状態で本管1の開口3から内部に導入される。
【0078】
上述したようにして内周部材50が本管1の内部に導入されると、外周固定部22の外周当接部22xが本管1の外周面7に沿うようにあてがうと共に、外周固定部22に設けられた貫通孔22cが本管1の開口3に相当する位置に到来するように外周部材20の位置調整を行う。このようにして、外周部材20の配置が完了すると、切替機構100により枝管接続部材10を一体回動状態にする。具体的には、回動規制部32をスライド移動させることにより、筒状部凹凸28c及び回動部凹凸34cが回動規制凹凸32aの第二回動規制部32cと係合し、外筒部凹凸22dから第一回動規制部32bが離脱した状態とする。また、回動部34に設けられたハンドル34b,34bを径方向外側に突出させた状態とする。この状態において、ハンドル34b,34bを用いて回動巻付部26(回動部34)を正方向に回動させる。これに伴い、回動部34及び巻付部36が一体となって軸心周りに回動する。その結果、内周部材50をなす湾曲片52,52に接続された線状部材70,70がそれぞれガイド部30によって構成された経路44を介して回動巻付部26側に引き寄せられ、巻付部36に巻き付けられる。
【0079】
上述したようにして、枝管接続部材10を一体回動状態において、回動巻付部26(回動部34)の正方向への回動を継続すると、内周部材50が本管1の内周面9に近接すると共に、内周部材50(第一内周片52a及び第二内周片52b)が本管1の内部において変形状態から伸長状態に状態変化する。内周部材50が内周面9に当接するまで引き寄せられると、内周部材50は伸長状態となって内周面9に対して近接した状態となる。
【0080】
上記したようにして、一体回動状態において回動部34を回動させ、本管1の内周面9に対して内周部材50を近接させた状態において、さらに内周部材50を内周面9に密接させる場合には、枝管接続部材10を独立回動状態とする。具体的には、回動規制部32をスライド移動させて、回動部凹凸34cから回動規制凹凸32aの第二回動規制部32cを離脱させると共に、筒状部凹凸28c及び外筒部凹凸22dに対して第一回動規制部32bを係合させることにより、枝管接続部材10を独立回動状態にする。この状態において回動部34をさらに正方向に回動させると、筒状部ネジ溝28aと回動部ネジ34aとが螺合して構成された回動部移動機構120の作用により、回動部34と共に巻付部36を軸線方向上方側に移動させることができる。これにより、内周面9に近接する位置にあった内周部材50がさらに内周面9に近接して密着した状態になる。これにより、本管1に対する枝管接続部材10の取り付けが完了する。また、本管1に枝管接続部材10が取り付けられると、枝管接続部24に対して枝管5が差し込まれて接続される。これにより、枝管接続部材10を用いた本管1への枝管5の取付施工が完了する。
【0081】
≪枝管接続部材10による作用効果≫
上述した枝管接続部材10によれば、以下のような作用効果が得られる。
【0082】
本実施形態の枝管接続部材10は、外周部材20をなす外筒部22yの軸心位置を中心に回動可能とされた回動部34と、回動部34の回動に伴って回動部34を軸線方向に移動可能とする回動部移動機構120とを備えたものとされている。また、枝管接続部材10は、線状部材70において外周部材20側に連結された部分(連結部)が、回動部34と共に軸線方向に移動可能とされている。そのため、本実施形態の枝管接続部材10は、本管1に穿孔された開口3から内周部材50を本管1内に導入し、本管1の外周に外周部材20を配した状態において、回動部34を回動させて軸線方向に移動させ、内周部材50を本管1の内周面に接した状態になるまで移動させることにより、外周部材20及び内周部材50を本管1に対して取り付けることができる。従って、本実施形態の枝管接続部材10によれば、特別な治具等を用いることなく、本管1に対して取付施工を行うことができる。
【0083】
また、本実施形態の枝管接続部材10は、外周部材20をなす外筒部22yの軸心位置を中心に回動可能とされた回動部34と、外筒部22yの軸心位置を中心に回動して線状部材70を巻き付け可能な巻付部36とを有する。枝管接続部材10は、切替機構100により一体回動状態とすることにより、回動部34及び巻付部36を一体的に回動可能とすることができる。そのため、本実施形態の枝管接続部材10は、一体回動状態において、回動部34を回動させることにより、線状部材70を巻付部36に巻き付けることができる。線状部材70を巻付部36に巻き付ける作業を進めると、巻付部36に巻き付けられた線状部材70の長さに相当する分だけ外周部材20及び内周部材50の距離が短くなり、内周部材50が内周面に近接する方向に引き寄せられる。そのため、本実施形態の枝管接続部材10は、本管1に穿孔された開口3から内周部材50を本管1内に導入し、本管1の外周に外周部材20を配し、一体回動状態において回動部34を回動させる操作を行うことで、内周部材50を本管1の内周面に向けて引き寄せることができる。
【0084】
本実施形態の枝管接続部材10は、切替機構100によって独立回動状態に切り替えた状態において回動部34を回動させることにより、回動部移動機構120の作用により、回動部34を巻付部36といっしょに軸線方向に移動させることができる。そのため、本実施形態の枝管接続部材10は、本管1に穿孔された開口3から内周部材50を本管1内に導入し、本管1の外周に外周部材20を配した状態において、回動部34を回動させて軸線方向に移動させることにより、内周部材50を本管1の内周面に近接する方向に移動させることができる。これにより、本管1に対して内周部材50を圧着させ、枝管接続部材10を強固に接続できる。
【0085】
上述したように、本実施形態の枝管接続部材10は、一体回動状態において回動部34を巻付部36と共に回動させる操作(一体回動操作)、及び独立回動状態において回動部34を回動させる操作(独立回動操作)の双方により、本管1に穿孔された開口3から本管1内に導入された内周部材50を、本管1の内周面に近接する方向に移動させることができる。そのため、上記実施形態において例示したように、一体回動操作によって内周部材50を本管1の内周面に近接する位置まで移動させた後に独立回動操作によりさらに内周部材50を本管1の内周面に近接させる作業を行うことにより、内周部材50が本管1の内周面に対してしっかりと密接するように取り付けることができる。従って、本実施形態によれば、特別な治具等を用いることなく、本管1に対して強固に取付施工可能な枝管接続部材10を提供することができる。
【0086】
なお、上記実施形態においては、一体回動操作の後に独立回動操作を行うことにより、枝管接続部材10を本管1に対して取り付ける方法を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態において例示したのとは逆に、独立回動操作の後に一体回動操作を行う作業を行う方法等、適宜の方法によって枝管接続部材10を取り付けるようにしても良い。
【0087】
また、上記実施形態においては、巻付部36を設けることにより、回動部34の軸線方向への移動だけでなく、巻付部36に線状部材70を巻き付けることによっても、線状部材70及びこれに連結された内周部材50を本管1側に引き寄せることができる構成を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、枝管接続部材10は、巻付部36を設けず、回動部移動機構120の作用によって回動部34を軸線方向に移動させることによって線状部材70及び内周部材50を本管1側に引き寄せることができるものとすると良い。これにより、巻付部36や、巻付部36を回動させたり、巻付部36に線状部材70を巻き付けるための構成を省略し、枝管接続部材10の構成を簡略化することができる。
【0088】
上述した本実施形態の枝管接続部材10は、外筒部22yと同一の軸心位置を中心として回動可能とされた筒状部28と、外筒部22yに対する筒状部28の回動を規制及び規制解除可能な第一回動規制部32bと、筒状部28に対する回動部34の回動を規制及び規制解除可能な第二回動規制部32cとを備えたものとされている。また、切替機構100は、筒状部28、第一回動規制部32b、及び第二回動規制部32cを備えており、巻付部36が、筒状部28に対して軸線方向に移動可能、かつ回動不能に連結されたものとされている。そのため、枝管接続部材10は、第一回動規制部32b及び第二回動規制部32cを活用して、回動部34を巻付部36に対して独立して回動操作が可能な独立回動状態と、回動部34と巻付部36とを一体的に回動操作可能な一体回動状態とに切り替えることができる。
【0089】
また、上述した本実施形態の枝管接続部材10は、巻付部36が、回動部34に作用する回動力を受けて回動するものとされている。そのため、回動部34に回動力を作用させることにより、回動部34を回動させるだけでなく、巻付部36を回動させることも可能となる。これにより、巻付部36を回動させるための部材を別途設ける必要がなくなり、その分だけ枝管接続部材10の構成を簡略化できる。
【0090】
なお、上記実施形態においては、切替機構100等の構成によって、回動部34の動力伝達経路を切り替えることにより、回動部34の操作によって一体回動操作及び独立回動操作の双方を実施可能とした例を示したが、本発明はこれに限定されない。具体的には、巻付部36を回動させるためのレバー等を別途設け、巻付部36の回動操作を、回動部34の回動操作とは別に行えるようにしても良い。
【0091】
上述したように、枝管接続部材10は、筒状部28、回動部34、及び外筒部22yの周面に沿ってスライド移動可能な回動規制部32を有する。また、筒状部28、外筒部22y、及び回動部34の周部には、それぞれ回動規制部32のスライド移動方向に延びるように形成された筒状部凹凸28c、外筒部凹凸22d、及び回動部凹凸34cが設けられている。さらに、枝管接続部材10は、回動規制部32の内周面に設けられた回動規制凹凸32aが、第一回動規制部32b(第一係脱部)をなす部分、及び第二回動規制部32c(第二係脱部)をなす部分を有し、回動規制部32のスライド移動に伴って筒状部凹凸28c、外筒部凹凸22d、及び回動部凹凸34cに対して係脱可能とされている。このような構成とされているため、枝管接続部材10は、回動規制部32をスライド移動させるといった簡単な操作によって、一体回動状態と独立回動状態とに切り替え、回動部34の回動に伴う動力の伝達経路を切り替えることができる。
【0092】
なお、本実施形態では、筒状に形成された回動規制部32のスライド移動により、筒状部凹凸28c、外筒部凹凸22d、及び回動部凹凸34cと、回動規制凹凸32aとの係合状態を切り替え、枝管接続部材10を一体回動状態と独立回動状態とに切り替え可能とした例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、回動規制部32は、上述したように筒状のものとする代わりに、軸線方向にスライド可能なスライド機構を備えた部材とし、筒状部凹凸28c、外筒部凹凸22d、及び回動部凹凸34cに対して係脱可能なものとしても良い。また、筒状部凹凸28c、外筒部凹凸22d、及び回動部凹凸34cは、回動規制部32との係脱の観点からすれば、必ずしも軸線方向(スライド方向)に延びるように形成された突条のようなものである必要はなく、例えば突起のようなもの等であっても良い。
【0093】
また、上述した枝管接続部材10は、回動規制部32が、第一回動規制部32b(第一係脱部)としての機能と、第二回動規制部32c(第二係脱部)としての機能を兼ね備えたものである例を示したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、枝管接続部材10は、筒状部凹凸28c及び外筒部凹凸22dに対して係脱可能な第一回動規制部32b(第一係脱部)を備え、筒状部28及び外筒部22yの相対回転が規制された状態、及び筒状部凹凸28c及び外筒部凹凸22dの一方又は双方から離脱して筒状部28及び外筒部22yの相対回転が許容された状態に切り替え可能なものとすることができる。このような構成によれば、筒状部凹凸28c、及び外筒部凹凸22dに対し、第一回動規制部32bに設けられた第一回動規制部32b(第一係脱部)を係脱させる操作を行うことにより、筒状部28と外筒部22yとの相対回転が規制された状態、及び規制解除された状態に切り替え可能な枝管接続部材10を提供できる。
【0094】
同様に、上述した枝管接続部材10は、筒状部凹凸28c及び回動部凹凸34cに対して係脱可能な第二回動規制部32cを備え、筒状部28及び回動部34の相対回転が規制された状態、及び筒状部凹凸28c及び回動部凹凸34cの一方又は双方から離脱して筒状部28及び回動部34の相対回転が許容された状態に切り替え可能なものとすることができる。このような構成によれば、筒状部凹凸28c、及び回動部凹凸34cに対し、第二回動規制部32cに設けられた第二回動規制部32c(第二係脱部)を係脱させる操作を行うことにより、筒状部28と回動部34との相対回転が規制された状態、及び規制解除された状態に切り替え可能な枝管接続部材10を提供できる。
【0095】
上述したように、本実施形態の枝管接続部材10においては、回動規制凹凸32a、筒状部凹凸28c、外筒部凹凸22d、及び回動部凹凸34cが、それぞれ回動規制部32、筒状部28、回動部34、及び外筒部22yの周方向に複数設けられたものとされている。そのため、上述した枝管接続部材10は、回動規制凹凸32aによって構成される第一回動規制部32b及び第二回動規制部32cを、周方向の複数箇所において筒状部凹凸28cや外筒部凹凸22d、回動部凹凸34cに対して係合させることができる。従って、上述した枝管接続部材10は、回動部34の回動に伴う応力を回動規制部32、筒状部28、回動部34、及び外筒部22yにおいてしっかりと受け止めることができる。なお、本実施形態では、回動規制凹凸32a、筒状部凹凸28c、外筒部凹凸22d、及び回動部凹凸34cを複数設けた例を示したが、本発明はこれに限定されず、これらがそれぞれ単一のもの等とすることも可能である。
【0096】
また、上述した枝管接続部材10は、線状部材70をガイドするガイド部30を有し、ガイド部30が、巻付部36よりも内周部材50側において、線状部材70を軸線方向に案内するのものとされている。そのため、枝管接続部材10はガイド部30によって線状部材70を軸線方向に案内しつつ、巻付部36に対して整然と巻き付けることができる。従って、枝管接続部材10によれば、回動部34を回動させて線状部材70を巻付部36に巻き付けることにより内周部材50を本管1の内周面に引き寄せる作業を、スムーズに行うことができる。
【0097】
なお、本実施形態では、線状部材70をガイドするガイド部30を設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、枝管接続部材10は、ガイド部30を設けない構成としたり、ガイド部30に代えてあるいはガイド部30に加えて、線状部材70をガイド可能な別の部材等を設けた構成としても良い。
【0098】
上述したように、枝管接続部材10は、巻付部36が、線状部材70が収まる巻付溝38を、軸線方向にらせん状に形成したものとされている。このような構成とされているため、回動部34を回動することにより、巻付部36に設けられた巻付溝38に沿って線状部材70を整然と巻き付けることが可能となる。従って、上述した枝管接続部材10は、線状部材70が絡まる等の不具合が生じることなく、線状部材70を巻付部36に対してスムーズに巻き付けることができる。
【0099】
なお、本実施形態では、巻付部36に巻付溝38を設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、枝管接続部材10は、巻付溝38を設けない構成としたり、巻付溝38に代えてあるは巻付溝38に加えて、線状部材70を整然と巻き取るための機構等を別途設けても良い。
【0100】
また、上述した枝管接続部材10は、内周部材50が、第一内周片52a及び第二内周片52bを備えたものとされていることに対応して、線状部材70として第一内周片52aに繋がる第一線状部材70a、及び第二内周片52bに繋がる第二線状部材70bを設けると共に、巻付溝38として、第一線状部材70aのための第一巻付溝38aと、第二線状部材70bのための第二巻付溝38bとからなる二条の螺旋溝を設けたものとしている。そのため、枝管接続部材10は、回動部34の回動量に対する内周部材50の移動量を大きくとることができる。また、第一巻付溝38a及び第二巻付溝38bを二条の螺旋溝により構成すれば、第一線状部材70a及び第二線状部材70bを略均等に巻き付け、内周部材50をバランスよく本管1側に引き寄せることができる。従って、枝管接続部材10によれば、回動部34を回動させて内周部材50を本管1の内周面に引き寄せる引き寄せ操作の作業効率を向上させることができる。
【0101】
なお、本実施形態では、内周部材50が、第一内周片52a及び第二内周片52bを備えたものとした例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第一内周片52a及び第二内周片52bに相当するものを一体的に形成し、屈曲状態や伸展状態に状態が変化しないものとしたり、第一内周片52a及び第二内周片52bに加えてさらに多数の内周片の組み合わせによって内周部材50が形成されるものであっても良い。また、例えば内周部材50の構成を上述したものと相違させる場合等には、線状部材70を第一線状部材70a、及び第二線状部材70bによって構成するのとは異なる構成としても良い。
【0102】
上述した枝管接続部材10は、内周部材50が当接片を複数(本実施形態では2つ)、屈曲伸長可能に接続したものとされている。また、内周部材50は、屈曲状態とすることにより本管1に設けられた開口3を介して本管1の内部に導入可能な程度にコンパクトな状態とすることができる。そのため、上述した枝管接続部材10は、内周部材50を本管1の内部に導入する作業を容易かつスムーズに行うことができる。また、枝管接続部材10は、回動部34を回動させて巻付部36に線状部材70を巻き付け、内周部材50を本管1の内周部に引き寄せる過程において、内周部材50を屈曲状態から伸長状態に変化させることができる。そのため、枝管接続部材10は、本管1の内部に内周部材50の導入した後、回動部34を回動させて引き寄せる操作を行えば、本管1に対する装着作業を完了できる。
【0103】
本発明は、上述した実施形態や変形例等として示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得る。上述した実施形態の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また実施形態の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成してもよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、水道管、下水管、排水管等の各種の配管において、本管に対して枝管を接続するために好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 :本管
3 :開口
5 :枝管
10 :枝管接続部材
20 :外周部材
22d :外筒部凹凸
22y :外筒部
28 :筒状部
28c :筒状部凹凸
30 :ガイド部
32 :回動規制部
32a :回動規制凹凸
32b :第一回動規制部
32c :第二回動規制部
34 :回動部
34c :回動部凹凸
36 :巻付部
38 :巻付溝
50 :内周部材
52 :湾曲片
70 :線状部材
100 :切替機構
120 :回動部移動機構