(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100775
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】ゲームプログラムおよびゲーム装置
(51)【国際特許分類】
A63F 13/54 20140101AFI20220629BHJP
A63F 13/45 20140101ALI20220629BHJP
【FI】
A63F13/54
A63F13/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214969
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 知久
(72)【発明者】
【氏名】大牟田 裕
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 浩亮
(57)【要約】 (修正有)
【課題】仮想空間内における騒がしさを考慮して音の再生を制御することが可能なゲームプログラムを提供する。
【解決手段】ゲーム進行部は、仮想空間内にプレイヤキャラクタと複数のオブジェクトとが配置されたゲームを進行する。検出部は、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトの各々に設定された騒音値を検出する。選択部は、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲内に存在する複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音の中から、検出部により検出された騒音値に応じた数以下の音を選択する。再生部は、選択部により選択された音を含む音声データを再生する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
仮想空間内にプレイヤキャラクタと複数のオブジェクトとが配置され、且つ、前記複数のオブジェクトの各々に対してそのオブジェクトの種類に応じた騒音値が設定されたゲームを進行するゲーム進行部と、
前記プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲内に存在する複数のオブジェクトの各々に設定された騒音値を検出する検出部と、
前記プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲内に存在する複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音の中から、前記検出部により検出された前記騒音値に応じた数以下の音を選択する選択部と、
前記選択部により選択された音を含む音声データを再生する再生部として機能させる
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項2】
請求項1において、
前記検出部は、前記プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲内に存在する複数のオブジェクトの各々に設定された騒音値の合計を検出し、
前記選択部は、前記プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲内に存在する複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音の中から、前記検出部により検出された前記騒音値の合計に応じた数以下の音を選択する
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項3】
請求項2において、
前記選択部は、前記プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲内に存在する複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音のうち、前記検出部により検出された前記騒音値の合計に応じた数の音を対象音とし、前記対象音の中から所定数の音を選択する
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項4】
請求項3において、
前記検出部により検出された前記騒音値の合計が大きくなると、前記プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲内に存在する複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音から選ばれる対象音の数が少なくなる
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記複数のオブジェクトの各々には、優先度が設定され、
前記選択部は、前記プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲内に存在する複数のオブジェクトの各々に設定された優先度に基づいて、その複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音の中から前記対象音を選択する
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つにおいて、
前記騒音値は、固定値である
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つのゲームプログラムを記憶する記憶部と、
前記ゲームプログラムを実行する制御部とを備える
ことを特徴とするゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の音源オブジェクトが配置された仮想3次元空間を表現するゲームシステムが開示されている。このゲームシステムでは、複数の音源オブジェクトから同じタイミングで音声が再生される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムでは、仮想空間内における騒がしさが考慮されていない。そのため、仮想空間内における騒がしさを考慮して音の再生を制御することができない。
【0005】
本発明の目的は、仮想空間内における騒がしさを考慮して音の再生を制御することが可能なゲーム技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、
コンピュータを、
仮想空間内にプレイヤキャラクタと複数のオブジェクトとが配置され、且つ、前記複数のオブジェクトの各々に対してそのオブジェクトの種類に応じた騒音値が設定されたゲームを進行するゲーム進行部と、
前記プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲内に存在する複数のオブジェクトの各々に設定された騒音値を検出する検出部と、
前記プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲内に存在する複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音の中から、前記検出部により検出された前記騒音値に応じた数以下の音を選択する選択部と、
前記選択部により選択された音を含む音声データを再生する再生部として機能させる
ことを特徴とするゲームプログラムである。
【0007】
第1の態様において、
前記検出部は、前記プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲内に存在する複数のオブジェクトの各々に設定された騒音値の合計を検出し、
前記選択部は、前記プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲内に存在する複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音の中から、前記検出部により検出された前記騒音値の合計に応じた数以下の音を選択してもよい。
【0008】
また、第1の態様において、
前記選択部は、前記プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲内に存在する複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音のうち、前記検出部により検出された前記騒音値の合計に応じた数の音を対象音とし、前記対象音の中から所定数の音を選択してもよい。
【0009】
また、第1の態様において、
前記検出部により検出された前記騒音値の合計が大きくなると、前記プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲内に存在する複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音から選ばれる対象音の数が少なくなってもよい。
【0010】
また、第1の態様において、
前記複数のオブジェクトの各々には、優先度が設定され、
前記選択部は、前記所定の範囲内に存在する複数のオブジェクトの各々に設定された優先度に基づいて、その複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音の中から前記選択数以下の数の音を選択してもよい。
【0011】
また、第1の態様において、
前記騒音値は、固定値であってもよい。
【0012】
第2の態様は、
第1の態様のゲームプログラムを記憶する記憶部と、
前記ゲームプログラムを実行する制御部とを備える
ことを特徴とするゲーム装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、仮想空間内における騒がしさを考慮して音の再生を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態1のゲーム装置10の構成を例示するブロック図である。
【
図2】オブジェクトデータベースの構成を例示する概念図である。
【
図3】発音制御について説明するための概念図である。
【
図4】発音制御について説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して実施の形態を詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
【0016】
(ゲームの説明)
以下の説明における「ゲーム」は、仮想空間内にプレイヤキャラクタとオブジェクトとが配置されたゲーム(ビデオゲーム)のことである。仮想空間は、三次元のゲーム空間であり、画像としてディスプレイに表示される。プレイヤキャラクタは、ユーザの操作に応じて動作を行う。
【0017】
オブジェクトには、仮想空間内における環境を構成する環境オブジェクトと、仮想空間内において仮想の音源となる音源オブジェクトとが含まれる。環境オブジェクトの例としては、岩盤、洞窟、川などの地形を表現するオブジェクト、建物、樹木などを表現するオブジェクトなどが挙げられる。音源オブジェクトの例としては、仮想空間内において動作するオブジェクト、仮想空間内において音声の出力のみを行うオブジェクトなどが挙げられる。
【0018】
なお、プレイヤキャラクタも、仮想空間内において仮想の音源となる。プレイヤキャラクタは、音源オブジェクトの1つである。音源オブジェクトには、プレイヤキャラクタが含まれる。
【0019】
また、以下の説明におけるゲームでは、音声が再生される。ゲームにおいて再生される音声には、音源オブジェクトから出力される音、プレイヤキャラクタから出力される音、BGM(Background Music)などの楽曲などが含まれる。
【0020】
音源オブジェクトの音(音源オブジェクトに関連付けられる音)の例としては、足音や風切り音などのオブジェクトの動作に伴う音、鳴き声や台詞などのオブジェクトが発する音などが挙げられる。プレイヤキャラクタの音(プレイヤキャラクタに関連付けられる音)の例は、音源オブジェクトの音の例と同様である。
【0021】
また、以下の説明におけるゲームでは、音像定位処理が行われる。音像定位処理では、スピーカから出力される音声が仮想空間内においてプレイヤキャラクタが聴く音声(仮想の音源から出力された音声)となるように、音声データが再生される。具体的には、音像定位処理では、仮想空間内において、仮想の音源から出力された音を集音する仮想マイクが設定される。仮想マイクは、プレイヤキャラクタの近傍に配置されてプレイヤキャラクタとともに移動する。そして、スピーカから出力される音が仮想マイクにより集音された音となるように、音声データの再生が制御される。
【0022】
以下では、プレイヤキャラクタが敵キャラクタを討伐するアクションゲームを例に挙げる。このアクションゲームでは、プレイヤキャラクタの他に、コンピュータにより操作されるノンプレイヤキャラクタが仮想空間内において動作する。ノンプレイヤキャラクタの例としては、モンスターなどの敵キャラクタ、プレイヤキャラクタを手助けする味方キャラクタなどが挙げられる。敵キャラクタは、仮想空間内においてプレイヤキャラクタと戦闘を行う。敵キャラクタおよび味方キャラクタは、音源オブジェクトの一例である。
【0023】
また、以下の説明におけるゲームでは、複数のオブジェクトの各々に対して、そのオブジェクトの種類に応じた騒音値が設定される。騒音値については、後で詳しく説明する。
【0024】
(実施形態1)
図1は、実施形態1のゲーム装置10の構成を例示する。ゲーム装置10は、ユーザによる操作に応答してゲームを実行する。例えば、ゲーム装置10は、プレイステーション(登録商標)、XBox(登録商標)、Nintendo Switch(登録商標)などの家庭用ゲーム機、PlayStation Vita(登録商標)などの携帯ゲーム機、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットなどにより構成される。
【0025】
以下では、ゲーム装置10が家庭用ゲーム機である場合を例に挙げる。ゲーム装置10には、ディスプレイ21と、スピーカ22と、ゲームコントローラ23とが外部接続または内蔵される。
【0026】
〔ゲーム装置のハードウェア構成〕
図1に示すように、ゲーム装置10は、ネットワークインターフェース11と、グラフィック処理部12と、オーディオ処理部13と、操作部14と、記憶部15と、制御部16とを備える。ネットワークインターフェース11とグラフィック処理部12とオーディオ処理部13と操作部14と記憶部15は、バス17を介して制御部16と電気的に接続される。
【0027】
ネットワークインターフェース11は、通信ネットワークを介して外部の端末(例えば他のゲーム装置10やサーバ装置など)と通信可能に接続される。
【0028】
グラフィック処理部12には、ディスプレイ21が接続される。グラフィック処理部12は、制御部16から出力されるゲーム画像情報に従って、仮想空間に関する各種オブジェクションを含むゲーム画像を、動画形式で描画する。動画形式に描画されたゲーム画像は、ゲーム画面としてディスプレイ21に表示される。
【0029】
オーディオ処理部13には、スピーカ22が接続される。オーディオ処理部13は、制御部16の指示に従って、ゲーム音声を再生および合成する。オーディオ処理部13により再生および合成されたゲーム音声は、スピーカ22から出力される。なお、オーディオ処理部13には、同時発音数が定められる。同時発音数は、同時に再生することができる音の数である。
【0030】
操作部14には、ゲームコントローラ23が接続される。操作部14は、操作入力に関するデータをゲームコントローラ23との間で送受信する。そして、操作部14は、ゲームコントローラ23に入力された操作を示す操作情報を制御部16に送信する。
【0031】
例えば、ユーザは、ゲームコントローラ23を操作することで、ゲーム装置10に操作信号を入力する。すなわち、ゲームコントローラ23は、ユーザにより操作が与えられると、ユーザによる操作に応じた操作信号を操作部14に送信する。操作部14は、操作信号に基づいて操作情報を生成し、その操作情報を制御部16に送信する。
【0032】
記憶部15は、各種データを記憶する。記憶部15は、HDD、SSD、RAM、ROMなどで構成される。例えば、記憶部15は、ゲームを実行するためのゲームプログラムおよびゲームデータを記憶する。
【0033】
制御部16は、ゲーム装置10の動作を制御する。制御部16は、各種の情報およびデータを送受信し、各種の情報およびデータを処理する。制御部16は、CPU(マイクロコンピュータ)と半導体メモリとを有する。半導体メモリには、CPUを動作させるためのプログラムなどが格納される。
【0034】
〔ゲーム装置の記憶部に記憶されるデータ〕
この例では、記憶部15は、複数の音声データ30と、オブジェクトデータベース31とを記憶する。以下では、データベースを「DB」と記載する。
【0035】
〈音声データ〉
複数の音声データ30には、敵キャラクタや味方キャラクタなどのオブジェクトから出力される音(オブジェクトに関連付けられる音)を示す音声データ30、プレイヤキャラクタから出力される音(プレイヤキャラクタに関連付けられる音)を示す音声データ30、ゲームにおいて再生される楽曲を示す音声データ30などが含まれる。
【0036】
以下では、説明の便宜上、1つの音声データに1つの音が含まれる場合を例に挙げる。例えば、敵キャラクタが歩行するときに生じる足音を示す音声データ30と、その敵キャラクタが歩行するときに生じる風切り音を示す音声データ30とが個別に設けられる。
【0037】
〈オブジェクトDB〉
図2に示すように、オブジェクトDB31には、オブジェクト毎に、オブジェクトに設定された騒音値と、オブジェクトに設定された優先度と、オブジェクトに関連付けられた音に設定された発音優先度とが登録される。この例では、オブジェクトに設定される優先度は、低レベルに相当する「30」と、中レベルに相当する「50」と、高レベルに相当する「70」の三種類である。
【0038】
騒音値は、オブジェクトの種類に応じた値である。仮想空間内においてオブジェクトから出力されると想定される音の音量が大きくなるほど、そのオブジェクトに設定される騒音値が大きくなる。例えば、オブジェクトのサイズが大きくなるほど、そのオブジェクトに設定される騒音値が大きくなる。なお、この例では、騒音値は、固定値(ゲームの進行に応じて変化しない値)である。
【0039】
例えば、
図2の例では、「モンスターA」というオブジェクトの騒音値が「30」に設定される。「モンスターA」というオブジェクトの優先度が「30(低レベル)」に設定される。また、「モンスターA」というオブジェクトにおいて、「動作音」に関連する音の発音優先度が「-10」に設定され、「鳴き声」に関連する音の発音優先度が「+10」に設定され、「必殺技」に関連する音の発音優先度が「+30」に設定される。
【0040】
〔ゲーム装置における制御部の機能的構成〕
図1に示すように、ゲーム装置10の制御部16は、ゲーム進行部100と、検出部101と、選択部102と、再生部103とを有する。具体的には、制御部16は、そのCPUが各種プログラムを実行することにより、ゲーム進行部100、検出部101、選択部102、再生部103として機能する。
【0041】
〈ゲーム進行部〉
ゲーム進行部100は、仮想空間内においてプレイヤキャラクタと複数のオブジェクトとが配置されるゲームを進行する。この例では、ゲーム進行部100は、グラフィック処理部12を制御することでディスプレイ21を制御する。また、ゲーム進行部100は、操作部14から送信された操作情報を受信する。
【0042】
具体的には、ゲーム進行部100は、ゲームデータに基づいて、ゲームに関連する画像をディスプレイ21に出力させる。ユーザは、ディスプレイ21およびスピーカ22から出力される画像および音声に応じて、ゲームコントローラ23を操作する。ゲーム進行部100は、ゲームコントローラ23に入力された操作を示す操作情報に基づいて、その操作情報が反映されたゲームデータを生成する。
【0043】
〈検出部〉
検出部101は、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトの各々に設定された騒音値の合計を検出する。
図3に示すように、例えば、範囲R0は、プレイヤキャラクタの位置P0を中心とする球体の範囲である。
【0044】
〈選択部〉
選択部102は、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音の中から、検出部101により検出された騒音値の合計に応じた数以下の音を選択する。
【0045】
この例では、選択部102は、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音のうち、検出部101により検出された騒音値の合計に応じた数の音を対象音とし、対象音の中から所定数の音を選択する。
【0046】
なお、検出部101により検出された騒音値の合計が大きくなると、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音から選ばれる対象音の数が少なくなる。
【0047】
また、この例では、選択部102は、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトの各々に設定された優先度に基づいて、その複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音の中から対象音を選択する。
【0048】
〈再生部〉
再生部103は、選択部102により選択された音を含む音声データを再生する。再生部103により再生された音声データは、オーディオ処理部13により処理される。これにより、音声データに示された音がスピーカから出力される。このように、再生部103は、オーディオ処理部13を制御することでスピーカ22を制御する。
【0049】
この例では、再生部103は、敵キャラクタや味方キャラクタなどの音源オブジェクトから出力される音を示す音声データ、プレイヤキャラクタから出力される音を示す音声データ、ゲームにおいて再生される楽曲(BGMなど)を示す音声データを再生する。
【0050】
具体的には、再生部103は、音源オブジェクトの音声データおよびプレイヤキャラクタの音声データを記憶部15から読み出し、その読み出された音声データに対して音響処理(例えば音像定位処理)を行う。そして、再生部103は、音響処理が行われた音声データをオーディオ処理部13に出力する。
【0051】
〔発音制御〕
次に、
図3および
図4を参照して、実施形態1の制御部16により行われる発音制御について説明する。制御部16は、以下の処理を繰り返し行う。
【0052】
〈検出部の動作〉
まず、検出部101は、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数にオブジェクトに設定された騒音値の合計を検出する。具体的には、検出部101は、オブジェクトDB31の中から範囲R0内に存在する複数にオブジェクトに対応する騒音値を検出し、それらの検出された騒音値の加算することで騒音値の合計を求める。
【0053】
〈選択部の動作〉
次に、選択部102は、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音の中から、検出部101により検出された騒音値の合計に応じた数の音を対象音として選択する。例えば、検出部101により検出された騒音値の合計が大きくなるほど、対象音の数が少なくなる。なお、選択部102は、複数のオブジェクトの各々に設定された優先度に基づいて、対象音を選択する。
【0054】
この例では、選択部102は、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトの中から、検出部101により検出された騒音値の合計に応じた数の対象オブジェクトを選択し、その選択された対象オブジェクトに関連付けられた音の全部を対象音として選択する。例えば、検出部101により検出された騒音値の合計が大きくなるほど、対象オブジェクトの数が少なくなる。なお、選択部102は、複数のオブジェクトの各々に設定された優先度に基づいて、対象オブジェクトを選択する。
【0055】
具体的には、選択部102は、検出部101により検出された騒音値の合計と予め定められた閾値とを比較する。そして、選択部102は、騒音値の合計と閾値との比較の結果に応じて、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトの中から対象オブジェクトを選択する。なお、騒音値の合計が閾値以上となる場合の対象オブジェクトの数は、騒音値の合計が閾値を下回る場合の対象オブジェクトの数よりも少ない。
【0056】
この例では、選択部102は、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトのうち優先度が予め定められた基準レベル以上となるオブジェクトを対象オブジェクトとして選択する。また、選択部102は、検出部101により検出された騒音値の合計に応じて基準レベルを変更する。
【0057】
具体的には、
図3に示すように、検出部101により検出された騒音値の合計が閾値を下回る場合、選択部102は、基準レベルを「低レベル」に設定する。これにより、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトの全部が対象オブジェクト(すべての音が対象音となるオブジェクト)となる。
図3の例の場合、騒音値の合計に応じた数(対象音の数)は、範囲R0内に存在する複数のオブジェクトに関連付けられた音の総数となる。
【0058】
また、
図4に示すように、検出部101により検出された騒音値の合計が閾値以上となる場合、選択部102は、基準レベルを「中レベル」に設定する。これにより、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトのうち、優先度が「高レベル」または「中レベル」であるオブジェクトは、対象オブジェクトとなり、優先度が「低レベル」であるオブジェクトは、対象オブジェクトとならない。
図4の例の場合、騒音値の合計に応じた数(対象音の数)は、優先度が「高レベル」または「中レベル」であるオブジェクトに関連付けられた音の総数となる。
【0059】
次に、選択部102は、対象音の中から所定数の音を選択する。この例では、選択部102は、対象オブジェクト(すべての音が対象音となるオブジェクト)に設定された優先度と、対象音に設定された発音優先度とに基づいて、対象音の中から所定数の音を選択する。
【0060】
具体的には、選択部102は、複数の対象オブジェクトの各々に設定された優先度に基づいて、予め定められた最大発音数を複数の対象オブジェクトに分配する。対象オブジェクトに設定された優先度が高くなるほど、その対象オブジェクトに分配される発音数が多くなる。最大発音数は、ゲーム装置10の同時発音数(同時に再生することができる音の数)に基づいて定められる。最大発音数は、同時発音数以下の数である。
【0061】
次に、選択部102は、対象オブジェクトの各々に対して以下の処理を行う。選択部102は、ゲームの進行状況に基づいて、対象オブジェクトに関連付けられた音(対象音)の中からゲームにおいて再生される音の候補(以下では「候補音」と記載)を選択する。例えば、対象オブジェクトが鳴き声を出す動作を行う場合、その対象オブジェクトの鳴き声を示す音が候補音として選択される。そして、選択部102は、対象オブジェクトの候補音の中から、発音優先度の高い順に、所定数(オブジェクトに割り当てられた発音数以下の数)の音を選択する。
【0062】
〈再生部の動作〉
次に、再生部103は、選択部102により選択された所定数の音を含む所定数の音声データを再生する。再生部103により再生された所定数の音声データは、オーディオ処理部13により処理される。これにより、所定数の音声データにそれぞれ示された所定数の音がスピーカから同時に出力される。
【0063】
〔実施形態1の総括〕
以上を纏めると、実施形態1のゲームプログラムは、制御部16(コンピュータ)を、仮想空間内にプレイヤキャラクタと複数のオブジェクトとが配置され、且つ、複数のオブジェクトの各々に対してそのオブジェクトの種類に応じた騒音値が設定されたゲームを進行するゲーム進行部100と、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトの各々に設定された騒音値(この例では騒音値の合計)を検出する検出部101と、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音の中から検出部101により検出された騒音値(この例では騒音値の合計)に応じた数以下の音を選択する選択部102と、選択部102により選択された音を含む音声データを再生する再生部103として機能させる。
【0064】
また、実施形態1のゲーム装置10は、上記のゲームプログラムを記憶する記憶部15と、上記のゲームプログラムを実行する制御部16とを備える。
【0065】
〔実施形態1の効果〕
以上のように、実施形態1では、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音の中から、その複数のオブジェクトの各々に設定された騒音値の合計に応じた数以下の音を選択する。このような構成により、仮想空間内における騒がしさを考慮して音の再生を制御することができる。
【0066】
具体的には、実施形態1では、選択部102は、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音のうち検出部101により検出された騒音値の合計に応じた数の音を対象音とし、その対象音の中から所定数の音を選択する。このような構成により、仮想空間内における騒がしさを考慮して音の再生の前処理(対象音の選択)を行うことができる。
【0067】
また、実施形態1では、検出部101により検出された騒音値の合計が大きくなると、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音から選ばれる対象音の数が少なくなる。これにより、複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音のうち対象音とならない音(再生されない音)を増やすことができるので、騒がしくなり過ぎないように音の再生を制御することができる。
【0068】
また、実施形態1では、選択部102は、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトの各々に設定された優先度に基づいて、その複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音の中から対象音を選択する。このような構成により、臨場感がなるべく損なわれないように、音の再生を適切に制御することができる。
【0069】
また、仮想空間内における騒がしさを考慮して音の再生を制御することができるので、騒がしくなり過ぎないように、同時に再生される音の数を制限することができる。これにより、ゲーム装置10の処理負荷を軽減することができる。
【0070】
(実施形態2)
実施形態2のゲーム装置10は、選択部102の動作が実施形態1のゲーム装置10と異なる。実施形態2のゲーム装置10の他の構成は、実施形態1のゲーム装置10の構成と同様である。
【0071】
〔発音制御〕
次に、実施形態2の制御部16により行われる発音制御について説明する。実施形態2の発音制御は、選択部102の動作が実施形態1の発音制御と異なる。実施形態2では、制御部16は、以下の処理を繰り返し行う。
【0072】
〈検出部の動作〉
まず、実施形態1と同様に、検出部101は、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数にオブジェクトに設定された騒音値の合計を検出する。
【0073】
〈選択部の動作〉
次に、選択部102は、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音の中から、検出部101により検出された騒音値の合計に応じた数の音を対象音として選択する。例えば、検出部101により検出された騒音値の合計が大きくなるほど、対象音の数が少なくなる。なお、選択部102は、複数のオブジェクトの各々に設定された優先度と、複数のオブジェクトに関連付けられた音の各々に設定された発音優先度とに基づいて、対象音を選択する。
【0074】
具体的には、選択部102は、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトの各々に対して以下の処理を行う。選択部102は、オブジェクトに関連付けられた音の各々に設定された発音優先度に、オブジェクトに設定された優先度を加算する。これにより、オブジェクトに関連付けられた音の各々について、その音の総合優先度(すなわち発音優先度にオブジェクトの優先度を加算して得られる優先度)が求められる。
【0075】
次に、選択部102は、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音の中から、総合優先度の高い順に、所定数(検出部101により検出された騒音値の合計に応じた数)の音を対象音として選択する。
【0076】
次に、選択部102は、ゲームの進行状況に基づいて、対象音の中から所定数(例えば最大発音数以下の数)の音を選択する。具体的には、対象音の中から、総合優先度の高い順に、所定数の音を選択する。
【0077】
〈再生部の動作〉
次に、実施形態1と同様に、再生部103は、選択部102により選択された所定数の音を含む所定数の音声データを再生する。再生部103により再生された所定数の音声データは、オーディオ処理部13により処理される。これにより、所定数の音声データにそれぞれ示された所定数の音がスピーカから同時に出力される。
【0078】
〔実施形態2の効果〕
実施形態2では、実施形態1の効果と同様の効果を得ることができる。
【0079】
(その他の実施形態)
以上の説明では、1つの音声データに1つの音が含まれる場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、1つの音声データに複数の音が含まれてもよい。例えば、敵キャラクタが歩行するときに生じる足音と、その敵キャラクタが歩行するときに生じる風切り音とが1つの音声データ30に含まれてもよい。
【0080】
また、以上の説明では、オブジェクトのサイズに応じて騒音値が設定される場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、仮想空間内において想定されるオブジェクトの騒がしさに応じて騒音値が設定されてもよい。具体的には、仮想空間内において想定されるオブジェクトの騒がしさが顕著になるほど、そのオブジェクトに設定される騒音値が大きくなってもよい。騒がしさが顕著になるオブジェクトの例としては、ニワトリが挙げられる。ニワトリは、サイズが小さいが騒がしい。
【0081】
また、以上の説明では、騒音値が固定値である場合を例に挙げたが、これに限定されない。騒音値は、可変値であってもよい。例えば、ゲームにおいて発生するクエスト毎に、オブジェクトの騒音値が設定されてもよい。また、ゲーム内の時間に応じて、騒音値が変化してもよい。例えば、ニワトリに設定される騒音値は、ゲーム内の時間が朝の時間帯である場合に高くなり、ゲーム内の時間が夜の時間帯である場合に低くなるように、ゲーム内の時間に応じて変化してもよい。
【0082】
また、以上の説明では、発音制御において設定される所定の範囲R0が球体の範囲である場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、所定の範囲R0は、プレイヤキャラクタの位置P0を中心とする円形の範囲であってもよいし、プレイヤキャラクタが存在する仮想空間内の所定のエリア(例えばプレイヤキャラクタが存在する部屋)の全域であってもよい。
【0083】
また、以上の説明では、発音制御において、検出部101により検出された騒音値の合計と1つの閾値との比較の結果に応じて、対象音の数を二段階に切り換える場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、発音制御において、検出部101により検出された騒音値の合計と複数の閾値との比較の結果に応じて、対象音の数を二段階よりも多い多段階に切り換えてもよい。
【0084】
また、以上の説明では、検出部101により検出された騒音値の合計値(所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトの各々に設定された騒音値の合計)に基づいて発音制御が行われる場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、検出部101により検出された騒音値のうち最も高い騒音値に基づいて発音制御が行われてもよい。
【0085】
具体的には、選択部102は、プレイヤキャラクタの周りの所定の範囲R0内に存在する複数のオブジェクトの各々に関連付けられた音の中から、検出部101により検出された騒音値のうち最も高い騒音値に応じた数以下の音を選択してもよい。
【0086】
また、以上の説明では、仮想空間が三次元空間である場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、仮想空間は、二次元空間であってもよい。
【0087】
また、以上の説明において、ゲームプログラムは、いわゆるオンラインゲーム用のゲームプログラムとして実装されてもよい。この場合、ゲーム装置10の制御部16において行われる処理は、サーバ装置の制御部(図示省略)において行われてもよいし、ゲーム装置10とサーバ装置の制御部とで分担されてもよい。
【0088】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本発明の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0089】
10 ゲーム装置
11 ネットワークインターフェース
12 グラフィック処理部
13 オーディオ処理部
14 操作部
15 記憶部
16 制御部
21 ディスプレイ
22 スピーカ
23 ゲームコントローラ
30 音声データ
31 オブジェクトDB
100 ゲーム進行部
101 検出部
102 選択部
103 再生部