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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100784
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20220629BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220629BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N5/225 700
H04N5/232 480
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214978
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】笠原 章吾
【テーマコード(参考)】
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2K005AA01
2K005BA52
2K005BA54
2K005CA03
2K005CA04
2K005CA14
2K005CA23
2K005CA44
2K005CA53
5C122DA09
5C122DA14
5C122EA41
5C122EA54
5C122GD09
5C122GE04
5C122GE06
5C122GE11
5C122GE17
5C122HA82
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可動体を光軸回りに回転させる振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、光軸方向の製品高さを低くするとともに、部品点数の削減を図る。
【解決手段】振れ補正機能付き光学ユニットは、可動体10を光軸L回りに回転可能に支持する回転支持機構12と、回転支持機構12と固定体とを接続するジンバル機構を有する。回転支持機構12は、光軸Lを囲む第1環状板部26と第2環状板部との間で転動する転動体を備える。可動体10は、カメラモジュール2の外周側を囲む樹脂製のホルダ24と、ホルダ24に固定される金属製の第1部材25を備えており、第1部材25は、光軸Lを囲み光軸L方向から見てカメラモジュール2と重なる第1環状板部26と、第1環状板部26とホルダ24とを接続し振れ補正用磁気駆動機構の磁石の内周側に固定されてヨークとして機能する第1延設部27を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュールを備える可動体と、前記可動体を前記カメラモジュールの光軸を中心として回転可能に支持する回転支持機構と、前記回転支持機構を前記光軸と交差する第1軸回りに回転可能に支持するとともに、前記回転支持機構を前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに回転可能に支持するジンバル機構と、前記ジンバル機構および前記回転支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、を有し、
前記可動体は、前記カメラモジュールの外周側を囲む樹脂製のホルダと、前記ホルダに固定される金属製の第1部材と、を備え、
前記第1部材は、前記光軸を囲み前記光軸方向から見て前記カメラモジュールと重なる第1環状板部と、前記第1環状板部と前記ホルダとを接続する第1延設部と、を備え、
前記回転支持機構は、
第1環状板部に形成された第1環状溝と、
前記第1環状溝と前記光軸方向で対向する第2環状溝が形成された第2環状板部を備えるとともに前記ジンバル機構によって前記第1軸回りに回転可能に支持される第2部材と、
前記第1環状溝および前記第2環状溝に挿入されて前記第1環状板部と前記第2環状板部との間で転動する複数の転動体と、を備え、
前記ホルダには、前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構の振れ補正用磁石が固定され、
前記第1延設部は磁性金属からなり、前記振れ補正用磁石の内周側に固定されることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記振れ補正用磁気駆動機構は、前記可動体を前記第1軸回りに回転させる第1振れ補正用磁気駆動機構および前記可動体を前記第2軸回りに回転させる第2振れ補正用磁気駆動機構を備え、
前記振れ補正用磁石は、前記第1振れ補正用磁気駆動機構の第1磁石、および、前記第2振れ補正用磁気駆動機構の第2磁石を備え、
前記ホルダには、前記可動体を前記光軸回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構の第3磁石が固定され、
前記第1磁石、前記第2磁石、および前記第3磁石は、前記光軸回りの周方向に配列されており、
前記第1延設部は、前記第1磁石の内周側、前記第2磁石の内周側、および、前記第3磁石の内周側の各位置に固定されることを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記第2部材は、前記第2環状板部から前記第1軸方向の両側へ突出する一対の第2延設部、および、前記第2環状板部から前記第2軸方向の両側へ突出する一対の第2突出板部を備え、前記一対の第2延設部は、前記ジンバル機構に接続され、
前記第2環状板部は、前記第1環状板部と前記カメラモジュールとの前記光軸方向の隙間に配置され、
前記ホルダの前記第1軸方向の対角位置および前記第2軸方向の対角位置には、前記第2部材と前記光軸方向で対向するストッパ用凸部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記第1環状板部および前記第2環状板部は、前記カメラモジュールに対して前記光軸方向の一方側から重なり、
前記ホルダの前記第1軸方向の対角部分、および、前記ホルダの前記第2軸方向の対角部分は、前記光軸方向の他方側の端部が前記カメラモジュールよりも前記光軸方向の一方側に凹んでいることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の振れ補正機能付き
光学ユニット。
【請求項5】
前記第1環状板部および前記第2環状板部は、前記カメラモジュールに対して前記光軸方向の一方側から重なり、
前記ホルダは、前記カメラモジュールを囲んで周方向に配列される複数の側壁を備え、
前記複数の側壁のうち、前記第1軸方向と前記第2軸方向の中間の角度位置に配置される側壁のうちの少なくとも1箇所には、前記カメラモジュールよりも前記光軸方向の他方側に突出する凸部が設けられていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項6】
前記凸部は、前記側壁の周方向の中央に配置されることを特徴とする請求項5に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項7】
前記凸部の周方向の両側の側面は、前記凸部の周方向の中央に向かうに従って前記光軸方向の他方側へ向かう方向に傾斜するテーパ面であることを特徴とする請求項6に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項8】
前記回転支持機構は、前記第1環状溝と前記第2環状溝とを前記光軸方向で接近させる力を付与する与圧機構を備え、
前記与圧機構は、前記第1環状板部から外周側へ突出する第1突出板部と、前記第2部材の前記光軸回りの周方向の一部分に固定される与圧用磁石と、を備え、
前記第1突出板部は磁性金属からなり、前記与圧用磁石に吸引されることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項9】
前記可動体の前記光軸回りの回転範囲を規制する回転規制機構を備え、
前記回転規制機構は、
前記第1部材または前記ホルダに形成される第1回転規制部と、
前記第2部材に形成される第2回転規制部と、を備え、
前記第1回転規制部と前記第2回転規制部の一方は、前記第1回転規制部と前記第2回転規制部の他方の周方向の両側を囲うことを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項10】
前記第1回転規制部は、前記第1環状板部から外周側へ延びて前記ホルダに固定され、
前記第2回転規制部は、前記第1回転規制部の周方向の中央部分を切り欠いた切欠き部に配置されることを特徴とする請求項9に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュールを光軸回りに回転させて振れを補正する振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や移動体に搭載される光学ユニットの中には、携帯端末や移動体の移動時の撮影画像の乱れを抑制するために、カメラモジュールを備える可動体を、光軸回り、光軸と交差する第1軸回り、並びに光軸および第1軸と交差する第2軸回りに回転させるものがある。特許文献1には、この種の振れ補正機能付き光学ユニットが記載される。
【0003】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットは、固定体と、固定体に対して光軸回りに回転可能に支持される可動体を有する。可動体は、レンズを備えるカメラモジュールと、カメラモジュールの周りを囲む支持体と、支持体の内側で、カメラモジュールを第1軸回りおよび第2軸回りに回転可能に支持するジンバル機構を備える。また、振れ補正機能付き光学ユニットは、可動体においてカメラモジュールを第1軸回りおよび第2軸回りに回転させる揺動用磁気駆動機構と、可動体を光軸回りに回転可能に支持する回転支持機構と、可動体を光軸回りに回転させることによりカメラモジュールを光軸回りに回転させるローリング用磁気駆動機構を備える。
【0004】
特許文献1では、回転支持機構は、可動体の底部から光軸方向の後ろ側に突出した凸部と、凸部を囲むボールベアリングを備える。また、特許文献1には、回転支持機構の他の構成例として、ボールベアリングに代えて可動体の底部にピボット部を設ける構成、および、可動体の側面に円弧状の凸面を設けてボールベアリングを構成するなどして可動体の外周側に回転支持機構を設けることが記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-82072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットでは、可動体の光軸方向の後ろ側にボールベアリングやピボットなどの回転支持機構が設けられている。このような構成では、振れ補正機能付き光学ユニットの光軸方向の高さが大きくなり、製品全体の光軸方向の薄型化が困難である。また、特許文献1には、可動体の内部にジンバル機構を設け、可動体の外周側に回転支持機構を設ける構成も記載されているが、このような構成では、光軸方向から見た製品全体の外形が大きくなってしまう。
【0007】
本発明者らは、特願2020-36404号において、可動体の外部にジンバル機構を設け、ジンバル機構と可動体との間に回転支持機構を設けた振れ補正機能付き光学ユニットを出願している。特願2020-36404号の回転支持機構は、光軸方向に対向する2本の環状のレール部材の間に転動体を挿入したボールベアリングをカメラモジュールの鏡筒部を囲むように配置し、一方のレールを可動体の被写体側の端面に固定し、他方のレールをジンバル機構によって第1軸回りに回転可能に支持する構成である。そのため、可動体の光軸方向の後ろ側および可動体の外周側に回転支持機構の配置スペースを確保する必要がない。
【0008】
ここで、特願2020-36404号の可動体は、カメラモジュールを保持するホルダが板金製であり、カメラモジュールを囲むホルダ枠部から内周側に張り出すホルダ端板部を設けることによってホルダの強度を確保する。回転支持機構は、転動体を保持する2本のレールが光軸方向に対向し、2本のレールの被写体側にジンバルフレームに接続される板金製のプレートロールが重なり、さらに、プレートロールの被写体側に板金製のストッパ部材が重なる。ストッパ部材は、衝撃が加わったときにプレートロールが外れることを規制する。
【0009】
特願2020-36404号の構成では、カメラモジュールの被写体側において多数の部品が光軸方向に重なっており、さらに、カメラモジュールを覆うホルダ端板部と回転支持機構とが光軸方向に重なるため、光軸方向の製品高さが大きくなってしまう。また、部品点数が多いため、組立作業に手間がかかるとともに、多数の部品の寸法公差が積み上がるため寸法ばらつきが大きい。
【0010】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、可動体を光軸回りに回転させる振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、光軸方向の製品高さを低くするとともに、部品点数の削減を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュールを備える可動体と、前記可動体を前記カメラモジュールの光軸を中心として回転可能に支持する回転支持機構と、前記回転支持機構を前記光軸と交差する第1軸回りに回転可能に支持するとともに、前記回転支持機構を前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに回転可能に支持するジンバル機構と、前記ジンバル機構および前記回転支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、を有し、前記可動体は、前記カメラモジュールの外周側を囲む樹脂製のホルダと、前記ホルダに固定される金属製の第1部材と、を備え、前記第1部材は、前記光軸を囲み前記光軸方向から見て前記カメラモジュールと重なる第1環状板部と、前記第1環状板部と前記ホルダとを接続する第1延設部と、を備え、前記回転支持機構は、第1環状板部に形成された第1環状溝と、前記第1環状溝と前記光軸方向で対向する第2環状溝が形成された第2環状板部を備えるとともに前記ジンバル機構によって前記第1軸回りに回転可能に支持される第2部材と、前記第1環状溝および前記第2環状溝に挿入されて前記第1環状板部と前記第2環状板部との間で転動する複数の転動体と、を備え、前記ホルダには、前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構の振れ補正用磁石が固定され、前記第1延設部は磁性金属からなり、前記第1環状板部から外周側へ延びて記光軸方向の他方側へ屈曲して前記振れ補正用磁石の内周側に固定されることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、可動体は、カメラモジュールの外周側を囲む樹脂製のホルダと、ホルダに固定される金属製の第1部材を備えており、第1部材は、光軸を囲み光軸方向から見てカメラモジュールと重なる第1環状板部と、第1環状板部と前記ホルダとを接続し振れ補正用磁石の内周側に固定される磁性金属製の第1延設部と、を備えている。このように、回転支持機構の転動体が挿入されるレールと、振れ補正用磁気駆動機構の磁石に対するヨークとを第1部材に一体化させることにより、部品点数を削減でき、可動体および回転支持機構の組立性の改善、および、コストダウンを図ることができる。また、ヨークを第1部材に一体化させることにより、ヨークの位置精度を高めることができる。さらに、ホルダを樹脂製にしたことにより、板金製のホルダのように光軸方向の端部に内周側に張り出す端板部を設けなくても強度を確保できる。従って、可動体の光軸方向の高さを低くすることができる。
【0013】
本発明において、前記振れ補正用磁気駆動機構は、前記可動体を前記第1軸回りに回転
させる第1振れ補正用磁気駆動機構および前記可動体を前記第2軸回りに回転させる第2振れ補正用磁気駆動機構を備え、前記振れ補正用磁石は、前記第1振れ補正用磁気駆動機構の第1磁石、および、前記第2振れ補正用磁気駆動機構の第2磁石を備え、前記ホルダには、前記可動体を前記光軸回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構の第3磁石が固定され、前記第1磁石、前記第2磁石、および前記第3磁石は、前記光軸回りの周方向に配列されており、前記第1延設部は、前記第1磁石の内周側、前記第2磁石の内周側、および、前記第3磁石の内周側の各位置に固定されることが好ましい。このようにすると、振れ補正用磁気駆動機構およびローリング補正用磁気駆動機構の磁石に対するヨークが第1部材に全て一体化される。従って、部品点数を削減でき、可動体および回転支持機構の組立性の改善、および、コストダウンを図ることができる。また、ヨークの位置精度を高めることができる。
【0014】
本発明において、前記第2部材は、前記第2環状板部から前記第1軸方向の両側へ突出する一対の第2延設部、および、前記第2環状板部から前記第2軸方向の両側へ突出する一対の第2突出板部を備え、前記一対の第2延設部は、前記ジンバル機構に接続され、前記第2環状板部は、前記第1環状板部と前記カメラモジュールとの前記光軸方向の隙間に配置され、前記ホルダの前記第1軸方向の対角位置および前記第2軸方向の対角位置には、前記第2部材と前記光軸方向で対向するストッパ用凸部が設けられていることが好ましい。このようにすると、第1環状板部は、第2環状板部が外れることを規制するストッパ部材として機能する。従って、第2環状板部に対して光軸方向で重なるストッパ部材を別途重ねて配置する必要がないので、回転支持機構の光軸方向の高さを低くすることができる。よって、振れ補正機能付き光学ユニットの光軸方向の高さを低くすることができる。また、前記第2部材に設けられた第2環状板部が第1環状板部から離れることをホルダに設けられたストッパ用凸部によって規制できる。従って、第2環状板部の脱落を規制できる。また、ホルダは樹脂製であり、板金製よりも複雑な凹凸形状を形成しやすい。従って、ストッパ用凸部を備えたホルダの製造が容易である。
【0015】
本発明において、前記第1環状板部および前記第2環状板部は、前記カメラモジュールに対して前記光軸方向の一方側から重なり、前記ホルダの前記第1軸方向の対角部分、および、前記ホルダの前記第2軸方向の対角部分は、前記光軸方向の他方側の端部が前記カメラモジュールよりも前記光軸方向の一方側に凹んでいることが好ましい。このようにすると、可動体が第1軸回りおよび第2軸回りに揺動するときに可動体が動くスペースの光軸方向の高さを小さくすることができる。従って、振れ補正機能付き光学ユニットの光軸方向の製品高さを小さくすることができる。また、ホルダは樹脂製であり、板金製よりも複雑な凹凸形状を形成しやすい。従って、第1軸方向の対角部分および第2軸方向の対角部分が凹んだ形状のホルダの製造が容易である。
【0016】
本発明において、前記第1環状板部および前記第2環状板部は、前記カメラモジュールに対して前記光軸方向の一方側から重なり、前記ホルダは、前記カメラモジュールを囲んで周方向に配列される複数の側壁を備え、前記複数の側壁のうち、前記第1軸方向と前記第2軸方向の中間の角度位置に配置される側壁のうちの少なくとも1箇所には、前記カメラモジュールよりも前記光軸方向の他方側に突出する凸部が設けられていることが好ましい。このようにすると、落下衝撃によって可動体が固定体に衝突する場合には、凸部に衝撃が加わるので、カメラモジュールに直接衝撃が加わることを回避できる。
【0017】
本発明において、前記凸部は、前記側壁の周方向の中央に配置されることが好ましい。このようにすると、ホルダにおいて光軸からの距離が最も小さい位置、言い換えれば、可動体が揺動したときに光軸方向の移動量が最も小さい位置に凸部が配置される。従って、可動体を揺動させたときに凸部が固定体に衝突することを回避するために可動体と固定体との光軸方向の隙間を大きくする必要がないので、振れ補正機能付き光学ユニットの光軸
方向の製品高さが大きくなることを回避できる。
【0018】
本発明において、前記凸部の周方向の両側の側面は、前記凸部の周方向の中央に向かうに従って前記光軸方向の他方側へ向かう方向に傾斜するテーパ面であることが好ましい。このようにすると、凸部は、基端部の周方向の幅が大きい形状になるので、強度が高まる。また、側面がテーパ面である形状は、可動体が揺動したときに光軸方向の移動量が大きい部位ほど突出量が少ない形状である。従って、可動体を揺動させたときに凸部が固定体に衝突することを回避するために可動体と固定体との光軸方向の隙間を大きくする必要がないので、振れ補正機能付き光学ユニットの光軸方向の製品高さが大きくなることを回避できる。
【0019】
本発明において、前記回転支持機構は、前記第1環状溝と前記第2環状溝とを前記光軸方向で接近させる力を付与する与圧機構を備え、前記与圧機構は、前記第1環状板部から外周側へ突出する第1突出板部と、前記第2部材の前記光軸回りの周方向の一部分に固定される与圧用磁石と、を備え、前記第1突出板部は磁性金属からなり、前記与圧用磁石に吸引されることが好ましい。このようにすると、与圧機構の部品を第1部材に一体化させることができる。従って、部品点数を削減でき、組立性の改善を図ることができる。また、可動体に対して相対回転する第2部材に与圧用磁石を搭載し、与圧用磁石に吸引される第1突出板部を可動体に設けることにより、可動体に搭載される振れ補正用磁気駆動機構およびローリング補正用磁気駆動機構の磁石に吸引されて第1突出板部の回転位置がずれることを避けることができる。従って、与圧機構が振れ補正用磁気駆動機構およびローリング補正用磁気駆動機構の干渉を受けることを避けることができる。また、与圧機構によって可動体の光軸回りの角度位置を規定することができる。
【0020】
本発明において、前記可動体の前記光軸回りの回転範囲を規制する回転規制機構を備え、前記回転規制機構は、前記第1部材または前記ホルダに形成される第1回転規制部と、前記第2部材に形成される第2回転規制部と、を備え、前記第1回転規制部と前記第2回転規制部の一方は、前記第1回転規制部と前記第2回転規制部の他方の周方向の両側を囲うことが好ましい。このようにすると、第1部材と第2部材との間、もしくは、第2部材とホルダとの間で回転規制機構を完結できる。よって、第1部材および第2部材に対して光軸方向に重なるストッパ部材がなくても回転規制機構を構成できるため、回転支持機構の光軸方向の高さを低くすることができる。また、少ない部品数で回転規制機構を構成できるため、部品公差の積み上げによる回転規制機構の寸法精度の低下を抑制できる。従って、可動体の回転範囲を精度良く規制できる。
【0021】
本発明において、前記第1回転規制部は、前記第1環状板部から外周側へ延びて前記ホルダに固定され、前記第2回転規制部は、前記第1回転規制部の周方向の中央部分を切り欠いた切欠き部に配置されることが好ましい。このようにすると、第1環状板部とホルダとを接続する接続部を第1回転規制部として利用できるので、第1部材の形状を単純化することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、回転支持機構の転動体が挿入されるレールと、振れ補正用磁気駆動機構の磁石に対するヨークとを第1部材に一体化させているので、部品点数を削減でき、可動体および回転支持機構の組立性の改善、および、コストダウンを図ることができる。また、ヨークを第1部材に一体化させることにより、ヨークの位置精度を高めることができる。さらに、ホルダを樹脂製にしたことにより、板金製のホルダのように光軸方向の端部に内周側に張り出す端板部を設けなくても強度を確保できる。従って、可動体の光軸方向の高さを低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
図2】振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
図3】カバーを外した振れ補正機能付き光学ユニットを被写体側から見た平面図である。
図4】カバーおよびベースを外した振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
図5図3のA-A位置で切断した振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。
図6図3のB-B位置で切断した振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。
図7】ジンバルフレームおよびジンバルフレーム受け部材の斜視図である。
図8】可動体および回転支持機構を被写体側から見た斜視図である。
図9】可動体および回転支持機構の分解斜視図である。
図10】可動体および回転支持機構を反被写体側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの実施形態を説明する。
【0025】
(全体構成)
図1は、振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。図2は、振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。図3は、カバーを外した振れ補正機能付き光学ユニットを被写体側から見た平面図である。図4は、カバーおよびベースを外した振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
【0026】
図1に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール2を備える可動体10と、可動体10を外側から囲む固定体11を備える。固定体11は、可動体10を外周側から囲む枠状のケース3と、ケース3に被写体側から固定されるカバー4と、ケース3に反被写体側から固定されて可動体を反被写体側から覆うベース5を備える。また、振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体10から引き出されるフレキシブルプリント基板6と、ケース3の外周面に沿って引き回されるフレキシブルプリント基板7を備える。
【0027】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に光学機器の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、撮影画像が傾くことを回避するため、ジャイロスコープ等の検出手段によって検出された加速度や角速度、振れ量等に基づき、カメラモジュール2の傾きを補正する。
【0028】
カメラモジュール2は、レンズ2aと、レンズ2aの光軸L上に配置された撮像素子2bを備える(図5図6参照)。振れ補正機能付き光学ユニット1は、レンズ2aの光軸L回り、光軸Lと直交する第1軸R1回り、並びに、光軸Lおよび第1軸R1と直交する第2軸R2回りにカメラモジュール2を回転させて振れ補正を行う。
【0029】
以下の説明では、互いに直交する3軸をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向とする。また、X軸方向の一方側を-X方向、他方側を+X方向とする。Y軸方向の一方側を-Y方向、他方側を+Y方向とする。Z軸方向の一方側を-Z方向、他方側を+Z方向とする。Z軸方向は、光軸L方向である。-Z方向は、カメラモジュール2の反被写体側であり、+Z方向は、カメラモジュール2の被写体側である。第1軸R1および第2軸R2は、Z軸回
り(光軸回り)で、X軸およびY軸に対して45度傾斜する。
【0030】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体10をZ軸回りに回転可能に支持する回転支持機構12と、ジンバル機構13とを有する。ジンバル機構13は、回転支持機構12を第1軸R1回りに回転可能に支持するとともに、回転支持機構12を第2軸R2回りに回転可能に支持する。可動体10は、回転支持機構12およびジンバル機構13を介して、第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転可能な状態で固定体11に支持される。
【0031】
図3に示すように、ジンバル機構13は、ジンバルフレーム14と、ジンバルフレーム14と回転支持機構12とを第1軸R1回りに回転可能に接続する第1接続機構15を備える。第1接続機構15は、ジンバルフレーム14の第1軸R1方向の両側に設けられている。また、ジンバル機構13は、ジンバルフレーム14と固定体11とを第2軸R2回りに回転可能に接続する第2接続機構16を備える。第2接続機構16は、ジンバルフレーム14の第2軸R2方向の両側に設けられている。
【0032】
また、振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体10を第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構20を備える。図3に示すように、振れ補正用磁気駆動機構20は、可動体10に対してX軸回りの駆動力を発生させる第1振れ補正用磁気駆動機構21と、可動体10に対してY軸回りの駆動力を発生させる第2振れ補正用磁気駆動機構22を備える。第1振れ補正用磁気駆動機構21と第2振れ補正用磁気駆動機構22とは、Z軸回りの周方向に配列されている。本例では、第1振れ補正用磁気駆動機構21は、カメラモジュール2の-X方向に配置される。第2振れ補正用磁気駆動機構22は、カメラモジュール2の-Y方向に配置される。
【0033】
可動体10は、第1軸R1回りの回転および第2軸R2回りの回転を合成することにより、X軸回りおよびY軸回りに回転する。これにより、振れ補正機能付き光学ユニット1は、X軸回りのピッチング補正、およびY軸回りのヨーイング補正を行う。
【0034】
さらに、振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体10をZ軸回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構23を有する。図3に示すように、第1振れ補正用磁気駆動機構21、第2振れ補正用磁気駆動機構22、および、ローリング補正用磁気駆動機構23は、Z軸回りの周方向に配列されている。本例では、ローリング補正用磁気駆動機構23は、カメラモジュール2の+Y方向に配置される。ローリング補正用磁気駆動機構23は、光軸Lを間に挟んで、第2振れ補正用磁気駆動機構22とは反対側に位置する。
【0035】
(固定体)
固定体11において、カバー4およびベース5は板状であり、非磁性の金属からなる。カバー4およびベース5の外周縁には、ケース3の側に略直角に屈曲したフック8が形成されている。ケース3は樹脂製である。フック8は、ケース3の外周面に設けられた突起9に係止される。ジンバル機構13およびカメラモジュール2は、カバー4の開口部4aの内側に配置され、カバー4から+Z方向に突出している。
【0036】
ケース3は、可動体10および回転支持機構12を外周側から囲む矩形の枠部18と、枠部18の+X方向に配置される矩形の配線収容部19を備える。枠部18は、X方向で対向する第1側板部181および第2側板部182と、Y方向で対向する第3側板部183および第4側板部184を備える。第1側板部181は第2側板部182の-X方向に位置する。第3側板部183は、第4側板部184の-Y方向に位置する。
【0037】
図4に示すように、枠部18は、第2側板部182の-Z方向の端縁を切り欠いた切欠き部185を備える。可動体10の-Z方向の端部分からは、撮像素子2bに接続される
フレキシブルプリント基板6が+X方向に引き出されている。フレキシブルプリント基板6は、切欠き部185を通って枠部18の+X方向に引き出され、配線収容部19に収容される。
【0038】
配線収容部19は、Y軸方向で対向する第5側板部191および第6側板部192と、枠部18の第2側板部182とX軸方向で対向する第7側板部193を備える。配線収容部19は、第7側板部193の-Z方向の端縁を切り欠いた切欠き部194を備える。フレキシブルプリント基板6は、配線収容部19の内側で複数回折り返された形状に引き回され、切欠き部194を通って配線収容部19の外側へ引き出される。
【0039】
図4に示すように、ケース3の第3側板部183には、第1コイル固定孔183aが設けられている。第1コイル固定孔183aには、第1コイル21Cが固定される。ケース3の第1側板部181には、第2コイル固定孔181aが設けられている。第2コイル固定孔181aには、第2コイル22Cが固定される。第1コイル21Cおよび第2コイル22Cは、周方向に長い長円形の空芯コイルである。また、第4側板部184には、第3コイル固定孔184aが設けられている。第3コイル固定孔184aには、第3コイル23Cが配置されている。第3コイル23Cは、Z軸方向に長い空芯コイルである。
【0040】
図3に示すように、第3側板部183に固定された第1コイル21Cと可動体10の-Y方向の側面に固定された第1磁石21MとはY方向で対向しており、第1振れ補正用磁気駆動機構21を構成する。また、第1側板部181に固定された第2コイル22Cと可動体10の-X方向の側面に固定された第2磁石22MとはX方向で対向しており、第2振れ補正用磁気駆動機構22を構成する。そして、第4側板部184に固定された第3コイル23Cと可動体10の+Y方向の側面に固定された第3磁石23MとはY方向で対向しており、ローリング補正用磁気駆動機構23を構成する。
【0041】
第1コイル21C、第2コイル22C、および第3コイル23Cは、フレキシブルプリント基板7に電気的に接続される。フレキシブルプリント基板7は、枠部18の外周面に固定される。本形態では、フレキシブルプリント基板7は、枠部18における第4側板部184、第1側板部181、および第3側板部183の外周面に沿って、この順番に引き回されている。
【0042】
フレキシブルプリント基板7には、第1コイル21Cの中心と重なる位置、および、第2コイル22Cの中心と重なる位置の2箇所に磁性板17(図1図2参照)が固定される。第1コイル21Cと重なる磁性板17と第1磁石21Mとは、可動体10をX軸回りの回転方向における基準角度位置に復帰させるための磁気バネを構成する。また、第2コイル22Cと重なる磁性板17と第2磁石22Mとは、可動体10をY軸回りの回転方向における基準角度位置に復帰させるための磁気バネを構成する。さらに、フレキシブルプリント基板7には、図示しない揺動位置センサおよび回転位置センサが配置される。振れ補正機能付き光学ユニット1は、これらのセンサの出力に基づき、可動体10のX軸回り、Y軸回り、Z軸回りの回転方向における角度位置を取得する。
【0043】
(ジンバル機構)
図5図6は、振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。図5は、図2のA-A位置で切断した断面図であり、図6は、図2のB-B位置で切断した断面図である。図7は、ジンバルフレーム14、第1ジンバルフレーム受け部材151、および第2ジンバルフレーム受け部材162の分解斜視図である。
【0044】
図3図6に示すように、枠部18の第2軸R2方向の対角位置には、それぞれ、ジンバルフレーム14と固定体11とを第2軸R2回りに回転可能に接続する第2接続機構1
6が設けられる。枠部18の第2軸R2方向の対角位置に設けられた一対の凹部161には、それぞれ、第2ジンバルフレーム受け部材162が固定される。図6図7に示すように、第2ジンバルフレーム受け部材162は、球体163と、球体163が固定される第2スラスト受け部材164を備える。図6に示すように、第2ジンバルフレーム受け部材162を凹部161に固定することにより、球体163が第2軸R2上の位置で固定体11に支持される。ジンバル機構13を組み立てる際、第2ジンバルフレーム受け部材162の内周側にジンバルフレーム14を挿入して第2軸R2上で球体163に点接触させる。これにより、第2接続機構16が構成される。
【0045】
図3図5に示すように、可動体10に対して第1軸R1方向の両側には、それぞれ、ジンバルフレーム14と回転支持機構12とを第1軸R1回りに回転可能に接続する第1接続機構15が設けられる。第1接続機構15は、可動体10に対して第1軸R1方向の両側において回転支持機構12に固定される第1ジンバルフレーム受け部材151を備える。図5図7に示すように、第1ジンバルフレーム受け部材151は、球体152と、球体152が固定される第1スラスト受け部材153を備える。第1スラスト受け部材153を回転支持機構12に固定することにより、球体152が第1軸R1上の位置で回転支持機構12によって支持される。ジンバル機構13を組み立てる際、第1ジンバルフレーム受け部材151の内周側にジンバルフレーム14を挿入して第1軸R1上で球体152に点接触させる。これにより、第1接続機構15が構成される。
【0046】
ジンバルフレーム14は、金属製の板バネからなる。図5図6図7に示すように、ジンバルフレーム14は、可動体10の+Z方向に位置するジンバルフレーム本体部140と、ジンバルフレーム本体部140から第1軸R1方向の両側に向かって突出して-Z方向に延びる一対の第1軸側延設部141と、ジンバルフレーム本体部140から第2軸R2方向の両側に向かって突出して-Z方向に延びる一対の第2軸側延設部142を備える。ジンバルフレーム14は、ジンバルフレーム本体部140の中央をZ軸方向に貫通する開口部143を備える。
【0047】
図7に示すように、一対の第1軸側延設部141のそれぞれは、第1軸R1上において、第1軸R1方向を可動体10の側に向かって内周側に窪む第1軸側凹曲面144を備える。また、第1軸側延設部141は、第1軸側凹曲面144の+Z方向に、周方向の両側の縁を切り欠いた一対の切欠き145を備える。さらに、第1軸側延設部141は、第1軸側凹曲面144の-Z方向に、外周側へ向かう方向へ突出する突出部146を備える。次に、一対の第2軸側延設部142のそれぞれは、第2軸R2上において、第2軸R2方向を可動体10の側に向かって内周側に窪む第2軸側凹曲面147を備える。また、第2軸側延設部142は、第2軸側凹曲面147の+Z方向に、周方向の両側の縁を切り欠いた一対の切欠き148を備える。
【0048】
図7に示すように、第1スラスト受け部材153は、Z軸方向に延びる板部154と、板部154の-Z方向の端部から可動体10側へ屈曲した足部155と、板部154の周方向の両側の側縁から可動体10側へ屈曲した一対の腕部156を備える。板部154には球体152が溶接により固定される。また、第1スラスト受け部材153は、板部154と足部155とが繋がる角部の中央を貫通する孔部157を備える。足部155および一対の腕部156の先端は、回転支持機構12に溶接により固定される。後述するように、回転支持機構12は、可動体10の第1軸R1方向の両側において-Z方向に延びる一対の第2延設部64を備えており、第1ジンバルフレーム受け部材151は、足部155および一対の腕部156の先端が第2延設部64の先端に溶接により固定される。
【0049】
ジンバル機構13を組み立てる際には、ジンバルフレーム14の第1軸側延設部141を内周側に撓ませて第1ジンバルフレーム受け部材151の内周側に挿入する。これによ
り、第1軸側延設部141は外周側へ付勢されるので、各第1軸側延設部141の第1軸側凹曲面144と第1ジンバルフレーム受け部材151の球体152とは、接触した状態を維持できる。また、第1軸側延設部141の切欠き145が一対の腕部156の間に配置されるとともに、突出部146が孔部157に配置される(図5参照)。これにより、第1ジンバルフレーム受け部材151からジンバルフレーム14が+Z方向に抜けることが防止される。
【0050】
第2スラスト受け部材164は、Z軸方向に延びる板部165と、板部165の-Z方向の端部から可動体10側へ屈曲した足部166と、板部165の周方向の両側の側縁から可動体10側へ屈曲した一対の腕部167を備える。板部165には球体163が溶接により固定される。また、足部166の周方向の両端から+Z方向へ屈曲した足部屈曲部168を備える。第2スラスト受け部材164をケース3の凹部161に固定する際、足部屈曲部168を周方向の中央に向けて撓ませながら第2スラスト受け部材164を凹部161に圧入する。
【0051】
ジンバル機構13を組み立てる際には、ジンバルフレーム14の第2軸側延設部142を内周側に撓ませて第2ジンバルフレーム受け部材162の内周側に挿入する。これにより、第2軸側延設部142は外周側へ付勢されるので、各第2軸側延設部142の第2軸側凹曲面147と第2ジンバルフレーム受け部材162の球体163とは、接触した状態を維持できる。また、第2軸側延設部142の切欠き145が一対の腕部156の間に配置される。これにより、第2ジンバルフレーム受け部材162からジンバルフレーム14が+Z方向に抜けることが防止される。
【0052】
(可動体)
図8は、可動体10および回転支持機構12を被写体側から見た斜視図である。図9は、可動体10および回転支持機構12の分解斜視図である。図10は、可動体10および回転支持機構12を反被写体側から見た斜視図である。図8図9に示すように、可動体10は、カメラモジュール2と、カメラモジュール2を保持する枠状のホルダ24と、ホルダ24に固定される第1部材25を備える。ホルダ24は樹脂製であり、第1部材25は金属製である。
【0053】
図8図9に示すように、第1部材25は、光軸Lを囲みカメラモジュール2の外周部分に+Z方向から重なる第1環状板部26と、第1環状板部26から外周側へ突出しカメラモジュール2の外周側において-Z方向へ屈曲してホルダ24に接続される第1延設部27を備える。本形態では、第1環状板部26とカメラモジュール2とのZ軸方向(光軸L方向)の隙間に回転支持機構12が配置される。
【0054】
第1延設部27は、第1環状板部26の-X方向、+Y方向、-Y方向の3箇所に配置される。第1延設部27が配置される角度位置は、振れ補正用磁気駆動機構20の第1磁石21Mおよび第2磁石22Mと、ローリング補正用磁気駆動機構23の第3磁石23Mが配置される角度位置である。第1延設部27は、第1環状板部26から外周側へ延びて-Z方向へ屈曲する第1延設部第1部分28と、第1延設部第1部分28の-Z方向の先端に接続され第1延設部第1部分28よりも周方向の幅が広い矩形の第1延設部第2部分29を備える。第1延設部第2部分29はホルダ24に固定される。
【0055】
第1部材25は、光軸Lを囲む環状の第1レール部材50と、第1レール部材50が接合された板金製の第1板状部材51を備える。第1板状部材51は磁性金属からなる。第1レール部材50は非磁性金属からなる。なお、第1レール部材50は、磁性金属であってもよい。第1レール部材50は、第1板状部材51に設けられた円形の第1貫通穴52の内側に嵌め込まれ、第1板状部材51に溶接により固定される。より詳細には、第1レ
ール部材50と第1板状部材51とは、第1貫通穴52の開口縁と、第1レール部材50の外周縁とが、径方向に繋がるように溶接されている。溶接は、Z軸回りで等角度間隔の複数個所で行われる。
【0056】
図5図6に示すように、第1レール部材50の-Z方向の端面には、第1環状溝53が設けられている。本形態では、第1環状溝53は、切削により形成される。なお、第1レール部材50は、切削以外の方法で第1環状溝53を形成した部材であってもよい。例えば、冷間鍛造や、プレス加工によって第1環状溝53を形成してもよい。第1環状板部26は、内周部分が第1レール部材50により構成され、外周部分が第1板状部材51により構成される。従って、第1環状板部26は、光軸Lを囲む第1環状溝53を備える。
【0057】
図9に示すように、カメラモジュール2は、カメラモジュール本体部30Aと、カメラモジュール本体部30Aの中央から+Z方向に突出するカメラモジュール円筒部30Bを備える。カメラモジュール円筒部30Bにはレンズ2a(図5図6参照)が収容される。ホルダ24は、カメラモジュール本体部30Aを外周側から囲んでいる。カメラモジュール円筒部30Bは、第1環状板部26の中央に設けられた円形穴26aから+Z方向に突出し、ジンバルフレーム14の開口部143に配置される。
【0058】
カメラモジュール本体部30Aおよびホルダ24は、+Z方向から見た場合の輪郭形状が略8角形である。ホルダ24は、Y方向に平行に延びる第1側壁31および第2側壁32と、X方向に平行に延びる第3側壁33および第4側壁34を備える。第1側壁31は、第2側壁32の-X方向に位置する。第3側壁33は、第4側壁34の-Y方向に位置する。第2側壁32の-Z方向の端縁には、切欠き部32aが設けられている。図4に示すように、撮像素子2bに接続されるフレキシブルプリント基板6は、カメラモジュール2の-Z方向の端部から、切欠き部32aを通って可動体10の+X方向へ引き出されている。
【0059】
また、ホルダ24は、第1軸R1方向の対角に位置する第5側壁35および第6側壁36と、第2軸R2方向の対角に位置する第7側壁37および第8側壁38を備える。第5側壁35は、第6側壁36の-X方向に位置する。第7側壁37は、第8側壁38の-X方向に位置する。第5側壁35、第6側壁36、第7側壁37、および第8側壁38の+Z方向の端面には、+Z方向に突出するストッパ用凸部39が形成される。
【0060】
ホルダ24の第1側壁31には第1磁石21Mが固定され、第3側壁33には第2磁石22Mが固定される。第1磁石21Mおよび第2磁石22Mは、Z軸方向に2極着磁されている。第1磁石21Mおよび第2磁石22Mの着磁分極線は、周方向に延びている。第1磁石21Mおよび第2磁石22Mは、Z軸方向に同一の極を向けて配置されている。ホルダ24の第4側壁34には、第3磁石23Mが固定される。第3磁石23Mは、周方向に極着磁されている。第1磁石21M、第2磁石22M、および第3磁石23Mは、光軸L回りの周方向に配列される。第3磁石23Mは、光軸Lを挟んで第2磁石22Mと反対側に配置される。
【0061】
図9に示すように、ホルダ24の第1側壁31、第3側壁33、および第4側壁34の外周面には、内周側に凹む凹部40が形成されており、第1磁石21M、第2磁石22M、および第3磁石23Mは、凹部40に収容される。第1磁石21M、第2磁石22M、および第3磁石23Mは、各凹部40の-Z方向の端部に設けられた底面41に+Z方向から当接することによってZ軸方向に位置決めされる。
【0062】
3箇所の凹部40は、それそれ、周方向の両側の内面に溝部42が形成されている。図3図8に示すように、各凹部40には、第1延設部27の-Z方向の先端に設けられた
第1延設部第2部分29が挿入される。第1延設部第2部分29は、周方向の両端が溝部42に挿入されており、接着剤により各凹部40に固定される。第1延設部第2部分29は、第1磁石21M、第2磁石22M、および第3磁石23Mの径方向内側に挿入されている。第1延設部第2部分29は磁性金属からなるため、各磁石に対するヨークとして機能する。
【0063】
(回転支持機構)
回転支持機構12は、光軸Lと同軸な状態で可動体10に設けられた第1環状溝53と、第1環状溝53とZ軸方向で対向する第2環状溝54を有する第2部材55を備える。また、回転支持機構12は、第1環状溝53および第2環状溝54に挿入されて可動体10と第2部材55との間で転動する複数の転動体56と、転動体56を転動可能に保持する環状のリテーナ57を備える。リテーナ57は、複数の転動体56のそれぞれを転動可能に保持する複数の球体保持穴58を備える。さらに、回転支持機構12は、第1環状溝53と第2環状溝54とをZ軸方向で接近させる力を付与する与圧機構59を備える。
【0064】
図9に示すように、第2部材55は、光軸Lを囲む環状の第2レール部材60と、第2レール部材60が接合された板金製の第2板状部材61を備える。第2レール部材60は、第2板状部材61に設けられた円形の第2貫通穴62の内側に嵌め込まれ、第2板状部材61に溶接により固定される。より詳細は、第2レール部材60と第2板状部材61とは、第2貫通穴62の開口縁と、第2レール部材60の外周縁とが、-Z方向から溶接されている。溶接は、Z軸回りで等角度間隔の複数個所で行われる。
【0065】
第2環状溝54は、第2レール部材60の+Z方向の端面に設けられている。本形態では、第2環状溝54は、切削により形成される。第2レール部材60および第2板状部材61は、いずれも非磁性金属からなる。なお、第2レール部材60は、磁性金属であってもよい。第2レール部材60と第1レール部材50とは、同一の部材である。図5図6に示すように、第2レール部材60と第1レール部材50とは、同軸に配置されており、第1環状溝53と第2環状溝54とがZ軸方向で対向している。
【0066】
転動体56は、金属製、或いは、セラミックス製である。リテーナ57は樹脂製である。リテーナ57は、Z軸方向で第1レール部材50と第2レール部材60との間に位置する。本形態では、転動体56は球体である。回転支持機構12は6個の転動体56を備え、リテーナ57は、等角度間隔に設けられた6つの球体保持穴58を備える。転動体56は、球体保持穴58の内側に転動可能に保持されて、リテーナ57から-Z方向および+Z方向に突出する。
【0067】
第2部材55は、光軸Lを囲む第2環状板部63と、第2環状板部63から第1軸R1方向の両側に突出する一対の第2延設部64と、第2環状板部63から第2軸R2方向の両側に突出する一対の第2突出板部65を備える。第2環状板部63は、内周部分が第2レール部材60により構成され、外周部分が第2板状部材61により構成される。図5図6図8に示すように、第2環状板部63およびリテーナ57は、第1部材25の第1環状板部26とカメラモジュール本体部30Aとの光軸L方向の隙間に配置される。
【0068】
一対の第2延設部64は、それぞれ、第2環状板部63から第1軸R1方向に延びる第2延設部第1部分66と、可動体10の外周側をZ軸方向に延びる第2延設部第2部分67を備える。図5に示すように、第2延設部第2部分67は、可動体10の第1軸R1方向の外側で、僅かな隙間を開けて可動体10と対向する。図5図8に示すように、各第2延設部第2部分67には、可動体10とは反対側の面に第1ジンバルフレーム受け部材151が固定される。第1ジンバルフレーム受け部材151は、一対の腕部156および足部155の先端が第2延設部第2部分67に溶接されることにより、第2延設部第2部
分67に固定される。
【0069】
図8図9に示すように、与圧機構59は、第2部材55の光軸L周りの4箇所に配置される与圧用磁石68と、第1部材25の光軸L周りの4箇所に設けられた第1突出板部69を備える。与圧用磁石68は、一対の第2延設部第1部分66および一対の第2突出板部65の4箇所に固定される。各与圧用磁石68は周方向で2極着磁されている。第1突出板部69は、第1環状板部26から第1軸R1方向の両側、および、第2軸R2方向の両側の4方向に突出する。第2部材55に配置される4つの与圧用磁石68のそれぞれは、可動体10と回転支持機構12とを組み立てたときに、可動体10に設けられた4箇所の第1突出板部69と光軸L方向に重なる。
【0070】
第1突出板部69は、磁性金属からなる。従って、与圧用磁石68の磁気吸引力により、各与圧用磁石68と光軸L方向で重なる第1突出板部69が与圧用磁石68の側に吸引される。これにより、与圧機構59は、光軸L回りの等角度間隔の4か所で、第1環状溝53と第2環状溝54とをZ軸方向で接近させる力を付与する。可動体10は、与圧機構59の磁気吸引力によって第2部材55に吸引され、Z軸回りに回転可能な状態で、第2部材55に支持される。
【0071】
第2部材55に設けられた一対の第2延設部64および一対の第2突出板部65は、ホルダ24に設けられたストッパ用凸部39と光軸L方向に対向する。図5図6に示すように、ストッパ用凸部39の+Z方向の先端は、カメラモジュール本体部30Aの+Z方向の端面よりも+Z方向に突出している。従って、ストッパ用凸部39によって第2部材55の-Z方向の移動範囲が規制される。
【0072】
図8に示すように、第1側壁31、第2側壁32、第3側壁33、および第4側壁34は、Z軸方向の高さがカメラモジュール本体部30Aよりも低い。図10に示すように、ホルダ24は、第1側壁31、第3側壁33、および第4側壁34の-Z方向の端面から-Z方向に突出する凸部43を備える。凸部43は、第1側壁31、第3側壁33、および第4側壁34の周方向の中央に位置する。凸部43は、カメラモジュール本体部30Aの底面(-Z方向を向く面)よりも-Z方向に突出している。従って、落下衝撃等が加わって可動体10が全体としてZ軸方向に大きく動いたときには、カメラモジュール本体部30Aよりも先に凸部43が固定体11に衝突する。
【0073】
凸部43は、カメラモジュール本体部30Aを囲んで周方向に配列される8箇所の側壁のうち、第1軸R1方向と第2軸R2方向の中間の角度位置に配置される側壁のうちの3箇所(第1側壁31、第3側壁33、および第4側壁34)に形成される。また、凸部43は、第1側壁31、第3側壁33、および第4側壁34の周方向の中央に形成される。従って、ホルダ24において、光軸Lからの距離が最も小さく、可動体10が揺動したときにZ軸方向の移動量が最も小さい位置に凸部43が形成されている。
【0074】
図10に示すように、凸部43の周方向の両側の側面43aは、周方向の中央へ向かうに従って-Z方向へ向かう方向に傾斜したテーパ面である。従って、凸部43は、周方向の幅が大きく強度が高い形状でありながら、可動体10が揺動したときにZ軸方向の移動量が大きい部位ほど突出量が少ない形状である。このため、可動体10を揺動させたときに凸部43が固定体11に衝突することを回避するために可動体10と固定体11との光軸L方向の隙間を大きくする必要がない。
【0075】
図10に示すように、ホルダ24の第5側壁35、第6側壁36、第7側壁37、および第8側壁38は、-Z方向の端面がカメラモジュール本体部30Aの底面よりも+Z方向に位置する。そのため、可動体10の外形は、第1軸R1方向の対角部分、および第2
軸R2方向の対角部分の-Z方向の端部が+Z方向に凹んだ形状になっている。可動体10の第1軸R1方向の対角部分および第2軸R2方向の対角部分は、光軸Lから最も離れた部位であるため、この部分をZ軸方向に切り欠いた形状にすることで、可動体10が第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに揺動するときの可動体10のZ軸方向の可動スペースを小さくすることができる。
【0076】
回転支持機構12は、可動体10の光軸L回りの回転範囲を規制する回転規制機構70を備える。図8に示すように、回転規制機構70は、第1部材25に設けられた第1回転規制部71と、第2部材55に設けられた第2回転規制部72を備える。第1回転規制部71は、第1環状板部26から外周側へ突出して-Z方向へ屈曲する。第1回転規制部71の-Z方向の先端は、ホルダ24の第2側壁32に固定される。
【0077】
第2回転規制部72は、第2環状板部63から外周側へ突出する。第1回転規制部71の周方向の中央には、第2回転規制部72よりも周方向の幅が大きい切欠き部73が設けられ、第2回転規制部72は、切欠き部73に配置される。従って、第1回転規制部71は、第2回転規制部72の周方向の両側を囲う。第1回転規制部71と第2回転規制部72とが衝突することにより、第2部材55に対する可動体10の光軸L回りの回転範囲が規制される。
【0078】
(本形態の主な作用効果)
以上のように、本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール2を備える可動体10と、可動体10をカメラモジュール2の光軸Lを中心として回転可能に支持する回転支持機構12と、回転支持機構12を光軸Lと交差する第1軸R1回りに回転可能に支持するとともに、回転支持機構12を光軸Lおよび第1軸R1と交差する第2軸R2回りに回転可能に支持するジンバル機構13と、ジンバル機構13および回転支持機構12を介して可動体10を支持する固定体11と、を有する。可動体10は、カメラモジュール2の外周側を囲む樹脂製のホルダ24と、ホルダ24に固定される金属製の第1部材25と、を備える。第1部材25は、光軸Lを囲み光軸L方向から見てカメラモジュール2と重なる第1環状板部26と、第1環状板部26とホルダ24とを接続する第1延設部27と、を備える。回転支持機構12は、第1環状板部26に形成された第1環状溝53と、第1環状溝53と光軸L方向で対向する第2環状溝54が形成された第2環状板部63を備えるとともにジンバル機構13によって第1軸R1回りに回転可能に支持される第2部材55と、第1環状溝53および第2環状溝54に挿入されて第1環状板部26と第2環状板部63との間で転動する複数の転動体56と、を備える。ホルダ24には、可動体10を第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構20の振れ補正用磁石(第1磁石21M、第2磁石22M)が固定される。第1延設部27は磁性金属からなり、振れ補正用磁石の内周側に固定される。
【0079】
本形態では、可動体10は、カメラモジュール2の外周側を囲む樹脂製のホルダ24と、ホルダ24に固定される金属製の第1部材25を備えており、第1部材25は、光軸Lを囲み光軸L方向から見てカメラモジュール2と重なる第1環状板部26と、第1環状板部26とホルダ24とを接続し振れ補正用磁石の内周側に固定される磁性金属製の第1延設部27と、を備えている。従って、回転支持機構12の転動体56が挿入されるレールと、振れ補正用磁気駆動機構20の磁石に対するヨークとが第1部材25に一体化されているので、部品点数を削減でき、可動体10および回転支持機構12の組立性の改善、および、コストダウンを図ることができる。また、ヨークを第1部材25に一体化させることにより、ヨークの位置精度を高めることができる。さらに、ホルダ24を樹脂製にしたことにより、板金製のホルダ24のように光軸L方向の端部に内周側に張り出す端板部を設けなくても強度を確保できる。従って、可動体10の光軸L方向の高さを低くすることができる。
【0080】
本形態では、振れ補正用磁気駆動機構20は、可動体10を第1軸R1回りに回転させる第1振れ補正用磁気駆動機構21および可動体10を第2軸R2回りに回転させる第2振れ補正用磁気駆動機構22を備える。振れ補正用磁石は、第1振れ補正用磁気駆動機構21の第1磁石21M、および、第2振れ補正用磁気駆動機構22の第2磁石22Mを備える。ホルダ24には、可動体10を光軸L回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構23の第3磁石23Mが固定され、第1磁石21M、第2磁石22M、および第3磁石23Mは、光軸L回りの周方向に配列されており、第1延設部27は、第1磁石21Mの内周側、第2磁石22Mの内周側、および、第3磁石23Mの内周側の各位置に固定される。従って、振れ補正用磁気駆動機構20およびローリング補正用磁気駆動機構23の磁石に対するヨークが第1部材25に全て一体化されているので、部品点数を削減でき、可動体10および回転支持機構12の組立性の改善、および、コストダウンを図ることができる。また、ヨークの位置精度を高めることができる。
【0081】
本形態では、第2部材55は、第2環状板部63から第1軸R1方向の両側へ突出する一対の第2延設部64、および、第2環状板部63から第2軸R2方向の両側へ突出する一対の第2突出板部65を備えており、一対の第2延設部64は、ジンバル機構13に接続される。第2環状板部63は、第1環状板部26とカメラモジュール2との光軸L方向の隙間に配置される。ホルダ24の第1軸R1方向の対角位置および第2軸R2方向の対角位置には、第2部材55と光軸L方向で対向するストッパ用凸部が設けられている。このような構成では、第1環状板部26は、第2環状板部63が外れることを規制するストッパ部材として機能する。従って、第2環状板部63に対して光軸L方向で重なるストッパ部材を別途重ねて配置する必要がないので、回転支持機構12の光軸L方向の高さを低くすることができる。よって、振れ補正機能付き光学ユニット1の光軸L方向の高さを低くすることができる。また、第2部材55に設けられた第2環状板部63が第1環状板部26から離れることをストッパ用凸部によって規制できる。さらに、ホルダ24は樹脂製であるため、板金製よりも複雑な凹凸形状を形成しやすい。従って、ストッパ用凸部を備えたホルダ24の製造が容易である。
【0082】
本形態では、第1環状板部26および第2環状板部63は、カメラモジュール2に対して+Z方向(すなわち、光軸L方向の一方側)から重なっている。ホルダ24の第1軸R1方向の対角部分、および、ホルダ24の第2軸R2方向の対角部分は、-Z方向(すなわち、光軸L方向の他方側)の端部がカメラモジュール2よりも+Z方向に凹んでいる。これにより、可動体10が第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに揺動するときに可動体10が動くスペースの光軸L方向の高さを小さくすることができるため、振れ補正機能付き光学ユニット1の光軸L方向の製品高さを小さくすることができる。また、ホルダ24は樹脂製であるため、板金製よりも複雑な凹凸形状を形成しやすい。従って、第1軸R1方向の対角部分および第2軸R2方向の対角部分が凹んだ形状のホルダ24の製造が容易である。
【0083】
本形態のホルダ24は、カメラモジュール2を囲んで周方向に配列される複数の側壁(第1側壁31~第8側壁38)を備える。複数の側壁のうち、第1軸R1方向と第2軸R2方向の中間の角度位置に配置される4箇所の側壁のうちの3箇所(第1側壁31、第3側壁33、および第4側壁34)には、カメラモジュール2よりも光軸L方向の他方側に突出する凸部43が設けられている。このようにすると、落下衝撃によって可動体10が固定体11に衝突する場合には、凸部43に衝撃が加わるので、カメラモジュール2に直接衝撃が加わることを回避できる。なお、ホルダは、第1軸R1方向と第2軸R2方向の中間の角度位置の少なくとも1箇所に凸部43が設けられた形状であってもよい。
【0084】
本形態では、凸部43は各側壁の周方向の中央に配置されており、ホルダ24において
光軸Lからの距離が最も小さい位置、言い換えれば、可動体10が揺動したときに光軸L方向の移動量が最も小さい位置に凸部43が配置されている。従って、可動体10を揺動させたときに凸部43が固定体11に衝突することを回避するために必要となる、可動体10と固定体11との光軸L方向の隙間が小さい。よって、凸部43を設けたために振れ補正機能付き光学ユニットの光軸L方向の製品高さが大きくなることを回避できる。
【0085】
本形態では、凸部43の周方向の両側の側面43aは、凸部43の周方向の中央に向かうに従って光軸L方向の他方側へ向かう方向に傾斜するテーパ面である。従って、凸部43は、側壁と繋がる基端部の周方向の幅が大きい形状であるため、強度が高い。また、周方向の両側の側面43aがテーパ面である形状は、可動体10が揺動したときに光軸L方向の移動量が大きい部位ほど突出量が少ない形状である。従って、可動体10を揺動させたときに凸部43が固定体11に衝突することを回避するために必要となる、可動体10と固定体11との光軸L方向の隙間が小さい。よって、凸部43を設けたために振れ補正機能付き光学ユニットの光軸L方向の製品高さが大きくなることを回避できる。
【0086】
本形態では、回転支持機構12は、第1環状溝53と第2環状溝54とを光軸L方向で接近させる力を付与する与圧機構59を備える。与圧機構59は、第1環状板部26から外周側へ突出する第1突出板部69と、第2部材55の光軸L回りの周方向の一部分に固定される与圧用磁石68と、を備える。第1突出板部69は磁性金属からなり、与圧用磁石68に吸引される。このような構成により、与圧機構59の部品を第1部材25に一体化させることができるため、部品点数を削減でき、組立性の改善を図ることができる。また、可動体10に対して相対回転する第2部材55に与圧用磁石68を搭載し、与圧用磁石68に吸引される第1突出板部69を可動体10に設けることにより、可動体10に搭載される振れ補正用磁気駆動機構20およびローリング補正用磁気駆動機構23の磁石に吸引されて第1突出板部69の回転位置がずれることを避けることができる。従って、与圧機構59が振れ補正用磁気駆動機構20およびローリング補正用磁気駆動機構23の干渉を受けることを避けることができる。また、与圧機構59によって可動体10の光軸L回りの角度位置を規定することができる。
【0087】
本形態では、可動体10の光軸L回りの回転範囲を規制する回転規制機構70を備え、回転規制機構70は、第1部材25に形成される第1回転規制部71と、第2部材55に形成される第2回転規制部72を備える。第1回転規制部71は、第2回転規制部72の周方向の両側を囲う。このような構成により、第1部材25と第2部材55との間で回転規制機構70を完結でき、第1部材25および第2部材55に対して光軸L方向に重なるストッパ部材がなくても回転規制機構70を構成できる。従って、回転支持機構12の光軸L方向の高さを低くすることができる。また、少ない部品数で回転規制機構70を構成できるため、部品公差の積み上げによる回転規制機構70の寸法精度の低下を抑制できる。従って、可動体10の回転範囲を精度良く規制できる。
【0088】
本形態では、第1回転規制部71は、第1環状板部26から外周側へ延びてホルダ24に固定され、第2回転規制部72は、第1回転規制部71の周方向の中央部分を切り欠いた切欠き部に配置される。これにより、第1環状板部26とホルダ24とを接続する接続部を第1回転規制部71として利用できるので、第1部材25の形状を単純化することができる。
【0089】
(変形例)
(1)上記形態では、第1回転規制部71が第2回転規制部72の周方向の両側を囲う構成であるが、第2回転規制部72が第1回転規制部71の周方向の両側を囲う構成を採用してもよい。例えば、第2回転規制部72の周方向の中央に切欠き部73を形成し、切欠き部73に第1回転規制部71を配置する。すなわち、回転規制機構70は、第1回転規
制部71と第2回転規制部72の一方が、第1回転規制部71と第2回転規制部72の他方の周方向の両側を囲う構成であればよい。
【0090】
(2)上記形態では、第1回転規制部71が第1部材25に設けられているが、第1回転規制部71はホルダ24に設ける構成を採用してもよい。例えば、ホルダ24の+Z方向の端面に+Z方向に突出する凸部を形成して第2回転規制部72と周方向に衝突させることによって可動体10の回転を規制する構成を採用してもよい。すなわち、回転規制機構70は、第1部材25またはホルダ24に形成される第1回転規制部71と、第2環状板部63から外周側へ延びる第2回転規制部72と、を備える構成であればよい。
【0091】
(3)上記形態では、与圧機構59は、光軸L回りの4箇所に設けられているが、光軸Lを挟んで反対側の2箇所に設けられていればよい。
【0092】
(他の実施形態)
(イ)上記形態では、第1環状板部26は、第1環状溝53が形成された部分が第1板状部材51とは別部品(第1レール部材50)であるが、第1レール部材50と第1板状部材51とを一体化させてもよい。すなわち、第1部材25は、第1環状溝53が設けられた第1レール部と、第1レール部から外周側へ延びる第1板状部を備えた単一の部品であってもよい。同様に、第2部材55は、第2環状溝54が設けられた第2レール部と、第2レール部から外周側へ延びる第2板状部を備えた単一の部品であってもよい。この場合には、第1環状溝53および第2環状溝54は、冷間鍛造、プレス加工、切削加工などの加工方法によって形成することができる。
【0093】
(ロ)上記形態では、回転支持機構12は、可動体10を構成する第1部材25の第1環状板部26とカメラモジュール2との光軸L方向の隙間に第2部材55の第2環状板部63を配置する構成であったが、第1環状板部26と第2環状板部63の光軸L方向の配置を逆にした構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0094】
1…振れ補正機能付き光学ユニット、2…カメラモジュール、2a…レンズ、2b…撮像素子、3…ケース、4…カバー、4a…開口部、5…ベース、6…フレキシブルプリント基板、7…フレキシブルプリント基板、8…フック、9…突起、10…可動体、11…固定体、12…回転支持機構、13…ジンバル機構、14…ジンバルフレーム、15…第1接続機構、16…第2接続機構、17…磁性板、18…枠部、19…配線収容部、20…振れ補正用磁気駆動機構、21…第1振れ補正用磁気駆動機構、21C…第1コイル、21M…第1磁石、22…第2振れ補正用磁気駆動機構、22C…第2コイル、22M…第2磁石、23…ローリング補正用磁気駆動機構、23C…第3コイル、23M…第3磁石、24…ホルダ、25…第1部材、26…第1環状板部、26a…円形穴、27…第1延設部、28…第1延設部第1部分、29…第1延設部第2部分、30A…カメラモジュール本体部、30B…カメラモジュール円筒部、31…第1側壁、32…第2側壁、32a…切欠き部、33…第3側壁、34…第4側壁、35…第5側壁、36…第6側壁、37…第7側壁、38…第8側壁、39…ストッパ用凸部、40…凹部、41…底面、42…溝部、43…凸部、43a…側面、50…第1レール部材、51…第1板状部材、52…第1貫通穴、53…第1環状溝、54…第2環状溝、55…第2部材、56…転動体、57…リテーナ、58…球体保持穴、59…与圧機構、60…第2レール部材、61…第2板状部材、62…第2貫通穴、63…第2環状板部、64…第2延設部、65…第2突出板部、66…第2延設部第1部分、67…第2延設部第2部分、68…与圧用磁石、69…第1突出板部、70…回転規制機構、71…第1回転規制部、72…第2回転規制部、73…切欠き部、140…ジンバルフレーム本体部、141…第1軸側延設部、142…第2軸側延設部、143…開口部、144…第1軸側凹曲面、145…切欠き、146…
突出部、147…第2軸側凹曲面、148…切欠き、151…第1ジンバルフレーム受け部材、152…球体、153…第1スラスト受け部材、154…板部、155…足部、156…腕部、157…孔部、161…凹部、162…第2ジンバルフレーム受け部材、163…球体、164…第2スラスト受け部材、165…板部、166…足部、167…腕部、168…足部屈曲部、181a…第2コイル固定孔、181…第1側板部、182…第2側板部、183a…第1コイル固定孔、183…第3側板部、184a…第3コイル固定孔、184…第4側板部、185…切欠き部、191…第5側板部、192…第6側板部、193…第7側板部、194…切欠き部、L…光軸、R1…第1軸、R2…第2軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10