(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100790
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】可食シートおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20220629BHJP
【FI】
A23L5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214988
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】592061902
【氏名又は名称】株式会社永谷園ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】辰野 拓也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 祐太朗
【テーマコード(参考)】
4B035
【Fターム(参考)】
4B035LC16
4B035LE06
4B035LG04
4B035LG19
4B035LG21
4B035LG32
4B035LG34
4B035LG38
4B035LG42
4B035LK01
4B035LK02
4B035LK19
4B035LP01
4B035LP31
4B035LT11
4B035LT20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】厚みの制御及び薄膜化が容易で様々な用途に使用することができ、また、加熱により味や風味の劣化しやすい食材の熱劣化が抑制された可食シートを、効率よく低コストで製造することができる可食シート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】α化澱粉を含有する原料組成物のシート状熱圧成形体である可食シート。前記原料組成物は、イモ類、果菜類、穀物類、マメ類、葉菜類、茎菜類、花菜類、及び根菜類を含む野菜類、果実類、海藻類、又は魚介類に属する少なくとも1種の食材を含有する、前記可食シート。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
α化澱粉を含有する原料組成物のシート状熱圧成形体である可食シート。
【請求項2】
前記原料組成物は、イモ類、果菜類、穀物類、マメ類、葉菜類、茎菜類、花菜類、及び根菜類を含む野菜類、果実類、海藻類、又は魚介類に属する少なくとも1種の食材を含有する、請求項1に記載の可食シート。
【請求項3】
前記食材は加工処理が施された加工食材である、請求項2に記載の可食シート。
【請求項4】
前記原料組成物は、前記食材として、加熱処理された少なくとも1種の加熱食材を含有し、前記α化澱粉の少なくとも一部は前記加熱食材由来のα化澱粉である、請求項2又は3に記載の可食シート。
【請求項5】
前記原料組成物は、前記食材として、加熱処理されたイモ類、穀物類、果菜類及びマメ類に属する少なくとも1種の加熱食材を含有し、前記α化澱粉の少なくとも一部は前記加熱食材由来のα化澱粉である、請求項4に記載の可食シート。
【請求項6】
前記原料組成物は、加熱処理されたイモ類、穀物類、果菜類及びマメ類に属する前記加熱食材として、加熱処理されたジャガイモ、サツマイモ、米、麦、トウモロコシ、エダマメ、カボチャ及び大豆から選択される少なくとも1種の加熱食材を含有する、請求項5に記載の可食シート。
【請求項7】
加熱処理されたジャガイモ、サツマイモ、米、麦、トウモロコシ、エダマメ、カボチャ及び大豆から選択される前記加熱食材の前記原料組成物中の配合率(2種以上含有する場合は合計の配合率)は、前記原料組成物中の全固形分を基準として10質量%~100質量%である、請求項6に記載の可食シート。
【請求項8】
前記原料組成物は、前記食材として、加熱処理されたジャガイモ、サツマイモ、米、麦、トウモロコシ、エダマメ、カボチャ及び大豆から選択される少なくとも1種の加熱食材と、前記加熱食材とは異なる少なくとも1種の食材を含有する、請求項6に記載の可食シート。
【請求項9】
加熱処理されたジャガイモ、サツマイモ、米、麦、トウモロコシ、エダマメ、カボチャ及び大豆から選択される前記加熱食材が加熱乾燥粉末である、請求項6~8のいずれか1項に記載の可食シート。
【請求項10】
前記原料組成物は、前記加熱食材として、粉末乾燥マッシュポテトを少なくとも含有する、請求項4~9のいずれか1項に記載の可食シート。
【請求項11】
前記原料組成物に含有される前記α化澱粉の少なくとも一部は、馬鈴薯澱粉、甘薯澱粉、タピオカ澱粉、コーンスターチ、小麦澱粉及びコメ澱粉から選択される1種又は2種以上の単離澱粉由来のα化澱粉である、請求項1~10のいずれか1項に記載の可食シート。
【請求項12】
香辛料、フレーバー、調味料、着色料、糖アルコール及びエステル類から選択される少なくとも1種の添加材を更に含有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の可食シート。
【請求項13】
前記原料組成物の水分含有率は、前記原料組成物の全質量を基準として5質量%~50質量%である、請求項1~12のいずれか1項に記載の可食シート。
【請求項14】
前記可食シートが水可溶性であり、25℃の水に3分以内に溶解又は分散する、もしくは80℃のお湯に30秒以内に溶解又は分散する、請求項1~13のいずれか1項に記載の可食シート。
【請求項15】
膜厚が50μm~1,000μmの範囲である、請求項1~14のいずれか1項に記載の可食シート。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の可食シートの製造方法であって、
前記α化澱粉を含有する前記原料組成物を調製すること、及び、
前記原料組成物を加熱圧延することにより、前記シート状熱圧成形体を得ること、
を含む可食シートの製造方法。
【請求項17】
前記原料組成物を調製することと、前記原料組成物を加熱圧延することとの間に、前記原料組成物をシート状に圧延してシート状圧延体を得ることを含む、請求項16に記載の可食シートの製造方法。
【請求項18】
前記加熱圧延が、対向して配置された一対のヒートロール間に、前記シート状圧延体を挿通することにより行われる、請求項17に記載の可食シートの製造方法。
【請求項19】
前記加熱圧延が、前記一対のヒートロールのロール温度、ロール周速、ロール間隔、及び、前記シート状圧延体に対するロール線圧を調節することを含み、
前記ロール温度は、40~250℃の範囲に調節され、
前記ロール周速は、1~100m/分の範囲に調節され、
前記ロール間隔は、1.0mm以下から前記一対のヒートロールが接触している状態までの範囲に調節され、
前記ロール線圧は、20,000kgf/m以下に調節される、請求項18に記載の可食シートの製造方法。
【請求項20】
前記一対のヒートロールが接触している状態は、前記ロール間隔が0.0mmであり、且つ、前記一対のヒートロール間に圧力がかけられている状態を含む、請求項19に記載の可食シートの製造方法。
【請求項21】
前記原料組成物の調製が、前記原料組成物中の水分含有率を、前記原料組成物の全質量を基準として5質量%~50質量%の範囲に調整することを含む、請求項16~20のいずれか1項に記載の可食シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可食シートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食生活の多様化に伴い、可食シートを利用した食品が数多く見られるようになった。可食シートの利用形態は、おにぎりや海苔巻に使用される海苔のように、食品を巻く、包むという可食性包材としての利用形態だけでなく、食品を挟む、食品を結ぶ、食品に彩を添えるなどの用途に使用されたり、さらには可食シート自体が保存性の高い食材、栄養価の高い食材、調理を簡便にする食材、調味料となるなど様々であり、利用形態に応じて数多くの可食シートが提案されている。それら可食シートには、従来から海苔、昆布等のような天然の皮膜類は勿論、澱粉、野菜、大豆蛋白質等を主原料とするシート状食品など、多種多様な可食シートが存在している。
【0003】
その中で、大豆蛋白質を主成分とした大豆蛋白シートは、強度が改善され、様々な用途に利用されている。従来、大豆蛋白シートの製造方法として、大豆蛋白質を含有する水溶液又は懸濁液を塗布、押し出し、又は流し込みなどにより製膜した後、加熱乾燥してシートを得る方法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上述した製造方法は、塗布、押し出し又は流し込んだ状態で加熱乾燥処理を行う必要があるため、連続的な製膜には大規模な製造装置や、広い工場スペースが必要となる。したがって、このような製造方法を可食シートの製造方法として利用し続けたのでは、コスト高のため、安価な値段で可食シートを提供することは困難である。
【0005】
大豆蛋白シートの他の製造方法として、大豆蛋白質を含有する水溶液又は懸濁液を加熱されたドラムに供給し、連続シート状の大豆蛋白シートを得る方法も用いられている(例えば、特許文献2を参照)。この方法においては、加熱されたドラムに供給された液状原料は、蒸発及び濃縮しながらドラム表面に薄膜状に付着し、ドラムが回転する間に加熱乾燥により連続シート状の乾燥皮膜となる。このように薄膜の状態で少なくともドラムが回転する間は加熱乾燥されるため、大豆蛋白に変えて熱に弱い食材を使用した場合、味や風味が劣化してしまう場合がある。
【0006】
また、野菜を主成分とした野菜シートは、海苔同様の可食性包材として利用されていることに加え、保存安定性があるため、生野菜の代替食品としても利用されている。従来、野菜シートの製造方法として、ブランチングした野菜を細断した後、寒天等の結着材含有溶液に混合し、得られた混合物をシート状に広げて乾燥する方法が用いられている(例えば、特許文献3を参照)。
【0007】
しかしながら、混合物をシート状に広げた状態で天日乾燥、熱風乾燥又は減圧乾燥等の乾燥を行うため、大規模な製造装置や、広い工場スペースが必要となり、製造コストが高くなる。また、寒天は、熱水が沸騰するような状態、すなわち100℃近くに達しないと溶解しないという特性を有するため、市販されている多くの野菜シートは沸騰していない熱水(お湯)に溶解せず、用途が制限されることに加え、口当たりに問題のあるものがある。また、市販されている野菜シートの厚みを本発明者らが実測したところ、薄くても220μm程度であった。野菜シートの可食性包材としての使い勝手を改善したり、用途を広げるために更なる薄膜化が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2-97359号公報
【特許文献2】特開平5-64562号公報
【特許文献3】特開昭60-149355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、厚みの制御及び薄膜化が容易で様々な用途に使用することができ、また、加熱により味や風味の劣化しやすい食材の熱劣化が抑制された可食シートを、効率よく低コストで製造することができる可食シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1側面によると、α化澱粉を含有する原料組成物のシート状熱圧成形体である可食シートが提供される。
【0011】
本発明の一形態において、上記原料組成物は、イモ類、果菜類、穀物類、マメ類、葉菜類、茎菜類、花菜類、及び根菜類を含む野菜類、果実類、海藻類、又は魚介類に属する少なくとも1種の食材を含有してよい。
【0012】
本発明の他の形態において、上記食材は加工処理が施された加工食材であってよい。
【0013】
本発明の他の形態において、上記原料組成物は、上記食材として、加熱処理された少なくとも1種の加熱食材を含有し、上記α化澱粉の少なくとも一部は上記加熱食材由来のα化澱粉であってよい。
【0014】
本発明の他の形態において、上記原料組成物は、上記食材として、加熱処理されたイモ類、穀物類、果菜類及びマメ類に属する少なくとも1種の加熱食材を含有し、上記α化澱粉の少なくとも一部は上記加熱食材由来のα化澱粉であってよい。
【0015】
本発明の他の形態において、上記原料組成物は、加熱処理されたイモ類、穀物類、果菜類及びマメ類に属する上記加熱食材として、加熱処理されたジャガイモ、サツマイモ、米、麦、トウモロコシ、エダマメ、カボチャ及び大豆から選択される少なくとも1種の加熱食材を含有してよい。
【0016】
本発明の他の形態において、加熱処理されたジャガイモ、サツマイモ、米、麦、トウモロコシ、エダマメ、大豆及びカボチャから選択される上記加熱食材の上記原料組成物中の配合率(2種以上含有する場合は合計の配合率)は、上記原料組成物中の全固形分を基準として10質量%~100質量%であってよい。
【0017】
本発明の他の形態において、上記原料組成物は、上記食材として、加熱処理されたジャガイモ、サツマイモ、米、麦、トウモロコシ、エダマメ、カボチャ及び大豆から選択される少なくとも1種の加熱食材と、上記加熱食材とは異なる少なくとも1種の食材を含有してよい。
【0018】
本発明の他の形態において、加熱処理されたジャガイモ、サツマイモ、米、麦、トウモロコシ、エダマメ、カボチャ及び大豆から選択される上記加熱食材が加熱乾燥粉末であってよい。
【0019】
本発明の他の形態において、上記原料組成物は、上記加熱食材として、粉末乾燥マッシュポテトを少なくとも含有してよい。
【0020】
本発明の他の形態において、上記原料組成物に含有される上記α化澱粉の少なくとも一部は、馬鈴薯澱粉、甘薯澱粉、タピオカ澱粉、コーンスターチ、小麦澱粉及びコメ澱粉から選択される1種又は2種以上の単離澱粉由来のα化澱粉であってよい。
【0021】
本発明の他の形態において、上記可食シートは、香辛料、フレーバー、調味料、着色料、糖アルコール及びエステル類から選択される少なくとも1種の添加材を更に含有してよい。
【0022】
本発明の他の形態において、上記原料組成物の水分含有率は、上記原料組成物の全質量を基準として5質量%~50質量%であってよい。
【0023】
本発明の他の形態において、上記可食シートは水可溶性であってよい。上記可食シートが水可溶性の場合、例えば、25℃の水に3分以内に溶解又は分散、あるいは80℃のお湯に30秒以内に溶解又は分散することができる。
【0024】
本発明の他の形態において、上記可食シートは、膜厚が50μm~1,000μmの範囲であってよい。
【0025】
本発明の第2側面によると、上述した第1側面に係る可食シートの製造方法であって、上記α化澱粉を含有する上記原料組成物を調製すること、及び、上記原料組成物を加熱圧延することにより、上記シート状熱圧成形体を得ること、を含む可食シートの製造方法が提供される。
【0026】
本発明の一形態において、上記製造方法は、上記原料組成物を調製することと、上記原料組成物を加熱圧延することとの間に、上記原料組成物をシート状に圧延してシート状圧延体を得ることを含んでよい。
【0027】
本発明の他の形態において、上記加熱圧延は、対向して配置された一対のヒートロール間に、上記シート状圧延体を挿通することにより行うことができる。
【0028】
本発明の他の形態において、上記加熱圧延は、上記一対のヒートロールのロール温度、ロール周速、ロール間隔、及び、上記シート状圧延体に対するロール線圧を調節することを含んでよい。例えば、上記ロール温度は40~250℃の範囲に調節され、上記ロール周速は1~100m/分の範囲に調節され、上記ロール間隔は、1.0mm以下から上記一対のヒートロールが接触している状態までの範囲に調節され、上記ロール線圧は20,000kgf/m以下に調節される。
【0029】
本発明の他の形態において、上記ロール間隔における上記一対のヒートロールが接触している状態は、上記ロール間隔が0.0mmであり、且つ、上記一対のヒートロール間に圧力がかけられている状態を含む。
【0030】
本発明の他の形態において、上記原料組成物の調製は、上記原料組成物中の水分含有率を、上記原料組成物の全質量を基準として5質量%~50質量%の範囲に調整することを含んでよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明により、厚みの制御及び薄膜化が容易で様々な用途に使用することができ、また、加熱により味や風味の劣化しやすい食材の熱劣化が抑制された可食シートを、効率よく低コストで製造することができる可食シート及びその製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の実施形態に係る可食シートの製造方法が含む加熱圧延工程の一例を説明するための概略的な工程図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明の実施形態について説明する。以下に説明する本実施形態は、上記側面の何れかをより具体化したものである。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る可食シートは、α化澱粉を含有する原料組成物のシート状熱圧成形体であり、α化澱粉が成形前の原料生地である原料組成物に配合されていることを第1の技術的特徴とし、シート状成形体が熱圧成形体であることを第2の技術的特徴とする。本実施形態に係る可食シートは、以下に説明するように、第1の技術的特徴と第2の技術的特徴とが技術的に密接に関連し、上記課題を達成することを可能としている。
【0034】
(第1の技術的特徴)
本実施形態に係る可食シートにおいて、α化澱粉はシート状に成形する際に結着材として機能する。α化澱粉を可食シートに配合する方法としては、通常、(1)α化されていない澱粉や穀物を、シート状成形体への成形過程で加熱してα化させる方法、(2)シート状成形体への成形過程ではα化させず、成形されたシート状物を乾燥させる過程で加熱しα化させる方法が採用される。
【0035】
これに対し、本実施形態に係る可食シートは、原料生地の調製段階で、既にα化された澱粉を配合した原料組成物からなるシート状成形体であるため、シート状成形体への形成過程、あるいはシート状に形成した後の乾燥過程で澱粉をα化させるための加熱の必要がない。このため、可食シートに含有される食材の熱劣化を抑制することができ、食材本来の味や風味を保持した可食シートとなる。
【0036】
(第2の技術的特徴)
本実施形態に係る可食シートは、シート状熱圧成形体である。ここで「シート状熱圧成形体」とは、圧延と同時に加熱する加熱圧延工程を経て得られるシート状成形体を意味する。本実施形態に係る可食シートは、熱圧成形体であるため、厚みの制御及び薄膜化が容易である。すなわち、圧延時に加熱することで圧延対象物が伸びやすくなり、低い圧力で(ヒートロール等の圧延部材への圧力負荷が小さい状態で)簡便に薄く圧延できることに加え、圧延後にシートの弾力で厚さが戻ることが抑制されるため、厚みの制御及び薄膜化が容易な可食シートが簡便に得られる。
【0037】
このように、加熱圧延工程における加熱は、圧延対象物を伸びやすくして得られるシートの膜厚制御及び薄膜化を容易にする技術的意義を有するであり、シート状に成形するために澱粉をα化させるための加熱ではない。そして、加熱圧延工程における圧延対象物の加熱時間は、後掲の第2実施形態の説明において詳述するように、極めて短い。このため、加熱圧延工程での加熱は、可食シートに含有される食材の熱劣化をもたらすものではない。このように、本実施形態に係る可食シートは、第1の技術的特徴と第2の技術的特徴とが技術的に密接に関連し、上記課題を達成することを可能としている。
【0038】
以下、本実施形態に係る可食シートの原料生地である原料組成物に含有される成分について説明する。なお、原料組成物に含有される成分は、可食シートに含有される成分と実質的に同じであり、以下に説明する成分は、可食シートに含有される成分でもある。ただし、水分は加熱圧延工程で減少する為、可食シートの水分は原料生地の組成物に比べ低くなる。なお、可食シートは加熱圧延による成形後、更に乾燥したものであってもよい。
【0039】
(α化澱粉)
原料組成物は、α化澱粉を含有する。原料組成物が圧延されシート状に成形される際に、α化澱粉は結着材として機能する。原料組成物に含有されるα化澱粉の配合率は、シート状への成形性の観点から、原料組成物中の全固形分を基準として、7質量%~75質量%が好ましく、18質量%~60質量%がより好ましく、30質量%~45質量%が特に好ましい。
【0040】
原料組成物に含有されるα化澱粉は、原料組成物に含有される食材由来のα化澱粉であってもよいし、単離澱粉をα化させたα化澱粉であってもよい。ここで、α化澱粉が原料組成物に含有される食材由来のα化澱粉である場合とは、原料組成物に含有される原料としての食材が、加熱処理を含む加工処理を施された加工食材(以下において、「加熱食材」ともいう。)であり、その加熱食材に含有される澱粉がα化されている場合をいう。また、α化澱粉が単離澱粉をα化させたα化澱粉である場合とは、原料組成物が食材とは別に添加材としてα化された単離澱粉を含有する場合をいう。単離澱粉の具体例としては、限定されるものではないが、馬鈴薯澱粉、甘薯澱粉、タピオカ澱粉、コーンスターチ、小麦澱粉及びコメ澱粉等が挙げられる。
【0041】
原料組成物は、2種以上の加工食材由来のα化澱粉を含有してもよいし、2種以上の単離澱粉由来のα化澱粉を含有してもよいし、1種以上の加工食材由来のα化澱粉と1種以上の単離澱粉由来のα化澱粉を含有してもよい。
【0042】
(食材)
原料組成物は、1種又は2種以上の食材を含有してよい。原料組成物が含有し得る食材は、特に限定されるものではなく、例えば、野菜類(例えば、イモ類、果菜類、穀物類、マメ類、葉菜類、茎菜類、花菜類、根菜類等)、果実類、海藻類又は魚介類等が挙げられる。原料組成物に含有される食材は、加工処理が施された加工食材であることが好ましい。
【0043】
加工処理としては、例えば、カット、細断、粉砕、磨砕、分級、搾汁、濃縮、抽出、裏ごし、加熱、乾燥、又は調理、もしくはこれら処理の中から選択される2以上の組み合わせ含む処理であってよい。加工処理が施された加工食材の形態としては、例えば、加熱乾燥粉末、非加熱乾燥粉末、搾汁物、搾汁乾燥物、ペースト状物等が挙げられる。
【0044】
以下に、原料組成物に含有し得る食材として、野菜類、果実類、海藻類及び魚介類の具体例を挙げる。野菜類としては、例えば、以下に具体例を示すイモ類、果菜類、穀物類、マメ類、葉菜類、茎菜類、花菜類、根菜類等が挙げられる。
【0045】
イモ類としては、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ナガイモ(大和芋)、ヤマノイモ(山芋、自然薯)等が挙げられる。ジャガイモの加工食品(加熱食品)として、粉末乾燥マッシュポテトが挙げられる。
【0046】
果菜類としては、エダマメ、トマト、ピーマン、パプリカ、シシトウガラシ、カボチャ、オクラ等が挙げられる。トマトの加工食材として、トマトペーストが挙げられる。
【0047】
穀物類としては、米、麦、トウモロコシ、アマランサス等が挙げられる。
【0048】
マメ類としては、アズキ、インゲン豆、エンドウ、ササゲ、ソラマメ、大豆、ラッカセイ、ヒヨコマメ、レンズマメ、クリ、大豆等が挙げられる。アズキの加工食材として、さらしあん(粉末乾燥あん)が挙げられ、クリの加工食材として、甘栗が挙げられる。
【0049】
葉菜類としては、キャベツ、芽キャベツ、ケール、大麦若葉、コマツナ、セロリ、チンゲンサイ、ノザワナ、ホウレンソウ、ミズナ、ミツバ、ルッコラ、タマネギ、ニラ、ニンニク、シソの葉等が挙げられる。ケールなどの葉菜の加工食材として、青汁が挙げられる。また、タマネギの加工食材として、粉末ローストタマネギが挙げられる。
【0050】
茎菜類としては、アスパラガス、ウド、ザーサイ、タケノコ等が挙げられる。
【0051】
花菜類としては、アーティチョーク、ブロッコリー、カリフラワー等が挙げられる。
【0052】
根菜類としては、カブ、ダイコン、クワイ、ゴボウ、ニンジン、レンコン、ビート、ユリネ等が挙げられる。
【0053】
果実類としては、例えば、いちご、伊予柑、みかん、黄桃、オレンジ、柿、キウイフルーツ、グレープフレーツ、西瓜、梨、はっさく、パインアップル、バナナ、ぶどう、ぶんたん、ぽんかん、メロン、桃、リンゴ、レモン、梅、レーズン等が挙げられる。果物類の加工食材として、果実飲料が挙げられ、梅の加工食材として、梅干しのペーストが挙げられる。
【0054】
海藻類としては、例えば、海苔、昆布、ひじき、わかめ、青のり等が挙げられる。
【0055】
魚介類としては、しらす、こなご、かつお節、カツオ、イカ、ローストイカ、カキ、ウニ、さけ、さば、さわら、サンマ、たら、ほっけ、すりみ、シーチキン、あさり、えび、桜えび、カニ等が挙げられる。イカ、エビの加工食材として、粉末ローストイカ、粉末ローストエビが挙げられる。
【0056】
原料組成物は、原料食材として、α化澱粉を含有する1種又は2種以上の加熱食材のみを含有してもよいし、α化澱粉を含有する1種又は2種以上の加熱食材と、α化澱粉を含有しない1種又は2種以上の食材とを含有してもよい。
【0057】
原料組成物に含有され得る、原料食材としてのα化澱粉を含有する加熱食材は、一形態において、加熱乾燥粉末であることが好ましい。ここで加熱乾燥粉末とは、加熱処理、乾燥処理、及び粉砕処理を含む加工処理が施されることにより得られる乾燥粉末を意味する。澱粉を含有する食材が加熱処理されることにより澱粉がα化され、その後乾燥されることにより、α化された状態が維持される。
【0058】
本実施形態において、原料組成物は、α化澱粉を含有する加熱食材として野菜類を含有することが好ましい。そして、野菜類の加熱食材は、加熱乾燥粉末の形態で原料組成物の原料食材として使用されることが好ましい。このような野菜類の加熱乾燥粉末は、例えば、洗浄→非可食部除去(選別)→カット→加熱処理→裏ごし→乾燥→粉砕→分級のような工程を経て形成される。野菜類の加熱乾燥粉末等の加熱食材は、市販品を使用してもよい。
【0059】
本実施形態において、原料組成物は、シート状への成形性などの観点から、野菜類に属する加熱食材として、イモ類、穀物類、果菜類、又はマメ類に属する加熱食材を含有することが好ましい。イモ類、穀物類、果菜類、及びマメ類に属する加熱食材の好適な具体例として、加熱処理されたジャガイモ、サツマイモ、米、麦、トウモロコシ、エダマメ、カボチャ及び大豆が挙げられる。組成物は、一形態において、ジャガイモ、サツマイモ、米、麦、トウモロコシ、エダマメ、カボチャ及び大豆から選択される少なくとも1種の加熱乾燥粉末を含有することが好ましい。組成物が含有し得る好ましいジャガイモの加熱乾燥粉末として、粉末乾燥マッシュポテトが挙げられる。
【0060】
本実施形態において、原料組成物は、食材として、ジャガイモ、サツマイモ、米、麦、トウモロコシ、エダマメ、カボチャ及び大豆から選択される1種又は2種以上の加熱食材のみを含有してもよいし、ジャガイモ、サツマイモ、米、麦、トウモロコシ、エダマメ、カボチャ及び大豆から選択される少なくとも1種の加熱食材と、これら加熱食材とは異なる少なくとも1種の食材を含有してもよい。すなわち、加熱処理されたジャガイモ、サツマイモ、米、麦、トウモロコシ、エダマメ、カボチャ及び大豆は、組成物中に配合されることにより結着材として機能するため、食材として単独で使用してもよいし、α化澱粉を含有しない食品など、他の食品と組み合わせて使用してもよい。
【0061】
原料組成物がジャガイモ、サツマイモ、米、麦、トウモロコシ、エダマメ、カボチャ及び大豆から選択される1種以上の加熱食材を含有する場合、その配合率(2種以上含有する場合は合計の配合率)は、原料組成物中の全固形分を基準として、10質量%~100質量%(α化澱粉量として7~75質量%)であってよく、25質量%~75質量%であってよく、40質量%~60質量%であってよい。10質量%以上であることは、シート状への成形性の観点から好ましい。
【0062】
(添加材)
本実施形態に係る原料組成物は、上述した食材又はα化された単離澱粉以外に、添加材を更に含有してよい。添加材としては、例えば、香辛料、フレーバー、調味料、着色料、糖アルコール、エステル類等が挙げられる。
【0063】
香辛料は、好ましい芳香と強い辛味をもつ香辛料植物の種子、果実、花蕾、葉、樹皮、根茎などを乾燥したものであり、コショウ,トウガラシ、ショウガ、シナモン(肉桂)、カルダモン、黒ケシ、白ケシ、わさびなど、香辛料として一般に使用されているものを使用することができる。
【0064】
フレーバー及び着色料は、食品香料及び食品着色料として一般に使用されるものを使用することができる。
【0065】
調味料の具体例としては、例えば、砂糖、塩、酢、醤油、味噌などの一般的に食品に分類される調味料と、甘味料(アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムK、ステビア等)、アミノ酸(グルタミン酸、コハク酸、アスパラギン酸、イノシン酸等)、酸味料(クエン酸、L-酒石酸、乳酸等)などの食品添加物が挙げられる。
【0066】
糖アルコールは、可食シートの柔軟性を高めることを目的として添加され、具体例としては、ソルビトール等が挙げられる。
【0067】
エステル類は、シート状への圧延工程において、後述するヒートロール等の圧延部材への付着を抑制する剥離作用を付与することを目的として添加される。エステル類の具体例としては、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0068】
本実施形態に係る原料組成物が添加材を含有する場合、その配合率(2種以上含有する場合は合計の配合率)は、シート状への成形性の観点から、組成物中の全固形分を基準として、70質量%以下であることが好ましい。下限値は用途に応じて適宜設定することができる。
【0069】
本実施形態に係る可食シートは、結着材として寒天などの融点の高い素材やたんぱく質などの加熱圧延工程で変性する素材を使用しなければ、常温の水やお湯にも容易に溶解又は分散する水可溶性となる。本実施形態に係る可食シートが水可溶性を有するとは、例えば、25℃の水に3分以内に溶解又は分散することができ、あるいは80℃のお湯に30秒以内に溶解又は分散することができることを意味する。このため本実施形態に係る可食シートは、ラーメンに添えられる海苔のような使用形態や、調理済みの料理に後から味の変化を加える調味料のような用途にも使用することができる。
【0070】
本実施形態に係る可食シートにおいて、膜厚は目的とする用途に応じて適宜設定される。本実施形態に係る可食シートは、上述した通り、厚みの制御及び薄膜化が容易なため、様々な用途に使用することができる。食品を巻いたり包んだりする可食性包材としての用途は勿論、シートを加工して可食性容器を形成することも可能である。本実施形態に係る可食シートの膜厚は、例えば、50μm~1,000μmであってよい。
【0071】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る可食シートの製造方法は、上述した第1実施形態に係る可食シートの製造方法である。第1実施形態に係る可食シートは、α化澱粉を含有する原料組成物のシート状熱圧成形体であり、その製造方法である本実施形態は、α化澱粉を含有する原料組成物を調製する工程、及び、原料組成物を加熱圧延することにより、シート状熱圧成形体を形成する工程を含む。
【0072】
本実施形態に係る製造方法は、一形態において、調製された原料組成物を加熱圧延する前に、原料組成物を圧延して予めシート状に成形し、得られたシート状圧延体を加熱圧延することが好ましい。
以下、本実施形態に係る可食シートの製造方法を、図面を参照しながら説明する。
【0073】
(組成物の調製)
原料組成物は、原料を混合することにより得られる。原料には、上述した食材及び添加材に加え、水が使用される。原料組成物の調製においては、生地に水分ムラができないよう均一に原料が混合される。生地に水分ムラがあると、成形されるシートに縞状の模様や皺ができるなど、シート成形に影響する。
【0074】
このため原料組成物の調製は、得られる生地に水分ムラが生じないよう工夫して実施される。例えば、まず、粉体からなる固形原料と、水を含む溶液又は分散液からなる液状原料とを別々に調製する。このとき各原料を冷やしておくことが好ましい。次いで、均一に混合された固形原料(粉体)中に、液状原料を粉体原料がダマにならない様に投入し、高速撹拌して混合物を得る。次いで、得られた混合物を静置して寝かすことにより、原料生地となる組成物を得る。
【0075】
また、原料組成物の調製では、組成物中の水分含有率が所定範囲内となるよう調整する。組成物中の水分が少なすぎると生地の結着力が十分でなく、シート状に成形することが困難となる場合がある。また、一定量以上の水分を含有する場合、シートの膜厚を薄くすることが容易となる。一方、原料組成物中の水分が多すぎると、加熱圧延後にシート状成形体が縮み易く、形状保持が困難となる場合がある。このため、原料組成物中の水分含有率は、原料組成物の全質量を基準として、5質量%~50質量%であることが好ましく、10質量%~40質量%であることがより好ましく、15質量%~30質量%であることが更に好ましい。
【0076】
(シート状への成形)
シート状への成形方法としては、原料生地である原料組成物に直接的に加熱圧延処理を施してもよいが、上述のとおり、加熱圧延処理を施す前に組成物を圧延してシート状圧延体を形成し、得られたシート圧延体に加熱圧延処理を施すことが好ましい。組成物を2段階で圧延することにより、生地を強固に決着させてシートに隙間が生じることを抑制し、強度の高いシート状熱圧成形体を得ることができる。以下において、加熱圧延工程の前に行う圧延工程を、単に「圧延工程」という。
【0077】
(圧延工程)
一般に圧延処理を施す加圧機構としては、バッチ式のものと連続式のものが広く知られている。一対のプレス板の間に圧延対象物を挟持させた状態で、圧延対象物に圧延処理を施すバッチ式加圧機構は、生産性が低い。一方、ロールタイプによる加圧機構は、一対のロールが垂直あるいは平行に対向して配置され、ロール間に圧延対象物を挿通することで連続して圧延処理を行うことが可能であるため、生産性が高い。したがって、本実施形態において、圧延工程は、連続的に処理できるロールタイプによることが好ましく、ロールタイプによる連続式加圧機構を備えたロール式製麺機を利用することができる。
【0078】
ロールタイプによる圧延工程では、対をなすロール間に原料生地である組成物を挿通ことにより、原料生地が延ばされてシート状に広がり、シート状圧延体が得られる。
【0079】
シート状圧延体の厚さは、原料生地の供給量、加圧圧力(ロール間隔)、圧延速度(ロールの送り速度)等を適宜設定することにより調整される。例えば、加圧圧力が高くなる(ロール間隔が狭くなる)とシートは延びやすく薄くなる。圧延速度(ロールの送り速度)が早くなるとシート厚みは厚くなるため、圧延に必要な圧力が高くなる。
【0080】
一例として、厚さ200μm程度の可食シート(シート状熱圧成形体)を形成する場合、前処理工程である圧延工程では、厚さ0.5mm~2.0mm程度のシート状圧延体が得られるよう上記条件を適宜設定することが好ましい。厚さ0.5mm~2.0mm程度のシート状圧延体を得るための目安として、例えば、ロール間隔0.0mm(ロール同士が接触した状態)、ロールの送り速度10m/分において、供給する原料生地の量を調整しながら圧延処理を行うことができる。
【0081】
(加熱圧延工程)
上述した圧延工程で形成されたシート状圧延体は、次いで加熱圧延工程に付される。圧延対象物であるシート状圧延体を圧延と同時に加熱することで伸びやすくなり、低い圧力で(ヒートロール等の圧延部材への圧力負荷が小さい状態で)薄く圧延できる。更に、圧延後にシートの弾力で厚さが戻ることを抑制することができる。このため本実施形態に係る製造方法によれば、可食シートの厚みの制御及び薄膜化が容易である。
【0082】
加熱圧延工程においても上述した圧延工程と同様、ロールタイプによる連続式加圧機構が採用されることが好ましい。その理由としては、高い生産性が得られることに加え、以下に説明するように、加熱時間を非常に短くすることができることにある。
【0083】
ロールタイプによる加熱圧延工程では、対をなすヒートロール間に、圧延工程で形成されたシート状圧延体を挿通することにより、シート状熱圧成形体を形成する。
図1は加熱圧延工程の一例を説明するための概略的な工程図である。シート状圧延体101を、垂直に対抗して配置された一対のヒートロール102a及び102bの間に挿通することにより、シート状圧延体101が薄く圧延される。
図1に示すように、ロールタイプによる加熱圧延工程においては、一対のヒートロール102a及び102bは、圧延対象物であるシート状圧延体101と原則的に線接触し、シート状圧延体101は線接触している間だけ圧延と同時に加熱される。このためシート状圧延体101がヒートロール102a及び102bに接触する時間は短く、故に加熱時間は短い。このため、本実施形態に係る製造方法によれば、加熱により味や風味の劣化しやすい食材の熱劣化が抑制された可食シートを製造することができる。
【0084】
一対のヒートロール102a及び102bには、図示しない電熱ヒータ等の熱源、ロール間隔を調節する調節装置、及び、送り速度(周速)を調節するモータ等の駆動源が接続され、加熱温度(ヒートロール温度)、加圧圧力(ヒートロール間隔)、圧延速度(ロールの送り速度)が調整可能となしてある。シート状熱圧成形体の厚さは、ヒートロール間に挿通するシート状圧延体の厚さ、加圧圧力(ヒートロール間隔)、加熱温度(ヒートロール温度)、圧延速度(ロールの送り速度)等を適宜設定することにより調整される。例えば、加熱温度が低すぎると十分に圧延できず、圧延後の戻りによりシート厚みが厚くなる。加熱温度が高くなるとシートは延びやすく薄くなるが、高すぎるとロールへの焦げ付きが発生する。加圧圧力が高くなる(ヒートロール間隔が狭くなる)とシートは延びやすく薄くなる。圧延速度(ロールの送り速度)が早いとシート厚みは厚くなるため、圧延に必要な圧力、温度が高くなる。
【0085】
ロール間隔は成形する可食シートの厚さに応じて調整できるが、例えば、1.0mm以下から一対のヒートロールが接触している状態までの範囲に調節することが好ましい。ここで、一対のヒートロールが接触している状態は、ロール間隔が0.0mmであることを意味し、ロール間隔が0.0mmである限り、ロール間に圧力がかけられていない状態だけでなく、ロール間に圧力がかけられている状態を含む。一形態において、一対のヒートロールにおけるロール間隔は、0.1mm以下であることがより好ましい。また、他の形態において、一対のヒートロールにおけるロール間隔は、一対のヒートロールが接触している状態でロール間に圧力がかけられている状態がより好ましい。一対のヒートロールが接触した状態においてどの程度の圧力をかけるかは、所望とする可食シートの厚さに応じて適宜設定することができる。
【0086】
なお、圧延工程及び加熱圧延工程のいずれにおいても、一対のロールが接触している状態でロール間に圧力がかけられた場合、ロールのたわみ、架台の剛性、ベアリングやギアのあそび等が動く。このため、一対のロールが接触している状態においてロール間に圧力がかけられている場合、実際のロール間隔は0.0mmであるが、これをマイナス値で表記されるよう設定することができる。後述する[実施例]において、ロール間隔がマイナスで示されている場合は、一対のロールが接触した状態で更に圧力がかけられていることを示す。
【0087】
ロール周速は、可食シートの成形速度に応じで設定できるが、1~100m/分が好ましく、5~50m/分がより好ましく、10~30m/分が特に好ましい。
【0088】
ロール温度は、成形するシートの原料組成物によって適切な温度は異なるが、40~250℃が好ましく、70~200℃がより好ましく、100~150℃が特に好ましい。
ロール線圧は、設定したロール間隔、ロール温度、ロール周速及び原料組成物などによって変動するが、20,000kgf/m以下が好ましく、10,000kgf/m以下がより好ましく、6,000kgf/m以下が特に好ましい。また、ロール線圧の下限値は、例えば、0kgf/m以上であってよく、あるいは2,000kgf/m以上であってよい。
【0089】
一例として、厚さ200μm程度のシート状熱圧成形体を形成する場合において、厚さ0.5mm~2.0mm程度のシート状圧延体をヒートロール間に挿通するときの目安として、例えば、ロール間隔-0.06mm(ヒートロール同士が接触した状態でロール間に圧力がかかった状態)、加熱温度(ヒートロール温度)80~120℃、ロール周速2m/分とすることができる。この時にシート成形時にかかるロール線圧は2,200kgf/mであり、加熱しない場合と比べて優位に低い圧力でシート成形が可能である。
【0090】
加熱圧延工程を経て形成されたシート状熱圧成形体は、必要に応じ乾燥される。例えば、保存性を考慮して乾燥する場合、可食シートの含水率が可食シートの全質量を基準として4~20質量%となるよう乾燥することが好ましく、6~16質量%がより好ましく、8~12質量%が特に好ましい。
【0091】
上述した本実施形態に係る可食シートの製造方法は、設備が簡単で場所を取らず、簡便な工程を経て製造することができるため、効率よく低コストで可食シートを製造することができる。このため可食シートを低価格で提供することが可能となる。
【実施例0092】
以下、本発明の実施例を示す。
I.1種の食材を含む可食シートの製造
実施例1
市販の粉末乾燥マッシュポテト198gとショ糖脂肪酸エステル2.25gを均一に混合することにより粉体混合物を得た。水40gとソルビトール27gと塩5gを均一に混合することにより液状混合物を得た。粉体混合物と液状混合物を混合し、水分ムラが生じないようミキサーを使用して撹拌混合することにより、原料組成物1を得た。
【0093】
得られた原料組成物1を、ロール間隔が0.0mm(ロール同士が接触し且つロール間に圧力が加えられていない状態)、ロールの送り速度2m/分においてシート状に圧延したところ、ロール線圧31,300kgf/mで厚さ1,500μmのシート状圧延体1を得た。ここで、シート状圧延体1の厚さは、マイクロメーター(テクロック社製シネックスゲージ(SM-112))により測定した平均値である。
【0094】
次いで、
図1に示す一対のヒートロール102a及び102bを備えた連続式加熱圧延機構を備えた装置を用い、以下に示す条件でシート状熱圧成形体を製造した。すなわち、上記で得たシート状圧延体1を、ヒートロール102a及び102bのロール間隔を-0.06mm(ヒートロール同士が接触した状態でロール間に圧力がかかった状態)、ロールの送り速度を2m/分、上ロール(ヒートロール102a)温度を80℃、下ロール(ヒートロール102b)温度を120℃に設定して加熱圧延し、ロール線圧2,200kgf/mで厚さ150μmのシート状熱圧成形体1を得た。ここで、シート状熱圧成形体1の厚さは、加熱圧延後10分間室温で静置した後で測定した膜厚であり、上述したシート状圧延体1の厚さの測定方法と同様の方法で測定した平均値である。
【0095】
実施例2
食材として実施例1と同じ粉末乾燥マッシュポテトを使用した。実施例1に対し、組成物の調製条件を下記表1-1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で原料組成物2を調製した。得られた組成物2を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表1-2に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体2を製造した。
【0096】
実施例3~5
食材としてエダマメパウダー(市販のエダマメ加熱乾燥粉体)を使用した。実施例1に対し、組成物の調製条件を下記表1-1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で原料組成物3~5を調製した。得られた各組成物を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表1-2に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体3~5を製造した。
【0097】
実施例6
食材としてサツマイモパウダー(市販のサツマイモ加熱乾燥粉体)を使用した。実施例1に対し、組成物の調製条件を下記表1-1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で原料組成物6を調製した。得られた組成物6を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表1-2に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体6を製造した。
【0098】
実施例7
食材としてカボチャパウダー(市販のカボチャ加熱乾燥粉体)を使用した。実施例1に対し、組成物の調製条件を下記表1-1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で原料組成物7を調製した。得られた組成物7を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表1-2に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体7を製造した。
【0099】
【0100】
【0101】
食材として、ジャガイモ、エダマメ、サツマイモ又はカボチャの加熱乾燥粉末を単独で用いた実施例1~7において、膜厚の薄い可食シートを得ることができた。これら可食シートは、いずれも可食性包材の用途に使用することができた。また、これら可食シートを加工して可食性容器を形成することもできた。
【0102】
II.2種の食材を含む可食シートの製造
(実施例8及び9)
食材として、実施例1で使用した粉末乾燥マッシュポテトと、粉末海苔を使用した。実施例1に対し、原料組成物の調製条件を下記表2-1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で原料組成物8及び9を調製した。得られた原料組成物8及び9を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表2-2に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体8及び9を製造した。
【0103】
(実施例10)
食材として、実施例1で使用した粉末乾燥マッシュポテトと、粉末乾燥あん(さらしあん)を使用した。実施例1に対し、原料組成物の調製条件を下記表2-1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で原料組成物10を調製した。得られた原料組成物10を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表2-2に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体10を製造した。
【0104】
(実施例11)
食材として、実施例1で使用した粉末乾燥マッシュポテトと、甘栗パウダーを使用した。実施例1に対し、原料組成物の調製条件を下記表2-1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で原料組成物11を調製した。得られた原料組成物11を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表2-2に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体10を製造した。
【0105】
【0106】
【0107】
食材として、粉末乾燥マッシュポテトと、他の食材を用いた実施例8~11において、薄膜の可食シートを得ることができた。これら可食シートは、いずれも可食性包材の用途に使用することができ、また、加工して可食性容器を形成することもできた。本実施形態によれば、シート成形適性に優れるジャガイモ等の加熱食材と併用することにより、様々な食材を用いて様々な用途に使用可能な薄膜可食シートを製造することができることがわかる。
【0108】
III.添加材(調味料)を高配合率で含有する可食シートの製造
(実施例12)
食材として、実施例1で使用した粉末乾燥マッシュポテトと、添加材(調味料)として塩を高配合率で使用した。実施例1に対し、原料組成物の調製条件を下記表3-1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で原料組成物12を調製した。得られた原料組成物12を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表3-2に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体12を製造した。
【0109】
(実施例13、14)
食材として、実施例1で使用した粉末乾燥マッシュポテトと、添加材(調味料)としてグルタミン酸ソーダを高配合率で使用した。実施例1に対し、原料組成物の調製条件を下記表3-1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で原料組成物13及び14を調製した。得られた原料組成物13及び14を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表3-2に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体13及び14を製造した。
【0110】
(実施例15)
食材として、実施例1で使用した粉末乾燥マッシュポテトと、添加材(調味料)としてグリシンを高配合率で使用した。実施例1に対し、原料組成物の調製条件を下記表3-1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で原料組成物15を調製した。得られた原料組成物15を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表3-2に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体15を製造した。
【0111】
(実施例16)
食材として、実施例1で使用した粉末乾燥マッシュポテトと、添加材(調味料)としてアラニンを高配合率で使用した。実施例1に対し、原料組成物の調製条件を下記表3-1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で原料組成物16を調製した。得られた原料組成物16を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表3-2に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体16を製造した。
【0112】
(実施例17)
食材として、実施例1で使用した粉末乾燥マッシュポテトと、添加材(調味料)としてブラックペッパーを高配合率で使用した。実施例1に対し、原料組成物の調製条件を下記表3-1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で原料組成物17を調製した。得られた原料組成物17を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表3-2に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体17を製造した。
【0113】
【0114】
【0115】
食材として粉末乾燥マッシュポテトと、添加材として調味料を高配合率で用いた実施例12~17において、薄膜の可食シートを得ることができた。これら可食シートは、いずれも80℃の熱水に30秒以内で溶解し、また、25℃の常温の水には3分以内で溶解した。本実施形態によれば、シート成形適性に優れるジャガイモ等の加熱食材と併用することにより、調味料を高配合率で含有させた可食シートの提供が可能であり、本実施形態に係る可食シートは調味料に替わる可食シートとしても使用できることがわかる。
【0116】
IV.加熱圧延が膜厚に及ぼす影響について
(実施例101)
原料組成物として、実施例8で調製した原料組成物8を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表4-2に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体101を製造した。
【0117】
(比較例101)
原料組成物として、実施例8で調製した原料組成物8を用い、加熱加圧工程でロールを加熱しなかった以外は、実施例101と同様の条件でシート状熱圧成形体101Cを製造した(表4-2)。
【0118】
(実施例102)
食材として、実施例1で使用した粉末乾燥マッシュポテトと、粉末抹茶を使用した。実施例1に対し、原料組成物の調製条件を下記表4-1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で原料組成物102を調製した。得られた原料組成物102を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表4-2に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体102を製造した。
【0119】
(比較例102)
実施例102で調製した原料組成物102を使用し(表4-1)、加熱加圧工程でロールを加熱しなかった以外は、実施例102と同様の条件でシート状熱圧成形体102Cを製造した(表4-2)。
【0120】
【0121】
【0122】
表4-2に示される結果から、圧延対象物を圧延と同時に加熱することにより、加熱しない場合と比べ、圧延時のロール線圧が低くなり、可食シートにおける膜厚の薄膜化が可能となることがわかる。
【0123】
V.原料組成物中の水分含有率が膜厚に及ぼす影響について
(実施例103)
原料組成物として、実施例8で調製した原料組成物8を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表5に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体103を製造した。
【0124】
(実施例104)
原料組成物として、実施例9で調製した原料組成物9を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表5に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体104を製造した。
【0125】
【0126】
表5より、原料組成物中の水分含有率が高いと、生地が柔らかく延びやすいため、小さい圧力負荷で厚さの薄いシート状熱圧成形体が得られることがわかる。
【0127】
VI.加熱圧延時のロール間隔が膜厚に及ぼす影響について
(実施例105)
原料組成物として、実施例8で調製した原料組成物8を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表6に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体105を製造した。
【0128】
(実施例106)
原料組成物として、実施例8で調製した原料組成物8を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表6に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体106を製造した。
【0129】
(実施例107)
原料組成物として、実施例8で調製した原料組成物8を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表6に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体107を製造した。
【0130】
【0131】
表6より、ロール間隔が広くなるほど圧延対象物である生地にかかる圧力負荷が小さくなり、生地が延びず、シート状熱圧成形体の厚みは厚くなることがわかる。
【0132】
VII.加熱圧延時の加熱温度が膜厚に及ぼす影響について
(実施例108)
原料組成物として、実施例8で調製した原料組成物8を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表7に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体108を製造した。
【0133】
(実施例109)
原料組成物として、実施例8で調製した原料組成物8を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表7に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体109を製造した。
【0134】
【0135】
表7より、加熱圧延時の加熱温度を上げていくと、同じロール間隔でも圧延対象物である生地がよく延びてシート状熱圧成形体の厚みは薄くなることがわかる。
【0136】
VIII.ロール送り速度が膜厚に及ぼす影響について
(実施例110)
原料組成物として、実施例8で調製した原料組成物8を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表8に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体110を製造した。
【0137】
(実施例111)
原料組成物として、実施例8で調製した原料組成物8を用い、シート状圧延体及びシート状熱圧成形体の製造条件を下記表8に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でシート状熱圧成形体111を製造した。
【0138】
【0139】
表8より、ロールの送り速度を早くすると、圧延対象である生地への圧力負荷のかかる時間が短くなるため、同じロール間隔でもシート状熱圧成形体の厚みは厚くなることがわかる。
【0140】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。