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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100792
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】感熱開放継手
(51)【国際特許分類】
   A62C 37/12 20060101AFI20220629BHJP
   A62C 35/60 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
A62C37/12
A62C35/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214992
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073324
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100134898
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 克子
(72)【発明者】
【氏名】川尻 朋之
(72)【発明者】
【氏名】牧野 徹
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189CA08
2E189CB02
2E189CC01
2E189CD01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】監視時における故障を外部から検出することができるようにして、負圧式湿式予作動スプリンクラー設備において使用することができるようにした感熱開放継手を提供する。
【解決手段】継手本体2の内部に、一次側流路3と、二次側流路4とを設け、一次側流路3と二次側流路4との間に、弁板5Aと弁杆5Bとからなり、弁板5Aが一次側流路3と二次側流路4を遮断する弁体5を配置する。弁体5にばね6をもって弁の開放方向への移動性向を附与する。継手本体2における弁杆5Bの上部に感熱ブロック受容開口部7を設け、感熱ブロック受容開口部7に、弁杆5Bの上端に当接し、該弁杆5Bの弁の開放方向への移動を規制した状態にて、火災の熱によって溶解、変形又は消失して弁体の抑止体として機能しなくなる感熱ブロック8を嵌合する。感熱ブロック8が弁体の抑止体として機能しなくなったときにおいて一次側流路3と二次側流路4とが連通する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負圧式湿式予作動スプリンクラー設備に使用する感熱開放継手において、継手本体の内部に、直交するように、スプリンクラー設備の二次側配管に接続する一次側流路と、開放型スプリンクラーヘッドに接続する二次側流路とを設け、これら一次側流路と二次側流路との間に、弁板と前記継手本体の上方に延びる弁杆とからなり、弁板が一次側流路と二次側流路を遮断する弁体を配置すると共に、該弁体にばねをもって弁の開放方向への移動性向を附与し、更に、前記継手本体における前記弁杆の上部に感熱ブロック受容開口部を設けて、該感熱ブロック受容開口部に、前記弁杆の上端に当接し、該弁杆の弁の開放方向への移動を規制した状態において、火災の熱によって溶解、変形又は消失して弁体の抑止体として機能しなくなる感熱ブロックを嵌合し、前記感熱ブロックが弁体の抑止体として機能しなくなったときにおいて前記一次側流路と前記二次側流路とが連通するようになしたことを特徴とする感熱開放継手。
【請求項2】
弁体が、それにおける弁板と弁杆とを一体としてなるものである請求項1記載の感熱開放継手。
【請求項3】
弁体が、それにおける弁板と弁杆とを別体とし、弁板の中央部に設けた開口に、弁杆の下端部に設けた突起を嵌脱自在に嵌合してなるものである請求項1記載の感熱開放継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱開放継手に関し、更に詳細には、二次側配管内に水が充填され且つ該二次側配管内を火災発生時以外においては真空ポンプにより負圧状態とすることにより、二次側配管が破損しても、充填されている水(消火剤)が漏れ出さず水損を起こさない負圧式湿式予作動スプリンクラー設備における二次側配管と開放型スプリンクラーヘッドとの接合に用いる感熱開放継手に係わる。
【背景技術】
【0002】
常態で二次側配管内に水が充填された非負圧式の湿式予作動スプリンクラー設備においては、図8に示す如く、一般的にその二次側配管100は、躯体天井面Wと、該躯体天井面Wの下に配設されたダクト等の障害物Dとの間に配設されている。
【0003】
そして、該二次側配管100には、躯体天井面Wとダクト等の障害物Dとの間と、更にダクト等の障害物Dの下側に夫々閉鎖型のスプリンクラーヘッド101が接続されている。
【0004】
しかし、この場合、躯体天井面Wとダクト等の障害物Dとの間であって、下側にダクト等の障害物Dが位置するスプリンクラーヘッド101は、熱を感知して放水することはできるが、放水した水が下側にあるダクト等の障害物に邪魔されて有効に落下しないことになる。
【0005】
また一方、ダクト等の障害物Dの下側に位置するスプリンクラーヘッド101は、火災による熱気流が躯体天井面に流れてしまってそれ自体の周囲に熱が溜まらず、よって熱を感知することができないことから放水することができない。これらのことからダクト等の障害物Dの下側には充分な放水を行うことができない。
【0006】
そこで、この問題を解決するための手段として、図9に示す如く、感熱開放継手を用いて配管することが考えられ、実用化されている。図9において、102は二次側配管100における躯体天井面Wとダクト等の障害物Dとの間に立ち上がった部分に配置した感熱開放継手であり、火災による熱によって感熱ブロックが溶解、変形又は消失して弁体の抑止体として機能しなくなり、二次側配管から消火用の加圧水が流入すると弁体が開放状態となり、ダクト等の障害物Dの下側に配置した開放型スプリンクラーヘッド103から放水させるものである。尚、104は該開放型スプリンクラーヘッド103に接続した配管である。斯かる場合においては、火災時においてダクト等の障害物Dの下側に位置する開放型スプリンクラーヘッド103から充分な放水を行うことができるものである。
【0007】
図10乃至図12には上記感熱開放継手102の構成を示しており、また、非負圧式の湿式スプリンクラー設備において実施している場合を示している。
【0008】
該感熱開放継手102は、継手本体102Aの内部に、直交するように、二次側配管100に接続する一次側流路102Bと、開放型スプリンクラーヘッド103に接続した配管104に接続する二次側流路102Cとを設け、これら一次側流路102Bと二次側流路102Cとの間に、弁板102D′と継手本体102Aの上方に延びる弁杆102D″とからなり、弁板102D′が一次側流路102Bと二次側流路102Cを遮断する弁体102Dを配置すると共に、継手本体102Aにおける前記弁杆102D″の上部に感熱ブロック受容開口部102A′を設けて、該感熱ブロック受容開口部102A′に、前記弁杆102D″の上端に接触し、該弁杆102D″を下方に押さえつけた状態において、火災の熱によって溶解、変形又は消失して弁体の抑止体として機能しなくなる感熱ブロック102Eを嵌合し、図12に示す如く、前記感熱ブロック102Eが火災の熱によって抑止体として機能しなくなり、前記一次側流路102Bに消火用の加圧水PWが流入すると、この流入する加圧水PWによって弁体102Dが押し上げられ、一次側流路102Bと二次側流路102Cが連通するようになしたものである。
【0009】
斯かる感熱開放継手102は、上記の通り、非負圧式の湿式スプリンクラー設備において使用する場合には有効である。しかし、これをそのまま負圧式湿式スプリンクラー設備に用いることはできない。
【0010】
それは、負圧式湿式予作動スプリンクラー設備の場合には、二次側配管内に充填された水が火災発生時以外は負圧状態となっているためである。したがって、図13に示す如く、例えば、監視時において、感熱ブロック102Eが火災以外の何らかの原因によって弁体の抑止体として機能しなくなると、弁杆102D″は感熱ブロック102Eによる上からの押さえがなくなったにもかかわらず、一次側流路102B内の水が大気圧よりも低い負圧状態となっていることから、弁体102Dの弁板102D′が一次側流路102Bの出口に張り付いたままとなる。
【0011】
そして、この場合には、弁体102Dは開放されないので水損にはならないが、感熱開放継手に故障が発生したことが分からず、そのまま修理されることなく放置される虞がある。また、感熱開放継手を使用するところはダクト等の障害物の陰になって見えにくく、目視検査も難しい。そして、感熱開放継手が、上記の如く、感熱ブロック102Eによる押さえのない状態において弁体102Dの弁板102D′が一次側流路102Bの出口に張り付いたままでいることが分からないと、実際の火災発生時において同一系統に設けられた他の閉鎖型スプリンクラーヘッド又は感熱開放継手が作動した場合、或いはまた点検などで流水検知装置が開放した場合に、当該感熱開放継手が接続された開放型スプリンクラーヘッドから誤放水される虞がある。
【0012】
このようなことから、負圧式湿式予作動スプリンクラー設備において従来の前記感熱開放継手と同一の位置に使用することができる感熱開放継手の出現が要望されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであって、負圧式湿式予作動スプリンクラー設備において従来の前記感熱開放継手と同一の位置に使用することができる感熱開放継手を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
而して、本発明の要旨とするところは、負圧式湿式予作動スプリンクラー設備に使用する感熱開放継手において、継手本体の内部に、直交するように、スプリンクラー設備の二次側配管に接続する一次側流路と、開放型スプリンクラーヘッドに接続する二次側流路とを設け、これら一次側流路と二次側流路との間に、弁板と前記継手本体の上方に延びる弁杆とからなり、弁板が一次側流路と二次側流路を遮断する弁体を配置すると共に、該弁体にばねをもって弁の開放方向への移動性向を附与し、更に、前記継手本体における前記弁杆の上部に感熱ブロック受容開口部を設けて、該感熱ブロック受容開口部に、前記弁杆の上端に当接し、該弁杆の弁の開放方向への移動を規制した状態において、火災の熱によって溶解、変形又は消失して弁体の抑止体として機能しなくなる感熱ブロックを嵌合し、前記感熱ブロックが弁体の抑止体として機能しなくなったときにおいて前記一次側流路と前記二次側流路とが連通するようになしたことを特徴とする感熱開放継手にある。
【0015】
また、上記構成において、弁体としては、それにおける弁板と弁杆とを一体としてなるものでもよいし、あるいは、弁板と弁杆とを別体とし、弁板の中央部に設けた開口に、弁杆の下端部に設けた突起を嵌脱自在に嵌合してなるものでもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上記の如き構成であるから、火災時以外の監視時において、感熱ブロックが火災の熱以外の何らかの原因によって弁体の抑止体として機能しなくなったときには、一次側流路内の水が負圧の状態であっても、ばねをもって強制的に弁体の全体又は弁杆のみを上方に移動させて一次側流路と二次側流路とが連通するようになし、そしてまた、これにより二次側流路側から一次側流路側に空気を吸引することができるようになし、もって感熱ブロックが監視時において火災の熱以外の原因によって弁体の抑止体として機能していない状態であり、感熱開放継手が故障していることを、空気を吸引する操作を通して外部から検出することができるものである。そして、これにより負圧式湿式予作動スプリンクラー設備において従来の感熱開放継手と同様の位置に使用することができるようになるものである。
【0017】
また、弁体として、弁板と弁杆とを別体とし、弁板の中央部に設けた開口に、弁杆の下端部に設けた突起を嵌脱自在に嵌合してなるものとした場合には、感熱ブロックが弁体の抑止体として機能しなくなったときに弁杆のみを移動させることで、弱いばねで対応することができるようになり、感熱開放継手のサイズが大きくなり、一次側流路と二次側流路の通過量が大きくなって弁板も大きくなる場合に有利である。尚、斯かる場合には、弁板に設けた開口を通して一次側流路と二次側流路が連通状態となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係る感熱開放継手の中央縦断側面図である。
図2】同監視時に感熱ブロックが弁体の抑止体として機能しなくなった状態の中央縦断側面図ある。
図3】同火災時の状態の中央縦断側面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る感熱開放継手の中央縦断側面図である。
図5】同監視時に感熱ブロックが弁体の抑止体として機能しなくなった状態の中央縦断側面図である(送水ポンプ作動前)。
図6】同火災時の状態の中央縦断側面図である(送水ポンプ作動後)。
図7】本発明の第1実施形態に係る感熱開放継手を実施した負圧式湿式予作動スプリンクラー設備の概略的説明図である。
図8】湿式予作動スプリンクラー設備における二次側配管と閉鎖型スプリンクラーヘッドの配置状態の説明図である。
図9】従来の非負圧式の湿式スプリンクラー設備における二次側配管と感熱開放継手及び開放型スプリンクラーヘッドの配置状態の説明図である。
図10】従来の感熱開放継手の側面図である。
図11】同中央縦断側面図である。
図12】同火災時の状態の中央縦断側面図である。
図13】同感熱開放継手を仮に負圧式湿式予作動スプリンクラー設備に用いた場合における、監視時に感熱ブロックが弁体の抑止体として機能しなくなった状態の中央縦断側面図ある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
先ず、図1乃至図3に示す本発明の第1実施形態について説明する。
図中、1は感熱開放継手である。また、該感熱開放継手1は、継手本体2の内部に、直交するように、スプリンクラー設備の二次側配管に接続する一次側流路3と、開放型スプリンクラーヘッドに接続する二次側流路4とを設け、これら一次側流路3と二次側流路4との間に、弁板5Aと前記継手本体2の上方に延びる弁杆5Bとからなり、弁板5Aが一次側流路3と二次側流路4を遮断する弁体5を配置すると共に、該弁体5にばね(コイルばね)6をもって弁の開放方向への移動性向を附与し、更に、前記継手本体2における前記弁杆5Bの上部に感熱ブロック受容開口部7を設けて、該感熱ブロック受容開口部7に、前記弁杆5Bの上端に当接し、該弁杆5Bの弁の開放方向への移動を規制した状態において、火災の熱によって溶解、変形又は消失して弁体の抑止体として機能しなくなる感熱ブロック8を嵌合し、前記感熱ブロック8が弁体の抑止体として機能しなくなったときにおいて前記一次側流路3と前記二次側流路4とが連通するようになしたものである。
【0021】
また、前記弁体5は、本実施形態においては、弁板5Aと弁杆5Bとを一体としている。
【0022】
また、ばね6の強さは、感熱ブロック8が火災の熱によって感熱ブロック受容開口部7から脱落しないときにおける組立荷重以下であると共に、一次側流路3が-0.08MPa以下の負圧環境下であっても、感熱ブロック8が脱落したときにおいて確実に弁体5を引き上げる力を有するものであることが必要である。
【0023】
また、前記感熱ブロック8は、火災の熱によって溶解、変形又は消失するものであればどのようなものでもよく、例えば、熱可溶性の材料(鉛合金、半田等)で構成したり、あるいは密封したガラスチューブにアルコール等の低温度で気化する液体を封入したもの等が考えられる。尚、前者の場合には火災の熱で溶解・変形して脱落するものであり、また後者の場合には火災の熱でガラス管が破裂して消失するものである。
【0024】
そして、本実施形態に係る感熱開放継手1は、図7に示す如き負圧式湿式スプリンクラー設備において、図9に示す前記従来の非負圧式の湿式スプリンクラー設備における感熱開放継手の使用位置と同様の使用位置に配置されるものである。
【0025】
ここで、図7について簡単に説明する。
図7において200は負圧式湿式予作動スプリンクラー設備である。201は消火水槽202から送水ポンプ203を介して立ち上がって配管された一次側配管である。204は前記一次側配管201に接続され、閉鎖型スプリンクラーヘッド205まで配管された二次側配管である。
【0026】
206は前記一次側配管201と二次側配管204との間に設置され、火災発生時以外では閉状態が維持される予作動式流水検知装置である。207は天井部に設置された、火災を感知して火災信号を送出する火災感知器である。
【0027】
208は前記二次側配管204に一端側208Aを接続すると共に、多端側208Bを、真空ポンプ209から立ち上がって配管された吸気管210と、下端が前記消火水槽202まで垂下した排水管211とに接続された吸引管である。
【0028】
212は前記吸引管208の途中部に設置された、前記二次側配管204内の負圧の状態の正常監視時には少量の、配管破損やスプリンクラーヘッド破損等の異常時には多量の流通量とし、放水時には閉止する流量制御弁である。213は前記吸引管208の途中部における前記流量制御弁212より二次側配管204側の位置に設置された、二次側配管204内の圧力を検出する真空スイッチである。
【0029】
214は火災発生時に前記火災感知器207からの火災信号を受信し、後記制御盤に該信号を送信する信号受信盤である。215は前記信号受信盤214からの信号を受信し、前記予作動式流水検知装置206を開状態として前記一次側配管201と二次側配管204とを連通状態とすると共に、前記送水ポンプ203を作動させる制御盤である。216は前記吸気管210の前記吸引管208への接続部分に設置した気水分離器、217は前記吸引管208の前記吸気管210と排水管211との接続部分に設置した逆止弁である。
【0030】
そして、火災発生時以外のときには一次側配管201と二次側配管204のいずれにも水が充填されており、且つ二次側配管204内を、吸引管208及び吸気管210を介して真空ポンプ209で負圧状態とするものである。
【0031】
而して、本実施形態に係る感熱開放継手1は、前記二次側配管204の天井部側への立ち上げ配管204Aと、開放型スプリンクラーヘッド9に接続した、下方に垂下する配管10とを接合するように配設される。
【0032】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図1には感熱開放継手1の監視時における状態を示しており、一次側流路3と二次側流路4は弁体5の弁板5Aにより遮断され、そしてこの状態は感熱ブロック8の押し上げによって維持される。
【0033】
また、図3には感熱開放継手1の火災時の状態を示しており、感熱ブロック8が火災の熱によって溶解、変形又は消失して弁体の抑止体として機能しなくなったときに弁体5が引き上げられ、一次側流路3と二次側流路4が連通するものである。そして、一次側流路3に流入した消火用の加圧水PWが二次側流路4に流通するものである。
【0034】
また、図2には感熱開放継手1の監視時に感熱ブロック8が弁体の抑止体として機能しなくなった状態を示しており、この場合にあっては、弁板5Aが一次側流路3の出口に張り付いている状態の弁体5をばね6の力によって強制的に引き上げ、一次側流路3と二次側流路4とを連通状態とするものである。そしてまた、これにより二次側流路4側から一次側流路3側に空気を吸引することができるようになり、もって感熱ブロック8が監視時において火災の熱以外の原因によって弁体の抑止体として機能しなくなった状態であり、感熱開放継手が故障していることを、空気を吸引する操作を通して外部から検出することができるものである。
【0035】
次に、図4乃至図6に示す本発明の第2実施形態について説明する。
【0036】
而して、本実施形態と前記第1実施形態とは、本実施形態において、弁体5を、それにおける弁板5Aと弁杆5Bとを別体とし、弁板5Aの中央部に設けた開口5A′に、弁杆5Bの下端部に設けた突起5B′を嵌脱自在に嵌合してなる点において第1実施形態と相違するものである。尚、その他の構成においては前記第1実施形態と同様であるから、同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0037】
図4には感熱開放継手1の監視時における状態を示しており、一次側流路3と二次側流路4とは弁体5の弁板5Aにより遮断され、そしてこの状態は感熱ブロック8の押し下げによって維持される。
【0038】
また、図6には感熱開放継手1の火災時の状態を示しており、感熱ブロック8が火災の熱によって溶解、変形又は消失して弁体の抑止体として機能しなくなったときに弁体5が引き上げられ、同時に一次側流路3に消火用の加圧水PWが流入すると、この流入する加圧水PWによって弁体5の弁板5Aが押し上げられ、一次側流路3と二次側流路4が連通するものである。尚、弁板5Aは脱落しない状態で開閉することができるように、一部を一次側流路3の出口に枢着されている。
【0039】
また、図5には感熱開放継手1の監視時に感熱ブロック8が弁体の抑止体として機能しなくなった状態を示しており、この場合にあっては、弁体5における弁板5Aが一次側流路3の出口に張り付いている状態において、弁杆5Bのみがばね6の力により上方に引き上げられるものである。そして、この場合においては、弁板5Aに設けた開口5A′を通して一次側流路3と二次側流路4が連通状態となるものである。そしてまた、該弁板5Aの開口5A′を通して二次側流路4側から一次側流路3側に空気を吸引することができるようになり、二次側配管に充填されている水(消火剤)が開放型ヘッドに流出し水損することがない。
【0040】
本実施形態は上記の通りであるから、火災時以外の監視時において、感熱ブロック8が火災以外の何らかの原因(例えば外力など)によって弁体の抑止体として機能しなくなったときには、一次側流路3内の水が負圧の状態であっても、ばね6をもって強制的に弁体5の全体又は弁杆5Bのみを上方に移動させて一次側流路3と二次側流路4とが連通するようになし、そしてまた、これにより二次側流路4側から一次側流路3側に空気を吸引することができるようになし、もって感熱ブロック8が監視時において火災の熱以外の原因によって弁体の抑止体として機能しなくなった状態であり、感熱開放継手1が故障していることを、空気を吸引する操作を通して外部から検出することができるものである。そして、これにより負圧式湿式予作動スプリンクラー設備において従来の感熱開放継手と同様の位置に使用することができるようになるものである。
【0041】
また、弁体5として、弁板5Aと弁杆5Bとを別体とし、弁板5Aの中央部に設けた開口5A′に、弁杆5Bの下端部に設けた突起5B′を嵌脱自在に嵌合してなるものとした場合には、感熱ブロック8が弁体の抑止体として機能しなくなったときに弁杆5Bのみを移動させることで、弱いばね6で対応することができるようになり、感熱開放継手1のサイズが大きくなり、一次側流路3と二次側流路4の通過量が大きくなって弁板5Aも大きくなる場合に有利である。尚、斯かる場合には、弁板5Aに設けた開口5A′を通して一次側流路3と二次側流路4が連通状態となるものである。
【符号の説明】
【0042】
1 感熱開放継手
2 継手本体
3 一次側流路
4 二次側流路
5 弁体
5A 弁板
5A′ 開口
5B 弁杆
5B′ 突起
6 ばね
7 感熱ブロック受容開口部
8 感熱ブロック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13