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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100794
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】換気ユニットおよび換気システム
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/04 20060101AFI20220629BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20220629BHJP
   A47K 17/00 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
E03D9/04
F24F7/06 101A
A47K17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214994
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】500510261
【氏名又は名称】JR東日本ビルテック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】595053593
【氏名又は名称】日鉄工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】太和田 彩乃
(72)【発明者】
【氏名】向殿 大介
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
3L058
【Fターム(参考)】
2D037EA03
2D038BB01
3L058BB04
3L058BK02
(57)【要約】
【課題】内枠の装着をスムーズに行うことができ、外枠内面の傷つきを抑える。
【解決手段】換気構造2は、室3内の壁面に設けられる壁材7に形成された開口部8と換気ダクト12とを接続し、室内のエアを吸引して換気するようになっている。換気構造2は、前記壁材7の開口部8とこの開口部8近傍に引き込まれて配置された換気ダクト側開口部15Aとの間に設けられ、これら両開口部8、15Aを連通する外枠20と、この外枠20に表側から出し入れ自在に装着され防塵フィルタ33が交換可能に取り付けられた内枠30と、内枠30を外枠20に対してロックするロック機構40とを備えている。ロック機構40は、外枠20に設けられ、その内側に外面が曲面に形成された突出片43Aを出没自在に弾発付勢したロック部材43と、内枠30に設けられロック部材43の突出片43Aを受け入れる孔45とを備えて構成した。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の壁面に設けられた開口部に臨む接続開口部を形成し、換気ダクトと連通する接続ダクトに装着可能な換気ユニットであって、
接続ダクトに嵌装可能な外枠と、
この外枠に表側から出し入れ自在に装着され、防塵フィルタが交換可能に取り付けられる内枠と、
内枠を外枠に対してロックするロック機構とを備え、
このロック機構が、外枠に設けられ、その内側に外面が曲面に形成された突出片を出没自在に弾発付勢したロック部材と、内枠に設けられ、ロック部材の突出片を受け入れる受け入れ部とを備えて構成したことを特徴とする換気ユニット。
【請求項2】
受け入れ部が、孔で構成されることを特徴とする請求項1に記載の換気ユニット。
【請求項3】
外枠の内外方向の外側端部に、フランジ部を設け、
外枠には、内枠が外枠に嵌め入れられて収容されるときに内枠の後退を規制するストッパを設け、
ストッパの内外方向の取付位置を、内枠が外枠のフランジ部より外側に突出する位置に設定したことを特徴とする請求項1または2に記載の換気ユニット。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の換気ユニットと、
換気ダクトと、
換気ユニットが装着可能であって、室内空間の壁面に設けられた開口部に臨む接続開口部を形成し、換気ダクトと連通する接続ダクトとを備え、
接続ダクトには、外枠の外面に突出したロック部材の少なくとも一部を収容可能な収容部を設けたことを特徴とする換気システム。
【請求項5】
収容部が、孔で構成されることを特徴とする請求項4に記載の換気システム。
【請求項6】
接続ダクトにおいて、開口部に臨む内側壁と底部との間に傾斜部を設けたことを特徴とする請求項4または5に記載の換気システム。
【請求項7】
接続ダクトの換気ダクトと繋がる開口筒部は、断面形状が楕円であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不特定多数が利用するトイレ等の換気ユニットおよび換気システム(以下、換気構造ともいう)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トイレでは、トイレの室内を画成する壁材と床との間に設けられる巾木に換気用の開口部を設け、この開口部を枝管を介して換気ダクトに接続し、換気ダクトの他端を屋外に連通させ換気ファンにより強制排気する換気構造がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような換気構造では、枝管の開口端に換気ボックスを接続して、この換気ボックスを巾木の開口部の形状に合致させて裏面側に配置し、この換気ボックスには、防塵用の網体を設けるようにしている。経年の使用に伴い、網体に埃が詰まると、換気性能が低下するため、保守点検により網体の埃詰まりが見つかると、換気ボックスを取り外して網体の交換作業が行われる。しかしながら、網体の交換作業では、まず、トイレの使用を中止して、巾木を取り外し、次に、換気ボックスを枝管端部から離脱させ、換気ボックスの網体を交換するようにしている。交換後、新たな網体が取り付けられた換気ボックスを枝管に接続し、巾木を元の場所に取り付け、交換作業が終了するようになっている。このため、交換作業に手間がかかり、作業時にはトイレを利用できないという問題がある。
【0004】
一方、壁材側に開口部を形成し、換気ダクトと連通する箱型の接続ダクトに対し、外枠を取り付けて、防塵フィルタを交換可能に取り付けた内枠を表側から出し入れ自在に装着した換気ユニット(換気ボックス)が知られている(特許文献2参照)。そこでは、内枠の左右両側部には、トーションばねにより外側に弾発付勢されるロック部材が設けられ、外枠の左右両側部には、内枠の装着時、ロック部材を受け入れる孔が穿設される。内枠を外枠に装着または分離させる際には、内枠のロック部材は、その突出端が外枠の外側開口部と孔との間で、外枠開口部から孔に向かって、または、孔から外枠開口部に向かって、外枠の左右両側面をトーションばねの付勢力を受けた状態で摺動するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2525300号公報
【特許文献2】特開2015-21688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記換気ユニットの構造では、内枠を外枠に嵌める途中段階から突出端が外枠と摺動するため、内枠のスムーズな装着を妨げる。また、内側を外枠に着脱させるとき、外枠内部側表面がロック部材の突出端から力を受け、素材によっては擦られた摺動痕が帯状に残り化粧面が傷つく。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、簡素な構成で内枠の着脱をスムーズに行うことができ、外枠化粧面の傷発生を抑えることができる換気ユニットおよび換気システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様である換気ユニットは、内の壁面に設けられた開口部に臨む接続開口部を形成し、換気ダクトと連通する接続ダクトに装着可能な換気ユニットであって、接続ダクトに嵌装可能な外枠と、外枠に表側から出し入れ自在に装着され防塵フィルタが交換可能に取り付けられる内枠と、内枠を外枠に対してロックするロック機構とを備える。例えば、接続ダクトは箱状であり、接続ダクトの内部空間サイズ(断面形状)に合わせて角筒状の外枠、および内枠が構成可能である。
【0009】
本発明では、ロック機構が、接続ダクトに嵌装される外枠に設けられ、その内側に外面が曲面に形成された突出片を出没自在に弾発付勢したロック部材と、内枠に設けられ、ロック部材の突出片を受け入れる受け入れ部とを備えている。
【0010】
内枠を外枠に対して出し入れしたとき、内枠の受け入れ部が外枠のロック部材に達すると、ロック部材を受け入れてロックされる。外枠内側に設けられたロック部材は、内枠を外枠に嵌めるとき、内枠の接続ダクト奥側端部(例えば防塵フィルタ着脱部などが設けられる)によって外枠内側の表面から出ないようになり、そのまま停止位置までスムーズに装着させることができる。また、材質に関係なく外枠に摺動痕が付くのを防ぎ、外枠は内面の美観が保持される。
【0011】
例えば受け入れ部は、孔で構成することが可能である。内枠外側表面を凹部にして構成することも可能である。
【0012】
外枠には、内枠が外枠に嵌め入れられて収容されると、内枠が外枠に嵌め入れられて収容されるときに内枠の後退を規制するストッパを設けてもよく、内枠を外枠に対して内外方向の所定の位置で確実に保持することができる。
【0013】
外枠の内外方向の外側端部に、フランジ部を設けることも可能であり、ストッパの内外方向の取付位置を、内枠が外枠のフランジ部より外側に突出する位置に設定することができる。
【0014】
本発明の一態様である換気システムは、上記換気ユニットを備え、また、換気ダクトと、換気ユニットが装着可能であって、室内空間に向けて開口部を形成し、換気ダクトと連通する接続ダクトとを備える。そして、接続ダクトには、外枠の外面に突出したロック部材の少なくとも一部を収容可能な収容部を設けている。例えば、収容部は、孔で構成される。
【0015】
接続ダクト内の洗浄を考慮すれば、接続ダクトにおいて、開口部に臨む内側壁と底部との間に傾斜部を設けることが可能である。また、換気ダクトを通るエアの風速を早めるため、接続ダクトの換気ダクトと繋がる開口筒部を、断面形状楕円にすることが可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る換気ユニット、換気システムによれば、簡素な構成で内枠の着脱をスムーズに行うことができ、外枠化粧面の傷発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る換気構造が設置されたトイレを示す説明図である。
図2図1の換気構造の換気ダクトと外枠と内枠と便器との配置を示す説明図である。
図3図1の換気構造の外枠に内枠を装着した状態を示す正面図、その状態の縦断面図、要部の断面図および分岐管と接続ダクトの接続を示す説明図である。
図4図1の換気構造の外枠と内枠とを分離させた状態を示す斜視図である。
図5】ロック機構の外枠の外面に露出したロック部材を示す説明図および要部の断面図である。
図6】開口部が形成された下側壁パネルを示す説明図、外枠を下側壁パネルの開口部から挿入してフランジ部を下側壁パネルに取り付けた状態を示す説明図および防塵フィルタが装着された内枠を外枠に嵌め入れた状態を示す説明図である。
図7】上記実施形態の変形例に係る換気構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態の換気構造(換気システム)は、室内の壁面に設けられる壁材に形成された開口部と換気ダクトとを接続し、室内のエアを吸引して換気する換気構造であって、換気構造を、前記壁材の開口部とこの開口部近傍に引き込まれて配置された換気ダクト側開口部との間に設けられ、これら両開口部を連通する外枠と、この外枠に表側から出し入れ自在に装着され防塵フィルタが交換可能に取り付けられた内枠と、内枠を外枠に対してロックするロック機構とを有して構成するとともに、このロック機構を、外枠に設けられ、その内側に外面が曲面に形成された突出片を出没自在に弾発付勢したロック部材と、内枠に設けられロック部材の突出片を受け入れる受け入れ部とを備えて構成したことにより実現した。
【0019】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。本発明の一実施形態に係る換気構造(換気システム)2は、図1および図2に示すように、不特定多数が利用するトイレ等の室3内に設置される。室3の床4から所定の高さの壁面には、上側壁パネル(壁材)5が並設される。床4と上側壁パネル5との間には、内部に設備の収納空間Sを確保して下側壁パネル(壁材)7が並設される。下側壁パネル7は、短寸の横幅で下部に換気用開口部8が形成された下側壁パネル7Aと長寸の横幅で表側に便器9が取り付けられる下側壁パネル7Bとからなり、これら下側壁パネル7A、7Bを交互に並べて下側壁パネル部10が形成される。下側壁パネル部10と上側壁パネル5が設けられた壁面との間に形成される設備収納空間S(図2参照)には、その上部開口を塞ぐ天板11が設けられる。
【0020】
下側壁パネル部10と壁面との間に画成される空間Sには、図2に示すように、換気ダクト12が引き込まれる。換気ダクト12の吸気排出端は、図示しない換気ファンを通じて外気に連通される。換気ダクト12には、便器9の配置に応じて所定の間隔で分岐管13(13A、13B、13C)が接続され、これら分岐管13は、換気用開口部8の近傍に引き込まれ、分岐管13の他端開口部14は、下側壁パネル7Aの開口部8に対して所定の間隔を隔てて臨むようになっている(図3の(B)参照)。この分岐管13の下端開口部14には、接続ダクト15の上部開口筒部15Bが接続される。開口筒部15Bは横断面が楕円状に形成され、風速を増すようになっている。接続ダクト15は、開口部8に対応して向かい合って配置され、開口部8に臨む面には、接続開口部15Aが形成され、後述する外枠20の一端が嵌装されるようになっている。
【0021】
本実施形態に係る換気構造2では、室3の空間に向けて壁面に形成された開口部8に嵌装する接続ダクト15に対し、ボックス型の換気ユニット100を着脱自在に装着可能である。外枠20が下側壁パネル7Aの開口部8と接続ダクト15の接続開口部15Aとを接続して連通するようになっている。外枠20は、図4に示すように、外周が下側壁パネル7Aの四角形状開口部8に合致して角筒状に形成される。外枠20は、下側壁パネル7Aの開口部8と接続ダクト15の接続開口部15Aとの間を接続して連通する外枠本体21と、この外枠本体21の表側端縁(内外方向外側端縁)に形成されたフランジ部23と、外枠本体21の表側端縁から奥行き方向に所定の距離隔てて内面から突出して形成されたストッパ24とを備えて構成される。フランジ部23は、外枠本体21が下側壁パネル7Aの開口部8から挿入されて接続ダクト15に接続されると、下側壁パネル7Aの開口部周縁8Aに臨み当接されるようになっている。フランジ部23は角部に取り付け孔が穿設される。この外枠20は、内外方向の内側開口端20Aを下側壁パネル7Aの開口部8から接続ダクト15の接続開口部15Aに嵌め入れてフランジ部23を下側壁パネル7Aの開口部周縁8Aに当接させ、取り付けねじ22をフランジ部23の取り付け孔に螺入すると、下側壁パネル7Aに取り付けられるようになっている(図3の(C)参照)。こうして外枠20により接続ダクト15と分岐管13とを介して室3と換気ダクト12とが連通される。
【0022】
外枠20には、内枠30が内外方向外側開口部(表側開口部)20Bから出し入れ自在に装着される。内枠30は、外枠本体21の内面に嵌め入れられるよう外枠本体21の内面にほぼ合致して角筒状に形成される。内枠30には、外側(表側)に鎧板31が水平に所定の間隔で取り付けられる。鎧板31には、左右両側に鎧板31を支持する支持板32が設けられる。これら鎧板31と支持板32とにより取手が形成される。鎧板31は作業者が手で握り内枠30を外枠20から出し入れするのに用いられる。
【0023】
内枠30の裏側(内外方向内側)には、防塵フィルタ33を交換可能に取り付ける着脱部34が設けられる。着脱部34は、内枠30の内外方向内側の両側端部を内部に向けて折り曲げ、底部の端縁を上方に折り曲げて形成され、防塵フィルタ33を上部開口から出し入れさせるようになっている。内枠30は、この着脱部34に防塵フィルタ33が取り付けられると、作業者が鎧板31を手で掴み、外枠20に押し込むようになっている。そして、内枠30は、内外方向の内側端面、すなわち、着脱部34の端面が外枠20のストッパ24に当接すると、それ以上の変位が規制されその規制位置で外枠20に装着されるようになっている。このとき、内枠30の内外方向外側端面はフランジ部23とほぼ同一平面上に位置するようになっている。このように、突出する部分をなくしているので、たとえ、利用者の体の一部が触れても安全を確保することができる。また、同一面とすることにより利用者に意匠上の美観を印象付けることができる。内枠30は盗難や破損に備えて予備をストックするようにしてもよい。
【0024】
防塵フィルタ33は、円孔が多数穿設されたステンレス製のパンチングメタルの一枚板により構成される。この防塵フィルタ33は、円孔の径を異ならせた複数の種類から構成され、施設の換気プランに応じて、開口率を変化させて適宜選択して用いられるようになっている。防塵フィルタ33は、金属製の一枚板から構成されているので、内枠30が外枠20から取り外され、内枠30から防塵フィルタ33が引き抜かれると、現場で洗浄して水分を除去すると、その場で再び内枠30に差し入れ、防塵フィルタ33が取り付けられた内枠30を外枠20に装着して、清掃作業を完了するようになっている。現場で作業ができない場合には、内枠30から防塵フィルタ33を取り外して、新たな防塵フィルタと交換し、汚れた防塵フィルタ33を別の場所で洗浄するようにしてもよいし、内枠30をまるごと新たなものと交換するようにしてもよい。なお、防塵フィルタ33は、格子状またはスリットが多数形成された一枚板から構成してもよい。また、防塵フィルタ33は、金属板に代えて合成樹脂製の板で構成し、使い捨てにするようにしてもよい。また、外枠20、内枠30および防塵フィルタ33は、壁パネル5、7A、7Bに合わせた色彩で防錆塗装が施されるようになっている。
【0025】
接続ダクト15は、箱状に形成され、開口部15Aに臨む内側壁16と底部17との間に傾斜部18が設けられる。このため、内枠30を外枠20から取り外して外枠20と接続ダクト15との内部を洗浄する際、洗浄水が外側に流れやすくなっている。なお、外枠20の内側端縁と接続ダクト15内面との間の段差部には、粘着アルミテープ等の防水性を有する粘着テープが貼着される。また、内枠30を外枠20から取り外しても、外枠20の内面には、メッキまたは塗装により化粧面が形成され、内面が露出しても美観を保つようになっている。
【0026】
ところで、内枠30と外枠20とには、ロック機構40が設けられる。ロック機構40は、図5の(A)および(B)に示すように、外枠20の左右両側枠21A、21Bに設けられ、これら側枠21A、21Bの内側に断面く字状の突出片43A、43Aを出没自在に弾発付勢した三角戸ばねの構造を有するロック部材43、43と、内枠30の左右両側枠30A、30Bにロック部材43、43の突出片43A、43Aにそれぞれ対応して形成され、内枠30が外枠20に嵌め入れられてストッパ24に当接するとこれら突出片43A、43Aをそれぞれ受け入れる孔(受け入れ部)45、45とを備えて構成される。
【0027】
各ロック部材43、43は、外枠20の左右両側枠21A、21Bにそれぞれ開口する開口部42、42の外側上下に亘って設けられ、内部に開口が形成された支持プレート35と、この支持プレート35の開口の上下にそれぞれ形成された軸支持部41A、41Bと、これら軸支持部41A、41B間に軸支された軸41Cと、開口部42、42から外枠20の左右両側枠21A、21Bの内側に出没自在にかつ脱落を阻止して収容された断面く字状折曲金属片からなる突出片43Aと、軸41Cに挿通されるとともに両端が突出片43Aの内面に圧接して突出片43Aを左右両側枠21A、21Bの内側に弾発付勢するトーションばね(ばね)44とを備えて構成される。
【0028】
また、内枠30の左右両側枠30A、30Bにそれぞれ穿設された孔45、45は、内枠30が外枠20のストッパ24に達すると、上述のように、ロック部材43の突出片43Aを受け入れるようになっている。このため、ロック機構40は、内枠30が着脱部34側から外枠20に嵌め入れられ、内枠30の左右両側枠30A、30Bの外面が突出片43A、43Aに当たると、左右両側枠30A、30Bは突出片43A、43Aをトーションばね44、44の付勢力に抗して開口部42、42から内側に後退させ、内枠30がストッパ24に当接すると、突出片43A、43Aはトーションばね44、44の弾発付勢力により内枠30の孔45、45に突出し、内枠30をその位置でロックして保持するようになっている。そして、内枠30をトーションばね44、44の弾発付勢力に打ち勝つ力で外側に引っ張ると、突出片43A、43Aは孔45、45から離脱してロックは強制的に解除され、内枠30は外枠20から引き抜かれるようになっている。なお、ロック部材43の突出片43Aを受け入れる受け入れ部を内枠30に穿設した孔45により構成しているが、これに限られるものではなく、内枠30に内方に凹陥する凹陥部を形成して構成するようにしてもよい。このため、ロック部材43、43の突出片43A、43Aは内枠30の裏側端縁から左右両側枠30A、30Bに形成された孔45、45の間のみ摺動し、外枠20に摺動痕が付くことがない。
【0029】
接続ダクト15には、孔(収容部)19が形成され、外枠20に設けられたロック部材43、43のうち外枠20の両側枠21A、21Bから外側に突出する一部、すなわち、支持プレート35、軸支持部41A、41B、軸41Cおよびトーションばね44を収容するようになっている。つまり、内枠30が外枠20に嵌め入れられて、突出片43A、43Aが孔45、45に嵌挿されてロックされた際、ロック部材43、43の一部を収容するようになっている。接続ダクト15は、薄い金属製板からなり、変形可能になっている。なお、この孔19に代えて、接続ダクト15の外側に凹陥する凹陥部を形成し、ロック部材43、43の一部を収容するようにしてもよい。
【0030】
次に、上記実施形態に係る換気構造2の作用について説明する。上記実施例に係る換気構造2は、まず、換気ダクト12の分岐管13に接続ダクト15を設置して、この接続ダクト15の配置に応じて、下側壁パネル7Aに開口部8を設ける。次に、開口部8が形成された下側壁パネル7Aをトイレ等の室3に設置する(図6の(A)参照)。そして、外枠20を下側壁パネル7Aの開口部8から内部に挿入し、外枠20の内外方向の内側開口端20Aを接続ダクト15の接続開口部15Aに嵌め入れてフランジ部23を下側壁パネル7Aの開口部周縁8Aに当接させ、取り付けねじ22によりフランジ部23を下側壁パネル7Aに取り付ける。この状態で外枠20により分岐管13と室3とが連通される(図6の(B)参照)。次に、内枠30の着脱部34に防塵フィルタ33を取り付け、この内枠30を、鎧板31を手で掴んで外枠本体21の表側開口部20Bに嵌め入れて押し込み、ストッパ24に当接させて規制位置で外枠20に装着させる。このとき、ロック機構40のロック部材43の突出片43Aはトーションばね44により内枠30の孔45に突出して弾発保持されるので、内枠30は外枠20に対して確実に保持される。このとき、ロック部材43の一部35、41A、41B、41C、44は接続ダクト15の孔19に収容される。こうして、室3内のエアは内枠30の防塵フィルタ33を介して接続ダクト15および分岐管13から換気ダクト12に導かれ排気される。
【0031】
このように、本実施形態に係る換気構造のロック機構40では、たとえ内枠30の着脱を繰り返しても、外枠20側にはロック部材43、43の摺動痕が付くことがない。このため、外枠20の化粧面は美観が保持される。また、外枠20の底部21Cに接続された接続ダクト15は、内側壁16と底部17との間に傾斜部18が設けられているので、内枠30を取り外して洗浄する際、洗浄水が外側に流れやすくなっており、洗浄作業が効率化される。
【0032】
図7は、上記実施形態の変形例に係る換気構造を示す斜視図で、この変形例に係る換気構造102は、上記実施形態に係る換気構造2が、ストッパ24の内外方向の取付位置を、内枠30の外側面、すなわち、表側面と外枠のフランジ部とが同一面をなす位置に設定し、外枠と内枠を同一面とすることにより利用者に意匠上の美観を印象付けるようにしているのに対し、ストッパの内外方向の取付位置を、内枠130の表側面130Cが外枠120のフランジ部123より外側に突出する位置に設定するようにしている。内枠の表側面が外側に突出するようにした場合、利用者に意匠上強い印象を与え換気環境に配慮していることを強調することができる。また、内枠の表側面が外枠のフランジ部より内側に後退する位置に設定するようにしてもよい。
【0033】
なお、上記実施形態では、内枠30の裏側端縁に防塵フィルタ33を設けているが、これに限られるものではなく、内枠30の内外方向のより外側に設け、内枠30の孔45、45を裏側端縁寄りに設け、ロック部材43、43の摺動距離を短くするようにしてもよい。また、上記実施形態では、ロック部材を断面く字状折曲金属片から構成しているがこれに限られるものではなく、出没自在に弾発付勢される部材であれば球状またはロール状の部材から構成してもよい。さらに、上記実施形態では、外枠20のフランジ部23を下側壁パネル(壁材)7Aの外側に取り付けるようにしているがこれに限られるものではなく、内枠の表側面を外枠のフランジ部と同一面にしたり、外側に突出または内側に後退させる場合、フランジ部23を下側壁パネル7Aの裏側(内側)に取り付けるようにし、意匠面を小さく見せるようにしてもよい。さらに、内枠30に防塵フィルタ33の着脱部34を設けるようにしているがこれに限られるものではなく、角型枠に防塵フィルタを予め装着し、この角形枠を内枠30に着脱自在に嵌合させるようにしてもよい。さらに、上記実施形態では、換気構造をトイレなどの室内に設けているが、これに限られるものではなく、不特定多数の人が出入りする施設に設けてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0034】
2 換気構造(換気システム)
3 室
7 壁材
8 開口部
12 換気ダクト
15 接続ダクト
15A 接続開口部
15B 開口筒部
18 傾斜部
19 孔(収容部)
20 外枠
30 内枠
33 防塵フィルタ
40 ロック機構
43 ロック部材
43A 突出片
45 孔(受け入れ部)
100 換気ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7