(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100807
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】保管システムおよび制御装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/06 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
B65G1/06 M
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215012
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000114710
【氏名又は名称】ヤマウチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】浅野 義和
(72)【発明者】
【氏名】秦 正樹
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022CC03
3F022EE02
3F022FF01
3F022FF19
3F022JJ13
3F022JJ20
3F022MM01
3F022MM05
3F022MM08
3F022MM11
3F022MM17
3F022MM26
3F022MM42
3F022MM70
3F022NN02
3F022NN31
3F022NN38
3F022NN51
3F022NN55
3F022PP04
3F022PP06
(57)【要約】
【課題】物品を高密度で保管できかつレイアウト自由度の高い保管システムを提供する。
【解決手段】2行2列以上の保管領域を有しかついずれかの保管領域が搬入搬出領域に設定された保管部と、物品を保持しかつ搬入搬出領域を介して保管部に搬入および搬出される複数の保持部材と、保管部に搬入された保持部材の下方を移動可能に設けられかつ保管部に搬入された保持部材をいずれかの保管領域に搬送する無人搬送車と、を備え、少なくとも1つの保管領域が空くように保持部材が保管部において保管され、保管部から保持部材を搬出するに際して、無人搬送車は、搬出対象ではない保持部材を保管部から搬出することなく、空いている保管領域へのいずれかの保持部材の搬送を繰り返すことによって、搬出対象の保持部材を搬入搬出領域へ移動させる、保管システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視において2行2列以上の複数の保管領域を有し、かつ前記複数の保管領域のうちのいずれかが搬入搬出領域に設定された保管部と、
物品を保持し、かつ前記搬入搬出領域を介して前記保管部に搬入および前記保管部から搬出される複数の保持部材と、
前記保管部に搬入された前記保持部材の下方を移動可能に設けられ、かつ前記保管部に搬入された前記保持部材をいずれかの前記保管領域に搬送する無人搬送車と、を備え、
前記複数の保管領域のうち少なくとも1つの前記保管領域が空くように、前記複数の保管領域の数より少ない数の前記保持部材が前記保管部において保管され、
前記保管部から前記保持部材を搬出するに際して、搬出対象の前記保持部材と前記搬入搬出領域との間に他の前記保持部材が位置している場合、前記無人搬送車は、搬出対象ではない前記保持部材を前記保管部から搬出することなく、空いている前記保管領域へのいずれかの前記保持部材の搬送を繰り返すことによって、前記搬出対象の前記保持部材を前記搬入搬出領域へ移動させる、保管システム。
【請求項2】
前記保持部材はパレットであり、
前記保管部は、前記複数の保管領域を区画するようにかつ前記パレットを下方から支持するように設けられた複数の支持部材を有し、
前記無人搬送車は、前記複数の支持部材の間を通過しつつ前記保持部材を搬送する、請求項1に記載の保管システム。
【請求項3】
前記無人搬送車は、水平方向に移動可能に構成された本体部と、昇降可能に前記本体部に支持されかつ下方から前記保持部材を支持する昇降支持部とを備える、請求項1または2に記載の保管システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の保管システムの前記無人搬送車を制御する制御装置であって、
前記複数の保持部材それぞれの前記保管部内における位置情報を取得し、取得した前記位置情報に基づいて前記無人搬送車を制御する、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人搬送車を利用した物品の保管システムおよび無人搬送車の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の施設において物品を効率良く管理するために、自動倉庫が用いられている。例えば、特許文献1に開示された自動倉庫は、荷物を収納するための収納スペースと、荷物を搬送する搬送ロボットが走行する走行通路とを有している。
【0003】
特許文献1の自動倉庫においては、走行通路は、収納スペースの縁部に沿って配置される。収納スペースは格子状に区画され、1区画につき一個のコンテナが収納される。搬送ロボットは、コンテナを持ち上げて搬送することができるように構成されている。
【0004】
特許文献1の自動倉庫において収納スペースの中心部に収納されたコンテナを出庫する際には、まず、1または複数の搬送ロボットが、走行通路から収納スペース内に移動し、走行通路と出庫対象のコンテナ(以下、対象コンテナと記載する。)との間の1または複数のコンテナ(以下、非対象コンテナと記載する。)をピックアップする。非対象コンテナをピックアップした搬送ロボットは、走行通路上に戻り、待機する。
【0005】
次に、非対象コンテナをピックアップした搬送ロボットとは別の搬送ロボットが、走行通路から収納スペース内に移動し、対象コンテナをピックアップする。対象コンテナをピックアップした搬送ロボットは、走行通路を移動して、対象コンテナを出庫する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1の自動倉庫では、上記のように、搬送ロボットを移動および待機させるための走行通路を収納スペースの外側に設ける必要がある。しかしながら、自動倉庫を利用する施設によっては、収納スペースの外側に走行通路のためのスペースを確保できなかったり、走行通路を設けることによって収納スペースを十分に確保できなかったりする場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、物品を高密度で保管できかつレイアウト自由度の高い保管システムおよび当該保管システムの無人搬送車を制御する制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記の保管システムおよび制御装置を要旨とする。
【0010】
(1)平面視において2行2列以上の複数の保管領域を有し、かつ前記複数の保管領域のうちのいずれかが搬入搬出領域に設定された保管部と、
物品を保持し、かつ前記搬入搬出領域を介して前記保管部に搬入および前記保管部から搬出される複数の保持部材と、
前記保管部に搬入された前記保持部材の下方を移動可能に設けられ、かつ前記保管部に搬入された前記保持部材をいずれかの前記保管領域に搬送する無人搬送車と、を備え、
前記複数の保管領域のうち少なくとも1つの前記保管領域が空くように、前記複数の保管領域の数より少ない数の前記保持部材が前記保管部において保管され、
前記保管部から前記保持部材を搬出するに際して、搬出対象の前記保持部材と前記搬入搬出領域との間に他の前記保持部材が位置している場合、前記無人搬送車は、搬出対象ではない前記保持部材を前記保管部から搬出することなく、空いている前記保管領域へのいずれかの前記保持部材の搬送を繰り返すことによって、前記搬出対象の前記保持部材を前記搬入搬出領域へ移動させる、保管システム。
【0011】
(2)前記保持部材はパレットであり、
前記保管部は、前記複数の保管領域を区画するようにかつ前記パレットを下方から支持するように設けられた複数の支持部材を有し、
前記無人搬送車は、前記複数の支持部材の間を通過しつつ前記保持部材を搬送する、上記(1)に記載の保管システム。
【0012】
(3)前記無人搬送車は、水平方向に移動可能に構成された本体部と、昇降可能に前記本体部に支持されかつ下方から前記保持部材を支持する昇降支持部とを備える、上記(1)または(2)に記載の保管システム。
【0013】
(4)上記(1)から(3)のいずれかに記載の保管システムの前記無人搬送車を制御する制御装置であって、
前記複数の保持部材それぞれの前記保管部内における位置情報を取得し、取得した前記位置情報に基づいて前記無人搬送車を制御する、制御装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、物品を高密度で保管できかつレイアウト自由度の高い保管システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る保管システムを示す図である。
【
図2】
図2は、無人搬送車の動作を説明するための図である。
【
図3】
図3は、保持部材の保管領域(搬入搬出領域)への搬送方法の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、保管システムの設置例を示す図である。
【
図5】
図5は、保管システムの他の設置例を示す図である。
【
図7】
図7は、保管システムの制御系を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、駆動制御部の制御動作を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る保管システムについて図面を用いて説明する。
【0017】
(保管システムの構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る保管システムを示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。以下においては、本実施形態に係る保管システム100を、物品を保管する倉庫内で利用する場合について説明する。
【0018】
図1(b)に示すように、保管システム100は、例えば、倉庫の床200上に設けられる。
図1(a),(b)に示すように、保管システム100は、保管部10と、複数の保持部材12a~12hと、無人搬送車14と、複数の支持部材16とを備えている。
【0019】
図1(a)に示すように、本実施形態では、床200上の所定の空間が保管部10に設定される。保管部10には、平面視において2行2列以上の複数の保管領域が設定される。本実施形態では、保管部10は、3行3列に配置された保管領域10a~10iによって構成されている。
【0020】
複数の支持部材16は、保管部10において複数の保管領域10a~10iを区画するように、かつ複数の保持部材12a~12hを下方から支持するように配置されている。
図1(b)に示すように、保持部材12a~12hはそれぞれ、保管対象である物品300を保持している。本実施形態では、保持部材12a~12hとしてパレットが用いられ、パレット上に物品300が載せられている。なお、
図1(a)においては、保管システム100の構成を理解しやすくするために、物品300の図示を省略している。また、後述する他の図においても、保持部材に保持された物品の図示は省略するが、各保持部材には物品が保持されているものとする。
【0021】
保管部10には、複数の保管領域10a~10iのうちの少なくとも1つの保管領域が空くように、複数の保管領域10a~10iの数より少ない数の保持部材12a~12hが保管される。言い換えると、保管部10には、複数の保管領域10a~10iのうちの少なくとも1つの保管領域が空くように、複数の物品300が保管される。
図1に示した例では、保管領域10iが空くように、保管領域10a~10hに物品300を保持した保持部材12a~12hが保管されている。
【0022】
保管システム100では、複数の保管領域10a~10iのうちのいずれかが、保管部10に保持部材を搬入および保管部10から保持部材を搬出するための搬入搬出領域に設定される。本実施形態では、保管領域10iが搬入搬出領域に設定される。したがって、本実施形態では、物品300を保持した保持部材が、保管部10の外部から保管領域10iに搬入される。また、保管部10内において保管されている物品300を保持した保持部材が、保管領域10iから保管部10の外部に搬出される。保持部材の搬入および搬出については後述する。
【0023】
無人搬送車14は、保管部10に搬入された保持部材12a~12hの下方を移動可能に設けられる。また、無人搬送車14は、保管部10に搬入された保持部材12a~12hを、保管領域10a~10iのうちのいずれかに搬送し、搬送した各保持部材を4つの支持部材16によって支持させる。以下、無人搬送車14の構成および動作を簡単に説明する。
【0024】
図2は、無人搬送車14の動作を説明するための図である。なお、
図2には、保持部材12aを、任意の保管領域から、その保管領域に隣接する他の保管領域に移動させる場合を示している。
【0025】
図1および
図2に示すように、無人搬送車14は、本体部40、本体部40に支持された昇降支持部42、および本体部40を支持する複数の車輪44を備えている。本体部40には、昇降支持部42および複数の車輪44を駆動するための駆動機構(モータ、電源、制御部等)が設けられている。
【0026】
本実施形態では、本体部40は、水平方向(前後方向および左右方向)に移動できるように、かつ超信地旋回できるように、複数の車輪44に支持されている。本実施形態では、複数の車輪44としてそれぞれ、全方向移動車輪(例えば、メカナムホイール)が用いられる。昇降支持部42は、本体部40に昇降可能に支持されている。
【0027】
図2(a)に示すように、保持部材12aを任意の保管領域から他の保管領域に移動させる場合、まず、無人搬送車14は、保持部材12aの下方に移動する。次に、
図2(b)に示すように、昇降支持部42を上昇させ、昇降支持部42によって保持部材12aを支持部材16から持ち上げる。
【0028】
次に、
図2(c)に示すように、無人搬送車14は、昇降支持部42によって保持部材12aを支持した状態で、支持部材16と支持部材16との間を通って、隣の保管領域へ移動する。その後、無人搬送車14は、昇降支持部42を下降させ、保持部材12aを支持部材16に載せる。これにより、保持部材12aの移動が完了する。
【0029】
なお、
図2においては、保持部材12aを任意の保管領域から隣りの保管領域へ移動させる場合について説明したが、さらに離れた位置の保管領域に保持部材12aを移動させる場合も、無人搬送車14は同様に動作する。具体的には、無人搬送車14は、任意の保管領域において保持部材12aを持ち上げ、複数の支持部材16間を通過しつつ、目的の保管領域まで移動する。その後、無人搬送車14は、目的の保管領域において昇降支持部42を下降させて、保持部材12aを支持部材16に載せる。
【0030】
本実施形態では、無人搬送車14は、保管部10の外部から保管領域(搬入搬出領域)10iに搬入された保持部材を他の空いている保管領域10a~10hに搬送し、支持部材16上に載せる。無人搬送車14は、保管領域10iに保持部材が搬入される毎に、他の保管領域10a~10hへの保持部材の搬送を行う。
【0031】
なお、保管部10の外部から保管領域10iへの保持部材の搬入、および保管領域10iから他の保管領域10a~10hへの保持部材の搬送は、共通の無人搬送車14によって行ってもよく、異なる無人搬送車14によって行ってもよい。保管部10の外部から保管領域10iへの保持部材の搬入および保管領域10iから他の保管領域10a~10hへの保持部材の搬送の両方を共通の無人搬送車14によって行う場合には、例えば、無人搬送車14は、保管領域10iへ搬入した保持部材を、保管領域10iにおいて支持部材16に載せることなく、他の保管領域10a~10hに搬送して支持部材16に載せてもよい。
【0032】
一方、保管部10の外部から保管領域10iへの保持部材の搬入および保管領域10iから他の保管領域10a~10hへの保持部材の搬送を異なる無人搬送車14によって行う場合には、まず、保管部10の外部から保管領域10iに保持部材を搬送してきた無人搬送車14が、保管領域10iにおいて保持部材を支持部材16に載せる。その後、保管部10内において待機していた他の無人搬送車14が、保管領域10iから他の保管領域10a~10hに保持部材を搬送する。
【0033】
また、保管部10から保持部材を搬出する際には、無人搬送車14は、保管領域10a~10hのいずれかに保管されている搬出対象の保持部材を保管領域(搬入搬出領域)10iに搬送する。なお、無人搬送車14は、搬出対象の保持部材を保管領域(搬入搬出領域)10iへ搬送する間に、当該搬出対象の保持部材を保管部10外へ搬出することはない。言い換えると、無人搬送車14は、1または複数の保管領域を通過しつつ、搬出対象の保持部材を保管領域(搬入搬出領域)10iへ搬送する。
【0034】
ここで、搬出対象の保持部材と保管領域(搬入搬出領域)10iとの間に他の保持部材が位置している場合、無人搬送車14は、搬出対象ではない他の保持部材を保管部10から搬出することなく、空いている保管領域へのいずれかの保持部材の搬送を繰り返すことによって、搬出対象の保持部材を保管領域(搬入搬出領域)10iへ移動させる。なお、本明細書において、搬出対象の保持部材と保管領域(搬入搬出領域)10iとの間に他の保持部材が位置している場合とは、搬出対象の保持部材の保管領域10iへの搬送経路上に他の保持部材が位置している場合を意味する。
【0035】
以下、保持部材の保管領域(搬入搬出領域)10iへの搬送方法を、図面を用いて説明する。
図3は、保持部材の保管領域(搬入搬出領域)10iへの搬送方法の一例を示す図である。なお、
図3においては、
図1に示した保管部10において、保持部材12cを保管領域10iへ搬送する場合について説明する。
【0036】
図3(a)を参照して、保持部材12cを保管領域10iへ搬送する場合、保管領域10cから保管領域10fを通って保管領域10iへ保持部材12cを搬送する経路が最短の搬送経路となる。しかし、保管領域10fには保持部材12fが位置しているので、保持部材12cを保管領域10iへ直接搬送することはできない。そこで、無人搬送車14は、保持部材12c以外の保持部材を保管部10から搬出することなく、空いている保管領域への保持部材の搬送を繰り返しつつ、保持部材12cを保管領域10iへ移動させる。
【0037】
具体的には、
図3に示すように、無人搬送車14は、保持部材12f、保持部材12c、保持部材12b、保持部材12e、保持部材12h、保持部材12f、および保持部材12cを順に隣の保管領域に移動させる。これにより、保持部材12cを保管領域10iへ搬送することができる。
【0038】
なお、保管領域10a~10hから保管領域10iへの保持部材の搬送、および保管領域10iから保管部10の外部への保持部材の搬出は、共通の無人搬送車14によって行ってもよく、異なる無人搬送車14によって行ってもよい。保管領域10a~10hから保管領域10iへの保持部材の搬送、および保管領域10iから保管部10の外部への保持部材の搬出の両方を共通の無人搬送車14によって行う場合には、例えば、無人搬送車14は、保管領域10a~10hから保管領域10iへ搬送した保持部材を、保管領域10iにおいて支持部材16に載せることなく、保管部10の外部に搬出してもよい。
【0039】
一方、保管領域10a~10hから保管領域10iへの保持部材の搬送、および保管領域10iから保管部10の外部への保持部材の搬出を異なる無人搬送車14によって行う場合には、まず、保管領域10a~10hから保管領域10iへ保持部材を搬送した無人搬送車14が、保管領域10iにおいて保持部材を支持部材16に載せる。その後、他の無人搬送車14が、保管領域10iから保管部10の外部へ保持部材を搬出する。
【0040】
(本実施形態の効果)
本実施形態に係る保管システム100では、上述したように、任意の保持部材を保管部10から搬出する際に、無人搬送車14は、空いている保管領域へのいずれかの保持部材の搬送を繰り返すことによって、搬出対象の保持部材を保管領域(搬入搬出領域)10iへ移動させることができる。
【0041】
この場合、搬出対象ではない保持部材を保管部10の外部へ一時的に搬出する必要がないので、搬出対象ではない保持部材を支持した無人搬送車14を待機させるためのスペース(走行通路等)を保管部10の外部に確保する必要が無い。これにより、例えば、
図4に示すように、倉庫の壁または倉庫内の障害物等によって保管システム100を設置するためのスペースが限られている場合でも、その限られたスペースを最大限に利用して保管システム100を設置することができる。これにより、複数の物品300を高密度で保管することができる。
【0042】
また、本実施形態に係る保管システム100では、保管部10が少なくとも2行2列以上の複数の保管領域を有していればよい。このため、
図5に示すように、倉庫の壁または倉庫内の障害物等によって保管システム100を設置することができる領域が複雑な形状である場合でも、その形状に応じて、保管領域の数および配置を調整することができる。このように、本実施形態に係る保管システム100はレイアウトの自由度が高いので、保管システム100の導入費用の低減、ならびに導入後の変更自由度および拡張性の確保を実現することが出来る。
【0043】
なお、
図1および
図4に示した保管システム100では、保管領域10iを搬入搬出領域に設定しているが、保管部10の外周部に位置する複数の保管領域を搬入搬出領域に設定してもよい。したがって、例えば、
図5に示した保管システム100において、保管領域10a~10dのうちの2つ以上を搬入搬出領域に設定してもよい。
【0044】
また、上述の実施形態では、保持部材12a~12hとしてパレットを用い、パレットを支持するために複数の支持部材16を設けていたが、保持部材はパレットに限定されず、また、保管システムが支持部材16を備えていなくてもよい。例えば、
図6に示すように、保持部材12として、キャスターを備えたかご台車を用いる場合には、支持部材16を設けなくてもよい。なお、この場合、無人搬送車14は、保持部材12を下方から持ち上げる必要はなく、下方から保持部材12に接触しつつ保持部材12を移動させればよい。
【0045】
また、上述の実施形態では、保管部10内において、1つの無人搬送車14によって複数の保持部材を搬送する場合について説明したが、保管部10内において、複数の無人搬送車によって複数の保持部材を搬送してもよい。
【0046】
(制御系)
次に、保管システム100の制御系について説明する。
図7は、保管システム100の制御系を示すブロック図である。
図7に示すように、本実施形態に係る保管システム100の制御系は、検出装置50と、制御装置60とを含む。
【0047】
検出装置50は、保管部10の各保管領域に位置する保持部材を検出する。本実施形態では、検出装置50は、例えば、保管領域ごとに設けられた複数の受信器を含む。各受信器は、保持部材に設けられた発信器(RFIDタグ等)から発信された保持部材ごとの識別情報を受信することによって、各保管領域に位置している保持部材を検出することができる。
【0048】
制御装置60は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットなどの端末装置である。本実施形態では、制御装置60は、入力部62、記憶部64および駆動制御部66を含む。
【0049】
入力部62には、ユーザによって種々の情報が入力される。本実施形態では、入力部62には、保管部10に搬入する保持部材の識別情報および保管部10から搬出する保持部材の識別情報が入力される。
【0050】
記憶部64には、保管部10の最新の情報が記憶されている。本実施形態では、記憶部64には、保管部10内の保管領域の数および配置が予め記憶されている。また、記憶部64には、検出装置50によって検出された最新の情報(保持部材の位置情報等)が記憶されている。本実施形態では、記憶部64には、保管部10に保管されている保持部材の位置が記憶されている。具体的には、記憶部64には、保持部材の識別情報と、その保持部材が位置している保管領域を示す識別情報とが紐付けられて記憶されている。
【0051】
駆動制御部66は、ユーザによって入力された情報および検出装置50から与えられた情報(保持部材の位置情報等)に基づいて、無人搬送車14を制御する。以下、駆動制御部66の制御動作について説明する。
【0052】
図8は、駆動制御部66の制御動作を説明するためのフロー図である。なお、以下においては、保管部10内への保持部材の搬入、保管部10内における保持部材の搬送、および保管部10外への保持部材の搬出を、共通の無人搬送車14によって実行する場合について説明するが、異なる複数の無人搬送車を用いて、保管部10内への保持部材の搬入、保管部10内における保持部材の搬送、および保管部10外への保持部材の搬出を行ってもよい。
【0053】
図8に示すように、ユーザによって入力部62に保持部材の識別情報が入力されると、駆動制御部66は、保管部10に搬入する保持部材の識別情報が入力されたのか、保管部10から搬出する保持部材の識別情報が入力されたのかを判別する(ステップS1)。
【0054】
ユーザによって入力された識別情報が、保管部10に搬入する保持部材の識別情報であった場合、駆動制御部66は、その保持部材を保管部10に搬入することができるかどうかを判別する(ステップS2)。具体的には、駆動制御部66は、記憶部64に記憶されている情報に基づいて、保管部10の複数の保管領域のうち少なくとも2つ以上の保管領域が空いているか否かを判別する。そして、保管部10において少なくとも2つ以上の保管領域が空いている場合には、駆動制御部66は、保持部材を保管部10に搬入可能であると判別する。
【0055】
次に、駆動制御部66は、無人搬送車14を制御して、保持部材を、保管部10内の所定の保管領域に搬送する(ステップS3)。なお、本実施形態では、保管部10内の複数の保管領域には優先順位が予め付与されており、駆動制御部66は、空きとなっている複数の保管領域のうち優先順位が最も高い保管領域に保持部材を搬送するように無人搬送車14を制御する。
【0056】
ステップS2において、保管領域が2つ以上空いていない場合、駆動制御部66は、保持部材を保管部10に搬入不可能であると判別する。この場合、駆動制御部66は、アラート信号を生成する(ステップS4)。ステップS4においては、駆動制御部66の制御により、例えば、制御装置60の図示しない表示装置にアラートを表示してもよく、制御装置60の図示しない音声出力装置から警告音を出力してもよい。
【0057】
ステップS1において、ユーザによって入力された識別情報が、保管部10から搬出する保持部材の識別情報であった場合、駆動制御部66は、保持部材を保管部10から搬出するための搬送経路を算出する(ステップS5)。その後、ステップS3の処理に進み、駆動制御部66は、算出した搬送経路に従って保持部材を保管部10から搬出するように無人搬送車14を制御する。なお、搬送経路の算出方法は特に限定されない。例えば、保持部材を搬入搬出領域へ搬送するための搬送経路を示す情報(搬送経路情報)が、保管領域ごとに予め記憶部64に記憶されており、駆動制御部66が、検出装置50によって検出された搬出対象の保持部材の位置に基づいて、記憶部64から最適な搬送経路を取得してもよい。
【0058】
以上のように、本実施形態では、保管部10において常に1つ以上の保管領域を空けておくことができるので、無人搬送車14は、その空いている保管領域を利用して、搬出対象ではない保持部材を保管部10から搬出することなく、搬出対象の保持部材を保管部10から搬出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明によれば、物品を高密度で保管できかつレイアウト自由度の高い保管システムが得られる。
【符号の説明】
【0060】
10 保管部
10a~10i 保管領域
12,12a~12h 保持部材
14 無人搬送車
16 支持部材
50 検出装置
60 制御装置
62 入力部
64 記憶部
66 駆動制御部
100 保管システム
200 床