(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100824
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】シート処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 45/18 20060101AFI20220629BHJP
B65H 37/06 20060101ALI20220629BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
B65H45/18
B65H37/06
G03G15/00 430
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215036
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】特許業務法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 和彦
【テーマコード(参考)】
2H072
3F108
【Fターム(参考)】
2H072GA01
3F108AA01
3F108AB01
3F108AC02
3F108BA03
3F108BA09
3F108BB02
3F108BB23
3F108CD01
3F108GA02
(57)【要約】
【課題】折り処理されたシートを確実に移動させて精度のよい折り処理が可能なシート処理装置等を提供する。
【解決手段】折りローラ対22により1回目の折り処理を施すために折りローラ対22を第1の方向へ回転させるときの第1回転速度よりも、折り処理が施された折り処理済シートを中間トレイ21へ戻すために折りローラ対を前記第1の方向と反対の第2の方向へ回転させるときの第2回転速度を速くする。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに対して1回目の折り処理を施し、その後、前記1回目の折り処理を施した方向とは反対の方向にシートを戻し、前記1回目の折り処理によって形成された折り目とは異なる位置に2回目の折り処理を施して、前記1回目の折り処理によって折られたシートの一方端が折られたシートの内側にあるように折り処理を行うシート処理装置において、
所定の搬送方向に搬送されるシートを案内する搬送路と、
前記搬送路に搬送されたシートの端部が当接する当接部を有し、前記搬送路に対して前記搬送方向及び前記搬送方向とは反対の方向に移動してシートの位置を調整可能な位置調整手段と、
前記位置調整手段により位置が調整されたシートの面を突き出す突き出し部材と、
前記突き出し部材により突き出されたシートをニップ部で押圧して回転することにより、前記シートに折り処理を行う回転体対と、
前記位置調整手段、前記突き出し部材及び前記回転体対の駆動を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記回転体対により1回目の折り処理を施すために前記回転体対を第1の方向へ回転させるときの第1回転速度よりも、折り処理が施された折り処理済シートを前記搬送路へ戻すために前記回転体対を前記第1の方向と反対の第2の方向へ回転させるときの第2回転速度を速くすることを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記回転体対により1回目の折り処理がされた折り処理済シートを前記搬送路へ搬送するときに、シートが所定枚数以上のときは、所定枚数未満のときよりも前記回転体対の回転速度を速く設定することを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記回転体対により1回目の折り処理がされた折り処理済シートを前記搬送路へ搬送するときに、シートの坪量が所定値以上のときは、所定値未満のときよりも前記回転体対の回転速度を速く設定することを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記回転体対により1回目の折り処理がされた折り処理済シートを前記搬送路へ搬送するときに、シートの前記搬送方向長さが所定長以上のときは、所定長未満のときよりも前記回転体対の回転速度を速く設定することを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記位置調整手段と一体的に移動可能であって、前記回転体対の回転により前記搬送路へ戻されたシートをグリップ可能なグリップ手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項6】
シートに画像形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置から送られたシートを折り処理するシート処理装置と、
を有し、
前記シート処理装置は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート処理装置であることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば画像形成装置から送られたシートを折り処理するためのシート処理装置及びこれを備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機器等の画像形成装置から排出されるシートの後処理として、シート束を冊子状に折り処理するシート処理装置が提供されている。例えば、画像形成装置からシートスタッカに搬出されるシートの所定位置を突き板で折り曲げて折りローラ対のニップ部に押し込み、該折りローラ対で搬送しながら二つ折りにするシート処理装置が知られている。
【0003】
シートに折り処理を行うシート処理装置の中には、二つ折りのみならず、シートの異なる2箇所に折り処理を施し、シートの一方側の端部が折られたシートの内側にあるように折る内三つ折り処理を実行するシート処理装置がある。このような装置にあっては、1回目の折り処理をしたシートをスイッチバック搬送してスタッカに戻し、このシートに1回目と異なる位置で2回目の折り処理を実行することで内三つ折りにする(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されているシート折り装置では、シートに第1の折り位置で折り処理を施した後、二つ折りされたシートを所定間隔をもって配置されたガイド部材によって形成された搬送路にスイッチバック搬送してシートを戻す。このとき、二つ折りされたシートは折り目の部分が元に戻ろうとしてシートの端部が開く方向に力が発生している。このため、シートの端部がガイド部材に擦りながら落下するが、このときの摩擦力によってシートがスムーズに落下しないおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、折り処理されたシートを確実に移動させて精度のよい折り処理が可能なシート処理装置及びこれを備えた画像形成システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る代表的な構成は、シートに対して1回目の折り処理を施し、その後、前記1回目の折り処理を施した方向とは反対の方向にシートを戻し、前記1回目の折り処理によって形成された折り目とは異なる位置に2回目の折り処理を施して、前記1回目の折り処理によって折られたシートの一方端が折られたシートの内側にあるように折り処理を行うシート処理装置において、所定の搬送方向に搬送されるシートを案内する搬送路と、前記搬送路に搬送されたシートの端部が当接する当接部を有し、前記搬送路に対して前記搬送方向及び前記搬送方向とは反対の方向に移動してシートの位置を調整可能な位置調整手段と、前記位置調整手段により位置が調整されたシートの面を突き出す突き出し部材と、前記突き出し部材により突き出されたシートをニップ部で押圧して回転することにより、前記シートに折り処理を行う回転体対と、前記位置調整手段、前記突き出し部材及び前記回転体対の駆動を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記回転体対により1回目の折り処理を施すために前記回転体対を第1の方向へ回転させるときの第1回転速度よりも、折り処理が施された折り処理済シートを前記搬送路へ戻すために前記回転体対を前記第1の方向と反対の第2の方向へ回転させるときの第2回転速度を速くすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明にあっては、折り処理がされたシートを搬送路に戻すときに、回転体を折り処理する方向よりも速く回転させて移動させるので、二つ折りされたシートの折り位置で開く力が作用してもシートを所定の位置へ確実に移動させることが可能となり、精度のよい折り処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の画像形成システムの全体構成の説明図
【
図2】画像形成システムにおけるシート処理装置の全体構成の説明図
【
図8】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図
【
図9】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図
【
図10】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図
【
図11】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図
【
図12】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図
【
図13】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図
【
図14】グリップ手段の説明図であって、(a)は断面図、(b)は斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1実施形態〕
次に図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態に係るシート処理装置及びこれを備えた画像形成システムについて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るシート処理装置を備えた画像形成システムの全体構成を概略的に示している。同図に示すように、画像形成システム100は、画像形成装置Aと、これに併設されるシート処理装置Bとから構成される。
【0011】
<画像形成装置>
画像形成装置Aは、画像形成ユニットA1とスキャナユニットA2とフィーダーユニットA3とで構成される。画像形成ユニットA1は、装置ハウジング1の内部に給送部2と画像形成部3と排出部4とデータ処理部5とを備えている。
【0012】
給送部2は、それぞれ異なるサイズの画像形成用シートを収納する複数のカセット機構2a,2b,2cで構成され、図示しない本体制御部から指定されたサイズのシートを給送経路2fに繰り出す。各カセット機構2a,2b,2cは給送部2から着脱可能に設置され、それぞれ内部のシートを1枚ずつ分離する分離機構と、シートを繰り出す給送機構とが内蔵されている。給送経路2fには、各カセット機構2a,2b,2cから供給されるシートを下流側に給送する搬送ローラと、経路端部には各シートを先端揃えするレジストレイションローラ対とが設けられている。
【0013】
給送経路2fには、大容量カセット2dと、手差しトレイ2eとが接続されている。大容量カセット2dは、大量に消費するサイズのシートを収納するオプションユニットで構成される。手差しトレイ2eは、分離給送が困難な厚紙シート、コーティングシート、フィルムシートなどの特殊シートを供給可能なように構成される。
【0014】
画像形成部3は、本実施形態では電子写真方式を用いて構成されており、回転する感光ドラム3aと、その周囲に配置された、光学ビームを発光する発光器3b、現像器3c、クリーナ(図示せず)とを備えている。図示のものはモノクロ印刷機構であり、周面を一様に帯電した感光ドラム3aに発光器3bにより画信号に応じた光照射をして光学的に潜像を形成し、この潜像に現像器3cでトナーを付着させることでトナー像を形成する。
【0015】
上記感光ドラム3aに画像形成するタイミングに合わせて、給送経路2fからシートを画像形成部3に送り、転写帯電器3dから転写バイアスの印加することによって感光ドラム3aに形成したトナー像をシート上に転写する。トナー像が転写されたシートは、定着器6を通過するときに加熱、加圧されてトナー像が定着され、排出ローラ4aにより排出口4bから排出され、後述するシート処理装置Bに搬送される。
【0016】
スキャナユニットA2は、画像原稿を載置するプラテン7aと、このプラテン7aに沿って往復動するキャリッジ7bと、光電変換手段7cと、前記キャリッジ7bによるプラテン7a上の原稿からの反射光を光電変換手段7cに案内する縮小光学系7dとを備える。光電変換手段7cは、縮小光学系7dからの光学出力を画像データに光電変換して、電気信号として画像形成部3へ出力する。
【0017】
また、スキャナユニットA2は、フィーダーユニットA3から送られてくるシートを読み取るために、走行プラテン7eを備えている。フィーダーユニットA3は、原稿シートを積載する給送トレイ8aと、この給送トレイ8aから送り出した原稿シートを走行プラテン7eに案内する給送経路8bと、走行プラテン7eを通過した原稿シートを収納する排出トレイ8cで構成される。給送トレイ8aからの原稿シートは、走行プラテン7eを通過する際に、キャリッジ7bと縮小光学系7dとで読み取られる。
【0018】
<シート処理装置>
次に画像形成装置Aから送られてくるシートを後処理するシート処理装置Bの全体構成について説明する。
【0019】
図2は本実施形態に係るシート処理装置Bの構成説明図である。シート処理装置Bは、画像形成装置Aからのシートを導入するための搬入口10を設けた装置ハウジング11を備える。装置ハウジング11は、搬入口10を画像形成装置Aの排出口4bに連通させるように、画像形成装置Aのハウジング1に位置を合わせて配置される。
【0020】
シート処理装置Bは、搬入口10から導入されるシートを搬送するシート搬入経路12と、シート搬入経路12から分岐される第1排出パス13a、第2排出パス13b及び第3排出パス13cと、第1経路切換手段14aと、第2経路切換手段14bとを備える。第1経路切換手段14a及び第2経路切換手段14bは、それぞれシート搬入経路12を搬送されるシートの搬送方向を変更するフラッパガイドで構成されている。
【0021】
第1経路切換手段14aは、図示しない駆動手段によって、搬入口10からのシートをそのまま横方向に搬送する第1排出パス13a及び下方へ搬送する第2排出パス13bの方向に案内するモードと、上方へ搬送する第3排出パス13cに案内するモードとに切り換える。第1排出パス13aと第2排出パス13bとは、一旦第1排出パス13aに導入されたシートを、搬送方向を反転させて第2排出パス13bにスイッチバック搬送することが可能なように連通している。
【0022】
第2経路切換手段14bは、シート搬入経路12を搬送されるシートの搬送方向に関して、第1経路切換手段14aの下流側に配置されている。第2経路切換手段14bは、同じく図示しない駆動手段によって、第1経路切換手段14aを通過したシートを第1排出パス13aに導入するモードと、一旦第1排出パス13aに導入されたシートを第2排出パス13bにスイッチバック搬送するモードとに切り換える。
【0023】
シート処理装置Bは、それぞれ異なる後処理を行う第1処理部B1、第2処理部B2、第3処理部B3を備える。更にシート搬入経路12には、搬入されたシートにパンチ穴を穿孔するパンチユニット15が配置されている。
【0024】
第1処理部B1は、シート搬入経路12を搬送されるシートの搬送方向に関して、第1排出パス13aの下流端の排出口16aから搬出された複数のシートを集積し、部揃えして綴じ処理し、装置ハウジング11の外側に設けられた積載トレイ16bに排出する綴じ処理部である。また、第1処理部B1は、シート又はシート束を搬送するシート搬送装置16cと、シート束を綴じ処理する綴じ処理ユニット16dとを備える。第1排出パス13aの下流端には、排出口16aからシートを排出するため、及び第1排出パス13aから第2排出パス13bにスイッチバック搬送するための排出ローラ対16eが設けられている。
【0025】
第2処理部B2は、第2排出パス13bからスイッチバック搬送されてくるシート又は複数枚のシートを重ねてシート束にし、該シート又は綴じ処理した後のシート束に、折り処理を行う折り処理部である。後述するように、第2処理部B2は、搬入されたシート又はシート束を折り処理する折り処理装置Fと、第2排出パス13bに搬送されるシートのシート搬送方向に沿って該折り処理装置Fの直ぐ上流側に配置されて、シート束を綴じ処理する綴じ処理ユニット17aとを備える。折り処理されたシート又はシート束は、排出ローラ17bによって、装置ハウジング11の外側に設けられた積載トレイ17cに排出される。
【0026】
第3処理部B3は、第3排出パス13cから送られてくるシートを、搬送方向に直交するシート幅方向に所定量オフセットさせて集積するグループと、オフセットさせることなく集積するグループとに区分けするジョグ仕分けを行う。ジョグ仕分けしたシートは、装置ハウジング11の外側に設けられた積載トレイ18に排出され、オフセットされたシート束とオフセットされないシート束とが積み上げられる。
【0027】
図3は、第2処理部B2の全体構成を概略的に示している。上述したように、第2処理部B2は、第2排出パス13bから搬入され、集積したシート又は複数枚のシートを集積して部揃えしたシート束を2つ折りに折り処理する折り処理装置Fと、折り処理前のシート束を綴じ処理する綴じ処理ユニット17aとを備える。図示される綴じ処理ユニット17aは、ステープル針を打ち込んでシート束を綴じるステープラ装置である。
【0028】
折り処理装置Fにシートを搬入するために、第2排出パス13bにシート搬送路20が接続されている。第2排出パス13bから中間トレイ21に搬送されるシートの搬送方向に関して、シート搬送路20の下流側には、該シート搬送路の一部を構成する中間トレイ21が、折り処理するシートを位置決めして積載するために設けられている。中間トレイ21の直ぐ上流側には、シート搬送路20を挟んで綴じ処理ユニット17aとその針受け部17dとが対向位置に設けられている。
【0029】
<折り処理装置>
中間トレイ21のシートの厚み方向における一方の側には、折り回転体対としての折りローラ対22が、前記中間トレイ21に搬送されるシート又はシート束の一方の面に対向するように配設されている。折りローラ対22は、互いにローラ面を圧接させた一対の折りローラ22a,22bからなり、その圧接部であるニップ部22cが中間トレイ21に向けて配置されている。折りローラ22a,22bは、中間トレイ21に上方の上流側から下方の下流側へ搬送されるシートの搬送方向に沿って上流側と下流側に、それぞれ中間トレイ21との間隔を略等しくして並置されている。なお、本発明において、前記折り回転体対の回転部は、本実施形態の折りローラ22a,22bに限定されず、回転ベルトなどで構成することができる。更に、折りローラ対22は、各折りローラ22a,22bの軸方向に沿ってそれぞれ複数の折りローラ(回転体)を直列に連続配置して構成することができる。
【0030】
中間トレイ21を挟んで折りローラ対22の反対側には、突き出し部材としての折りブレード23が配置されている。折りブレード23は、その先端を折りローラ対22のニップ部22cに向けて、ブレードキャリア24に担持されている。ブレードキャリア24は、カム部材等で構成した移動手段によって中間トレイ21を略直角に横断する向きに、即ち第2排出パス13bから中間トレイ21に搬送されるシートの搬送方向と交差する向きに、走行可能に設けられている。
【0031】
図3における前後方向、即ち前記折りローラの軸線方向に、ブレードキャリア24を挟んでその両側には、一対の互いに鏡面対称の偏心カムからなるカム部材25(図中には、一方のみを表示)が対向位置に設けられている。カム部材25は、その偏心位置に設けられた回転軸25aを中心に、駆動モータ等の駆動手段によって回動する。カム部材25には、その外周縁に沿ってカム溝25bが形成されている。
【0032】
ブレードキャリア24には、カムフォロワとして、カム溝25bに摺動自在に嵌合するカムピン24cが設けられている。
【0033】
ブレードキャリア24は、駆動モータによりカム部材25を回転させると中間トレイ21に接近又は離反する向きに往復走行する。これによって、
図3に示すように、折りブレード23の先端が中間トレイ21により形成されるシート搬送路に進入していない位置である初期位置と、折りローラ対22のニップ部22cに挟まれる最大突き出し位置との間で、前記両位置を結ぶ突き出し経路に沿って、折りブレード23を直線状に進退自在に移動させることができる。
【0034】
中間トレイ21の下端には、搬送されたシートの搬送方向の先端を当接させて規制してシート搬送路の中でシートの位置を調整して位置決めする位置調整手段となる規制ストッパ26が配置されている。規制ストッパ26は、シート昇降機構27によって、中間トレイ21に沿って昇降可能に設けられている。
【0035】
本実施形態のシート昇降機構27は、中間トレイ21の裏側で折りブレード23の先端が中間トレイ21により形成されるシート搬送路に進入していない位置である初期位置にある時のブレードキャリア24の下方に配置され、該中間トレイ21に沿ってその上端及び下端付近に配置された一対のプーリ27a,27bと、前記両プーリに巻き掛けられた伝動ベルト27cとからなるコンベアベルト機構である。規制ストッパ26は、伝動ベルト27c上に固定されている。駆動側のプーリ27a又は27bを駆動モータ等の駆動手段により回転させることによって、規制ストッパ26が、
図3に示す下端位置と所望の高さ位置との間を昇降し、それにより中間トレイ21に沿ってシート又はシート束を移動させ、所望の高さで位置決めすることができる。
【0036】
また、本実施形態の折り処理装置Fは、中間トレイ21に搬入されるシートの、シート搬送方向と直交するシート幅方向の端縁にあたる側部を揃えて整合させるためのシート側部整合機構を更に備えている。このシート側部整合機構は、
図4に示すように、中間トレイ21のシート幅方向(シート搬送方向と直交するシート面に沿った方向)の両側に対称に配置された一対のシート側部整合部材28a,28bを有する。なお、
図4は折り処理装置Fを上方から見た平面模式図である。前記シート側部整合部材28a,28bは、シート幅方向に相対的に接近離反し得るように移動可能に保持されている。中間トレイ21に搬送され、先端が規制ストッパ26に突き当たったシート又はシート束に対し、前記シート側部整合部材28a,28bを移動させることでシートの幅方向の位置が整合されるものである。
【0037】
<制御部>
次にシートの折り処理をするときの駆動系の制御構成について説明する。
図5のブロック図に示すように、制御部60は各種検出センサからの検出信号や各種処理信号を入力し、入力信号に応じて各種駆動モータ等の駆動を制御する。例えば、規制ストッパ26がホームポジションにあるか否かを検出する規制ストッパHPセンサ61、折りブレード23がホームポジションにあるか否かを検出する折りブレードHPセンサ62、後述する押圧ガイド部材30(
図9参照)がホームポジション位置にあるか否かを検出する押圧ガイドHPセンサ64等からの検出信号を入力する。
【0038】
そして、制御部60は、入力した信号に応じて
図6及び
図7に示すフローチャートの手順に従うように規制ストッパ26を昇降させるシート昇降機構27を駆動する規制ストッパモータ65、ブレードキャリア24を動作させるためのカム部材25を駆動するカムモータ66、折りローラ対22を駆動回転させる折りローラモータ67を駆動制御する。さらに、制御部60はシート搬送手段となる排出ローラ17bを駆動回転させる排出ローラモータ68、押圧ガイド部材30を動作させるための押圧ガイドモータ69を駆動制御する。
【0039】
<三つ折り処理動作>
図6及び
図7は中間トレイ21に搬送されたシートを折り処理装置Fにより内三つ折り処理するときの各部材の動作手順を示すフローチャートである。なお、内三つ折り処理とは、1回目の折り処理によってシートを二つ折りし、そのシートに対して最初の折り位置とは異なる箇所で2回目の折り処理をするときに、1回目の折り処理によって折られたシートの一方側の端部が2回目の折り処理によって折られるシートの内側に折り込まれるようにして三つ折りする処理である。
【0040】
本実施形態の折り処理装置Fにあっては、内三つ折り処理を実行するにあたり、折りローラ対22によりシートを二つ折りするときと、1回目の折り処理により二つ折りしたシートを中間トレイ21へ戻すときとで折りローラ対22の回転速度を変更することにより、シートを確実に中間トレイ21へ戻すようにしている。
【0041】
以下に本実施形態の折り処理装置Fにより内三つ折り処理をするときの動作について、
図6及び
図7のフローチャート及び内三つ折り処理を実行したときのシートSの流れに沿った各部の動きを示す
図8乃至
図13の断面模式図を参照して説明する。
【0042】
折り処理が開始されると、規制ストッパ26は「第1の折り処理位置」へ移動する(S1)。この第1の折り処理位置は、搬送されたシート先端E1が当接部26bに突き当てられたときに、シートSへの1回目の折り位置が折りブレード23と対向する位置である。
【0043】
本実施形態の中間トレイ21は、
図8(a)に示すように、鉛直方向に対して傾いて形成されており、シートSを中間トレイ21へ搬送すると(S2)、シートSは一方側の面が中間トレイ21を形成するガイド面21aにガイドされながら搬送方向の下流側に位置するシート先端E1を下にシート後端E2が上になって落下するように搬送される。そして、中間トレイ21を落下するように搬送されたシートSは、シート先端E1が規制ストッパ26の当接部26bに付き当てられて停止する。
【0044】
折りブレード23は、中間トレイ21のガイド面21aの側から、折りローラ対22に向かってシートSの面を突き出す位置に配置されている。言い換えると、中間トレイ21のガイド面21aと折りローラ対22とは、シートSを挟んで対向する位置となるように配置されている。
【0045】
折り処理の実行が開始されるとカムモータ66が駆動して、
図8(b)に示すように、ブレードキャリア24が折りローラ対22の方向に移動し、折りブレード23がシートSの1回目の折り位置に当接してニップ部22cへと突き出す(S3)。これと同時に折りローラモータ67及び排出ローラモータ68が駆動して折りローラ対22及び排出ローラ17bが正転方向(第1の方向:ここでは折りローラ22aが
図8(b)の時計回り、折りローラ22bが反時計回りする方向を正転方向とする)に正転駆動する(S4)。このときの折りローラ22a,22bの回転速度(周速度)はV1(第1回転速度)である。この回転速度はシートがニップ部22cを通過することで二つ折り部分に十分は折り目がつけられる速度である。排出ローラ17bの回転速度は前記折りローラ22a,22bと同一周速度で回転するように制御される。
【0046】
なお、本実施形態では折りブレード23の動作開始と折りローラ対22の回転開始を同時に行うとしたが、折りブレード23の動作開始から所定時間経過、もしくは所定パルスカウント後に折りローラ対22の回転を開始してもよい。
【0047】
前記各モータにパルスモータを用いる場合、モータを駆動させると、その駆動パルス数がカウンタによりカウントされる。また、前記各モータにDCモータを用いる場合、モータの回転軸上に取り付けたコードホイール(スリット板)のスリットをセンサで読み取り、その数がカウンタによりカウントされる。前記カウント値によりシートの搬送量やシート突き出し量等を検知することができる。
【0048】
シートを突き出した折りブレード23は、シートSの1回目の折り部を折りローラ対22のニップ部22cまで突き出す所定量突出すると、カム部材25の回転により進行方向が逆転して戻し方向へ移動してホームポジションへと戻る(S5)。
【0049】
上記折りブレード23の突き出しにより、
図9(a)に示すように、折りローラ対22の第1ローラ面22a2,22b2が圧接したニップ部22cへ突き出されたシートSは折りローラ対22で挟持搬送される間に所定の押圧力で押圧されて折り処理がなされ、そのまま折りローラ対22とともにシート搬送手段を構成する排出ローラ17bによって搬送される。
【0050】
次に2回目の折処理を行うために、
図9(b)に示すように、1回目の折り処理が行われたシート後端E2が所定位置に達した時点でシート搬送を停止する(S6、S7)。前記所定位置は、シートSの折り目から近い側のシート後端E2が中間トレイ21により形成されるシート搬送路内に搬送された位置である。折りブレード23の上方には、L字形状の押圧ガイド部材30が、回動軸30aを中心に回動可能に配置されている。前記シート後端E2が所定位置に達した時点でシート搬送を停止するのは、シート後端E2が回動軸30aより下方(シート先端E1がある中間トレイ21の方向)となる位置までシートが搬送されていることが好ましい。この状態から、折りローラ対22及び排出ローラ17bを逆転方向(第2の方向:ここでは折りローラ22aが
図9(b)の反時計回り、折りローラ22bが時計回りする方向を逆転方向とする(
図10(b)の矢印参照))に逆転駆動してスイッチバック搬送処理を実行する。前記シート後端E2は、シートを内三つ折り処理するときに、2回目の折り処理によって折られるシートの内側に折り込まれる端部(以下「折込端部」という)となる。
【0051】
そして、スイッチバック搬送処理をするときに、ホームポジションに位置しているL字形状の押圧ガイド部材30を、
図10(a)に示すように、回動軸30aを中心にして回動させる(S8)。前記ガイド部材30の回動により折込端部E2は下方(シート先端E1がある中間トレイ21の方向)へ押し下げられる。この状態で折りローラ対22及び排出ローラ17bを逆転駆動すると、シートSが中間トレイ21へとスイッチバック搬送される。このとき、シートの折込端部E2は前記押圧ガイド部材30のガイド面にガイドされて再び中間トレイ21へ搬送される(
図10(b)参照)。
【0052】
前記折りローラ対22及び排出ローラ17bを所定速度で逆回転させる。このときの折りローラ対22の回転速度は、前述したシートに折り処理をするための正転駆動時の速度V1よりも速い速度V2である。
【0053】
折りローラ対22のニップ部22cを抜けたシートを自由落下により中間トレイ21の前記反転位置まで戻す場合、折り処理されて二つ折り状態となったシートは折り目から近い側のシート端部E2までは釣り針のかえしに似た形状となっているため、搬送負荷となってスムーズな移動がなされないおそれがある。このとき、本実施形態にあってはシートをスイッチバックさせる際の折りローラ対22の回転速度(第2回転速度V2)をシートに折り処理をする際の折りローラ対22の回転速度(第1回転速度V1)よりも速く設定しているために、ニップ部22cを抜けたシートは中間トレイ21へ勢いよく落下するようになり、前述したようにシートに搬送負荷があっても、確実にシート端部E1が規制ストッパ26に当接するまで搬送される。これにより、中間トレイ21を落下するように搬送されるシートSは、
図11(b)に示すように、シート先端E1が規制ストッパ26の当接部26bに付き当てられて停止する。
【0054】
ここで、本実施形態では折りローラ対22及び排出ローラ17bを逆回転させるにあたり、シートの坪量に応じて折りローラ対22及び排出ローラ17bの回転速度を変更するようにしている。具体的には、シートの坪量が所定値以上であるか否かを判別し(S9)、所定値未満であるときは前記第2回転速度V2により回転をさせる(S10)。一方、シートの坪量が所定値以上であるときは前記第2回転速度V2よりも速い第3回転速度V3により回転をさせる(S11)。
【0055】
すなわち、前記第1回転速度V1、第2回転速度V2、第3回転速度は、V1<V2<V3の関係である。
【0056】
二つ折りされたシートを中間トレイ21へ戻すときの搬送負荷は、シートの坪量が大きいほど負荷が大きくなる。例えば普通紙を二つ折りしたシートを中間トレイ21へ落下するように搬送する場合よりも、厚紙を二つ折りしたシートを中間トレイ21へ落下するように搬送する場合のほうが搬送負荷が大きい。これは、二つ折りしたシートが折り目から開こうとする力が大きくなるからである。そのため、本実施形態ではシートの坪量が所定値以上か否かを判別し、所定値以上であるときは折りローラ対22を前記第2回転速度V2よりも速い第3回転速度V3により回転をさせる。これにより、坪量の大きなシートはより大きな搬送力で搬送されて中間トレイ21へと落下するため、搬送負荷が大きくなってもスムーズに搬送されてシート端部E2が規制ストッパ26へと当接する。
【0057】
なお、シートの坪量は、シートの種類(普通紙、厚紙等)を操作パネル等の入力部から入力する等して得られるシート種類判別手段からの信号により判別することが可能である。
【0058】
上記のように、二つ折りされたシートSを中間トレイ21へ戻すときに、シートの種類に応じて折りローラ対22及び排出ローラ17bの回転速度を変更することで、より確実にシートを規制ストッパ26に突き当てるように戻すことができる。
【0059】
なお、本実施形態では折りローラ対22及び排出ローラ17bをともに速度制御したが、排出ローラ17bを設けることなく折りローラ対22で折り処理をしたシートを直接積載トレイ17cに排出する構成にあっては当然のことながら折りローラ対22のみの回転制御となる。
【0060】
上記のようにしてシート端部E1が規制ストッパ26に当接するまでシートを戻した後、
図11(b)に示すように、押圧ガイド部材30を退避位置(ホームポジション)へ戻し(S12)、規制ストッパ26を「第2の折り処理位置」へ移動させる(S13)。この第2の折り処理位置は、規制ストッパ26の移動により搬送されたシートの2回目の折り位置が折りブレード23と対向する位置である(
図12(a)参照)。
【0061】
規制ストッパ26が第2の折り処理位置へ移動した後、カムモータ66を駆動して再度折りブレード23を動作させ、
図12(b)に示すように、シートSを折りローラ対22のニップ部へ突き出す(S14)。
【0062】
上記カムモータ66の駆動と同期して折りローラモータ67、排出ローラモータ68を正転駆動する(S15)。このときの折りローラ22a,22b及び排出ローラ17bの回転速度はV1(第1回転速度)である。これにより、折りブレード23の突き出しによって折りローラ対22へ送られたシートSは、
図13(a)(b)に示すように、シートの折込端部E2が2回目の折り処理によって折られるシートの内側に折り込まれた状態で折り処理が施される。
【0063】
そして、上記のようにして内三つ折りされたシートSを積載トレイ17cへと排出して折り処理を終了する(S16、S17)。
【0064】
上記のように、本実施形態にあっては折り処理がされたシートSを中間トレイ21に戻すときに、折りローラ対22の回転速度を速くすることにより、二つ折りされたシートに折り位置で開く力が作用してもシートを規制ストッパ26へと確実に送り込むことが可能となる。
【0065】
〔第2実施形態〕
前述した実施形態では、折りローラ対22の回転速度を変更するシートの種類として、普通紙や厚紙等の相違により、すなわちシートの坪量に応じて変更する例を示したが、シートの種類としては坪量以外であってもよい。
【0066】
例えば、シートのサイズ、特にシートSが中間トレイ21へ搬送される搬送方向のシート長さに応じて折りローラ対22の回転速度を変更するようにしてもよい。具体的には、前記シート長さが長いシートは短いシートよりも二つ折りしたときの中間トレイ21での搬送負荷が大きくなる。そこで、
図7のフローチャートにおけるステップS9で前記シート長さが所定長以上か否かを判別し、シート長さが所定長以上のときはステップS11へ進み、所定長未満であるときはステップS10へ進む。すなわち、シート長さが所定長以上のときは、所定長未満のときよりも折りローラ対22の回転速度を速くすることで、シートの搬送負荷が大きくなる場合でも確実に搬送することができる。
【0067】
また、シートの種類以外にも、一度に折り処理するシートの枚数に応じて折りローラ対22の回転速度を変更するようにしてもよい。前述した実施形態では1枚のシートを中間トレイ21へ搬送して折り処理をする例を示したが、前述したシート処理装置は中間トレイ21へ複数枚のシートを搬送し、これを一度に折り処理することも可能である。しかし、シートの枚数が多くなると折り処理したシートを中間トレイ21へ戻すときの搬送負荷が大きくなる。そこで、複数枚のシートに対して折り処理をする場合は、
図7のフローチャートにおけるステップS9でシート枚数が所定枚数以上か否かを判別し、シート枚数が所定枚数以上のときはステップS11へ進み、所定枚数未満であるときはステップS10へ進む。これにより、シートが所定枚数以上のときは、所定枚数未満のときよりも折りローラ対22の回転速度を速くすることで、シートの搬送負荷が大きくなる場合でも確実に搬送することが可能となる。
【0068】
〔第3実施形態〕
前述した実施形態では二つ折りしたシートを中間トレイ21へ戻す際に、折りローラ対22のニップ部22cを抜けた後は自由落下によってシートを移動させる例を示したが、シートをグリップして移動するグリップ手段を設けるようにすることも可能である。
【0069】
図14を参照して中間トレイ21に沿って上下に移動可能な規制ストッパ26にグリップ手段50を設けた例を説明する。
図14に示すグリップ手段50は、中間トレイ21に搬送されたシートをグリップし、規制ストッパ26の移動に伴うシートの移動を確実にするものである。なお、
図14(a)はグリップ手段50がシートのグリップを解除した状態の断面図であり、(b)はその斜視図である。
【0070】
図14(a)に示すように、グリップ手段50は規制ストッパ26の基部26aに対して支持部50aが取り付けられ、この支持部50aに起立部50bが一体的に形成されている。前記支持部50aは中間トレイ21へ搬送されるシートの搬送方向と直交するシートの厚みに沿った方向(
図14(a)の矢印方向)にスライド可能に取り付けられている。そして、前記起立部50bの内面側に把持部50cが形成され、中間トレイ21へのシート搬送路を挟んで前記把持部50cと対向する位置には、対向部50dが基部26aと一体的に設けられている。
【0071】
前記基部26aと前記支持部50aとの間にはバネ等の弾性部材(不図示)が取り付けられており、起立部50bが常に対向部50d側に付勢されている。これにより、通常は把持部50cが対向部50dに押圧された状態となり、中間トレイ21へ搬送されたシートをグリップし得る状態、いわゆるグリップ状態となっている。
【0072】
また、
図14(a)に示すように、基部26aには前記支持部50aと係合したグリップカム50eが設けられており、このグリップカム50eが回動することにより、支持部50aがスライドして対向部50dに対して把持部50cが当接、離間する。これによってシートをグリップ状態とグリップ解除状態とに制御することが可能となっている。
【0073】
折り処理に際しては、折りローラ対22を回転させて1回目の折り動作をしているときに、規制ストッパ26を「シート受け位置」へ移動待機させておく。前記「シート受け位置」は、1回目の折り処理が施された折り処理済シートが折りローラ対22の逆転により中間トレイ21へスイッチバックされるときに、折りローラ対22のニップ部22cを抜けたシートを規制ストッパ26が受ける位置であって、シートが前記ニップ部22cを抜けたときに折り位置から遠い側のシート端部E1の近傍位置である。
【0074】
そして、折り処理が施されたシートがスイッチバック搬送されてシート端部E1が規制ストッパ26に当接したシートをグリップ手段50によってグリップし、その状態で規制ストッパ26を下降させる。これにより、二つ折りされて搬送負荷が大きくなったシートであっても確実に搬送することができる。
【0075】
上記グリップ手段50を設けた構成において、折り処理されたシートが折りローラ対22の逆転によってスイッチバックされるときに、シートが折りローラ対22のニップ部を抜けてから前記グリップ手段50によってグリップされるまでの間、前述したようにシートの種類等に応じて折りローラ対22の回転速度を変更することにより、シート端部が規制ストッパ26へ当接するまで確実に搬送することができる。
【0076】
特にシート束に対し折り処理する場合、グリップ手段50によってグリップされるまでの間、シートを速く移動させることで、その効果が高まる。1回目の折り処理が行われたシート束を折りローラ対22及び排出ローラ17bを逆転させて中間トレイ21へ戻す時、シート束の折りこまれた内側のシートを外側のシートとでは、折りローラ対22のニップ部22cを抜けるタイミングが異なる。シート束の折りこまれた内側のシートが外側のシートに対し早いタイミングでニップ部22cからリリースされる。このリリースタイミングのズレにより、シート束がばらけた状態で規制ストッパ26に送り出される。しかし、グリップ手段50によってシートがグリップされるまでの間、シート束を速く移動させることにより、シート束がばらける前に規制ストッパ26に送られるようになる。これによりシート端部E1の規制ストッパ26への突き当て補正(レジストレーション)が的確に行われる。
【符号の説明】
【0077】
A …画像形成装置
S …シート
E1 …シート先端
E2 …シート後端
17b …排出ローラ
21 …中間トレイ
21a …ガイド面
22 …折りローラ対
22a,22b …折りローラ
22c …ニップ部
23 …折りブレード
26 …規制ストッパ
30 …押圧ガイド部材
50 …グリップ手段
60 …制御部
67 …折りローラモータ
68 …排出ローラモータ
100 …画像形成システム