(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022010083
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】開閉弁
(51)【国際特許分類】
F16K 27/02 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
F16K27/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180914
(22)【出願日】2021-11-05
(62)【分割の表示】P 2019161028の分割
【原出願日】2019-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】特許業務法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津久井 良輔
(72)【発明者】
【氏名】森田 紀幸
【テーマコード(参考)】
3H051
【Fターム(参考)】
3H051AA01
3H051BB02
3H051CC11
3H051EE06
(57)【要約】
【課題】本発明は、弁漏れを効果的に抑制できる開閉弁を提供する。
【解決手段】開閉弁1は、弁本体10と、弁本体10の一方の端部に固着されたシート部材20と、弁本体10の他方の端部側に配置されたキャップ30と、キャップ30の一方の端部から突出するように配置された吸引子40と、を有する。弁本体10の他方の端部には、吸引子40が内側に挿入され、吸引子40の外周面が接することにより弁本体10に対するキャップ30の傾きを規制するガイド部13が設けられている。弁本体10が、キャップ30に溶接により固着されている。吸引子40の外径が、ガイド部13の内径と同一である。そして、吸引子40の外周面が全周にわたってガイド部13の内周面に接している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の弁本体と、前記弁本体の一方の端部に固着されたシート部材と、前記弁本体の他方の端部側に配置されたキャップと、前記シート部材の弁座に対して進退可能に配置された弁体と、を有する開閉弁の組立方法であって、
前記キャップの一方の端部から突出するように連結部が配置され、
前記弁本体の他方の端部には、前記連結部の外周面が接することにより前記弁本体に対する前記キャップの傾きを規制するガイド部が設けられており、
前記弁本体に前記シート部材を固着したあと、前記ガイド部から前記弁本体内に調整治具を挿入して前記弁座を調整し、
前記連結部を前記ガイド部に摺動させながら挿入して、前記弁本体と、前記キャップまたは前記連結部とを溶接により固着することを特徴とする開閉弁の組立方法。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記弁本体に対して前記調整治具の位置決めをしかつ前記弁本体への前記調整治具の挿入を案内するように設けられており、
前記弁本体に前記シート部材を固着したあと、前記ガイド部に前記調整治具を挿入して前記弁本体に対して前記調整治具の位置決めをするとともに前記ガイド部によって前記調整治具の挿入を案内して、前記調整治具を押し当てることにより前記弁座を調整する、請求項1に記載の開閉弁の組立方法。
【請求項3】
前記弁本体に前記シート部材をろう付けにより固着し、それと同時に、前記弁本体に第1導管をろう付けにより固着するとともに前記シート部材に第2導管をろう付けにより固着する、請求項1または請求項2に記載の開閉弁の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉弁およびその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の開閉弁の一例としての電磁弁が特許文献1に開示されている。特許文献1の電磁弁は、上端部が閉塞された筒状の弁本体を有している。弁本体の外周には電磁コイルが配置されている。弁本体の内部には、吸引子と、プランジャと、プランジャに連結された棒状の弁体と、吸引子とプランジャとの間に配置された開弁ばねとが設けられている。また、電磁弁は、弁座が設けられたシート部材を有している。シート部材は、弁本体の下端部に溶接により固着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した電磁弁の組立では、弁本体に第1導管(入口側銅パイプ)をろう付けにより固着し、シート部材に第2導管(出口側銅パイプ)をろう付けにより固着する。それから、弁本体の内部に吸引子、プランジャ、弁体および開弁ばねを配置したあと、弁本体にシート部材を溶接により固着する。そのため、溶接時にシート部材が弁本体に対して位置ずれして固着されると、弁座も位置ずれしてしまい、弁漏れが生じてしまうことがあった。そして、シート部材を弁本体に溶接した後は弁座を調整することができなかった。そこで、本発明者らは、弁本体における弁体等が配置される部分をキャップとして分割した構成を創出した。この構成では、筒状の弁本体の一方の端部にシート部材を固着したあと、弁体等を配置したキャップを弁本体の他方の端部に固着する。しかしながら、キャップを弁本体に固着するときに弁本体に対してキャップが傾いてしまい、弁体が傾いて弁座に接してしまうおそれがあった。また、上述した電磁弁は、弁本体とシート部材とに別々に銅パイプをろう付けするため、2回のろう付け工程が必要であった。
【0005】
そこで、本発明は、弁漏れを効果的に抑制できる開閉弁およびその組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る開閉弁の組立方法は、筒状の弁本体と、前記弁本体の一方の端部に固着されたシート部材と、前記弁本体の他方の端部側に配置されたキャップと、前記シート部材の弁座に対して進退可能に配置された弁体と、を有する開閉弁の組立方法であって、前記キャップの一方の端部から突出するように連結部が配置され、前記弁本体の他方の端部には、前記連結部の外周面が接することにより前記弁本体に対する前記キャップの傾きを規制するガイド部が設けられており、前記連結部を前記ガイド部に摺動させながら挿入することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、キャップの一方の端部から突出するように連結部が配置され、弁本体の他方の端部には、連結部の外周面が接することにより弁本体に対するキャップの傾きを規制するガイド部が設けられている。そして、連結部をガイド部に摺動させながら挿入する。このようにしたことから、弁本体に対してキャップが傾いてしまうことを抑制することができる。これにより、キャップにおいて弁座に対して進退可能に弁体を支持する構成の場合に、弁体を弁座に適切に着座させることができる。そのため、弁漏れを効果的に抑制できる。
【0008】
本発明において、前記弁本体に前記シート部材を固着したあと、前記ガイド部から前記弁本体内に調整治具を挿入して前記弁座を調整し、前記連結部を前記ガイド部に挿入して、前記弁本体と、前記キャップまたは前記連結部とを溶接により固着する。このようにすることで、弁本体の一方の端部にシート部材を固着したあとに、弁本体のガイド部から調整治具を挿入して弁座を調整するので、弁体を弁座に適切に着座させることができる。そのため、弁漏れをより効果的に抑制できる。
【0009】
本発明において、前記ガイド部は、前記弁本体に対して前記調整治具の位置決めをしかつ前記弁本体への前記調整治具の挿入を案内するように設けられており、前記弁本体に前記シート部材を固着したあと、前記ガイド部に前記調整治具を挿入して前記弁本体に対して前記調整治具の位置決めをするとともに前記ガイド部によって前記調整治具の挿入を案内して、前記調整治具を押し当てることにより前記弁座を調整することが好ましい。このようにすることで、調整治具を適切に弁本体に挿入することができ、弁体を弁座により適切に着座させることができる。そのため、弁漏れをより効果的に抑制できる。
【0010】
本発明において、前記弁本体に前記シート部材をろう付けにより固着し、それと同時に、前記弁本体に第1導管をろう付けにより固着するとともに前記シート部材に第2導管をろう付けにより固着することが好ましい。このようにすることで、弁本体、シート部材、第1導管および第2導管を1回のろう付け工程により固着することができる。そのため、ろう付け工程の回数を削減することができる。また、ろう付け時の高温の影響で弁座に位置ずれや変形が生じても、そのあとに弁座を調整するので、弁体を弁座に適切に着座させることができる。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の他の一態様に係る開閉弁は、筒状の弁本体と、前記弁本体の一方の端部に固着されたシート部材と、前記弁本体の他方の端部側に配置されたキャップと、前記シート部材の弁座に対して進退可能に配置された弁体と、を有する開閉弁であって、前記キャップの一方の端部から突出するように配置された連結部である吸引子を有し、前記弁本体の他方の端部には、前記吸引子が内側に挿入され、当該吸引子の外周面が接することにより前記弁本体に対する前記キャップの傾きを規制するガイド部が設けられ、前記弁本体が、前記キャップに溶接により固着されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、弁本体の他方の端部には、キャップに配置された連結部である吸引子が内側に挿入され、当該吸引子の外周面が接することにより弁本体に対するキャップの傾きを規制するガイド部が設けられている。このようにしたことから、弁本体に対してキャップが傾いてしまうことを抑制することができる。そのため、キャップにおいて弁体を進退可能に支持する構成の場合に、弁体を弁座に適切に着座させることができ、弁漏れを効果的に抑制できる。
【0013】
本発明において、前記吸引子の外径が、前記ガイド部の内径と同一であり、前記吸引子の外周面が全周にわたって前記ガイド部の内周面に接している。このようにすることで、吸引子とガイド部とが同軸に配置され、弁本体に対してキャップが傾いてしまうことをより効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、弁漏れを効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施例に係る開閉弁の縦断面図である。
【
図2】
図1の開閉弁の組立方法を説明する図である(ろう付け工程)。
【
図3】
図1の開閉弁の組立方法を説明する図である(弁座調整工程)。
【
図4】
図1の開閉弁の組立方法を説明する図である(連結工程)。
【
図5】
図1の開閉弁の組立方法を説明する図である(溶接工程)。
【
図6】本発明の第2実施例に係る開閉弁の縦断面図である。
【
図7】本発明の第3実施例に係る開閉弁の縦断面図である。
【
図8】本発明の第4実施例に係る開閉弁の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例に係る開閉弁について、
図1~
図5を参照して説明する。なお、本明細書において、開閉弁とは、閉弁状態において少量の冷媒が流動する弁装置を含む。
【0017】
図1は、本発明の第1実施例に係る開閉弁の縦断面図である。
【0018】
第1実施例の開閉弁1は、例えば、空気調和機の除湿運転時の冷媒を絞る除湿弁(ドライ弁)として使用される。開閉弁1は、磁気力により弁体を駆動する電磁弁である。開閉弁1は、これ以外にも、モーターの回転力により弁体を駆動する電動弁などであってもよい。
【0019】
図1に示すように、開閉弁1は、弁本体10と、シート部材20と、キャップ30と、連結部としての吸引子40と、プランジャ50と、弁体60と、電磁コイル70と、を有している。
【0020】
弁本体10は、本体部11と、シート部材取付部12と、ガイド部13とを一体に有している。本体部11は、円筒状に形成されている。シート部材取付部12は、本体部11より大径の円筒状に形成され、本体部11の下端部に連設されている。ガイド部13は、本体部11より小径の円筒状に形成され、本体部11の上端部に連接されている。弁本体10の両端部は開口している。弁本体10の内側には弁室14が設けられる。
【0021】
シート部材20は、シート本体21と、フランジ22と、を一体に有している。シート本体21は、円筒状に形成されている。フランジ22は、円環状に形成され、シート本体21の下端部に連設されている。シート本体21の内側には、弁室14に開口する弁ポート23が設けられている。シート本体21の上端部の内縁には、弁ポート23を囲む弁座24が設けられている。弁座24は、上方から下方に向かうにしたがって徐々に径が小さくなる環状テーパ面である。弁座24には、複数のブリード溝25が設けられている。シート部材20は、弁本体10のシート部材取付部12(弁本体10の一方の端部)にはめ込まれており、フランジ22がシート部材取付部12にろう付けにより固着されている。
【0022】
弁本体10の本体部11には、側方に延びる第1導管16がろう付けにより固着されている。シート部材20の下部には、下方に延びる第2導管17がろう付けにより固着されている。第1導管16は弁室14に接続されている。第2導管17は弁ポート23に接続されている。
【0023】
キャップ30は、上端部が閉塞された円筒状に形成されている。キャップ30は、円筒部31と、円筒部31の上端部に連設された円板状の天井部32とを有している。キャップ30は、弁本体10のガイド部13と同一の内径および同一の外径を有している。キャップ30は、弁本体10のガイド部13(弁本体10の他方の端部)側に当該弁本体10と同軸となるように配置されている。円筒部31の下端部31aは、弁本体10のガイド部13に溶接により固着されている。
【0024】
吸引子40は、電磁コイル70により磁化される固定鉄心である。吸引子40は、円筒状に形成されている。吸引子40は、キャップ30の円筒部31に固定されている。吸引子40は、その下端部40aが円筒部31から下方に突出するように配置されている。吸引子40の下端部40aはガイド部13に挿入されている。吸引子40の下端部40aがガイド部13に挿入されることにより、吸引子40は、キャップ30と弁本体10とを連結する連結部として機能する。
【0025】
吸引子40の外径は、弁本体10のガイド部13の内径およびキャップ30の円筒部31の内径と同一である。そのため、吸引子40の外周面が全周にわたってガイド部13の内周面および円筒部31の内周面に接しており、弁本体10とキャップ30と吸引子40とが同軸に配置されている。これにより、吸引子40は、キャップ30が弁本体10に対して傾くことを規制している。なお、吸引子40の外周面は、概ね全周にわたってガイド部13の内周面および円筒部31の内周面に接していればよい。吸引子40の外周面が概ね全周にわたってこれらの内周面に接していれば、吸引子40はキャップ30が傾くことを規制できるからである。
【0026】
プランジャ50は、円筒状に形成されており、キャップ30の内部において吸引子40の上方に配置されている。プランジャ50は、キャップ30に上下方向に移動可能に収容されている。プランジャ50は、吸引子40との間に圧縮コイルばねであるプランジャばね51を挟んでいる。プランジャ50は、吸引子40が磁化されると吸引子40に引き寄せられて下方に移動する。プランジャ50は、吸引子40の磁化が解除されるとプランジャばね51に押されて上方に移動する。キャップ30の天井部32は、プランジャ50の上方移動限界(上端位置)を定めるストッパとなる。
【0027】
弁体60は、棒状の胴部61と、胴部61の下端部に連設された弁体部62と、を有している。胴部61は吸引子40に挿通されている。胴部61の上端部はプランジャ50に固定されている。弁体60はプランジャ50とともに上下方向に移動する。弁体部62は、弁室14内において弁座24と上下方向に対向して配置されている。すなわち、弁体60は、弁座24に対して進退可能に配置されている。弁体部62は、弁座24に接する(着座する)ことで弁ポート23を閉じる(閉弁状態)。弁体部62は、弁座24から離れることで弁ポート23を開く(開弁状態)。
【0028】
弁本体10、シート部材20、キャップ30および弁体60は、ステンレスなどの金属製である。第1導管16および第2導管17は、例えば、銅などの金属製である。また、弁本体10、シート部材20、キャップ30、吸引子40、プランジャ50および弁体60は、それぞれの軸が軸線Lに一致するように(すなわち同軸となるように)配置されている。
【0029】
電磁コイル70は、略円筒状に形成されている。電磁コイル70は、内側にキャップ30がはめられている。電磁コイル70の上部には、半球状凸部を有する板ばね状のストッパ71が設けられている。ストッパ71の半球状凸部をキャップ30に設けられた半球状の凹部にはめ合わせることで、キャップ30に対して電磁コイル70が固定される。
【0030】
電磁コイル70に通電することにより吸引子40とプランジャ50とが磁化される。電磁コイル70に通電しないことにより吸引子40とプランジャ50との磁化が解除される。電磁コイル70は、吸引子40、プランジャ50およびプランジャばね51と協働して駆動部として機能する。
【0031】
次に、上述した開閉弁1の組立方法の一例について、
図2~
図5を参照して説明する。
図2~
図5は、
図1の開閉弁の組立方法を説明する断面図であり、順にろう付け工程、弁座調整工程、連結工程、溶接工程を示す。
【0032】
図2に示すように、弁本体10に第1導管16とシート部材20とを仮留めし、シート部材20に第2導管17を仮留めする。そして、各ろう付け箇所にろう材80を配置したのち、炉に投入する。炉内においてろう材を溶融させたのち、溶融したろう材が固まると各部材が固着される。
【0033】
炉に投入したことによる高熱の影響で弁本体10やシート部材20に歪みが生じて、弁座24の位置ずれや変形が生じることがある。本実施例では、
図3に示すように、弁本体10のガイド部13から調整治具90を挿入して、弁座24の位置や形状を調整する。調整治具90は、ガイド部13の内径と同一の外径を有する円柱状に形成されており、先端部に環状のテーパ面91を有している。これにより、調整治具90をガイド部13に挿入すると、ガイド部13の内周面に調整治具90の外周面が全周にわたって接して弁本体10に対して調整治具90が傾くことが規制され、弁本体10に対して調整治具90が同軸に配置されるように位置決めされる。さらに、ガイド部13によって調整治具90が軸線L方向に沿って移動するように案内される。そして、テーパ面91を弁座24に押し当てることにより、弁座24がガイド部13と軸線L上で同軸となるように位置が調整されるとともに、弁座24が適切な形状となるように調整される。
【0034】
次に、
図4に示すように、キャップ30に、吸引子40、プランジャ50、プランジャばね51および弁体60を収容する。このとき吸引子40の下端部40aがキャップ30の下端部31aから下方に突出するように配置する。キャップ30の円筒部31にポンチを打って、吸引子40を円筒部31に固定する。そして、吸引子40の下端部40aの外周面をガイド部13の内周面に摺動させながら当該下端部40aをガイド部13に挿入して、キャップ30の円筒部31とガイド部13とを当接させる。
【0035】
そして、
図5に示すようにキャップ30の円筒部31の下端部31aとガイド部13とを溶接器具95を用いて溶接して固着する。電磁コイル70の内側にキャップ30を挿通して、ストッパ71により電磁コイル70を固定する。このようにして開閉弁1が完成する。
【0036】
以上より、本実施例の開閉弁1の組立方法によれば、弁本体10のガイド部13に調整治具90を挿入して、弁本体10に固着されたシート部材20の弁座24を調整する。そのあと、キャップ30に固定された吸引子40を弁本体10のガイド部13に挿入して、弁本体10とキャップ30とを溶接により固着する。このようにしたことから、弁本体10のシート部材取付部12にシート部材20を固着したあとに、弁本体10のガイド部13の開口から調整治具90を挿入して弁座を調整するので、弁体60を弁座24に適切に着座させることができる。そのため、弁漏れを効果的に抑制できる。
【0037】
また、弁本体10には、キャップ30に固定された吸引子40の外周面が接することにより弁本体10に対するキャップ30の傾きを規制するガイド部13が設けられている。そして、吸引子40をガイド部13に摺動させながら挿入する。このようにすることで、弁本体10に対してキャップ30が傾いてしまうことを抑制することができる。これにより、キャップ30において弁座24に対して進退可能に弁体60を支持する構成の場合に、弁体60を弁座24に適切に着座させることができる。そのため、弁漏れをより効果的に抑制できる。
【0038】
また、弁本体10にシート部材20をろう付けにより固着する。それと同時に、弁本体10に第1導管16をろう付けにより固着するとともにシート部材20に第2導管17をろう付けにより固着することが好ましい。このようにすることで、弁本体10、シート部材20、第1導管16および第2導管17を1回のろう付け工程により固着することができる。そのため、ろう付け工程の回数を削減することができる。また、ろう付け時の高温の影響で弁座24に位置ずれや変形が生じても、そのあとに弁座24を調整するので、弁体60を弁座24に適切に着座させることができる。
【0039】
(第2実施例~第4実施例)
以下、本発明の第2実施例~第4実施例に係る開閉弁について、
図6~
図8を参照して説明する。以下の説明する各実施例において、上述した第1実施例と同一の構成については同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0040】
図6~
図8は、順に本発明の第2実施例~第4実施例に係る開閉弁の縦断面図である。
図6~
図8において、電磁コイル70の記載を省略している。
【0041】
図6に示す第2実施例の開閉弁2は、第1実施例の開閉弁1が有する弁本体10およびシート部材20と構成の異なる弁本体10Aおよびシート部材20Aを有している。
【0042】
弁本体10Aは、本体部11およびガイド部13のみを有しており、シート部材取付部12は省略している。また、シート部材20Aは、シート本体21と、シート本体21より大径の円筒状に形成され、シート本体21の下端部に連接された大径部26とを一体に有している。大径部26の外径は、本体部11の内径と同一である。シート部材20Aは、弁本体10Aの本体部11の下端部から挿入されると、大径部26の外周面が本体部11の内周面に当接して、弁本体10Aとシート部材20Aとが同軸に配置される。そのため、弁座24の位置ずれを抑制して、弁体60を弁座24に適切に着座させることができる。
【0043】
図7に示す第3実施例の開閉弁3は、第1実施例の開閉弁1が有する吸引子40と構成の異なる吸引子40Aを有している。
【0044】
吸引子40Aの下端部40aの外径は、ガイド部13の内径と同一である。吸引子40Aの上端部40bの外径は、キャップ30の円筒部31の内径と同一である。吸引子40Aの中央部40cの外径は、ガイド部13およびキャップ30の外径と同一である。吸引子40Aの下端部40aはガイド部13に挿入され、上端部40bはキャップ30に挿入されている。キャップ30およびガイド部13は連結部としての吸引子40Aに溶接により固着されている。吸引子40Aの上端部40bがキャップ30に挿入されることで、上端部40bは、キャップ30に対するガイド部として機能する。これにより、キャップ30が弁本体10に対して傾いてしまうことをより抑制することができる。
【0045】
図8に示す第4実施例の開閉弁4は、第1実施例の開閉弁1が有するガイド部13より軸線L方向に長いガイド部13Aを有し、キャップ30より軸線L方向に短いキャップ30Aを有している。
【0046】
ガイド部13Aには、吸引子40、プランジャ50、プランジャばね51および弁体60が収容されている。ガイド部13Aにポンチを打つことにより、吸引子40がガイド部13Aに固定されている。キャップ30Aは、円筒部31の下端部から下方に延びる円筒状の連結部33を有している。連結部33はガイド部13Aに挿入されている。キャップ30Aは、ガイド部13Aに溶接により固着されている。これにより、キャップ30Aが、弁本体10に対して傾いてしまうことをより抑制することができる。
【0047】
第2実施例~第4実施例の開閉弁2~開閉弁4は、上述した第1実施例の開閉弁1と同様の作用効果を奏する。
【0048】
上記に本発明の実施例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。前述の実施例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施例の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の趣旨に反しない限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1、2、3、4…開閉弁、10、10A…弁本体、11…本体部、12…シート部材取付部、13、13A…ガイド部、14…弁室、16…第1導管、17…第2導管、20、20A…シート部材、21…シート本体、22…フランジ、23…弁ポート、24…弁座、25…ブリード溝、30、30A…キャップ、31…円筒部、31a…下端部、32…天井部、33…連結部、40、40A…吸引子、40a…下端部、50…プランジャ、51…プランジャばね、60…弁体、61…胴部、62…弁体部、70…電磁コイル、71…ストッパ、80…ろう材、90…調整治具、91…テーパ面、95…溶接器具
【手続補正書】
【提出日】2021-11-05
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の弁本体と、前記弁本体の一方の端部に固着されたシート部材と、前記弁本体の他方の端部側に配置されたキャップと、前記シート部材の弁座に対して進退可能に配置された弁体と、を有する開閉弁であって、
前記キャップの一方の端部から突出するように配置された吸引子を有し、
前記弁本体の他方の端部には、前記吸引子が内側に挿入され、当該吸引子の外周面が接することにより前記弁本体に対する前記キャップの傾きを規制するガイド部が設けられ、
前記弁本体が、前記キャップに溶接により固着されており、
前記吸引子の外径が、前記ガイド部の内径と同一であり、
前記吸引子の外周面が全周にわたって前記ガイド部の内周面に接していることを特徴とする開閉弁。