(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100831
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
G06K 1/12 20060101AFI20220629BHJP
G06K 19/06 20060101ALI20220629BHJP
H04N 1/401 20060101ALI20220629BHJP
H04N 1/403 20060101ALI20220629BHJP
H04N 1/32 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
G06K1/12 A
G06K19/06 037
H04N1/401
H04N1/403
H04N1/32 144
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215048
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】川島 正裕
【テーマコード(参考)】
5C075
5C077
【Fターム(参考)】
5C075CD06
5C075CD27
5C077LL01
5C077MP04
5C077NN05
5C077PQ08
5C077TT02
(57)【要約】
【課題】適切に復号可能な符号化画像を生成する。
【解決手段】画像データをドットありなしを示す矩形のコードへ符号化し、矩形のコードを用紙の主走査方向と副走査方向にそれぞれ複数配置した原稿を作成し、原稿の主走査方向の全幅を読み取り装置で副走査方向に沿って読み取ることで、画像データを復号化するシステムにおいて、原稿の主走査方向の端部側の矩形のコードは、原稿の主走査方向の中央部の矩形のコードよりも、主走査方向と副走査方向共に大きいコードを生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データをドットありなしを示す矩形のコードへ符号化し、前記矩形のコードを用紙の主走査方向と副走査方向にそれぞれ複数配置した原稿を作成し、前記原稿の主走査方向の全幅を読み取り装置で副走査方向に沿って読み取ることで、画像データを復号化するシステムにおいて、
前記原稿の主走査方向の端部側の前記矩形のコードは、前記原稿の主走査方向の中央部の前記矩形のコードよりも、主走査方向と副走査方向共に大きいコードを生成すること
を特徴とする画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、符号化画像を生成する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータで生成された画像データを、ネットワークに接続されていない印刷装置を用いて印刷する場合がある。このような場合、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリなどの記憶媒体に画像データを記憶し、記憶媒体を印刷装置に接続した後、記憶媒体に記憶された画像データに基づいて印刷を行う。
【0003】
ここで、セキュリティの観点から記憶媒体でのデータ受け渡しを禁止している場合もある。このような使用環境では、印刷装置で印刷するためのデータを符号化した画像(符号化画像)を用紙に印刷して持ち運ぶ場合がある。
【0004】
例えば、画像を矩形のコードに符号化し、矩形のコードが主走査方向と副走査方向にそれぞれ複数配置され、かつ用紙全面にコードが印刷されており、この用紙の全面を読み取って画像を復号化する紙メモリ―プリント機能もよく知られている。
【0005】
特許文献1には、情報を符号化したバーコードの太バー幅と細バー幅との比率に基づいて、符号化された情報を読み取る技術が一般的に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、原稿の全幅を副走査方向に沿って読み取る読み取り装置では、原稿の中央部に比べて端部の方が読み取り性能が落ちるため、紙メモリープリントの原稿の端部のコードの読み取りでは失敗するおそれがある。
【0008】
ここで、特許文献1のバーコードを紙メモリープリントにおける情報の符号化、読取に適用しようとすると、適切にバーコードを読み取りができない場合がある。具体的には、バーコードは主走査方向に、バー幅の比率を読み取るものであり、コードの読み取り走査方法が異なり、コード読み取りで読取性能が落ちる場所も存在しないため、紙メモリープリントのコード読み取りに特許文献1の技術を適用することは困難であった。
【0009】
このため、紙メモリ―プリントでの読取方式に適したコードの生成が望まれていた。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、適切に復号可能な符号化画像を生成する画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像処理装置の特徴は、
画像データをドットありなしを示す矩形のコードへ符号化し、前記矩形のコードを用紙の主走査方向と副走査方向にそれぞれ複数配置した原稿を作成し、前記原稿の主走査方向の全幅を読み取り装置で副走査方向に沿って読み取ることで、画像データを復号化するシステムにおいて、
前記原稿の主走査方向の端部側の前記矩形のコードは、前記原稿の主走査方向の中央部の前記矩形のコードよりも、主走査方向と副走査方向共に大きいコードを生成すること
にある。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る画像処理装置の特徴によれば、適切に復号可能な符号化画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の本実施形態1に係る画像処理装置を有する印刷システムの概略構成を示す説明図である。
【
図2】本発明の本実施形態1に係る画像処理装置のCPUの作用を説明した説明図である。(a)は、CPUが生成した符号化画像データの一例を示しており、(b)は、符号化画像データの拡大図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一若しくは同等の部位や構成要素には、同一若しくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0015】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0016】
<実施形態1>
以下に添付図面を参照して、本発明に係る画像処置装置を有する印刷システムの実施形態1を詳細に説明する。
図1は、本発明の本実施形態1に係る画像処理装置を有する印刷システムの概略構成を示す説明図である。
【0017】
(印刷システムの全体構成)
図1に示すように、本実施形態の印刷システムは、画像処理装置1と、インクジェット印刷装置5と、孔版印刷装置9とを備えている。ここで画像処理装置1は、以下で説明するスキャナ部が読み取るための画像データを生成する装置である。画像処理装置1と、インクジェット印刷装置5とはデータ生成室801に設置されており、孔版印刷装置9は、データ生成室801とは物理的に離れた印刷室803に設置されている。各部屋内801,803では、各機器が接続されているが、部屋を跨いで接続はされていない。すなわち、画像処理装置1とインクジェット印刷装置5とはプリンタケーブルなどによりデータ転送可能に接続されているが、画像処理装置1と孔版印刷装置9とはプリンタケーブルやネットワークケーブルなどで物理的および電気的に接続されていない。
【0018】
このような構成において、画像処理装置1で作成した原稿画像を用いて孔版印刷装置9で印刷する場合には、室801と室803との間で、原稿画像の内容が漏洩しないように、ユーザは、データ生成室801に設置された画像処理装置1に、原稿画像の全てが符号化された符号化画像データを生成させる。そして、この符号化画像データに基づいて、インクジェット印刷装置5に、符号化された画像を用紙に印刷させる。これにより符号化原稿を得る。ユーザは、符号化原稿を印刷室803に設置された孔版印刷装置9のスキャナ部(読み取り装置)3に読み取らせ、読み取らせた符号化原稿を復号することにより復号された印刷物を得ることができる。
【0019】
孔版印刷装置9は、回転するドラムに製版されたマスタをクランプで挟み込み巻き付けた後、用紙をこのドラムに給紙し、ドラムを回転しながら供給された用紙をプレスロールによりドラムに圧接することにより印刷を行う。
【0020】
本実施形態において、この孔版印刷装置9は、制御ユニット90を有し、制御ユニット90は、符号化画像が印刷された符号化原稿を読み取り、符号化原稿データを出力するスキャナ部3と、スキャナ部3から出力された符号化原稿データが復号された原稿画像に基づいて用紙(片面又は両面)に印刷画像を印刷(記録)するプリンタ部96とを備える。
【0021】
孔版印刷装置9の制御ユニット90は、CPU95を有している。CPU95は、スキャナ部3により読み取られた符号化原稿データを復号して原稿画像を生成し、指定された条件で、原稿画像の用紙への印刷をプリンタ部96において実行する。
【0022】
また、制御ユニット90には、操作画面とこれを覆うタッチパネルとで構成された操作パネル97が接続されている。
【0023】
制御ユニット90にはRAM92が設けられており、RAM92には、スキャナ部3により読み取られた符号化原稿データや、復号された原稿画像が、プリンタ部96に出力されるまでの間、一時的に記憶される。
【0024】
さらに、制御ユニット90には外部記憶装置93が設けられており、この外部記憶装置93はCPU95に接続されている。外部記憶装置93には、上述したRAM92から転送された原稿画像や設定情報を記憶する複数の領域が設けられている。ROM91にはその他のプログラム、データ等が記憶されている。
【0025】
スキャナ部3は、図示しない光源ランプと、画像を結像する集光レンズとミラーなどの光学系と、CCDなどの光電変換部とを有しており、光源ランプ、光学系、光電変換部は、主走査方向に配列されており、これらが副走査方向に移動しながら原稿上の画像を読み取る。より詳細には、光学系は、符号化原稿に、光源から照射した光の反射光をミラーで偏向し、集光レンズで光電変換部上に結像する。光電変換部は、結像画像を電気的な信号として読み取る。なお、ここでは、光源ランプ、光学系、光電変換部が、副走査方向に移動しながら原稿上の画像を読み取るが、これに限らず、符号化原稿が主走査方向に搬送され、搬送される符号化原稿から光源ランプ、光学系、光電変換部が、画像を読み取るようにしてもよい。
【0026】
このように、スキャナ部3は、光源ランプ、光学系、CCDなどの光電変換部は、主走査方向に配列されており、これらが副走査方向(搬送方向)に移動しながら原稿上の画像を読み取るので、光学系のレンズ収差により、主走査方向における端部側において矩形のエッジの検出性能が低下することがある。
【0027】
また、光源ランプ、光学系、CCDなどの光電変換部の移動速度にバラツキが生じた場合、検出性能が低下する場合がある。移動速度が速くなった場合、副走査方向のドットが密集してしまうが、特に、主走査方向における端部では、光学系のレンズ収差によりドットの検出が困難になる。
【0028】
そこで、画像処理装置1は、読み取るスキャナ部3が主走査方向における端部の画像も含めて適切に読み取ることができる、すなわち適切に復号可能な符号化画像データを生成する。
【0029】
画像処理装置1は、PC(パーソナルコンピュータ)等の汎用コンピュータによって構成されている。この画像処理装置1は、制御プログラムに基づいて各種の処理を実行するCPU16を備えている。また、CPU16には、ワーキングエリアとして機能するRAM18や、データを格納するROM17等が接続されているとともに、各種インターフェイスを介して種々のデバイスと接続されている。具体的にはCPU16は、各種インターフェイスを介して、キーボードやマウス等から構成される入力部19や、液晶ディスプレイ等から構成される出力部20、大容量の記憶装置などの外部記憶装置21などと接続されている。
【0030】
外部記憶装置21には、文書、画像等の印刷画像を含む原稿画像を生成するためのアプリケーションプログラム、インクジェット印刷装置5のプリンタドライバプログラムなどが記憶されている。また、この外部記憶装置21には、アプリケーションプログラムを用いて生成された原稿画像や、この原稿画像を符号化して得た符号化画像データや、印刷設定情報を格納するデータベース領域についても確保されている。ここで、印刷設定情報とは、印刷モードや、符号化画像のサイズ、解像度、印刷用紙の厚み、印刷用紙のサイズ、及び印刷方向など、通常印刷に必要な情報を含む。
【0031】
CPU16は、プロセッサやメモリその他の周辺装置によって構成される演算装置である。
【0032】
CPU16は、入力部19から原稿画像の符号化印刷要求が入力された場合に、原稿アプリケーション等が生成した原稿画像を取得し、原稿画像を二次元コードや三次元コードなどの矩形のコードに符号化する。ここで、符号化印刷要求とは、原稿画像を符号化して符号化画像データを生成し、インクジェット印刷装置5に、この符号化画像データに基づいて、符号化画像を用紙に印刷させる要求のことである。ユーザは、機密性の高い原稿画像を、第三者が見ても内容を判別できない状態で、かつ、第三者に印刷させないようにセキュリティの高い印刷を行いたい場合、この符号化印刷を選択する。
【0033】
図2は、本発明の本実施形態1に係る画像処理装置1のCPU16の作用を説明した説明図である。(a)は、CPU16が生成した符号化画像データの一例を示しており、(b)は、符号化画像データの拡大図を示している。
【0034】
図2(a)に示すように、符号化画像データ100は矩形のコードで印刷されている。
【0035】
符号化画像データ100は、原稿の主走査方向に端部側領域101,103と、中央部領域102との3つの領域に分割されている。
【0036】
端部側領域101,103と、中央部領域102とを同一の大きさで矩形のコードを印刷すると、スキャナ部3が読み込む際、端部側領域101,103を正確に読み込めなくなる場合がある。
【0037】
そこで、CPU16は、原稿の主走査方向の端部側領域101,103の矩形のコードは、原稿の主走査方向の中央部領域102の矩形のコードよりも、主走査方向と副走査方向共に大きいコードを生成する。これにより、符号化画像データ100が生成される。
【0038】
具体的には、
図2(b)に示すように、中央部領域102では、主走査方向と副走査方向共に4×4のドットで矩形が形成されており、端部側領域101では、主走査方向と副走査方向共に4×4より大きい6×6のドットで矩形が形成されている。
【0039】
例えば、中央部領域102には、4×4のドット102a,102b,102cが、副走査方向に配列されている。また、端部側領域101には、6×6のドット101a,101bが、副走査方向に配列されている。図示しないが、端部側領域103も、端部側領域101と同様に、6×6のドットが、副走査方向に配列されている。
【0040】
ここで、スキャナ部3により読み込まれる際、移動方向は副走査方向になる。そのため、領域をまたがって読み込むことがないので、矩形のサイズに関わらず読み込むことができる。
【0041】
このように、本発明の本実施形態1に係る画像処理装置1によれば、原稿の主走査方向の端部側の矩形のコードは、原稿の主走査方向の中央部の矩形のコードよりも、主走査方向と副走査方向共に大きいコードを生成する。
【0042】
これにより、スキャナ部3の主走査方向の端部が読み取る領域は大きな矩形のコード、中央部が読み取る領域は小さな矩形のコードとなるように紙メモリ―プリントの原稿を生成することで、エッジ検出性能が落ちるスキャナ部3の主走査方向における端部側でもコードを適切に読み取ることができるようになる。
【0043】
なお、画像処理装置1に接続された印刷装置は、インクジェット方式のインクジェット印刷装置5とし、スキャナ部3を備えた印刷装置は、孔版印刷装置9としたが、これに限らない。画像処理装置1に接続された印刷装置を孔版印刷装置9とし、スキャナ部3を備えた印刷装置を、インクジェット印刷装置5としてもよい。
【0044】
(付記)
本出願は、以下の発明を開示する。
【0045】
(付記1)
画像データをドットありなしを示す矩形のコードへ符号化し、前記矩形のコードを用紙の主走査方向と副走査方向にそれぞれ複数配置した原稿を作成し、前記原稿の主走査方向の全幅を読み取り装置で副走査方向に沿って読み取ることで、画像データを復号化するシステムにおいて、
前記原稿の主走査方向の端部側の前記矩形のコードは、前記原稿の主走査方向の中央部の前記矩形のコードよりも、主走査方向と副走査方向共に大きいコードを生成すること
を特徴とする画像処理装置。
【0046】
これにより、読み取り装置の主走査方向の端部が読み取る領域は大きな矩形のコード、中央部が読み取る領域は小さな矩形のコードとなるように紙メモリ―プリントの原稿を生成することで、適切に復号可能な符号化画像を生成することができる。これにより、エッジ検出性能が落ちる読み取り装置の端部側でもコードを適切に読み取ることができるようになる。
【符号の説明】
【0047】
1 画像処理装置
3 スキャナ部(読み取り装置)
5 インクジェット印刷装置
9 孔版印刷装置
19 入力部
20 出力部
21 外部記憶装置
90 制御ユニット
93 外部記憶装置
96 プリンタ部
97 操作パネル