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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100836
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】検出装置及び表示ユニット
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220629BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20220629BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
G06F3/041 580
G06F3/041 512
G06F3/044 127
G09F9/00 366A
G09F9/00 313
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215059
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】518078142
【氏名又は名称】上海天馬微電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100183955
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 悟郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100180334
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 洋美
(74)【代理人】
【識別番号】100177149
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 浩義
(74)【代理人】
【識別番号】100174067
【弁理士】
【氏名又は名称】湯浅 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 成美
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 幸浩
【テーマコード(参考)】
5G435
【Fターム(参考)】
5G435AA18
5G435BB05
5G435BB12
5G435EE49
5G435GG43
(57)【要約】
【課題】額縁が狭く、非接触状態の対象物を検出する感度が高い検出装置及び表示ユニットを提供する。
【解決手段】検出装置は、第1方向に延びる複数の第1電極24と、第1方向に交差する第2方向に延びる複数の第2電極28と、制御部とを備える。制御部は、所定の第1検出領域S1の内の最も外側に位置する、2つの第1電極24と2つの第2電極28とを第1検出電極34として選択し、第1検出電極34に選択されていない第1電極24と第2電極28のうちの少なくとも1つを第1駆動電極32として選択し、第1駆動電極32に電圧を印加することにより第1検出電極34から取得される静電容量を表す信号から、非接触状態の対象物を検出する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる複数の第1電極と、
前記第1方向に交差する第2方向に延びる複数の第2電極と、
所定の検出領域の内の最も外側に位置する、2つの前記第1電極と2つの前記第2電極とを第1検出電極として選択し、前記第1検出電極に選択されていない前記第1電極と前記第2電極のうちの少なくとも1つを第1駆動電極として選択し、前記第1駆動電極に電圧を印加することにより前記第1検出電極から取得される静電容量を表す信号から、非接触状態の対象物を検出する制御部と、を備える、
検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1検出電極を選択し、前記第1検出電極を選択された残りの前記第1電極と前記第2電極のうちから前記第1駆動電極を選択する、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記所定の検出領域の内の最も外側に位置する2つの前記第1電極を前記第1検出電極として選択し、前記所定の検出領域の内において前記第1検出電極として選択された前記第1電極に交差する、前記第2電極のうちから前記第1駆動電極を選択して、前記信号を取得し、
前記所定の検出領域の内の最も外側に位置する2つの前記第2電極を前記第1検出電極として選択し、前記所定の検出領域の内において前記第1検出電極として選択された前記第2電極に交差する、前記第1電極のうちから前記第1駆動電極を選択して、前記信号を取得する、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1検出電極のうちの少なくとも3つから取得される前記信号から、前記非接触状態の対象物を検出する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記所定の検出領域を順次に変更し、変更されたそれぞれの前記所定の検出領域において前記非接触状態の対象物を検出する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項6】
前記制御部は、検出された前記非接触状態の対象物の動きに基づいて前記所定の検出領域を変更し、変更された前記所定の検出領域において前記非接触状態の対象物を検出する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記複数の第1電極と前記複数の第2電極のうちの一方を第2駆動電極として選択し、前記複数の第1電極と前記複数の第2電極のうちの他方を第2検出電極として選択し、前記第2駆動電極に電圧を印加することにより前記第2検出電極から取得される静電容量を表す信号から、前記対象物が接触した位置を検出する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の検出装置と、
表示装置と、を備える、
表示ユニット。
【請求項9】
前記表示装置は、2視点分の第1入力画像と第2入力画像に基づいて、所定の方向に並ぶ観察者の左眼と右眼とに異なる画像を投影する裸眼立体ディスプレイと、物体からの光を、互いに直交する第1反射面と第2反射面により反射させる光反射素子を複数有し、前記裸眼立体ディスプレイにより投影された前記第1入力画像及び前記第2入力画像に対応する浮遊像を空中に結像する空間結像素子と、を備え、
前記検出装置の前記複数の第1電極と前記複数の第2電極が、前記空間結像素子に設けられている、
請求項8に記載の表示ユニット。
【請求項10】
前記制御部は、前記浮遊像の結像位置に応じて、前記所定の検出領域を変更する、
請求項9に記載の表示ユニット。
【請求項11】
前記制御部は、前記浮遊像の奥行きに応じて、前記所定の検出領域の外側に位置する前記第1電極と前記第2電極のうちから第3検出電極を選択し、前記第1検出電極から取得される静電容量を表す信号と前記第3検出電極から取得される静電容量を表す信号とから、前記浮遊像の奥行き方向における前記非接触状態の対象物の位置を判別する、
請求項9又は10に記載の表示ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検出装置及び表示ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
文字、画像等を表示する表示パネルに設けられるインターフェースとして、ユーザーの指示をユーザーのジェスチャーにより受け付けるインターフェースが求められている。例えば、特許文献1は、ディスプレイの表示領域に配置された伝送電極と、ディスプレイの表示領域の外周に配置され伝送電極を囲む受信電極を備えた、ディスプレイモジュールを開示している。特許文献1では、伝送電極と受信電極との間の静電容量を測定することにより、検出空間内の手又は指によって行われるジェスチャーを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-515837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のディスプレイモジュールでは、受信電極がディスプレイの表示領域の外周に配置されるので、額縁が広くなる。また、大型のディスプレイでは、受信電極の間隔が広くなるので、小さなジェスチャーの検出が困難である。
【0005】
本開示は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、額縁が狭く、非接触状態の対象物を検出する感度が高い検出装置及び表示ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の第1の観点に係る検出装置は、
第1方向に延びる複数の第1電極と、
前記第1方向に交差する第2方向に延びる複数の第2電極と、
所定の検出領域の内の最も外側に位置する、2つの前記第1電極と2つの前記第2電極とを第1検出電極として選択し、前記第1検出電極に選択されていない前記第1電極と前記第2電極のうちの少なくとも1つを第1駆動電極として選択し、前記第1駆動電極に電圧を印加することにより前記第1検出電極から取得される静電容量を表す信号から、非接触状態の対象物を検出する制御部と、を備える。
【0007】
本開示の第2の観点に係る表示ユニットは、
上記の検出装置と、
表示装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、額縁を狭くでき、非接触状態の対象物を検出する感度を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係る検出装置を示す図である。
図2】実施形態1に係るセンサ部を示す平面図である。
図3】実施形態1に係る表示ユニットを示す模式図である。
図4】実施形態1に係る制御部の構成を示すブロック図である。
図5】実施形態1に係る第1検出領域と第1駆動電極と第1検出電極とを示す図である。
図6】実施形態1に係る第2駆動電極と第2検出電極とを示す図である。
図7】実施形態1に係る第1検出電極の静電容量を表す信号を示す図である。
図8】実施形態1に係る制御部のハードウェア構成を示す図である。
図9】実施形態1に係る検出処理を示すフローチャートである。
図10】実施形態1に係る非接触モードの検出処理を示すフローチャートである。
図11】実施形態1に係る第1駆動電極と第2駆動電極に印加する電圧を示す模式図である。
図12】実施形態1に係る接触モードの検出処理を示すフローチャートである。
図13】実施形態2に係る第1検出領域と第1駆動電極と第1検出電極とを示す図である。
図14】実施形態2に係る第1検出領域と第1駆動電極と第1検出電極とを示す図である。
図15】実施形態2に係る非接触モードの検出処理を示すフローチャートである。
図16】実施形態3に係る第2検出領域を示す平面図である。
図17】実施形態3に係る第3検出領域~第6検出領域を示す平面図である。
図18】実施形態3に係る非接触モードの検出処理を示すフローチャートである。
図19】実施形態4に係る第7検出領域と第8検出領域とを示す平面図である。
図20】実施形態4に係る検出処理を示すフローチャートである。
図21】実施形態5に係る表示ユニットを示す模式図である。
図22】実施形態5に係るセンサ部を示す平面図である。
図23】実施形態6に係る浮遊像と第9検出領域を示す平面図である。
図24】実施形態6に係る電気力線を示す模式図である。
図25】実施形態6に係る第1検出電極と第3検出電極の静電容量を表す信号を示す図である。
図26】実施形態6に係る第1検出電極と第3検出電極の静電容量を表す信号を示す図である。
図27】実施形態6に係る非接触モードの検出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る検出装置について、図面を参照して説明する。
【0011】
<実施形態1>
図1図12を参照して、本実施形態に係る検出装置10を説明する。検出装置10は、非接触状態の対象物(例えば、ユーザーのジェスチャー)を検出する。また、検出装置10は、対象物(例えば、ユーザーの指)が接触した位置を検出して、タッチパネルとしても機能する。まず、検出装置10の全体構成を説明する。
【0012】
検出装置10は、図1に示すように、センサ部20と制御部50とを備える。センサ部20は、図2に示すように、透光性基板22、複数の第1電極24、複数の第2電極28等を有する。複数の第1電極24と複数の第2電極28は、透光性基板22に形成されている。制御部50は、第1電極24と第2電極28に印加する電圧を制御する。また、制御部50は、第1電極24と第2電極28の静電容量を表す信号から、対象物を検出する。本実施形態では、理解を容易にするため、図2における検出装置10の右方向(紙面の右方向)を+X方向、上方向(紙面の上方向)を+Y方向、+X方向と+Y方向に垂直な方向(紙面の手前方向)を+Z方向として説明する。
【0013】
検出装置10は、図3に示すように、表示装置100と共に表示ユニット200を構成する。表示ユニット200は、スマートフォン、ラップトップ型コンピュータ、インフォメーションディスプレイ等に搭載される。表示装置100は、表示パネル110と表示制御部120とを有する。表示パネル110は、二次元の文字、画像等を表示する。表示パネル110は、液晶表示パネル、有機EL(Electro Luminescence)表示パネル等である。表示制御部120は、表示パネル110の表示を制御する。また、表示制御部120と検出装置10の制御部50は、接続されている。
【0014】
検出装置10のセンサ部20は、図示しない接着層を介して、表示パネル110の表示面側に設けられる。この場合、センサ部20の第1電極24と第2電極28は、表示パネル110の表示領域の上に位置している。また、センサ部20の上には、樹脂製の保護カバー202が図示しない接着層を介して設けられている。検出装置10は、センサ部20上の検出空間に位置する非接触状態の対象物を検出する。また、検出装置10は、対象物がセンサ部20(保護カバー202)に接触した位置を検出する。これらにより、検出装置10は、表示装置100の表示に対するユーザーの指示を受け付ける、インターフェースとして機能する。なお、検出空間の厚さLは、例えば150mmである。
【0015】
次に、検出装置10の具体的な構成について、説明する。
検出装置10のセンサ部20は、図2に示すように、透光性基板22と、複数の第1電極24と、絶縁層26と、複数の第2電極28とを有する。
【0016】
センサ部20の透光性基板22は、例えばガラス基板である。透光性基板22は、第1主面22aを有している。
【0017】
センサ部20の第1電極24は、それぞれ、透光性基板22の第1主面22aの上に設けられる。第1電極24は、第1方向(本実施形態ではX方向)に延びる。また、第1電極24は、Y方向に等間隔で配列されている。第1電極24は、複数の四角形の角部が一列に接続されたパターン(所謂、ダイヤモンドパターン)を有している。第1電極24のそれぞれは、図示しない配線を介して、制御部50に電気的に接続している。
【0018】
センサ部20の絶縁層26は、第1電極24の上に設けられて、第1電極24と第2電極28とを絶縁する。絶縁層26は、例えば、酸化シリコン薄膜である。
【0019】
センサ部20の第2電極28は、それぞれ、絶縁層26の上に設けられる。第2電極28は、第1方向と交差する第2方向(本実施形態ではY方向)に延びる。第2電極28は、第1電極24と同様に、複数の四角形の角部が一列に接続されたパターンを有している。第2電極28のそれぞれは、図示しない配線を介して、制御部50に電気的に接続している。
【0020】
第1電極24と第2電極28は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)から形成される。第1電極24と第2電極28は、センサ部20を平面視した場合、四角形の角部を接続している接続部で交差している。第1電極24と第2電極28は、対象物(例えば、ユーザーの指、手、ペン等)との間で静電容量を形成する。なお、第1電極24と第2電極28は、メタルメッシュ電極であってもよい。
【0021】
検出装置10の制御部50は、第1電極24と第2電極28の静電容量を表す信号から、センサ部20上の検出空間に位置する非接触状態の対象物を検出する。また、検出装置10は、第1電極24と第2電極28の静電容量を表す信号から、対象物が接触した位置を検出する。本実施形態では、2つの検出モードである、非接触状態の対象物の検出(以下、非接触モードと記載)と対象物が接触した位置の検出(以下、接触モードと記載)とが、時分割で切り替えられる。
【0022】
まず、制御部50の機能的構成を説明する。制御部50は、図4に示すように、入出力部51と、設定部52と、選択部54と、切り替え部56とを備える。さらに、制御部50は、非接触駆動部62と、非接触受信部64と、非接触検出部66と、接触駆動部72と、接触受信部74と、接触検出部76と、記憶部78とを備える。
【0023】
制御部50の入出力部51は、設定部52と表示装置100の表示制御部120との間の信号、非接触検出部66と検出装置10が搭載されている電子機器の制御部との間の信号等を入出力する。
【0024】
制御部50の設定部52は、非接触モードと接触モードとを時分割で順次に切り替え、検出モードを非接触モードと接触モードのいずれかに設定する。また、設定部52は、検出モードに非接触モードを設定した場合、図5に示すように、非接触状態の対象物を検出する所定の第1検出領域S1をセンサ部20に設定する。第1検出領域S1は、表示装置100の表示パネル110に表示される画像に応じて任意に設定できる。例えば、設定部52は、入出力部51を介して、表示装置100の表示制御部120から表示パネル110に表示される画像を表すデータを受け、画像を表すデータに基づいて第1検出領域S1を設定する。非接触モードでは、第1検出領域S1上の検出空間に位置する非接触状態の対象物が検出される。なお、図5では、理解を容易にするために、透光性基板22、絶縁層26等を省略している。また、以下では、第1電極24に+Y側から順に符号x0~x4を付し、第2電極28に-X側から順に符号y0~y6を付す。
【0025】
図4に戻り、制御部50の選択部54は、設定部52により設定された検出モードと第1検出領域S1に基づいて、第1電極24と第2電極28のうちから、第1駆動電極32と第1検出電極34と、第2駆動電極42と第2検出電極44とを選択する。第1駆動電極32と第1検出電極34は、非接触モードで用いられる。第2駆動電極42と第2検出電極44は、接触モードで用いられる。電圧が制御部50から第1駆動電極32と第2駆動電極42に印加され、第1検出電極34と第2検出電極44からの静電容量を表す信号が制御部50に受信される。
【0026】
設定部52により非接触モードが設定された場合、選択部54は、図5に示すように、設定された第1検出領域S1の最も外側に位置する、2つの第1電極24(x1)、24(x3)と2つの第2電極28(y1)、28(y5)とを第1検出電極34として選択する。また、選択部54は、第1検出電極34を選択された残りの、第1電極24と第2電極28のうちから第1駆動電極32を選択する。本実施形態では、選択部54は、残りの第1電極24と第2電極28のすべてを第1駆動電極32として選択する。なお、選択部54は、第1検出電極34に囲まれている第1電極24と第2電極28のみを、第1駆動電極32として選択してもよい。さらに、選択部54は、第1検出電極34よりもセンサ部20の外周側に位置する第1電極24又は第2電極28を、第1駆動電極32として選択してもよい。第1検出電極34と第1駆動電極32のいずれにも選択されていない第1電極24と第2電極28は、接地電位を供給されてもよい。また、第1検出電極34と第1駆動電極32のいずれにも選択されていない第1電極24と第2電極28は、フローティングにされてもよい。
【0027】
設定部52により接触モードが設定された場合、選択部54は、図6に示すように、第1電極24のすべてを第2駆動電極42として選択し、第2電極28のすべてを第2検出電極44として選択する。
【0028】
図4に戻り、制御部50の切り替え部56は、選択部54の選択に基づいて、第1電極24と第2電極28と、非接触駆動部62と非接触受信部64と接触駆動部72と接触受信部74との接続を切り替える。
【0029】
非接触モードでは、切り替え部56は、第1検出電極34として選択された第1電極24(x1)、24(x3)と第2電極28(y1)、28(y5)とを非接触受信部64に接続し、第1駆動電極32として選択されていない残りの第1電極24と第2電極28とを非接触駆動部62に接続する。接触モードでは、切り替え部56は、第2検出電極44として選択された第2電極28を接触受信部74に接続し、第2駆動電極42として選択された第1電極24を接触駆動部72に接続する。
【0030】
制御部50の非接触駆動部62と非接触受信部64と非接触検出部66は、非接触モードにおいて、動作する。非接触駆動部62は、切り替え部56により接続された第1駆動電極32に電圧を印加する。非接触受信部64は、第1駆動電極32に印加された電圧に対する、第1検出電極34からの静電容量を表す信号を受信する。非接触検出部66は、非接触受信部64が受信した静電容量を表す信号から、非接触状態の対象物を検出する。
【0031】
非接触検出部66は、静電容量を表す信号の信号強度の時間変化から、非接触状態の対象物の動き(例えば、ユーザーのジェスチャー)を検出する。例えば、ユーザーの手が、第1検出領域S1の上の検出空間を-X方向から+X方向へ横切ると、非接触受信部64は、第1検出電極34(すなわち、第1電極24(x1)、24(x3)と第2電極28(y1)、28(y5))から、図7に示すような静電容量を表す信号を受信する。すなわち、非接触受信部64は、X方向に延びる第1電極24(x1)と第1電極24(x3)から、ユーザーの手が第1検出領域S1を横切る間、高強度の信号を受信する。また、非接触受信部64は、Y方向に延びる第2電極28(y1)と第2電極28(y5)から、ユーザーの手が第2電極28(y1)又は第2電極28(y5)を横切る短い間、第2電極28(y1)、第2電極28(y5)の順に、高強度の信号を受信する。非接触検出部66は、これらの信号強度の時間変化から、ユーザーが-X方向から+X方向へのフリックジェスチャーを行ったと判別し、ユーザーの-X方向から+X方向へのフリックジェスチャーを検出する。非接触検出部66は、検出した非接触状態の対象物の動きを表す信号を、検出装置10を搭載している電子機器、装置等の制御部に出力する。非接触状態の対象物の動きを表す信号は、例えば、+X方向へのフリックジェスチャーに対してユーザーが設定した、キーイベント、メッセージ等を表す。検出した非接触状態の対象物の動きを表す信号は、1回の検出に対して、1回出力されても複数回出力されてもよい。なお、検出されるジェスチャーは、-Y方向から+Y方向へのフリックジェスチャー、非接触状態の対象物が円形に移動するサークルジェスチャー等であってもよい。
【0032】
図4に戻り、制御部50の接触駆動部72と接触受信部74と接触検出部76は、接触モードにおいて、動作する。接触駆動部72は、切り替え部56により接続された第2駆動電極42(第1電極24)に電圧を印加する。接触受信部74は、第2駆動電極42に印加された電圧に対する、第2検出電極44(第2電極28)からの静電容量を表す信号を受信する。接触検出部76は、接触受信部74が受信した静電容量を表す信号から、対象物が接触した位置を検出する。接触検出部76は、例えば、静電容量の変化から、対象物が接触した位置を検出する(投影型静電容量方式タッチパネルにおける相互容量検出方式)。接触検出部76は、対象物が接触した位置を表す信号を、検出装置10を搭載している電子機器、装置等の制御部に出力する。
【0033】
制御部50の記憶部78は、プログラム、データ、非接触受信部64が受信した静電容量を表す信号、接触受信部74が受信した静電容量を表す信号等を記憶する。
【0034】
図8は、制御部50のハードウェアの構成を示す。制御部50は、CPU(Central Processing Unit)92と、ROM(Read Only Memory)93と、RAM(Random Access Memory)94と、入出力インターフェース96と、特定機能の回路98から構成される。CPU92はROM93に記憶されているプログラムを実行する。ROM93は、プログラム、データ、信号等を記憶している。RAM94は、データを記憶する。入出力インターフェース96は、各部の間の信号を入出力する。特定機能の回路98は、駆動回路、受信回路、切り替え回路、演算回路等を含む。制御部50の機能は、CPU92のプログラムの実行と特定機能の回路98の機能により、実現される。
【0035】
次に、図9図12を参照して、検出装置10の検出処理(動作)を説明する。ここでは、検出装置10と表示装置100とを有する表示ユニット200が電子器機器に搭載されている場合について、説明する。検出装置10の検出処理においては、図9に示すように、非接触モードの検出処理(ステップS100)が行われ、次いで、接触モードの検出処理(ステップS200)が行われる。接触モードの検出処理(ステップS200)の後、制御部50に終了指示が入力されない場合(ステップS300;NO)、検出装置10の検出処理は非接触モードの検出処理(ステップS100)に戻る。制御部50に終了指示が入力された場合(ステップS300;YES)、検出装置10の検出処理は終了する。
【0036】
図10を参照して、非接触モードの検出処理(ステップS100)について説明する。まず、制御部50の設定部52は、検出モードを非接触モードに設定し、更に第1検出領域S1を設定する(ステップS102)。第1検出領域S1は、例えば、入出力部51を介して入力される、表示パネル110に表示される画像を表すデータに応じて設定される。
【0037】
次に、制御部50の選択部54は、設定された第1検出領域S1に基づいて、第1電極24と第2電極28のうちから第1駆動電極32と第1検出電極34とを選択する(ステップS104)。具体的には、選択部54は、設定された第1検出領域S1の最も外側に位置する、2つの第1電極24(x1、x3)と2つの第2電極28(y1、y5)とを第1検出電極34として選択する。また、選択部54は、残りの第1電極24(x0、x2、x4)と第2電極28(y0、y2-y4、y6)を第1駆動電極32として選択する。
【0038】
次に、制御部50の切り替え部56は、選択された第1駆動電極32を制御部50の非接触駆動部62に接続し、選択された第1検出電極34を制御部50の非接触受信部64に接続する(ステップS106)。そして、非接触駆動部62が第1駆動電極32に電圧を印加し(ステップS108)、非接触受信部64が第1検出電極34からの静電容量を表す信号を受信する(ステップS110)。具体的には、図11に示すように、非接触駆動部62は、第1電極24(x0、x2、x4)と第2電極28(y0、y2-y4、y6)に所定のパルス幅の電圧を印加する。非接触受信部64は、例えば、図7に示すような静電容量を表す信号を受信する。非接触受信部64が受信した静電容量を表す信号は、記憶部78に記憶される。
【0039】
図10に戻り、制御部50の非接触検出部66は、非接触受信部64が受信した静電容量を表す信号の信号強度の時間変化から、非接触状態の対象物の動き(ユーザーのジェスチャー)を判別する(ステップS112)。判別は、記憶部78に記憶されている信号強度の時間変化から、特定のアルゴリズム、ディープラーニング等に基づいて行われる。また、判別は、少なくとも3つの第1検出電極34の静電容量を表す信号の信号強度の時間変化から行われることが、好ましい。これにより、第1検出領域S1以外での検出を防ぐことができる。信号強度の時間変化が非接触状態の対象物の動きを表すと判別され、非接触状態の対象物の動きが検出された場合(ステップS112;YES)、非接触検出部66は、入出力部51を介して、表示ユニット200(検出装置10)が搭載されている電子機器の制御部に、検出した非接触状態の対象物の動きを表す信号を出力する(ステップS114)。非接触検出部66が非接触状態の対象物の動きを表す信号を出力すると、非接触モードの検出処理(ステップS100)は終了する。なお、非接触検出部66は、1つ又は2つの第1検出電極34の静電容量を表す信号の信号強度の時間変化から非接触状態の対象物の動きを一旦判別し、少なくとも3つの第1検出電極34の静電容量を表す信号の信号強度の時間変化から非接触状態の対象物の動きを再度判別してもよい。
【0040】
信号強度の時間変化が非接触状態の対象物の動きを表すと判別されず、非接触状態の対象物の動きが検出されない場合(ステップS112;NO)、非接触モードの検出処理(ステップS100)は終了する。
【0041】
図12を参照して、接触モードの検出処理(ステップS200)について説明する。まず、制御部50の設定部52は、検出モードを接触モードに設定する(ステップS202)。次に、制御部50の選択部54は、第1電極24と第2電極28のうちから第2駆動電極42と第2検出電極44とを選択する(ステップS204)。具体的には、選択部54は、第1電極24のすべてを第2駆動電極42として選択し、第2電極28のすべてを第2検出電極44として選択する。
【0042】
制御部50の切り替え部56は、選択された第2駆動電極42を制御部50の接触駆動部72に接続し、選択された第2検出電極44を制御部50の接触受信部74に接続する(ステップS206)。そして、接触駆動部72が第2駆動電極42に電圧を印加し(ステップS208)、接触受信部74が第2検出電極44からの静電容量を表す信号を受信する(ステップS210)。接触駆動部72は、図11に示すように、第1電極24(x0)~第1電極24(x4)に順次に所定のパルス幅の電圧を、繰り返し印加する。なお、接触駆動部72は、第1電極24(x0)~第1電極24(x4)のそれぞれに、所定のパルス幅の電圧を1回ずつ印加してもよい。
【0043】
制御部50の接触検出部76は、第2検出電極44が受信した静電容量を表す信号から、相互容量検出方式により、対象物が接触した位置を検出する(ステップS212)。接触検出部76は、対象物が接触した位置を検出した場合(ステップS212;YES)、対象物が接触した位置を表す信号を、入出力部51を介して、表示ユニット200(検出装置10)が搭載されている電子機器の制御部に出力する(ステップS214)。接触検出部76が対象物が接触した位置を表す信号を出力すると、接触モードの検出処理(ステップS200)は終了する。
【0044】
接触検出部76が、対象物が接触した位置を検出しない場合(ステップS212;NO)、接触モードの検出処理(ステップS200)は終了する。
【0045】
以上のように、表示パネル110の表示領域の上に位置するセンサ部20の第1電極24と第2電極28により、非接触状態の対象物の動きを検出できるので、検出装置10の額縁を狭くできる。さらに、非接触状態の対象物の動きを検出する第1検出領域S1を任意に設定できるので、表示パネル110の大きさに関わらず、非接触状態の対象物の動きを高感度に検出できる。また、検出装置10はタッチパネルとしても機能できる。
【0046】
<実施形態2>
実施形態1の非接触モードの検出では、検出装置10は、第1駆動電極32に一括して電圧を印加し、4つの第1検出電極34のそれぞれから一度に信号を受信している。非接触モードの検出では、検出装置10は、第1駆動電極32と第1検出電極34を時分割で駆動してもよい。
【0047】
本実施形態では、非接触モードにおける制御部50の構成と非接触モードの検出処理が、実施形態1と異なる。検出装置10のその他の構成と処理は、実施形態1の検出装置10と同様である。
【0048】
本実施形態の制御部50は、非接触モードにおいて、第1駆動電極32と第1検出電極34を時分割で駆動する。具体的には、本実施形態の制御部50は、2つの第1検出電極34から静電容量を表す信号を受信した後、別の2つの第1検出電極34から静電容量を表す信号を受信し、4つの第1検出電極34の静電容量を表す信号から非接触状態の対象物を検出する。
【0049】
本実施形態の制御部50は、実施形態1の制御部50と同様に、入出力部51と、設定部52と、選択部54と、切り替え部56と、非接触駆動部62と、非接触受信部64と、非接触検出部66と、接触駆動部72と、接触受信部74と、接触検出部76、記憶部78とを備える。入出力部51と、接触駆動部72と、接触受信部74と、接触検出部76と、記憶部78の構成は、実施形態1と同様である。
【0050】
本実施形態の設定部52は、実施形態1の設定部52と同様に、検出モードを非接触モードに設定する。また、本実施形態の設定部52は、検出モードに非接触モードを設定した場合、非接触状態の対象物を検出する所定の第1検出領域S1をセンサ部20に設定する。
【0051】
本実施形態の選択部54は、実施形態1と同様に、設定部52により設定された検出モードと第1検出領域S1に基づいて、第1電極24と第2電極28のうちから、第1駆動電極32と第1検出電極34と、第2駆動電極42と第2検出電極44とを選択する。設定部52により接触モードが設定された場合、本実施形態の選択部54は、実施形態1と同様に、第1電極24のすべてを第2駆動電極42として選択し、第2電極28のすべてを第2検出電極44として選択する。
【0052】
設定部52により非接触モードが設定された場合、本実施形態の選択部54は、図13に示すように、第1電極24のうちから、第1検出領域S1の最も外側に位置する、2つの第1電極24(x1)、24(x3)を第1検出電極34として選択する。また、本実施形態の選択部54は、第1検出領域S1の内において第1検出電極34として選択された第1電極24(x1)、24(x3)に交差する第2電極28(y2-y4)を、第1駆動電極32として選択する。
【0053】
さらに、本実施形態の選択部54は、第1検出電極34として選択された第1電極24(x1)、24(x3)からの静電容量表す信号が非接触受信部64に受信された後、図14に示すように、第2電極28のうちから、第1検出領域S1の最も外側に位置する、2つの第2電極28(y1)、28(y5)を第1検出電極34として選択する。本実施形態の選択部54は、第1検出領域S1の内において第1検出電極34に選択された第2電極28(y1)、28(y5)に交差する第1電極24(x1-x3)を、第1駆動電極32として選択する。
【0054】
本実施形態の切り替え部56は、選択部54の選択に応じて、第1検出電極34として選択された第1電極24(x1)、24(x3)を非接触受信部64に接続し、第1駆動電極32として選択された第2電極28(y2-y4)を非接触駆動部62に接続する。また、本実施形態の切り替え部56は、選択部54の選択に応じて、第1検出電極34として選択された第2電極28(y1)、28(y5)を非接触受信部64に接続し、第1駆動電極32として選択された第1電極24(x1-x3)を非接触駆動部62に接続する。
【0055】
本実施形態の非接触駆動部62は、実施形態1の非接触駆動部62と同様に、切り替え部56により接続された第1駆動電極32に電圧を印加する。また、本実施形態の非接触受信部64は、実施形態1の非接触受信部64と同様に、第1駆動電極32に印加された電圧に対する第1検出電極34からの静電容量を表す信号を受信する。
【0056】
本実施形態では、非接触駆動部62は第1駆動電極32として選択された第2電極28(y2-y4)に電圧を印加し、非接触受信部64は第1検出電極34として選択された第1電極24(x1)、24(x3)からの静電容量を表す信号を受信する。また、非接触駆動部62は第1駆動電極32として選択された第1電極24(x1-x3)に電圧を印加し、非接触受信部64は第1検出電極34として選択された第2電極28(y1)、28(y5)からの静電容量を表す信号を受信する。
【0057】
本実施形態の非接触検出部66は、先に非接触受信部64が受信した第1検出電極34(第1電極24(x1)、24(x3))の静電容量を表す信号の信号強度の時間変化と、後に非接触受信部64が受信した第1検出電極34(第2電極28(y1)、28(y5))の静電容量を表す信号の信号強度の時間変化とから、非接触状態の対象物の動きを検出する。本実施形態の非接触検出部66は、検出した非接触状態の対象物の動きを表す信号を、検出装置10を搭載している電子機器、装置等の制御部に出力する。
【0058】
本実施形態では、順次に選択して駆動した第1検出電極34の静電容量を表す信号から非接触状態の対象物の動きを検出するので、第1検出領域S1以外での非接触状態の対象物の検出を防ぐことができる。なお、非接触状態の対象物の動きの判別は、実施形態1と同様である。
【0059】
次に、図15を参照して、本実施形態の非接触モードの検出処理(ステップS100)について説明する。ここでは、検出装置10と表示装置100とを有する表示ユニット200が電子器機器に搭載されている場合について、説明する。まず、設定部52は、検出モードを非接触モードに設定し、更に第1検出領域S1を設定する(ステップS122)。次に、選択部54は、設定された第1検出領域S1に基づいて、第1電極24のうちから第1検出電極34を選択し、第2電極28のうちから第1駆動電極32を選択する(ステップS124)。具体的には、選択部54は、第1電極24のうちから設定された第1検出領域S1の最も外側に位置する、2つの第1電極24(x1、x3)を第1検出電極34として選択する。また、選択部54は、第2電極28のうちから、第1検出領域S1の内において第1検出電極34として選択された第1電極24(x1、x3)に交差する第2電極28(y2-y4)を、第1駆動電極32として選択する。
【0060】
次に、切り替え部56は、選択された第1駆動電極32を非接触駆動部62に接続し、選択された第1検出電極34を非接触受信部64に接続する(ステップS126)。そして、非接触駆動部62が第1駆動電極32に電圧を印加し(ステップS128)、非接触受信部64が第1検出電極34からの静電容量を表す信号を受信する(ステップS130)。
【0061】
本実施形態では、第1検出電極34からの静電容量を表す信号を受信した後、静電容量を表す信号を第1電極24から受信した場合(ステップS132;YES)、選択部54は、第2電極28のうちから第1検出電極34を選択し、第1電極24のうちから第1駆動電極32を選択し(ステップS134)、ステップS126に戻る。選択部54は、第2電極28のうちから、第1検出領域S1の最も外側に位置する、2つの第2電極28(y1、y5)を第1検出電極34として選択する。また、選択部54は、第1電極24のうちから、第1検出領域S1の内において第1検出電極34に選択された第2電極28(y1、y5)に交差する第1電極24(x1-x3)を、第1駆動電極32として選択する。
【0062】
第1検出電極34からの静電容量を表す信号を受信した後、静電容量を表す信号を第2電極28から受信した場合(ステップS132;NO)、非接触検出部66は、第1電極24(x1)、24(x3)と第2電極28(y1)、28(y5)の静電容量を表す信号の信号強度の時間変化から、非接触状態の対象物の動きを判別する(ステップS136)。判別は、実施形態1のステップS112と同様である。信号強度の時間変化が非接触状態の対象物の動きを表すと判別され、非接触状態の対象物の動きが検出された場合(ステップS136;YES)、非接触検出部66は、入出力部51を介して、表示ユニット200(検出装置10)が搭載されている電子機器の制御部に、検出した非接触状態の対象物の動きを表す信号を出力する(ステップS138)。非接触検出部66が非接触状態の対象物の動きを表す信号を出力すると、本実施形態の非接触モードの検出処理(ステップS100)は終了する。
【0063】
信号強度の時間変化が非接触状態の対象物の動きを表すと判別されず、非接触状態の対象物の動きが検出されない場合(ステップS136;NO)、本実施形態の非接触モードの検出処理(ステップS100)は終了する。
【0064】
以上のように、本実施形態では、2つずつ順次に駆動した、4つの第1検出電極34の静電容量を表す信号から非接触状態の対象物の動きを検出するので、第1検出領域S1以外での非接触状態の対象物の検出を防ぐことができる。また、本実施形態においても、実施形態1と同様に、検出装置10の額縁を狭くでき、非接触状態の対象物の動きを高感度に検出できる。
【0065】
<実施形態3>
実施形態1と実施形態2の検出装置10は第1検出領域S1において非接触状態の対象物を検出している。検出装置10は、検出領域を順次に変更し、それぞれの検出領域において非接触状態の対象物を検出してもよい。
【0066】
本実施形態では、非接触モードにおける制御部50の構成と非接触モードの検出処理が、実施形態1と異なる。本実施形態の制御部50は、非接触状態の対象物を検出する所定の検出領域を順次に変更し、それぞれの領域において非接触状態の対象物を検出する。検出装置10のその他の構成と処理は、実施形態1の検出装置10と同様である。
【0067】
本実施形態の制御部50は、実施形態1の制御部50と同様に、入出力部51~記憶部78を備える。入出力部51と接触駆動部72と接触受信部74と接触検出部76と記憶部78の構成は、実施形態1と同様である。
【0068】
本実施形態の設定部52は、実施形態1の設定部52と同様に、検出モードを非接触モードに設定する。本実施形態の設定部52は、検出モードに非接触モードを設定した場合、非接触状態の対象物を検出する所定の第2検出領域S2~第6検出領域S6を設定する。本実施形態では、第2検出領域S2は、図16に示すように、検出装置10が非接触状態の対象物を検出可能な最大の領域である。また、第3検出領域S3~第6検出領域S6のそれぞれは、図17に示すように、第2検出領域S2を4分割した領域のそれぞれである。本実施形態の設定部52は、第2検出領域S2において非接触状態の対象物を検出した場合に、非接触状態の対象物を検出する検出領域を第3検出領域S3~第6検出領域S6に順次に変更していく。
【0069】
本実施形態の選択部54は、実施形態1の選択部54と同様に、設定された第2検出領域S2~第6検出領域S6のそれぞれにおいて最も外側に位置する、2つの第1電極24と2つの第2電極28とを第1検出電極34として選択する。また、本実施形態の選択部54は、第1検出電極34を選択された残りの、第1電極24と第2電極28のうちから第1駆動電極32を選択する。例えば、設定部52が第2検出領域S2を設定した場合、本実施形態の選択部54は、図16に示すように、2つの第1電極24(x0)、24(x4)と2つの第2電極28(y0)、28(y6)とを第1検出電極34として選択し、第1電極24(x1-x3)と第2電極28(y1-y5)を第1駆動電極32として選択する。
【0070】
本実施形態の切り替え部56は、実施形態1の切り替え部56と同様に、第1駆動電極32として選択された第1電極24と第2電極28を非接触駆動部62に接続する。また、本実施形態の切り替え部56は、第1検出電極34として選択された第1電極24と第2電極28を非接触受信部64に接続する。
【0071】
本実施形態の非接触駆動部62は、実施形態1の非接触駆動部62と同様に、切り替え部56により接続された第1駆動電極32に電圧を印加する。また、本実施形態の非接触受信部64は、実施形態1の非接触受信部64と同様に、第1駆動電極32に印加された電圧に対する第1検出電極34からの静電容量を表す信号を受信する。
【0072】
本実施形態の非接触検出部66は、非接触受信部64が受信した第1検出電極34の静電容量を表す信号の信号強度の時間変化から、非接触状態の対象物を検出する。本実施形態では、非接触状態の対象物を検出する検出領域が第2検出領域S2である場合、本実施形態の非接触検出部66は、非接触状態の対象物の有無を検出する。また、本実施形態の非接触検出部66は、非接触状態の対象物を検出する検出領域が第3検出領域S3~第6検出領域S6である場合、非接触状態の対象物の動きを検出する。
【0073】
次に、図18を参照して、本実施形態の非接触モードの検出処理(ステップS100)について説明する。ここでも、検出装置10と表示装置100とを有する表示ユニット200が電子器機器に搭載されている場合について、説明する。まず、制御部50は、第2検出領域S2における非接触状態の対象物の有無を検出する(ステップS140)。
【0074】
ステップS140では、設定部52は、検出モードを非接触モードに設定し、更に第2検出領域S2を設定する。また、設定部52は検出回数を1に設定する(ステップS142)。本実施形態では、設定部52は、第2検出領域S2における検出回数をカウントし、検出回数が所定の回数N(1より大きい自然数)以上の場合(ステップS144;NO)、非接触モードの検出処理(ステップS100)を終了する。
【0075】
検出回数が所定の回数Nよりも小さい場合(ステップS144;YES)、非接触状態の対象物の有無を検出する(ステップS146)。具体的には、選択部54は、第1検出電極34(第1電極24(x0、x4)、第2電極28(y0、y6))と第1駆動電極32(第1電極24(x1-x3)、第2電極28(y1-y5))を選択する。切り替え部56は第1駆動電極32を非接触駆動部62に接続し、第1検出電極34を非接触受信部64に接続する。非接触駆動部62は第1駆動電極32に電圧を印加し、非接触受信部64は第1検出電極34からの静電容量を表す信号を受信する。非接触検出部66は、非接触受信部64が受信した静電容量を表す信号の信号強度の時間変化から、非接触状態の対象物の有無を判別し、検出する。非接触状態の対象物がない場合(ステップS148;NO)、制御部50は、検出回数の判別(ステップS144)に戻る。
【0076】
非接触状態の対象物がある(ステップS148;YES)場合、制御部50は、第3検出領域S3~第6検出領域S6において、非接触状態の対象物の動きを順次に検出し、非接触状態の対象物の動きが検出された場合、表示ユニット200(検出装置10)が搭載されている電子機器の制御部に、検出した非接触状態の対象物の動きを表す信号を出力する(ステップS152~ステップS159)。第3検出領域S3~第6検出領域S6のそれぞれにおける非接触状態の対象物の検出と信号の出力は、実施形態1の非接触状態の対象物の検出(ステップS102~ステップS112)と信号の出力(ステップS114)と同様である。第6検出領域における非接触状態の対象物の動きの判別(ステップ158;NO)又は対象物の動きを表す信号を出力(ステップ159)が終了すると、本実施形態の非接触モードの検出処理(ステップS100)は終了する。
【0077】
以上のように、本実施形態では、検出可能な最大の領域である第2検出領域S2において非接触状態の対象物を検出した後、第2検出領域を分割した第3検出領域S3~第6検出領域S6のそれぞれにおいて非接触状態の対象物を検出するので、非接触状態の対象物の動きをより高感度に検出できる。また、第3検出領域S3~第6検出領域S6のそれぞれにおいて、順次に非接触状態の対象物を検出するので、複数の非接触状態の対象物(例えば、複数人のユーザーのジェスチャー)を検出できる。また、本実施形態においても、実施形態1と同様に、検出装置10の額縁を狭くできる。
【0078】
<実施形態4>
実施形態3では、検出装置10は、検出領域を順次に変更し、それぞれの検出領域の非接触状態の対象物を検出している。検出装置10は、検出された非接触状態の対象物の動きに基づいて検出領域を変更し、変更された検出領域において非接触状態の対象物を検出してもよい。
【0079】
本実施形態では、非接触モードにおける制御部50の構成と検出処理が、実施形態1と異なる。本実施形態の制御部50は、所定の検出領域の非接触状態の対象物の動きを検出した後、検出された非接触状態の対象物の動きに基づいて所定の検出領域を変更し、変更された所定の検出領域の非接触状態の対象物を検出する。検出装置10のその他の構成は、実施形態1の検出装置10と同様である。
【0080】
本実施形態の制御部50は、実施形態1の制御部50と同様に、入出力部51~記憶部78を備える。入出力部51と接触駆動部72と接触受信部74と接触検出部76と記憶部78の構成は、実施形態1と同様である。
【0081】
本実施形態の設定部52は、実施形態1の設定部52と同様に、非接触モードと接触モードとを時分割で順次に切り替え、検出モードを非接触モードと接触モードのいずれかに設定する。本実施形態の設定部52は、検出モードに非接触モードを設定した場合、非接触状態の対象物を検出する所定の第7検出領域S7を設定する。また、第7検出領域S7において検出された非接触状態の対象物の動きに基づいて、所定の第8検出領域S8を設定する。例えば、第7検出領域S7において、非接触検出部66がユーザーの-X方向から+X方向へのフリックジェスチャーを検出した場合、図19に示すように、本実施形態の設定部52は、第7検出領域S7よりも+X側に位置する第8検出領域S8を設定する。
【0082】
本実施形態の選択部54と切り替え部56と非接触駆動部62と非接触受信部64の構成は、実施形態1と同様と同様である。本実施形態の非接触検出部66は、実施形態1と同様に、非接触受信部64が受信した静電容量を表す信号の信号強度の時間変化から、非接触状態の対象物の動きを検出する。また、本実施形態の非接触検出部66は、検出した非接触状態の対象物の動きを表す信号を、設定部52と、検出装置10を搭載している電子機器、装置等の制御部とに出力する。
【0083】
次に、図20を参照して、本実施形態の検出処理について説明する。検出装置10と表示装置100とを有する表示ユニット200が電子器機器に搭載されている場合について、説明する。
【0084】
本実施形態の検出処理では、まず、第7検出領域S7における非接触状態の対象物の検出(ステップS162)が行われ、次に、接触モードの検出処理(ステップS200)が行われる。第7検出領域S7における非接触状態の対象物の検出は、実施形態1の非接触状態の対象物の検出(ステップS102~ステップS112)と同様である。
【0085】
第7検出領域S7における非接触状態の対象物の検出において非接触状態の対象物の動きが検出されず(ステップS162;NO)、接触モードの検出処理(ステップS200)の後に制御部50に終了指示が入力されない場合(ステップS300;NO)、検出処理は、第7検出領域S7における非接触状態の対象物の検出(ステップS162)に戻る。第7検出領域S7における非接触状態の対象物の検出において非接触状態の対象物の動きが検出されず(ステップS162;NO)、接触モードの検出処理(ステップS200)の後に制御部50に終了指示が入力された場合(ステップS300;YES)、検出処理は終了する。
【0086】
第7検出領域S7における非接触状態の対象物の検出において非接触状態の対象物の動きが検出された場合(ステップS162;YES)、接触モードの検出処理(ステップS200)の後、第8検出領域S8において非接触状態の対象物を検出する(ステップS164)。この場合、設定部52は、第8検出領域S8を、第7検出領域おいて検出された非接触状態の対象物の動きに基づいて設定する。その他の処理は、実施形態1の非接触状態の対象物の検出(ステップS102~ステップS112)と同様である。
【0087】
第8検出領域S8における非接触状態の対象物の検出において非接触状態の対象物の動きが検出された場合(ステップS164;YES)、非接触検出部66は、非接触状態の対象物の動きが第7検出領域S7から第8検出領域S8に渡る動き(例えば、第7検出領域S7から第8検出領域S8に渡る、大きなフリックジェスチャー)と判別する。そして、非接触検出部66は、入出力部51を介して、表示ユニット200(検出装置10)が搭載されている電子機器の制御部に、検出した非接触状態の対象物の動きを表す信号を出力する(ステップS166)。
【0088】
一方、第8検出領域S8における非接触状態の対象物の検出において非接触状態の対象物の動きが検出されない場合(ステップS164;NO)、非接触検出部66は、非接触状態の対象物の動きが第7検出領域S7における動き(例えば、第7検出領域S7におけるフリックジェスチャー)と判別する。そして、非接触検出部66は、入出力部51を介して、表示ユニット200(検出装置10)が搭載されている電子機器の制御部に、検出した非接触状態の対象物の動きを表す信号を出力する(ステップS168)。
【0089】
検出した非接触状態の対象物の動きを表す信号を出力した後(ステップS166、ステップS168)、接触モードの検出処理(ステップS200)が行われる。接触モードの検出処理(ステップS200)の後に、制御部50に終了指示が入力されない場合(ステップS300;NO)、検出処理は、第7検出領域S7における非接触状態の対象物の検出(ステップS162)に戻る。接触モードの検出処理(ステップS200)の後に制御部50に終了指示が入力された場合(ステップS300;YES)、検出処理は終了する。
【0090】
以上のように、本実施形態では、第7検出領域S7において検出された非接触状態の対象物の動きに基づいて第7検出領域S7から第8検出領域S8に検出領域を変更し、変更された第8検出領域S8の非接触状態の対象物を検出するので、非接触状態の対象物のより大きな動きを、高感度に検出できる。また、本実施形態においても、実施形態1と同様に、検出装置10の額縁を狭くできる。
【0091】
<実施形態5>
実施形態1では、検出装置10と二次元の文字、画像等を表示する表示装置100が表示ユニット200を構成している。表示装置100は、立体画像(3次元画像)を表示する表示装置であってもよい。
【0092】
本実施形態の表示装置100は、立体画像を空中に結像した浮遊像として表示する。本実施形態の表示装置100は、図21に示すように、裸眼立体ディスプレイ312と、空間結像素子314と、表示制御部120とを備える。本実施形態の表示制御部120は、裸眼立体ディスプレイ312の表示を制御する。
【0093】
裸眼立体ディスプレイ312は、2視点分の第1入力画像と第2入力画像に基づいて、ユーザー(観察者)の左眼と右眼とに異なる画像を投影するディスプレイである。裸眼立体ディスプレイ312は、公知のレンチキュラーレンズ方式の立体画像表示ディスプレイ、公知のパララックスバリア方式の立体画像表示ディスプレイ等である。
【0094】
空間結像素子314は、裸眼立体ディスプレイ312により投影された立体画像(第1入力画像と第2入力画像)を空間中に結像して浮遊像を形成する。空間結像素子314は、例えば、2つの反射面を有する光反射素子(図示せず)を複数配列された、平板状の結像素子である。光反射素子は、物体からの光を、互いに直交する第1反射面と第2反射面により反射して、通過させる。第1反射面と第2反射面は対をなし、第2反射面は、第1反射面に対して段違いに配置され第1反射面と交差している。空間結像素子314としては、公知の実鏡映像結像光学系(例えば、特開2012-163702号公報、特開2013-80227号公報)を利用できる。
【0095】
本実施形態では、検出装置10のセンサ部20は、図21図22に示すように、空間結像素子314のユーザー側の面314aに設けられる。具体的には、図22に示すように、センサ部20の第1電極24は、それぞれ、空間結像素子314の面314aの上に設けられる。センサ部20の絶縁層26は、第1電極24の上に設けられて、第1電極24と第2電極28とを絶縁する。センサ部20の第2電極28は、それぞれ、絶縁層26の上に設けられる。また、センサ部20の第2電極28の上に、図示しない保護層が設けられる。
【0096】
本実施形態では、検出装置10の制御部50は、本実施形態の表示装置100が表示する浮遊像の結像位置に応じて検出領域を設定して、設定された検出領域において非接触状態の対象物を検出する。制御部50の構成と非接触状態の対象物の検出は、実施形態1又は実施形態2と同様である。
【0097】
以上のように、検出装置10は、表示装置100が表示した浮遊像(立体画像)に対するユーザーの指示を受け付けるインターフェースとして機能する。また、検出装置10は、浮遊像の結像位置に応じて検出領域を設定するので、浮遊像に対するユーザーの指示を高感度に検出できる。また、本実施形態においても、実施形態1と同様に、検出装置10の額縁を狭くできる。
【0098】
<実施形態6>
実施形態5の表示ユニット200において、検出装置10は、表示装置100が表示する浮遊像の奥行きに応じて、検出領域の外側に位置する第1電極又は第2電極のうちから第3検出電極を選択して、浮遊像の奥行き方向における非接触状態の対象物の位置を判別してもよい。ここで、浮遊像の奥行き方向は、検出領域(空間結像素子314の面314a)に垂直な方向(+Z方向)を意味する。本実施形態における表示装置100と検出装置10のセンサ部20の構成は、実施形態5と同様であるので、検出装置10の制御部50について説明する。
【0099】
本実施形態の制御部50は、実施形態1の制御部50と同様に、入出力部51~記憶部78を備える。入出力部51と接触駆動部72と接触受信部74と接触検出部76と記憶部78の構成は、実施形態1と同様である。また、接触モードにおける制御部50の構成と接触モードの検出処理は、実施形態1と同様である。
【0100】
本実施形態の設定部52は、検出モードに非接触モードを設定した場合、図23に示すように、浮遊像Obの結像位置に応じて第9検出領域S9をセンサ部20に設定する。さらに、本実施形態の設定部52は、浮遊像Obの奥行きが深い場合(すなわち、浮遊像Obの+Z方向の高さが高い場合)、浮遊像Obの奥行きに応じて、第9検出領域S9の外側に第3検出電極340を設定する。
【0101】
本実施形態の選択部54は、実施形態1の選択部54と同様に、設定部52により設定された検出モードと第9検出領域S9に基づいて、第1電極24と第2電極28のうちから、第1駆動電極32と第1検出電極34とを選択する。本実施形態では、図23に示すように、第9検出領域S9において最も外側に位置する、2つの第1電極24(x0、x3)と2つの第2電極28(y3、y5)が、第1検出電極34として選択される。また、第1電極24(x1、x2)と第2電極28(y4)が、第1駆動電極32として選択される。さらに、本実施形態の選択部54は、浮遊像Obの奥行きに応じて、第9検出領域S9の外側に位置する第1電極24と第2電極28のうちから第3検出電極340を選択する。本実施形態では、第9検出領域S9の外側に位置する第2電極28(y2)が第3検出電極340として選択される。
【0102】
本実施形態の切り替え部56は、第1駆動電極32として選択された第1電極24(x1、x2)と第2電極28(y4)を非接触駆動部62に接続する。また、本実施形態の切り替え部56は、第1検出電極34として選択された第1電極24(x0、x3)と第2電極28(y3、y5)を非接触受信部64に接続する。さらに、本実施形態の切り替え部56は、第3検出電極340として選択された第2電極28(y2)を非接触受信部64に接続する。
【0103】
本実施形態の非接触駆動部62は、第1駆動電極32に電圧を印加する。また、本実施形態の非接触受信部64は、第1駆動電極32に印加された電圧に対する、第1検出電極34からの静電容量を表す信号と第3検出電極340からの静電容量を表す信号とを受信する。
【0104】
本実施形態の非接触検出部66は、第1検出電極34からの静電容量を表す信号の信号強度の時間変化と第3検出電極340からの静電容量を表す信号の信号強度の時間変化から、浮遊像Obの奥行き方向における非接触状態の対象物の位置と、非接触状態の対象物の動きとを判別し検出する。
【0105】
例えば、ユーザーの手が浮遊像Obの奥行きの深い部分Aを-Y方向から+Y方向へ横切ると、図24に示すように、ユーザーの手は、第1駆動電極32と第1検出電極34(第2電極28(y3))との間の電気力線を横切らず、第1駆動電極32と第3検出電極340(第2電極28(y2))との間の電気力線を横切る。したがって、図25に示すような静電容量を表す信号が取得される。すなわち、ユーザーの手が奥行きの深い部分Aを-Y方向から+Y方向へ横切る間、Y方向に延びる第2電極28(y2)と第2電極28(y5)から高強度の信号が取得される。また、X方向に延びる第1電極24(x3)と第1電極24(x0)から、この順に、高強度の信号が取得される。ユーザーの手が、第1駆動電極32と第1検出電極34(第2電極28(y3))との間の電気力線を横切らないので、第2電極28(y3)から、高強度の信号は取得されない。非接触検出部66は、これらの信号強度の時間変化から、ユーザーが奥行きの深い部分Aにおいて-Y方向から+Y方向へフリックジェスチャーを行ったと判別し、検出する。
【0106】
一方、ユーザーの手が、浮遊像Obの奥行きの浅い部分Bを-Y方向から+Y方向へ横切ると、ユーザーの手は、第1駆動電極32と第1検出電極34(第2電極28(y3))との間の電気力線と、第1駆動電極32と第3検出電極340(第2電極28(y2))との間の電気力線とを横切る。したがって、図26に示すように、ユーザーの手が奥行きの浅い部分Bを-Y方向から+Y方向へ横切る間、第2電極28(y2)と第2電極28(y3)と第2電極28(y5)から高強度の信号が取得される。また、第1電極24(x3)と第1電極24(x0)から、この順に、高強度の信号が取得される。非接触検出部66は、これらの信号の強度変化から、ユーザーが奥行きの浅い部分Bにおいて-Y方向から+Y方向へフリックジェスチャーを行ったと判別し、検出する。なお、高強度の信号が、第2電極28(y3)から取得され、第2電極28(y2)から取得されない場合には、誤検出と判別できる。
【0107】
次に、図27を参照して、本実施形態の非接触モードの検出処理(ステップS100)について説明する。表示ユニット200が電子器機器に搭載されている場合について、説明する。まず、設定部52は、検出モードを非接触モードに設定する。また、浮遊像Obの結像位置に応じて第9検出領域S9を設定し、浮遊像Obの奥行きに応じて第9検出領域S9の外側に第3検出電極340を設定する(ステップS182)。次に、選択部54は、設定された第9検出領域S9に基づいて、第1電極24と第2電極28のうちから第1駆動電極32と第1検出電極34とを選択する。さらに、選択部54は、第9検出領域S9の外側に位置する第1電極24と第2電極28のうちから第3検出電極340を選択する(ステップS184)。
【0108】
次に、切り替え部56は、選択された第1駆動電極32を非接触駆動部62に接続し、選択された第1検出電極34と第3検出電極とを制御部50の非接触受信部64に接続する(ステップS186)。そして、非接触駆動部62が第1駆動電極32に電圧を印加し(ステップS188)、非接触受信部64が第1検出電極34と第3検出電極340からの静電容量を表す信号を受信する(ステップS190)。非接触受信部64が受信した静電容量を表す信号は、記憶部78に記憶される。
【0109】
制御部50の非接触検出部66は、非接触受信部64が受信した静電容量を表す信号の信号強度の時間変化から、非接触状態の対象物の動き(ユーザーのジェスチャー)を判別する(ステップS192)。判別は、実施形態1のステップS112と同様である。信号強度の時間変化が非接触状態の対象物の動きを表すと判別され、非接触状態の対象物の動きが検出された場合(ステップS192;YES)、非接触検出部66は、入出力部51を介して、表示ユニット200(検出装置10)が搭載されている電子機器の制御部に、検出した非接触状態の対象物の動きを表す信号を出力する(ステップS194)。非接触検出部66が非接触状態の対象物の動きを表す信号を出力すると、非接触モードの検出処理(ステップS100)は終了する。
【0110】
信号強度の時間変化が非接触状態の対象物の動きを表すと判別されず、非接触状態の対象物の動きが検出されない場合(ステップS192;NO)、非接触モードの検出処理(ステップS100)は終了する。
【0111】
以上のように、本実施形態では、第3検出電極340が第9検出領域S9の外側に位置する第1電極24と第2電極28のうちから選択されるので、浮遊像の奥行き方向における非接触状態の対象物の位置を判別でき、非接触状態の対象物の動きを検出できる。また、本実施形態においても、実施形態1と同様に、検出装置10の額縁を狭くでき、非接触状態の対象物の動きを高感度に検出できる。
【0112】
<変形例>
以上、実施形態を説明したが、本開示は、要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0113】
例えば、実施形態1では、検出装置10は相互容量検出方式により対象物の接触を検出しているが、検出装置10は、自己容量検出方式、又は相互容量検出方式と相互容量検出方式との併用により、対象物の接触を検出してもよい。
【0114】
また、実施形態1~実施形態6の検出装置10はタッチパネルとしても機能する。検出装置10はタッチパネルとして機能しなくともよい。
【0115】
実施形態の非接触状態の対象物に検出において、第1駆動電極32と第1検出電極34と第3検出電極340のいずれにも選択されない第1電極24と第2電極28は、接地電位を供給されるか、フローティングにされることが好ましい。
【0116】
実施形態4では、第8検出領域S8は第7検出領域S7において検出されたフリックジェスチャーの方向(+X側)に設定されているが、第8検出領域S8はフリックジェスチャーの方向と反対側(-X側)に設定されもよい。フリックジェスチャーの方向と反対側に設定された第8検出領域S8において、非接触状態の対象物が検出された場合、例えば、第7検出領域S7において検出されたフリックジェスチャーが誤検出と判別できる。
【0117】
また、第7検出領域S7において検出された非接触状態の対象物の動きと第8検出領域S8において検出された非接触状態の対象物の動きとを、個別に、検出装置10を搭載している電子機器の制御部に出力してもよい。さらに、第7検出領域S7において検出された非接触状態の対象物の動きと第8検出領域S8において検出された非接触状態の対象物の動きから、1つの非接触状態の対象物の動きを判別して、検出された1つの非接触状態の対象物の動きを、検出装置10を搭載している電子機器の制御部に出力してもよい。
【0118】
実施形態4では、第8検出領域S8において検出された非接触状態の対象物の動きに基づいて、次の検出領域が設定され、設定された検出領域において非接触状態の対象物の動きを検出してもよい。
【0119】
実施形態2では、ステップS132において静電容量を表す信号を第1電極24から受信した後、ステップS134において第2電極28のうちから第1検出電極34を選択し第1電極24のうちから第1駆動電極32を選択する処理に移行する前に、接触モードの検出処理(ステップS200)を行ってもよい。
【0120】
実施形態3では、例えば、第3検出領域S3における検出(ステップS152)が行われ、非接触状態の対象物の動きを表す信号を出力(ステップS153)した後に、接触モードの検出処理(ステップS200)を行ってもよい。また、第4検出領域S4~第6検出領域S6のそれぞれにおける非接触状態の対象物の動きを表す信号を出力(ステップS155、ステップS157、ステップS159)した後、接触モードの検出処理(ステップS200)を行ってもよい。
【0121】
さらに、実施形態の検出処理では、図9に示すように、非接触モードの検出処理(ステップS100)が1回行われ、次いで、接触モードの検出処理(ステップS200)が1回行われる。これに代えて、非接触モードの検出処理(ステップS100)と接触モードの検出処理(ステップS200)とを、それぞれ、複数回行ってもよい。
【0122】
制御部50は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、制御回路等の専用ハードウェアを備えてもよい。この場合、処理のそれぞれを、個別のハードウェアにより実行してもよい。また、処理のそれぞれをまとめて、単一のハードウェアにより実行してもよい。処理の一部を専用ハードウェアにより実行し、処理の他の一部をソフトウェア又はファームウェアにより実行してもよい。
【0123】
以上、好ましい実施形態について説明したが、本開示は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本開示には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。
【符号の説明】
【0124】
10 検出装置、20 センサ部、22 透光性基板、22a 第1主面、24(x0-x4) 第1電極、26 絶縁層、28(y0-y6) 第2電極、32 第1駆動電極、34 第1検出電極、42 第2駆動電極、44 第2検出電極、50 制御部、51 入出力部、52 設定部、54 選択部、56 切り替え部、62 非接触駆動部、64 非接触受信部、66 非接触検出部、72 接触駆動部、74 接触受信部、76 接触検出部、78 記憶部、92 CPU、93 ROM、94 RAM、96 入出力インターフェース、98 特定機能の回路、100 表示装置、110 表示パネル、120 表示制御部、200 表示ユニット、202 保護カバー、312 裸眼立体ディスプレイ、314 空間結像素子、314a 面、340 第3検出電極、L 厚さ、Ob 浮遊像、A 浮遊像の奥行きの深い部分、B 浮遊像の奥行きの浅い部分、S1 第1検出領域、S2 第2検出領域、S3 第3検出領域、S4 第4検出領域、S5 第5検出領域、S6 第6検出領域、S7 第7検出領域、S8 第8検出領域、S9 第9検出領域
図1
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