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特開2022-100839ケーブル接続治具セット及びケーブル接続方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100839
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】ケーブル接続治具セット及びケーブル接続方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/14 20060101AFI20220629BHJP
   H02G 9/10 20060101ALI20220629BHJP
   H02G 15/18 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
H02G1/14
H02G9/10
H02G15/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215064
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000212739
【氏名又は名称】株式会社シーテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 清明
(72)【発明者】
【氏名】井上 卓
(72)【発明者】
【氏名】森田 颯
【テーマコード(参考)】
5G355
5G369
5G375
【Fターム(参考)】
5G355AA03
5G355BA14
5G355CA06
5G369BA06
5G369EA03
5G375AA02
5G375CA02
5G375CB08
5G375DB35
(57)【要約】
【課題】狭隘なマンホール内でCVケーブルを接続する際に使用するために、小型軽量でマンホール内への搬入及び搬出が容易であり、かつより少ない作業者でCVケーブルの接続作業を行うことを支援できる、ケーブル接続治具セット及びケーブル接続方法を提供する。
【解決手段】マンホール内にてCVケーブルを接続する際に使用される第1、第2、第3ケーブル接続治具にて構成されたケーブル接続治具セットであって、第1、第2ケーブル接続治具10A、10Bは、マンホール内に固定された足場板に着脱可能な基部11と、上方開口凹部13と、基部と上方開口凹部とを接続するフレーム部12と、上方開口凹部13に着脱可能とされて上方開口凹部に載置されたCVケーブルの固定と解除が可能とされたケーブル把持部20、のみで構成され、第3ケーブル接続治具は、基部、フレーム部、緩衝材が被せられた上方開口凹部、のみで構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表に設けられた作業者の出入口と当該出入口の下方の地中に形成されたケーブル作業空間とを含むマンホール内にて地中送電線であるCVケーブルを接続する際に使用されるケーブル接続治具セットであって、
前記ケーブル接続治具セットは、第1ケーブル接続治具と第2ケーブル接続治具と第3ケーブル接続治具にて構成されており、
前記第1ケーブル接続治具と前記第2ケーブル接続治具と前記第3ケーブル接続治具とのそれぞれは、
前記マンホール内に搬入されて前記マンホール内に固定された足場板に着脱可能な基部と、
接続対象となる前記CVケーブルを載置可能とするように上方が開口した凹状形状を有する上方開口凹部と、
上下方向に延びて前記基部と前記上方開口凹部とを接続するフレーム部と、
を有しており、
前記第1ケーブル接続治具と前記第2ケーブル接続治具とのそれぞれは、
前記上方開口凹部に着脱可能とされて前記上方開口凹部に載置された前記CVケーブルを前記上方開口凹部に固定することと前記固定を解除することが可能とされたケーブル把持部を有し、
前記基部、前記フレーム部、前記上方開口凹部、前記上方開口凹部に着脱可能とされた前記ケーブル把持部、のみにて構成されており、
前記第3ケーブル接続治具は、
上方が開口した凹状形状の前記上方開口凹部に沿ってシート状の緩衝材が被せられており、
前記基部、前記フレーム部、前記緩衝材が被せられた前記上方開口凹部、のみにて構成されている、
ケーブル接続治具セット。
【請求項2】
請求項1に記載のケーブル接続治具セットであって、
前記第1ケーブル接続治具と前記第2ケーブル接続治具のそれぞれの前記ケーブル把持部は、
載置された前記CVケーブルの下方を支持するように上方が開口した円弧形状を有するケーブル下方支持部と、
載置された前記CVケーブルの上方を支持するように下方が開口した円弧形状を有するケーブル上方支持部であって、円弧形状を有する前記ケーブル下方支持部の一方端である下方支持部一方端に設けられた回動軸部に、円弧形状を有する前記ケーブル上方支持部の一方端である上方支持部一方端が接続されて前記ケーブル下方支持部に対して回動可能とされた前記ケーブル上方支持部と、
円弧形状を有する前記ケーブル下方支持部の他方端である下方支持部他方端と、円弧形状を有する前記ケーブル上方支持部の他方端である上方支持部他方端とが近づくように前記ケーブル上方支持部を回動させた場合に、前記下方支持部他方端と前記上方支持部他方端との間の距離を調整することで円弧形状の前記ケーブル下方支持部の内周面と、円弧形状の前記ケーブル上方支持部の内周面とで囲まれる把持径を調整可能な把持径調整機構と、
を有しており、
それぞれの前記把持径調整機構は、
前記下方支持部他方端または前記上方支持部他方端に設けられて、前記把持径を調整する際に前記下方支持部他方端に対して前記上方支持部他方端を所定距離内に規制することと、前記規制を解除することを可能とする規制機構を有している、
ケーブル接続治具セット。
【請求項3】
請求項2に記載のケーブル接続治具セットであって、
前記第1ケーブル接続治具と前記第2ケーブル接続治具のそれぞれの前記上方開口凹部には、前記ケーブル把持部が取り付けられている場合に前記把持径調整機構または回動された前記ケーブル上方支持部との干渉を回避する切欠き部が形成されている、
ケーブル接続治具セット。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のケーブル接続治具セットを用いて、第1CVケーブルの端部と第2CVケーブルの端部とを接続する、ケーブル接続方法であって、
前記第1ケーブル接続治具と、前記第2ケーブル接続治具と、前記第3ケーブル接続治具と、板状の足場板と、を用意し、
前記足場板には、前記第1ケーブル接続治具の前記基部と前記第2ケーブル接続治具の前記基部とを第1所定距離を開けた状態で固定可能な複数の基部取付長孔が設けられており、前記基部取付長孔は、前記足場板に固定された前記第1ケーブル接続治具と前記第2ケーブル接続治具が対向する方向に沿って延びる長孔とされており、
前記足場板における前記第1ケーブル接続治具を固定可能な前記基部取付長孔と、前記第2ケーブル接続治具を固定可能な前記基部取付長孔との間には、前記第3ケーブル接続治具の前記基部を固定可能な基部取付孔が設けられており、
前記ケーブル把持部が取り付けられた前記第1ケーブル接続治具の前記基部を前記基部取付長孔に固定し、前記第1ケーブル接続治具から前記第1所定距離だけ離れた位置に、前記ケーブル把持部が取り付けられた前記第2ケーブル接続治具の前記基部を、前記基部取付長孔に固定する、治具取付ステップと、
前記第1CVケーブルの端部から、筒状形状を有する第1筒状鉛管と、筒状形状を有する筒状ゴムユニットとを挿通し、前記第2CVケーブルの端部から、筒状形状を有する第2筒状鉛管を挿通する、事前挿通ステップと、
前記第1CVケーブルの端部から導体を露出させ、露出させた前記導体よりも第2所定距離だけ離れた前記第1CVケーブルの位置を、前記第1ケーブル接続治具の前記上方開口凹部に取り付けられている前記ケーブル把持部にて固定し、前記第2CVケーブルの端部から導体を露出させ、露出させた前記導体よりも第2所定距離だけ離れた前記第2CVケーブルの位置を、前記第2ケーブル接続治具の前記上方開口凹部に取り付けられている前記ケーブル把持部にて固定し、固定の際、前記第1CVケーブルの端部から露出させた前記導体と、前記第2CVケーブルの端部から露出させた前記導体とが第3所定距離だけ離れて対向するように固定する、ケーブル固定ステップと、
導電性を有する筒状部材であるスリーブの一方端に前記第1CVケーブルの前記導体を挿通し、前記スリーブの他方端に前記第2CVケーブルの前記導体を挿通する、スリーブ挿通ステップと、
前記基部取付長孔に固定した前記第1ケーブル接続治具または前記第2ケーブル接続治具の固定を緩め、前記基部取付長孔に沿って前記第1ケーブル接続治具と前記第2ケーブル接続治具が近づくようにスライドさせることで、前記第1CVケーブルの前記導体を前記スリーブの一方端の側から他方端の側に押圧するとともに前記第2CVケーブルの前記導体を前記スリーブの他方端の側から一方端の側に押圧し、前記基部取付長孔への固定を緩めた前記第1ケーブル接続治具または前記第2ケーブル接続治具を再固定する、押圧ステップと、
前記押圧している状態にて前記スリーブをかしめて、前記第1CVケーブルの前記導体と前記第2CVケーブルの前記導体とを、前記スリーブを介して接続する、ケーブル接続ステップと、
前記スリーブと、露出している前記第1CVケーブルの前記導体と、露出している前記第2CVケーブルの前記導体と、の外周に、導電部材と絶縁部材の中間の導電性を有する半導電部材を、前記第1CVケーブルの前記導体と前記スリーブと前記第2CVケーブルの前記導体との外周に巻回する、導体谷埋めステップと、
前記第1ケーブル接続治具の前記ケーブル把持部での前記第1CVケーブルの固定を一旦解除して前記筒状ゴムユニットの位置を前記スリーブを覆う位置に移動させて前記第1ケーブル接続治具の前記ケーブル把持部にて再度、前記第1CVケーブルを固定し、前記筒状ゴムユニットを下から支持可能となる前記足場板の前記基部取付孔に前記第3ケーブル接続治具の前記基部を固定して、前記筒状ゴムユニットを、前記第3ケーブル接続治具の前記上方開口凹部に被せられた前記緩衝材に載置し、前記スリーブを覆った前記筒状ゴムユニットを収縮させる、筒状ゴムユニット取付ステップと、
前記筒状ゴムユニットの外周に前記導電部材を巻回した導電層を形成し、前記導電層の外周に前記絶縁部材を巻回した絶縁層を形成する、シールド処理ステップと、
前記第1ケーブル接続治具の前記ケーブル把持部を取り外して前記第1CVケーブルを前記第1ケーブル接続治具の前記上方開口凹部に載置し、前記第1筒状鉛管の位置を前記第1CVケーブルの側の前記絶縁層を覆う位置に移動させ、前記第2ケーブル接続治具の前記ケーブル把持部を取り外して前記第2CVケーブルを前記第2ケーブル接続治具の前記上方開口凹部に載置し、前記第2筒状鉛管の位置を前記第2CVケーブルの側の前記絶縁層を覆う位置に移動させ、前記第1筒状鉛管における前記第2CVケーブルの側と、前記第2筒状鉛管における前記第1CVケーブルの側とを重ねるまたは近接するように対向させる、鉛管移動ステップと、
前記第1筒状鉛管における前記第2CVケーブルの側と、前記第2筒状鉛管における前記第1CVケーブルの側との間の隙間を密封し、前記第1筒状鉛管における前記第2CVケーブルの側とは反対側の端部と、前記第1CVケーブルとの間の隙間を密封し、前記第2筒状鉛管における前記第1CVケーブルの側とは反対側の端部と、前記第2CVケーブルとの間の隙間を密封する、鉛管密封ステップと、
を有する、
ケーブル接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中送電線であるCVケーブルを接続する際に使用されるケーブル接続治具セット及びケーブル接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
市街地等の地中には、各変電所や需要家(需要場所)に電力を供給する地中送電線である複数のCVケーブルが張り巡らされている。地中送電線で使用されるCVケーブルは、トラック等で搬送可能な長さ毎に切り出されて搬送され、通常、地表に設けられた作業者の出入口と当該出入口の下方の地中に形成されたケーブル作業空間とを含むマンホール内で接続されている。またマンホール内のケーブル作業空間は、通常、道路下に構築されている。またマンホール内のケーブル作業空間は、必要最小限の大きさとされており、一般的にその内寸は、左右方向長さ5.2~5.9[m]程度、前後方向長さ1.4[m]程度、高さ1.8~2.0[m]程度の、接続作業するには非常に狭い空間である。また地上の作業者がマンホール内へ出入りする際の出入口の径は、1[m]前後であり、非常に狭い。
【0003】
またマンホール内のケーブル作業空間には、既設のケーブルや接続部等があり、作業スペースが非常に限定されている場合も多い。このような作業環境で、新たに設置したCVケーブルを接続する際、熟練の作業者が手作業で接続している。従来では、例えば第1CVケーブルと第2CVケーブルの接続作業の際には、まず、第1CVケーブルの端部から導体を露出させ、第2CVケーブルの端部から導体を露出させている。そして、第1作業者が第1CVケーブルを支持し、第2作業者が第2CVケーブルを支持して、互いの導体が近接するように位置決めし、第3作業者が互いの導体を圧縮接続しており、3人の作業者を必要としている。そこで、より少ない作業者にて、効率良くCVケーブルの接続作業を行うことができる、ケーブル接続治具セット及びケーブル接続方法が所望されている。なお、CVケーブルの接続方法には、種々の方法があるが、本願では、ゴムブロック式接続部(RBJ:Rubber Block Joint)を用いた接続方法を対象としている。
【0004】
例えば特許文献1には、CVケーブル用プレハブ型接続箱を自動組み立てできる、組立装置が開示されている。そして組立装置は、互いに平行する第1レールと第2レールを備えた架台と、第1レールに沿って移動する2台のストレスコーン圧縮台と、2台のストレスコーン圧縮台の間で移動するエポキシユニット台と、第2レールに沿って移動するストレスコーン装着台と、一方のレールから他方のレールに移動するケーブル保持台等を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-255113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の、CVケーブル用プレハブ型接続箱の組立装置は、種々のレール機構やモータ等を用いており、装置の構造が複雑でサイズが非常に大きく、かつ非常に大きな重量となっている。このため、上述した狭隘なマンホールへの搬入及び搬出には適していない。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、狭隘なマンホール内でCVケーブルを接続する際に使用するために、小型軽量でマンホール内への搬入及び搬出が容易であり、かつより少ない作業者でCVケーブルの接続作業を行うことを支援できる、ケーブル接続治具セット及びケーブル接続方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1の発明は、地表に設けられた作業者の出入口と当該出入口の下方の地中に形成されたケーブル作業空間とを含むマンホール内にて地中送電線であるCVケーブルを接続する際に使用されるケーブル接続治具セットであって、前記ケーブル接続治具セットは、第1ケーブル接続治具と第2ケーブル接続治具と第3ケーブル接続治具にて構成されている。前記第1ケーブル接続治具と前記第2ケーブル接続治具と前記第3ケーブル接続治具とのそれぞれは、前記マンホール内に搬入されて前記マンホール内に固定された足場板に着脱可能な基部と、接続対象となる前記CVケーブルを載置可能とするように上方が開口した凹状形状を有する上方開口凹部と、上下方向に延びて前記基部と前記上方開口凹部とを接続するフレーム部と、を有している。また前記第1ケーブル接続治具と前記第2ケーブル接続治具とのそれぞれは、前記上方開口凹部に着脱可能とされて前記上方開口凹部に載置された前記CVケーブルを前記上方開口凹部に固定することと前記固定を解除することが可能とされたケーブル把持部を有し、前記基部、前記フレーム部、前記上方開口凹部、前記上方開口凹部に着脱可能とされた前記ケーブル把持部、のみにて構成されている。また前記第3ケーブル接続治具は、上方が開口した凹状形状の前記上方開口凹部に沿ってシート状の緩衝材が被せられており、前記基部、前記フレーム部、前記緩衝材が被せられた前記上方開口凹部、のみにて構成されている、ケーブル接続治具セットである。
【0009】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係るケーブル接続治具セットであって、前記第1ケーブル接続治具と前記第2ケーブル接続治具のそれぞれの前記ケーブル把持部は、載置された前記CVケーブルの下方を支持するように上方が開口した円弧形状を有するケーブル下方支持部と、載置された前記CVケーブルの上方を支持するように下方が開口した円弧形状を有するケーブル上方支持部であって、円弧形状を有する前記ケーブル下方支持部の一方端である下方支持部一方端に設けられた回動軸部に、円弧形状を有する前記ケーブル上方支持部の一方端である上方支持部一方端が接続されて前記ケーブル下方支持部に対して回動可能とされた前記ケーブル上方支持部と、円弧形状を有する前記ケーブル下方支持部の他方端である下方支持部他方端と、円弧形状を有する前記ケーブル上方支持部の他方端である上方支持部他方端とが近づくように前記ケーブル上方支持部を回動させた場合に、前記下方支持部他方端と前記上方支持部他方端との間の距離を調整することで円弧形状の前記ケーブル下方支持部の内周面と、円弧形状の前記ケーブル上方支持部の内周面とで囲まれる把持径を調整可能な把持径調整機構と、を有している。また、それぞれの前記把持径調整機構は、前記下方支持部他方端または前記上方支持部他方端に設けられて、前記把持径を調整する際に前記下方支持部他方端に対して前記上方支持部他方端を所定距離内に規制することと、前記規制を解除することを可能とする規制機構を有している、ケーブル接続治具セットである。
【0010】
次に、本発明の第3の発明は、上記第2の発明に係るケーブル接続治具セットであって、前記第1ケーブル接続治具と前記第2ケーブル接続治具のそれぞれの前記上方開口凹部には、前記ケーブル把持部が取り付けられている場合に前記把持径調整機構または回動された前記ケーブル上方支持部との干渉を回避する切欠き部が形成されている、ケーブル接続治具セットである。
【0011】
次に、本発明の第4の発明は、第1の発明~第3の発明のいずれか1つに記載のケーブル接続治具セットを用いて、第1CVケーブルの端部と第2CVケーブルの端部とを接続する、ケーブル接続方法である。前記第1ケーブル接続治具と、前記第2ケーブル接続治具と、前記第3ケーブル接続治具と、板状の足場板と、を用意し、前記足場板には、前記第1ケーブル接続治具の前記基部と前記第2ケーブル接続治具の前記基部とを第1所定距離を開けた状態で固定可能な複数の基部取付長孔が設けられており、前記基部取付長孔は、前記足場板に固定された前記第1ケーブル接続治具と前記第2ケーブル接続治具が対向する方向に沿って延びる長孔とされている。また前記足場板における前記第1ケーブル接続治具を固定可能な前記基部取付長孔と、前記第2ケーブル接続治具を固定可能な前記基部取付長孔との間には、前記第3ケーブル接続治具の前記基部を固定可能な基部取付孔が設けられている。そして、前記ケーブル把持部が取り付けられた前記第1ケーブル接続治具の前記基部を前記基部取付長孔に固定し、前記第1ケーブル接続治具から前記第1所定距離だけ離れた位置に、前記ケーブル把持部が取り付けられた前記第2ケーブル接続治具の前記基部を、前記基部取付長孔に固定する、治具取付ステップを有する。また、前記第1CVケーブルの端部から、筒状形状を有する第1筒状鉛管と、筒状形状を有する筒状ゴムユニットとを挿通し、前記第2CVケーブルの端部から、筒状形状を有する第2筒状鉛管を挿通する、事前挿通ステップを有する。また、前記第1CVケーブルの端部から導体を露出させ、露出させた前記導体よりも第2所定距離だけ離れた前記第1CVケーブルの位置を、前記第1ケーブル接続治具の前記上方開口凹部に取り付けられている前記ケーブル把持部にて固定し、前記第2CVケーブルの端部から導体を露出させ、露出させた前記導体よりも第2所定距離だけ離れた前記第2CVケーブルの位置を、前記第2ケーブル接続治具の前記上方開口凹部に取り付けられている前記ケーブル把持部にて固定し、固定の際、前記第1CVケーブルの端部から露出させた前記導体と、前記第2CVケーブルの端部から露出させた前記導体とが第3所定距離だけ離れて対向するように固定する、ケーブル固定ステップを有する。また、導電性を有する筒状部材であるスリーブの一方端に前記第1CVケーブルの前記導体を挿通し、前記スリーブの他方端に前記第2CVケーブルの前記導体を挿通する、スリーブ挿通ステップを有する。また、前記基部取付長孔に固定した前記第1ケーブル接続治具または前記第2ケーブル接続治具の固定を緩め、前記基部取付長孔に沿って前記第1ケーブル接続治具と前記第2ケーブル接続治具が近づくようにスライドさせることで、前記第1CVケーブルの前記導体を前記スリーブの一方端の側から他方端の側に押圧するとともに前記第2CVケーブルの前記導体を前記スリーブの他方端の側から一方端の側に押圧し、前記基部取付長孔への固定を緩めた前記第1ケーブル接続治具または前記第2ケーブル接続治具を再固定する、押圧ステップを有する。また、前記押圧している状態にて前記スリーブをかしめて、前記第1CVケーブルの前記導体と前記第2CVケーブルの前記導体とを、前記スリーブを介して接続する、ケーブル接続ステップを有する。また、前記スリーブと、露出している前記第1CVケーブルの前記導体と、露出している前記第2CVケーブルの前記導体と、の外周に、導電部材と絶縁部材の中間の導電性を有する半導電部材を、前記第1CVケーブルの前記導体と前記スリーブと前記第2CVケーブルの前記導体との外周に巻回する、導体谷埋めステップを有する。また、前記第1ケーブル接続治具の前記ケーブル把持部での前記第1CVケーブルの固定を一旦解除して前記筒状ゴムユニットの位置を前記スリーブを覆う位置に移動させて前記第1ケーブル接続治具の前記ケーブル把持部にて再度、前記第1CVケーブルを固定し、前記筒状ゴムユニットを下から支持可能となる前記足場板の前記基部取付孔に前記第3ケーブル接続治具の前記基部を固定して、前記筒状ゴムユニットを前記第3ケーブル接続治具の前記上方開口凹部に被せられた前記緩衝材に載置し、前記スリーブを覆った前記筒状ゴムユニットを収縮させる、筒状ゴムユニット取付ステップを有する。また、前記筒状ゴムユニットの外周に前記導電部材を巻回した導電層を形成し、前記導電層の外周に前記絶縁部材を巻回した絶縁層を形成する、シールド処理ステップを有する。また、前記第1ケーブル接続治具の前記ケーブル把持部を取り外して前記第1CVケーブルを前記第1ケーブル接続治具の前記上方開口凹部に載置し、前記第1筒状鉛管の位置を前記第1CVケーブルの側の前記絶縁層を覆う位置に移動させ、前記第2ケーブル接続治具の前記ケーブル把持部を取り外して前記第2CVケーブルを前記第2ケーブル接続治具の前記上方開口凹部に載置し、前記第2筒状鉛管の位置を前記第2CVケーブルの側の前記絶縁層を覆う位置に移動させ、前記第1筒状鉛管における前記第2CVケーブルの側と、前記第2筒状鉛管における前記第1CVケーブルの側とを重ねるまたは近接するように対向させる、鉛管移動ステップを有する。また、前記第1筒状鉛管における前記第2CVケーブルの側と、前記第2筒状鉛管における前記第1CVケーブルの側との間の隙間を密封し、前記第1筒状鉛管における前記第2CVケーブルの側とは反対側の端部と、前記第1CVケーブルとの間の隙間を密封し、前記第2筒状鉛管における前記第1CVケーブルの側とは反対側の端部と、前記第2CVケーブルとの間の隙間を密封する、鉛管密封ステップを有する、ケーブル接続方法である。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明によれば、第1ケーブル接続治具と第2ケーブル接続治具のそれぞれは、基部、フレーム部、上方開口凹部、着脱可能なケーブル把持部、のみにて構成されており、第3ケーブル接続治具は、基部、フレーム部、緩衝材が被せられた上方開口凹部、のみにて構成されているので、小型軽量でマンホール内への搬入及び搬出が容易である。またケーブル把持部にてCVケーブルを固定及び位置決めすることができるので、第1CVケーブルと第2CVケーブルの接続の際、第1ケーブル接続治具と第2ケーブル接続治具にてそれぞれのCVケーブルを固定及び位置決めできる。これにより、第1CVケーブルを支持する作業者と、第2CVケーブルを支持する作業者が不要となり、一人の作業者でCVケーブルの接続作業を行うことを支援できる。また、ゴムブロック式接続部を用いた接続方法を行う際、第3ケーブル接続治具にて、ゴムブロック式接続部(筒状ゴムユニットに相当)を適切に支持することができる。
【0013】
第2の発明によれば、CVケーブルの固定と、固定の解除とを容易かつ適切に行うことができるケーブル把持部を具体的に実現することができる。また、CVケーブルをケーブル把持部に載置する際には規制機構による規制を解除して載置し、載置したCVケーブルを固定する際には規制機構による規制を行って把持径を調整することが容易にできる。
【0014】
第3の発明によれば、把持径調整機構またはケーブル上方支持部と、上方開口凹部との干渉を回避できるので、把持径調整機構の動作またはケーブル上方支持部の回動動作を、適切に行わせることができる。
【0015】
第4の発明によれば、第1の発明~第3の発明のいずれか1つに記載のケーブル接続治具を用いて、小型軽量でマンホール内のケーブル作業空間への搬入及び搬出が容易であり、より少ない作業者で(一人の作業者で)、CVケーブルの接続作業を行うことができるケーブル接続方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】基部、フレーム部、上方開口凹部、着脱可能なケーブル把持部、を備えた第1ケーブル接続治具及び第2ケーブル接続治具の外観の例を説明する斜視図である。
図2】フレーム部の一部と一体とされた上方開口凹部の外観の例を説明する斜視図である。
図3】フレーム部の一部と一体とされた基部の外観の例を説明する斜視図である。
図4】ケーブル把持部の外観の例を説明する斜視図である。
図5】基部、フレーム部、上方開口凹部、ケーブル把持部、を有する第1ケーブル接続治具(及び第2ケーブル接続治具)の組み付けを説明する分解図である。
図6】基部、フレーム部、上方開口凹部、ケーブル把持部、を組み付けた状態の第1ケーブル接続治具(及び第2ケーブル接続治具)を足場板の基部取付長孔に固定した様子を説明する図である。
図7】足場板の外観の例を説明する斜視図である。
図8】基部、フレーム部、緩衝材が被せられた上方開口凹部、を備えた第3ケーブル接続治具の外観の例を説明する斜視図である。
図9】マンホール(出入口と出入口の下方の地中に形成されたケーブル作業空間とを含む)の例を説明する図である。
図10】ケーブル接続方法における治具取付ステップと事前挿通ステップを説明する図である。
図11】CVケーブルの構造の例を説明する図である。
図12】ケーブル接続方法におけるケーブル固定ステップを説明する図である。
図13】ケーブル接続方法におけるスリーブ挿通ステップを説明する図である。
図14】ケーブル接続方法における押圧ステップとケーブル接続ステップを説明する図である。
図15】ケーブル接続方法における導体谷埋めステップを説明する図である。
図16】ケーブル接続方法における筒状ゴムユニット取付ステップを説明する図である。
図17】ケーブル接続方法における筒状ゴムユニット取付ステップを説明する斜視図である。
図18】ケーブル接続方法におけるシールド処理ステップを説明する図である。
図19】ケーブル接続方法における鉛管移動ステップと鉛管密封ステップを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1ケーブル接続治具10A及び第2ケーブル接続治具10Bの外観と構造(図1)]
以下、本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。なお図中にX軸、Y軸、Z軸が記載されている場合、X軸とY軸とZ軸は互いに直交しており、Z軸は上方向に向かう鉛直方向を示し、X軸とY軸は水平方向を示している。本実施の形態にて説明するケーブル接続治具には、第1ケーブル接続治具10A、第2ケーブル接続治具10B、第3ケーブル接続治具10Z、の3つがあり、第1ケーブル接続治具10Aと第2ケーブル接続治具10Bは同じものである。まず図1を用いて、第1ケーブル接続治具10A(第2ケーブル接続治具10Bは同じであるので省略)の全体構造について説明する。ケーブル接続治具セット(第1ケーブル接続治具10Aと、第2ケーブル接続治具10Bと、第3ケーブル接続治具10Z)は、図9に示すように、作業用及び点検用として設けられた出入口91の下方の地中に形成されたケーブル作業空間92にて地中送電線であるCVケーブル(図9の例では、第1CVケーブル81、第2CVケーブル82)を接続する際に使用される。なお本実施の形態の説明では、出入口91とケーブル作業空間92を含めて「マンホール」と呼ぶ。
【0018】
図1に示すように、第1ケーブル接続治具10A(及び第2ケーブル接続治具10B)は、基部11、フレーム部12(下フレーム部12A、上フレーム部12B)、上方開口凹部13、ケーブル把持部20を有し、基部11、フレーム部12、上方開口凹部13、上方開口凹部13に着脱可能とされたケーブル把持部20、のみにて構成されている。また例えば第1ケーブル接続治具10Aは、X軸方向の長さが150[mm]程度、Y軸方向の長さが300[mm]程度、Z軸方向の高さが250[mm]程度であり、小型・軽量である。このため、図9に示すように、出入口91からケーブル作業空間92へとマンホール内への搬入、及びマンホール内からの搬出が容易である。第1ケーブル接続治具10Aと第2ケーブル接続治具10Bは、従来利用していたケーブル接続治具を改良して、ケーブル把持部20を着脱可能となるように追加し、高さ調整が可能な機構を追加したものである。以下、各部を順に説明する。
【0019】
[上方開口凹部13(及び上フレーム部12B)の外観と構造(図2)]
図2に示すように、上方開口凹部13は、金属等にて形成され、接続対象となるCVケーブルを載置可能とするように上方が開口した凹状形状を有している。上方開口凹部13の上面であるケーブル載置面13Cには、接続対象のCVケーブルまたは筒状鉛管が載置される。本実施の形態の例では、上方開口凹部13は、上方が開口した円弧形状である例を示している。上方開口凹部13の略中央部には、ケーブル把持部20(図1参照)を取り付けるための貫通孔である把持部取付孔13Bが開口されている。把持部取付孔13Bは、上フレーム部12Bの内部と連通している。また上方開口凹部13の端部近傍には、ケーブル把持部20(図1参照)が取り付けられている場合に、把持径調整機構(図6に示す把持径調整ネジ24、把持径調整ダイヤル25)または回動されたケーブル上方支持部23(図6参照)との干渉を回避するための切欠き部13Aが形成されている。
【0020】
また上方開口凹部13の下方には、フレーム部12の一部である上フレーム部12Bが溶接等にて固定されている。上フレーム部12Bは、金属等にて形成され、上下方向に延びる筒状形状を有している。また上フレーム部12Bの側面には、基部11(図6参照)に対する上方開口凹部13を位置決めする(下フレーム部12A(図6参照)に対する上フレーム部12Bを位置決めする)フレーム固定孔12BFが形成されている。フレーム固定孔12BFは、基部11(図6参照)に対する上方開口凹部13の高さを調整可能なフレーム高調整機構に相当している。また上フレーム部12Bの側面には、上方開口凹部13に対するケーブル把持部20(図6参照)を位置決めする把持部固定孔12BHが形成されている。把持部固定孔12BHは、上方開口凹部13に対するケーブル把持部20(図6参照)の高さを調整可能な把持高調整機構に相当している。
【0021】
[基部11(及び下フレーム部12A)の外観と構造(図3)]
図3に示すように、基部11は、金属等にて形成され、板状形状を有しており、足場板90(図8図10参照)に着脱可能である。基部11は、ボルトとナット等の締結部材を用いて足場板90に取り付ける(図6参照)ための基部孔11Aが形成されている。
【0022】
また基部11の上方には、フレーム部12の一部である下フレーム部12Aが溶接等にて固定されている。下フレーム部12Aは、金属等にて形成され、上下方向に延びる筒状形状を有している。また下フレーム部12Aの側面には、基部11に対する上方開口凹部(図6参照)を位置決めする(下フレーム部12Aに対する上方開口凹部13(図6参照)を位置決めする)フレーム高さ調整孔12A1、12A2が形成されている。フレーム高さ調整孔12A1、12A2は、基部11に対する上方開口凹部13(図6参照)の高さを調整可能なフレーム高調整機構に相当している。
【0023】
[フレーム部12の外観と構造(図1図3)]
フレーム部12は、図1に示すように、下フレーム部12Aと上フレーム部12Bにて構成され、上下方向に延びて基部11と上方開口凹部13とを接続している。本実施の形態では、筒状の下フレーム部12Aの外径が、筒状の上フレーム部12Bの内径よりも小さな場合の例を示しており、下フレーム部12Aに対する上フレーム部12Bの位置を調整可能である。本実施の形態の例では、上フレーム部12Bのフレーム固定孔12BFの位置を下フレーム部12Aのフレーム高さ調整孔12A1の位置と一致させた場合と、上フレーム部12Bのフレーム固定孔12BFの位置を下フレーム部12Aのフレーム高さ調整孔12A2の位置と一致させた場合の、いずれかに調整可能である。
【0024】
[ケーブル把持部20の外観と構造(図4)]
図4に示すように、ケーブル把持部20は、把持部ベース20A、把持台21、ケーブル下方支持部22、ケーブル上方支持部23、把持径調整ネジ24、把持径調整ダイヤル25等を有している。ケーブル把持部20は、上方開口凹部13に着脱可能とされており、上方開口凹部13に載置されたCVケーブルを上方開口凹部13に固定することと、当該固定を解除することが可能である。
【0025】
把持部ベース20Aは、金属等にて形成され、上下方向に延びる筒状形状を有している。また把持部ベース20Aの側面には、上方開口凹部13(図6参照)に対するケーブル把持部20を位置決めする把持部高さ調整孔20A1、20A2が形成されている。把持部高さ調整孔20A1、20A2は、上方開口凹部13(図6参照)に対するケーブル把持部20の高さを調整可能な把持高調整機構に相当している。また把持部ベース20Aの外径は、図2に示す上方開口凹部13に形成された把持部取付孔13Bの内径よりも小さく、図3に示す下フレーム部12Aの内径よりも小さい。
【0026】
把持台21は、金属等にて形成され、板状形状を有し、把持部ベース20Aの上端に溶接等にて固定されている。
【0027】
ケーブル下方支持部22は、金属等にて形成され、把持台21の上面に溶接等にて固定されている。ケーブル下方支持部22は、載置されたCVケーブル(第1CVケーブル81または第2CVケーブル82)の下方を支持(図6参照)するように上方が開口した円弧形状を有している。ケーブル下方支持部22の一方端である下方支持部一方端22Fには、回動軸部22Aが設けられている。そして回動軸部22Aには、ケーブル上方支持部23の一方端である上方支持部一方端23Fが接続されている。
【0028】
また図5に示すように、ケーブル下方支持部22の他方端である下方支持部他方端22Nには、ケーブル上方支持部23の他方端である上方支持部他方端23Nと下方支持部他方端22Nとが近づくようにケーブル上方支持部23を回動させた場合に、下方支持部他方端22Nと上方支持部他方端23Nとの間の距離を調整することで、円弧形状のケーブル下方支持部22の内周面と、円弧形状のケーブル上方支持部23の内周面とで囲まれる把持径R1(図5参照)を調整可能な把持径調整機構(把持径調整ネジ24、把持径調整ダイヤル25)が設けられている。
【0029】
また把持径調整ネジ24の下端は、下方支持部他方端22Nに設けられたネジ用回動軸部22Bに取り付けられている。これにより、把持径調整ネジ24は、図5及び図6に示すように、ネジ用回動軸部22B回りに回動可能とされている。そして把持径調整ネジ24には把持径調整ダイヤル25が取り付けられており、作業者が把持径調整ダイヤル25を回転させることで、把持径調整ネジ24に対する把持径調整ダイヤル25の位置を変更可能である。
【0030】
ケーブル上方支持部23は、金属等にて形成され、上方支持部一方端23Fが回動軸部22Aに接続され、回動軸部22A回りに回動可能とされている。ケーブル上方支持部23は、載置されたCVケーブル(第1CVケーブル81または第2CVケーブル82)の上方を支持(図6参照)するように下方が開口した円弧形状を有している。
【0031】
また上方支持部他方端23Nには、上方支持部他方端23Nが下方支持部他方端22Nに近づくようにケーブル上方支持部23を回動させた場合に、回動させた把持径調整ネジ24を差し込むことが可能となるネジ挿通隙間23B(把持径調整機構に相当)が形成されている。下方支持部他方端22Nに設けられたネジ用回動軸部22Bと把持径調整ネジ24とネジ挿通隙間23Bと把持径調整ダイヤル25は、把持径R1(図5参照)を調整する際に下方支持部他方端22Nに対して上方支持部他方端23Nを所定距離内に規制(把持径調整ネジ24の長さ以内に規制)することと、当該規制を解除することを可能とする規制機構に相当している。
【0032】
作業者は、把持径調整ダイヤル25を把持して把持径調整ネジ24を回動させてネジ挿通隙間23Bに把持径調整ネジ24を差し込んだ場合、上記の「規制」の状態にすることができる。また作業者は、把持径調整ダイヤル25を把持して把持径調整ネジ24を回動させてネジ挿通隙間23Bから外れた位置に把持径調整ネジ24を回動させた場合、上記の「規制の解除」状態にすることができる。そして作業者は、「規制」の状態の場合に、把持径調整機構である把持径調整ダイヤル25を回すことで、把持径R1(図5参照)を調整することができる。
【0033】
なお本実施の形態では、ネジ用回動軸部22Bと把持径調整ネジ24をケーブル下方支持部22に設け、ネジ挿通隙間23Bをケーブル上方支持部23に設けた例を説明したが、ネジ用回動軸部22Bと把持径調整ネジ24をケーブル上方支持部23に設け、ネジ挿通隙間23Bをケーブル下方支持部22に設けるようにしてもよい。
【0034】
[第1ケーブル接続治具10A(及び第2ケーブル接続治具10B)の組立(図5図6)と、足場板の外観と構造(図7)]
次に図5及び図6を用いて、上述した下フレーム部12Aを備えた基部11と、上フレーム部12Bを備えた上方開口凹部13と、ケーブル把持部20と、を組み付けた第1ケーブル接続治具10Aの組み立てについて説明する。なお、第2ケーブル接続治具10Bの組み立ては、第1ケーブル接続治具10Aの組み立てと同じであるので説明を省略する。
【0035】
まず図5に示すように各部を配置し、下フレーム部12Aを上フレーム部12Bに挿通し、フレーム固定孔12BFの位置と、フレーム高さ調整孔12A1または12A2の位置とを一致させ、締結部材BFを用いて、下フレーム部12Aと上フレーム部12Bとを結合させる(図6参照)。
【0036】
次に図5に示す上方開口凹部13の把持部取付孔13Bに、ケーブル把持部20の把持部ベース20Aを挿通し、把持部固定孔12BHの位置と、把持部高さ調整孔20A1または20A2の位置とを一致させ、締結部材BHを用いて、上フレーム部12Bを備えた上方開口凹部13とケーブル把持部20とを結合させる(図6参照)。
【0037】
また、基部11は、貫通孔である基部取付長孔90Bが形成された足場板90に、締結部材BB、NB等を用いて取り付けられる。なお足場板90は、図7に示す外観を有しており、金属等で形成された板状形状を有している。図7に示すように、足場板90は、第1ケーブル接続治具10Aと第2ケーブル接続治具10Bを第1所定距離L1だけ開けた状態で固定可能(図12参照)な、貫通孔である複数の基部取付長孔90Bが形成されている。また図7に示すように、足場板90には、基部取付長孔90Bの他にも、貫通孔とされた基部取付孔90Aも形成されている。基部取付長孔90Bは、足場板90の長手方向に沿って延びる長孔である。
【0038】
[第3ケーブル接続治具10Zの構造と外観(図8)]
図8に示すように、第3ケーブル接続治具10Zは、基部11Z、フレーム部12Z、緩衝材29が被せられた上方開口凹部13Z、のみにて構成されている。また、第3ケーブル接続治具10Zのサイズは、第1ケーブル接続治具10A及び第2ケーブル接続治具10Bと同等のサイズである。
【0039】
基部11Zの上方には、フレーム部12Zの一部である下フレーム部12Xが溶接等にて固定されている。そして基部11Zは、図1に示した、下フレーム部12Aが固定された基部11と同じであるので、説明を省略する。
【0040】
フレーム部12Zは、下フレーム部12Xと上フレーム部12Yにて構成され、上下方向に延びて基部11Zと上方開口凹部13Zとを接続している。また下フレーム部12Xと上フレーム部12Yにて構成されたフレーム部12Zは、貫通孔12W、12Vが形成されていることを除いて、図1に示した、下フレーム部12Aと上フレーム部12Bにて構成されたフレーム部12と同じであるので説明を省略する。
【0041】
上方開口凹部13Zは、図1に示した上方開口凹部13に対して、把持部取付孔13Bが省略され、切欠き部13Xが追加されている点が異なる。また、上方が開口した凹状形状の上方開口凹部13Zには、上方開口凹部13Zに沿ってシート状の緩衝材29(例えばゴムシート)が被せられている。なお、切欠き部13Aと貫通孔12Vは同じ側に形成されており、当該切欠き部13Aと貫通孔12Vとは反対となる側には、切欠き部13Xと貫通孔12Wが形成されている。なお図17に示すように、切欠き部13A、13X、貫通孔12V、12Wは、ベルト85Aの位置決めに利用される。
【0042】
以上に説明した第1ケーブル接続治具10A、第2ケーブル接続治具10B、第3ケーブル接続治具10Zを用いて、作業用及び点検用として設けられた出入口の下方の地中に形成されたケーブル作業空間にて(マンホール内にて)地中送電線であるCVケーブルを接続する作業手順について、以下に説明する。また本実施の形態の説明では、種々の接続方法の中で、ゴムブロック式接続部(RBJ:Rubber Block Joint)を用いた接続方法について説明する。
【0043】
[出入口91とケーブル作業空間92を含むマンホールの例(図9)]
図9は、地表に設けられた出入口91と、出入口91の下方の地中に形成されたケーブル作業空間92とを含むマンホールの例を示している。また図9の例では、マンホール内のケーブル作業空間92に、接続するべき第1CVケーブル81と第2CVケーブル82が記載されている。
【0044】
マンホールの出入口91は、作業用及び点検用として、市街地の道路等に設けられた1[m]前後の径を有する孔であり、円形や矩形の金属板の蓋部材91Aにて塞がれている。そしてマンホールの出入口91の下方の地中には、ケーブル作業空間92が形成されている。マンホール内のケーブル作業空間92は、左右方向(図中のX軸方向)の長さが5.2~5.9[m]程度、前後方向(図中のY軸方向)の長さが1.4[m]程度、上下方向(図中のZ軸方向)の長さ(高さ)が1.8~2.0[m]程度であり、作業するには非常に狭い空間(狭隘な空間)である。
【0045】
まず作業者は、マンホールの出入口91から、必要な機材をマンホール内のケーブル作業空間92内に搬入する。図9に示すように、作業者は、上述した第1ケーブル接続治具10A、第2ケーブル接続治具10B、第3ケーブル接続治具10Zと、足場板90と、複数の骨組部材90Sと、を用意して搬入する。どの機材も、1[m]前後の狭いマンホールの出入口91から搬入可能なサイズと重量にされているので、比較的容易に搬入することができる。そして作業者は、骨組部材90Sを用いて、マンホール内のケーブル作業空間92内の適切な位置に、作業台となる足場板90を固定する。以下、マンホール内のケーブル作業空間92内でのCVケーブルの接続作業の手順の順番に沿った各ステップを説明する。なお以下に説明する各ステップは、第1ケーブル接続治具10A、第2ケーブル接続治具10B、第3ケーブル接続治具10Zを用いることで、1人の作業者で行うことができる。
【0046】
[治具取付ステップS1と事前挿通ステップS2(図10)]
図10は、治具取付ステップS1と事前挿通ステップS2を説明する図である。治具取付ステップS1では、作業者は、ケーブル把持部20(図1参照)が取り付けられた第1ケーブル接続治具10Aの基部11(図1参照)を、長孔とされた基部取付長孔90Bに取り付ける(ボルト等の締結部材にて固定する)。そして作業者は、第1ケーブル接続治具10Aから約第1所定距離L1だけ離れた位置に、ケーブル把持部20(図1参照)が取り付けられた第2ケーブル接続治具10Bの基部11(図1参照)を、長孔とされた基部取付長孔90Bに取り付ける(ボルト等の締結部材にて固定する)。第1ケーブル接続治具10A及び第2ケーブル接続治具10Bの基部11(図1参照)に対応する基部取付長孔90Bは、足場板90に固定された第1ケーブル接続治具10Aと第2ケーブル接続治具10Bが対向する方向(図10の場合、X軸方向)に沿って延びる長孔である。
【0047】
また作業者は、治具取付ステップS1の前、または後に(次に説明するケーブル固定ステップS3の前に)、事前挿通ステップS2を実施する。事前挿通ステップS2では、作業者は、第1CVケーブル81の端部から第1筒状鉛管71と筒状ゴムユニット73を挿通し、第2CVケーブル82の端部から第2筒状鉛管72を挿通する。第1筒状鉛管71、第2筒状鉛管72は、鉛で形成された筒状(環状)の部材である。また筒状ゴムユニット73は、図17に示すように、筒状(環状)のゴムを径方向外側に広げた内部に、樹脂等の線材を巻回して筒状にした筒状スペーサ73Aを挿通した部材である。この筒状ゴムユニット73は、「ゴムブロック式接続部を用いた接続方法」における「ゴムブロック式接続部」に相当するものである。
【0048】
[第1CVケーブル81、第2CVケーブル82の構造(図11)]
図11は、第1CVケーブル81の構造を説明する図である。なお第2CVケーブル82の構造も同じであるので、第2CVケーブル82の説明は省略する。第1CVケーブル81、第2CVケーブル82の外径は、例えば50~100[mm]程度である。
【0049】
図11に示すように、第1CVケーブル81の径方向の中央には、導電部材である導体81Aが配置されている。導体81Aは、複数の導線が束ねられている。導体81Aの径方向外側には、導電部材と絶縁部材の中間の導電性となる半導電性を有する内部半導電層81Bが形成されている。内部半導電層81Bの径方向外側には、絶縁体の層である絶縁体層81Cの層が形成されている。絶縁体層81Cの径方向外側には、導電部材と絶縁部材の中間の導電性となる半導電性を有する外部半導電層81Dが形成されている。外部半導電層81Dの径方向外側には、半導電性を有する布テープである半導電性布テープが巻回された半導電性布テープ層81Eが形成されている。半導電性布テープ層81Eの径方向外側には、シールドとして導電性を有する銅テープが巻回された銅テープ層81Fが形成されている。銅テープ層81Fの径方向外側には、絶縁体である布テープが巻回された布テープ層81Gが形成されている。そして布テープ層81Gの径方向外側は、保護用かつ絶縁用のビニルシース層81Hとされている。なお、CVケーブルの構造には種々の種類があり、本実施の形態にて説明する構造のCVケーブルに限定されるものではない。
【0050】
[ケーブル固定ステップS3(図12)]
図12は、ケーブル固定ステップS3を説明する図である。なお図12以降では、マンホール内のケーブル作業空間92や骨組部材90S等の記載を省略している。ケーブル固定ステップS3では、作業者は、第1CVケーブル81の端部から導体81Aを露出させ、露出させた導体81Aよりも約第2所定距離L2だけ離れた第1CVケーブル81の位置を、第1ケーブル接続治具10Aの上方開口凹部13(図6参照)に取り付けられているケーブル把持部20(図6参照)にて固定する。また作業者は、第2CVケーブル82の端部から導体82Aを露出させ、露出させた導体82Aよりも約第2所定距離L2だけ離れた第2CVケーブル82の位置を、第2ケーブル接続治具10Bの上方開口凹部13(図6参照)に取り付けられているケーブル把持部20(図6参照)にて固定する。そして作業者は、固定の際、第1CVケーブル81の端部から露出させた導体81Aと、第2CVケーブル82の端部から露出させた導体82Aとが約第3所定距離L3だけ離れて対向するように固定する。
【0051】
また図12に示すように、作業者は、第1CVケーブル81の端部から導体81Aを露出させた際、端部の側から順に、導体81A、絶縁体層81C、外部半導電層81D、銅テープ層81Fを露出させ、絶縁体表面の凹凸を低減させる目的で導体81A~銅テープ層81F上に(銅テープ層81Fの途中まで)熱収縮チューブ74を挿通し、熱収縮チューブ74を加熱して収縮させる。同様に、作業者は、第2CVケーブル82の端部から導体82Aを露出させた際、端部の側から順に、導体82A、絶縁体層82C、外部半導電層82D、銅テープ層82Fを露出させ、同様に導体82A~銅テープ層82F上に(銅テープ層82Fの途中まで)熱収縮チューブ74を挿通し、熱収縮チューブ74を加熱して収縮させる。なお、熱収縮チューブ74を省略してもよい。
【0052】
[スリーブ挿通ステップS4(図13)]
図13は、スリーブ挿通ステップS4を説明する図である。スリーブ75は、導電性を有する金属の筒状部材であり、長手方向における中央部には隔壁75Aが設けられている。スリーブ挿通ステップS4では、作業者は、導体81A、82Aをスリーブ75に挿通する前に、導体81A、82Aにおけるスリーブ75に挿通される部分(少なくとも、押圧ステップS5にてスリーブ75に挿通される部分)の熱収縮チューブ74を剥がす。そして作業者は、スリーブ75の一方端に第1CVケーブル81の導体81Aを挿通し、スリーブ75の他方端に第2CVケーブル82の導体82Aを挿通する。
【0053】
[押圧ステップS5とケーブル接続ステップS6(図14)]
図14は、押圧ステップS5とケーブル接続ステップS6を説明する図である。押圧ステップS5では、まず作業者は、第1ケーブル接続治具10Aまたは第2ケーブル接続治具10Bのいずれか一方の基部取付長孔90Bへの締結部材による固定を緩める。そして作業者は、第1ケーブル接続治具10Aと第2ケーブル接続治具10Bに、環状の径の大きさを調整可能な環状のベルトBZをかける。そして作業者は、ベルトBZの環状の径を小さくするようにベルトBZを調整し、基部取付長孔90Bへの固定を緩めた第1ケーブル接続治具10Aまたは第2ケーブル接続治具10Bを、基部取付長孔90Bに沿ってスライドさせ、第1ケーブル接続治具10Aと第2ケーブル接続治具10Bが近づくようにスライドさせる。図14の例では、第2ケーブル接続治具10Bの基部取付長孔90Bへの固定を緩め、図14中の矢印SAに示すようにスライドさせている。これにより、第1CVケーブル81の導体81Aは、スリーブ75の一方端から他方端の側へと押圧されて隔壁75Aに突き当たる。また第2CVケーブル82の導体82Aは、スリーブ75の他方端から一方端の側へと押圧されて隔壁75Aに突き当たる。そして作業者は、第1ケーブル接続治具10Aまたは第2ケーブル接続治具10Bをスライドさせた後、基部取付長孔90Bへの固定を緩めた締結部材を再び締結状態に戻し、固定を緩めた第1ケーブル接続治具10Aまたは第2ケーブル接続治具10Bを、再度、基部取付長孔90Bに固定する(再固定する)。なお、ベルトBZを用いることなく、第2ケーブル接続治具10Bを第1ケーブル接続治具10Aに近づけるようにスライドさせてもよい。
【0054】
ケーブル接続ステップS6では、作業者は、上記の押圧ステップS5にて押圧している状態にて、かしめ機器(図示省略)を用いてスリーブ75をかしめて(図14中の矢印KSに示す位置をかしめて)、第1CVケーブル81の導体81Aと第2CVケーブル82の導体82Aを、スリーブ75を介して接続する。
【0055】
[導体谷埋めステップS7(図15)]
図15は、導体谷埋めステップS7を説明する図である。まず、導体谷埋めステップS7では、作業者は、ケーブル接続ステップS6の後に、図15中の符号74Aに示すように、熱収縮チューブ74を剥がして絶縁体層81C、82Cの表面を清掃した清掃面74Aを形成する。清掃面74Aには、次のステップで用いる筒状ゴムユニット73の内面が密着する。次に図14に示すように、露出している導電部であるスリーブ75と、露出している導電部である第1CVケーブル81の導体81Aと、露出している導電部である第2CVケーブル82の導体82Aと、の外周に、導電部材と絶縁部材の中間の導電性を有する半導電部材(電解緩和のための半導電部材)を巻回する。図15に示すように、作業者は、第1CVケーブル81の導体81Aとスリーブ75と第2CVケーブル82の導体82Aとの外周に、半導電部材である半導電テープを巻回して半導電層76を形成する。また作業者は、半導電テープを巻回する際、導体81Aとスリーブ75と導体82Aとの凹凸が低減されてほぼ均一な径の半導電層76となるように、かつ、半導電層76が絶縁体層81C、82Cとほぼ同径となるように(図14に示す例では、半導電層76の径のほうが大きいが、実際にはほぼ同径とされている)、半導電テープを巻回する。
【0056】
[筒状ゴムユニット取付ステップS8(図16図17)]
図16及び図17は、筒状ゴムユニット取付ステップS8を説明する図である。筒状ゴムユニット取付ステップS8では、作業者は、導体谷埋めステップS7の後に、図16に示すように、第1ケーブル接続治具10Aのケーブル把持部20(図6参照)での第1CVケーブル81の固定を一旦解除して、筒状ゴムユニット73の位置を、スリーブ75を覆う位置(半導電層76を覆う位置)に移動させ、第1ケーブル接続治具10Aのケーブル把持部20(図6参照)にて再度、第1CVケーブル81を固定する。そして作業者は、移動させた筒状ゴムユニット73の下方に、第3ケーブル接続治具10Z(図8参照)を配置して、第3ケーブル接続治具10Zの基部11Z(図8参照)を締結部材にて、足場板90の基部取付孔90Aに固定し、第3ケーブル接続治具10Zにて筒状ゴムユニット73の下方を支える。つまり、固定した第3ケーブル接続治具10Zの上方開口凹部13Z及び緩衝材29に、筒状ゴムユニット73を載置する。なお図7に示すように、第3ケーブル接続治具10Zは、上方開口凹部13に緩衝材29が被せられており、筒状ゴムユニット73を傷つけることなく、下から支持可能である。
【0057】
そして作業者は、図17に示すように、第3ケーブル接続治具10Zにて支持している筒状ゴムユニット73の上方に、緩衝材等のカバー85を被せ、カバー85の上からベルト85Aを筒状ゴムユニット73に巻回し、第3ケーブル接続治具10Zに対する筒状ゴムユニット73の位置を固定する。例えばベルト85Aは、面ファスナ等が取り付けられており、第3ケーブル接続治具10Zに形成された切欠き部13A、13Xを経由して貫通孔12V、12Wに挿通されて、巻回した状態で筒状ゴムユニット73を固定することができる。なお図16及び図17に示すように、筒状ゴムユニット73の長手方向の一方端及び他方端は、外部半導電層81D、82D上の位置(外部半導電層81D、82Dにおける長手方向のほぼ中央の位置)とされ、収縮させた筒状ゴムユニット73の内面が、清掃面74Aに密着するように位置決めされる。
【0058】
筒状ゴムユニット73は、図17に示すように、第1CVケーブル81の外径及び第2CVケーブル82の外径よりも大きな内径を有する筒状スペーサ73Aの径方向外側に、径を拡大させた筒状ゴムが被せられている。筒状スペーサ73Aは、樹脂等の線材を巻回して筒状にされており、図17に示すように、線材へと分離した一方の端部から、筒状スペーサ73Aの内部を通して他方の端部から線材として引き出していくと、筒状スペーサ73Aがなくなった個所から、径を拡大していた筒状ゴムが復元して収縮し、第1CVケーブル81及び第2CVケーブル82の径方向外側に密着する。筒状スペーサ73Aをすべて線材として引き出すと、筒状ゴムユニット73が、第1CVケーブル81の外部半導電層81Dから第2CVケーブル82の外部半導電層82Dまでを密封する。
【0059】
[シールド処理ステップS9(図18)]
図18は、シールド処理ステップS9を説明する図であり、半導電層76の周囲の各層を断面図で示している。シールド処理ステップS9では、作業者は、筒状ゴムユニット取付ステップS8の後に、筒状ゴムユニット73の径方向外側に、導電部材を巻回してシールド層77を形成し、巻回した導電部材の径方向外側に、想定した大電流が流れても焼損しない太さとされた複数本(例えば3本)の導電線を配置した導電線層78を形成し、導電線層78の径方向外側に、絶縁部材を巻回して絶縁層79を形成する。
【0060】
シールド層77は、例えば導電部材である細い銅線がメッシュ状(網目状)のテープとされたメッシュテープが、筒状ゴムユニット73の径方向外側において、銅テープ層81Fから銅テープ層82Fまで、隙間なく巻回されている。また導電線層78は、例えば導電部材である数[mm]の径を有する複数本の(例えば3本の)銅線が、シールド層77の径方向外側において、銅テープ層81Fから銅テープ層82Fまで延ばされて配置されている。また絶縁層79は、例えば絶縁部材であるビニルテープが、導電線層78の径方向外側において、シールド層77及び導電線層78をすべて覆うように、隙間なく巻回されている。
【0061】
[鉛管移動ステップS10と鉛管密封ステップS11(図19)]
図19は、鉛管移動ステップS10と鉛管密封ステップS11を説明する図であり、半導電層76の周囲の各層を断面図で示している。鉛管移動ステップS10では、作業者は、シールド処理ステップS9の後に、第1ケーブル接続治具10Aのケーブル把持部20(図6参照)を取り外した上、第1ケーブル接続治具10Aの基部11を基部取付長孔90Bから取り外して、第1ケーブル接続治具10Aを第1CVケーブル81の側の絶縁層79の下部に移動させる。なお、この際第1ケーブル接続治具10Aの基部11を、足場板90に固定してもよい。その後、第1筒状鉛管71の位置を、第1CVケーブル81の側の絶縁層79を覆う位置に移動させ、第1ケーブル接続治具10Aの上方開口凹部13に第1筒状鉛管71を載置する。同様に、作業者は、シールド処理ステップS9の後に、第2ケーブル接続治具10Bのケーブル把持部20(図6参照)を取り外した上、第2ケーブル接続治具10Bの基部11を基部取付長孔90Bから取り外して、第2ケーブル接続治具10Bを第2CVケーブル82の側の絶縁層79の下部に移動させる。なお、この際第2ケーブル接続治具10Bの基部11を、足場板90に固定してもよい。その後、第2筒状鉛管72の位置を、第2CVケーブル82の側の絶縁層79を覆う位置に移動させ、第2ケーブル接続治具10Bの上方開口凹部13に第2筒状鉛管72を載置する。そして作業者は、第1筒状鉛管71における第2CVケーブル82の側と、第2筒状鉛管72における第1CVケーブル81の側とを重ねる、または近接するように対向させる。なお、鉛管移動ステップS10及び鉛管密封ステップS11では、第1筒状鉛管71、第2筒状鉛管72が、第1ケーブル接続治具10A、第2ケーブル接続治具10Bにて下方から支持されているので、より作業がしやすい。
【0062】
また鉛管密封ステップS11では、作業者は、鉛管移動ステップS10の後に、第1筒状鉛管71における第2CVケーブル82の側と、第2筒状鉛管72における第1CVケーブル81の側との間の隙間を、例えばハンダ等の密封材71Zにて密封する。また作業者は、第1筒状鉛管71における第2CVケーブル82の側とは反対側の端部と、第1CVケーブル81との間の隙間を、例えばFRP、防水パテ、収縮チューブ等の密封材71Xにて密封する。同様に作業者は、第2筒状鉛管72における第1CVケーブル81の側とは反対側の端部と、第2CVケーブル82との間の隙間を、例えばFRP、防水パテ、収縮チューブ等の密封材72Xにて密封する。
【0063】
本発明のケーブル接続治具セット(第1ケーブル接続治具10Aと第2ケーブル接続治具10Bと第3ケーブル接続治具10Z)は、本実施の形態で説明した外観、構成、構造等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。また本発明のケーブル接続方法は、本実施の形態で説明したステップ、順番等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。本実施の形態にて説明したケーブル接続治具セット、ケーブル接続方法は、マンホール内での作業用に限定されず、例えばトンネル内での作業用に適用することもできる。
【0064】
本実施の形態の説明では、上方開口凹部13、13Zの形状が円弧形状である例を説明したが、上方開口凹部13、13Zは、上方に開口した凹部であればよく、楕円形状、多角形状など、どのような形状であってもよい。
【0065】
本実施の形態の説明では、下フレーム部12A、12Xのフレーム高さ調整孔12A1、12A2(フレーム高調整機構)と、上フレーム部12B、12Yのフレーム固定孔12BF(フレーム高調整機構)によって、フレーム部12、12Zの高さを調整できる例を説明したが、これらを省略してフレーム部12、12Zの高さが調整できない構造であってもよい。本実施の形態の説明では、ケーブル把持部20の把持部高さ調整孔20A1、20A2(把持高調整機構)と、上フレーム部12Bの把持部固定孔12BH(把持高調整機構)によって、ケーブル把持部20の高さを調整できる例を説明したが、これらが省略されて高さが調整できない構造であってもよい。また、フレーム高調整機構、把持高調整機構の構造は、本実施の形態にて説明した構造に限定されるものではない。
【0066】
また、把持径調整機構は、把持径調整ネジ24、把持径調整ダイヤル25、ネジ挿通隙間23Bを有する構造に限定されるものではない。また、規制機構は、ネジ用回動軸部22B、把持径調整ネジ24、ネジ挿通隙間23B、把持径調整ダイヤル25を有する構造に限定されるものではない。また、切欠き部13A(図1参照)や、緩衝材29(図8参照)を省略してもよい。
【0067】
また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(<)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0068】
10A 第1ケーブル接続治具
10B 第2ケーブル接続治具
10Z 第3ケーブル接続治具
11、11Z 基部
11A 基部孔
12、12Z フレーム部
12A、12X 下フレーム部
12A1、12A2 フレーム高さ調整孔(フレーム高調整機構)
12B、12Y 上フレーム部
12BF フレーム固定孔(フレーム高調整機構)
12BH 把持部固定孔(把持高調整機構)
12V、12W 貫通孔
13、13Z 上方開口凹部
13A、13X 切欠き部
13B 把持部取付孔
13C ケーブル載置面
20 ケーブル把持部
20A 把持部ベース
20A1、20A2 把持部高さ調整孔(把持高調整機構)
21 把持台
22 ケーブル下方支持部
22A 回動軸部
22B ネジ用回動軸部(規制機構)
22F 下方支持部一方端
22N 下方支持部他方端
23 ケーブル上方支持部
23B ネジ挿通隙間(把持径調整機構、規制機構)
23F 上方支持部一方端
23N 上方支持部他方端
24 把持径調整ネジ(把持径調整機構、規制機構)
25 把持径調整ダイヤル(把持径調整機構、規制機構)
29 緩衝材
71 第1筒状鉛管
72 第2筒状鉛管
73 筒状ゴムユニット
73A 筒状スペーサ
74 熱収縮チューブ
74A 清掃面
75 スリーブ
75A 隔壁
76 半導電層
77 シールド層
78 導電線層
79 絶縁層
81 第1CVケーブル
81A、82A 導体
81B 内部半導電層
81C 絶縁体層
81D、82D 外部半導電層
81E 半導電性布テープ層
81F、82F 銅テープ層
81G 布テープ層
81H、82H ビニルシース層
82 第2CVケーブル
90 足場板
90A 基部取付孔
90B 基部取付長孔
90S 骨組部材
91 出入口
91A 蓋部材
92 ケーブル作業空間
L1 第1所定距離
L2 第2所定距離
L3 第3所定距離
S1 治具取付ステップ
S2 事前挿通ステップ
S3 ケーブル固定ステップ
S4 スリーブ挿通ステップ
S5 押圧ステップ
S6 ケーブル接続ステップ
S7 導体谷埋めステップ
S8 筒状ゴムユニット取付ステップ
S9 シールド処理ステップ
S10 鉛管移動ステップ
S11 鉛管密封ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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図14
図15
図16
図17
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