(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100841
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】照明制御システムおよび制御装置
(51)【国際特許分類】
H05B 47/175 20200101AFI20220629BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20220629BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220629BHJP
F21V 21/36 20060101ALI20220629BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20220629BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20220629BHJP
H04Q 9/02 20060101ALI20220629BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220629BHJP
【FI】
H05B47/175
H05B47/105
F21S2/00 621
F21S2/00 622
F21S2/00 520
F21V21/36 110
F21V21/36 170
F21V23/00 140
H04Q9/00 301C
H04Q9/02 B
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215066
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉田 真一
【テーマコード(参考)】
3K014
3K273
5K048
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K273PA05
3K273QA29
3K273QA39
3K273RA04
3K273RA16
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA18
3K273TA22
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA62
3K273TA66
3K273UA12
3K273UA13
3K273UA14
3K273UA18
3K273UA22
3K273VA04
5K048AA05
5K048BA07
5K048DA02
5K048EB02
5K048EB13
5K048FC01
(57)【要約】
【課題】ユーザの煩わしさを低減することができる照明制御システムおよび制御装置を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る照明制御システムは、照明装置と、バトンと、昇降装置と、制御装置とを具備する。照明装置は、照射方向を変更可能である。バトンは、照明装置を吊り下げる。昇降装置は、バトンの昇降を制御する。制御装置は、照明装置の照射方向および調光を制御する。制御装置は、バトンの昇降位置が変更された場合に、変更前後の昇降位置に基づいて、照明装置の照射方向を補正する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射方向を変更可能な照明装置と;
前記照明装置を吊り下げるバトンと;
前記バトンの昇降を制御する昇降装置と;
前記照明装置の照射方向および調光を制御する制御装置と;
を具備し、
前記制御装置は、
前記バトンの昇降位置が変更された場合に、変更前後の前記昇降位置に基づいて、前記照明装置の前記照射方向を補正すること
を特徴とする照明制御システム。
【請求項2】
前記照明装置は、
前記バトンに複数配置され、
前記制御装置は、
複数の前記照明装置それぞれの大きさを示すサイズ情報に基づいて、前記複数の照明装置それぞれの照射方向を補正すること
を特徴とする請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
補正後の前記照射方向に基づいて、前記照明装置の照射範囲を補正すること
を特徴とする請求項1または2に記載の照明制御システム。
【請求項4】
照射方向を変更可能な照明装置が吊り下げられたバトンの昇降位置を取得する取得部と;
前記取得部によって取得された前記昇降位置が変更された場合に、変更前後の前記昇降位置に基づいて、前記照明装置の前記照射方向を補正する補正部と;
を具備することを特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明制御システムおよび制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スタジオや舞台等では、遠隔操作に従って複数の照明機器を制御する制御システムが導入されている。例えば、このような制御システムの制御装置は、DMX512と呼ばれる規格を拡張したRDM(Remote Device Management)と呼ばれる規格に沿って、スタジオや舞台等に設置された照明機器から照明機器の情報を収集し、収集した情報に基づいて、調光や調色を制御し、照明演出を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来は、例えば、仕込み時に設定したバトンの位置を、何らかの事情により変更せざるを得ない場合があるが、バトン位置を変更すると照明装置の照射方向も再調整する必要があるため、ユーザが煩わしさを感じてしまうおそれがあった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ユーザの煩わしさを低減することができる照明制御システムおよび制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の照明制御システムは、照明装置と、バトンと、昇降装置と、制御装置とを具備する。前記照明装置は、照射方向を変更可能である。前記バトンは、前記照明装置を吊り下げる。前記昇降装置は、前記バトンの昇降を制御する。前記制御装置は、前記照明装置の照射方向および調光を制御する。前記制御装置は、前記バトンの昇降位置が変更された場合に、変更前後の前記昇降位置に基づいて、前記照明装置の前記照射方向を補正する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザの煩わしさを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】実施形態に係る照明制御システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図6】実施形態に係る照明制御システムによって実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態に係る照明制御システムによって実行される照射方向の補正処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施形態に係る照明制御システムSは、照明装置10と、バトンBと、昇降装置30と、制御装置1とを具備する。照明装置10は、照射方向を変更可能である。バトンBは、照明装置10を吊り下げる。昇降装置30は、バトンBの昇降を制御する。制御装置1は、照明装置10の照射方向および調光を制御する。制御装置1は、バトンBの昇降位置が変更された場合に、変更前後の昇降位置に基づいて、照明装置10の照射方向を補正する。
【0010】
以下に説明する実施形態に係る照明制御システムSにおいて照明装置10は、バトンBに複数配置される。制御装置1は、複数の照明装置10それぞれの大きさを示すサイズ情報に基づいて、複数の照明装置10それぞれの照射方向を補正する。
【0011】
以下に説明する実施形態に係る照明制御システムSにおいて制御装置1は、補正後の照射方向に基づいて、照明装置10の調光状態を補正する。
【0012】
以下に説明する実施形態に係る制御装置1は、照明装置10が吊り下げられたバトンBの昇降位置を取得する取得部31と、取得部31によって取得された昇降位置が変更された場合に、変更前後の昇降位置に基づいて、照明装置10の照射方向を補正する補正部32とを具備する。
【0013】
以下に説明する実施形態に係る照明制御システムSは、照明装置10と、バトンBと、昇降装置30と、制御装置1とを具備する。バトンBは、照明装置10を吊り下げる。昇降装置30は、バトンBの昇降を制御する。制御装置1は、照明装置10の調光を制御するとともに、昇降装置30を介してバトンBの昇降を制御する。
【0014】
以下に説明する実施形態に係る照明制御システムSにおいて制御装置1は、バトンBの昇降位置を示す昇降位置情報を取得し、昇降位置情報を表示部5に表示する。
【0015】
以下に説明する実施形態に係る照明制御システムSにおいて照明装置10は、バトンBに複数配置される。制御装置1は、複数の照明装置10それぞれの大きさを示すサイズ情報に基づいて、複数の照明装置10それぞれの高さ位置を示す高さ情報を表示部5に表示する。
【0016】
以下に説明する実施形態に係る照明制御システムSにおいて制御装置1は、バトンBからの照明装置10の吊下距離を示す吊下距離情報に基づいて、照明装置10の高さ位置を示す高さ情報を表示部5に表示する。
【0017】
以下に説明する実施形態に係る制御装置1は、バトンBに吊り下げられた照明装置10の調光を制御する調光制御部33と、バトンBの昇降を制御する昇降制御部34とを具備する。
【0018】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づき説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明が開示する技術を限定するものではない。また、実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
<照明制御システム>
まず、
図1Aを用いて、照明制御システムについて説明する。
図1Aは、実施形態に係る照明制御システムSの構成の一例を示す図である。
図1Aに示す照明制御システムSは、例えば、舞台やテレビスタジオ等の施設に設置されるものとする。
【0020】
図1Aに示すように、照明制御システムSは、制御装置1と、照明装置10-1~10-nと、ノード20と、バトンBと、昇降装置30とを有する。なお、照明制御システムSは、任意の数の照明装置10-1~10-nと、任意の数のバトンBと、任意の数のノード20とを有してもよい。
【0021】
また、以下では、特に区別を必要としない場合、照明装置10-1~10-nを照明装置10と総称する。
【0022】
図1Aに示す照明制御システムSにおいて、制御装置1とノード20との間や、制御装置1と昇降装置30との間は、例えば、イーサネット(登録商標)やLAN(Local Area Network)などの所定のネットワークにより通信可能に接続される。また、ノード20と照明装置10とは、DMX512を拡張したRDMといった双方向通信が可能な規格により接続されている。
【0023】
照明装置10は、DMXを拡張したRDM規格に沿った通信方式により、ノード20や制御装置1と双方向通信が可能な照明機器である。また、照明装置10は、LED(Light Emitting Diodes)等の光源を有し、制御信号に従って、明るさ、範囲、色彩等を変化させることで、スタジオや舞台等の照明演出を行う。
【0024】
また、照明装置10は、テレビスタジオや舞台等の任意の空間に設置される設備であって、照明装置10等を吊り下げて支持するバトンBに設置される。また、照明装置10は、ノード20の各ポートに対してカスケード接続されてもよい。
【0025】
バトンBは、照明装置10やノード20を吊ることで支持する。バトンBは、昇降装置30の動作によって昇降する。
【0026】
ノード20は、DMX512を拡張したRDM規格に沿った通信方式により、照明装置10や制御装置1と双方向通信が可能な制御情報を分配する分配器である。また、ノード20は、制御装置1と照明装置10との通信を中継する中継装置であり、例えば、DMXノードやRDMノードと称される装置により実現される。具体的には、ノード20は、イーサネット(登録商標)やLAN等の有線または無線によるネットワークによって、双方向通信が可能な態様で制御装置1等と通信する。
【0027】
昇降装置30は、制御装置1からの制御信号に応じて、バトンBに繋がれたワイヤWの巻き上げ量を制御することにより、バトンBを上昇させ、あるいは降下させる。なお、バトンBは、照明装置10を支持する場合に限らず、例えばカメラやスピーカなどの器具を支持してもよい。
【0028】
制御装置1は、双方向性を有する制御信号(例えば、RDM規格に対応する制御信号)を、ノード20を介して照明装置10との間で通信可能な制御装置であり、一般に、調光卓や制御卓等と呼ばれる装置である。
【0029】
図1Aに示すように、実施形態に係る制御装置1は、照明装置10の調光を制御する調光制御と、昇降装置30を介してバトンBの昇降を制御する昇降制御を行う。
【0030】
具体的には、制御装置1は、調光制御を行う場合、ユーザ(例えば、制御装置1を操作するオペレータ)から照明装置10に対する操作指令を受け付けると、照明装置10に付与された制御アドレスを含む制御信号を生成し、ノード20に制御信号を送信する。ノード20は、制御装置1から受信した制御信号を、例えば、RDM規格に沿った信号(RDM信号)に変換し、制御アドレスが示す照明装置10に対して出力する。これにより、照明装置10の調光制御が行われる。このように、制御装置1は、例えば、RDM対応の制御信号に含まれる制御アドレスを用いて、照明装置50の調光を遠隔制御する。
【0031】
また、制御装置1は、昇降制御を行う場合、オペレータ等のユーザから昇降装置30に対する昇降指令を受け付けると、昇降装置30に対して昇降を制御する昇降制御信号を生成し、昇降装置30に昇降制御信号を送信する。これにより、昇降装置30によりバトンBの昇降制御が行われる。
【0032】
換言すれば、制御装置1は、昇降制御機能を有する調光卓、あるいは、調光機能を有する昇降制御卓といえる。すなわち、実施形態に係る制御装置1によれば、調光制御および昇降制御を1つの機器で実現できる。これにより、1人のオペレータにより調光および昇降を行えるため、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0033】
なお、制御装置1は、表示部5にバトンBの昇降位置を示す昇降位置情報を表示可能であるが、かかる点の詳細については、
図5を用いて説明する。
【0034】
次に、仕込み時に設定されたバトンBの昇降位置が変更された場合の、照明装置10の照射方向の補正処理について説明する。
【0035】
ここで、バトンBの昇降位置は、例えば、テレビスタジオにおいて、仕込み時の昇降位置では、カメラの範囲にバトンBが映り込んでしまったりした場合に変更される場合がある。バトンBの昇降位置が変更された場合、照明装置10の位置も変わるため、照明装置10の照射方向を再調整する必要があり、ユーザが煩わしさを感じてしまうおそれがあった。
【0036】
そこで、実施形態に係る制御装置1は、バトンBの昇降位置が変更された場合に、かかるバトンBに吊り下げられた照明装置10の照射方向を自動で補正することとした。かかる点について、
図1Bを用いて説明する。
【0037】
図1Bは、制御装置1による補正処理を示す図である。
図1Bの左図に示すように、仕込み時において、地面からの所定の高さH1を昇降位置としてバトンBが設定されたとする。また、照明装置10は、鉛直方向に対して角度αの方向を照射方向として地点Pを照射することとする。
【0038】
かかる場合において、
図1Bの右図に示すように、昇降位置が高さH2に変更された場合、変更前後の昇降位置に基づいて、照明装置10の照射方向を補正する。
図1Bに示す例では、昇降位置を変更後も地点Pを照射するために、角度βに補正する。なお、角度αから角度βへの補正は、三角関数に基づいて行うが、かかる点については、
図4を用いて説明する。
【0039】
このように、実施形態に係る制御装置1によれば、バトンBの昇降位置が変更された場合であっても、照明装置10の照射方向を自動で補正することができるため、ユーザの煩わしさを低減することができる。
【0040】
<制御装置の構成例>
次に、
図2を用いて実施形態に係る制御装置1の構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る制御装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【0041】
図2に示すように、制御装置1は、通信部2と、制御部3と、記憶部4と、表示部5とを有する。
【0042】
通信部2は、例えば、所定の通信回路などによって実現される。例えば、通信部2は、イーサネットやLANなどのネットワークを介して、ノード20や昇降装置30との間の通信を中継する。
【0043】
制御部3は、各種の処理手順などを規定したプログラム及び所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。実施形態において、制御部3は、取得部31と、補正部32と、調光制御部33と、昇降制御部34と、表示制御部35とを有する。
【0044】
記憶部4は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。
図2に示すように、記憶部4には、機器情報41が記憶されている。
【0045】
機器情報41は、照明装置10に関する情報であり、照明装置10から送信される情報である。
図3は、機器情報41の一例を示す図である。
図3に示すように、機器情報41には、「ID番号」、「UID」、「DMXアドレス」、「照射方向」、「サイズ」および「高さ」の情報が含まれる。
【0046】
「ID番号」は、照明装置10を識別する識別情報である。「UID」は、照明装置10に予め付与される12桁の16進数で表される情報である。「DMXアドレス」は、制御装置1が各照明装置10を制御するための制御アドレスである。「サイズ」は、照明装置10の大きさを示すサイズ情報であり、例えば、製品の縦、横、高さの長さ情報である。「高さ」は、例えば、地面からの高さ位置である。
【0047】
次に、制御部3の各機能(取得部31、補正部32、調光制御部33、昇降制御部34および表示制御部35)について具体的に説明する。
【0048】
取得部31は、各種情報を取得する。例えば、取得部31は、バトンBの昇降位置を示す昇降位置情報を取得する。昇降位置情報は、例えば、地面からバトンBまでの高さの情報である。
【0049】
また、取得部31は、バトンBに複数の照明装置10が配置される場合、各照明装置10の大きさを示すサイズ情報を取得する。また、取得部31は、照明装置10の現在の照射方向や現在の照射範囲に関する照射情報を取得する。
【0050】
補正部32は、バトンBの昇降位置が変更された場合に、変更前後の昇降位置に基づいて、照明装置10の照射方向を補正する。ここで、補正部32による照射方向の補正処理について
図4を用いて説明する。
【0051】
図4は、補正部32の補正処理を示す図である。
図4に示すように、バトンBの昇降位置が高さH1から高さH2に変更されたとする。かかる場合、補正部32は、変更前の昇降位置(高さH1)および変更後の昇降位置(高さH2)に基づいて、照明装置10の照射方向を補正する。
【0052】
具体的には、補正部32は、三角関数を用いて、変更後の照射方向を示す角度βを算出する。まず、補正部32は、変更前の昇降位置である高さH1および照射方向である角度αに基づいて、照明装置10から地点Pまでの路面距離L1を算出する。
【0053】
そして、補正部32は、路面距離L1を用いて、角度βを算出する。具体的には、
図4の右図に示すように、補正部32は、変更後の照明装置10から地点Pまでの路面距離L2を上記の路面距離L1とし、変更後の昇降位置である高さH2に基づいて、補正後の角度βを算出する。これにより、照射方向を高精度に補正することができる。
【0054】
なお、
図4では、バトンBから地面までの高さH1,H2を用いて角度βを算出したが、例えば、バトンBから地面までの高さH1,H2に代えて、照明装置10から地面までの高さを用いて角度βを算出してもよい。
【0055】
例えば、高さH1,H2から照明装置10の大きさ(鉛直方向)を減算した高さを用いることができる。より具体的には、補正部32は、複数の照明装置10それぞれの大きさを示すサイズ情報に基づいて、複数の照明装置10それぞれの照射方向を補正する。これにより、バトンBに吊り下げられた照明装置10のサイズが異なる場合に、照明装置10のサイズに合わせた補正を行うことができる。
【0056】
また、補正部32は、例えば、バトンBから照明装置10までの吊下距離を考慮してもよい。具体的には、補正部32は、高さH1,H2から吊下距離を減算(さらに照明装置10の大きさを減算してもよい)した高さを用いることができる。これにより、バトンBからの吊下距離が異なる場合に、吊下距離に合わせた補正を行うことができる。
【0057】
また、補正部32は、照射方向の補正に加えて、照射範囲や照度等の調光状態を補正してもよい。具体的には、補正部32は、補正後の照射方向に基づいて、照明装置10の調光状態を補正する。例えば、補正部32は、地点Pにおける照射範囲や照度が変更前後で変わらないように補正する。
【0058】
調光制御部33は、照明装置10の調光を制御する。具体的には、調光制御部33は、照明装置10の照度や、色彩、照射方向、照射範囲等の情報を含む制御情報を照明装置10へ送信する。調光制御部33は、バトンBの昇降位置が変更された場合に、補正部32によって補正された照射方向や照射範囲の情報を含む制御情報を送信する。
【0059】
昇降制御部34は、ユーザによる昇降指令に基づく昇降制御情報を昇降装置30へ送信することで、バトンBの昇降を制御する。例えば、シーン毎の昇降位置を記憶部4に記憶しておき、昇降制御部34は、表示部5に配置された各シーンに対応するボタンが押下された場合に、かかるシーンの昇降位置を示す昇降制御情報を昇降装置30へ送信する。
【0060】
あるいは、昇降制御部34は、表示部5に表示された上昇ボタンまたは下降ボタンのいずれかが押下された場合に、上昇または下降に対応する昇降制御情報を昇降装置30へ送信する。
【0061】
表示制御部35は、表示部5に各種情報を表示する。ここで、表示部5に表示される情報について、
図5を用いて説明する。
【0062】
図5は、表示部5の画面例を示す図である。
図5に示すように、表示部5に表示されるレイアウト画面500には、バトン表示510と、照明表示520と、バトン高さ530と、照明高さ540とを表示する。
【0063】
バトン高さ530は、バトンBの昇降位置を示す昇降位置情報である。照明高さ540は、照明装置10から地面までの高さを示す。なお、照明高さ540は、照明装置10のサイズ情報や吊下距離情報に基づいて算出される。つまり、表示制御部35は、吊下距離情報や、サイズ情報に基づいて、複数の照明装置10それぞれの高さ位置を示す高さ情報を表示部5に表示する。
【0064】
<フローチャート>
次に、
図6を用いて、実施形態に係る照明制御システムSによって実行される処理手順について説明する。
図6は、実施形態に係る照明制御システムSによって実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【0065】
図6に示すように、まず、制御装置1は、バトンBの昇降位置情報を取得する(ステップS101)。つづいて、制御装置1は、昇降装置30を介してバトンBの昇降位置を制御する(ステップS102)。つづいて、制御装置1は、照明装置10の調光を制御する(ステップS103)。つづいて、制御装置1は、バトンBの昇降位置および照明装置10の高さを表示し(ステップS104)、処理を終了する。
【0066】
図7を用いて、実施形態に係る照明制御システムSによって実行される照射方向の補正処理手順について説明する。
図7は、実施形態に係る照明制御システムSによって実行される照射方向の補正処理の手順を示すフローチャートである。
【0067】
図7に示すように、制御装置1は、照明装置10の照射方向の情報を取得する(ステップS201)。つづいて、制御装置1は、バトンBの昇降位置情報を取得する(ステップS202)。
【0068】
つづいて、制御装置1は、バトンBの昇降位置の変更があったか否かを判定する(ステップS203)。制御装置1は、昇降位置の変更があった場合(ステップS203;Yes)、変更後の昇降位置情報を取得する(ステップS204)。
【0069】
つづいて、制御装置1は、変更後の昇降位置に基づいて、照明装置10の照射方向を補正する(ステップS205)。つづいて、制御装置1は、照明装置10の照射範囲を補正し(ステップS206)、処理を終了する。
【0070】
上述してきたように、実施形態に係る照明制御システムSは、照明装置10と、バトンBと、昇降装置30と、制御装置1とを具備する。照明装置10は、照射方向を変更可能である。バトンBは、照明装置10を吊り下げる。昇降装置30は、バトンBの昇降を制御する。制御装置1は、照明装置10の照射方向および調光を制御する。制御装置1は、バトンBの昇降位置が変更された場合に、変更前後の昇降位置に基づいて、照明装置10の照射方向を補正する。これにより、バトンBの昇降位置が変更された場合に、自動で照射方向を補正できるため、ユーザの煩わしさを低減することができる。
【0071】
また、上述してきたように、実施形態に係る照明制御システムSにおいて、制御装置1は、照明装置10の調光を制御するとともに、昇降装置30を介してバトンBの昇降を制御する。これにより、1人のオペレータにより調光および昇降を行えるため、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0072】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0073】
1 制御装置
2 通信部
3 制御部
4 記憶部
5 表示部
10 照明装置
20 ノード
30 昇降装置
31 取得部
32 補正部
33 調光制御部
34 昇降制御部
35 表示制御部
41 機器情報
50 照明装置
B バトン
P 地点
S 照明制御システム
W ワイヤ