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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100844
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】レジストパターンの形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/38 20060101AFI20220629BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20220629BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220629BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
G03F7/38 511
G03F7/027 502
G03F7/004 512
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215070
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 旭
(72)【発明者】
【氏名】入澤 宗利
【テーマコード(参考)】
2H196
2H197
2H225
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196BA05
2H196FA01
2H197AA01
2H197CA05
2H197CA06
2H197CA08
2H197CC05
2H197CE01
2H197FA01
2H197HA03
2H225AC37
2H225AC57
2H225AD14
2H225AD24
2H225AM13P
2H225AM23P
2H225AM32P
2H225AN47P
2H225CA30
2H225CB02
2H225CC01
2H225CC13
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、レジストパターンが基材から脱離し難く、レジストパターンを基材上に安定に形成することができるレジストパターンの形成方法を提供することである。
【解決手段】基材上に、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤及び(C)ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有する感光性樹脂層を形成する工程、感光性樹脂層にパターン露光する露光工程、感光性樹脂層を40~140℃で加熱する工程、感光性樹脂層の未露光部を現像除去してレジストパターンを形成する現像工程をこの順に含むレジストパターンの形成方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤及び(C)ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有する感光性樹脂層を形成する工程、感光性樹脂層にパターン露光する露光工程、感光性樹脂層を40~140℃で加熱する工程、感光性樹脂層の未露光部を現像除去してレジストパターンを形成する現像工程をこの順に含むレジストパターンの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジストパターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスにおいて、半導体ウエハを保持する方法として静電チャック方式が用いられている。静電チャック方式の吸着部材となるセラミックスには、被吸着体と吸着部材の接触面積を小さくするために、吸着部材保持面に複数の突起形状が、サンドブラスト処理によって形成される(特許文献1)。
【0003】
サンドブラスト処理とは、フォトリソグラフィー法等によってパターニングされた感光性樹脂層からなるレジストパターンをマスク材として被処理体上に設け、しかる後、研磨材を吹き付けて非マスク部を選択的に切削する方法で、ガラス、石材、金属、プラスチック、セラミックス等を加工する方法として広く知られている。
【0004】
マスク材は、例えば、ポリエステルフィルムなどのキャリアーフィルム(支持体フィルム)に感光性樹脂層を設けた感光性フィルムを用いて形成される。感光性樹脂層は、サンドブラスト用感光性樹脂組成物を含有している。サンドブラスト用感光性樹脂組成物としては、アルカリ可溶性樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート化合物及び光重合開始剤を含む、ネガ型感光性樹脂組成物が一般的に用いられる。アルカリ可溶性樹脂としては、セルロース誘導体又はカルボキシル基含有アクリル樹脂が使用されている(例えば特許文献2~9参照)。
【0005】
しかしながら、基材にレジストパターンを形成させようとすると、現像工程以降において、搬送部材との接触や、現像液の液流れによって、レジストパターンが基材から脱離してしまう問題が発生する場合があった。特に、基材がガラス又はセラミックス基材である場合、この問題が顕著に発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-199303号公報
【特許文献2】特許第3449572号公報
【特許文献3】特許第3846958号公報
【特許文献4】特開平10-69851号公報
【特許文献5】特開2012-27357号公報
【特許文献6】特開2013-156306号公報
【特許文献7】国際公開第2014/200028号パンフレット
【特許文献8】特表2005-537514号公報
【特許文献9】特開2017-126053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、レジストパターンが基材から脱離し難く、レジストパターンを基材上に安定に形成することができるレジストパターンの形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、以下の手段によって解決できる。
【0009】
基材上に、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤及び(C)ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有する感光性樹脂層を形成する工程、感光性樹脂層にパターン露光する露光工程、感光性樹脂層を40~140℃で加熱する工程、感光性樹脂層の未露光部を現像除去してレジストパターンを形成する現像工程をこの順に含むレジストパターンの形成方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明のレジストパターンの形成方法によって、露光後の感光性樹脂層の硬化収縮応力を緩和させ、現像工程以降において、レジストパターンが基材から脱離し難く、レジストパターンを基材上に安定に形成することができるという効果を達成できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のレジストパターンの形成方法について詳細を説明する。
【0012】
本発明のレジストパターンの形成方法は、基材上に、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤及び(C)ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有する感光性樹脂層を形成する工程、感光性樹脂層にパターン露光する露光工程、感光性樹脂層を40~14℃で加熱する工程、感光性樹脂層の未露光部を現像除去してレジストパターンを形成する現像工程をこの順に含むレジストパターンの形成方法である。
【0013】
基材としては、例えば、ガラス、石材、金属、プラスチック、セラミックス等が挙げられる。本発明では、ガラス又はセラミックス基材に対して、本発明の効果が特に顕著に現れる。
【0014】
ガラス基材の材質としては、例えば、シリカガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミケイ酸ガラス等が挙げられる。セラミックス基材の材質としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等が挙げられる。
【0015】
基材に感光性樹脂層を形成する工程では、アルカリ脱脂や有機溶剤による洗浄等の前処理を施した基材に感光性樹脂層を形成する。感光性樹脂層を形成する方法としては、キャリアーフィルム(支持体フィルム)に感光性樹脂組成物を含む塗工液を塗工・乾燥して、感光性樹脂層を含むドライフィルムレジスト(DFR)を作製し、熱圧着方式のラミネータ装置を用いて、基材に感光性樹脂層を熱圧着する方法が挙げられる。
【0016】
感光性樹脂層を基材にラミネートする方法において、密着性の観点から、加熱温度は70~120℃が望ましい。70℃未満では基材への密着が悪くなる場合があり、120℃超えでは、現像性及び解像性を悪化させる場合がある。なお、熱圧着用ロールを有するラミネータ装置を使用した場合、加熱温度とはロール温度のことである。
【0017】
感光性樹脂層にパターン露光する露光工程において、露光方法としては、具体的には、フォトマスクを用いた密着露光が挙げられる。また、キセノンランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、UV蛍光灯を光源とした反射画像露光、プロキシミティ方式、プロジェクション方式や走査露光が挙げられる。走査露光としては、UVレーザ、He-Neレーザ、He-Cdレーザ、アルゴンレーザ、クリプトンイオンレーザ、ルビーレーザ、YAGレーザ、窒素レーザ、色素レーザ、エキシマレーザ等のレーザ光源を発光波長に応じてSHG波長変換した走査露光、あるいは、液晶シャッター、マイクロミラーアレイシャッターを利用した走査露光等が挙げられる。
【0018】
露光後に感光性樹脂層を加熱する工程では、露光後の基材を送風乾燥機等の加熱装置に投入し、露光後の感光性樹脂層を加熱する。加熱温度は、40~140℃であり、50~120℃が好ましく、80~120℃がさらに好ましい。加熱温度が120℃超えでは、現像工程での感光性樹脂層の未露光部を現像除去することが困難となる可能性がある。加熱温度が50℃未満になると、本発明の効果が乏しく、現像工程以降のレジストパターンの脱離を抑制し難くなる可能性がある。加熱時間は、3~30分が好ましく、5~15分がさらに好ましい。加熱時間が、3分より少ないと、本発明の効果が乏しく、現像工程以降のレジストパターンの脱離を抑制し難くなる可能性がある。加熱時間が30分超になると、現像工程での感光性樹脂層の未露光部の現像除去が困難となる可能性がある。
【0019】
加熱する工程の後に現像工程を実施し、不要な部分である未露光部の感光性樹脂層を現像除去し、露光によって硬化した感光性樹脂層からなるレジストパターンを形成する。現像液としては、アルカリ性の現像液を使用することができ、例えば、無機アルカリ性化合物の水溶液を用いることができる。無機アルカリ性化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等の炭酸塩や水酸化物が挙げられる。現像液の無機アルカリ性化合物の濃度は、0.1~3質量%であることが好ましく、0.1~3質量%の炭酸ナトリウム水溶液が現像液として好ましく使用できる。現像液には、界面活性剤、消泡剤、溶剤等を適宜混入することもできる。現像方式としては、ディップ方式、パドル方式、スプレー方式、ブラッシング、スクレーピング等があり、スプレー方式が除去速度のためには最も適している。現像の処理温度は15~35℃が好ましく、また、スプレー圧は0.02~0.3MPaが好ましい。
【0020】
レジストパターンが形成された基材に対して、サンドブラスト処理を実施することができる。
【0021】
サンドブラスト処理としては、コンプレッサー等による圧縮空気に研磨材を混ぜたものを、レジストパターンが形成された基材面に向かって吹き付けることによって、レジストパターンが形成された基材部分に突起形状を形成する。研磨材の材質としては、アルミナ、SiC、ガーネット、ジルコン、ガラス、鉄、ステンレス等が挙げられる。
【0022】
以下、感光性樹脂層について説明する。
【0023】
本発明において、感光性樹脂層が、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤及び(C)ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有することによって、耐ブラスト性を有するレジストパターンを形成することができる。
【0024】
(A)アルカリ可溶性樹脂(成分(A))としては、アルカリ可溶性セルロース誘導体、カルボキシル基含有アクリル樹脂等が挙げられる。
【0025】
アルカリ可溶性セルロース誘導体としては、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート等が挙げられる。
【0026】
カルボキシル基含有アクリル樹脂としては、(メタ)アクリレートを主成分とし、これにエチレン性不飽和カルボン酸を共重合させてなるアクリル系重合体が挙げられる。また、その他の共重合可能なエチレン性不飽和基を有する単量体を共重合させてもよい。
【0027】
(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0028】
エチレン性不飽和カルボン酸として、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸が好適に用いられ、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸や、それらの無水物やハーフエステルを用いることもできる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。
【0029】
その他の共重合可能なエチレン性不飽和基を有する単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、メチルスチレン(o-体、m-体、p-体)、エチルスチレン(o-体、m-体、p-体)、メトキシスチレン(o-体、m-体、p-体)、エトキシスチレン(o-体、m-体、p-体)、クロロスチレン(o-体、m-体、p-体)、ブロモスチレン(o-体、m-体、p-体)、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、ビニル-n-ブチルエーテル等が挙げられる。
【0030】
(A)アルカリ可溶性樹脂の酸価(JIS-K0070:1992)は、40mgKOH/g以上であることが好ましく、40~500mgKOH/gであることがより好ましく、100~400mgKOH/gであることがさらに好ましい。成分(A)の酸価が、40mgKOH/g未満では、現像時間が長くなる傾向があり、一方、500mgKOH/gを超えると、耐ブラスト性が低下する場合がある。
【0031】
また、(A)アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量は、10,000~100,000であることが好ましく、10,000~50,000であることがより好ましい。質量平均分子量が10,000未満では、本発明のサンドブラスト用感光性樹脂組成物を皮膜状態に形成するのが困難になることがあり、一方、100,000を超えると、アルカリ現像液に対する溶解性が悪化する傾向がある。
【0032】
(B)光重合開始剤(成分(B))としては、ベンゾフェノン、4,4′-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-メトキシ-4′-ジメチルアミノベンゾフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン等の芳香族ケトン;2-エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ベンズアントラキノン、2-フェニルアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、9,10-フェナントラキノン、2-メチル-1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ビス(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9-アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N-フェニルグリシン、N-フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物等が挙げられる。2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体における2つの2,4,5-トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は、同一であって対称な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0033】
(C)ウレタン(メタ)アクリレート化合物(成分(C))とは、(a)多価ヒドロキシル基を有する化合物と(b)多価イソシアネート化合物とが反応した末端イソシアネート基を有する化合物と、(c)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物との反応生成物が挙げられる。
【0034】
(a)多価ヒドロキシル基を有する化合物としては、ヒドロキシル基を有するポリエステル類、ポリエーテル類等が挙げられる。
【0035】
ポリエステル類としては、ラクトン類が開環重合したポリエステル類、ポリカーボネート類、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコールと、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸等のジカルボン酸との縮合反応で得られたポリエステル類が挙げられる。ラクトン類としては、具体的にはδ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、α-メチル-β-プロピオラクトン、β-メチル-β-プロピオラクトン、α,α-ジメチル-β-プロピオラクトン、β,β-ジメチル-β-プロピオラクトン等が挙げられる。また、ポリカーボネート類としては、具体的にはビスフェノールA、ヒドロキノン、ジヒドロキシシクロヘキサノン等のジオールと、ジフェニルカーボネート、ホスゲン、無水コハク酸等のカルボニル化合物との反応生成物が挙げられる。
【0036】
また、ポリエーテル類としては、具体的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリペンタメチレンエーテルグリコール等を挙げることができる。なかでも、(a)多価ヒドロキシル基を有する化合物がテトラメチレングリコール又はポリテトラメチレンエーテルグリコールであることが好ましく、耐ブラスト性及び解像性がより向上する。
【0037】
(b)多価イソシアネート化合物としては、具体的にはジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、2,2-ジメチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,5-ジメチルヘキサン-1,6-ジイソシアネート、2,2,4-トリメチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式のジイソシアネート化合物を挙げることができる。これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0038】
(c)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、具体的にはヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、また、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物にε-カプロラクトンを1~10mol付加した化合物等を挙げることができる。なかでも、(c)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物が4-ヒドロキシブチルアクリレートであることが好ましく、耐ブラスト性及び解像性がより向上する。
【0039】
本発明に係わる(C)ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、カルボキシル基を含有していてもよい。カルボキシル基を含有することで、現像液に対する溶解性が向上する傾向にある。カルボキシル基を含有する(C)ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、最初に、ジイソシアネート化合物と、カルボキシル基を有するジオール化合物とを両末端にイソシアネート基が残るように反応させ、次いでこの反応物の末端イソシアネート基に、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物を反応させる等によって得ることができる。
【0040】
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、上記成分(A)~(C)以外の成分を含有させてもよい。このような成分としては、架橋性モノマー、増感剤、熱重合禁止剤、可塑剤、着色剤(染料、顔料)、光発色剤、熱発色防止剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、熱硬化剤、撥水剤及び撥油剤等が挙げられ、各々0.01~20質量%程度含有することができる。これらの成分は1種を単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
本発明の感光性樹脂組成物において、成分(A)の含有率は、成分(A)、(B)及び(C)の総量に対して35~60質量%であることが好ましく、35~55質量%であることがより好ましい。成分(A)の含有率が35質量%未満では、被膜性が悪くなる場合や、現像性が低下する場合がある。成分(A)の含有率が60質量%を超えると、耐ブラスト性が低下することがある。
【0042】
成分(B)の含有率は、成分(A)、(B)及び(C)の総量に対して0.5~4質量%であることが好ましく、1~3質量%であることがより好ましい。成分(B)の含有率が0.5質量%未満では、感度が低下する傾向にある。一方、4質量%を超えると、成分(B)の感光性樹脂組成物への溶解が困難となる。
【0043】
成分(C)の含有率は、成分(A)、(B)及び(C)の総量に対して30~60質量%であることが好ましく、35~50質量%であることがより好ましい。成分(C)の含有率が30質量%未満では、耐ブラスト性の低下、また、光感度が不十分となる傾向がある。一方、60質量%を超えると、膜表面の粘着性が増加しすぎる傾向にある。
【0044】
本発明において、感光性樹脂組成物をキャリアーフィルムに塗工して、感光性樹脂層を形成したDFRを作製し、基材に感光性樹脂層を転写してもよいが、その際のキャリアーフィルムとしては、紫外線を透過させる透明フィルムが好ましい。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルフィド、ポリエーテルイミド、変性ポリフェニレンエーテル、ウレタン等が使用できる。その中でも、特に、ポリエステルの1種であるポリエチレンテレフタレートフィルムを使用すると、ラミネート適性、剥離適性、平滑性に対して有利であり、また、安価で、脆化せず、耐溶剤性に優れ、高い引っ張り強度を持つ等の利点から、非常に利用しやすい。キャリアーフィルムの厚みは1~100μmであることが好ましい。
【0045】
キャリアーフィルムに感光性樹脂層を形成する方法は、ロールコーター、コンマコーター(登録商標)、グラビアコーター、エアーナイフ、ダイコーター、バーコーター等の装置を用いた塗工方法で行うことができる。感光性樹脂層の厚みは、10~150μmであることが好ましく、20~120μmであることがより好ましい。この感光性樹脂層が厚すぎると、解像性の低下、コスト高等の問題が発生しやすくなる。逆に、薄すぎると、耐ブラスト性が低下する傾向にある。
【0046】
必要に応じて、キャリアーフィルム上に形成した感光性樹脂層を保護フィルムで被覆してもよい。保護フィルムとは、感光性樹脂層の酸素阻害、ブロッキング等を防止するために設けられ、キャリアーフィルムとは反対側の感光性樹脂層上に設けられる。感光性樹脂層とキャリアーフィルムとの接着力よりも、感光性樹脂層の保護フィルムとの接着力の方が小さいことが好ましい。また、フィッシュアイの小さい保護フィルムが好ましい。
【実施例0047】
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0048】
下記に示す各成分を混合し、感光性樹脂層塗工液を得た。得られた塗工液を、アプリケーターバーを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(キャリアーフィルム、商品名:R310、16μm厚、三菱ケミカル社製)上に塗工し、90℃で8分間乾燥し、溶剤成分を除去し、PETフィルムの片面上に膜厚100μmの感光性樹脂層を設けた。ポリエチレンフィルム(商品名:GF1、30μm厚、タマポリ社製)を感光性樹脂層に貼り付け、DFRを得た。
【0049】
<感光性樹脂層塗工液>
(A)アルカリ可溶性樹脂
スチレン/アクリル酸/n-ブチルアクリレート/メチルメタクリレートを質量比5/40/20/35で共重合させた共重合樹脂(質量平均分子量35,000、酸価311mgKОH/g、固形分45質量%):100質量部
【0050】
(B)光重合開始剤
2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体:2質量部
4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン:0.1質量部
【0051】
(C)ウレタン(メタ)アクリレート
KAYARAD(登録商標)UXF-4001-M35(商品名、日本化薬社製、固形分65質量%):60質量部
【0052】
溶剤
メチルエチルケトン:10質量部
【0053】
(実施例1)
100×100mm、厚さ1.1mmのホウケイ酸ガラスのガラス基材をアセトンで洗浄し、上記で作製したDFRの保護フィルムを剥離した後、ラミネータ装置(ロール温度80℃、ロールゲージ圧0.3MPa、搬送速度1.0m)を用いて、ガラス基材に熱圧着し、感光性樹脂層を形成した。次に、直径50、80、100、150、200μmのホール画像を有する露光原稿用フォトマスクを用いて密着露光を実施した。
【0054】
続いて、キャリアーフィルム剥離後に、送風乾燥機にて100℃、10分の条件で露光後の感光性樹脂層を加熱した。
【0055】
(実施例2)
実施例2は、露光後の加熱条件を70℃、10分に変更する以外は、実施例1と同様に処理を実施した。
【0056】
(比較例1)
比較例1は、露光後の加熱処理しないこと以外は、実施例1と同様に処理を実施した。
【0057】
(比較例2)
比較例2は、露光後の加熱条件を30℃、10分に変更する以外は、実施例1と同様に処理を実施した。
【0058】
(比較例3)
比較例3は、露光後の加熱条件を150℃、10分に変更する以外は、実施例1と同様に処理を実施した。
【0059】
次いで、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液(現像液、液温度30℃、スプレー圧0.18MPa)を用いて、感光性樹脂層の未露光部を現像除去してレジストパターンを形成するために、120秒間現像処理を行った。実施例1は、直径50~200μmの円柱状のレジストパターンが、基材上に残存していた。実施例2は、直径100~200μmの円柱状のレジストパターンが、基材上に残存していた。比較例1及び2は、直径200μmの円柱状のレジストパターンのみが残存していた。比較例3は、現像が進行せず、レジストパターンを形成することができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明のレジストパターンの形成方法は、サンドブラスト処理による加工に適用できる。