(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100853
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】ゲームプログラム、およびゲーム装置
(51)【国際特許分類】
A63F 13/55 20140101AFI20220629BHJP
A63F 13/54 20140101ALI20220629BHJP
A63F 13/58 20140101ALI20220629BHJP
【FI】
A63F13/55
A63F13/54
A63F13/58
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215086
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山東 善樹
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 知久
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩介
(57)【要約】
【課題】プレイヤキャラクタに、ゲーム状況に即した台詞を喋らせる。
【解決手段】コンピュータを、プレイヤキャラクタを仮想空間内で動作させてゲームを進行させるゲーム進行部と、ゲーム状況に応じて音声データを選択し、プレイヤキャラクタの発声として、再生する再生部として機能させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
プレイヤキャラクタを仮想空間内で動作させてゲームを進行させるゲーム進行部と、
ゲーム状況に応じて音声データを選択し、前記プレイヤキャラクタの発声として、再生する再生部と、
して機能させることを特徴とするゲームプログラム。
【請求項2】
請求項1のゲームプログラムにおいて、
複数種類のパラメータの値を管理するパラメータ管理部と、
前記ゲーム状況の変化に応じて、所定の前記パラメータの更新値を決定する更新値決定部と、
として機能させ、
前記パラメータ管理部は、前記パラメータの値を前記更新値によって更新し、
前記再生部は、前記ゲーム状況と、前記複数種類のパラメータとに応じて、再生する前記音声データを選択する
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項3】
請求項2のゲームプログラムにおいて、
ゲーム進行に係る操作を、プレイヤから受け付ける第1受付部として機能させ、
前記更新値決定部は、前記操作の結果に対応して、所定の前記パラメータの更新値を決定する
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項4】
請求項2または請求項3のゲームプログラムにおいて、
前記更新値決定部は、他のキャラクタの状態または設定に応じて、所定の前記パラメータの更新値を決定する
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項5】
請求項2から請求項4の何れか1つのゲームプログラムにおいて、
前記更新値決定部は、前記プレイヤキャラクタが取得したアイテムのレア度、所持数、初の取得か否か、の何れかに応じて、所定の前記パラメータの更新値を決定する
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1つのゲームプログラムにおいて、
前記発声の指示を、プレイヤから受け付ける第2受付部として機能させ、
前記再生部は、前記第2受付部が前記指示を受けた場合に、前記音声データを再生する
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか1つのゲームプログラムにおいて、
前記再生部は、前記ゲーム状況に応じて、前記音声データを再生するタイミングを決定する
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか1つのゲームプログラムにおいて、
前記再生部は、前記プレイヤキャラクタが第1動作から第2動作に遷移する際に、前記ゲーム状況に応じて、前記第1動作に対応づけられた前記プレイヤキャラクタの音声データの再生を継続または中断することを特徴とするゲームプログラム。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れか1つのゲームプログラムを記憶した記憶部と、
前記ゲームプログラムを実行する制御部と、
を備えたことを特徴とするゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームプログラム、およびゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームプログラムの中には、ゲーム中の台詞を選択させるために、複数の選択肢を表示するものがある(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の例では、キャラクタの台詞に感情を加味することが可能になるものの、操作が煩雑である。また、敵キャラクタと戦闘するアクションゲームでは、ユーザによる台詞の選択が難しい場合がある。
【0005】
本発明の目的は、プレイヤキャラクタに、ゲーム状況に即した台詞を喋らせることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、コンピュータを、
プレイヤキャラクタを仮想空間内で動作させてゲームを進行させるゲーム進行部と、
ゲーム状況に応じて音声データを選択し、前記プレイヤキャラクタの発声として、再生する再生部と、
して機能させることを特徴とするゲームプログラムである。
【0007】
また、第1の態様において、
複数種類のパラメータの値を管理するパラメータ管理部と、
前記ゲーム状況の変化に応じて、所定の前記パラメータの更新値を決定する更新値決定部と、
として機能させ、
前記パラメータ管理部は、前記パラメータの値を前記更新値によって更新し、
前記再生部は、前記ゲーム状況と、前記複数種類のパラメータとに応じて、再生する前記音声データを選択してもよい。
【0008】
また、前記態様においては、
ゲーム進行に係る操作を、プレイヤから受け付ける第1受付部として機能させ、
前記更新値決定部は、前記操作の結果に対応して、所定の前記パラメータの更新値を決定してもよい。
【0009】
また、前記態様においては、
前記更新値決定部は、他のキャラクタの状態または設定に応じて、所定の前記パラメータの更新値を決定してもよい。
【0010】
また、前記態様においては、
前記更新値決定部は、前記プレイヤキャラクタが取得したアイテムのレア度、所持数、初の取得か否か、の何れかに応じて、所定の前記パラメータの更新値を決定してもよい。
【0011】
また、前記態様においては、
前記発声の指示を、プレイヤから受け付ける第2受付部として機能させ、
前記再生部は、前記第2受付部が前記指示を受けた場合に、前記音声データを再生してもよい。
【0012】
また、前記態様においては、
前記再生部は、前記ゲーム状況に応じて、前記音声データを再生するタイミングを決定してもよい。
【0013】
また、前記態様においては、
前記再生部は、前記プレイヤキャラクタが第1動作から第2動作に遷移する際に、前記ゲーム状況に応じて、前記第1動作に対応づけられた前記プレイヤキャラクタの音声データの再生を継続または中断してもよい。
【0014】
また、第2の態様は、
前記態様の何れか1つのゲームプログラムを記憶した記憶部と、
前記ゲームプログラムを実行する制御部と、
を備えたことを特徴とするゲーム装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プレイヤキャラクタに、ゲーム状況に即した台詞を喋らせることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態のゲーム装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】ゲーム装置の変形例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施形態]
以下、本発明の実施形態にかかるゲームプログラム、およびゲーム装置について、図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態で説明するゲームプログラムは、例えば、パーソナルコンピュータ、プレイステーション(登録商標)、XBox(登録商標)、PlayStation Vita(登録商標)、Nintendo Switch(登録商標)などのゲーム装置において実行される。
【0019】
本実施形態で説明するゲームは、三次元のゲーム空間(以下、仮想空間)が舞台となっている。仮想空間は、画像としてディスプレイに表示される。仮想空間には、岩壁、洞窟、川といった地形を表すオブジェクトが設けられている。地形のオブジェクト上には、建物や樹木などの様々なオブジェクトも設けられている。
【0020】
本ゲームは、ユーザ(ここではプレイヤ)の操作を受けて、プレイヤキャラクタを三次元の仮想空間で活動させてノンプレイヤキャラクタである敵キャラクタと戦闘するアクションゲームである。本ゲームでは、プレイヤキャラクタ同士でグループを編成して敵キャラクタと戦闘を行う場合がある。本ゲームにおけるノンプレイヤキャラクタには、プレイヤキャラクタと戦うモンスター等を例示できる。
【0021】
ユーザは、通信ネットワーク(図示を省略)を介して他のユーザとオンラインにてゲームを進めることができる。ユーザは、通信ネットワークを介さずに個人でゲームを進めることもできる。
【0022】
本ゲームでは、プレイヤキャラクタは、台詞を喋る場合がある。ノンプレイヤキャラクタも台詞を喋る場合がある。
【0023】
〈ゲーム装置の構成〉
図1は、本実施形態のゲーム装置5の構成を示すブロック図である。ゲーム装置5は、ユーザの操作に基づいて所定のゲームを実行する。ゲーム装置5には、ディスプレイ61、スピーカ62およびコントローラ63が外部接続または内蔵される。
【0024】
ゲーム装置5では、例えば、インストールされたゲームプログラムおよびゲームデータに基づいてゲームが進行する。なお、ゲーム装置5同士も、通信ネットワーク(図示を省略)または近距離無線通信装置(図示せず)を用いて、互いにデータ通信を行うことができる。
【0025】
ゲーム装置5は、ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、記憶部55および制御部56を有する。ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54および記憶部55は、バス59を介して制御部56と電気的に接続されている。
【0026】
ネットワークインターフェース51は、例えばゲーム装置5や外部のサーバ装置(図示を省略)との間で各種データを送受信するために、前記通信ネットワークに通信可能に接続される。
【0027】
グラフィック処理部52は、制御部56から出力されるゲーム画像情報に従って、プレイヤキャラクタおよびゲーム空間に関する各種オブジェクトを含むゲーム画像を、動画形式で描画する。グラフィック処理部52は、ディスプレイ61と接続されている。ゲーム画像は、ゲーム画面としてディスプレイ61上に表示される。
【0028】
オーディオ処理部53は、制御部56の指示に従ってデジタルのゲーム音声を再生および合成する。オーディオ処理部53はスピーカ62と接続されている。再生および合成されたゲーム音声は、スピーカ62から出力される。
【0029】
操作部54は、コントローラ63と接続され、操作入力に関するデータをコントローラ63との間で送受信する。例えば、ユーザは、コントローラ63に設けられたボタン等の操作子(図示略)を操作することにより、ゲーム装置5に操作信号を入力する。
【0030】
記憶部55は、HDD、RAMおよびROM等で構成される。記憶部55は、ゲームプログラムおよびゲームデータを記憶することができる。記憶部55には、他のゲーム装置5から受信した他アカウント情報なども記憶される。
【0031】
制御部56は、CPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成されている。制御部56は、ゲーム装置5の動作を制御する。例えば、制御部56は、ゲームプログラムを実行することにより、グラフィック処理部52およびオーディオ処理部53等を動作させる。
【0032】
オーディオ処理部53は、ゲーム音声(以下、単に音声という場合もある)を再生する。オーディオ処理部53は、音声の再生において音像定位を行う。オーディオ処理部53は、音像定位を行うため、音声が聴取される仮想の受音点(以下、仮想マイクL)を仮想空間に設定する。この例では仮想マイクLは、プレイヤキャラクタの近傍に設定されている。仮想マイクLは、プレイヤキャラクタの移動にともなって移動する。
【0033】
このゲームでは、仮想空間内に存在する音源(仮想の音源)から音声が発せられたように、音響的な演出が行われる。オーディオ処理部53は、仮想の音源(プレイヤキャラクタなど)から発せられた音声を、あたかも仮想マイクLで集音したかのような音響表現で、スピーカ62に出力する。仮想マイクLは、仮想の聴取者であり、オーディオ処理部53による音像定位の基準点である。
【0034】
本ゲームでは、仮想空間にて繰り広げられる各キャラクタの動作、各キャラクタの位置、キャラクタの状態などに応じて、各場面に適した台詞が出力される。台詞などのデジタルデータは、ゲームデータとして記憶部55に格納されている。
【0035】
〈制御部の機能的構成〉
制御部56は、ゲームプログラムを実行することにより、第1受付部561、ゲーム進行部562、再生部563、パラメータ管理部564、および更新値決定部565として機能する。
【0036】
第1受付部561は、ユーザ(プレイヤ)によって入力された操作信号を、所定の信号(命令)に変換して、ゲーム進行部562に送る。換言すると、第1受付部561は、ゲーム進行に係る操作を、プレイヤから受け付ける。
【0037】
ゲーム進行部562は、第1受付部561から入力された命令に応じて、ゲームを進行させる。換言すると、ゲーム進行部562は、ユーザの操作に応じて、プレイヤキャラクタを仮想空間において動作させてゲームを進行させる。ゲーム進行部562は、ノンプレイヤキャラクタも、仮想空間において動作させる。
【0038】
再生部563は、ゲーム状況に応じて音声データを選択する。音声データの選択を行うために、再生部563は、ゲーム状況、状況パラメータ(後述)、および台詞(前記音声データ)の関係をテーブル化したデータベースを管理している。
【0039】
このデータベースは、ゲーム状況と状況パラメータ(後述)とをキーとして、台詞(前記音声データ)を検索(決定)できるように構成されている。再生部563は、前記データベースを検索して、発音させる台詞を決定する。
【0040】
再生部563は、ゲーム状況に応じて、音声データを再生するタイミングを決定する。例えば再生部563は、ゲーム状況変化を検知したタイミングや、状況パラメータが更新されたタイミングを起点に再生のタイミングを決定する。
【0041】
再生タイミングを決定したら、再生部563は、音声データを再生する。より正確には、再生部563は、再生する音声データを特定する情報をオーディオ処理部53に通知する。更に、再生部563は、音声データの再生開始をオーディオ処理部53に指示する。オーディオ処理部53は、その通知および指示に応じて音声を再生する。
【0042】
パラメータ管理部564は、複数種類のパラメータ(以下、状況パラメータともいう)の値を管理する。それぞれの状況パラメータの値は、所定のゲーム状況(後述)に対応している。パラメータの値には、表すべきゲーム状況に応じて、整数値、実数値、文字列、真偽値(1、0、true、falseなどで表される値)など、種々の型の値が用いられる。
【0043】
これらの状況パラメータの初期値は、表すべきゲーム状況に応じて、予め設定されている。初期値は、ゲームプログラムの開発者が、演出効果を考慮するなどして、予め設定(プログラミング)することができる。
【0044】
更新値決定部565は、ゲーム状況の変化に応じて、所定の状況パラメータの更新値を決定する。パラメータ管理部564は、この更新値によって、対応する状況パラメータの値を更新する。更新値決定部565は、この更新の決定動作をゲーム中(ゲームプログラムの実行中)に継続する。換言すると、状況パラメータは、ゲーム中は、ゲーム状況に応じて値の変化を繰り返す。勿論、ゲーム状況によっては、変化しない状況パラメータもある。
【0045】
本実施形態では、更新値決定部565は、ゲーム状況の変化の有無(程度)を、以下の要因に基づいて判断している。
【0046】
(要因1)ユーザによる操作
このゲームでは、ユーザがコントローラ63を操作することで、攻撃などを行うことができる。ユーザが敵キャラクタに対して攻撃を加える操作を行った場合(戦闘中の場合)には、ゲーム状況が変化する。
【0047】
ユーザの操作に基づくゲーム状況変化の程度を決める要因としては、「攻撃の成否(連続攻撃の成否)」、「プレイヤキャラクタのダメージの大小」等を例示できる。更新値決定部565は、ユーザの操作に起因するゲーム状況の変化に応じて、所定の状況パラメータ(攻撃成否パラメータとする)の更新値を決定する。
【0048】
例えば、更新値決定部565は、連続攻撃(いわゆるコンボ)が成功した場合には、攻撃成否パラメータの値が増加するように更新値を決定する。また、更新値決定部565は、攻撃が外れた場合、およびプレイヤキャラクタの方がダメージを受けた場合には、攻撃成否パラメータの値が減少するように更新値を決定する。
【0049】
本ゲームでは、プレイヤキャラクタの状態を表す値として、体力値(攻撃によって受けたダメージを反映する値)が設けられている。体力値の変化もゲーム状況の変化の一例である。パラメータ管理部564が管理するパラメータには、この体力値によって変化するパラメータ(体力パラメータとする)もある。
【0050】
更新値決定部565は、戦闘中などに、プレイヤキャラクタがダメージを受けた場合には、体力パラメータの値が減少するように更新値を決定する。一方、戦闘中にプレイヤキャラクタの体力が回復した場合には、体力パラメータの値が増加するように更新値を決定する。具体的には、ゲームプログラムの開発者が、演出効果を考慮するなどして、この状況変化における更新値を決める(プログラミングする)ことができる。
【0051】
(要因2)他のキャラクタとの遭遇
ゲーム中に、プレイヤキャラクタが、他のキャラクタに遭遇することは、ゲーム状況の変化の一例である。遭遇した他のキャラクタの状態、または設定は、ゲーム状況の変化の程度を決める要因となる。そこで、更新値決定部565は、他のキャラクタの状態、または設定に応じて、所定のパラメータ(敵状態パラメータとする)の更新値を決定する。
【0052】
他のキャラクタの状態としては、他のキャラクタ(例えば敵キャラクタ)の体力値を例示できる。他のキャラクタの設定としては、そのキャラクタのレア度(珍しいか否かの度合い)を例示できる。
【0053】
例えば、プレイヤキャラクタが、珍しい敵キャラクタに遭遇した場合には、更新値決定部565は、敵状態パラメータが増加するように、更新値を決定する。一方、遭遇した敵キャラクタが、価値の低いキャラクタ(いわゆる雑魚キャラクタ)の場合には、更新値決定部565は、敵状態パラメータが減少するように、更新値を決定する。
【0054】
例えば、体力値が非常に大きな敵キャラクタ(プレイヤキャラクタよりも著しく強い敵キャラクタ)に、プレイヤキャラクタが遭遇した場合には、更新値決定部565は、敵状態パラメータが減少するように、更新値を決定する。
【0055】
(要因3)プレイヤキャラクタによるアイテムの取得
このゲームでは、プレイヤキャラクタが、様々なアイテムをゲーム中に取得(採取)する場合がある。アイテムの取得もゲーム状況の変化の一例である。
【0056】
更新値決定部565は、取得したアイテムのレア度、所持数、初の取得か否かに応じて、所定の状況パラメータ(アイテムパラメータとする)の更新値を決定する。例えば、取得したアイテムのレア度が高い場合には、更新値決定部565は、アイテムパラメータが増加するように、更新値を決定する。一方、取得したアイテムのレア度が低い場合には、更新値決定部565は、アイテムパラメータが減少するように、更新値を決定する。
【0057】
取得したアイテムが、初めて取得したアイテムである場合には、更新値決定部565は、アイテムパラメータが増加するように、更新値を決定する。取得したアイテムが、所定数を所持しているアイテムである場合には、更新値決定部565は、アイテムパラメータが減少するように、更新値を決定する。
【0058】
〈動作例〉
図2は、ゲーム状況変化の一例を示す図である。
図2は、プレイヤキャラクタと敵キャラクタ(ノンプレイヤキャラクタ)との戦闘中におけるゲーム状況変化を時系列で例示している。
【0059】
図2の例では、以下のゲーム状況の変化が時系列で起こっている。
【0060】
(状況1)「プレイヤキャラクタが攻撃連続ヒット」
(状況2)「プレイヤキャラクタが攻撃を外す」
(状況3)「プレイヤキャラクタが攻撃をさらに外す」
(状況4)「プレイヤキャラクタに大ダメージ」
(状況5)「プレイヤキャラクタが体力回復」
(状況6)「プレイヤキャラクタ必殺技ヒット&モンスター討伐」
状況1においては、更新値決定部565は、攻撃成否パラメータが増加するように更新値を決定する。パラメータ管理部564は、決定された更新値に基づいて、攻撃成否パラメータの値を更新する。
【0061】
時刻T1(状況1の事象よりも後)において、再生部563は、その時点における、ゲーム状況と状況パラメータを基にして、プレイヤキャラクタの声として再生する音声データ(台詞)を決定する。再生部563は、決定した音声データを再生する。
【0062】
前記データベースの構成によっては、状況1において、ポジティブな喜ぶような声(台詞)を、プレイヤキャラクタの声として、再生部563(正確にはオーディオ処理部53)に再生させることができる。ポジティブな喜ぶような台詞としては、「決まった」、「大ダメージだ!!!」などを例示できる。
【0063】
状況2においては、更新値決定部565は、攻撃成否パラメータが減少するように更新値を決定する。パラメータ管理部564は、決定された更新値に基づいて、攻撃成否パラメータの値を更新する。
【0064】
時刻T2(状況2の事象よりも後)において、再生部563は、その時点における、ゲーム状況と状況パラメータを基にして、プレイヤキャラクタの声として再生する音声データ(台詞)を決定する。再生部563は、決定した音声データを再生する。
【0065】
前記データベースの構成によっては、状況2において、少し悔しがるような声(台詞)を、プレイヤキャラクタの声として、再生部563に再生させることができる。少し悔しがるような台詞としては、「ミスったか」、「次は当てる」などを例示できる。
【0066】
状況3においては、更新値決定部565は、攻撃成否パラメータが更に減少するように更新値を決定する。パラメータ管理部564は、決定された更新値に基づいて、攻撃成否パラメータの値を更新する。
【0067】
時刻T3(状況3の事象よりも後)において、再生部563は、その時点における、ゲーム状況と状況パラメータを基にして、プレイヤキャラクタの声として再生する音声データ(台詞)を決定する。再生部563は、決定した音声データを再生する。
【0068】
前記データベースの構成によっては、状況3において、落ち込んだような声(台詞)を、プレイヤキャラクタの声として、再生部563に再生させることができる。落ち込んだような台詞としては、「ダメかもしれない」、「勝てるのか…」などを例示できる。
【0069】
状況4においては、更新値決定部565は、体力パラメータが減少するように更新値を決定する。パラメータ管理部564は、決定された更新値に基づいて、体力パラメータの値を更新する。
【0070】
時刻T4(状況4の事象よりも後)において、再生部563は、その時点における、ゲーム状況と状況パラメータを基にして、プレイヤキャラクタの声として再生する音声データ(台詞)を決定する。再生部563は、決定した音声データを再生する。
【0071】
前記データベースの構成によっては、状況4において、大ピンチ状態の声(台詞)を、プレイヤキャラクタの声として、再生部563に再生させることができる。大ピンチ状態の台詞としては、「もう無理だ」、「やられてしまう…」などを例示できる。
【0072】
状況5においては、更新値決定部565は、体力パラメータが増加するように更新値を決定する。パラメータ管理部564は、決定された更新値に基づいて、体力パラメータの値を更新する。
【0073】
時刻T5(状況5の事象よりも後)において、再生部563は、その時点における、ゲーム状況と状況パラメータを基にして、プレイヤキャラクタの声として再生する音声データ(台詞)を決定する。再生部563は、決定した音声データを再生する。
【0074】
前記データベースの構成によっては、状況5において、立ち直ったような声(台詞)を、プレイヤキャラクタの声として、再生部563に再生させることができる。立ち直ったような台詞としては、「ここから立て直す!」、「反撃開始だ」などを例示できる。
【0075】
状況6においては、更新値決定部565は、攻撃成否パラメータが増加するように更新値を決定する。パラメータ管理部564は、決定された更新値に基づいて、攻撃成否パラメータの値を更新する。
【0076】
時刻T6(状況6の事象よりも後)において、再生部563は、その時点における、ゲーム状況と状況パラメータを基にして、プレイヤキャラクタの声として再生する音声データ(台詞)を決定する。再生部563は、決定した音声データを再生する。
【0077】
前記データベースの構成によっては、状況6において、勝ち誇るような声(台詞)を、プレイヤキャラクタの声として、再生部563に再生させることができる。勝ち誇るような台詞としては、「俺の勝ちだ!」、「無事生き残れた」などを例示できる。
【0078】
更新値決定部565は、プレイヤキャラクタがアイテムを取得した場合にも、更新値を求める。パラメータ管理部564は、決定された更新値に基づいて、アイテムパラメータの値を更新する。
【0079】
再生部563は、ゲーム状況(アイテム取得)と状況パラメータ(アイテムパラメータ)を基にして、プレイヤキャラクタの声として再生する音声データ(台詞)を決定する。再生部563は、決定した音声データを再生する。
【0080】
例えば、取得したアイテムが、珍しいアイテム(レア度が高いアイテム)であり、且つ初めて取得したアイテムの場合には、更新値決定部565は、アイテムパラメータが増加するように更新値を決定する。パラメータ管理部564は、決定された更新値に基づいて、アイテムパラメータの値を更新する。
【0081】
再生部563は、ゲーム状況と状況パラメータを基にして、プレイヤキャラクタの声として再生する音声データ(台詞)を決定する。再生部563は、決定した音声データを再生する。
【0082】
前記データベースの構成によっては、取得したアイテムが、初めて取得した珍しいアイテムの場合に、プレイヤキャラクタの声として、喜びの声(台詞)を再生させることができる。喜びの台詞としては、「いいものが手に入ったぞ」、「やったぜ」などを例示できる。
【0083】
一方、プレイヤキャラクタが取得したアイテムのレア度が平均的、且つ既にそのアイテムを何個か持っているような場合には、更新値決定部565は、アイテムパラメータが減少するか、あるいは変化しないように、更新値を決定する。パラメータ管理部564は、決定された更新値に基づいて、アイテムパラメータの値を更新する。再生部563は、決定した音声データを再生する。
【0084】
アイテムのレア度が平均的であり、且つ既にそのアイテムを何個か持っている場合には、前記データベースの構成により、プレイヤキャラクタの声として、普通の気持ちを示す声(台詞)を、再生部563に再生させることができる。普通の気持ちを示す台詞としては、「こんなものか」、「まあまあだな」などを例示できる。
【0085】
アイテムのレア度が低く、且つ既に多数個を持っているような場合には、更新値決定部565は、アイテムパラメータが減少するように更新値を決定する。パラメータ管理部564は、決定された更新値に基づいて、アイテムパラメータの値を更新する。再生部563は、決定した音声データを再生する。
【0086】
アイテムのレア度が低く、且つ既に多数個を持っているような場合には、前記データベースの構成により、プレイヤキャラクタの声として、悲しむ声(台詞)を、再生部563に再生させることができる。悲しむ台詞としては、「いらないなあ」、「はずれかあ」などを例示できる。
【0087】
以上をまとめると、本件発明は、コンピュータ(ゲーム装置5)を、プレイヤキャラクタを仮想空間内で動作させてゲームを進行させるゲーム進行部562と、ゲーム状況に応じて音声データを選択し、前記プレイヤキャラクタの発声として、再生する再生部563として機能させることを特徴とするゲームプログラムである。
【0088】
〈本実施形態の効果〉
以上のように、本実施形態では、ゲーム状況を複数のパラメータ(状況パラメータ)で把握している。状況パラメータは、ゲーム状況の変化に応じて値が更新されるされる。再生部563は、ゲーム状況に応じて音声データを選択し、プレイヤキャラクタの発声として、その音声データを再生する。換言すると、本実施形態では、ゲーム状況に即した台詞をプレイヤキャラクタに喋らせることができる。
【0089】
ゲームでは、プレイヤは、操作(例えば攻撃)の成否によって感情が変化する。本実施形態では、ゲーム進行に係るプレイヤの操作の成否が、状況パラメータに反映される。つまり、本実施形態は、プレイヤの感情変化を状況パラメータの変化に、ある程度、反映することができる。換言すると、本実施形態では、プレイヤの感情と乖離が少ない台詞をプレイヤキャラクタに喋らせることができる。
【0090】
[実施形態の変形例]
図3は、ゲーム装置5の変形例の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、本変形例では、制御部56は、ゲームプログラムを実行することにより、第2受付部566としても機能する。本変形例では、再生部563の機能の一部が、実施形態1と異なっている。
【0091】
第2受付部566は、ユーザから操作部54に入力された特定の操作信号を、プレイヤキャラクタの発声を指示する命令(発声命令)に変換して、再生部563に送る。換言すると、第2受付部566は、発声の指示を、プレイヤ(ユーザ)から受け付ける。つまり、本変形例では、発声のタイミングをプレイヤが指示できる。
【0092】
特定の操作信号は、コントローラ63に設定された、発言専用のボタンによって入力することが考えられる。また、特定の操作信号は、所定のアクションボタン(例えば攻撃ボタン)の操作に応じて入力されるようにしてもよい。こうすることで、例えば、攻撃アクションの実行とともに、対応する音声が再生される。
【0093】
再生部563は、第2受付部566から発声命令を受け取ると、その時点における、ゲーム状況と状況パラメータとを基にして、プレイヤキャラクタの声として再生する音声データ(台詞)を決定する。再生部563は、決定した音声データを再生する。
【0094】
以上の通り、本変形例では、ユーザが、プレイヤキャラクタの発声タイミングを決定できる。勿論、本変形例においても、再生部563が、ゲーム状況に応じて、プレイヤキャラクタの発声のタイミングを決定する機能を備えていてもよい。
【0095】
[その他の実施形態]
再生部563は、プレイヤキャラクタが第1動作から第2動作に遷移する際には、ゲーム状況に応じて、第1動作に対応づけられたプレイヤキャラクタの音声データの再生を、継続してもよいし中断してもよい。
【0096】
ゲーム状況の変化と、状況パラメータの変化方向(例えば増減)との関係は、上述の例には限定されない。例えば、攻撃が成功したときに、攻撃成否パラメータが減少するように、更新値決定部565を構成してもよい。
【0097】
状況パラメータは、例示にすぎない。例示した状況パラメータを全て用いる必要はないし、例示したものとは異なる状況パラメータを用いてもよい。例えば、次の(A)~(C)に例示するパラメータを状況パラメータとして直接的に用いたり、状況パラメータに影響を与えるパラメータとして間接的に用いたりできる。以下、直接的、あるいは間接的に用いることが考えられるパラメータを、説明の便宜上、候補パラメータという。
【0098】
(A)プレイヤキャラクタに関連するパラメータ
プレイヤキャラクタに関連する候補パラメータとしては、プレイヤキャラクタの体力値、スタミナ値、仮想空間における位置、状態、所持アイテムの種類、装備の種類に関するパラメータを例示できる。その他にも、候補パラメータとして、プレイヤあるいはプレイヤキャラクタのランク(経験値)、ゲーム内における通貨の所持額、所持アイテムの状態を利用できる。所持アイテムの状態とは、例えば、武器の手入れの状態などを例示できる。
【0099】
なお、体力値、およびスタミナ値は、ゲームによって種々の定義がある。体力値は、例えば、ゲームにおける、キャラクタの存続性を示すポイントである。スタミナ値は、例えば、ゲームにおける、キャラクタの行動力を示すポイントである。
【0100】
(B)ノンプレイヤキャラクタに関連するパラメータ
この種の候補パラメータとしては、ノンプレイヤキャラクタの種類、体力値、スタミナ値、仮想空間における位置、プレイヤキャラクタとの距離、プレイヤキャラクタとの友好度(仲間であるか否か)を例示できる。
【0101】
(C)その他のパラメータ
その他の候補パラメータとしては、現在プレイ中のクエスト(ゲーム上の課題)の情報(難易度、種類等)、クエストに関する経過時間を例示できる。マルチプレイにおける参加人数、マルチプレイにおける参加者のランク等のパラメータ、マルチプレイにおける他のプレイヤキャラクタに関連する各種パラメータも、候補パラメータとして例示できる。
【0102】
また、ゲーム内の時刻(日付、季節などを含む)、プレイ中における現実の時刻、ゲームにおける気象、プレイ時間の総計なども候補パラメータの一例である。更に、課金の額、課金により購入できる仮想通貨の額も候補パラメータの一例である。
【0103】
更新値決定部565は、例示した項目(例えば攻撃の成否、アイテムのレア度)の全てを、更新値の決定に用いる必要はない。例えば、更新値決定部565は、アイテム取得時に、項目の一部(例えばレア度のみ)を用いて更新値を決定することができる。また、更新値決定部565は、更新値の決定に際して、例示した以外の項目を用いてもよい。
【0104】
台詞の決定手法は、データベースを用いた決定には限定されない。例えば、AI(Artificial Intelligence)を用いて、ゲーム状況と状況パラメータとから、台詞を決定してもよい。
【0105】
ゲームは、3次元の画像で表現されるものには限定されない。ゲームは、2次元の画像で表現されるものでもよい。
【0106】
ゲームプログラムは、いわゆるオンラインゲーム用のゲームプログラムとして実装してもよい。ゲームプログラムがオンラインゲーム用である場合には、制御部56で行っていた処理をそれらに代わってサーバ側で行ってもよいし、サーバ側とクライアント(ゲーム装置5)側とで分担してもよい。
【0107】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本発明の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0108】
5 ゲーム装置(コンピュータ)
56 制御部
562 ゲーム進行部
563 再生部
564 パラメータ管理部
565 更新値決定部
【手続補正書】
【提出日】2022-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
プレイヤキャラクタを仮想空間内で動作させてゲームを進行させるゲーム進行部と、
ゲーム状況に応じて音声データを選択し、前記プレイヤキャラクタの発声として、再生する再生部と、
前記発声のタイミングの指示を、プレイヤから受け付ける第2受付部として機能させ、
前記再生部は、前記第2受付部が前記指示を受けた場合に、前記音声データを再生する
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項2】
請求項1のゲームプログラムにおいて、
複数種類のパラメータの値を管理するパラメータ管理部と、
前記ゲーム状況の変化に応じて、所定の前記パラメータの更新値を決定する更新値決定部と、
として機能させ、
前記パラメータ管理部は、前記パラメータの値を前記更新値によって更新し、
前記再生部は、前記ゲーム状況と、前記複数種類のパラメータとに応じて、再生する前記音声データを選択する
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項3】
請求項2のゲームプログラムにおいて、
ゲーム進行に係る操作を、前記プレイヤから受け付ける第1受付部として機能させ、
前記更新値決定部は、前記操作の結果に対応して、所定の前記パラメータの更新値を決定する
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項4】
請求項2または請求項3のゲームプログラムにおいて、
前記更新値決定部は、他のキャラクタの状態または設定に応じて、所定の前記パラメータの更新値を決定する
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項5】
請求項2から請求項4の何れか1つのゲームプログラムにおいて、
前記更新値決定部は、前記プレイヤキャラクタが取得したアイテムのレア度、所持数、初の取得か否か、の何れかに応じて、所定の前記パラメータの更新値を決定する
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1つのゲームプログラムにおいて、
前記再生部は、前記ゲーム状況に応じて、前記音声データを再生するタイミングを決定する
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか1つのゲームプログラムにおいて、
前記再生部は、前記プレイヤキャラクタが第1動作から第2動作に遷移する際に、前記ゲーム状況に応じて、前記第1動作に対応づけられた前記プレイヤキャラクタの音声データの再生を継続または中断することを特徴とするゲームプログラム。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか1つのゲームプログラムを記憶した記憶部と、
前記ゲームプログラムを実行する制御部と、
を備えたことを特徴とするゲーム装置。