(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100875
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】水溶性金属加工油剤組成物、金属加工方法
(51)【国際特許分類】
C10M 173/00 20060101AFI20220629BHJP
C10M 129/26 20060101ALI20220629BHJP
C10M 133/08 20060101ALI20220629BHJP
C10M 107/34 20060101ALI20220629BHJP
C10M 173/02 20060101ALI20220629BHJP
C10N 40/20 20060101ALN20220629BHJP
C10N 30/16 20060101ALN20220629BHJP
C10N 40/22 20060101ALN20220629BHJP
C10N 40/24 20060101ALN20220629BHJP
【FI】
C10M173/00
C10M129/26
C10M133/08
C10M107/34
C10M173/02
C10N40:20 Z
C10N30:16
C10N40:22
C10N40:24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215124
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000115083
【氏名又は名称】ユシロ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(72)【発明者】
【氏名】三原 達也
(72)【発明者】
【氏名】近藤 優希
(72)【発明者】
【氏名】清水 亮
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BA02A
4H104BA07A
4H104BB14C
4H104BB34A
4H104BB41A
4H104BE04C
4H104DA02A
4H104LA08
4H104PA05
4H104PA21
4H104PA22
4H104PA23
4H104QA01
(57)【要約】
【課題】環境・人体に優しく、非鉄金属への悪影響も抑制可能であるとともに、気相部のカビの生育を効果的に抑制可能である、水溶性金属加工油剤組成物を提供する。
【解決手段】炭素数が6以上10以下の脂肪酸、及び、第3級アルカノールアミン化合物を含有し、第3級アルカノールアミンのアミン価を脂肪酸の酸価で除した比率が、1.0以上2.0以下であり、気相の防黴がなされる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相の防黴を可能とする水溶性加工油剤組成物であって、
炭素数が6以上10以下の脂肪酸、及び、第3級アルカノールアミン化合物を含有し、
前記第3級アルカノールアミンのアミン価を前記脂肪酸の酸価で除した比率が、1.0以上2.0以下であり、前記気相の防黴がなされる、
水溶性金属加工油剤組成物。
【請求項2】
前記水溶性加工油剤組成物を希釈してなる水溶性加工油剤のpHが6.0以上8.0以下において前記気相の防黴がなされる請求項1に記載の水溶性金属加工油剤組成物。
【請求項3】
基油としての鉱油、合成炭化水素油、及び、エステル化合物を含有しない、請求項1又は2に記載の水溶性金属加工油剤組成物。
【請求項4】
潤滑成分として、ポリオキシアルキレングリコールを含有する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の水溶性金属加工油剤組成物。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の水溶性金属加工油剤組成物を希釈してなる気相防黴用の水溶性金属加工油剤を加工対象に供給しながら、非鉄金属を加工する、
金属加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削、研削、塑性加工等の金属加工において用いられる、水溶性金属加工油剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
切削、研削、塑性加工等といった金属加工を行う場合、加工工具と被加工材との間を潤滑・冷却するために加工油剤が使用される。当該加工油剤には、油性加工油剤と水溶性加工油剤とがあるが、効率的に冷却できることや、無人化された機械においても加工時の火災を防止できることから、水溶性加工油剤が主に用いられている。金属加工の際は、大量の加工油剤をポンプによって循環しながら使用する。
【0003】
金属加工に用いられる水溶性加工油剤は、一般に鉱物油、油脂、脂肪酸、脂肪酸エステル、極圧添加剤、界面活性剤、消泡剤、金属防食剤、酸化防止剤、防腐・防カビ剤等を目的に応じて適宜混合して製造され、水で希釈して、いわゆるクーラントとした上で使用される。クーラントには、切削性、研削性等に係る1次性能と、作業性等に係る2次性能とが要求される。1次性能としては、例えば、仕上げ面精度の向上、工具寿命の延長等が挙げられ、2次性能としては、例えば、防錆性に優れること、劣化し難く管理が容易であること、人体に無害であること、泡立ちが少ないこと等が挙げられる。
【0004】
水溶性加工油剤には、上記したような微生物の栄養源となる物質が多く含有されているため、希釈後のクーラントが腐敗しやすいという問題がある。クーラントの腐敗が進行すると、1次性能、2次性能ともに低下するうえ、腐敗による悪臭も問題となる。また、腐敗によって油剤交換の頻度が高くなれば、コスト面においても不利となる。さらに、クーラントにカビが発生した場合、ポンプ等の循環系統においてパイプ詰まりの原因にもなる。これを防ぐため、加工油剤には防腐・防カビ剤が添加され、或いは、その他成分によって防腐・防カビがなされる。
【0005】
しかしながら、一般に、防腐剤や防カビ剤は、分解若しくは不活性化により効果が短期間で著しく低下してしまうという問題がある。この問題を解決するため、加工油剤において、界面活性剤(乳化剤)として脂肪酸と各種アミンとを反応させたアミンセッケンを使用したものがある(特許文献1)。この場合、加工油剤にはアルカリのアミンが遊離した状態で存在し、当該遊離状態のアミンを大量に含ませることで、加工油剤を高pH(pH9以上のアルカリ)とすることにより、防腐性を確保する技術も知られている。
【0006】
ただし、遊離アミンによる高pH化を利用する方法にあっては、著しい皮膚障害や非鉄金属を加工する際の腐食発生が懸念される。そこで、皮膚刺激性の高いアミン種を低減させ、かつpHが中性付近にありつつ高い防腐効果を備えた金属加工油剤が提案されているが、この効果はクーラント液中に限り確認されている(特許文献2)。
【0007】
一方、水溶性金属加工油剤が使用されている工場やプラントにおける配管・スクリーン詰まり等の原因は、タンク内の気液界面から気相部で繁殖するカビに由来する場合が多い。従来技術にあっては、液相中のカビの生育を抑制或いは死滅させるだけであり、気相部のカビの生育を抑制することはできず、気相部のカビの繁茂を防止するためには、物理的清掃等によって一時的に気相部のカビを除去する以外に手段がなかった。しかしながら、物理的清掃等によって気相部のカビを一時的に除去したとしても、カビ菌糸や胞子が少しでも残留してしまうと、短期間のうちにカビが繁茂し、これが剥がれ落ちること等によって、配管・スクリーン・その他プラント設備において、閉塞・溢水等のトラブルを繰り返すという問題があった。この気相部に繁殖するカビの生育を抑制可能な水溶性金属加工油剤組成物も提案されているが、クーラントのpHが9.0以上であり、高いpH領域に限定されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公昭61-40720号公報
【特許文献2】特許第5717471号公報
【特許文献3】特許第5841445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで上記問題に鑑み、本開示では、環境・人体に優しく、非鉄金属への悪影響も抑制可能であるとともに、気相部のカビの生育を効果的に抑制可能である、水溶性金属加工油剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本開示の態様は次の通りである。
【0011】
<1>
気相の防黴を可能とする水溶性加工油剤組成物であって、炭素数が6以上10以下の脂肪酸、及び、第3級アルカノールアミン化合物を含有し、第3級アルカノールアミンのアミン価を前記脂肪酸の酸価で除した比率が、1.0以上2.0以下であり、気相の防黴がなされる、水溶性金属加工油剤組成物。
【0012】
<2>
水溶性加工油剤組成物を希釈してなる水溶性加工油剤のpHが6.0以上8.0以下において気相の防黴がなされる<1>に記載の水溶性金属加工油剤組成物。
【0013】
<3>
基油としての鉱油、合成炭化水素油、及び、エステル化合物を含有しない、<1>又は<2>の水溶性金属加工油剤組成物。
【0014】
<4>
潤滑成分として、ポリオキシアルキレングリコールを含有する、<1>から<3>のいずれかに記載の水溶性金属加工油剤組成物。
【0015】
<5>
<1>から<4>のいずれかに記載の水溶性金属加工油剤組成物を希釈してなる気相防黴用の水溶性金属加工油剤を加工対象に供給しながら、非鉄金属を加工する、金属加工方法。
【発明の効果】
【0016】
本開示によると、環境・人体に優しく、非鉄金属への悪影響も抑制可能であるとともに、気相部のカビの生育を効果的に抑制可能な水溶性金属加工油剤組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】試験のための試料を模式的に表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.水溶性金属加工油組成物
1.1.脂肪酸及びアミン
本開示の水溶性金属加工油組成物は、炭素数が6~10の脂肪酸、及び、第3級アルカノールアミン化合物を含有している。
【0019】
炭素数が6~10の脂肪酸としては、例えばカプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ノナン酸、イソノナン酸、デカン酸、ネオデカン酸等を挙げることができる。
【0020】
第3級アルカノールアミン化合物としては、例えばブチルジイソプロパノールアミン、ジブチルモノイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジブチルエタノールアミン、シクロヘキシルジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、ヒドロキシプロピルアミンなどが挙げられる。これらを単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
【0021】
また、本開示では炭素数が6~10である脂肪酸の酸価と、第3級アルカノールアミン化合物のアミン価の比率が、アミン価を酸価で除して表される中和率(アミン価/酸価)が1.0以上2.0以下となるように含まれる。
これにより後述するように、水溶性金属加工油剤組成物を希釈してpHを6.0以上8.0以下の水溶性金属加工油剤としたときにも気相部の黴の生育を効果的に抑制することが可能となる場合がある。すなわち、加工油中においてはpHを中性に近い範囲としつつ、気相部に対して黴の生育を抑制することができる。従って、環境・人体に優しく、非鉄金属への悪影響も抑制可能であるとともに、気相部のカビの生育を効果的に抑制可能な水溶性金属加工油剤組成物となる。
【0022】
このような炭素数が6~10である脂肪酸と第3級アルカノールアミンとにより、これらは水溶性金属加工油剤組成物における脂肪酸アミノセッケンとして存在するものとなる。
【0023】
このような脂肪酸及び第3級アルカノールアミンは、上記を満たしつつ、組成物として均一に混合し、またこの組成物を水に希釈してクーラントとした場合にも均一に分散する限りにおいて、添加量に特に制限はない。
【0024】
1.2.その他
[防錆剤]
また、本開示の水溶性金属加工油剤組成物には、従来の水溶性金属加工油剤組成物に含まれる防錆剤を含んでもよい。上述した第3級アルカノールアミンは防錆剤としても機能し得るが、その他にも例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、カルボン酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩、タングステン酸塩、モリブテン酸塩、スルホン酸塩等を挙げることができる。
【0025】
[基油]
本開示の水溶性金属加工油剤組成物には、従来の水溶性金属加工油剤組成物に含まれる基油としての鉱油、合成炭化水素油、及び、エステル化合物を含まずに構成してもよい。
鉱油としては、例えば、原油を常圧蒸留および減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理などの精製処理を適宜組み合わせて精製したパラフィン系鉱油またはナフテン系鉱油が挙げられる。
合成炭化水素としては、ポリアルファオレフィン等を挙げることができる。
エステル化合物としては、例えば、2-エチルヘキサノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコールエリスリトール、グリセリン、ソルビトール等のアルコールとカルボン酸の縮合物等を挙げることができる。
【0026】
[潤滑成分]
本開示の水溶性金属加工油剤組成物には、上記基油を含めない代わりに、合成潤滑剤を含めることができる。これには例えばポリオキシアルキレングリコール(POA)、ポリシロキサン化合物、フラーレン誘導体、ヒドロフルオロカーボン誘導体、含フッ素イオン液体等を挙げることができる。
【0027】
潤滑成分の含有割合は、組成物及びこの組成物を水に希釈してクーラントとした場合にも分離せずに安定して存在できる割合であれば特に限定されるものではない。
【0028】
[防腐剤]
必要に応じて、液中の耐腐敗性を担保するため、イソチアゾリン系、ヨード系、パラベン類、イソピロピルメチルフェノール等の防腐剤を適宜含有してもよい。本開示の組成物によるクーラントは液性が中性域にあるため、これら防腐剤の分解が抑制されることから、本願の気相防黴効果と相乗的に機能する。
【0029】
2.水溶性金属加工油剤組成物の用途及び金属加工方法
本開示の水溶性金属加工油剤組成物は、水溶性切削油、水溶性研削油、水溶性洗浄剤、水溶性プレス油、水溶性鍛造油、水溶性圧延油、水溶性切断油、水溶性研磨油、水溶性作動油、水溶性離型剤として使用することができる。
【0030】
そのために、例えば上記した水溶性金属加工油剤組成物は、輸送性、取扱性などの点から原液として流通される。したがって、該原液を購入したユーザーは、水で該原液をpHが6.0~8.0となるように希釈して水溶性金属加工油剤として使用する。
そしてこれを水溶性金属加工油剤として加工部に供給することで金属の加工を行う方法により金属加工を行うことができる。金属加工としては切削加工、研削加工、プレス加工、鍛造加工、圧延加工、切断加工等を挙げることができる。
なお、加工対象となる金属は非鉄金属であることが好ましい。
【0031】
3.実施例
3.1.検討1
検討1では、各種の脂肪酸を各種のアミンで中和率を変更して検体を作製し、黴の生育に対する影響を試験した。
【0032】
[脂肪酸]
脂肪酸として、表1に示した炭素数が6以上18以下のものを用いた。
【0033】
【0034】
[アミン]
アミンとして、表2に示した第1級、第2級、第3級のものを用いた。
【0035】
【0036】
[試験体の作製]
菌黴(黴)として、実際に黴による問題が生じた施設の水溶性金属加工油剤液から分離された高薬剤耐性菌(Pseudallescheria属)を用いた。
検体として表1に示した脂肪酸を表2に示したようにして中和率1.0~2.0の範囲で混合したものを用いた。なお中和率は上記したようにアミン価を酸価で除した値である。
【0037】
深形の滅菌シャーレA(深さ約2cm、直径90mm)に、オートクレーブで滅菌溶解した培地(ツァペックドックス寒天培地、CDA培地)を注入し,固化させた。ここに、白金耳を用いて上記黴の懸濁液(滅菌生食にて10倍希釈)を描線塗沫した。
一方、別の滅菌シャーレB(直径60mm)に検体を5mL分注入した。
図1のようにシャーレA、シャーレBを静置し、シャーレAの外周をビニールテープで密封して30℃の恒温槽内で3日間静置した。
【0038】
[評価方法]
気相防黴性の評価は目視観察により行った。
図2に評価の基準となる例を示した。このように、黴の生育を良好に阻害したものを「◎」、「◎」ほどではないが黴の生育を阻止でき、従来に比べれば黴の生育が抑制することができたものを「〇」、黴の生育を阻害できず従来と同様の状態で黴が生育すると考えられるものを「×」とした。
【0039】
[結果]
表3~表8に結果を示す。
【0040】
<第3級アミンによる中和>
表3にはアミン3Aによる結果、表4にはアミン3B、表5にはアミン3Cによる結果を示した。
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
以上のように、中和率を調整した場合に第3級アルカノールアミンにおいて、pHが6.0以上8.0以下とした場合に次の例で気相防黴性が認められた。
・中和率が1.0以上1.2未満のとき:アミン3A、アミン3B、アミン3Cの全てに対して炭素数が6以上10以下の脂肪酸。
・中和率が1.2以上1.4未満のとき:アミン3A、アミン3B、アミン3Cの全てに対して炭素数が8以上10以下の脂肪酸。
・中和率が1.4以上1.5未満のとき:アミン3A、アミン3B、アミン3Cの全てに対して炭素数が8、9の脂肪酸、アミン3Aに対して炭素数が10の脂肪酸、並びに、アミン3B及びアミン3Cに対して脂肪酸10A
・中和率が1.5以上2.0未満のとき:アミン3A、アミン3B、アミン3Cの全てに対して炭素数が8、9の脂肪酸、アミン3Aに対して炭素数が10の脂肪酸、並びに、アミン3B及びアミン3Cに対して脂肪酸10A
・中和率が2.0のとき:アミン3Aに対して炭素数が8以上10以下の脂肪酸、並びに、アミン3B及びアミン3Cに対して脂肪酸9B及び脂肪酸10A
【0045】
<第1級アミンによる中和>
表6にはアミン1Aによる結果、表7にはアミン1Bによる結果を示した。
【0046】
【0047】
【0048】
表6、表7からわかるように、第1級アミンを用いると気相における黴の生育を抑えることができなかった。
【0049】
<第2級アミンによる中和>
表8にはアミン2による結果示した。
【0050】
【0051】
表8からわかるように、第2級アミンを用いると、一部に黴の育成を抑制する条件があるものの、多くの条件で黴の生育を抑えることができなかった。
【0052】
<KOHによる中和>
参考のため、アミンの代わりにKOHを用いて同様に検討を行った。表9に結果を示す。
【0053】
【0054】
表9からわかるように、いずれの条件でも気相防黴性は認められなかった。
【0055】
3.2.検討2
検討2では、検討1で効果が認められたカプリル酸(脂肪酸8)、イソナノン酸(脂肪酸9A)、及び、カプリン酸(脂肪酸10A)、並びに、検討1で効果が認められたなったウンデセン酸(脂肪酸11)、及び、オレイン酸(脂肪酸18)について、実際の水溶性金属加工油剤を模した組成物を作製して同様に気相防黴性を確認した。本検討では第3級アリカノールアミンとしてトリエタノールアミン(アミン3A)を用いた。
表10に各成分の配合割合、及び結果を示した。
【0056】
【0057】
このように、合成潤滑剤を含めて構成し、実際の水溶性金属加工油剤のように構成しても上述した要件を満たすことで効果を奏するものとなる。