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特開2022-100907脂質濃度計測装置、プログラム、及び、方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100907
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】脂質濃度計測装置、プログラム、及び、方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/359 20140101AFI20220629BHJP
   G01N 21/49 20060101ALI20220629BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
G01N21/359
G01N21/49 Z
A61B5/1455
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215182
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】515045662
【氏名又は名称】メディカルフォトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100126147
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 成年
(72)【発明者】
【氏名】飯永 一也
【テーマコード(参考)】
2G059
4C038
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB13
2G059EE01
2G059HH01
2G059KK01
2G059MM01
2G059MM09
2G059MM10
4C038KL05
4C038KL07
4C038KM01
4C038KX02
4C038KY04
(57)【要約】
【課題】 血中脂質濃度を計測することが可能な装置及び方法を提供する。
【解決手段】 被験体の所定位置に光を照射する照射部と、照射部による光の照射位置から所定間隔をあけて、あるいは、連続的な位置での、被検体から放出される、複数の位置の光強度を検出する受光部と、複数位置の光強度から血液濁度を算出し、予め統計的処理により作成された食後経過時間と血液濁度との相関データに基づいて、血液濁度から、濁度変化量を算出し、予め統計的処理により作成された濁度変化量と脂質濃度変化量との相関データに基づいて、濁度変化量から脂質濃度変化量を算出し、脂質濃度変化量に空腹時の脂質濃度を加えることにより、脂質濃度絶対値推定量を算出する、制御部と、を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の体の所定位置に光を照射する照射部と、
前記照射部による光の照射位置から所定間隔をあけて、あるいは、連続的な位置での、前記被検者の体から放出される、複数の位置の光強度を検出する受光部と、
前記複数の位置の光強度から、所定の食後経過時間における血液濁度を算出し、
食後経過時間と血液濁度との統計データに基づいて、前記血液濁度から濁度変化量を算出し、
濁度変化量と脂質濃度変化量との統計データに基づいて、前記濁度変化量から脂質濃度変化量を算出し、
前記脂質濃度変化量に前記被験者の空腹時の脂質濃度を加えて、前記被験者の脂質濃度絶対値推定量を算出する、制御部と、
を有する脂質濃度計測装置。
【請求項2】
前記制御部は、
食後経過時間と血液濁度との統計データから時間変化線データを生成し、
前記時間変化線データを、前記算出された所定の食後経過時間における血液濁度を通るように定数項を改変し、
前記改変された時間変化線データのy切片の値を算出し、
前記算出された所定の食後経過時間における血液濁度から前記y切片の値を引くことにより、前記濁度変化量を算出する、請求項1に記載の脂質濃度計測装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記被験者の空腹時のTG脂質濃度を前記被験者の空腹時のHDL-C濃度で除して、TG吸収パラメーターを算出し、
TG吸収パラメーターと最大脂質吸収量との統計データに基づいて、前記TG吸収パラメーターから最大脂質吸収量を算出し、
前記最大脂質吸収量に前記被験者の空腹時の脂質濃度を加えて、前記被験者の推定最大脂質吸収量を算出し、
前記脂質濃度絶対値推定量を前記推定最大脂質吸収量で除して、前記被験者のインデックス値を算出する、請求項1または2に記載の脂質濃度計測装置。
【請求項4】
前記制御部は、
BMIと最大脂質吸収量の統計データに基づいて、前記被験者のBMIから最大脂質吸収量を算出し、
前記最大脂質吸収量に前記被験者の空腹時の脂質濃度を加えて、前記被験者の推定最大脂質吸収量を算出し、
前記脂質濃度絶対値推定量を前記推定最大脂質吸収量で除して、前記被験者のインデックス値を算出する、請求項1または2に記載の脂質濃度計測装置。
【請求項5】
被験者の体の所定の照射位置に光を照射し、
前記照射位置から所定間隔をあけて、あるいは、連続的な位置での、前記被検者の体から放出される、複数の位置の光強度を検出し、
前記複数の位置の光強度から、所定の食後経過時間における血液濁度を算出し、
食後経過時間と血液濁度との統計データに基づいて、前記血液濁度から、濁度変化量を算出し、
濁度変化量と脂質濃度変化量との統計データに基づいて、前記濁度変化量から脂質濃度変化量を算出し、
前記脂質濃度変化量に前記被験者の空腹時の脂質濃度を加えて、前記被験者の脂質濃度絶対値推定量を算出する、脂質濃度計測方法。
【請求項6】
コンピュータに、
被験者の体の所定の照射位置に光を照射する処理と、
前記照射位置から所定間隔をあけて、あるいは、連続的な位置での、前記被検者の体から放出される、複数の位置の光強度を検出する処理と、
前記複数の位置の光強度から、所定の食後経過時間における血液濁度を算出する処理と、
食後経過時間と血液濁度との統計データに基づいて、前記血液濁度から、濁度変化量を算出する処理と、
濁度変化量と脂質濃度変化量との統計データに基づいて、前記濁度変化量から脂質濃度変化量を算出する処理と、
前記脂質濃度変化量に前記被験者の空腹時の脂質濃度を加えて、前記被験者の脂質濃度絶対値推定量を算出する処理と、
を実行させる脂質濃度計測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂質濃度計測装置、プログラム、及び、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血中の脂質濃度の変化の計測には、光学的手法による経皮無侵襲計測がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の手法によれば、非侵襲脂質計測により、採血を無くすことができる。これにより医療機関のみならず家庭でも血中脂質を計測できるようになる。即時的なデータ取得を可能とすることで、時間的に連続した血中脂質を計測することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2014/087825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の手法の場合、測定部位の皮膚厚や血管の太さの影響があるため、血液濁度の絶対値計測が難しい。そのため、ヒト-ヒト間の血液濁度の比較ができず、栄養指導を行いづらい。また、血液の濁度は食事の影響を受けるため、計測時点での血液の濁度の絶対値が、食前と食後の場合では意義が異なる。
【0006】
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたもので、血液濁度から脂質濃度の絶対値を推定する装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の脂質濃度計測装置は、被験体の所定位置に光を照射する照射部と、照射部による光の照射位置から所定間隔をあけて、あるいは、連続的な位置での、被検体から放出される、複数の位置の光強度を検出する受光部と、複数位置の光強度から血液濁度を算出し、予め統計的処理により作成された食後経過時間と血液濁度との統計データに基づいて、血液濁度から、濁度変化量を算出し、予め統計的処理により作成された濁度変化量と脂質濃度変化量との統計データに基づいて、濁度変化量から脂質濃度変化量を算出し、脂質濃度変化量に空腹時の脂質濃度を加えることにより、脂質濃度絶対値推定量を算出する、制御部と、を有する。
【0008】
本発明の脂質濃度計測方法は、被験体の所定位置に光を照射し、照射部による光の照射位置から所定間隔をあけて、あるいは、連続的な位置での、前記被検体から放出される、複数の位置の光強度を検出し、複数位置の光強度から血液濁度を算出し、予め統計的処理により作成された食後経過時間と血液濁度との統計データに基づいて、血液濁度から、濁度変化量を算出し、予め統計的処理により作成された濁度変化量と脂質濃度変化量との統計データに基づいて、濁度変化量から脂質濃度変化量を算出し、脂質濃度変化量に空腹時の脂質濃度を加えることにより、脂質濃度絶対値推定量を算出する。
【0009】
本発明の脂質濃度計測プログラムは、コンピュータに、被験者の体の所定の照射位置に光を照射する処理と、照射位置から所定間隔をあけて、あるいは、連続的な位置での、被検者の体から放出される、複数の位置の光強度を検出する処理と、複数の位置の光強度から、所定の食後経過時間における血液濁度を算出する処理と、予め統計的処理により作成された食後経過時間と血液濁度との統計データに基づいて、血液濁度から、濁度変化量を算出する処理と、予め統計的処理により作成された濁度変化量と脂質濃度変化量との統計データに基づいて、濁度変化量から脂質濃度変化量を算出する処理と、脂質濃度変化量に被験者の空腹時の脂質濃度を加えて、被験者の脂質濃度絶対値推定量を算出する処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の脂質濃度計測装置及び方法によれば、脂質濃度の絶対値の推定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の脂質濃度計測装置の構成を示す図。
図2】制御系の構成を示すブロック図。
図3】時間変化線データを示す図。
図4】濁度変化量の算出を説明する図。
図5】濁度の変化量と脂質濃度変化量との相関を示す図。
図6】個人の最大脂質吸収量とTG吸収パラメーターとの相関を示す図。
図7】BMIと最大脂質吸収量の相関を示す図。
図8】実施形態の脂質濃度計測処理のフローチャート。
図9】実施形態の脂質濃度計測処理のフローチャート。
図10】実施形態の脂質濃度計測処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態の脂質濃度計測装置、方法、および、プログラムについて図面を用いて説明する。なお、実施形態の脂質濃度計測装置の大まかな構成は、制御部における処理を除いて、WO2014/087825に開示の構成と共通する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の脂質濃度計測装置1は、生体外から生体に向けて光を照射する照射部2と、生体外の所定の検出位置31における光強度を検出する受光部3と、この受光部3により検出された光強度に基づき脂質濃度の絶対値を推定する制御部4とを有する。
【0014】
照射部2は、生体外から生体に向けて、所定の照射位置21に光を照射する。照射部2は、光を照射するための光源22を有する。光源22は、照射する光の波長を自在に調整することができる。光源22は、照射光の波長範囲を血漿の無機物によって光が吸収される波長範囲以外に調整できる。また、光源22は、血液の細胞成分によって光が吸収される波長範囲以外に調整することもできる。ここで、血液の細胞成分とは、血中の赤血球、白血球および血小板のことであり、血漿の無機物とは、血中の水および電解質のことである。
【0015】
光源22が照射する光の波長は、血漿の無機物により光を吸収する波長範囲を考慮して約1400nm以下および約1500nm~約1860nmとするのが好ましい。さらに、光源22が照射する光の波長は、血液の細胞成分によって光が吸収される波長範囲を考慮して約580nm~約1400nm、及び、約1500nm~約1860nmとするのがより好ましい。
【0016】
このように、光源22として用いられる波長範囲を上記範囲とすることにより、後述する受光部3により検出される光において、血漿の無機物による光の吸収の影響および血液の細胞成分により光の吸収の影響を抑制している。これにより、物質を特定するほどの吸収は存在せず、吸収による光エネルギー損失は無視できるほど小さくなるため、血中の光は血中の脂質による散乱によって遠くまで伝搬し、体外へ放出されようになる。
【0017】
また、照射部2は、後述する制御部4による血液濁度μmの算出方法に応じて、光の連続的な照射や光のパルス状の照射等の光を照射する時間長さを任意に調整することができ、かつ照射する光の強度または光の位相を任意に変調することができる。
【0018】
なお、照射部2は、波長が固定された光源22を用いてもよく、複数の波長の光を混合したものであってもよい。
【0019】
受光部3は、光を受光してその光強度を検出する。受光部3は、生体から生体外に放出される光を受光し、その光強度を検出する。また、複数の受光部3を用いる場合は、複数の受光部3は、照射位置21を中心として各々異なる距離に設置される。実施形態では、図1に示すように、照射位置21から所定の間隔で同一面上でかつ直線状に第1受光部31及び第2受光部32が順に並べられる。
【0020】
また、照射位置21から検出位置33までの距離を照射検出間距離ρとする。実施形態では、図1に示すように、照射位置21から第1受光部31による第1検出位置331までの距離を第1照射検出間距離ρとし、照射位置21から第2受光部32による第2検出位置332までの距離を第2照射検出間距離ρとする。
【0021】
このように、光を生体に照射する照射位置21と、生体から放出される光強度を検出する検出位置33との間に所定の距離ρを設けることにより、照射した光が生体表面および表面近傍の散乱体により反射して直接的に生体から放出される光の影響を抑制し、血液や脂質が存在する深さに達したのち、血中脂質によって光が反射することによる散乱を経て生体から放出される後方散乱光による光強度を検出する。また、照射位置21と検出位置33との距離を長くすることで、光路長は長くなるため、脂質との衝突回数が増え、検出される光は散乱の影響を多く受けることにより、これまでは弱く、検出しにくかった散乱の影響を捉えやすくしている。
【0022】
なお、複数の検出位置33を設ける場合の配列は、照射位置21を中心として各々異なる距離に配置されるのであれば直線状に限定されるものではなく、円状、波状、ジグザグ状など、適宜選択してよい。また、照射位置21から検出位置33までの第1照射検出間距離ρや第2照射検出間距離ρ、検出位置331,332同士の間隔は、一定の間隔に限定されるものではなく、適宜選択してよい。
【0023】
次に、脂質濃度計測装置1の制御系の構成について説明する。図2は実施形態の脂質濃度計測装置1の制御系のブロック図である。システムバス42を介して、CPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)43、RAM(Random Access Memory)44、記憶部47、外部I/F(Interface)48、照射部2、及び、受光部3が接続される。CPU41とROM43とRAM44とで制御部(コントローラー)4を構成する。
【0024】
ROM43は、CPU41により実行されるプログラムや閾値を予め記憶する。
【0025】
RAM44は、CPU41が実行するプログラムを展開するエリアと、プログラムによるデータ処理の作業領域となるワークエリアなどの様々なメモリエリア等を有する。RAM44は、後述する時間変化曲線データと、健康診断等により予め得られた被験者の空腹時TG濃度と、血液濁度の変化量ΔμmとTG濃度の変化量(脂質濃度変化量)ΔTGとの統計データと、TG吸収パラメーターと最大脂質吸収量(ΔTGmax)の統計データと、BMIと最大脂質吸収量(ΔTGmax)の統計データを記憶する記憶エリアを有する。なお、これらデータは記憶部47に記憶することでもよい。
【0026】
記憶部47は、検知・算出された光強度等や血液濁度等のデータを記憶する。記憶部47は、HDD(Hard Disk Drive)や、フラッシュメモリや、SSD(Solid State Drive)等の、不揮発性に記憶する内部メモリーでよい。
【0027】
外部I/F48は、例えばクライアント端末(PC)などの外部装置と通信するためのインターフェースである。外部I/F48は、外部装置とデータ通信を行うインターフェースであれば良く、たとえば、外部装置にローカルに接続する機器(USBメモリ等)であっても良いし、ネットワークを介して通信するためのネットワークインターフェイスであってもよい。
【0028】
制御部4は、受光部3により検出された光強度に基づき脂質濃度の絶対値を推定する。以下、制御部4による脂質濃度の算出処理について説明する。
【0029】
制御部4は、受光部3により検出された光強度に基づき生体内における光の血液濁度μmを算出する。上述のとおり、受光部3により検出された光強度は、血中脂質による光の散乱の影響が含まれており、そのことから血液濁度μmを算出する。なお、実施形態における血液濁度μmは、一般的な散乱過程の効率を数値化したものに限定されるものではなく、散乱現象を考慮して散乱の影響を一定の条件下で数値化したものも含むものである。以下、詳細に説明する。
【0030】
制御部4は、検出位置33で検出された光強度と、照射位置21から検出位置33までの照射検出間距離ρとの比から血液濁度μmを算出する。つまり、照射した光が検出位置までの距離を遠くするにつれて散乱により減衰していく散乱現象に基づき血液濁度μmを算出する。
【0031】
実施形態における制御部4は、照射部2により連続光を照射するとともに、第1受光部31により検出された光強度R(ρ)と照射検出間距離ρとを、下記式(1)および式(2)に代入することで血液濁度μmを算出する。
【数1】
【数2】
【0032】
ここで、μは吸収係数、μeffは有効減衰係数(Effective Attenuation Coefficient)、Sは照射部2により照射された光の光強度である。
【0033】
なお、制御部4は、実施形態のように上記式(1)および式(2)によるものに限定されるものではなく、適宜選択されるものであり、例えば、検出された光強度R(ρ)と血液濁度μmとが単純に比例しているものとしてもよい。
【0034】
また、制御部4は検出位置33が一点のものに限定されるものではない。実際の計測に置いては、多くの計測ノイズが発生することが想定される。そのような場合は、検出位置33を多数設置し、照射検出間距離ρに応じた連続的な光強度から血液濁度を導くこともできる。つまり、制御部4において、計測点が少数である各計測データのノイズが相対的に大きくなる場合、検出位置33を増やすことで、実測で想定されるノイズの影響を軽減させることが可能である。
【0035】
次に、制御部4は、複数の受光部3により検出された光強度のそれぞれの比から血液濁度μmを算出する。照射した光が、検出位置33までの距離を遠くするにつれて散乱により減衰していく散乱現象に基づき血液濁度μmを算出するものである。
【0036】
実施形態では、照射部2により所定の光強度の連続光を照射し、照射位置21から第1受光部31による第1検出位置331までの第1照射検出間距離ρと、照射位置21から第2受光部32による第2検出位置332までの第2照射検出間距離ρと、第1受光部31により検出された第1光強度R(ρ)と、第2受光部32により検出された第2光強度R(ρ)とを下記式(3)に代入することで血液濁度μmを算出する。
【数3】
【0037】
このように、上記式(3)では、検出位置33を少なくすることができるため、装置の大きさが小さく、そして安価に製造することがで、家庭用に適している。
【0038】
なお、制御部4は、本実施形態のように上記式(3)によるものに限定されるものではなく、適宜選択してよい。第1検出位置331,および第2検出位置332同士の間の距離に対する減衰率を算出し、その減衰率から血液濁度μmを算出するようにしてもよい。
【0039】
また、上記式(3)を使用した装置は、家庭用に限定されるものではなく、医療用・臨床用であってもよい。
【0040】
制御部4は、複数の受光部3により検出された光強度の差から血液濁度μmを算出する。この血液濁度μmは、検出位置33同士の間の距離に対応した2点間の差を算出し、その算出した値を血液濁度μmとしたものである。よって、照射した光が、検出位置33までの距離を遠くするにつれて散乱により減衰していく散乱現象に基づき血液濁度μmを算出するものである。
【0041】
実施形態における制御部4は、第1検出位置331および第2検出位置332における光強度R(ρ)および光強度R(ρ)を取得し、その差を算出し、血液濁度μmとする。
【0042】
次に、制御部4は、照射部2によりパルス状の光を照射した時から、受光部3により検出された光強度が所定の強度に減衰するまでの時間の長さから血液濁度μmを算出する。つまり、パルス状に照射した光が、散乱により時間が進むにつれて減衰していく散乱現象に基づき血液濁度μmを算出する。
【0043】
よって、ここで検出される光強度には、光が血中脂質の濃度に依存して散乱している情報、および照射した時から検出されるまでの時間が長くなるほど光強度が減衰する情報が含まれている。よって、制御部4は、その光強度の減衰から血中脂質の濃度に依存する血液濁度μmを得る。
【0044】
本実施形態における制御部4は、照射位置21とそれに隣接する検出位置33における光強度を取得し、所定の光強度に減衰するまでの時間を算出し、その値を血液濁度μmとする。
【0045】
制御部4は、照射部2によりパルス状の光を照射した時から、受光部3により検出された光強度が最も強くなる時までの時間の長さから血液濁度μmを算出する。つまり、パルス状に照射した光が、散乱により時間が進むにつれて減衰していく散乱現象に基づき血液濁度μmを算出する。
【0046】
本実施形態では、上述のとおり、照射位置21から検出位置33までに所定の距離を有しており、その距離の間で散乱が起きている。そのため、受光部3により検出される光強度が最も強くなるまでのタイムラグがある。よって、制御部4は、そのタイムラグを利用して血中脂質の濃度に依存する血液濁度μmを得る。
【0047】
よって、実施形態における制御部4は、照射位置21とそれに隣接する検出位置33における光強度を取得し、光強度が最も強くなる時までの時間を算出し、その値を血液濁度μmとする。
【0048】
制御部4は、光密度波形より血液の血液濁度μmおよび吸収係数を算出する。光密度波形は、照射部2により照射する光の強度または光の位相を変調させることで、その波形が変化する。この光密度波形の変化は、血液の濃度に依存しており、血液の血液濁度μmおよび吸収係数を算出する。
【0049】
実施形態における制御部4は、照射位置21とそれに隣接する検出位置31aにおける光強度を取得し、その光密度波形の時間変化を算出し、その時間変化から血液の血液濁度μmおよび吸収係数を算出する。
【0050】
なお、制御部4による血液濁度μmの算出方法は、上記の各算出によるものに限定されるものではなく、光強度に含まれる血中脂質の濃度情報を算出する方法から適宜選択してよい。
【0051】
制御部4は、以上の処理で血液濁度μmを算出する。
【0052】
次に、脂質濃度の算出にあたり、予め時間変化線データを作成し、RAM44に記憶する。時間変化線データの作成にあたっては、被験者100名の血液濁度(絶対値)を用いて、図3に示すような、時間変化線を作成した。なお、実施形態では、健常者100名を特段の区別なく時間変化線を作成したが、被験者の性別、疾患別、体格別などで区別して時間変化線を作成してもよい。
【0053】
時間変化線データの作成法は、次の通りである。被験者100名に対し、空腹時(食後経過時間0時間)、食後1時間、食後2時間、食後3時間、食後4時間、食後5時間、食後6時間のタイミングの測定ポイントでそれぞれ血液濁度(絶対値)を計測した。各測定ポイントにおける被験者100名の血液濁度の平均値を算出した。ただし、日常生活における計測であるため、食後計測におけるサンプル数は、均一して100名ではない。
【0054】
また、SD(標準偏差)値の算出にあたっては、各測定ポイントのSD値の平均値を採用している。これは、測定時間ごとのサンプル数に差があったため、目安として用いるために、この算出法を採用した。
【0055】
時間変化線データ(図3の中央の線)は、食後経過時間(h)の各測定ポイントにおける被験者100名の血液濁度μm(絶対値)の平均値であり、時間変化線の上下の線は、各測定時間における血液濁度μm(絶対値)の平均値±2SDの線である。この±2SD線の意図としては、±2SDの範囲に95%の人が入るので、異常データかどうかを判別するときの目安とできる。なお、図3では時間変化線データは折れ線となっているが、回帰分析により近似した回帰曲線としてもよい。
【0056】
制御部4は、時間変化線データAに基づいて濁度変化量(Δμm)を算出する。
【0057】
図4は、制御部4が算出した血液濁度μmと、記憶された時間変化線データAとを示す図である。図4中のDが制御部4が算出した血液濁度μmであり、図4中の点線Aは図3の時間変化線データA(回帰曲線:y=-0.0024x2+0.0173x+0.2214、y軸は血液濁度、x軸は食後経過時間、式Aとする)である。なお、時間変化線データAは、非線形最小二乗法、指数近似、対数近似、式近似、累乗近似などを用いて、近似してもよい。
【0058】
血液濁度の各測定ポイント(時間)における血液濁度の算出結果μmと、食後の経過時間(例えば3時間)から、図4の(X,Y)座標が求まる(図中の星D(3,μm))。
【0059】
次に、制御部4は、時間変化線データAが図4中のD(3,μm)を通るように定数項を改変する。改変されたデータを時間変化線B(図4中のB)とする。
【0060】
図4中の時間変化線データBは次の式Bで表すことができる。(式Bのxは食後経過時間であり、yは血液濁度μmである。)
【0061】
(式B) y=-0.0024x2+0.0173x+0.2214+Cm
【0062】
まず、時間変化線データA(式A)における食後経過時間(3時間)の血液濁度μmを求める。
【0063】
ここでx=3であることから、μm=-0.0024*32+0.0173*3 +0.2214となり、食後経過時間(3時間)における血液濁度μm=0.2517となる。
【0064】
時間変化線データAからのベースの変化量Cmは、Cm=(実測μm:図4中のDのy座標)-0.2517となる。
【0065】
また、式Aのx=0(y切片)の時の血液濁度μmは0.2214であることから、この値にCmを加算することで、空腹時における理論上の血液濁度μm(y切片C)が求まる。
【0066】
Δμm(濁度変化量)=(式Bの食後経過時間(3時間)における血液濁度μm)-(y切片Cの値)
【0067】
時間変化線データAにおけるΔμm(濁度変化量)は、X=3(食後経過時間)のときの時間変化線データAにおけるΔμm=0.2517-0.2214=0.0303となる。
【0068】
なお、時間変化線データAの作成に用いたデータは健常者のデータであるが、脂質異常症者、糖尿病患者など、対象群ごとのデータを使用することで、精度は向上する。
【0069】
また、基準線の回帰式は、個人ごとにデータを集積し、回帰式を更新、学習することで、個人に応じたより高精度な回帰式へと進化させることができる。
【0070】
制御部4は、図5で求めたΔμm(濁度変化量)に、濁度の変化量ΔμmとTG濃度の変化量(脂質濃度変化量)ΔTGとの統計データから求めた、y=0.0001x-0.0084という線形近似式のxの係数の逆数を乗じて脂質濃度変化量を算出する。
【0071】
(式1)
(脂質濃度変化量)=Δμm×10000
【0072】
式1の係数10000(0.0001の逆数)は以下の図5に基づく。図5は、濁度の変化量ΔμmとTG濃度の変化量(脂質濃度変化量)ΔTGとの統計データである。RAM44は、濁度の変化量ΔμmとTG濃度の変化量(脂質濃度変化量)ΔTGとの統計データを記憶する。
【0073】
制御部4は、脂質濃度変化量に、空腹時の脂質濃度を加えることにより、下記式2により、脂質濃度絶対値推定量を算出する。
【0074】
(式2)
(脂質濃度絶対値推定量)=(脂質濃度変化量)+(空腹時TG濃度)
【0075】
脂質濃度絶対値の推定量としたのは、空腹時TGの計測日と非侵襲計測の日が異なる場合を想定した表現である。また、「空腹時TG濃度」とは、健康診断等により予め得られた数値データを記憶部に記録した場合の、被験者のTG濃度値である。
【0076】
上記式2のように、濁度変化量Δμmから脂質濃度絶対値推定量を算出することで、ヒト-ヒト間の血液濁度の比較可能な数値として、用いることができる。
【0077】
しかしながら、脂質濃度絶対値推定量に算出には、複数の相関を経由するため、誤差が大きくなることもある。
【0078】
さらに、医療用語として脂質濃度絶対値推定量の表記をした場合には、得られた算出結果の数値に対する期待や、非専門家への栄養指導時の理解の妨げとなる恐れがある。
【0079】
そこで、非専門家でも理解しやすい独自指標(インデックス値)(メタボインデックス(登録商標))を考案した。以下に、メタボインデックス(登録商標)の算出方法1と算出方法2を説明する。
【0080】
(算出方法1)
この方法は、健康診断などで、予め脂質データTG濃度等を取得している場合の補正方法となる。
まず、制御部4は、空腹時のTG脂質濃度を空腹時のHDL-C濃度で除する、以下の式でTG吸収パラメーターを算出する。
【0081】
(式3)
(TG吸収パラメーター)=(TG:mg/dL)/(HDL-C:mg/dL)
【0082】
式3のTGとHDL-Cは、健康診断などで予め取得した、空腹時のTG脂質濃度及びHDL-C濃度である。TGは中性脂肪であり、HDL-CはHDLコレステロール(善玉コレステロールとも呼ばれる)である。
【0083】
なお、TG濃度を空腹時に限定する理由は、食後の場合、TG濃度は変動してしまい、変動してしまった値からは、TGの吸収量を導き出すことが困難であるためである。HDLは元来、TGをほとんど含まないリポタンパクであり、これに対してTG濃度が高いということは、TGを血流に乗せるための容器の数(リポタンパクの粒子の数)が多いことになり、吸収されるTG量が増加することになる。
【0084】
図6は、個人の最大脂質吸収量ΔTGmaxとTG吸収パラメーターとの相関を示した図である。
【0085】
本発明者は、TG吸収パラメーターと最大脂質吸収量(ΔTGmax)とは、相関係数0.7以上の相関があることを見出した。最大脂質吸収量(ΔTGmax)とは、TG濃度の日内変動で、測定値が最も高くなったときの値をいう。これは、TG濃度がHDL-C濃度と逆相関することから、HDL-C濃度に対しTG濃度の増加と関連性のあるリポタンパクの割合が、健常者の場合、吸収量と関係するという仮説から検証した結果である。
【0086】
RAM44は、TG吸収パラメーターと最大脂質吸収量(ΔTGmax)の統計データを記憶する。
【0087】
制御部4は、(TG吸収パラメーター)を、TG吸収パラメーターと最大脂質吸収量(ΔTGmax)の統計データから求めた、y=45.594x-12.918という線形近似式(式4)のxに代入し、(最大脂質吸収量(ΔTGmax))を算出する。
【0088】
(式4)
(最大脂質吸収量(ΔTGmax))=(TG吸収パラメーター)×46-13
【0089】
なお、この式4で用いている数値(46と13)は、上図4に示したΔTGmaxとTG吸収パラメーターとの相関(y=45.864-12.918)から求めたものであるが、この数値に限定されるものではない。
【0090】
制御部4は、最大脂質吸収量(ΔTGmax)に空腹時TG濃度を加えることにより、推定最大脂質吸収量を算出する。推計上の最大脂質吸収量(推定最大脂質吸収量)は以下の式5であらわされる。
【0091】
すなわち、最大脂質吸収量(ΔTGmax)は食後の脂質変化量であるため、空腹時のTG濃度値を加算することで、TG濃度の最大値を推定できる。
【0092】
(式5)
(推定最大脂質吸収量)=(最大脂質吸収量(ΔTGmax))+(空腹時TG濃度)
【0093】
なお、式5の「空腹時のTG濃度」とは、健康診断等により予め得られた数値データを生体データ保存部に記録した場合の、生体データのTG濃度である。
【0094】
制御部4は、(脂質濃度絶対値推定量)を(推定最大脂質吸収量)で除することにより、メタボインデックス(登録商標)を算出する。
【0095】
(式6)
メタボインデックス(登録商標)=(脂質濃度絶対値推定量)/(推定最大脂質吸収量)×100
【0096】
脂質濃度絶対値推定量は上記式2で得られた値であり、推定最大脂質吸収量は、上記式5で得られた値である。
【0097】
なお、メタボインデックス(登録商標)は独自の表記であるが、実態は、血液濁度から求めた指標であり、表記は濁度などでもよく、%表示でなくてもよい。
【0098】
さらに皮膚厚補正、肌色補正を用いることで、乖離例は大幅に減少した。
【0099】
なお、メタボインデックス(登録商標)は、数字ばかりではなく以下のような段階的な(例えば、A~F)表記でもよい。
【0100】
右の%は、メタボインデックス(登録商標)。
A:~25%
B:26~50%
C:51~75%
D:76~100%
E:101~125%
F:126%~
【0101】
また、100%以上となるのは、計算上の限界のほか、あくまで健常者との比較になるので、糖尿病、脂質異常症などの基礎疾患があると、高めに出る傾向がある。このように、メタボインデックス(登録商標)により疾患の有無を推定できる。
【0102】
(算出方法2)
また、計測者全員が、予めの健康診断等による血液データを知っているとは限らないので、BMIを用いた補正方法2を考案した。
【0103】
(式7)
BMI=(体重kg)/(身長m)^2
【0104】
制御部4は、BMIを、BMIと最大脂質吸収量(ΔTGmax)の統計データから求めた、y=9.6195x-69.428という線形近似式(式8)のxに代入し、(最大脂質吸収量(ΔTGmax))を算出する。
【0105】
(式8)
(最大脂質吸収量(ΔTGmax))=(BMI)×9.6+69
【0106】
図7は、BMI(Body Mass Index)と最大脂質吸収量の相関である。図に示したように、BMIと最大脂質吸収量の間には、関連性が確認できる。ただし、BMIは筋肉量や内臓脂肪肥満の程度、更には基礎疾患などにより、違いが出やすいので、母集団ごとに、相関を作成し、適時選択するなどしてもよい。RAM44は、BMI(Body Mass Index)と最大脂質吸収量の統計データを記憶する。
【0107】
制御部4は、最大脂質吸収量(ΔTGmax)に空腹時TG濃度値を加えることにより、推定最大脂質吸収量を算出する。
【0108】
(式9)
(推定最大脂質吸収量)=(最大脂質吸収量(ΔTGmax))+(空腹時TG濃度値)
【0109】
制御部4は、(脂質濃度絶対値推定量)をこの(推定最大脂質吸収量)で除することにより、メタボインデックス(登録商標)を算出する。
【0110】
以上のような構成を備える実施形態の脂質濃度計測装置1において、予め設定されているプログラムに基づいて、脂質濃度計測装置1は、脂質濃度計測処理を実行する。図8~10は、実施形態の脂質濃度計測処理のフローチャートである。
【0111】
照射部が、照射位置21に光を照射する(ステップ101)。
【0112】
第1受光部31が第1検出位置331における光強度を検出するとともに、第2受光部32が第2検出位置332の光強度を検出する(ステップ102)。
【0113】
制御部4は、第1受光部31が検出した光強度及び第2受光部32が検出した光強度から血液濁度μmを算出する(ステップ103)。なお、血液濁度μmの算出法は上述した。
【0114】
制御部4は、食後経過時間(h)と血液濁度(μm)との相関関係を、多数の被験者について計測したデータに基づいて、予め統計的処理により生成された時間変化線データに基づいて、血液濁度μmから濁度変化量(Δμm)を算出する(ステップ104)。なお、濁度変化量(Δμm)の算出法は上述した。
【0115】
制御部4は、予め統計的処理により作成された濁度変化量ΔμmとTG濃度の変化量(脂質濃度変化量)ΔTGとの統計データに基づいて、濁度変化量(Δμm)から脂質濃度変化量を算出する(ステップ105)。なお、脂質濃度変化量の算出法は上述した。
【0116】
制御部4は、脂質濃度変化量に空腹時の脂質濃度を加えることにより、下記式2により、脂質濃度絶対値推定量を算出する(ステップ106)。なお、脂質濃度絶対値推定量の算出法は上述した。
【0117】
次に、メタボインデックス(登録商標)算出の処理について説明する。
【0118】
図9は、メタボインデックス(登録商標)算出の処理手順1を示すフローチャートである。制御部4は、空腹時のTG脂質濃度を空腹時のHDL-C濃度で除し、TG吸収パラメーターを算出する(ステップ201)。なお、TG吸収パラメーターの算出法は上述した。
【0119】
制御部4は、予め統計的処理により作成されたTG吸収パラメーターと最大脂質吸収量(ΔTGmax)との統計データに基づいて、TG吸収パラメーターから最大脂質吸収量(ΔTGmax)を算出する(ステップ202)。なお、最大脂質吸収量(ΔTGmax)の算出法は上述した。
【0120】
制御部4は、最大脂質吸収量(ΔTGmax)に空腹時TG濃度を加えることにより、推定最大脂質吸収量を算出する(ステップ203)。なお、推定最大脂質吸収量の算出法は上述した。
【0121】
制御部4は、(脂質濃度絶対値推定量)を(推定最大脂質吸収量)で除することにより、メタボインデックス(登録商標)を算出する(ステップ204)。
【0122】
図10は、メタボインデックス(登録商標)算出の処理手順2を示すフローチャートである。制御部4は、予め統計的処理により作成されたBMIと最大脂質吸収量(ΔTGmax)の統計データに基づいて、BMIから最大脂質吸収量(ΔTGmax)を算出する(ステップ301)。なお、BMIと最大脂質吸収量(ΔTGmax)の算出法は上述した。
【0123】
制御部4は、最大脂質吸収量(ΔTGmax)に空腹時TG濃度を加えることにより、推定最大脂質吸収量を算出する(ステップ302)。なお、推定最大脂質吸収量の算出法は上述した。
【0124】
制御部4は、(脂質濃度絶対値推定量)を(推定最大脂質吸収量)で除することにより、メタボインデックス(登録商標)を算出する(ステップ303)。
【0125】
次に、実施形態の脂質濃度計測プログラムについて説明する。なお、当該プログラムは記憶媒体に格納されてもよい。
【0126】
実施形態の脂質濃度計測プログラムは、装置のコンピュータに、被験者の体の所定の照射位置に光を照射する処理と、照射位置から所定間隔をあけて、あるいは、連続的な位置での、被検者の体から放出される、複数の位置の光強度を検出する処理と、複数の位置の光強度から、所定の食後経過時間における血液濁度を算出する処理と、予め統計的処理により作成された食後経過時間と血液濁度との統計データに基づいて、血液濁度から、濁度変化量を算出する処理と、予め統計的処理により作成された濁度変化量と脂質濃度変化量との統計データに基づいて、濁度変化量から脂質濃度変化量を算出する処理と、脂質濃度変化量に被験者の空腹時の脂質濃度を加えて、被験者の脂質濃度絶対値推定量を算出する処理と、を実行させる。
【0127】
以上説明したように、本実施形態の脂質濃度計測装置、プログラム、及び、方法によれば、脂質濃度の絶対値を推定することが可能となる。
【0128】
以上、実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0129】
1 脂質濃度計測装置
2 照射部
3 受光部
4 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10