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  • 特開-管路の接続構造 図1
  • 特開-管路の接続構造 図2
  • 特開-管路の接続構造 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100910
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】管路の接続構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 21/04 20060101AFI20220629BHJP
   F16L 37/244 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
F16L21/04
F16L37/244
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215188
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】591197633
【氏名又は名称】明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084102
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】関根 繁明
【テーマコード(参考)】
3H015
3J106
【Fターム(参考)】
3H015CA01
3H015CA03
3H015CA11
3J106BA01
3J106BB01
3J106BC04
3J106BD01
3J106EA01
3J106ED24
3J106EE18
3J106EF04
(57)【要約】

【課題】一方の管端部分がフランジ部21を備えた受け口2で、他方の管端部分がシールリング3及び押輪5を装着した挿し口1として、受け口2に挿し口1を挿入しフランジ部21と押輪5をボルト・ナット連結して、シールリング3をフランジ部21と押輪5とで挟圧することで管の密閉連結を行う管路の接続構造において、液漏れを防止する抜け止め構造を提供する。
【解決手段】挿し口1の挿入部分の外周に間欠的に係止突起11を設け、受け口2の管端に係止突起11に対応した通過部25と、通過部間に係止突起11と対面する係止受け部24を周設し、挿し口を受け口に差し込み回動させて管接続を行い、係止突起11と係止受け部24で抜け止め機能を発揮させると共に、係止突起及び係止受け部の各当接面12,26を、凹条形状で互いに噛み合う傾斜面に形成する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の管端部分がフランジ部を備えた受け口で、他方の管端部分がシールリング及び押輪を装着した挿し口として、前記受け口に挿し口を挿入すると共に、前記フランジ部と前記押輪をボルト・ナット連結してシールリングをフランジ部と押輪とで挟圧し、管の密閉連結を行う管路の接続構造において、
挿し口の挿入部分の外周に間欠的に適宜長さの係止突起を設け、受け口を係止突起通過可能径に形成すると共に、管端に前記係止突起の形成長に対応した通過部と、前記通過部間に係止突起と対面する係止受部を周設し、挿し口を受け口に差し込み回動させ、係止突起と係止受け部が対面させた位置で管接続を行い、係止突起と係止受け部が当接することで抜け止め機能を発揮させると共に、前記係止突起及び係止受け部の各当接面を、凹条形状で互いに噛み合う傾斜面に形成してなることを特徴とする管路の接続構造。
【請求項2】
挿し口において、シールリングの管端側に係止受け部の管端面に当接するリング受板を装着してなる請求項1記載の管路の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路の接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の対象は、接合される一方の管端(受け口管)にフランジ部及びフランジ部の内周縁にシール受部を設けた受け口を備え、他方管(挿し口管)に密封用ゴム輪(リングシール)と押輪を装着して前記受け口に挿入し、押輪とフランジ部とをボルト・ナット連結してゴム輪を押輪とシール受け部で挟圧して密封連結を行う管路接続構造で、特に受け口と挿し口との抜け止め機構に関するものである。
【0003】
前記管路接続構造における抜け止め機構は、特許文献1に開示されているように、挿入管の外周に挿込突部を設け、受け口の内部に1カ所に切れ目を設けたロックリングを配置し、挿入突部がロックリングを拡径して挿入し、挿込突部をロックリングより奥方に位置させて管連結を行い、抜け方向の力に対して前記挿込突部がロックリングに当たり、受け口と挿し口の離脱を防止している。
【0004】
また特許文献2には、挿し口の先端外周面に係止突起を設け、受け口内周に前記係止突起が嵌合する螺旋溝を形成し、係止突起を螺旋溝に嵌合して回動挿入して連結することで、受け口と挿し口の相対的回転を伴わない抜け方向の力に対しては、前記係止突起と螺旋溝の係止で受け口と挿し口の離脱を防止して構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-340228号公報図6
【特許文献2】特開2005-61550号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献1記載の抜け止め構造は、抜け方向に力が作用した場合における挿込突部とロックリングの当接面は、挿し口が管軸中心方向へ、受け口が外周方向に作用する傾斜面で構成されている。また特許文献2においても、製造時の螺旋溝の形成手段を考慮すると、螺旋溝は内周面の開口が広い台形状となり、特許文献1の当接面同様に抜け止め方向に力が作用した際に係止突起と螺旋溝との当接面においても挿し口が管軸中心方向へ、受け口が外周方向に作用する。すなわち引き抜き力が加わった場合、管の直径方向で、挿し口と受け口が分離する方向に力が加わることになる。
【0007】
管路の接続部分において挿し口と受け口との間に引き抜き力が生ずるのは、地震のように瞬発的な力が加わるような場合や、地盤沈下のようにゆっくりと負荷が加わる場合があるが、前者においては抜け止めのための当接面において食い込みが生じで当該状態が継続し、また後者の場合も当接面の付加が継続するので、結果的に両者ともに挿し口と受け口の間隙が離れる状態が継続し、当該状態ではリングシールの密着力を軽減させることになり、密封が解除され液漏れを起こしてしまう恐れがある。
【0008】
そこで本発明は抜け方向に力が作用しても液漏れが生ずるのを防止する抜け止めを備えた管路の接続構造を提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る管路の接続構造は、一方の管端部分がフランジ部を備えた受け口で、他方の管端部分がシールリング及び押輪を装着した挿し口として、前記受け口に挿し口を挿入すると共に、前記フランジ部と前記押輪をボルト・ナットで連結してシールリングをフランジ部と押輪とで挟圧して、管の密閉連結を行う管路の接続構造において、挿し口の挿入部分の外周に間欠的に適宜長さの係止突起を設け、受け口を係止突起通過可能径に形成すると共に、管端に前記係止突起の形成長に対応した通過部と、前記通過部間に係止突起と対面する係止受部を周設し、挿し口を受け口に差し込み回動させ、係止突起と係止受け部が対面させた位置で管接続を行い、係止突起と係止受け部が当接することで抜け止め機能を発揮させると共に、前記係止突起及び係止受け部の各当接面を、凹条形状で互いに噛み合う傾斜面に形成してなることを特徴とするものである。
【0010】
而して受け口を備えた受け口管と挿し口を備えた挿し口管とを密封接続するには、係止突起を通過部に合わせて挿し口を受け口に差し込み、係止突起が係止受け部の位置に対面するよう挿し口若しくは受け口を回動し、常法とおりシールリングをフランジ部の位置までずらし、押輪とフランジ部の連結用孔を合わせ、押輪とフランジ部をボルト・ナットで連結固定すると、受け口管と挿し口管が密封接続される。
【0011】
また前記の管接続部分に対して引き抜き方向に力が加わると、係止突起が係止受け部に衝突(当接)して受け口管と挿し口管の分離を阻止する。同時に前記の引き抜き力が加わり係止突起と係止受け部が当接すると、当接面が傾斜しているので傾斜方向にずれる力が作用し、受け口と挿し口は径方向で互いに近接する力が働き、シールリングは径方向に圧縮されることになり、液封が緩まることが無い。
【発明の効果】
【0012】
本発明の構成は上記のとおりで、フランジ部を備えた受け口とシールリングと押輪を備えた挿し口で構成される周知の管路接続構造において、抜け止め機能を発揮する係止箇所の当接面を所定の傾斜面としたもので、引き抜き力が加わってもシールリングの密封力を軽減せず液漏れ発生を防止したものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態の挿し口と受け口の一部裁断した正面図。
図2】同挿し口と受け口の端面図。
図3】同要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明の実施形態について説明する。管路の接続は挿し口1を備えた挿し口管Aと受け口2を備えた受け口管Bで行うもので、部材としてシールリング3、リング受板4、押輪5、ボルト6、ナット7を使用するものである。
【0015】
挿し口1は、受け口2への挿入部分の外周に係止突起11を備えるもので、係止突起11は、全周にわたって適宜な長さで間欠的に設けてなり、係止突起11は管尾側面が凹条形状となる傾斜面(当接面)12に形成したものである。
【0016】
受け口2は、管内径が前記係止突起11の外周面に対応し、管端にフランジ部21を設けたもので、前記フランジ部21には、適宜間隔でボルト6を装着する連結用孔22を設け、内周縁23を斜面に形成してなる。また前記内周縁23の管内周側に、係止受け部24を周設したものである。
【0017】
前記の係止受け部24は、係止突起11が通過可能な通過部25を挟んで間欠的に、且つ挿し口1の外周面と対応する内側突出高さを備えるように設けると共に、背面(管端面と反対側)を、前記係止突起11の傾斜面12と対応する凹条形状となる傾斜面(当接面)26に形成したものである。
【0018】
シールリング3は、予め挿し口1における係止突起11の背後方向(管端と反対側方向)に装着したもので、挿し口1の外周に密装され且つフランジ部21の内周縁23に対応する高さ(厚み)を備えたものである。
【0019】
リング受板4は、予め挿し口1における係止突起11の背後とシールリング3の間に介装したもので、係止受け部24の前面(管端側の面)に対応する大きさとしたもので、穴明円板でも、穴明円板を適宜分割した半月若しくは弓状板の組み合わせでも良い。
【0020】
押輪5は、適宜な厚さ・強度を備えたリング板(半月に分割したものでも良い)で、フランジ部21の連結用孔22と対応する透孔51を設けたもので、シールリング3の背後位置に配したものである。
【0021】
而して管路の接続は、受け口2に挿し口1を差し込み連結するもので、挿し口1の係止突起11を、通過部25を通して係止受け部24より奥方に差し入れ、その後に挿し口管A又は受け口管Bの何れかまたは双方を回動させて、係止突起11を係止受け部24の背後に位置させる。当該位置でリング受板4を係止受け部24の前面に配置し、前記リング受け板4及び内周縁23の面と、押輪5とでシールリング3を挟むようにし、連結用孔22及び透孔51を貫通したボルト6にナット7を螺合緊締してシールリング3を圧すると、挿し口管Aと受け口管Bが密封接続される。
【0022】
特に前記の管接続は引き抜き方向に力が加わると、係止突起11が係止受け部24に衝突(当接)して受け口管と挿し口管の分離を阻止され、同時に係止突起11が係止受け部24の当接面(傾斜面12,26)の傾斜によって、挿し口1と受け口2は径方向で互いに近接する力が働き、シールリング3を径方向に圧縮することになり、液漏れなどの不測の事態の発生を防止できるものである。
【符号の説明】
【0023】
A 挿し口管
B 受け口管
1 挿し口
11 係止突起
12 傾斜面(当接面)
2 受け口
21 フランジ部
22 連結用孔
23 内周縁
24 係止受け部
25 通過部
26 傾斜面(当接面)
3 シールリング
4 リング受け板
5 押輪
51 透孔
6 ボルト
7 ナット
図1
図2
図3