(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100994
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】枕
(51)【国際特許分類】
A47G 9/10 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
A47G9/10 T
A47G9/10 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215312
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】森川 陽亮
(72)【発明者】
【氏名】山田 善久
【テーマコード(参考)】
3B102
【Fターム(参考)】
3B102AA01
(57)【要約】
【課題】ハンガーに容易に、かつ、安定して吊り下げることができる枕を提供する。
【解決手段】枕1は、第1方向D1及び第2方向D2の双方に延びる長方形状の表地11と、表地11の反対側を向く裏地12と、裏地12の表面側に設けられ、表面の少なくとも一部を覆うと共に第1方向D1の両端部に配置された一対のポケット形成生地30と、を備える。ポケット形成生地30と裏地12との間には、裏地12における第1方向D1の中央部に向けて開口する一対の開口部36が形成されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向、及び前記第1方向に交差する第2方向、の双方に延びる長方形状の表地と、
前記表地の反対側を向く裏地と、
前記表地又は前記裏地の表面側に設けられ、前記表面の少なくとも一部を覆うと共に前記第1方向の両端部に配置された一対のポケット形成生地と、を備え、
前記ポケット形成生地と前記表地又は前記裏地との間には、前記表地又は前記裏地における前記第1方向の中央部に向けて開口する一対の開口部が形成されている、
枕。
【請求項2】
前記一対のポケット形成生地は、前記開口部の一部をなす一対の中央側端縁を有し、
前記一対の中央側端縁の前記第1方向における間隔が、前記第2方向の一方側から他方側に向かうにつれて広がっている、
請求項1に記載の枕。
【請求項3】
前記一対のポケット形成生地は、前記開口部の一部をなす一対の中央側端縁を有し、
前記一対の中央側端縁の前記第1方向における間隔が、前記第2方向において略一定である、
請求項1に記載の枕。
【請求項4】
前記一対のポケット形成生地と前記表地又は前記裏地との間には、高さ調整部材を収容する収容空間が形成されており、
前記一対の開口部を通じて、前記高さ調整部材が前記収容空間に挿入される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の枕。
【請求項5】
前記表地又は前記裏地の表面側には、前記第1方向に延びると共に両端部が前記表地又は前記裏地に接合されたベルト片が取り付けられており、前記ベルト片の前記両端部の間の少なくとも一部が前記一対の開口部の間で露出している、請求項1~4のいずれか一項に記載の枕。
【請求項6】
前記一対のポケット形成生地は、前記開口部の一部をなす一対の中央側端縁を有し、
前記一対の中央側端縁の間には、前記第1方向に延びると共に前記一対のポケット形成生地を連結する連結部が設けられており、
前記連結部と、前記表地又は前記裏地の前記第2方向における少なくとも一方の辺部との間にはハンガーのフック部を挿通させるフック部挿通孔が形成されている、
請求項1~5のいずれか一項に記載の枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、枕に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2002-191485号公報には、ハンガーを利用して枕本体を吊り下げることのできる枕が記載されている。この枕は、枕本体の第1長辺部側の底面側に、一定の幅を有する円弧状の布で形成されたハンガー支持シート体を有する。ハンガー支持シート体の両方の端部は枕本体に縫着されており、ハンガー支持シート体の中間部にはハンガーのフック部が挿通されるフック部挿通孔が形成されている。ハンガーのフック部をフック部挿通孔に挿通すると、ハンガーの掛止部はハンガー支持シート体の両方の端部によって停止する。
【0003】
実用新案登録第3187170号公報には、ハンガー等に吊り下げることが可能な枕が記載されている。この枕は、布袋体に設けられた一対のストラップを有する。一対のストラップがハンガーに掛けられることで、枕が吊り下げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-191485号公報
【特許文献2】実用新案登録第3187170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の枕は、ハンガーに吊り下げられることにより、枕を干すことができる。しかしながら、ハンガーに引っ掛けるための部材や構造を別途に設けており、枕としては構成が複雑である。
【0006】
本開示は、ハンガーに容易に、かつ、安定して吊り下げることができる枕を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る枕は、第1方向、及び第1方向に交差する第2方向、の双方に延びる長方形状の表地と、表地の反対側を向く裏地と、表地又は裏地の表面側に設けられ、表面の少なくとも一部を覆うと共に第1方向の両端部に配置された一対のポケット形成生地と、を備え、ポケット形成生地と表地又は裏地との間には、表地又は裏地における第1方向の中央部に向けて開口する一対の開口部が形成されている。
【0008】
この枕によれば、表地又は裏地の表面側において、第1方向の両端部に配置された一対のポケット形成生地が設けられる。ポケット形成生地と表地又は裏地との間には、使用者が寝る場合等に使用され得る何らかの物品又は部材等を収容することができる。ポケット形成生地は、表地又は裏地における第1方向の中央部に向けて開口する一対の開口部を形成する。ハンガーの左右の部分を開口部から挿入することで、ハンガーに枕を容易に吊り下げることができる。またポケット形成生地がハンガーの左右の部分に引っ掛かるので、枕を安定して吊り下げることができる。
【0009】
一対のポケット形成生地は、開口部の一部をなす一対の中央側端縁を有し、一対の中央側端縁の第1方向における間隔が、第2方向の一方側から他方側に向かうにつれて広がっていてもよい。この場合、間隔の広い部分から、ハンガーを挿入しやすい。ハンガーを挿入した後、ハンガーを幅狭な方(すなわち第2方向の一方側)に寄せることで、ポケット形成生地の広がりを抑制することができ、ハンガーに吊り下げた際の枕の姿勢が安定しやすい。
【0010】
一対のポケット形成生地は、開口部の一部をなす一対の中央側端縁を有し、一対の中央側端縁の第1方向における間隔が、第2方向において略一定であってもよい。この場合、中央側端縁の間隔が略一定に保たれているので、ハンガーを挿入した後のポケット形成生地の広がりを抑制しやすい。よって、ハンガーに吊り下げた際の枕の姿勢が安定しやすい。
【0011】
一対のポケット形成生地と表地又は裏地との間には、高さ調整部材を収容する収容空間が形成されており、一対の開口部を通じて、高さ調整部材が収容空間に挿入されてもよい。この場合、枕の高さが、高さ調整部材によって調整され得る。高さ調整部材用に設けられたポケット形成生地がハンガー吊下げ用として兼用されるので、全体構成がより一層単純化されている。
【0012】
表地又は裏地の表面側には、第1方向に延びると共に両端部が表地又は裏地に接合されたベルト片が取り付けられており、ベルト片の両端部の間の少なくとも一部が一対の開口部の間で露出していてもよい。この場合、地又は裏地に接合された両端部の間において、ベルト片に、ハンガーのフック部を挿通させることができる。ベルト片がハンガーの首部の周辺に引っ掛かると共に、ポケット形成生地がハンガーの左右の部分に当接するので、枕を更に安定して吊り下げることができる。
【0013】
一対のポケット形成生地は、開口部の一部をなす一対の中央側端縁を有し、一対の中央側端縁の間には、第1方向に延びると共に一対のポケット形成生地を連結する連結部が設けられており、連結部と、表地又は裏地の第2方向における少なくとも一方の辺部との間にはハンガーのフック部を挿通させるフック部挿通孔が形成されていてもよい。この場合、一対のポケット形成生地が、連結部によって連結されるので、一対の中央側端縁の第1方向における間隔が広がって(中央側端縁が離れてしまう)ことを防止できる。また、フック部挿通孔にハンガーのフック部を挿通させることができるので、枕を更に安定して吊り下げることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ハンガーに容易に、かつ、安定して吊り下げることのできる枕が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る枕を示す斜視図である。
【
図3】枕本体の背面図(裏地側から見た図)である。
【
図5】枕本体と、枕本体に挿入される高さ調整シートを示す斜視図である。
【
図6】枕本体を第1長辺部側から見た斜視図である。
【
図7】ハンガーに吊り下げられた枕本体を示す図である。
【
図8】第2実施形態に係る枕を裏地側から見た斜視図である。
【
図9】第3実施形態に係る枕を裏地側から見た斜視図である。
【
図10】変形例に係る枕本体の背面図(裏地側から見た図)である。
【
図11】他の変形例に係る枕本体の背面図(裏地側から見た図)である。
【
図12】更に他の変形例に係る枕本体の背面図(裏地側から見た図)であり、ポケット形成生地の一部を破断して内部構造を示す図である。
【
図13】ハンガーに吊り下げられた
図12の枕本体を示す図である。
【
図14】更に他の変形例に係る枕本体の背面図(裏地側から見た図)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図面を参照しながら本発明に係る枕の実施形態について説明する。本発明は、以降の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示され、特許請求の範囲と均等の範囲内における全ての変更が含まれることが意図される。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いており、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0017】
図1及び
図2に示されるように、本実施形態に係る枕1は枕本体5を備える。枕本体5は、側地10を有する。側地10の内部空間S(
図4参照)には内容物20が収容されている。側地10は、表地11、及び表地11の反対側を向く裏地12を含む。枕本体5(すなわち側地10)は、全体的に直方体状を成しており、表地11及び裏地12のそれぞれは、第1方向D1及び第2方向D2の双方に延びる長方形状を成している。側地10は、例えば、高い柔軟性を有している。枕本体5は、第1方向D1に延在する一対の長辺部2と、第1方向D1に交差する第2方向D2に延在する一対の短辺部3とを有する。第1方向D1は枕本体5の長手方向であり、第2方向D2は枕本体5の幅方向である。例えば、第1方向D1及び第2方向D2は互いに直交している。枕本体5には、内部空間Sを仕切る複数の仕切部が設けられてもよい。
【0018】
例えば、側地10の第1方向D1の長さは、20cm以上且つ100cm以下であり、40cm以上且つ90cm以下であってもよいし、50cm以上且つ80cm以下であってもよいし、60cm以上且つ70cm以下であってもよい。側地10の第2方向D2の長さは、20cm以上且つ70cm以下であり、30cm以上且つ60cm以下であってもよいし、40cm以上且つ50cm以下であってもよい。但し、これらの長さは適宜変更可能である。
【0019】
枕本体5(又は枕1)は、例えば、汚れ防止のための枕カバーに収容された状態で使用される。一例として、枕1は、マットレス又は敷き布団等の敷き寝具の上に載せられて使用される。長辺部2は、第2方向D2の一方側に位置する第1長辺部2bと、第2方向D2の他方側に位置する第2長辺部2cとを含む。第2長辺部2cは、例えば、使用者の首が載せられる部位である。短辺部3は、第1方向D1の一方側に位置する第1短辺部3bと、第1方向D1の他方側に位置する第2短辺部3cとを含む。本明細書において、「使用者」とは、枕本体5(又は枕1)を使用する可能性がある者を示しており、例えば、枕本体5(又は枕1)を購入する前に枕本体5(又は枕1)を試用する者である。
【0020】
例えば、表地11には、キルティングが施されていてもよい。この場合、側地10の保温性を高めると共にデザイン性を高めることが可能となる。表地11の材料は、例えば、綿及びシルクを含んでもよいし、ポリエステルを含んでもよい。一例として、表地11の綿の割合は70%であり、表地11のシルクの割合は30%である。
【0021】
裏地12の材料は、例えば、ポリエステル及び綿の少なくともいずれかを含んでもよい。一例として、裏地12におけるポリエステルの割合が65%且つ綿の割合が35%である。裏地12は、例えば、裏地12の中心O2を通り第2方向D2に延びる中心軸線L2に対して対称な形状とされている。なお、表地11も、裏地12と同様、表地11の中心を通り第2方向D2に延びる中心軸線(図示せず)に対して対称な形状とされている。
【0022】
表地11及び裏地12は、第1長辺部2bの位置において、互いに縫合(接合)される。表地11及び裏地12は、第2長辺部2cの位置において、互いに縫合(接合)される。さらに、表地11及び裏地12は、第1短辺部3bの位置において、互いに縫合(接合)される。表地11及び裏地12は、第2短辺部3cの位置において、互いに縫合(接合)される。
【0023】
図2に示されるように、枕本体5は、短辺部3の位置に配置された一対の側面部4を有してもよい。側面部4は、第1短辺部3bの位置に配置された第1側面部4bと、第2短辺部3cの位置に配置された第2側面部4cとを含む。第1側面部4b及び第2側面部4cは、例えば、第1方向D1に交差するように配置され、表地11及び裏地12に対して縫合(接合)される。すなわち、表地11及び裏地12が、一対の側面部4を介して、一対の短辺部3の位置において互いに縫合(接合)されてもよい。枕本体5の構成は、上記した構成以外のあらゆる公知の構成を採り得る。
【0024】
図4に示されるように、側地10の内部空間Sには、内容物20が収容されている。内容物20は、例えば、中空とされた中空粒状体である。具体例として、内容物20は、中空とされたパイプ材又はビーズである。一例として、内容物20は、筒状を成すポリエチレン製のパイプ材であってもよい。枕本体5に、内部空間Sを仕切る仕切部が設けられる場合、各仕切部に内容物20が充填されてもよい。仕切部に連通口が設けられて、枕本体5の内部で内容物20が移動可能であってもよい。
【0025】
内容物20は、綿(わた)であってもよい。一例として、内容物20の材料はポリエステルである。内容物20は、羽毛又はウレタンであってもよく、適宜に変更可能である。内容物20が、異なる複数種類の内容物20を含んでもよい。複数の仕切部に、異なる内容物20が充填されてもよい。1つ又はいくつかの仕切られた空間に同一の内容物20が充填され、1つ又はいくつかの仕切られた別の空間に異なる内容物20が充填されてもよい。内容物20の材料は適宜変更可能である。
【0026】
図2及び
図3に示されるように、裏地12の第1方向D1の中央部には、内部空間Sに対して内容物20を出し入れするための下面ファスナー16が設けられている。下面ファスナー16を用いて裏地12を開口させ、開口を通じて内容物20を取り出したり、内容物20を投入したりすることができる。下面ファスナー16の大きさ及び配置は適宜に決定されてよいが、例えば、下面ファスナー16は第1方向D1に延在する。
【0027】
続いて、
図2~
図6を参照して、本実施形態の枕1が備えるハンガー吊下構造について説明する。
図2及び
図5に示されるように、枕1は、枕本体5に取り付けられる一対の高さ調整シート(高さ調整部材)40を備える。高さ調整シート40は、枕本体5の裏地12の表面側(内部空間Sとは反対の露出する側)において、中心軸線L2よりも第1短辺部3b側に取り付けられる第1高さ調整シート40bと、中心軸線L2よりも第2短辺部3c側に取り付けられる第2高さ調整シート40cとを含む。第1高さ調整シート40b及び第2高さ調整シート40cは、所定の厚みを有しており、例えば、同一の形状と大きさを有する長方形状をなしている。第1高さ調整シート40b及び第2高さ調整シート40cは、一例として、発泡ウレタンシートからなる。高さ調整シート40の材料は、ポリエステル又はポリエチレンであってもよく、クッション性を有する他の材料であってもよい。
【0028】
高さ調整シート40は、枕1の付属品であってもよい。第1高さ調整シート40b及び第2高さ調整シート40cは、枕本体5に対して着脱自在である。高さ調整シート40は、枕1が使用される際、通常、枕本体5に取り付けられるが、高さ調整シート40の取付け・使用は必須ではない。枕1が例えば販売(譲渡)される際、枕本体5と高さ調整シート40とが併せて販売されてもよいが、枕本体5と高さ調整シート40とが別売りであってもよい。
【0029】
枕本体5(枕1)は、裏地12の表面側に設けられ、裏地12の一部分を覆うポケット形成生地30を有する。ポケット形成生地30は、第1方向D1における裏地12の第1短辺部3b側の端部(一端部)に配置された第1ポケット形成生地30bと、第1方向D1における裏地12の第2短辺部3c側の端部(他端部)に配置された第2ポケット形成生地30cとを含む。第1ポケット形成生地30b及び第2ポケット形成生地30cは、伸縮性を有する材料からなる。第1ポケット形成生地30b及び第2ポケット形成生地30cが、裏地12と同じ材料からなってもよい。後述するハンガーHを用いた吊下げの関係で、第1ポケット形成生地30b及び第2ポケット形成生地30cの伸縮性は、裏地12の伸縮性より小さいことが望ましい。
【0030】
第1ポケット形成生地30b及び第2ポケット形成生地30cは、それぞれ、4辺のうちの3辺が裏地12(又は表地11)に接合されている。この第1ポケット形成生地30b及び第2ポケット形成生地30cにより、本実施形態に係る枕1には、第1方向D1に沿って並ぶ一対の袋状の収容空間Pが形成されている。
図6に示されるように、第1ポケット形成生地30bの第1方向D1の端部に位置する第1外端縁34bは、第1短辺部3bにおいて第1側面部4bに縫合(接合)されている。第2ポケット形成生地30cの第1方向D1の端部に位置する第2外端縁34cは、第2短辺部3cおいて第2側面部4cに縫合(接合)されている。
図2、
図4及び
図6に示されるように、第1ポケット形成生地30bの第2方向D2の一端部に位置する第1端縁32(一端縁)は、第1長辺部2bにおいて、表地11及び裏地12に縫合(接合)されている。第1ポケット形成生地30bの第2方向D2の他端部に位置する第2端縁33(他端縁)は、第2長辺部2cにおいて、表地11及び裏地12に縫合(接合)されている。第2ポケット形成生地30cの第2方向D2の一端部に位置する第1端縁32(一端縁)は、第1長辺部2bにおいて、表地11及び裏地12に縫合(接合)されている。第2ポケット形成生地30cの第2方向D2の他端部に位置する第2端縁33(他端縁)は、第2長辺部2cにおいて、表地11及び裏地12に縫合(接合)されている。
【0031】
第1ポケット形成生地30b及び第2ポケット形成生地30cは、裏地12の全体を覆うように設けられておらず、裏地12の一部を覆うように設けられている。第1ポケット形成生地30b及び第2ポケット形成生地30cは、枕本体5における第1方向D1の両端部に設けられている。枕本体5における第1方向D1の中央部には、ポケット形成生地30は設けられておらず、裏地12の露出部12eが露出している。なお、裏地12の第1方向D1の両端部とは、「中央部を除いた部分」を意味しており、例えば、第1方向D1の全幅の半分以上を占める領域であってもよく、4分の3以上を占める領域であってもよい。枕本体5において、少なくとも一部分(中央部)において、露出部12eが露出している。なお、第1ポケット形成生地30b及び第2ポケット形成生地30cの間から、下面ファスナー16の一部又は全部が露出してもよい。
【0032】
図4及び
図5に示されるように、ポケット形成生地30と裏地12との間には、高さ調整シート40を収容する一対の収容空間Pが形成されている。各収容空間Pには、第1高さ調整シート40b又は第2高さ調整シート40cを収容可能である。第1ポケット形成生地30b及び第2ポケット形成生地30cは、内容物20を収容して膨らんだ枕本体5においても、裏地12に対して若干の余裕をもった大きさに形成されている。ポケット形成生地30と裏地12との間には、裏地12における第1方向D1の中央部に向けて開口する一対の開口部36が形成されている。
図5に示されるように、開口部36は、第1ポケット形成生地30bの第1中央側端縁31bと裏地12とによって形成された第1開口部36bと、第2ポケット形成生地30cの第2中央側端縁31cと裏地12とによって形成された第2開口部36cとを有する。第1中央側端縁31b及び第2中央側端縁31cは、第1方向D1において互いに対面する。
【0033】
図2、
図3、
図5及び
図6に示されるように、第1中央側端縁31bと第2中央側端縁31cとの第1方向D1における間隔Gは、第1長辺部2b側(一方側)から第2長辺部2c(他方側)へ向かうにつれて広がっている。すなわち、第1中央側端縁31b及び第2中央側端縁31cは、
図3に示される方向から見たときに、V字を逆さにした形状を呈している。枕本体5において、第1中央側端縁31b及び第2中央側端縁31cは、それぞれ直線状に延びる。
【0034】
第1開口部36b及び第2開口部36cは、裏地12の第2方向D2における両方の辺部、すなわち第1長辺部2b及び第2長辺部2cの位置にまで達している。言い換えれば、第1ポケット形成生地30b及び第2ポケット形成生地30cは、完全に分離している。V字状をなす一対の中央側端縁31において、第1長辺部2bの位置に存在する第1端間隔Gb(
図6参照)は、例えば、間隔Gの中で最も小さく、第2長辺部2cの位置に存在する第2端間隔Gc(
図2参照)は、例えば、間隔Gの中で最も大きい。
【0035】
続いて、枕本体5がハンガーHに吊り下げられる際の態様について、
図7を参照して説明する。
図7は、ハンガーに吊り下げられた枕本体5を示す図である。
図7に示されるように、第1ポケット形成生地30b及び第2ポケット形成生地30cと裏地12との間の収容空間P,Pには、ハンガーHの第1肩部Hb及び第2肩部Hcが、それぞれ挿入される。枕本体5は自重でぶら下がり、第1肩部Hbが第1ポケット形成生地30bの第1当接部37bに当接し、第2肩部Hcが第2ポケット形成生地30cの第2当接部37cに当接する。第1当接部37b及び第2当接部37cは、第1端縁32の近傍に位置する。第1当接部37b及び第2当接部37cは、ポケット形成生地30において定まった位置に存在するわけではなく、吊り下げられた枕本体5の重さとバランス(姿勢)等により、変動し得る部分である。
【0036】
図7に示される状態で、ハンガーHのフック部H1は、間隔Gから突出する。枕本体5が洗濯時や使用後等に干される際、このフック部H1が、適宜の円筒状部、フック状部、又は突出部に引っ掛けられる。枕本体5は自重により垂下する。フック部H1と、第1肩部Hb及び第2肩部Hcを含む本体部Haとの中間に位置する首部H2は、間隔Gの範囲内に配置され得る。
【0037】
本実施形態の枕本体5及び枕1によれば、裏地12の表面側において、第1方向D1の両端部に配置された一対のポケット形成生地30が設けられる。ポケット形成生地30と裏地12との間には、使用者が寝る場合等に使用され得る何らかの物品又は部材等(本実施形態では高さ調整シート40)を収容することができる。ポケット形成生地30は、裏地12における第1方向D1の中央部に向けて開口する一対の開口部36を形成する。ハンガーHの左右の第1肩部Hb及び第2肩部Hcを開口部36から挿入することで、ハンガーHに枕本体5(又は枕1)を容易に吊り下げることができる。またポケット形成生地30の第1当接部37b及び第2当接部37cがハンガーHの左右の第1肩部Hb及び第2肩部Hcにそれぞれ引っ掛かるので、枕本体5(又は枕1)を安定して吊り下げることができる。さらに、吊下げ用の別途の部材等は不要であり、構成も単純である。また、枕本体5(又は枕1)を早く乾燥させることができる。
【0038】
上述した特許文献1,2に記載された構造では、ハンガーによって枕を吊り下げるために、特別な部材を取り付けている。本実施形態の枕本体5及び枕1では、そのような部材は不要である。また従来、第1長辺部2bの付近に貫通孔を設けて、その貫通孔を通じて、枕の内部に挿入したハンガーのフック部を突出させる構造も知られているが、その場合には、ハンガーへの枕の取付けが容易ではなく、大変煩わしい。本実施形態の枕本体5及び枕1では、第1肩部Hbと第2肩部Hcを順次、開口部36を通じて挿入すればよいので、ハンガーHへの枕本体5の取付けが容易(手間要らず)かつ速やかである。
【0039】
また、本実施形態の枕本体5及び枕1では、V字状の間隔Gに対して、間隔の広い部分から、ハンガーHを挿入しやすくなっている。ハンガーHを挿入した後、ハンガーHを幅狭な方(すなわち第1長辺部2b側)に寄せることで、ポケット形成生地30の広がりを抑制することができ、ハンガーHに吊り下げた際の枕本体5(又は枕1)の姿勢が安定しやすい。
【0040】
一対の開口部36は、裏地12の第2方向D2の端部に位置する両方の辺部(第1長辺部2b及び第2長辺部2c)の位置にまで達している。よって、ハンガーHの本体部Haとフック部H1との間の首部H2が、第1長辺部2bにまで達した一対の中央側端縁31の間隔Gに配置される。したがって、ハンガーHに吊り下げられた枕本体5(又は枕1)は、比較的まっすぐに垂下することができる。枕本体5(又は枕1)を洗濯後に乾かしているとき等であれば、このような枕本体5(又は枕1)の姿勢は、平置きと比較して、早期の乾燥の観点で有利である。
【0041】
一対のポケット形成生地30の伸縮性は、裏地12の伸縮性より小さい。よって、ハンガーHの左右の第1肩部Hb及び第2肩部Hcにポケット形成生地30が引っ掛かり、枕本体5(又は枕1)の自重により、ポケット形成生地30の第1当接部37b及び第2当接部37cの付近に伸長力が作用する。ポケット形成生地30の伸縮性が小さいので、枕本体5(又は枕1)が、ハンガーHにしっかりと保持されやすい。
【0042】
一対のポケット形成生地30と裏地12との間に、高さ調整シート40を収容する収容空間Pが形成されており、一対の開口部36を通じて、高さ調整シート40が収容空間Pに挿入される。高さ調整シート40の出し入れは非常に容易である。枕1では、枕1の高さが、高さ調整シート40によって調整され得る。高さ調整シート40用に設けられたポケット形成生地30がハンガー吊下げ用として兼用されるので、全体構成がより一層単純化されている。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。例えば、
図8に示されるように、一対の中央側端縁31の第1方向D1における間隔Gが、第2方向D2において略一定である枕本体5A(枕1A)が提供されてもよい。すなわち、間隔Gが略一定である枕本体5Aであってもよい。この場合、第1中央側端縁31bと第2中央側端縁31cとが略平行に延びる。中央側端縁31の間隔Gが略一定に保たれているので、ハンガーHを挿入した後のポケット形成生地30の広がりを抑制しやすい。よって、ハンガーHに吊り下げた際の枕本体5(又は枕1)の姿勢が安定しやすい。また、ハンガーHを第1長辺部2b側に寄せても第2長辺部2c側に寄せても、枕本体5(又は枕1)の垂下状態(姿勢等)は大きく変わらない。よって、使用者は枕本体5(又は枕1)の向きを気にすることなく枕本体5(又は枕1)を吊り下げることができる。
【0044】
また、
図9に示されるように、一対の中央側端縁31の第1方向D1における間隔Gが、第1方向D1の第1長辺部2b側(一方側)から第2長辺部2c(他方側)へ向かうにつれていったん大きく広がり、第2長辺部2c(他方側)に近づくにつれて多少狭くなった枕本体5B(枕1B)が提供されてもよい。この枕本体5Bにおいて、第1中央側端縁31b及び第2中央側端縁31cは、それぞれ第1方向D1の外側に湾曲するように延びる。例えば、第2方向D2における途中の第3端間隔Gdは、第1端間隔Gbよりも大きく、かつ、第2端間隔Gcよりも大きい。この場合も、枕本体5と同じく、ハンガーHを挿入しやすいという効果が奏される。それと同時に、枕本体5Aと同じく、ハンガーHを挿入した後のポケット形成生地30の広がりを抑制しやすいという効果も奏される。
【0045】
また、
図10に示されるように、第1長辺部2bが、中心軸線L2から遠ざかり第1短辺部3b及び第2短辺部3cに近づくにつれて、裏地12の中心O2を通り第1方向D1に延びる中心軸線L3に近づくような、なで肩形状の枕本体5Cが提供されてもよい。この場合、ハンガーHの第1肩部Hb及び第2肩部Hcの形状に、ポケット形成生地30がフィットしやすい。
【0046】
また、
図11に示されるように、第1開口部36b及び第2開口部36cが、裏地12の第2方向D2における両方の辺部、すなわち第1長辺部2b及び第2長辺部2cの位置にまで達することなく終端する枕本体5Dが提供されてもよい。枕本体5Dでは、第1ポケット形成生地30b及び第2ポケット形成生地30cは、第1長辺部2b付近及び第2長辺部2c付近において連続している。例えば、第1中央側端縁31b及び第2中央側端縁31cは、それぞれ直線状に延び、V字を逆さにした形状を呈する。開口部36の第1端に形成された、例えば第1方向D1に延びる第1端縁38は、第1長辺部2bから第2方向D2に離間している。開口部36の第2端に形成された、例えば第1方向D1に延びる第2端縁39は、第2長辺部2cから第2方向D2に離間している。このような枕本体5Dによっても、第1端縁38にハンガーHの首部H2が引っ掛かるような形状となり、姿勢が安定する。開口部36が第1長辺部2bに達していないことで、ポケット形成生地30の形状の崩れも防止しやすい。なお、一対の開口部36が、第1長辺部2b及び第2長辺部2cのいずれか一方の位置にまで達しており、いずれか他方の位置にまで達することなく終端していてもよい。
【0047】
また、
図12に示されるように、裏地12の表面側に、第1方向D1に延びると共に両端部52,52が裏地12に接合されたベルト片50が取り付けられた枕本体5Eが提供されてもよい。ベルト片50の両端部52,52の間の中間部51が、一対の開口部36の間で露出している。両端部52,52は、例えば、裏地12に縫合されている。両端部52,52の間隔は、ハンガーHのフック部H1の横幅よりも大きい。
図12では、両端部52(縫合部)の構造を容易に理解可能とするため、ポケット形成生地30の一部が破断して示されている。ベルト片50は、例えば第1長辺部2bの近くに設けられており、ベルト片50と第2長辺部2cとの間の距離は十分に確保されている。ベルト片50と第2長辺部2cとの間の空間から、ハンガーHが、収容空間P(開口部36)及びベルト片に挿入される。枕本体5Eによれば、ベルト片50の中間部51にハンガーHのフック部H1を挿通させることができる(
図13参照)。ベルト片50がハンガーHの首部H2の周辺に引っ掛かると共に、ポケット形成生地30がハンガーHの本体部Haの左右の部分に当接するので、枕本体5E(又は枕1)を安定して吊り下げることができる。
【0048】
枕本体5E(又は枕1)の本来の重量が大きい、又は枕本体5E(又は枕1)が水分を含んでいて(洗濯等により濡れていて)重い等の場合には、枕本体5は自重でぶら下がり、第1肩部Hbが第1ポケット形成生地30bの第1当接部37bに当接し、第2肩部Hcが第2ポケット形成生地30cの第2当接部37cに当接する。この状態は、
図7に示された状態に類似する。
図13に示される状態で、ハンガーHの首部H2は、間隔Gの範囲内に配置されており、さらに、ベルト片50の中間部51が、ポケット形成生地30b,30cに当接しつつ、首部H2に引っ掛かった状態で間隔Gからはみ出ることもできる。ベルト片50は、ハンガーHに吊り下げられた枕本体5Eを補強する。
【0049】
また、
図14に示されるように、第1中央側端縁31b及び第2中央側端縁31cの間に、第1方向D1に延びると共に一対のポケット形成生地30(第1ポケット形成生地30b及び第2ポケット形成生地30c)を連結する連結部55が設けられ、連結部55と、裏地12の第1長辺部2bとの間にハンガーHのフック部H1を挿通させるフック部挿通孔60が形成された枕本体5Fが提供されてもよい。連結部55は、例えば第1長辺部2bの近くに設けられており、連結部55と第2端縁39との間の距離は十分に確保されている。連結部55は、第1ポケット形成生地30b及び第2ポケット形成生地30cとは別体の生地片(帯状の生地片)であり、当該生地片が第1ポケット形成生地30b及び第2ポケット形成生地30cに対して縫合等により接合されてもよい。或いは、連結部55が、第1ポケット形成生地30b及び第2ポケット形成生地30cと一体の生地片(
図14に示される形状に裁断された一枚の生地片)であってもよい。連結部55と第2端縁39との間の空間から、ハンガーHが、収容空間P(開口部36)及びフック部挿通孔60に挿入される。枕本体5Fによれば、一対のポケット形成生地30が、連結部55によって連結されるので、第1中央側端縁31b及び第2中央側端縁31cの第1方向D1における間隔が広がって(中央側端縁31同士が離れてしまう)ことを防止できる。また、フック部挿通孔60にハンガーHのフック部H1を挿通させることができるので、枕本体5F(又は枕1)を更に安定して吊り下げることができる。また、
図12に示したベルト片50を備えた構造が、連結部55及びフック部挿通孔60を備えた枕本体5Fに適用されてもよい。
【0050】
また、
図6に示した第1ポケット形成生地30bの第1外端縁34b、及び、第2ポケット形成生地30cの第2外端縁34cが、第1短辺部3b及び第2短辺部3cの位置においてそれぞれ縫着されておらずに開口していてもよい。高さ調整シート40がこの外側の開口から挿入されてもよい。高さ調整シート40は、一例として、ボタンによって裏地12(又はポケット形成生地30)に着脱可能とされてもよい。
【0051】
高さ調整シート40は、第1方向D1において分割されている態様に限られず、裏地12の略全域にわたって設けられる一体の部材であってもよい。例えば、一体(一枚)の高さ調整シート40が、第1方向D1の一方側の第1開口部36b、及び第1方向D1の他方側の第2開口部36c、のそれぞれに挿入されてもよい。高さ調整シート40が、内部に内容物を充填する構造を有してもよい。
【0052】
収容空間P(ポケット)は、高さ調整シート40用である態様に限られない。ポケット形成生地30によって形成された開口部36及び収容空間Pに、使用者の頬に当てられるパッド等が収容されてもよい。ポケット形成生地30が表地11の表面側に設けられ、収容空間Pが表地11の表面側に形成されてもよい。その場合には、ベルト片50(
図12参照)又は連結部55(
図14参照)も、表地11の表面側に設けられる。
【0053】
枕1において、高さ調整シート40が省略されてもよい。すなわち、収容空間P(ポケット)が設けられるが、高さ調整シート40を備えない枕に本発明が適用されてもよい。使用者(好みなど)によって、高さ調整シート40を使用したり、高さ調整シート40を使用しなかったりする枕1に、本発明が適用されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1,1A,1B…枕、2…長辺部、2b…第1長辺部、2c…第2長辺部、3…短辺部、3b…第1短辺部、3c…第2短辺部、5,5A~5D…枕本体、10…側地、11…表地、12…裏地、30…ポケット形成生地、30b…第1ポケット形成生地、30c…第2ポケット形成生地、31…中央側端縁、31b…第1中央側端縁、31c…第2中央側端縁、36…開口部、36b…第1開口部、36c…第2開口部、40…高さ調整シート(高さ調整部材)、40b…第1高さ調整シート、40c…第2高さ調整シート、50…ベルト片、51…中間部、52…両端部、55…連結部、60…フック部挿通孔、G…間隔、Gb…第1端間隔、Gc…第2端間隔、H…ハンガー、P…収容空間。